(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。なお、各図面中、同じ要素には同じ符号を付している。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の照明器具1の斜視図である。
図2は、
図1に示す照明器具1を下面側から見た斜視図である。
【0010】
第1実施形態の照明器具1は、本体10と、本体10の内部に設けられた光源40と、本体10を保持する保持部材80とを有する。
【0011】
図3は、本体10の斜視図である。
図4は、本体10を下面側から見た斜視図である。
図5は、本体10の下面図である。
【0012】
本体10は、金属からなり、放熱体を兼ねている。なお、本明細書において「金属」は純金属に限らず、合金も含む。本体10は、例えばアルミニウムのダイカスト成形体である。
【0013】
本体10は、椀状容器形状の光源収容部11を有する。光源収容部11は、
図4に示すように、筒状の側壁部13と、側壁部13の上端部に設けられた光源取付部12とを有する。側壁部13の下端側には光源取付部12に対向した開口98(
図7に示す)が形成され、その開口98の周縁部にはフランジ部14が設けられている。側壁部13は、光源取付部12と開口98の縁部との間に設けられている。
【0014】
側壁部13の内側における開口98よりも光源取付部12側には、リング状の反射体支持部15が設けられている。フランジ部14と反射体支持部15との間に段差が形成されている。
【0015】
光源取付部12の裏面である光源収容部11の上面上(光源取付部12の背面側)、および側壁部13の外壁には、複数の第1のフィン16が設けられている。第1のフィン16は、本体10の高さ方向(
図3においてZ方向)に延びている。
【0016】
複数の第1のフィン16は、Z方向に対して直交するX方向に配列され、X方向で隣り合う第1のフィン16間に隙間24が形成されている。
【0017】
光源収容部11の上面上には、X方向に延びる隔壁20が設けられている。第1のフィン16は、隔壁20を挟んで、Z方向及びX方向に対して直交するY方向に延びている。
【0018】
それぞれの第1のフィン16におけるZ方向の途中には、段部19が設けられている。第1のフィン16は、光源収容部11の側壁部13の外壁に設けられた下部16bと、光源収容部11の上面上に設けられた上部16aとを有する。段部19は、第1のフィン16の上部16aと下部16bとの間に設けられている。下部16bは、上部16aよりもY方向の外側に出っ張っている。本体10の上面視にて、複数の段部19は円を描く軌跡上に配列されている。
【0019】
X方向の最も外側に設けられた第1のフィン16の外壁には、第2のフィン17が設けられている。隔壁20におけるX方向の一端部に2つの第2のフィン17がY方向に離間して設けられ、隔壁20におけるX方向の他端部にも2つの第2のフィン17がY方向に離間して設けられている。
【0020】
第2のフィン17は、段部19よりも上方に延び、段部19より下方には延びていない。したがって、第2のフィン17のZ方向の長さは、第1のフィン16のZ方向の長さよりも短い。
【0021】
Y方向で隣り合う2つの第2のフィン17の下端部の間には、
図1及び
図4に示すように、ネジ止め部18が設けられている。第2のフィン17およびネジ止め部18は、X方向の最も外側の第1のフィン16の側壁からX方向の外側に突出している。
【0022】
図4に示す本体10の光源取付部12には、
図5に示すように光源40が取り付けられる。
【0023】
光源40は、セラミックからなる基板41と、基板41上に実装された複数の発光素子42とを有する。発光素子42は、例えばLED(Light Emitting Diode)素子である。
【0024】
LEDの活性層の材料として、例えば窒化ガリウム(GaN)系化合物半導体を用いると、波長500nm以下の短波長光が得られる。ただし、活性層の材料は、窒化ガリウム系化合物半導体に限られるものではない。
【0025】
また、発光素子42としては、LEDのほかにも、例えば、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)、無機エレクトロルミネッセンス(Inorganic ElectroLuminescence)発光素子、有機エレクトロルミネッセンス(Organic ElectroLuminescence)発光素子、あるいはその他の電界発光型の発光素子などを用いることができる。
