(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面中に注記された「前」「後」「左」「右」「上」「下」の方向は、本明細書中の説明において「前」「後」「左」「右」「上」「下」と記述される方向にそれぞれ対応する。但し、実施形態のマトリクスコンバータの各構成の位置関係は、「前」「後」「左」「右」「上」「下」の概念に限定されるものではない。
【0011】
(マトリクスコンバータの回路構成)
まず、
図1、
図2、及び
図3を参照しつつ、本実施形態のマトリクスコンバータの回路構成について説明する。
【0012】
図1〜
図3に示すように、マトリクスコンバータ1は、交流電源2から入力される交流電力を任意の電圧・周波数の交流電力に直接変換して負荷4(この例では交流モータ)に出力する電力変換装置である。
【0013】
なお、マトリクスコンバータ1における交流電源2の入力相数は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、当該入力相数が3相(R相、S相、T相)である場合について説明する。つまり、交流電源2は、3相交流電源である。また、マトリクスコンバータ1における負荷4の出力相数は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、当該出力相数が3相(U相、V相、W相)である場合について説明する。つまり、負荷4は、3相交流負荷(この例では3相交流モータ)である。さらに、負荷4としては、交流モータに限定されるものではなく、マトリクスコンバータ1から入力される交流電力に基づいて作動することが可能な電子機器であれば、特に限定されるものではない。
【0014】
このマトリクスコンバータ1は、3個のACリアクトルL1,L2,L3と、複数の第1双方向スイッチQ1と、複数の第2双方向スイッチQ2と、複数のACコンデンサ部ACと、複数のスナバコンデンサSCと、ゲートドライブ回路10とを有する。
【0015】
本実施形態では、第1双方向スイッチQ1は、9個設けられ、第2双方向スイッチQ2は、第1双方向スイッチQ1と同数、つまり9個を1グループとして、1グループ設けられる。以下適宜、第1双方向スイッチQ1及び第2双方向スイッチQ2を区別なく示す場合には、単に「双方向スイッチQ」という。また、ACコンデンサ部AC及びスナバコンデンサSCは、それぞれ、双方向スイッチQと同数、つまり18個設けられる。なお、
図1中では、図示の煩雑化を防止するため、双方向スイッチQ、ACコンデンサ部AC、スナバコンデンサSCの図示を省略し、これらに対応する回路上の位置を「BLOCK」として、概念的に図示している。
【0016】
ACリアクトルL1,L2,L3は、それぞれ、交流電源2のR相、S相、T相に接続される。以下適宜、ACリアクトルL1,L2,L3を区別なく示す場合には、単に「ACリアクトルL」という。これらACリアクトルL1〜L3の出力側では、それぞれ、電源線が6本に分岐する。以下適宜、ACリアクトルLの出力側で分岐した各電源線を「分岐後電源線」という。
【0017】
9個の第1双方向スイッチQ1は、それぞれ、電気的に並列でかつ逆方向に接続される2つのスイッチ部SW1,SW2(この例ではIGBT)を備える(
図2中の部分拡大図参照)。なお、スイッチ部SW1,SW2としては、IGBTに限定されるものではなく、例えばMOSFETやGTO等の、ゲートドライブ回路10によりスイッチング制御(オン・オフ制御)可能な装置を含む構成であれば、特に限定されるものではない。また、各第1双方向スイッチQ1の構成は、2つのスイッチ部SW1,SW2を備える構成に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。これら9個の第1双方向スイッチQ1は、それぞれ、ACリアクトルL1〜L3のいずれかの出力側においてR相、S相、T相のいずれかに接続されると共に、負荷4のU相、V相、W相のいずれかと接続される。すなわち、9個の第1双方向スイッチQ1は、3個を1組として、3組に区分される。そして、各組に係る3個の第1双方向スイッチQ1は、ACリアクトルL1〜L3の各々の出力側においてR相、S相、T相の各々に接続されると共に、負荷4の同一の出力相に電気的に並列に接続される。この際、各組では、第1双方向スイッチQ1の接続対象とする出力相が異なる。
【0018】
つまり、第1双方向スイッチQ1に係る3組は、それぞれ、「BLOCK1」「BLOCK2」「BLOCK3」に示す回路上の位置に配置される。
