(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061091
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】防炎合板用接着剤組成物及び防炎合板の製造方法。
(51)【国際特許分類】
C09J 161/20 20060101AFI20170106BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20170106BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20170106BHJP
C09K 21/12 20060101ALI20170106BHJP
C09K 21/04 20060101ALI20170106BHJP
B27D 1/04 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
C09J161/20
C09J11/04
C09J11/06
C09K21/12
C09K21/04
B27D1/04 K
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-121253(P2013-121253)
(22)【出願日】2013年5月23日
(65)【公開番号】特開2014-227548(P2014-227548A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】511078026
【氏名又は名称】合板技研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】切通 京士
(72)【発明者】
【氏名】平出 喜照
(72)【発明者】
【氏名】進士 知喜
【審査官】
磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭52−000943(JP,A)
【文献】
特開昭62−297374(JP,A)
【文献】
特開昭48−037443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 161/20
B27D 1/04
C09J 11/04
C09J 11/06
C09K 21/04
C09K 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿素メラミン共縮合樹脂アミノ樹脂によるアミノ樹脂による接着剤組成物100重量部に対して、リン酸グアニジン5〜20重量部と第一リン酸アンモニウム0.5〜4.5重量部含有してなる防炎合板用接着剤組成物。
【請求項2】
特許請求の範囲の請求項1記載の防炎合板接着剤組成物を合板用単板に介存せしめ、加圧接着することを特徴とする防炎合板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防炎接着剤組成物を合板用単板に介存、塗布し、防炎機能を持った防炎合板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の防炎合板を得る方法として、一般的な防炎剤リン酸塩等含有水溶液を、合板表面に塗布又は含侵法の防炎合板の製造が行われている。
【0003】
そのほか合板に防炎性能を満たす法として、接着剤に防炎剤を添加する、防炎日本農林告示1650号の防炎合板製造法、尿素樹脂又は尿素メラミン共縮合樹脂100重量部に対して、第一リン酸アンモニウム5〜10部とメラミンプラント廃触媒メラミン及び/又はメラミン異性体を10〜60%含有するアルミナ微粒子混合物を5〜20重量部成る防炎接着剤(特開 昭62−297374)の防炎合板が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献1】特開昭62−297102号公報
【特許文献2】特開昭62−297374号公報
【0004】
普通合板に防炎剤を含侵又は、表裏面塗布による防炎合板の製造は、バッチ処理に伴う品質管理の複雑さや、安定製品化に長時間費やし、特に冬季の乾燥等は乾燥時間が大幅に延長し、熱エネルギーコストが大幅な経費を要しその上、防炎展示用加工(紙貼りオーバーレイ)接着時に於ける表面を阻害するという欠点があった。
【0005】
日本農林告示1650号による防炎合板の製造法は、防炎接着剤製糊時、アルミナ微粒子の不溶解物含有成分を接着剤に均一混合するのに時間を要し、混合撹拌時に発生する撹拌熱が、気温の影響を過大に受け、気温上昇の春期からの防炎合板製造は、防炎剤接着剤の粘度が大幅に上昇し合板用単板間の芯板に、防炎接着剤が基準量塗布されず、安定した品質の防炎合板製造を行う為には、接着剤塗布工程の、配合ミキサー及びスプレッダー塗布機等の冷却設備化を図る為に大幅な設備費用を要し、通年安定価格の防炎合板が量産出来ない等の問題点が生じていた。
【0006】
一方、使用する防炎剤によっては表面性やシックスハウス症候群原因物資であるホルムデヒド放散量など合板の物性を及ぼす場合もある。
【0007】
この発明は、以上のような従来の欠点に鑑み、本発明者は、前記問題を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至ったものである。
すなはち、本発明は尿素メラミン共縮合樹脂アミノ樹脂100重量部に対し、リン酸グアニジン5〜20重量部及び第一リン酸アンモニウム0.5〜4.5重量部含有して成る、防炎合板用接着組成物により防炎合板の製造が可能である。
【0008】