【0026】
発光素子42の表面は、蛍光体層43で覆われている。蛍光体層43は、樹脂層と樹脂層中に分散された複数の粒子状の蛍光体とを有する。
【0027】
発光素子42の実装領域の周囲は例えばシリコーンなどの樹脂44で囲まれ、その樹脂44で囲まれた領域に蛍光体層43が供給される。蛍光体層43は液状の状態で供給された後、熱硬化される。樹脂44によって液状の蛍光体層43の広がりが規制される。
【0028】
実施形態においては、例えば、青色光を発光する発光素子(LED)42と、その青色光(励起光)を吸収して黄色光に変換する蛍光体を含む蛍光体層43との組み合わせにより、光源40は、青色光と黄色光との混合色として白色や電球色などの光を放出する。なお、蛍光体としては、赤色光を発光する赤色蛍光体および緑色光を発光する緑色蛍光体を含むものを使ってもよい。
【0029】
光源40の基板41は、本体10の光源取付部12に対して、金属バネ部材50によって固定されている。
図5に示すように、基板41の例えば四隅近傍が、金属バネ部材50によって光源取付部12に対して固定されている。
【0030】
図6に、光源取付部12に対する基板41の、金属バネ部材50による取付部の拡大斜視図を示す。
【0031】
金属バネ部材50は、ネジ止め部51と、ネジ止め部51から突出した一対の突出部52、53と、一対の突出部52、53の間でネジ止め部51から突出した板バネ部54とが一体に設けられた金属板状に形成されている。
【0032】
光源取付部12には、平面形状がU字状のリブ46が設けられ、そのリブ46の内側にネジ止め部51が収まっている。ネジ止め部51はネジ55によって光源取付部12に対して固定される。リブ46は、ネジ止め部51の回り止めとして機能する。
【0033】
一対の突出部52、53のうち一方の突出部53の突出長さは、他方の突出部52の突出長さよりも短い。
図5に示すように、一対の突出部52、53のうち、少なくとも突出長さの長い突出部52が、基板41に重なる位置にまで延びている。
【0034】
板バネ部54は、ネジ止め部51に片持ち支持された板バネであり、その付勢力(弾性復元力)によって基板41を光源取付部12に押し付けている。板バネ部54の先端部は、基板41に設けられた掛止部45に引っ掛けられ、基板41に対する板バネ部54の押圧部の位置変動が規制されている。
【0035】
一対の突出部52、53のうち一方の突出部53は他方の突出部52よりも短いため、板バネ部54を指や工具でつかんで、その先端部を掛止部54に挿入して引っ掛ける作業性がよい。
【0036】
図7は、本体10の光源収容部11の内部の模式断面図である。
図8は、
図7における透光カバー75側から光源40を見た下面図である。
【0037】
光源40の発光面(発光素子42が実装された面、または蛍光体層43の表面)は、光源収容部11の側壁部13で囲まれた空間に向けられる。その空間内には、反射体61が設けられている。
【0038】
反射体61は、金属からなる。反射体61は、例えば、表面がバフ研磨された後、アルマイト処理(酸化皮膜処理)されることで光沢が与えられたアルミニウムからなる。
【0039】
反射体61は、リング状のフランジ部62と、フランジ部62の内側の周縁部から光源40側に突出した筒部63とを有する。
【0040】
筒部63の先端(
図7において上端)は、光源40の発光面(発光素子42及び蛍光体層43が設けられた領域)の近傍にまで突出し、光源40の発光面は、反射体61の筒部63の内側の空間に面している。筒部63は、光源40に対して離間し、光源40に接触していない。
【0041】
筒部63における光源40側には採光開口96が形成され、筒部63におけるフランジ部62側には投光開口97が形成されている。採光開口96は光源40の発光面に向き合い、投光開口97は透光カバー75を介して、本体10の下端の開口98に向き合っている。
【0042】
採光開口96及び投光開口97は、互いの中心を一致させた円形状または円形に近い形状に形成され、採光開口96の面積は投光開口97の面積よりも小さい。筒部63は、採光開口96から投光開口97に向かって拡開し、その内壁面に反射面63aが形成されている。
【0043】