図2に示すように、「BLOCK1」では、第1スイッチモジュールQM1a,QM1b,QM1cとして各々モジュール化された3個の第1双方向スイッチQ1が、R相、S相、T相の各々に接続されると共に、U相に電気的に並列に接続される。また、特に図示はしないが、「BLOCK2」では、第1スイッチモジュールQM1d,QM1e,QM1f(後述の
図4参照)として各々モジュール化された3個の第1双方向スイッチQ1が、R相、S相、T相の各々に接続されると共に、V相に電気的に並列に接続される。また、特に図示はしないが、「BLOCK3」では、第1スイッチモジュールQM1g,QM1h,QM1i(後述の
図4参照)として各々モジュール化された3個の第1双方向スイッチQ1が、R相、S相、T相の各々に接続されると共に、W相に電気的に並列に接続される。以下適宜、第1スイッチモジュールQM1a〜QM1iを区別なく示す場合には、単に「第1スイッチモジュールQM1」という。
【0019】
9個の第2双方向スイッチQ2は、それぞれ、上記第1双方向スイッチQ1と同様に構成される。これら9個の第2双方向スイッチQ2は、それぞれ、ACリアクトルL1〜L3のいずれかの出力側においてR相、S相、T相のいずれかに接続されると共に、負荷4のU相、V相、W相のいずれかと接続される。この際、9個の第2双方向スイッチQ2は、それぞれ、第1双方向スイッチQ1が接続される入力相と同一の入力相に対し、当該第1双方向スイッチQ1と電気的に並列に接続されると共に、第1双方向スイッチQ1が接続される出力相と同一の出力相に対し、当該第1双方向スイッチQ1と電気的に並列に接続される。すなわち、9個の第2双方向スイッチQ2は、3個を1組として、3組に区分される。そして、各組に係る3個の第2双方向スイッチQ2は、ACリアクトルL1〜L3の各々の出力側においてR相、S相、T相の各々に接続されると共に、負荷4の同一の出力相に電気的に並列に接続される。この際、各組では、第2双方向スイッチQ2の接続対象とする出力相が異なる。
【0020】
つまり、第2双方向スイッチQ2に係る3組は、それぞれ、「BLOCK4」「BLOCK5」「BLOCK6」に示す回路上の位置に配置される。
図3に示すように、「BLOCK4」では、第2スイッチモジュールQM2a,QM2b,QM2cとして各々モジュール化された3個の第2双方向スイッチQ2が、R相、S相、T相の各々に接続されると共に、U相に電気的に並列に接続される。また、特に図示はしないが、「BLOCK5」では、第2スイッチモジュールQM2d,QM2e,QM2f(後述の
図4参照)として各々モジュール化された3個の第2双方向スイッチQ2が、R相、S相、T相の各々に接続されると共に、V相に電気的に並列に接続される。また、特に図示はしないが、「BLOCK6」では、第2スイッチモジュールQM2g,QM2h,QM2i(後述の
図4参照)として各々モジュール化された3個の第2双方向スイッチQ2が、R相、S相、T相の各々に接続されると共に、W相に電気的に並列に接続される。以下適宜、第2スイッチモジュールQM2a〜QM2iを区別なく示す場合には、単に「第2スイッチモジュールQM2」という。また、以下適宜、第1スイッチモジュールQM1及び第2スイッチモジュールQM2を区別なく示す場合には、単に「スイッチモジュールQM」という。
【0021】
18個のACコンデンサ部ACは、それぞれ、電気的に並列に接続される複数のACコンデンサ(図示せず)を備える。これら18個のACコンデンサ部ACは、3個を1組として、6組に区分される。そして、各組に係る3個のACコンデンサ部ACは、ACリアクトルL1〜L3の各々の出力側で分岐し、かつ同一の組に係る3個の双方向スイッチQの各々が接続される3本の分岐後電源線において、R相、S相、T相と結線(例えばスター結線)される。
【0022】
18個のスナバコンデンサSCは、3個を1組として、6組に区分される。そして、各組に係る3個のスナバコンデンサSCは、ACリアクトルL1〜L3の各々の出力側で分岐し、かつ同一の組に係る3個の双方向スイッチQの各々が接続される3本の分岐後電源線において、R相、S相、T相と結線される。
【0023】
つまり、ACコンデンサ部ACに係る6組及びスナバコンデンサSCに係る6組は、それぞれ、「BLOCK1」〜「BLOCK6」に示す回路上の位置に配置される。
【0024】
「BLOCK1」〜「BLOCK3」では、当該「BLOCK」に示す回路上の位置に配置される3個の第1双方向スイッチQ1の各々が接続される3本の分岐後電源線において、3個のACコンデンサ部ACがR相、S相、T相と結線されると共に、3個のスナバコンデンサSCがR相、S相、T相と結線される(
