特許第6060925号(P6060925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6060925
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】可変容量型斜板式圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 27/18 20060101AFI20170106BHJP
   F04B 27/12 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   F04B27/18 B
   F04B27/12 B
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-46562(P2014-46562)
(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公開番号】特開2015-169174(P2015-169174A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2015年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆容
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】山下 秀晴
(72)【発明者】
【氏名】本田 和也
(72)【発明者】
【氏名】西井 圭
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−189902(JP,A)
【文献】 特開平04−279776(JP,A)
【文献】 特開平10−141221(JP,A)
【文献】 特開平05−240160(JP,A)
【文献】 特開2010−281289(JP,A)
【文献】 特開昭54−051013(JP,A)
【文献】 特表2003−507627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 27/18
F04B 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入室、吐出室、前記吸入室と連通される斜板室、シリンダボアが形成されたハウジングと、前記ハウジングに回転可能に支持された回転軸と、前記回転軸の回転によって前記斜板室内で回転可能な斜板と、前記回転軸と前記斜板との間に設けられ、前記回転軸の回転軸線に直交する第1の方向に対する前記斜板の傾角の変更を許容するリンク機構と、前記シリンダボアに往復動可能に収納されたピストンと、前記斜板の回転により、前記傾角に応じたストロークで前記ピストンを前記シリンダボア内で往復動させる変換機構と、前記斜板室内に配置され、前記傾角を変更可能なアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御機構とを備え、
前記アクチュエータは、前記回転軸に設けられる区画体と、前記斜板室内で前記回転軸の回転軸線に沿った方向に移動可能な移動体と、前記区画体と前記移動体とにより区画され、前記吐出室からの冷媒を導入することにより前記移動体を移動させる制御圧室と、前記移動体と前記斜板との間における前記斜板の外周側に設けられた連結部材と、を有する可変容量型斜板式圧縮機であって、
前記移動体は、前記連結部材を案内するとともに前記移動体の前記回転軸の回転軸線に沿った方向への移動に伴い前記斜板の傾角を変更させるガイド面と、前記移動体の前記回転軸の回転軸線に沿った方向への移動に伴い前記回転軸上又は前記区画体上を摺動する摺動部とを有し、
前記ガイド面は、前記ガイド面の垂線又は法線と前記回転軸の回転軸線とが交わる点が、前記回転軸の回転軸線が延びる方向に対して直交する方向であって、且つ前記第1の方向に対して直交する方向から見た際に、前記摺動部で囲われる領域内に配置されるように設定されていることを特徴とする可変容量型斜板式圧縮機。
【請求項2】
前記斜板の傾角が最大傾角のときに、前記ガイド面の垂線又は法線と前記回転軸の回転軸線とが交わる点が、前記回転軸の回転軸線が延びる方向に対して直交する方向であって、且つ前記第1の方向に対して直交する方向から見た際に、前記摺動部で囲われる領域内に配置されるように前記ガイド面を設定したことを特徴とする請求項1に記載の可変容量型斜板式圧縮機。
【請求項3】
前記斜板の傾角が最小傾角と最大傾角との間のときに、前記ガイド面の垂線又は法線と前記回転軸の回転軸線とが交わる点が、前記回転軸の回転軸線が延びる方向に対して直交する方向であって、且つ前記第1の方向に対して直交する方向から見た際に、前記摺動部で囲われる領域内に配置されるように前記ガイド面を設定したことを特徴とする請求項1に記載の可変容量型斜板式圧縮機。
【請求項4】
