(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一状態及び前記第二状態の少なくとも一方において前記可動留具が占める領域と、前記通気口が設けられている領域とが、前記可動留具の移動経路に沿う方向において互いに重複している、請求項1〜7のいずれか一項記載の電力変換装置。
前記収容部は、前記可動留具の少なくとも一部が前記第二状態において前記収容部外に位置し、前記第一状態において前記収容部内に位置するように構成されている、請求項1〜8のいずれか一項記載の電力変換装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
1.端子台
まず、本実施形態に係る端子台について説明する。端子台は、導電部材を接続するための少なくとも一つの端子を有し、例えば電気機器の入出力ポートの構成要素として利用可能である。本実施形態に係る端子台は、少なくとも端子と、可動留具と、収容部と、通気口とを備える。可動留具は、導電部材を前記端子に接した状態に保持する第一状態と、当該導電部材を解放する第二状態とを、移動により切り替える。収容部は、第一状態及び第二状態の少なくとも一方において、可動留具の少なくとも一部を収容する。通気口は、収容部に設けられている。
【0011】
(1)端子台の具体的構成例
以下、
図1〜3を参照し、本実施形態に係る端子台1の具体的な構成例を示す。端子台1は、端子10と、可動留具20と、スクリュー30と、ケース40とを有する。各要素の配置関係の説明においては、第一方向D1と、第一方向D1に交差(例えば直交)する第二方向D2と、第一方向D1及び第二方向D2に交差(例えば直交)する第三方向D3とを用いる。各図においては、X軸に沿う方向が第一方向D1であり、Z軸に沿う方向が第二方向D2であり、Y軸に沿う方向が第三方向D3である。
【0012】
端子10は、例えば電線の芯線等の導電部材CD1を接続するための要素であり、金属等の導電性の材料により構成されている。一例として、端子10は、第一方向D1に交差(例えば直交)した板状体であり、第二方向D2に沿って延びている。
【0013】
可動留具20は、導電部材CD1を端子10に接した状態に保持する第一状態と、当該導電部材CD1を解放する第二状態とを、移動により切り替える。可動留具20の移動経路MR1は、第一方向D1に沿っている。可動留具20は、金属等の導電性の材料により構成されていてもよい。
【0014】
一例として、可動留具20は、第一部分21と、第二部分22と、第三部分23と、第四部分24とを有する。第一部分21は、第一方向D1の一方側(例えばX軸正側)から端子10に対向し、第二部分22は第一部分21の逆側から端子10に対向する。第一部分21は、後述のスクリュー30をねじ込むための貫通した雌ねじ孔25を有する。第三部分23は、第三方向D3の一方側(例えばY軸正側)から端子10に対向し、その両端部は第一部分21及び第二部分22にそれぞれ接続されている。第四部分24は、第三部分23の逆側から端子10に対向し、その両端部は第一部分21及び第二部分22にそれぞれ接続されている。
【0015】
以上の接続関係により、第一部分21、第二部分22、第三部分23及び第四部分24は、端子10を包囲する環状体を構成する。換言すると、可動留具20は、第一部分21、第二部分22、第三部分23及び第四部分24に囲まれた領域に、開口26を有する。
【0016】
スクリュー30は、移動経路MR1に沿って可動留具20を移動させる。スクリュー30は、例えばボルトであり、ねじ部31と頭部32とを有する。ねじ部31は、端子10の逆側から雌ねじ孔25にねじ込まれている。
【0017】
このような構成によれば、ねじ部31の先端部(頭部32の逆側の端部)が端子10に接した状態にてスクリュー30を回転させることにより、可動留具20を移動させることができる。例えばスクリュー30を締め込む方向に回転させると、ねじ部31のうち端子10と第一部分21との間に位置する部分が長くなる。これに伴い、第一部分21が端子10から引き離され、その分可動留具20が第一方向D1の一方側(例えばX軸正側)に移動する。第一部分21が端子10から離れると、第二部分22が端子10に近付く。逆に、スクリュー30を緩める方向に回転させると、ねじ部31のうち端子10と第一部分21との間に位置する部分が短くなる。これに伴い、第一部分21が端子10に近付き、その分可動留具20が第一方向D1の他方側(例えばX軸負側)に移動する。
【0018】
スクリュー30の回転に応じた移動によって、可動留具20は、上記第一状態と第二状態とを切り替える。例えば可動留具20は、端子10と第二部分22との間に導電部材CD1が配置された状態にて、上記第一状態と第二状態とを切り替える。