図2参照)。この際、
図2に示すように、「BLOCK1」における3個のACコンデンサ部AC及び3個のスナバコンデンサSCは、コンデンサモジュールCM1(後述の
図5も参照)としてモジュール化される。また、特に図示はしないが、「BLOCK2」における3個のACコンデンサ部AC及び3個のスナバコンデンサSCは、コンデンサモジュールCM2(後述の
図5参照)としてモジュール化される。また、特に図示はしないが、「BLOCK3」における3個のACコンデンサ部AC及び3個のスナバコンデンサSCは、コンデンサモジュールCM3(後述の
図5参照)としてモジュール化される。
【0025】
「BLOCK4」〜「BLOCK6」では、当該「BLOCK」に示す回路上の位置に配置される3個の第2双方向スイッチQ2の各々が接続される3本の分岐後電源線において、3個のACコンデンサ部ACがR相、S相、T相と結線されると共に、3個のスナバコンデンサSCがR相、S相、T相と結線される(
図3参照)。この際、
図3に示すように、「BLOCK4」における3個のACコンデンサ部AC及び3個のスナバコンデンサSCは、コンデンサモジュールCM4(後述の
図5も参照)としてモジュール化される。また、特に図示はしないが、「BLOCK5」における3個のACコンデンサ部AC及び3個のスナバコンデンサSCは、コンデンサモジュールCM5(後述の
図5参照)としてモジュール化される。また、特に図示はしないが、「BLOCK6」における3個のACコンデンサ部AC及び3個のスナバコンデンサSCは、コンデンサモジュールCM6(後述の
図5参照)としてモジュール化される。以下適宜、コンデンサモジュールCM1〜CM6を区別なく示す場合には、単に「コンデンサモジュールCM」という。
【0026】
ゲートドライブ回路10は、9個の第1双方向スイッチQ1(言い換えれば第1スイッチモジュールQM1a〜QM1i)の各々と、9本の第1信号配線W1(
図2参照)の各々により接続されると共に、9個の第2双方向スイッチQ2(言い換えれば第2スイッチモジュールQM2a〜QM2i)の各々と、9本の第2信号配線W2(
図3参照)の各々により接続される。このゲートドライブ回路10は、9個の第1双方向スイッチQ1及び9個の第2双方向スイッチQ2をスイッチング制御することで、これら18個の双方向スイッチQに対しスイッチング動作を実行させる。この際、同一の入力相及び出力相に対し電気的に並列に接続されるスイッチモジュールQM1,QM2の信号配線W1,W2は、長さが等しく構成される。
【0027】
つまり、
図2及び
図3に示す、R相及びU相に対し電気的に並列に接続されるスイッチモジュールQM1a,QM2aの信号配線W1,W2は、長さが等しく形成される。S相及びU相に対し電気的に並列に接続されるスイッチモジュールQM1b,QM2bの信号配線W1,W2は、長さが等しく形成される。T相及びU相に対し電気的に並列に接続されるスイッチモジュールQM1c,QM2cの信号配線W1,W2は、長さが等しく形成される。また、特に図示はしないが、R相及びV相に対し電気的に並列に接続されるスイッチモジュールQM1d,QM2dの信号配線W1,W2は、長さが等しく形成される。S相及びV相に対し電気的に並列に接続されるスイッチモジュールQM1e,QM2eの信号配線W1,W2は、長さが等しく形成される。T相及びV相に対し電気的に並列に接続されるスイッチモジュールQM1f,QM2fの信号配線W1,W2は、長さが等しく形成される。また、特に図示はしないが、R相及びW相に対し電気的に並列に接続されるスイッチモジュールQM1g,QM2gの信号配線W1,W2は、長さが等しく形成される。また、S相及びW相に対し電気的に並列に接続されるスイッチモジュールQM1h,QM2hの信号配線W1,W2は、長さが等しく形成される。また、T相及びW相に対し電気的に並列に接続されるスイッチモジュールQM1i,QM2iの信号配線W1,W2は、長さが等しく形成される。
【0028】
(スイッチモジュールの配置構成の概要)
次に、
図4を参照しつつ、スイッチモジュールQMの配置構成の概要について説明する。
【0029】
図4に示すように、マトリクスコンバータ1においては、第1スイッチモジュールQM1a〜QM1iは、1つにまとまって配置される。具体的には、第1スイッチモジュールQM1a〜QM1iは、U相、V相、W相ごとに、R相、S相、T相の各々に接続される3個の第1スイッチモジュールQM1同士が近接して配置される。より具体的には、第1スイッチモジュールQM1a〜QM1iは、U相、V相、W相ごとに、R相、S相、T相の各々に接続される3個の第1スイッチモジュールQM1同士が近接してマトリクスコンバータ1の筐体110(後述の
