(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6060775
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】リセット回路
(51)【国際特許分類】
H03K 17/22 20060101AFI20170106BHJP
H03K 17/24 20060101ALI20170106BHJP
G06F 1/24 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
H03K17/22 D
H03K17/24
G06F1/24 351
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-72970(P2013-72970)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-197791(P2014-197791A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2016年2月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】田上 泰生
【審査官】
及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−233101(JP,A)
【文献】
特開2011−166593(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0103437(US,A1)
【文献】
特開平06−216756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/22
H03K 17/24
G06F 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端からリセット信号を出力するリセット回路であって、
第1の電源と、
前記第1の電源に入力端が接続された第1のリセット回路と、
第2の電源と、
前記第2の電源に入力端が接続された第2のリセット回路と、
前記第1の電源に一端が接続された第1の抵抗と、
前記第2の電源に一端が接続された第2の抵抗と、
エミッタに、前記第1のリセット回路の出力端と前記第1の抵抗の他端と前記出力端が接続され、ベースに、前記第2のリセット回路の出力端と前記第2の抵抗の他端とが接続され、コレクタが接地されたPNPトランジスタと、
を備えたことを特徴とするリセット回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リセット回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源の電圧低下によるシステム暴走等の異常動作を未然に防ぐために、電源電圧を監視し、所定の電圧以下になるとLowレベルの出力を生成してマイコンにリセットをかけるリセットICが知られている。このリセットICにおいて、例えば、3.3Vと5.0Vの2系統の電圧を監視するには、例えば、
図2に示すように、マイコン130に2つの入力ポート(入力#1,#2)が必要になる。
【0003】
これに対し、マイコン130の入力ポートを1個で済まそうとすれば、例えば、
図3に示すように、異なる電圧で駆動されるそれぞれのリセットIC110,120から出力される2つの入力信号の論理和をとる必要があり、そのためには論理回路(実質的にはORであるが負論理で動作するためANDゲート140)を付加する必要があり、更に、この論理回路を安定して動作させるために別電源(15V)を用意する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、1個の入力ポートで2系統の電圧監視が可能なリセット回路を、監視する電源以外の電源を用いずに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために本発明のリセット回路は、出力端からリセット信号を出力するリセット回路であって
、第1の電源と、前記第1の電源に入力端が接続された第1のリセット回路と、第2の電源と、前記第2の電源に入力端が接続された第2のリセット回路と、前記第1の電源に一端が接続された第1の抵抗と、前記第2の電源に一端が接続された第2の抵抗と、エミッタに、前記第1のリセット回路の出力端と前記第1の抵抗の他端と前記出力端が接続され、ベースに、前記第2のリセット回路の出力端と前記第2の抵抗の他端とが接続され、コレクタが接地されたPNPトランジスタと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、1個の入力ポートで安定して2系統の電圧監視が可能なリセット回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態に係るリセット回路の構成を示すブロック図である。
【
図2】従来例1のリセット回路の構成を示すブロック図である。
【
図3】従来例2のリセット回路の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態という)について詳細に説明する。なお、本実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0009】
(実施形態の構成)
図1は、本実施形態に係るリセット回路10の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るリセット回路10は、リセットIC11(第1のリセット回路),リセットIC12(第2のリセット回路)と、抵抗R1,R2,RBと、PNPトランジスタ(以下、単にTR1という)と、を含み構成される。
【0010】
リセットIC11は、3.3V電源(第1の電源)で駆動されるオープンドレイン(オーブンコレクタ)の出力端子を有するICであり、3.3V電源が所定電圧以下になったときにLowレベルのリセット信号を生成して