【0019】
端子10及び第二部分22の少なくとも一方と導電部材CD1との間に隙間(第一方向D1における隙間)がある状態においては、導電部材CD1が端子10に接した状態に保持されない。すなわち、端子10に対する導電部材CD1の接続状態が上記第二状態である。このように、本構成においては、端子10及び可動留具20の少なくとも一方と導電部材CD1との間に第一方向D1における隙間がある状態が、上記第二状態に相当する。
【0020】
上述のように可動留具20がX軸正側に移動すると、第二部分22が端子10に近付く。導電部材CD1が端子10及び第二部分22の両方に接するまで、第二部分22を端子10に近付けると、導電部材CD1が端子10に接した状態に保たれる。すなわち、端子10に対する導電部材CD1の接続状態が上記第二状態から上記第一状態に切り替わる。
このように、本構成においては、導電部材CD1が端子10及び可動留具20の両方に接している状態が、上記第一状態に相当する。
【0021】
この状態において、可動留具20の開口26の少なくとも一部は、収容部47内に位置し、通気口53,54に連なる。第一状態において、上述のように可動留具20がX軸負側に移動すると、第二部分22が端子10から遠ざかり、第二部分22と端子10とに挟まれていた導電部材CD1が解放される。すなわち、端子10に対する導電部材CD1の接続状態が上記第一状態から上記第二状態に切り替わる。
【0022】
ケース40は、端子10と、可動留具20と、スクリュー30と(以下、これらの一組を「端子ユニットU1」という。)を収容する。ケース40は、樹脂等の絶縁性の材料により構成されていてもよい。
【0023】
一例として、ケース40は、第二方向D2において互いに対向する外壁41,42と、第一方向D1において互いに対向する外壁43,44とを有する。外壁43は、第一方向D1の一方側(X軸正側)において外壁41,42を繋ぎ、外壁44は、第一方向D1の他方側(X軸負側)において外壁41,42を繋ぐ。
【0024】
このように構成されたケース40は、導入部45と、端子保持部46と、収容部47とを有する。導入部45、端子保持部46及び収容部47は、第一方向D1に沿って上記他方側(X軸負側)から上記一方側(X軸正側)に順に並んでいる。導入部45及び収容部47の間に位置する端子保持部46は、端子10を保持する。より具体的に、端子保持部46においては、外壁41が端子10の一端部を保持し、外壁42が端子10の他端部を保持する。端子10の上記一端部は、導入口51が設けられた外壁とは逆側の外壁(図示においては外壁41)を貫通している。これにより、端子台1を含む装置内における端子10への配線が可能となっている。
【0025】
端子10が端子保持部46に保持されることで、収容部47が第一方向D1において端子10の一方側に並び、導入部45が第一方向D1において端子10の他方側に並ぶ。可動留具20の第一部分21は、収容部47内に位置し、第二部分22は導入部45内に位置する。
【0026】
なお、収容部47は、必ずしも第一方向D1において端子10に並んでいなくてよい。例えば、端子10が設けられる領域と、収容部47が設けられる領域とは、第一方向D1において重複していてもよい。より具体的に、端子10は収容部47内に設けられていてもよい。
【0027】
導入部45は、第二部分22と端子10との間に導電部材CD1を受け入れる。より具体的に、導入部45においては、導電部材CD1を受け入れるための導入口51が外壁41,42の少なくとも一方(図示においては外壁42)に設けられている。導入口51は、外壁41,42の両方に設けられていてもよい。
【0028】
収容部47は、導入部45の逆側において、可動留具20の少なくとも一部を収容する。収容部47は、可動留具20を収容するための収容空間S1を有し、収容空間S1が可動留具20の移動経路MR1に位置するように構成されている。
【0029】
収容部47は、可動留具20の少なくとも一部が第二状態において収容部47外に位置し、第一状態において収容部47内に位置するように構成されていてもよい。一例として、収容部47は、第一部分21と、第三部分23及び第四部分24の一部とを収容する。上述のように、第二状態から第一状態への切り替えに伴って、可動留具20はX軸正側に移動する。
これに伴い、第三部分23及び第四部分24のうち収容部47外に位置していた部分が収容部47内に進入する。すなわち、第三部分23及び第四部分24の少なくとも一部が第二状態において収容部47外に位置し、第一状態において収容部47内に位置する。
【0030】