図5参照)の長さ方向である上下方向に沿って一列に配置される。
【0030】
つまり、R相、S相、T相の各々に接続されると共にU相に電気的に並列に接続される第1スイッチモジュールQM1a,QM1b,QM1cは、互いに近接して上下方向に沿って一列に配置される(後述の
図6等も参照)。また、R相、S相、T相の各々に接続されると共にV相に電気的に並列に接続される第1スイッチモジュールQM1d,QM1e,QM1fは、互いに近接して上下方向に沿って一列に配置される(後述の
図6等も参照)。また、R相、S相、T相の各々に接続されると共にW相に電気的に並列に接続される第1スイッチモジュールQM1g,QM1h,QM1iは、互いに近接して上下方向に沿って一列に配置される(後述の
図6等も参照)。この際、U相に接続される第1スイッチモジュールQM1a,QM1b,QM1cの列と、V相に接続される第1スイッチモジュールQM1d,QM1e,QM1fの列と、W相に接続される第1スイッチモジュールQM1g,QM1h,QM1iの列とは、左右方向に沿って配置される(後述の
図6等も参照)。したがって、9個の第1スイッチモジュールQM1a〜QM1iは、上下方向及び左右方向に沿って3×3のマトリクス状に配置される。
【0031】
なお、複数の第1スイッチモジュールQM1の配置は、上記のような配置に限定されるものではなく、他の配置であってもよい。
【0032】
また、第2スイッチモジュールQM2a〜QM2iは、グループごとにまとまって配置される。なお、本実施形態では、第2スイッチモジュールQM2a〜QM2iは、1グループとして設けられる。したがって、1グループに係る第2スイッチモジュールQM2a〜QM2iは、1つにまとまって配置される。具体的には、第2スイッチモジュールQM2a〜QM2iは、U相、V相、W相ごとに、R相、S相、T相の各々に接続される3個の第2スイッチモジュールQM2同士が近接して配置される。より具体的には、第2スイッチモジュールQM2a〜QM2iは、U相、V相、W相ごとに、R相、S相、T相の各々に接続される3個の第2スイッチモジュールQM2同士が近接して上下方向に沿って一列に配置される。
【0033】
つまり、R相、S相、T相の各々に接続されると共にU相に電気的に並列に接続される第2スイッチモジュールQM2a,QM2b,QM2cは、互いに近接して上下方向に沿って一列に配置される(後述の
図6等も参照)。また、R相、S相、T相の各々に接続されると共にV相に電気的に並列に接続される第2スイッチモジュールQM2d,QM2e,QM2fは、互いに近接して上下方向に沿って一列に配置される(後述の
図6等も参照)。また、R相、S相、T相の各々に接続されると共にW相に電気的に並列に接続される第2スイッチモジュールQM2g,QM2h,QM2iは、互いに近接して上下方向に沿って一列に配置される(後述の
図6等も参照)。この際、U相に接続される第2スイッチモジュールQM2a,QM2b,QM2cの列と、V相に接続される第2スイッチモジュールQM2d,QM2e,QM2fの列と、W相に接続される第2スイッチモジュールQM2g,QM2h,QM2iの列とは、左右方向に沿って配置される(後述の
図6等も参照)。したがって、9個の第2スイッチモジュールQM2a〜QM2iは、上下方向及び左右方向に沿って3×3のマトリクス状に配置される。
【0034】
なお、複数の第2スイッチモジュールQM2の配置は、上記のような配置に限定されるものではなく、他の配置であってもよい。
【0035】
そして、一の出力相に接続される3個の第1スイッチモジュールQM1と3個の第2スイッチモジュールQM2とは、上下方向に沿った一列のスイッチ列として配置される。
【0036】
つまり、U相に接続される第1スイッチモジュールQM1a,QM1b,QM1cと第2スイッチモジュールQM2a,QM2b,QM2cとは、上下方向に沿った一列のU相出力スイッチ列として配置される(後述の
図6等も参照)。また、V相に接続される第1スイッチモジュールQM1d,QM1e,QM1fと第2スイッチモジュールQM2d,QM2e,QM2fとは、上下方向に沿った一列のV相出力スイッチ列として配置される(後述の
図6等も参照)。また、W相に接続される第1スイッチモジュールQM1g,QM1h,QM1iと第2スイッチモジュールQM2g,QM2h,QM2iとは、上下方向に沿った一列のW相出力スイッチ列として配置される(後述の
図6等も参照)。
【0037】
(マトリクスコンバータの具体的構成)
次に、
図5、