前記斜板の傾角が最小傾角のときに、前記ガイド面の垂線又は法線と前記回転軸の回転軸線とが交わる点が、前記回転軸の回転軸線が延びる方向に対して直交する方向であって、且つ前記第1の方向に対して直交する方向から見た際に、前記摺動部で囲われる領域内に配置されるように前記ガイド面を設定したことを特徴とする請求項1に記載の可変容量型斜板式圧縮機。
【請求項5】
前記ガイド面は平面部を備え、
前記ガイド面の垂線と前記回転軸の回転軸線とが交わる点が、前記回転軸の回転軸線が延びる方向に対して直交する方向であって、且つ前記第1の方向に対して直交する方向から見た際に、前記摺動部で囲われる領域内に配置されるように前記平面部を設定したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の可変容量型斜板式圧縮機。
【請求項6】
前記ガイド面は曲面部を備え、
前記ガイド面の法線と前記回転軸の回転軸線とが交わる点が、前記回転軸の回転軸線が延びる方向に対して直交する方向であって、且つ前記第1の方向に対して直交する方向から見た際に、前記摺動部で囲われる領域内に配置されるように前記曲面部を設定したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の可変容量型斜板式圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変容量型斜板式圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のものとして、斜板の傾角を変更させるために、回転軸の軸方向に沿って移動する移動体を有するものが、例えば特許文献1に開示されている。移動体は、ハウジング内に形成された制御圧室に制御ガスが導入されることに伴い、制御圧室の内部の圧力が変更されることで、回転軸の軸方向に移動可能になっている。そして、移動体における回転軸の軸方向への移動に伴って、移動体から斜板の中央部に斜板の傾角の変更を生じさせる力が伝達されることで、斜板の傾角が変更されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭52−131204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のように、斜板の傾角の変更を生じさせる力を、移動体から斜板の中央部に伝達させる構成では、斜板の傾角を変更させるために大きな力が必要となる。そこで、例えば、斜板の傾角の変更を生じさせる力を、移動体から斜板の外周側に伝達させることが考えられる。これによれば、斜板の傾角の変更を生じさせる力を、移動体から斜板の中央部に伝達させる場合に比べると、小さな力で斜板の傾角の変更を行うことができるため、斜板の傾角の変更に必要な制御圧室に導入される制御ガスの流量を少なくすることができる。
【0005】
しかしながら、斜板の傾角の変更を生じさせる力を、移動体から斜板の外周側に伝達させる構成では、斜板の傾角の変更に伴い、移動体を移動方向に対して傾かせるモーメントが移動体に作用してしまう。移動体が移動方向に対して傾いてしまうと、移動体と回転軸との間で、移動体と回転軸との接触点が回転軸を挟んだ両側の2点で接触した状態で、移動体の傾きを支えるために発生する力が各接触点において発生し、その力による摩擦力で、移動体と回転軸との間にこじりが発生する。このこじりによって摺動抵抗が増大する等して、移動体が回転軸の軸方向にスムーズに移動し難くなってしまう。その結果、斜板の傾角の変更をスムーズに行うことができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、斜板の傾角の変更をスムーズに行うことができる可変容量型斜板式圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する可変容量型斜板式圧縮機は、吸入室、吐出室、前記吸入室と連通される斜板室、シリンダボアが形成されたハウジングと、前記ハウジングに回転可能に支持された回転軸と、前記回転軸の回転によって前記斜板室内で回転可能な斜板と、前記回転軸と前記斜板との間に設けられ、前記回転軸の回転軸線に直交する第1の方向に対する前記斜板の傾角の変更を許容するリンク機構と、前記シリンダボアに往復動可能に収納されたピストンと、前記斜板の回転により、前記傾角に応じたストロークで前記ピストンを前記シリンダボア内で往復動させる変換機構と、前記斜板室内に配置され、前記傾角を変更可能なアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御機構とを備え、前記アクチュエータは、前記回転軸に設けられる区画体と、前記斜板室内で前記回転軸の回転軸線に沿った方向に移動可能な移動体と、前記区画体と前記移動体とにより区画され、前記吐出室からの冷媒を導入することにより前記移動体を移動させる制御圧室と、前記移動体と前記斜板との間における前記斜板の外周側に設けられた連結部材と、を有する可変容量型斜板式圧縮機であって、前記移動体は、前記連結部材を案内するとともに前記移動体の前記回転軸の回転軸線に沿った方向への移動に伴い前記斜板の傾角を変更させるガイド面と、前記移動体の前記回転軸の回転軸線に沿った方向への移動に伴い前記回転軸上又は前記区画体上を摺動する摺動部とを有し、前記ガイド面は、前記ガイド面の垂線又は法線と前記回転軸の回転軸線とが交わる点が、前記回転軸の回転軸線が延びる方向に対して直交する方向であって、且つ前記第1の方向に対して直交する方向から見た際に、前記摺動部で囲われる領域内に配置されるように設定されている。