ケース40は、収容部47に設けられた通気口53,54を更に有する。通気口53,54は、移動経路MR1に交差する第二方向D2に沿って収容部47を貫通していてもよい。より具体的に、収容部47においては、外壁41に通気口53が設けられ、外壁42に通気口54が設けられている。通気口53,54は、第二方向D2に沿って端子台1を通る通気経路FR1を構成する。
【0031】
通気口53,54が設けられている領域R3(通気口53,54の周縁により囲まれる領域)と、上記第一状態において可動留具20が占める領域R1及び上記第二状態において可動留具20が占める領域R2の少なくとも一方とが、第一方向D1において互いに重複していてもよい。換言すると、領域R3のX軸座標の範囲(領域R3に含まれる点全てのX軸座標の範囲)と、領域R1のX軸座標の範囲(領域R1に含まれる点全てのX軸座標の範囲)とが重複していてもよいし、領域R3のX軸座標の範囲と、領域R2のX軸座標の範囲(領域R2に含まれる点全てのX軸座標の範囲)とが重複していてもよい。図示の例においては、領域R1と領域R3とが重複している。
【0032】
ケース40は、第一方向D1に交差する方向(例えば第三方向D3)に沿って並ぶ複数の通気口53及び複数の通気口54を有してもよい。ケース40は、第一方向D1に沿って並ぶ複数の通気口53及び複数の通気口54を有してもよい。通気口53,54の開口面積は、導入口51の開口面積に比較して小さくてもよい。
【0033】
収容部47は、第一部分21と共にスクリュー30を収容する。図示のように、スクリュー30全体が収容部47内に収容されていてもよいし、スクリュー30の一部(例えば頭部32)が収容部47外に位置していてもよい。すなわちスクリュー30の少なくとも一部は、収容部47内に設けられる。
【0034】
ケース40は、スクリュー30を操作するための開口55を更に有してもよい。開口55は、例えば収容部47において外壁43に設けられる。開口55を通して収容部47内に工具(例えばドライバ)を挿入することで、スクリュー30を回転させて可動留具20を移動させる操作を容易に行うことが可能である。
【0035】
端子台1は、複数の端子ユニットU1を備えてもよい。例えば端子台1は、第三方向D3に沿って並ぶ複数の端子ユニットU1を備えてもよい。ケース40は、隔壁48によって、第三方向D3に沿って並ぶ複数のセルC40に区画されていてもよく、複数の端子ユニットU1は複数のセルC40にそれぞれ収容されていてもよい。この場合、導入口51、通気口53,54及び開口55は、セルC40ごとに設けられる。
【0036】
(2)スクリューの保持構造
ケース40は、スクリュー30を収容部47内に保持するように構成されていてもよい。例えば、開口55の内径が、スクリュー30の頭部32の外径に比べ小さくなっていてもよい。
【0037】
ケース40は、スクリュー30を収容部47内に保持にしつつ、必要に応じて収容部47内からのスクリュー30の取り出しを可能とするように構成されていてもよい。以下、その一例を示す。
【0038】
図2〜4に示すように、開口55の内径は、スクリュー30の頭部32の外径に比べ大きい。ケース40は、開口55内に少なくとも一つの突起56を有する。突起56は、開口55の周縁から開口55の中心側に突出している。突起56の突出長は、頭部32が開口55内を通過することができないように設定されている。このため、スクリュー30が突起56によって収容部47内に保持される。ケース40は、開口55内に複数の突起56を有してもよい。複数の突起56は、開口55の中心を取り囲むように並ぶ。
【0039】
突起56は、第一部分21が端子10に接した状態においては、スクリュー30により破壊されないように構成されている。例えば、突起56は、第一部分21を端子10に接触させた状態にて、スクリュー30を緩める方向に最大限回転させたとしても、頭部32から突起56に作用する力が突起56を破壊するレベルには達しないように配置されている。頭部32から突起56に作用する負荷は、例えば端子10から突起56までの距離と、スクリュー30の長さとの関係により調節可能である。なお、「破壊」とは、スクリュー30を収容部47内に保持できない状態にすることを意味する。破壊の具体例としては、スクリュー30を収容部47に保持できない状態まで変形又は欠損させることが挙げられる。
【0040】
突起56は、少なくとも第一部分21が端子10から最も離れた状態(第二部分22が端子10に最も近付いた状態)においては、スクリュー30により破壊可能となるように構成されている。例えば、突起56と端子10との間隔は、スクリュー30の全長と、第一部分21の厚さと、第一部分21と端子10との間隔の最大値との合計以上となっている。このため、少なくとも第一部分21を端子10から最も離した状態で、スクリュー30を緩める方向に回転させることで、スクリュー30の頭部32を突起56に到達させ、頭部32によって突起56を破壊し得る。