反射体61の下方であって、本体10の開口98側には、透光カバー75が設けられている。透光カバー75は、光源40から出射される光に対する透過性を有し、ガラスからなる。透光カバー75は、円形板状に形成され、反射体61の下方で、反射体61に対して離間して、光源収容部13の内部空間を覆っている。
【0044】
反射体61と透光カバー75は、両者に共通の(1つの)絶縁部材65に保持されて、本体10に対して取り付けられている。
【0045】
図9は、絶縁部材65の斜視図である。
【0046】
絶縁部材65は、電気絶縁性を有するとともに、反射体61の金属および透光カバー75のガラスよりも軟らかい材料の樹脂またはゴムからなる。例えば、絶縁部材65は、シリコーンを主成分として含む材料からなる。
【0047】
絶縁部材65は、反射体61のフランジ部62及び透光カバー75の外縁部を保持するとともに、反射体61のフランジ部62と透光カバー75の外縁部との間、および反射体61のフランジ部62と本体10の反射体支持部15との間に介在されている。
【0048】
絶縁部材65は、本体10の反射体支持部15と反射体61のフランジ部62との間に介在された第1のリング部66を有する。さらに、絶縁部材65は、反射体61のフランジ部62と透光カバー75の外縁部との間に介在された第2のリング部67を有する。さらに、絶縁部材65は、第2のリング部67の反対側で透光カバー75の外縁部を覆う第3のリング部68を有する。さらに、絶縁部材65は、反射体61のフランジ部62の側面と光源収容部11の内壁との間、および透光カバー75の側面と光源収容部11の内壁との間に介在された側面部69を有する。
【0049】
第1のリング部66と第2のリング部67との間には環状の第1の溝72が形成され、反射体61のフランジ部62は第1の溝72に挿入されている。
【0050】
第2のリング部67と第3のリング部68との間には環状の第2の溝73が形成され、透光カバー75の外縁部は第2の溝73に挿入されている。
【0051】
第2のリング部67を挟んで、第1の溝72の下に第2の溝73が形成されている。反射体61のフランジ部62の下に、第2のリング部67を介在させて透光カバー75の外縁部が重ねられている。透光カバー75は反射体61のフランジ部62に対して離間し、接触していない。
【0052】
絶縁部材65の第3のリング部68および本体10の下端部56に対して、リング状の押さえ部材76が重ねられている。押さえ部材76は、金属からなり、
図8に示すネジ77によって本体10の下端部56にネジ止めされている。
【0053】
図7に示すように、絶縁部材65、この絶縁部材65に保持された反射体61および透光カバー75は、押さえ部材76と本体10の反射体支持部15との間に挟まれて、本体10に対して保持されている。
【0054】
反射体61のフランジ部62と本体10との間には絶縁部材65が介在され、反射体61のフランジ部62は本体10に対して接触していない。また、反射体61の筒部63は、本体10に対して離間し、接触していない。
【0055】
金属からなる本体10は接地されている。反射体61は、本体10及び光源40に接触しておらず、電気的にフローティングである。
【0056】
光の反射機能は反射体61の筒部63が主に担う。一方、反射体61のフランジ部62は本体10に対して支持される部分であることから、筒部63に比べて本体10との距離が近くなる。
【0057】
実施形態によれば、光吸収による劣化が懸念される樹脂ではなく、樹脂よりも耐久性に優れた金属で反射体61を構成することで高い信頼性を実現しつつ、反射体61のフランジ部62と本体10との間に絶縁部材65を介在させることで、反射体61のフランジ部62と本体10との間に、十分な沿面距離(2つの導電性部分間の、絶縁物表面に沿った最短距離)を確保することができる。
【0058】
また、透光カバー75も樹脂ではなく、ガラスを用いることで、樹脂劣化による不具合を回避できる。ガラスの透光カバー75は、金属の反射体61に対して直接接触させると破損が懸念されるが、実施形態によれば、上記絶縁部材65を反射体61のフランジ部62と透光カバー75との間に介在させることで、ガラスの透光カバー75を保護している。
【0059】
ガラスの透光カバー75の保護、および反射体61と本体10との絶縁を、1つの絶縁部材65に兼用させることで、部品点数の増大を抑えることができる。この結果、コスト低減を図れる。さらに、本体10に対して、絶縁部材65、反射体61および透光カバー75を取り付ける組み立て性を向上できる。