図6、
図7、及び
図8を参照しつつ、マトリクスコンバータ1の具体的構成について説明する。なお、
図6〜
図8中では、図示の煩雑化を防止するため、マトリックスコンバータ1の部品同士の接続線を一部省略して図示している。
【0038】
図5〜
図8に示すように、マトリクスコンバータ1は、筐体110と、風洞部120と、本体部130と、本体部130を収納する本体ケース(図示せず)とを有する。本体部130は、上記ACリアクトルL1〜L3と、上記第1スイッチモジュールQM1a〜QM1iと、上記第2スイッチモジュールQM2a〜QM2iと、上記コンデンサモジュールCM1〜CM6と、上記ゲートドライブ回路10を備えた基板(図示せず)とを有する。なお、
図5〜
図8中では、説明の便宜上、マトリクスコンバータ1を、筐体110の長さ方向、当該長さ方向に垂直な幅方向、当該長さ方向及び幅方向に垂直な奥行き方向が、それぞれ、上下方向、左右方向、前後方向となるように、図示している。この場合、上下方向は、第1方向に相当する。
【0039】
筐体110のベース(図示せず)には、3個のヒートシンク190a,190b,190cが左右方向に沿って隣接して取り付けられる。なお、筐体110のベースに取り付けられるヒートシンクの個数は、3個に限定されるものではなく、他の個数であってもよい。例えば、もっと幅広のヒートシンクが筐体110のベースに1個又は2個取り付けられたり、もっと幅狭のヒートシンクが筐体110のベースに4個以上取り付けられてもよい。各ヒートシンク190a〜190cは、アルミニウムや銅等の熱が伝導しやすい材料で構成される。これら各ヒートシンク190a〜190cは、略板状のベース191と、ベース191に立設された複数のフィン192とを備え、フィン192が風洞部120に収納されるように、筐体110のベースに取り付けられる。
【0040】
左側のヒートシンク190aのベース191の前面には、上記第1スイッチモジュールQM1a,QM1b,QM1cが互いに近接して上下方向に沿って一列に載置されると共に、上記第2スイッチモジュールQM2a,QM2b,QM2cが互いに近接して上下方向に沿って一列に載置される。これにより、左側のヒートシンク190aのベース191の前面には、上記U相出力スイッチ列が構成される。
【0041】
中央のヒートシンク190bのベース191の前面には、上記第1スイッチモジュールQM1d,QM1e,QM1fが互いに近接して上下方向に沿って一列に載置されると共に、上記第2スイッチモジュールQM2d,QM2e,QM2fが互いに近接して上下方向に沿って一列に載置される。これにより、中央のヒートシンク190bのベース191の前面には、上記V相出力スイッチ列が構成される。
【0042】
右側のヒートシンク190cのベース191の前面には、上記第1スイッチモジュールQM1g,QM1h,QM1iが互いに近接して上下方向に沿って一列に載置されると共に、上記第2スイッチモジュールQM2g,QM2h,QM2iが互いに近接して上下方向に沿って一列に載置される。これにより、右側のヒートシンク190cのベース191の前面には、上記W相出力スイッチ列が構成される。
【0043】
風洞部120は、筐体110の内部に形成された、冷媒(例えば空気)を流すための空間であり、上記U相出力スイッチ列、V相出力スイッチ列、及びW相出力スイッチ列に沿った方向と平行な向き、つまり上下方向に冷媒を流すように構成される。すなわち、筐体110の下壁部には、(この例では3個の)開口部112が形成され、筐体110の上端部には、(この例では2個の)ファン150が取り付けられる。そして、ファン150が開口部112から吸気して筐体110の上端部で排気することで、風洞部120に、上下方向(具体的には下方から上方)に冷媒が流れる。なお、ファン150が筐体110の上端部から吸気して開口部112で排気することで、風洞部120に、上下方向(具体的には上方から下方)に冷媒が流れてもよい。また、風洞部120での冷媒の流れる向きは、上下方向に限定されるものではなく、他の向き(例えば左右方向)であってもよい。
【0044】
ACリアクトルL1〜L3は、風洞部120のヒートシンク190a〜190cよりも上側(冷媒の流れる向きの下流側)に左右方向に沿って設置される。これらACリアクトルL1,L2,L3は、それぞれ、バスバー(図示せず)により、交流電源2のR相、S相、T相に接続される。すなわち、各ACリアクトルL1〜L3は、風洞部120からその前方(本体ケースに収納される部分)に突出した2つの端子LT1,LT2を備える。ACリアクトルL1,L2,L3の各々の端子LT1には、それぞれ、交流電源2のR相に接続されるバスバーの端子、S相に接続されるバスバーの端子、及びT相に接続されるバスバーの端子が、ねじにより締結されて接続される。なお、各ACリアクトルL1〜L3は、ケーブルにより、交流電源2の各出力相に接続されてもよい。