【0041】
このような構成によれば、次の手順でスクリュー30を収容部47内から取り出すことが可能となる。まず、
図5に示すように、可動留具20と外壁44との間に規制部材BT(例えばドライバの先端部)を挿入し、これにより可動留具20が外壁44から離れた状態に保つ。これにより、第一部分21が端子10から離れた状態に保たれる。この状態で、
図6に示すようにスクリュー30を緩める方向に回転させ、頭部32を突起56に到達させる。更に、
図7に示すように緩める方向へのスクリュー30の回転を継続させることで突起56を破壊する。これにより、収容部47内からのスクリュー30の取り出しが可能となる。このような操作を行わない限り、スクリュー30による負荷を突起56に対して十分に発生させることはできないので、スクリュー30は収容部47内に確実に保持される。
【0042】
(3)端子台の変形例
上述したように、端子台は、端子と、導電部材を前記端子に接した状態に保持する第一状態と、当該導電部材を解放する第二状態とを、移動により切り替える可動留具と、第一状態及び第二状態の少なくとも一方において、可動留具の少なくとも一部を収容する収容部と、収容部に設けられた通気口とを備えていればよく、その具体的な構成は以上に示したものに限られない。以下、端子台の変形例を示す。
【0043】
図8に示す端子台1Aは、端子10Aと、可動留具20Aと、ケース40Aとを有する。端子10Aは、導電部材CD1を接続するための要素であり、端子10と同様に金属等の導電性の材料により構成されている。一例として、端子10Aは、第一方向D1に交差(例えば直交)した板状体である。
【0044】
ケース40Aは、端子10Aを支持する。ケース40Aは、端子10Aに並ぶ収容部47Aを有する。端子10Aは収容部47A内に設けられていてもよい。ケース40Aは、樹脂等の絶縁性の材料により構成されていてもよい。
【0045】
可動留具20Aは、例えばボルトであり、ねじ部27と頭部28とを有する。ねじ部27は、収容部47Aの逆側から端子10Aにねじ込まれている。可動留具20Aは、金属等の導電性の材料により構成されていてもよい。可動留具20Aは、頭部28と端子10Aとの間に導電部材CD1が位置する状態で、上記第一状態と第二状態とを切り替える。
【0046】
端子10A及び頭部28の少なくとも一方と導電部材CD1との間に隙間(第一方向D1における隙間)がある状態においては、導電部材CD1が端子10Aに接した状態に保持されない。すなわち、端子10Aに対する導電部材CD1の接続状態が上記第二状態である。
【0047】
ねじ部27を締め込む方向に可動留具20Aを回転させると、頭部28が端子10Aに近付く。導電部材CD1が端子10A及び頭部28の両方に接するまで、頭部28を端子10Aに近付けると、導電部材CD1が端子10Aに接した状態に保たれる。すなわち、端子10Aに対する導電部材CD1の接続状態が上記第二状態から上記第一状態に切り替わる。
【0048】
第一状態において、ねじ部27を緩める方向に可動留具20Aを回転させると、頭部28が端子10Aから遠ざかり、頭部28と端子10Aとに挟まれていた導電部材CD1が解放される。すなわち、端子10Aに対する導電部材CD1の接続状態が上記第一状態から上記第二状態に切り替わる。
【0049】
ケース40Aの収容部47Aは、ねじ部27のうち、可動留具20Aを貫通した部分を収容する。ケース40Aは、収容部47Aに設けられた通気口53A,54Aを更に有する。通気口53A,54Aは、通気口53,54と同様に、移動経路MR1に交差する第二方向D2に沿って端子台1Aを通る通気経路を構成する。
【0050】
図9に示す端子台1Bは、端子10Bと、可動留具20Bと、ケース40Bとを有する。端子10Bは、導電部材CD1を接続するための要素であり、端子10と同様に金属等の導電性の材料により構成されている。一例として、端子10Bは、第一方向D1に交差(例えば直交)した板状体である。
【0051】
可動留具20Bは、端子10Bに重なる。可動留具20Bは、金属等の導電性の材料により構成されていてもよい。端子10Bの縁部と可動留具20Bの縁部とは、ヒンジ60を介して接続されている。ヒンジ60の中心軸は、第二方向D2に沿っている。可動留具20Bは、ヒンジ60の中心軸まわりの回転可能である。可動留具20Bのうちヒンジ60から離れた部分29は、上記回転に伴い、第一方向D1において移動する。可動留具20Bは、部分29と端子10Bとの間に導電部材CD1が位置する状態で、上記第一状態と第二状態とを切り替える。