【0060】
また、実施形態によれば、
図7に示すように、絶縁部材65は、第1のリング部66から光源40側に突出した延長部71をさらに有する。延長部71は、本体10の側壁部13と、反射体61の筒部63との間に介在され、反射体61の筒部63の周囲を囲むリング状または筒状に形成されている。
【0061】
反射体61の筒部63において、フランジ部62に近い下部は、光源40側の上部よりも本体10の側壁部13に対する距離が短い。その筒部63の下部と本体10との間に絶縁部材65の延長部71が介在することで、筒部63の下部と本体10との間の沿面距離を十分に確保することができる。
【0062】
絶縁部材65の延長部71は、反射体61の筒部63に対して離間し、筒部63に密着していない。このため、種々のサイズ、形状の筒部63を有する反射体61に対して汎用的に絶縁部材65を使える。
【0063】
また、絶縁部材65の延長部71は、本体10の内壁に対して離間し、本体10の内壁に接していない。このため、リング状の絶縁部材65を本体10内に挿入する際に、延長部71が本体10の内壁にぶつかることによる挿入作業性の低下をまねかない。
【0064】
発光素子42から出射された光の一部は、反射体61や透光カバー75で反射されて光源40側に戻されて基板41に照射される。基板41に照射された上記反射光は、基板41で再び反射されて透光カバー75側に向かう。したがって、光源40と透光カバー75との間の空間において、反射体61、透光カバー75および基板41が光の照射を受ける。
【0065】
実施形態によれば、反射体61は金属であり、透光カバー75はガラスであり、ともに樹脂を含まない。
【0066】
また、光源40の基板41はセラミックであり、その基板41は、
図5に示すように、いずれも金属であるネジ55及び金属バネ部材50によって、金属である本体11の光源取付部12に取り付けられている。さらに、基板41には金属の配線パターンが形成され、その配線パターンを通じて発光素子42は、基板41に実装されたコネクタ145に接続されている。そのコネクタ145は金属からなる。基板41は絶縁性のセラミックからなるので、基板41上に形成された配線パターンどうしは、基板41を通じて短絡しない。
【0067】
すなわち、光源40の発光面と透光カバー75との間における光が照射される部分は、光源40の蛍光体層43とその周囲の樹脂44を除いて、樹脂を含まない。現状、樹脂を使わざるを得ない必要最小限の要素に樹脂の使用を制限している。
【0068】
したがって、光源40の発光面と透光カバー75との間における光が照射される部分の、温度上昇や光照射による劣化を抑えることができ、信頼性の高い照明器具1を提供することができる。
【0069】
図3に示すように、本体10の光源収容部11の上面上には、一部の第1のフィン16のY方向の突出長さが他の第1のフィン16よりも短くされることで形成された、コネクタ取付スペース23が設けられている。
【0070】
コネクタ取付スペース23のX方向の両端には、第1のフィン16がコネクタ取付スペース23を仕切るように位置している。それら第1のフィン16は、コネクタ取付スペース23をX方向に挟んで位置している。コネクタ取付スペース23の底面(光源収容部11の上面)21には、貫通孔22が形成されている。
【0071】
コネクタ取付スペース23には、
図10に示すように、コネクタ固定金具110が設けられる。コネクタ取付金具110は、ネジ114によって第1のフィン16にネジ止めされている。
【0072】
コネクタ取付スペース23における底面側の空間は、コネクタ固定金具110の側板部112とコネクタ支持板111とで囲まれている。コネクタ支持板111には、開口113が形成されている。
【0073】
コネクタ支持板板111上には、
図11に示すように、コネクタ(または端子台)116が設けられる。コネクタ116は、コネクタ支持板111に形成された開口113、および光源収容部11の上面に形成された貫通孔22を通される配線ケーブルによって、光源収容部11の上面の裏側の
図5に示す光源取付部12に設けられた光源40のコネクタ145と電気的に接続されている。
【0074】