本発明による防炎剤主剤のリン酸グアニジンは溶解促進剤第一リン酸アンモニウムを併用することで、防炎接着剤の製糊が容易で、一般合板用接着剤配合の製糊時間内で混合が可能、撹拌に伴う撹拌熱発生及び環境温度の影響も受けず、防炎接着剤等の早期硬化及び増粘現象は皆無で、防炎接着組成物接着剤を合板用単板に、安定した塗布、介存でき高品質の防炎性能合板が量産出来る。
【0009】
消防施行令に定められた防炎性能を有する防炎合板及びその製造方法は接着剤尿素メラミン共縮合樹脂アミノ樹脂100重量部に対し、リン酸グアニジン12重量部とリン酸グアニジンに溶解促進剤第一リン酸アンモニウム2重量部添加し、合板配合糊用の小麦粉、水、硬化剤として硫酸アンモニウム等を加えて撹拌混合し、防炎合板組成物接着剤含有する接着防炎配合糊が、芯板単板に基準塗布量が保持される事により、更に品質安定な防炎合板の連続生産化が可能。
【0010】
防炎組成物主剤のリン酸グアニジンの量は、尿素メラミン共縮合樹脂に100重量部に対し、5〜20重量部である。5重量部未満では基準の防炎効果が得られないし、20重量部より多ければ防炎性能を得る目的には過剰であって、コストが高くなる上に、防炎剤が接着剤の機能を阻害し増粘、塗布量増加により合板製造上、必須条件の初期接着、仮接着性が著しく劣化、初期接着不具合により、合板性能の接着力も著しく低下、防炎性能低下を招来する。
【0011】
この発明の防炎合板用接着剤組成物を使用して防炎合板を製造すると、塗布及び含侵法に於ける防炎製品化の乾燥工程は全く必要とせず、通常の合板製造工程、接着剤工程に防炎性接着剤調整操作を追加するだけで、品質の良好な消防法規則第4条の3防炎物品防炎合板が製造可能で、塗布及び含侵法による乾燥工程での製品化は、過乾燥に伴う反り発生等の潜在的な品質トラブル発生、熱エネルギーコスト、厳寒期等は更に乾燥コストが大幅上昇、本発明の防炎接着剤組成物添加法の製品は反り等皆無で、市場展示用防炎合板の二次加工、(紙貼りラミネート加工)に優れ、コストも極めて有利である。
【0012】
消防法施行の防炎合板について放散ホルムアルデヒド量に関する規制がないが、近年特にホルムアルデヒドがシックスハウス症候群、アレルギー症の原因物質として、注目されている。本発明の防炎接着剤組成物添加による防炎合板は、合板の日本農林規格第3条せん断強さ試験2類合格、第4条放散ホルムアルデヒド量試験での日本農林規格F☆☆☆☆規格平均0.3mg/L最大0.4mg/L以下の数値を満たし、人、環境に優しい、防炎合板を市場に提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を実施例により更に具体的に説明するが、勿論本発明は以下の実施例のみ限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
以下発明を実施例により具体的に説明する。
3.0mm一般合板の製造条件で、単板構成は0.65mmラワン材を表裏板とし、厚さ1.8mm中芯板を用い、下記第1表に示す成分量で構成されるそれぞれの防炎性接着剤を芯板両面に1平方メートル当たり320g塗布し、その上及び下に0.65mm表裏板を重ね合わせ、下記第1表に示す接着条件で防炎合板を製造した。この様にして製造した3.0mm防炎合板の性能試験結果を表1記載 実施例1に示す。
【実施例2】
【0015】
3.0mm一般合板の製造条件で、単板構成は0.65mmラワン材を表裏板とし、厚さ1.8mm中芯板を用い、下記第1表に示す成分量で構成されるそれぞれの防炎性接着剤を芯板両面に1平方メートル当たり320g塗布し、その上及び下に0.65mm表裏板を重ね合わせ、下記第1表に示す接着条件で防炎合板を製造した。この様にして製造した3.0mm防炎合板の性能試験結果を表1記載 実施例2に示す。
【実施例3】
【0016】
本発明の防炎合板接着組成物がホルムアルデヒド放散量の影響判断として、後述の条件で比較例1を実施、3.0mm一般合板の製造条件で、単板構成は0.65mmラワン材を表裏板とし、厚さ1.8mm中芯板を用い、下記第1表に示す成分量で構成される防炎剤無添加の一般合板用接着剤を芯板両面に1平方メートル当たり320g塗布し、その上及び下に0.65mmの表裏板を重ね合わせ、下記第1表に示す接着条件で一般合板を製造した。この様にして製造した3.0mm一般合板の性能試験結果を表1記載比較例1に示す。
【0017】
本発明に於ける尿素メラミン共縮合樹脂アミノ樹脂として単独のみでなく、尿素樹脂を添加配合して使用出来る。添加配合量は尿素メラミン共縮合アミノ樹脂100重量部に対して20部まで可能である。尿素メラミン共縮合及び尿素混合樹脂を防炎接着剤として用いる場合、通常使用されている充填剤や、増量剤を配合して用いることもできる。充填剤や増量剤としては、小麦粉、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、大豆粉、こんにゃく粉等の各種穀類粉末、木粉、タルク、クレー等の無機等を一種または2種以上用いることが出来る。
【0018】
尿素メラミン共縮合樹脂の硬化剤としては、公知の一般的な硬化剤硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、クエン酸、第一リン酸アンモニウム、硫酸アルミニウム、パラトルエンスルホン酸、ポリ塩化アルミニウム、酢酸、ギ酸、が上げられる。
【0019】
防炎性能の評価は消防法に定められた防炎物品、合板に対して適応される、消防法施行令第4条の3項基準の試験法にて実施し、合板物性試験は合板の日本農林規格、農林水産省告示第1751号第3条並びに第4条の試験法にて実施した。
【0020】
【表1】