【0052】
端子10B及び部分29の少なくとも一方と導電部材CD1との間に隙間(第一方向D1における隙間)がある状態においては、導電部材CD1が端子10Bに接した状態に保持されない。すなわち、端子10Bに対する導電部材CD1の接続状態が上記第二状態である。
【0053】
部分29が端子10Bに近付く方向に可動留具20Bを回転させ、導電部材CD1が端子10B及び部分29の両方に接するまで、部分29を端子10Bに近付けると、導電部材CD1が端子10Bに接した状態に保たれる。すなわち、端子10Bに対する導電部材CD1の接続状態が上記第二状態から上記第一状態に切り替わる。
【0054】
第一状態において、部分29が端子10Bから遠ざかる方向に可動留具20Bを回転させると、部分29と端子10Bとに挟まれていた導電部材CD1が解放される。すなわち、端子10Bに対する導電部材CD1の接続状態が上記第一状態から上記第二状態に切り替わる。
【0055】
ケース40Bは、端子10B及び可動留具20Bを収容する。ケース40Bは、樹脂等の絶縁性の材料により構成されていてもよい。ケース40Bは、収容部47Bを有する。収容部47Bは、第一方向D1において端子10Bに並び、可動留具20Bの少なくとも一部を収容する。端子10Bは、収容部47B内に設けられていてもよい。
【0056】
ケース40Bは、収容部47Bに設けられた通気口53B,54Bを更に有する。通気口53B,54Bは、通気口53,54と同様に、移動経路MR1に交差する第二方向D2に沿って端子台1Bを通る通気経路を構成する。
図9においては、通気口54Bが形成される壁部が図示されていないので、通気口54Bを二点鎖線で図示している。通気口53Bを図示する実線との重なりを防止するために、便宜上通気口53Bに比べ通気口54Bが大きく図示されているが、これは通気口54Bの大きさが通気口53Bの大きさに比べ大きいことを意味するものではない。
【0057】
2.電力変換装置
続いて、上述した端子台の電気機器への適用例として、上述した端子台を有する電力変換装置について説明する。
【0058】
(1)電力変換装置の構成例
以下、
図10〜12を参照し、電力変換装置の具体的な構成例を示す。説明の便宜のために、以下においては構成要素の配置関係を示す際に「上下」、「前後」、及び「左右」を用いる。「上下」は、電力変換装置を所定の設置状態で用いる際の上下を意味し、「前後」及び「左右」は、操作パネル(後述)側を前側とし、その逆側を後側とした方向を意味する。図示においては、Z軸正方向が上方であり、X軸正方向が前方である。
【0059】
電力変換装置100は、端子台1と回路素子121とを有する本体110を備える。本体110は、複数の回路素子121を有してもよく、少なくともいずれかの回路素子121は回路基板120に搭載されていてもよい。回路基板120は、回路素子121を含む電力変換用の回路を構成する。複数の回路素子121のいずれかは、回路基板120から離れた位置に配置されていてもよく、例えば後述のベース筐体140等に固定されていてもよい。本体110において、端子台1と回路素子121とは、上記移動経路MR1に交差する第二方向D2に沿って並んでいる。例えば、端子台1と回路基板120とが第二方向D2に沿って並んでいる。回路素子121の具体例としては、トランス、抵抗、コンデンサ、リレー及びマグネットコンタクタ等が挙げられる。
【0060】
本体110は、第一部分111と第二部分112とを有してもよい。第一部分111は、気流を発生させるためのファン113を有する。第二部分112は、上記気流に交差する方向にて第一部分111との間を仕切られた部分である。端子台1と、少なくとも一つの回路素子121とは、第二部分112に設けられていてもよい。例えば、端子台1と回路基板120とが第二部分112に設けられていてもよい。
【0061】
より具体的に、本体110は筐体130を有する。例えば筐体130は、ベース筐体140と、第一カバー150と、第二カバー160と、第三カバー170とを有する。ベース筐体140は、後方に開放される第一部分141と、前方に開放される第二部分142とを有する。第一部分141及び第二部分142の間は隔壁143により仕切られている(
図12参照)。第一部分141は、本体110の第一部分111を構成する。
【0062】
ファン113は、筐体130に設けられており、吸気口及び排気口のいずれか一方が筐体130外に開口し、他方が筐体130内に開口している。例えばファン113は、第一部分141の上部に取り付けられ、上下方向に沿った気流を形成する。第一部分141の下部には通気口145が形成されている。通気口145は、ファン113により発生する気流を通す。