コネクタ116の配線挿入口は、本体10の高さ方向(Z方向)の上方に向けられている。また、コネクタ固定金具110には、ケーブルガイド117が取り付けられている。
【0075】
照明器具1とは別に設けられた点灯ユニットと接続された配線ケーブルが、ケーブルガイド117の上方から下方に通され、そのままケーブルガイド117の下方のコネクタ116の配線挿入口に差し込まれる。コネクタ116を介して、点灯ユニットと光源40とが電気的に接続され、点灯ユニットの出力が光源40に送られる。
【0076】
コネクタ116に、点灯ユニットの配線ケーブルを接続した後、コネクタ取付スペース23は、
図1に示すコネクタカバー115でカバーされる。ネジ141によって、コネクタカバー115は、コネクタ固定金具110の側板部112にネジ止めされる。コネクタカバー115によって、コネクタ116と配線ケーブルとの接続部が、ほこりなどから保護される。
【0077】
コネクタカバー115の内側のコネクタ取付スペース23内でコネクタ116に接続された配線ケーブルは、コネクタカバー115とコネクタ固定金具110との間に形成された切欠き119を通じてコネクタ取付スペース23の外に導出され、さらにコネクタカバー115の上面に設けられたケーブルガイド118を通されて、点灯ユニットに接続されている。
【0078】
図11に示すように、コネクタ116の配線挿入口は上方に向けられており、さらにケーブルガイド117のガイドによって、配線ケーブルは本体10の高さ方向に延びて本体10の上方に引き出される。また、コネクタ固定金具110およびそのコネクタ固定金具110に取り付けられたコネクタ116は、第1のフィン16間のスペース23に設けられ、第1のフィン16よりもY方向に出っ張っていない。
【0079】
このため、後述する本体取付リング81の内側に本体10を通す際に、コネクタ116および配線ケーブルがじゃまにならず、組み立て作業性に優れる。
【0080】
次に、保持部材80について説明する。
【0081】
図12及び
図13は、保持部材80の斜視図である。
【0082】
保持部材80は、前述した本体10が取り付けられる本体取付リング(以下、単に取付リングともいう)81を有する。
【0083】
取付リング81の外周側の縁部には、下方に突出するリブ82が、取付リング81の周方向に沿って連続して設けられている。このリブ82は、取付リング81の強度を高める。
【0084】
取付リング81には、内周側が開口された一対の切欠き83が形成されている。一対の切欠き83は、取付リング81の中心を直径方向に挟んだ位置に形成されている。切欠き83において、取付リング81の周方向の一端部には、切欠き83に連続してつながったU字溝84が周方向に形成されている。
【0085】
取付リング81の上方にはアングル部材93が設けられている。アングル部材93の下端部が、取付リング81に対してネジ止めされている。
【0086】
取付リング81の下方には、リング状の化粧枠86が設けられている。化粧枠86は、内周側の縁部から取付リング81側に突出した筒部87を有する。
【0087】
取付リング81と化粧枠86は、2本のシャーシ88によって連結されている。2本のシャーシ88は、取付リング81の中心を直径方向に挟んだ位置、および化粧枠86の中心を直径方向に挟んだ位置に設けられている。取付リング81と化粧枠86は、それぞれの中心を一致させて上下に離間して重なっている。
【0088】
シャーシ88の上端部は、取付リング81の下面に対してネジ止めされている。シャーシ88の下端部は、化粧枠86の筒部87に対してネジ止めされている。
【0089】
化粧枠86の内側には、筒状の反射鏡92が取り付けられている。反射鏡92の上端部側の一部は、化粧枠86の筒部87よりも上方に(取付リング81側に)突出し、その反射鏡92の突出部の外周面に、筒状の取付金具91が取り付けられている。反射鏡92及び取付金具91は、化粧枠86及びシャーシ88に対して固定されずに着脱自在になっている。
【0090】
取付金具91の外壁には一対のカップリング90がネジ止めされ、それぞれのカップリング90にはV字バネ89が結合されている。一対のV字バネ89が、化粧枠86の中心を直径方向に挟んだ位置に設けられている。
【0091】
次に、保持部材80に対する本体10の取り付け方法について説明する。
【0092】
本体10は、取付リング81の軸方向に、保持部材80に対して相対的に移動され、取付リング81の内側を通される。本体10は、フィン16及び17の上端部側から化粧枠86の内側および反射鏡92の内側に挿入される。