【0008】
これによれば、斜板の傾角の変更に伴い、ガイド面の垂線又は法線(ガイド面における連結部材から移動体に作用する力)と、回転軸の回転軸線との交点を、回転軸の軸方向において、摺動部で囲われる領域内に配置することができる。このとき、ガイド面における連結部材から移動体に作用する力と、制御圧室の圧力による移動体を回転軸の軸方向に移動させる力との合力は、交点を含む垂直線上に発生し、この合力と釣り合う逆向きの力も、この垂直線上に発生する。その結果、移動体に加わる全ての力が、交点を含む垂直線上に発生して釣り合うため、移動体には、移動体を移動方向に対して傾かせるモーメントが発生しない。よって、斜板の傾角の変更をスムーズに行うことができる。
【0009】
上記可変容量型斜板式圧縮機において、前記斜板の傾角が最大傾角のときに、前記ガイド面の垂線又は法線と前記回転軸の回転軸線とが交わる点が、前記回転軸の回転軸線が延びる方向に対して直交する方向であって、且つ前記第1の方向に対して直交する方向から見た際に、前記摺動部で囲われる領域内に配置されるように前記ガイド面を設定したことが好ましい。
【0010】
これによれば、移動体に発生する駆動力が最も大きくなる最大傾角のときに、移動体を移動方向に対して傾かせるモーメントが発生しない。よって、斜板の傾角を最大傾角に変更させ易くすることができる。また、最大傾角からの斜板の傾角の減少をスムーズに行うことができる。
【0011】
上記可変容量型斜板式圧縮機において、前記斜板の傾角が最小傾角と最大傾角との間のときに、前記ガイド面の垂線又は法線と前記回転軸の回転軸線とが交わる点が、前記回転軸の回転軸線が延びる方向に対して直交する方向であって、且つ前記第1の方向に対して直交する方向から見た際に、前記摺動部で囲われる領域内に配置されるように前記ガイド面を設定したことが好ましい。
【0012】
これによれば、可変容量型斜板式圧縮機において、最も使用頻度が高い最小傾角と最大傾角との間で、移動体の動きをスムーズにすることができる。よって、制御圧室に導入される冷媒の流量の制御を簡素なものとすることができる。
【0013】
上記可変容量型斜板式圧縮機において、前記斜板の傾角が最小傾角のときに、前記ガイド面の垂線又は法線と前記回転軸の回転軸線とが交わる点が、前記回転軸の回転軸線が延びる方向に対して直交する方向であって、且つ前記第1の方向に対して直交する方向から見た際に、前記摺動部で囲われる領域内に配置されるように前記ガイド面を設定したことが好ましい。
【0014】
これによれば、斜板の傾角が最小傾角のときに、移動体を移動方向に対して傾かせるモーメントが発生しないため、可変容量型斜板式圧縮機の起動時において、斜板の傾角の増大をスムーズに行うことができる。
【0015】
上記可変容量型斜板式圧縮機において、前記ガイド面は平面部を備え、前記ガイド面の垂線と前記回転軸の回転軸線とが交わる点が、前記回転軸の回転軸線が延びる方向に対して直交する方向であって、且つ前記第1の方向に対して直交する方向から見た際に、前記摺動部で囲われる領域内に配置されるように前記平面部を設定したことが好ましい。
【0016】
これによれば、ガイド面の形状を簡素な形状とすることができる。よって、移動体を移動方向に対して傾かせるモーメントを抑制するために、ガイド面の形状を複雑化する必要が無いため、生産性を向上させることができる。
【0017】
上記可変容量型斜板式圧縮機において、前記ガイド面は曲面部を備え、前記ガイド面の法線と前記回転軸の回転軸線とが交わる点が、前記回転軸の回転軸線が延びる方向に対して直交する方向であって、且つ前記第1の方向に対して直交する方向から見た際に、前記摺動部で囲われる領域内に配置されるように前記曲面部を設定したことが好ましい。
【0018】
これによれば、斜板の傾角が変更されても、連結部材が曲面部に案内されているときには、交点が、回転軸の軸方向において、回転軸と移動体との摺動部分である摺動部で囲われる領域外に配置され難くなる。よって、斜板の傾角が変更されても、移動体を移動方向に対して傾かせるモーメントが抑制され易くなり、斜板の傾角の変更をさらにスムーズに行い易くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、斜板の傾角の変更をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態における可変容量型斜板式圧縮機を示す側断面図。
図2】制御圧室、圧力調整室、吸入室、及び吐出室の関係を示す模式図。
図3】連結ピン周辺を拡大して示す側断面図。
図4】斜板の傾角が最小傾角のときの可変容量型斜板式圧縮機を示す側断面図。
図5】別の実施形態における連結ピン周辺を拡大して示す側断面図。