【0045】
第1スイッチモジュールQM1a〜QM1i及び第2スイッチモジュールQM2a〜QM2iは、それぞれ、左端部に2つの端子QT11,QT12を備えると共に、右端部に2つの端子QT13,QT14を備える。
【0046】
コンデンサモジュールCM1〜CM6は、それぞれ、樹脂製のモジュールカバーMCを備える。なお、モジュールカバーMCは、必ず樹脂製である必要はなく、樹脂以外の材料で構成されたものであってもよい。各コンデンサモジュールCM1〜CM6のモジュールカバーMCには、対応する3個のスイッチモジュールQMに対応する3個のACコンデンサ部AC及び3個のスナバコンデンサSCが収容される。なお、この例では、3個のスイッチモジュールQMに対応する3個のACコンデンサAC及び3個のスナバコンデンサSCは、モジュールカバーMCにより収容されてコンデンサモジュールCMとしてモジュール化された状態で設置されるが、これに限定されるものではない。例えば、3個のACコンデンサACは、モジュールカバーにより収容されてコンデンサモジュールとしてモジュール化された状態で設置されるが、3個のスナバコンデンサSCは、当該コンデンサモジュールとは別体として設置されてもよい。
【0047】
つまり、コンデンサモジュールCM1のモジュールカバーMCには、第1スイッチモジュールQM1a,QM1b,QM1cに対応する3個のACコンデンサ部AC及び3個のスナバコンデンサSCが収容される。コンデンサモジュールCM2のモジュールカバーMCには、第1スイッチモジュールQM1d,QM1e,QM1fに対応する3個のACコンデンサ部AC及び3個のスナバコンデンサSCが収容される。コンデンサモジュールCM3のモジュールカバーMCには、第1スイッチモジュールQM1g,QM1h,QM1iに対応する3個のACコンデンサ部AC及び3個のスナバコンデンサSCが収容される。コンデンサモジュールCM4のモジュールカバーMCには、第2スイッチモジュールQM2a,QM2b,QM2cに対応する3個のACコンデンサ部AC及び3個のスナバコンデンサSCが収容される。コンデンサモジュールCM5のモジュールカバーMCには、第2スイッチモジュールQM2d,QM2e,QM2fに対応する3個のACコンデンサ部AC及び3個のスナバコンデンサSCが収容される。コンデンサモジュールCM6のモジュールカバーMCには、第2スイッチモジュールQM2g,QM2h,QM2iに対応する3個のACコンデンサ部AC及び3個のスナバコンデンサSCが収容される。
【0048】
各コンデンサモジュールCM1〜CM6のモジュールカバーMCは、対応する3個のスイッチモジュールQMに対応する長さ(当該3個のスイッチモジュールQMの列とほぼ同じ長さ)を有する。なお、各コンデンサモジュールCM1〜CM6のモジュールカバーMCは、必ず対応する3個のスイッチモジュールQMに対応する長さを有する必要はなく、当該長さよりも長くてもよいし又は短くてもよい。
【0049】
(コンデンサモジュールの構成)
以下、
図9A、
図9B、
図9C、及び
図10を参照しつつ、コンデンサモジュールCM1〜CM6の構成について説明する。
【0050】
図9A、
図9B、
図9C、及び
図10に示すように、各コンデンサモジュールCM1〜CM6のモジュールカバーMCは、3個のACコンデンサ部ACを収容する略直方体状の第1収容部MC1と、3個のスナバコンデンサSCを収容する略直方体状の第2収容部MC2とを有する。なお、3個のACコンデンサ部AC及び3個のスナバコンデンサSCは、共通の収容部により収容されてもよい。
【0051】
第1収容部MC1は、収容する3個のACコンデンサ部ACの各々の入出力端子T1,T2,T3と、当該3個のACコンデンサ部ACの結線の中性点N(
図2及び
図3参照)に接続された中性点端子TNとを備える。
【0052】
各入出力端子T1,T2,T3は、モジュールカバーMCの幅方向一方側(この例では右側)において、第1収容部MC1の底面bs1から突出して設けられる。各入出力端子T1,T2,T3は、その先端部の面方向が底面bs1と平行となるように曲がって形成される。中性点端子TNは、第1収容部MC1の側面(この例では左側面ls)に配置され、その先端部の面方向が底面bs1と平行となるように形成される。
【0053】