【0093】
第2のフィン17が取付リング81の切欠き83に位置決めされた状態で、取付リング81の内側に本体10が通され、第2のフィン17が取付リング81の上方に移動される。
【0094】
取付リング81の下面側から取付リング81の内側を通された本体10は、第1のフィン16の高さ方向の途中に形成された段部19が取付リング81の下面に当たることで、取付リング81に対する上方への移動が規制される。このため、本体10を確実に保持部材80に対して位置決めすることができる。
【0095】
また、第1のフィン16に形成した段部19を利用することで、本体10の保持部材80に対する位置決めに別の部品を使用しなくてよく、部品の削減および構造簡略化によるコスト低減を図れる。
【0096】
第2のフィン17が取付リング81の上方に移動されると、本体10と取付リング81とは相対的に取付リング81の周方向に回転され、第2のフィン17の下端部のネジ止め部18は、切欠き83から外れた取付リング81上の支持位置に移動される。
【0097】
具体的には、第2のフィン17のネジ止め部18が、取付リング81における切欠き83から、U字溝84が形成された位置に移動される。第2のフィン17は、取付リング81におけるU字溝84の周辺部分の上に支持され、取付リング81の上方に延びている。
【0098】
そして、第2のフィン17の下端部18は、取付リング81に対してネジ止め固定される。
図1及び
図2に示すネジ142が、取付リング81の下面側から、取付リング81のU字溝84を貫通して、第2のフィン17のネジ止め部18に形成されたネジ孔に結合される。ネジ142の軸部は、
図1に示すように、第2のフィン17の間の空間に突出する。ネジ142の頭部と、取付リング81の下面との間には、ワッシャーが介在されている。
【0099】
本体10の下端部にネジ止めされた
図7及び
図8に示す押さえ部材76は、保持部材80の反射鏡92の上端および取付金具91の上端に対してわずかな隙間をあけて対向する。透光カバー75は、反射鏡92の上端の上方で、反射鏡92の内側の空間に臨む。
【0100】
光源40から出射された光は、反射体61、透光カバー75および反射鏡92によって配光制御されて、化粧枠86の下方の外部に放出される。
【0101】
実施形態によれば、放熱機能を担う第2のフィン17に、本体10を取付リング81に対して固定させる機能も担わせている。このため、無駄を省いた効率の良い設計を行え、部品点数の削減による小型化、軽量化および低コスト化を図れる。
【0102】
第2のフィン17よりも高さ方向(Z方向)の長さが長い第1のフィン16は、取付リング81の上方および下方に延びている。複数の第1のフィン16の間には、取付リング81の下方から上方にかけて連続した隙間24が形成されている。したがって、第1のフィン16のZ方向に沿った空気の対流が取付リング81によって妨げられず、本体10の放熱器としての機能を十分に発揮できる。
【0103】
本体10を保持した保持部材80は、例えばアングル部材93を介して、天井などの照明器具取付対象に取り付けることができる。天井から吊り下げられたボルトが、アングル部材93の貫通孔94に通され、アングル部材93の下面側に突出したボルトに対してナットが結合される。
【0104】
図13に示すように、シャーシ88には、2本のスリット88aが形成されている。2本のスリット88aは、取付リング81と化粧枠86とを結ぶ方向に延びている。スリット88aにおける取付リング81側には、スリット88aの幅方向に突出したU字溝88bが形成されている。2本のスリット88aのうち一方のスリット88aに形成されたU字溝88bは他方のスリット88aから離れる方向に突出している。
【0105】
スリット88aには図示しない取付金具が上下動自在に差し込まれ、その取付金具がU字溝88bに引っ掛かることで取付金具の上方への移動が規制される。その上方への移動が規制された取付金具が天井を押さえ込むことで、照明器具1は天井に対して保持される。
【0106】
V字バネ89の一対のアーム89aは互いに近づく方向に押し縮められ、
図3に示す本体10の下端のフランジ部14に形成された切欠き95に係合させられる。
【0107】