図6】別の実施形態における連結ピン周辺を拡大して示す側断面図。
図7】別の実施形態における連結ピン周辺を拡大して示す側断面図。
図8】別の実施形態における連結ピン周辺を拡大して示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、可変容量型斜板式圧縮機を具体化した一実施形態を図1図4にしたがって説明する。なお、可変容量型斜板式圧縮機は車両空調装置に用いられる。
図1に示すように、可変容量型斜板式圧縮機10のハウジング11は、互いに接合された第1シリンダブロック12及び第2シリンダブロック13と、前方側(一方側)の第1シリンダブロック12に接合されたフロントハウジング14と、後方側(他方側)の第2シリンダブロック13に接合されたリヤハウジング15とから構成されている。
【0022】
フロントハウジング14と第1シリンダブロック12との間には、第1弁・ポート形成体16が介在されている。また、リヤハウジング15と第2シリンダブロック13との間には、第2弁・ポート形成体17が介在されている。
【0023】
フロントハウジング14と第1弁・ポート形成体16との間には、吸入室14a及び吐出室14bが区画されている。吐出室14bは吸入室14aの外周側に配置されている。また、リヤハウジング15と第2弁・ポート形成体17との間には、吸入室15a及び吐出室15bが区画されている。さらに、リヤハウジング15には、圧力調整室15cが形成されている。圧力調整室15cは、リヤハウジング15の中央部に位置しており、吸入室15aは、圧力調整室15cの外周側に配置されている。さらに、吐出室15bは吸入室15aの外周側に配置されている。各吐出室14b,15b同士は、図示しない吐出通路を介して接続されている。そして、吐出通路は図示しない外部冷媒回路に接続されている。各吐出室14b,15bは吐出圧領域となっている。
【0024】
第1弁・ポート形成体16には、吸入室14aに連通する吸入ポート16a、及び吐出室14bに連通する吐出ポート16bが形成されている。第2弁・ポート形成体17には、吸入室15aに連通する吸入ポート17a、及び吐出室15bに連通する吐出ポート17bが形成されている。各吸入ポート16a,17aには、図示しない吸入弁機構が設けられるとともに、各吐出ポート16b,17bには、図示しない吐出弁機構が設けられている。
【0025】
ハウジング11内には回転軸21が回転可能に支持されている。回転軸21において、回転軸線Lが延びる方向(回転軸21の軸方向)に沿った一端側であり、ハウジング11の前方側(一方側)に位置する前端部側は、第1シリンダブロック12に貫設された軸孔12hに挿通されている。そして、回転軸21の前端は、フロントハウジング14内に位置している。また、回転軸21において、回転軸線Lが延びる方向に沿った他端側であり、ハウジング11の後方側(他方側)に位置する後端部側は、第2シリンダブロック13に貫設された軸孔13hに挿通されている。そして、回転軸21の後端は、圧力調整室15c内に位置している。
【0026】
回転軸21は、その前端部側が軸孔12hを介して第1シリンダブロック12に回転可能に支持されるとともに、後端部側が軸孔13hを介して第2シリンダブロック13に回転可能に支持されている。フロントハウジング14と回転軸21との間にはリップシール型の軸封装置22が介在されている。回転軸21の前端には、図示しない動力伝達機構を介して外部駆動源としての車両のエンジンが作動連結されている。本実施形態では、動力伝達機構は、常時伝達型のクラッチレス機構(例えばベルト及びプーリの組合せ)である。
【0027】
ハウジング11内には、第1シリンダブロック12及び第2シリンダブロック13により区画された斜板室24が形成されている。斜板室24には、回転軸21から駆動力を得て回転するとともに、回転軸21に対して軸方向へ傾動可能な斜板23が収容されている。斜板23には、回転軸21が通過可能な貫挿孔23aが形成されている。そして、回転軸21が貫挿孔23aを通過することにより、斜板23が回転軸21に取り付けられている。
【0028】
第1シリンダブロック12には、第1シリンダブロック12の軸方向に貫通形成されるシリンダボアとしての第1シリンダボア12aが回転軸21の周囲に複数(図1では1つの第1シリンダボア12aのみ図示)配列されている。各第1シリンダボア12aは、吸入ポート16aを介して吸入室14aに連通するとともに、吐出ポート16bを介して吐出室14bに連通している。第2シリンダブロック13には、第2シリンダブロック13の軸方向に貫通形成されるシリンダボアとしての第2シリンダボア13aが回転軸21の周囲に複数(図1では1つの第2シリンダボア13aのみ図示)配列されている。各第2シリンダボア13aは、吸入ポート17aを介して吸入室15aに連通するとともに、吐出ポート17bを介して吐出室15bに連通している。第1シリンダボア12a及び第2シリンダボア13aは、前後で対となるように配置されている。対となる第1シリンダボア12a及び第2シリンダボア13a内には、ピストンとしての両頭ピストン25が前後方向へ往復動可能にそれぞれ収納されている。すなわち、本実施形態の可変容量型斜板式圧縮機10は両頭ピストン型斜板式圧縮機である。