第2収容部MC2は、モジュールカバーMCの幅方向他方側(この例では左側)で、かつ第1収容部MC1の後方に配置される。これにより、モジュールカバーMCでは、3個のACコンデンサ部ACよりも第2収容部MC2の底面bs2側(この例では後側)に3個のスナバコンデンサSCが収容される。この第2収容部MC2は、収容する3個のスナバコンデンサSCの各々の入出力端子を備える。
【0054】
つまり、第2収容部MC2は、モジュールカバーMCの幅方向に垂直な奥行き方向一方側(この例では上側)のスナバコンデンサSCの入出力端子T4a,T4b,T4c,T4dと、モジュールカバーMCの奥行き方向他方側(この例では下側)のスナバコンデンサSCの入出力端子T5a,T5b,T5c,T5dと、中央のスナバコンデンサSCの入出力端子T6a,T6bとを備える。
【0055】
各入出力端子T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bは、モジュールカバーMCの左側において、底面bs2から突出して設けられる。各入出力端子T4c,T4dは、モジュールカバーMCの上側において、底面bs2から突出して設けられる。各入出力端子T5c,T5dは、モジュールカバーMCの下側において、底面bs2から突出して設けられる。各入出力端子T4a,T4b,T4c,T4d,T5a,T5b,T5c,T5d,T6a,T6bは、その先端部の面方向が底面bs2と平行となるように曲がって形成される。
【0056】
この際、各入出力端子T1,T2,T3,T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bの先端部の、モジュールカバーMCの幅方向及び奥行き方向に垂直な深さ方向(この例では前後方向)位置は、他の各入出力端子T4c,T4d,T5c,T5dの先端部の前後方向位置よりも後側に位置する。そして、入出力端子T1,T2,T3,T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bの各々の先端部の前後方向位置は、互いに一致する。なお、入出力端子T1,T2,T3,T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bの各々の先端部の前後方向位置は、必ず互いに一致する必要はない。
【0057】
このような構成の各コンデンサモジュールCM1〜CM6は、その左右両側に配置された入出力端子T1,T2,T3,T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bにより、対応する3個のスイッチコンデンサQM上に自立可能(底面bs1,bs2が接地しないように立つことが可能)である(
図10参照)。つまり、モジュールカバーMCの左右両側に配置された入出力端子T1,T2,T3,T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bにより、複数の端子が構成される。
【0058】
なお、入出力端子T4c,T4d,T5c,T5dの各々の先端部の前後方向位置を、入出力端子T1,T2,T3,T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bの各々の先端部の前後方向位置と、互いに一致させてもよい。この場合、各コンデンサモジュールCM1〜CM6を、これら入出力端子T1,T2,T3,T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bと入出力端子T4c,T4d,T5c,T5dとにより、対応する3個のスイッチコンデンサQM上に自立可能である。このようにする場合、モジュールカバーMCの、左右両側に配置された入出力端子T1,T2,T3,T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bと、上下両側に配置された入出力端子T4c,T4d,T5c,T5dとにより、複数の端子が構成される。また、各コンデンサモジュールCM1〜CM6は、必ず、モジュールカバーMCの底面から突出した複数の端子により、対応する3個のスイッチコンデンサQM上に自立可能である必要はなく、固定部材(板金等)により支持されることで設置可能であってもよい。
【0059】
(各バスバーの構成)
図5〜
図8に示すように、ACリアクトルL1,L2,L3と、対応するスイッチモジュールQMとは、ラミネートバスバー11と、3個のラミネートバスバー12により接続される。なお、ラミネートバスバー11及びラミネートバスバー12は、第2バスバーに相当する。また、ACリアクトルL1,L2,L3と、対応するスイッチモジュールQMとは、他の構成のバスバーやケーブルにより接続されてもよい。