【0063】
第二部分142には、回路基板120と端子台1とが設置される。端子台1は、第一方向D1が前後方向に沿い、第二方向D2が上下方向に沿い、第三方向D3が左右方向に沿った状態で、第二部分142の下部に設置される。回路基板120は、隔壁143に沿った状態で、端子台1に対して上方に設置される。複数の回路素子121のいずれかは、隔壁143を通って第一部分141内に突出していてもよい。第一部分141内に突出した回路素子121は、ファン113の気流によって冷却される。
【0064】
第一カバー150は、前方から端子台1に被さる。第一カバー150は、導入口151と、通気口152と、開口153とを有する。導入口151は、端子台1の導入口51を開放し、導入口51内への導電部材CD1の導入を可能にする。通気口152は、通気口53,54に連なって第二方向D2に沿った通気経路を構成する。開口153は、端子台1の開口55を開放し、前方からのスクリュー30の操作を可能とする。
【0065】
端子台1が複数の導入口51を有する場合、第一カバー150は複数の導入口51にそれぞれ対応する複数の導入口151を有してもよい。第一カバー150は、複数の通気口53,54が設けられている範囲(全ての通気口53,54を含む範囲)に亘って設けられた複数の通気口152を有してもよい。端子台1が複数の開口55を有する場合、第一カバー150は複数の開口55にそれぞれ対応する複数の開口153を有してもよい。
【0066】
端子台1と第一カバー150とは、電力変換装置100に対して導電部材CD1を接続するための入出力ポートP1を構成する。
【0067】
第二カバー160は、前方から第二部分142に装着され、入出力ポートP1を開放した状態で回路基板120を覆う。第二カバー160の下部は、入出力ポートP1によって塞がれる。換言すると、第二カバー160の下部は端子台1によって塞がれる。ここで、塞ぐとは、必ずしも、対象領域の全てを隙間なく塞ぐことを意味するものではなく、隙間を残しつつ、当該領域の大半を塞ぐことを含む。第二カバー160の下部は端子台1によって塞がれるものの、端子台1は通気口53,54を有するので、第二カバー160の下部には、
図13に示すように第二カバー160の内外を連通させる通気経路FR1が構成される。
【0068】
第二カバー160は、上部に通気口161を有してもよい。この場合、第二カバー160の上部にも第二カバー160の内外を連通させる通気経路FR2が構成される。更に、第二カバー160は、左右の側部に通気口162を有してもよい。この場合、第二カバー160の左右の側部にも第二カバー160の内外を連通させる通気経路FR3が構成される。
【0069】
図10〜12に戻り、第三カバー170は、前方から第二カバー160に装着され、第二カバー160及び入出力ポートP1を覆う。第二部分142と、第一カバー150と、第二カバー160と、第三カバー170とは、本体110の第二部分112を構成する。第二部分112は、第二部分112におけるファン113のように、吸気口及び排気口のいずれか一方が筐体130外に開口し、他方が筐体130内に開口したファンを有しなくてもよい。
【0070】
第三カバー170の前面には、オペレータ180が配置される。オペレータ180は、ユーザによる電力変換装置100への入力を受け付け、電力変換装置100の内部情報を表示する。オペレータ180は第三カバー170の前面に対して着脱自在であってもよい。
【0071】
(2)端子台と回路基板との位置関係
以上に例示したように、端子台1と回路素子121とは、上記移動経路MR1に交差する第二方向D2(上下方向)に沿って並んでいてもよい。例えば、端子台1と回路基板120とが第二方向D2に沿って並んでいてもよい。
図14に示すように、端子台1の通気口53,54は、第二方向D2の一方側(上方又は下方)から見て、回路素子121と重なる位置に設けられていてもよい。
【0072】
本体110は複数の回路素子121を有してもよく、複数の回路素子121は、第二方向D2の一方側から見て互いに重ならないように配置された少なくとも二つの回路素子121を含んでもよい。例えば、複数の回路素子121は、第二方向D2の一方側から見て互いに重ならないように配置された二つのトランスを含んでもよい。
【0073】