【0029】
各両頭ピストン25は、一対のシュー26を介して斜板23の外周部に係留されている。そして、回転軸21の回転に伴う斜板23の回転運動が、シュー26を介して両頭ピストン25の往復直線運動に変換される。よって、一対のシュー26は、斜板23の回転により、両頭ピストン25を、対となる第1シリンダボア12a及び第2シリンダボア13a内で往復動させる変換機構である。各第1シリンダボア12a内には、両頭ピストン25と第1弁・ポート形成体16とによって第1圧縮室20aが区画されている。各第2シリンダボア13a内には、両頭ピストン25と第2弁・ポート形成体17とによって第2圧縮室20bが区画されている。
【0030】
第1シリンダブロック12には、軸孔12hに連続するとともに軸孔12hよりも大径である第1大径孔12bが形成されている。第1大径孔12bは、斜板室24に連通している。斜板室24と吸入室14aとは、第1シリンダブロック12及び第1弁・ポート形成体16を貫通する吸入通路12cにより連通している。
【0031】
第2シリンダブロック13には、軸孔13hに連続するとともに軸孔13hよりも大径である第2大径孔13bが形成されている。第2大径孔13bは、斜板室24に連通している。斜板室24と吸入室15aとは、第2シリンダブロック13及び第2弁・ポート形成体17を貫通する吸入通路13cにより連通している。
【0032】
第2シリンダブロック13の周壁には吸入口13sが形成されている。吸入口13sは外部冷媒回路に接続されている。そして、外部冷媒回路から吸入口13sを介して斜板室24に吸入された冷媒ガスは、吸入通路12c,13cを介して吸入室14a,15aに吸入される。よって、吸入室14a,15a及び斜板室24は、吸入圧領域となっており、圧力がほぼ等しくなっている。
【0033】
回転軸21には、第1大径孔12b内に配置される環状のフランジ部21fが突設されている。回転軸21の軸方向において、フランジ部21fと第1シリンダブロック12との間には第1スラスト軸受27aが配設されている。また、回転軸21における後端側には、円筒状の支持部材39が圧入されている。支持部材39の外周面からは、第2大径孔13b内に配置される環状のフランジ部39fが突設されている。回転軸21の軸方向において、フランジ部39fと第2シリンダブロック13との間には第2スラスト軸受27bが配設されている。
【0034】
斜板室24内には、斜板23における回転軸21の回転軸線Lに直交する第1の方向(図1における上下方向)に対する斜板23の傾角を変更可能なアクチュエータ30を備える。アクチュエータ30は、回転軸21におけるフランジ部21fよりも後方側であって、且つ斜板23よりも前方側に設けられるとともに、回転軸21と一体回転可能な環状の区画体31を有する。また、アクチュエータ30は、フランジ部21fと区画体31との間に配置されるとともに斜板室24内で回転軸21の軸方向に移動可能な有底円筒状の移動体32を有する。
【0035】
移動体32は、回転軸21が貫挿される貫挿孔32eを有する円環状の底部32aと、底部32aの外周縁から回転軸21の軸方向に沿って延びる円筒部32bとから形成されている。円筒部32bの内周面は、区画体31の外周縁に対して摺動可能になっている。これにより、移動体32は、区画体31を介して回転軸21と一体回転可能になっている。円筒部32bの内周面と区画体31の外周縁との間はシール部材33によりシールされるとともに、貫挿孔32eと回転軸21との間はシール部材34によりシールされている。そして、アクチュエータ30は、区画体31と移動体32とにより区画される制御圧室35を有する。
【0036】
回転軸21には、回転軸21の軸方向に沿って延びる第1軸内通路21aが形成されている。第1軸内通路21aの後端は、圧力調整室15cに開口している。さらに、回転軸21には、回転軸21の径方向に沿って延びる第2軸内通路21bが形成されている。第2軸内通路21bの一端は第1軸内通路21aの先端に連通するとともに、他端は制御圧室35に開口している。よって、制御圧室35と圧力調整室15cとは、第1軸内通路21a及び第2軸内通路21bを介して連通している。
【0037】
図2に示すように、圧力調整室15cと吸入室15aとは抽気通路36を介して連通している。抽気通路36にはオリフィス36aが設けられており、抽気通路36を流れる冷媒ガスの流量がオリフィス36aにより絞られる。また、圧力調整室15cと吐出室15bとは給気通路37を介して連通している。給気通路37上には、アクチュエータ30を制御する制御機構としての電磁式の制御弁37sが設けられている。制御弁37sは、吸入室15aの圧力に基づき給気通路37の開度を調整することが可能になっている。そして、制御弁37sにより、給気通路37を流れる冷媒ガスの流量が調整される。
【0038】