リセット回路10の出力端P0からマイコン13の入力ポートP1に出力する。その結果、マイコン13はリセットされる。リセットIC12も同様、オープンドレインの出力端子を有するICであり、5.0V電源(第2の電源)で駆動され、この5.0V電源が所定電圧以下になった場合にLowレベルのリセット信号を生成して
リセット回路10の出力端P0からマイコン13の入力ポートP1に出力する。その結果、マイコン13はリセットされる。
【0011】
被リセット回路であるマイコン13は、内蔵のメモリに記録されたプログラムにしたがい演算処理を行うとともに、図示を省略した周辺LSI等を制御する。ここでは、リセットIC11,12により生成されるそれぞれのリセット信号を
リセット回路10の出力端P0から1個のポートP1を介して取り込んでリセット処理を行う。
【0012】
抵抗R1は、一端が5.0V電源(第2の電源)に接続され、他端がTR1のベースに接続されるプルアップ抵抗である。抵抗R2は、一端が3.3V電源(第1の電源)に接続され、他端がTR1のエミッタに接続されるプルアップ抵抗である。抵抗RBはリセットIC12の出力端子とTR1のベースの間に接続されるベース抵抗である。
【0013】
TR1は、3.3V電源により動作するリセットIC11出力と、5.0V電源によって動作するリセットIC12出力との干渉防止のために用いられる。エミッタには、上記した抵抗R2の他に、リセットIC11の出力端子と
リセット回路10の出力端P0を介しマイコン13の入力ポートP1とが接続され、ベースには、上記した抵抗R1の他に、リセットIC12の出力端(オープンドレイン)が接続され、更にコレクタが接地されている。
【0014】
(実施形態の動作)
以下、
図1に示す本実施形態に係るリセット回路10の動作について詳細に説明する。
【0015】
まず、リセットIC11の動作から説明する。3.3V(第1の電源)の電圧が所定電圧以下になってリセットIC11が動作すると、マイコン13の1個の入力ポートP1に対するリセット入力がLowレベルになる。このとき、リセットIC12の出力はHighレベルであってTR1のベースに入力されているためTR1は動作せず、したがって、リセットIC12の出力はマイコン13の入力ポートP1に伝わることがなく、その結果、マイコン13の入力ポートP1はLowレベルになりマイコン13はリセットされる。
【0016】
そして、更に、3.3V電源の電圧が低下すると、リセットIC11の動作電圧以下となり出力はハイインピーダンス状態になる。しかし、電圧が低下した3.3Vの電源ラインが抵抗R2を介してマイコン13の入力ポートP1に接続されているため、マイコン13の入力ポートの電位はLowレベルを維持する。よってマイコン13のリセット状態も維持される。このとき、リセットIC12の出力はHighレベルであってベースに供給されているためTR1は動作せず、したがって、リセットIC12の出力はマイコン13の入力ポートP1に伝わらず、その結果、入力ポートP1はLowレベルになる。このため、マイコン13は、入力ポートP1を介してそのLowレベルの信号を取込んでリセット処理を行うことができる。
【0017】
次に、リセットIC12の動作について説明する。5.0V(第2の電源)の電圧が所定電圧以下になってリセットIC12が動作すると、TR1のベースにはLowレベルが入力され、その結果、TR1が動作する。ここで、TR1が動作するとTR1のエミッタの電位はLowレベルになり、マイコン13の入力ポートP1はLowレベルになり、マイコン13はリセットされる。
【0018】
そして、更に5.0V電源の電圧が低下すると、リセットIC12の動作電圧以下となり出力はハイインピーダンス状態になる。ここで、リセットIC12の代わりに、電圧が低下した5.0Vの電源ラインが抵抗R1を介してTR1のベースに接続されているため、TR1のベース電位はLowレベルになり、したがって、TR1は継続して動作し、エミッタの電位はLowレベルを維持する。このとき、リセットIC11の出力はHighレベルであるが、TR1が動作しており、コレクタが接地されていることから、マイコン13の入力ポートP1の電位はLowレベルを維持する。よってマイコン13のリセット状態も維持される。以上5.0V電源と3.3V電源との例示で説明を行なってきたが、本発明はこれに限定されることなく任意の電圧の組み合わせで行うことができる。ただし、リセットIC11に接続される電源の電圧はリセットIC12に接続されている電源の電圧より低い電圧を接続することが推奨される。これはTR1のベース電圧がエミッタ電圧より低いと、電源が正常な状態(リセットがかからないレベルの電圧)でもTR1がオンになってP1のレベルがベース電圧まで下がってしまう可能性があるからである。
【0019】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態に係るリセット回路10によれば、第1の電源(3.3V電源)の電圧が低下して第1のリセット回路(リセットIC11)の出力がハイインピーダンス状態になって動作不能になっても第1の抵抗(R2)により被リセット回路(マイコン13)の入力ポートを第1の電源の電圧と同電位に設定する。また、このとき、PNPトランジスタ(TR1)により、第2のリセット回路出力による干渉を回避することができる。逆に、第2の電圧が低下して第2のリセット回路の出力がハイインピーダンス状態になって動作不能になっても第2の抵抗(R1)により入力ポートを第2の電源の電圧と同電位に設定する。このため、マイコン13の1個の入力ポートP1で安定して2系統の電圧監視が可能になる。したがって、回路規模の縮小、部品実装密度の削減、およびコストダウンが可能になる。
【0020】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0021】
10…リセット回路、11…リセットIC(第1のリセット回路)、12…リセットIC(第2のリセット回路)、13…マイコン(被リセット回路)、TR1…PNPトランジスタ、R1、R2、RB…抵抗