上述したように、端子台1は、複数の通気口53,54を有し、第二方向D2に交差する少なくとも一方向(例えば第三方向D3)において、複数の通気口53,54は、複数の回路素子121に比べ広範囲に亘って設けられていてもよい。すなわち、複数の通気口53の全てを含む領域R4と、複数の通気口54の全てを含む領域R5とが、複数の回路素子121の全てを含む領域R6に比べ、第二方向D2に交差する少なくとも一方向(例えば第三方向D3)において広範囲に亘っていてもよい。当該一方向において、領域R6の全域が領域R4に含まれていてもよく、領域R5に含まれていてもよい。
【0074】
(3)固定具
電力変換装置100は、本体110を設置箇所に固定するための固定具190を更に有してもよい。固定具190は、本体110を設置箇所に固定するためのものであればどのようなものであってもよい。固定具190の具体例としては、ブラケットと、それを本体110及び設置箇所に固定するためのボルトとが挙げられる。固定具190は、本体110に直接ねじ込まれるボルトであってもよいし、本体110に設けられた雄ねじ部に装着されるナットであってもよい。
【0075】
設置箇所とは、電力変換装置100を利用する設備等において、本体110を設置する箇所である。設置箇所の具体例としては、電力変換装置100を用いたシステム(以下、「電力変換システム」という。)の制御盤内等が挙げられる。
【0076】
電力変換システムの具体例としては、電動機又は発電機を含む回転電機の制御システム等が挙げられる。
【0077】
図15は、電力変換システム200の一例を示す模式図である。
図15の例において、電力変換装置100の本体110は、電力変換システム200のシステム筐体210内に設置される。固定具190は、本体110をシステム筐体210の側壁に固定する。電力変換装置100は、固定具190が本体110を設置箇所に固定した状態において、端子台1と回路素子121とが鉛直方向に並ぶように構成されていてもよく、端子台1と回路基板120とが鉛直方向に並ぶように構成されていてもよい。一例として、電力変換装置100は、固定具190が本体110を設置箇所に固定した状態において、端子台1が回路素子121の下に位置するように構成されていてもよく、端子台1が回路基板120の下に位置するように構成されていてもよい。
【0078】
以上に例示したように、電力変換システム200は、回路素子121と、鉛直方向に沿って回路素子121に並ぶ端子台1とを有する電力変換装置100を備えてもよい。
図16に示すように、電力変換システム200は、複数の電力変換装置100を備えてもよく、複数の電力変換装置100は、下方から見て、隣り合う電力変換装置100の通気口53,54同士が重ならないように、鉛直方向に交差する方向に沿って並んでいてもよい。
一例として、複数の電力変換装置100は、本体110同士が水平方向において互いに重複しないように配置されていてもよい。例えば複数の電力変換装置100は、水平方向に沿って一列に並んでいてもよい。
【0079】
3.本実施形態の効果
以上に説明したように、電力変換装置100は、導電部材CD1を接続するための端子台1を備え、端子台1は、端子10と、導電部材CD1を端子10に接した状態に保持する第一状態と、当該導電部材CD1を解放する第二状態とを、移動により切り替える可動留具20と、第一状態及び第二状態の少なくとも一方において、可動留具20の少なくとも一部を収容する収容部47と、収容部47に設けられた通気口53,54とを有する。
【0080】
この端子台1によれば、可動留具20が収容部47に収容されるので、可動留具20に対する異物の接触が抑制される。収容部47には通気口53,54が設けられているので、電力変換装置100の筐体の壁を端子台1に近付けたとしても、通気経路を確保できる。従って、通気経路を確保しつつ、電力変換装置100の筐体の壁を端子台1に近付けることで、電力変換装置100の小型化を図ることができる。
【0081】
電力変換装置100は、電力変換用の回路素子121を更に備えてもよく、端子台1と回路素子121とは、可動留具20の移動経路MR1に交差する第二方向D2に沿って並び、通気口53,54は、第二方向D2の一方側から見て、回路素子121と重なる位置に設けられていてもよい。この場合、通気口53,54を通る気流が回路素子121の周囲を通過し易くなるので、より確実に回路素子121の放熱を促すことができる。
【0082】
電力変換装置100は複数の回路素子121を備え、複数の回路素子121は、第二方向D2の一方側から見て互いに重ならないように配置された二つの回路素子121を含んでいてもよい。この場合、通気口53,54を通った気流が、二つの回路素子121のいずれに対しても、他方の回路素子121を経ることなく到達する。或いは、二つの回路素子121のいずれを通過した気流も、他方の回路素子121を経ることなく通気口53,54に到達する。このため、二つの回路素子121のいずれを熱源とする熱も、他方の回路素子121に大きな影響を及ぼすことなく排熱される。従って、より確実に回路素子121の放熱を促すことができる。