吐出室15bから給気通路37、圧力調整室15c、第1軸内通路21a、及び第2軸内通路21bを介した制御圧室35への冷媒ガスの導入と、制御圧室35から第2軸内通路21b、第1軸内通路21a、圧力調整室15c、及び抽気通路36を介した吸入室15aへの排出が行われることにより、制御圧室35の内部の圧力が変更される。そして、制御圧室35と斜板室24との圧力差に伴って移動体32が区画体31に対して回転軸21の軸方向に移動するようになっている。よって、制御圧室35に導入される冷媒ガスは、移動体32の移動制御を行うために用いられる制御ガスである。
【0039】
図1に示すように、斜板室24内において、斜板23とフランジ部39fとの間には、斜板23の傾角の変更を許容するリンク機構であるラグアーム40が配設されている。ラグアーム40は一端から他端に向かって略L字形状に形成されている。ラグアーム40の一端にはウェイト部40wが形成されている。ウェイト部40wは、斜板23の溝部23bを通過して斜板23の前面側に位置している。
【0040】
ラグアーム40の一端側は、溝部23b内を横切る円柱状の第1ピン41によって斜板23の上端側(図1における上側)に連結されている。これにより、ラグアーム40の一端側は、第1ピン41の軸心を第1揺動中心M1として、斜板23に対して第1揺動中心M1周りで揺動可能に支持されている。ラグアーム40の他端側は、円柱状の第2ピン42によって支持部材39に連結されている。これにより、ラグアーム40の他端側は、第2ピン42の軸心を第2揺動中心M2として、支持部材39に対して第2揺動中心M2周りで揺動可能に支持されている。
【0041】
移動体32の円筒部32bの先端には、斜板23側に向けて突出する連結部32cが設けられている。連結部32cには、円柱状の連結ピン43が挿通可能な長孔形状の挿通孔32hが形成されている。また、斜板23の外周側である下端側(図1における下側)には、連結部材としての連結ピン43が設けられている。連結ピン43は、斜板23の下端側に圧入固定されている。そして、連結部32cは、連結ピン43を介して斜板23の下端側に連結されている。連結ピン43は、挿通孔32hにスライド移動可能に保持されている。
【0042】
図3に示すように、挿通孔32hは、連結ピン43を案内するとともに移動体32の回転軸21の軸方向への移動に伴い斜板23の傾角を変更させるガイド面44を有する。ガイド面44は、挿通孔32hにおける移動体32とは反対側に位置する。さらに、ガイド面44は、移動体32の移動方向(回転軸21の軸方向)に対して傾斜する平面部44aを有する。平面部44aは、移動体32から離間するにつれて回転軸21の回転軸線Lに近づくように直線状に延びている。
【0043】
また、移動体32は、移動体32の回転軸21の軸方向への移動に伴い回転軸21上を摺動する摺動部32sを有する。本実施形態では、摺動部32sは、底部32aの貫挿孔32eの内周面であり、回転軸21の軸方向に沿って延びている。
【0044】
ここで、斜板23の傾角の変更に伴い、平面部44aの垂線L1(平面部44aにおける連結ピン43から移動体32に作用する力F1)が回転軸21の回転軸線Lと交わる点を交点P1とする。そして、斜板23の傾角が最大傾角のときに、交点P1の位置が、回転軸21の回転軸線Lが延びる方向に対して直交する方向であって、且つ第1の方向に対して直交する方向(図3における紙面の奥行方向)から見た際に、摺動部32sで囲われる領域Z1内に配置されるように、平面部44aの傾きθ1が設定されている。傾きθ1は、回転軸21の軸方向に対して直交する方向に対する傾きである。また、領域Z1は、回転軸21の軸方向において、摺動部32sが延びる領域であり、図3においてドットハッチングで示した領域である。
【0045】
上記構成の可変容量型斜板式圧縮機10において、制御弁37sにおける弁開度を減少させると、吐出室15bから給気通路37、圧力調整室15c、第1軸内通路21a、及び第2軸内通路21bを介して制御圧室35へ導入される冷媒ガスの流量が少なくなる。そして、制御圧室35から第2軸内通路21b、第1軸内通路21a、圧力調整室15c、及び抽気通路36を介して冷媒ガスが吸入室15aへ排出されることにより、制御圧室35の圧力が吸入室15aの圧力とほぼ等しくなる。よって、制御圧室35と斜板室24との圧力差が少なくなることで、斜板23に作用する両頭ピストン25からの圧縮反力によって、斜板23が連結ピン43を介して移動体32を牽引し、移動体32の底部32aが区画体31に近づくように移動体32が移動する。
【0046】
図4に示すように、移動体32の底部32aが区画体31に近づくように移動体32が移動すると、連結ピン43が、挿通孔32hの内側でスライド移動するとともに、斜板23が第1揺動中心M1周りで揺動する。この斜板23における第1揺動中心M1周りの揺動に伴って、ラグアーム40が第2揺動中心M2周りで揺動し、ラグアーム40がフランジ部39fに接近する。これにより、斜板23の傾角が小さくなり、両頭ピストン25のストロークが小さくなって吐出容量が減る。
【0047】