図1に、V字バネ89のアーム89aが、本体10の切欠き95に係合した状態を示す。アーム89aを切欠き95に係合させた後、アーム89aを押し縮めていた力を解除すると、一対のアーム89aは弾性復元力により広がる。
【0108】
一対のアーム89aが広がる動作に伴い、V字バネ89は本体10に対して上方に移動し、アーム89aの付け根部近傍が切欠き95に対して係合する。すなわち、アーム89aが広がる力が、V字バネ89を本体10に対して押し上げる力になり、V字バネ89に連結された反射鏡92が化粧枠86の内側に嵌まり込む。V字バネ89を介して、取付金具91及び取付金具91に取り付けられた反射鏡92は、本体10に対して支持される。
【0109】
取付リング81は、本体10の高さ方向のほぼ中間に位置し、取付リング81の下方にV字バネ89が露出しているため、取付リング81はV字バネ89の操作のじゃまにならない。
【0110】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の照明器具150について説明する。
【0111】
図14及び
図15は、第2実施形態の照明器具150の斜視図である。
図16は、第2実施形態の照明器具150の分解斜視図である。
図17は、光源170および反射体180の模式平面図である。
【0112】
実施形態の照明器具150は、器具本体151と点灯ユニット152とが一体にされた状態で、天井に形成された埋込孔に取り付けられるダウンライトである。
【0113】
器具本体151は、光源収容部153と、光源収容部153から、光源170の光軸に対して直交する方向に延出して設けられた点灯ユニット取付部155とを有する。
【0114】
光源収容部153の下面には光源取付部154が設けられている。光源収容部153の上部には複数のフィン156が設けられ、光源収容部153は、光源170の熱を放熱する放熱器としても機能する。
【0115】
光源170は、光源取付部154に対して取付プレート157を介して取り付けられている。光源170は、基板171と、基板171上に実装された複数の発光素子172とを有する。発光素子172は、例えばLED素子である。
【0116】
また、発光素子172としては、LEDのほかにも、例えば、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)、無機エレクトロルミネッセンス(Inorganic ElectroLuminescence)発光素子、有機エレクトロルミネッセンス(Organic ElectroLuminescence)発光素子、あるいはその他の電界発光型の発光素子などを用いることができる。
【0117】
発光素子172の表面は、蛍光体層173で覆われている。蛍光体層173は、樹脂層とその樹脂層中に分散された複数の粒子状の蛍光体とを有する。蛍光体層173の樹脂層は、発光素子172の発光光(励起光)および蛍光体の蛍光発光に対して透明である。
【0118】
例えば、青色光を発光する発光素子(LED)172と、その青色光(励起光)を吸収して黄色光に変換する蛍光体を含む蛍光体層173との組み合わせにより、光源170は、青色光と黄色光との混合色として白色や電球色などの光を放出する。なお、蛍光体としては、赤色光を発光する赤色蛍光体および緑色光を発光する緑色蛍光体を含むものを使ってもよい。
【0119】
基板171上における発光素子172の実装領域の外側には、コネクタ174が実装されている。基板171には図示しない配線パターンが形成され、その配線パターンを通じて発光素子172とコネクタ174とが電気的に接続されている。
【0120】
光源170は、その発光面(蛍光体層173の表面)を光源取付部154の反対側に向けている。
【0121】
光源収容部153における光源取付部154側には、反射体180が設けられている。反射体180は樹脂材料からなり、反射体180の表面は例えば白色に形成され、光源170から放出された光に対する反射性を有する。
【0122】
反射体180は、リング状に形成され、その中央孔182に光源170の発光素子172及び蛍光体層173を含む発光面を露出させる。光源170の基板171における発光素子172の実装領域以外の領域のほとんどは、反射体180によって覆い隠される。
【0123】