【0083】
端子台1は、複数の通気口53,54を有し、第二方向D2に交差する少なくとも一方向において、複数の通気口53,54は、複数の回路素子121に比べ広範囲に亘って設けられていてもよい。この場合、複数の回路素子121が設けられている範囲に比べ広い範囲に亘って、通気口53,54を通る気流を発生させることができる。従って、より確実に回路素子121の放熱を促すことができる。
【0084】
電力変換装置100は、回路素子121及び端子台1を含む本体110と、本体110を設置箇所に固定するための固定具190とを備え、固定具190が本体110を設置箇所に固定した状態において、端子台1と回路素子121とが鉛直方向に並ぶように構成されていてもよい。端子台1の通気口53,54によって、回路素子121を通る鉛直な通気経路FR1が構成される。これにより、鉛直方向に沿った自然対流が生じ易くなるので、より確実に回路素子121の放熱を促すことができる。
【0085】
固定具190が本体110を設置箇所に固定した状態において、端子台1が回路素子121の下に位置するように構成されていてもよい。この場合、端子台1内の端子10等への異物接触をより確実に防止できる。
【0086】
電力変換装置100は、気流を発生させるためのファン113を有する第一部分111と、ファン113による気流に交差する方向にて第一部分111との間を仕切られた第二部分112とを備えてもよく、端子台1は第二部分112に設けられていてもよい。この場合、ファン113による冷却効果が得られ難い第二部分112に通気性の端子台1を設け、これにより第二部分112における放熱性を高めることで、より確実に回路素子121の放熱を促すことができる。
【0087】
例えば、特に冷却を要する回路素子121を第一部分111内に配置し、ファン113の気流によってこれを冷却し、他の回路素子121については第二部分112内の自然対流によって冷却することができる。このように、上記他の回路素子121を第二部分112内にて冷却可能とすることで、ファン113による強制空冷効果を上記特に冷却を要する回路素子121に集中させることができる。従って、より効率的でより確実な放熱を行うことができる。
【0088】
第一状態及び第二状態の少なくとも一方において可動留具20が占める領域R1,R2と、通気口53,54が設けられている領域R3とが、可動留具20の移動経路MR1に沿う方向において互いに重複していてもよい。この場合、可動留具20を収容するための部分をより確実に通気経路として利用することができる。このため、より確実に端子台1を小型化することができる。
【0089】
収容部47は、可動留具20の少なくとも一部が第二状態において収容部47外に位置し、第一状態において収容部47内に位置するように構成されていてもよい。この場合、可動留具20のうち収容部47外に位置する部分が、第二状態に比べて第一状態において小さくなる。従って、導電部材CD1が端子10に接続される実使用状態において、異物の接触がより確実に抑制される。
【0090】
可動留具20は、第一状態において収容部47内に位置し、通気口53,54に連なる開口26を有してもよい。この場合、第一状態における端子台1の通気性を更に高めることができるので、より確実に回路素子121の放熱を促すことができる。
【0091】
端子台1は、収容部47内に少なくとも一部が設けられ、可動留具20を移動させるスクリュー30を更に有してもよい。この場合、収容部47がスクリュー30の収容部を兼ねることとなるので、スクリュー30を用いて可動留具20を移動させるタイプにおいて、端子台1のより一層の小型化が可能となる。
【0092】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、端子台1の適用対象は、必ずしも電力変換装置に限られない。端子台1は、導電部材を接続するためのポートを必要とし、熱源を内蔵した電気機器であればいかなるものにも適用可能である。例えば端子台1は、ブレーカ、遮断器、制動抵抗ユニット、ヒューズホルダ等にも適用可能である。
【解決手段】電力変換装置は、導電部材CD1を接続するための端子台1を備え、端子台1は、端子10と、導電部材CD1を端子10に接した状態に保持する第一状態と、当該導電部材CD1を解放する第二状態とを、移動により切り替える可動留具20と、第一状態及び第二状態の少なくとも一方において、可動留具20の少なくとも一部を収容する収容部47と、収容部47に設けられた通気口53,54とを有する。