制御弁37sにおける弁開度を増大させると、吐出室15bから給気通路37、圧力調整室15c、第1軸内通路21a、及び第2軸内通路21bを介して制御圧室35へ導入される冷媒ガスの流量が多くなる。このため、制御圧室35の圧力が吐出室15bの圧力とほぼ等しくなる。よって、制御圧室35と斜板室24との圧力差が大きくなることで、移動体32が連結ピン43を介して斜板23を牽引しながら、移動体32の底部32aが区画体31から離間するように移動する。
【0048】
図1に示すように、移動体32の底部32aが区画体31から離間するように移動体32が移動すると、連結ピン43が、挿通孔32hの内側でスライド移動するとともに、斜板23が第1揺動中心M1周りで、斜板23の傾角減少時の揺動方向とは逆方向に揺動する。この斜板23の第1揺動中心M1周りでの斜板23の傾角減少時の揺動方向とは逆方向の揺動に伴って、ラグアーム40が第2揺動中心M2周りで、斜板23の傾角減少時の揺動方向とは逆方向に揺動し、ラグアーム40がフランジ部39fから離間する。これにより、斜板23の傾角が大きくなり、両頭ピストン25のストロークが大きくなって吐出容量が増える。
【0049】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図3に示すように、斜板23の傾角の変更に伴い、交点P1が、回転軸21の軸方向において、回転軸21と移動体32との摺動部分である摺動部32sで囲われる領域Z1内に配置される。このとき、平面部44aにおける連結ピン43から移動体32に作用する力F1と、制御圧室35の圧力による移動体32を回転軸21の軸方向に移動させる力F2との合力F3は、交点P1を含む垂直線L2上に発生し、この合力F3と釣り合う逆向きの力F4も、この垂直線L2上に発生する。その結果、移動体32に加わる全ての力が、交点P1を含む垂直線L2上に発生して釣り合うため、移動体32には、移動体32を移動方向に対して傾かせるモーメントが発生しない。よって、斜板23の傾角の変更がスムーズに行われる。
【0050】
斜板23の傾角が最大傾角のときに、交点P1が、摺動部32sで囲われる領域Z1内に配置されるように平面部44aが設定されている。よって、移動体32に発生する駆動力が最も大きくなる最大傾角のときに、移動体32を移動方向に対して傾かせるモーメントが発生しない。その結果、斜板23の傾角が最大傾角に変更させ易くなる。また、最大傾角からの斜板23の傾角の減少がスムーズに行われる。
【0051】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)平面部44aを、平面部44aの垂線L1と回転軸21の回転軸線Lとが、回転軸21の回転軸線Lが延びる方向に対して直交する方向であって、且つ第1の方向に対して直交する方向から見た際に、摺動部32sで囲われる領域Z1内で交わるように設定した。これによれば、斜板23の傾角の変更に伴い、平面部44aの垂線L1(平面部44aにおける連結ピン43から移動体32に作用する力F1)と、回転軸21の回転軸線Lとの交点P1を、回転軸21の軸方向において、回転軸21と移動体32との摺動部分である摺動部32sで囲われる領域Z1内に配置することができる。このとき、平面部44aにおける連結ピン43から移動体32に作用する力F1と、制御圧室35の圧力による移動体32を回転軸21の軸方向に移動させる力F2との合力F3は、交点P1を含む垂直線L2上に発生し、この合力F3と釣り合う逆向きの力F4も、この垂直線L2上に発生する。その結果、移動体32に加わる全ての力が、交点P1を含む垂直線L2上に発生して釣り合うため、移動体32には、移動体32を移動方向に対して傾かせるモーメントが発生しない。よって、斜板23の傾角の変更をスムーズに行うことができる。
【0052】
(2)斜板23の傾角が最大傾角のときに、交点P1が、摺動部32sで囲われる領域Z1内に配置されるように平面部44aを設定した。これによれば、移動体32に発生する駆動力が最も大きくなる最大傾角のときに、移動体32を移動方向に対して傾かせるモーメントが発生しない。よって、斜板23の傾角を最大傾角に変更させ易くすることができる。また、最大傾角からの斜板23の傾角の減少をスムーズに行うことができる。
【0053】
(3)ガイド面44は、移動体32の移動方向に対して傾斜する平面部44aを有する。これによれば、ガイド面44の形状を簡素な形状とすることができる。よって、移動体32を移動方向に対して傾かせるモーメントを抑制するために、ガイド面44の形状を複雑化する必要が無いため、生産性を向上させることができる。
【0054】
(4)両頭ピストン25を採用した両頭ピストン型斜板式圧縮機においては、片頭ピストンを有する可変容量型斜板式圧縮機のように、斜板23の傾角を変更するために斜板室24を制御圧室として機能させることができない。そこで、本実施形態では、移動体32により区画される制御圧室35の圧力を変更することで、斜板23の傾角を変更している。制御圧室35は、斜板室24に比べて小さい空間であるため、制御圧室35の内部に導入される冷媒ガスの量が少なくて済み、斜板23の傾角の変更の応答性が良い。そして、本実施形態によれば、斜板23の傾角の変更をスムーズに行うことができるため、制御圧室35の内部に導入される冷媒ガスの量が無駄に多くなってしまうことを抑制することができる。