また、反射体180の中央孔182の内周縁部の一部には、コネクタ遮蔽部181が設けられている。コネクタ174は、発光素子172の実装領域側の一部が反射体180の中央孔182から露出されるだけで、コネクタ174の大部分は反射体180のコネクタ遮蔽部181によって覆い隠されている。発光面から斜めに広がって放射される光を遮蔽しないように、コネクタ174における発光面側の一部は遮蔽しないようにしている。
【0124】
反射体180の中央孔182は、光源170側に位置し、採光開口として機能する。反射体180の採光開口の反対側には、採光開口よりも大きな開口面積の投光開口が形成されている。反射体180は、採光開口から投光開口に向けて拡開し、その内壁面に反射面184が形成されている。
【0125】
反射体180の投光開口は、透光カバー191で覆われている。透光カバー191は、光源170から放出される光に対する透過性を有する。また、透光カバー191に、光源170から放出される光に対する拡散性を与えてもよい。
【0126】
透光カバー191の下方(反射体180の反対側)には化粧枠195が設けられている。化粧枠195は、照明器具150に外観意匠性を与えるとともに、光源170から放出された光の反射、拡散、遮光などの配向制御部材としても機能する。
【0127】
光源収容部153から延出して設けられた点灯ユニット取付部155上には、点灯装置206が設けられている。点灯装置206は、回路基板と、その回路基板上に実装された各種部品を有する。
【0128】
点灯ユニット取付部155の先端部には、端子台取付板207が取り付けられ、その端子台取付板207の下面に端子台203が取り付けられている。点灯装置206および端子台203の上側は、カバー205で覆われている。
【0129】
点灯装置206は、商用電源の交流を直流に変換して光源170に出力し、発光素子172を点灯制御する。端子台203には、天井裏に配線された商用電源の引き込み配線(電源線、アース線)や、天井裏に配線された調光信号線などの制御信号線が接続される。
【0130】
端子台203は、図示しない内部電線を介して、点灯装置206と接続されている。点灯装置206は、光源170および端子台207と電気的に接続され、端子台203に外部から接続された電源線を介して供給される点灯電力を発光素子172に与えるとともに、端子台203に外部から接続された制御信号線を介して入力される制御信号に基づいて発光素子172の点灯状態を制御する。
【0131】
化粧枠195の外壁には、複数(例えば3つ)の取付バネ201が取り付けられている。取付バネ201は板バネであり、第2実施形態の照明器具150は取付バネ201の弾性を利用して、天井に設けられた埋込孔に取り付けられる。
【0132】
光源170から放出された光は、反射板180、透光カバー191および化粧枠195を介して所望の配向性でもって、天井より下方の空間に向けて放出される。
【0133】
第2実施形態によれば、光源170と透光カバー191との間に設けられた反射体180は、光源170と透光カバー191との間の空間に対して、光源170の発光面(蛍光体層173)を露出させ、基板171における発光素子172の実装領域以外の領域のほとんどと、コネクタ174の大部分を覆い隠している。
【0134】
光源170から放出された光の一部は、反射体180や透光カバー191で反射されて基板171側に戻される。そこで、基板面をレジストやシルクで白色にして反射性を持たせたり、基板材料を高反射材料にしたりすることがある。しかし、レジストや基板171に使う樹脂は、反射体180に使用する高反射樹脂材料と比較すると反射率が低く、劣化しやすい。また、樹脂部品であるコネクタ174にも、基板171側に戻ってきた反射光が照射され、コネクタ174が劣化することが懸念されている。
【0135】
第2実施形態によれば、光源170における発光面以外の大部分(コネクタ174も含む)の樹脂部分が反射体180で覆い隠される。このため、光取り出し方向への反射率が上がり、器具効率を高めるとともに、コネクタ174などの樹脂部品を劣化させる要因となる光を遮ることで信頼性が向上する。
【0136】
以上説明した実施形態によれば、光源の一部のみを樹脂としたので、光耐性のよい樹脂を使用しても少量でよく、他の部分は樹脂を使用しないので、高価な光耐性のよい樹脂の使用量を抑えながら、器具全体として長寿命の照明器具を提供することができる。
【0137】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。