【0055】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図5に示すように、斜板23の傾角が最小傾角と最大傾角との間のときに、交点P1が、摺動部32sで囲われた領域Z1内に配置されるように平面部44aを設定してもよい。これによれば、可変容量型斜板式圧縮機10において、最も使用頻度が高い最小傾角と最大傾角との間で、移動体32の動きをスムーズにすることができる。よって、制御圧室35に導入される冷媒ガスの流量の制御を簡素なものとすることができる。
【0056】
図6に示すように、斜板23の傾角が最小傾角のときに、交点P1が、摺動部32sで囲われた領域Z1内に配置されるように平面部44aを設定してもよい。これによれば、斜板23の傾角が最小傾角のときに、移動体32を移動方向に対して傾かせるモーメントが発生しないため、可変容量型斜板式圧縮機10の起動時において、斜板23の傾角の増大をスムーズに行うことができる。
【0057】
図7に示すように、ガイド面44は曲面部44bを有していてもよい。曲面部44bは、連結ピン43と接触するとともに回転軸21の回転軸線L上に位置する点を中心とした円弧形状である。曲面部44bは、回転軸21の回転軸線L上に位置する点を中心とした仮想円R1上を通過している。斜板23の傾角の変更に伴い、曲面部44bの法線L3(曲面部44bにおける連結ピン43から移動体32に作用する力F1)と、回転軸21の回転軸線Lとが交わる交点P2は、摺動部32sで囲われる領域Z1内に配置されている。そして、交点P2は、仮想円R1の中心点と一致する。すなわち、曲面部44bは、交点P2を中心とした円弧形状になっている。これによれば、斜板23の傾角が変更されても、連結ピン43が曲面部44bに案内されているときには、交点P2が、回転軸21の軸方向において、回転軸21と移動体32との摺動部分である摺動部32sで囲われる領域Z1外に配置され難くなる。よって、斜板23の傾角が変更されても、移動体32を移動方向に対して傾かせるモーメントが抑制され易くなり、斜板23の傾角の変更をさらにスムーズに行い易くすることができる。
【0058】
図8に示すように、斜板23の傾角が最小傾角のときに、交点P1が、移動体32の回転軸21の軸方向への移動に伴い区画体31上を摺動する摺動部32Sで囲われた領域Z2内に配置されるように平面部44aを設定してもよい。なお、斜板23の傾角が最大傾角のときに、交点P1が、移動体32の回転軸21の軸方向への移動に伴い区画体31上を摺動する摺動部32Sで囲われた領域Z2内に配置されるように平面部44aを設定してもよい。さらには、斜板23の傾角が最小傾角と最大傾角との間のときに、交点P1が、移動体32の回転軸21の軸方向への移動に伴い区画体31上を摺動する摺動部32Sで囲われた領域Z2内に配置されるように平面部44aを設定してもよい。
【0059】
○ 実施形態において、ガイド面44は、平面部44aと曲面部44bとを組み合わせたカム面を有していてもよい。
○ 実施形態において、連結部32cには、挿通孔32hに代えて、例えば、連結ピン43が挿通可能な溝が形成されていてもよい。
【0060】
○ 実施形態において、連結ピン43は、斜板23の下端側に対してねじ止めにより固定されていてもよい。
○ 実施形態において、連結ピン43は、斜板23の下端側に固定されていなくてもよく、例えば、斜板23の下端側に形成された挿入孔に挿入されて、挿入孔にスライド可能に保持されていてもよい。
【0061】
○ 実施形態において、圧力調整室15cと吐出室15bとを連通する給気通路37にオリフィスが設けられており、圧力調整室15cと吸入室15aとを連通する抽気通路36上に電磁式の制御弁37sが設けられている構成であってもよい。
【0062】
○ 実施形態において、可変容量型斜板式圧縮機10は、両頭ピストン25を採用した両頭ピストン型斜板式圧縮機であったが、片頭ピストンを採用した片頭ピストン型斜板式圧縮機であってもよい。
【0063】
○ 実施形態において、クラッチを介して外部駆動源から駆動力を得るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10…可変容量型斜板式圧縮機、11…ハウジング、12a…シリンダボアとしての第1シリンダボア、13a…シリンダボアとしての第2シリンダボア、14a,15a…吸入室、14b,15b…吐出室、21…回転軸、23…斜板、24…斜板室、25…ピストンとしての両頭ピストン、26…変換機構としてのシュー、30…アクチュエータ、31…区画体、32…移動体、32s,32S…摺動部、35…制御圧室、37s…制御機構としての制御弁、40…リンク機構であるラグアーム、43…連結部材としての連結ピン、44…ガイド面、44a…平面部、44b…曲面部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8