【0060】
ラミネートバスバー11は、その厚み方向一方側(この例では後側)から他方側(この例では前側)に向けて、平板状の第1のバスバー11A、第1の絶縁シート(図示せず)、平板状の第2のバスバー11B、第2の絶縁シート(図示せず)、及び平板状の第3のバスバー11Cをこの順序で積層して構成される。なお、第1のバスバー11A、第2のバスバー11B、及び第3のバスバー11Cは、導体に相当する。上記第1の絶縁シートにより、第1のバスバー11Aと第2のバスバー11Bとの短絡を抑制することが可能であり、上記第2の絶縁シートにより、第2のバスバー11Bと第3のバスバー11Cとの短絡を抑制することが可能である。
【0061】
第1のバスバー11Aは、左右方向に延びる第1平板部の左端部に端子11A1を備えると共に、当該第1平板部の左端部、中間部、右端部の各々から下方に延びる3個の第2平板部の各々の先端部に3個の端子(図示せず。以下適宜「第1の端子」という。)を備える。第2のバスバー11Bは、左右方向に延びる第1平板部の左端部に端子11B1を備えると共に、当該第1平板部の左端部、中間部、右端部の各々から下方に延びる3個の第2平板部の各々の先端部に3個の端子(図示せず。以下適宜「第2の端子」という。)を備える。第3のバスバー11Cは、左右方向に延びる第1平板部の左端部に端子11C1を備えると共に、当該第1平板部の左端部、中間部、右端部の各々から下方に延びる3個の第2平板部の各々の先端部に3個の端子(図示せず。以下適宜「第3の端子」という。)を備える。
【0062】
端子11A1,11B1,11C1は、ラミネートバスバー11のほぼ同一の上下方向位置において、左方から右方に向けてこの順序で配置される。バスバー11A,11B,11Cの各々の左端側の第1の端子、第2の端子、第3の端子は、ラミネートバスバー11のほぼ同一の左右方向位置において、上方から下方に向けてこの順序で配置される。バスバー11A,11B,11Cの各々の中央及び右端側の第1の端子、第2の端子、第3の端子についても同様である。
【0063】
各ラミネートバスバー12は、その厚み方向一方側(この例では左側)から他方側(この例では右側)に向けて、平板状の第1のバスバー12A、第1の絶縁シート12D、平板状の第2のバスバー12B、第2の絶縁シート12E、及び平板状の第3のバスバー12Cをこの順序で積層して構成される。なお、第1のバスバー12A、第2のバスバー12B、及び第3のバスバー12Cは、導体に相当する。絶縁シート12Dにより、第1のバスバー12Aと第2のバスバー12Bとの短絡を抑制することが可能であり、第2の絶縁シート12Eにより、第2のバスバー12Bと第3のバスバー12Cとの短絡を抑制することが可能である。
【0064】
第1のバスバー12Aは、上端側に、前方に突出した端子12A1と、後方に突出した端子12A2とを備えると共に、下端側に、後方に突出した端子12A3を備える。各端子12A1,12A2,12A3は、その先端部の面方向がラミネートバスバー12の厚み方向と平行となるように曲がって形成される。第2のバスバー12Bは、上端側に、前方に突出した端子12B1と、後方に突出した端子12B2とを備えると共に、下端側に、後方に突出した端子12B3を備える。各端子12B1,12B2,12B3は、その先端部の面方向がラミネートバスバー12の厚み方向と平行となるように曲がって形成される。第3のバスバー12Cは、上端側に、前方に突出した端子12C1と、後方に突出した端子12C2とを備えると共に、下端側に、後方に突出した端子12C3を備える。各端子12C1,12C2,12C3は、その先端部の面方向がラミネートバスバー12の厚み方向と平行となるように曲がって形成される。
【0065】
端子12A1,12B1,12C1は、ラミネートバスバー12のほぼ同一の左右方向位置において、上方から下方に向けてこの順序で配置される。端子12A2,12B2,12C2,12A3,12B3,12C3は、ラミネートバスバー12のほぼ同一の左右方向位置において、上方から下方に向けてこの順序で配置される。
【0066】
また、負荷4のU相、V相、W相と、対応するスイッチモジュールQMとは、3個のバスバー13と、バスバー14とにより接続される。なお、負荷4のU相、V相、W相と、対応するスイッチモジュールQMとは、他の構成のバスバーやケーブルにより接続されてもよい。
【0067】
各バスバー13は、その長さ方向一端部(この例では上端部)から他端部(この例では下端部)に亘る6箇所に、後方に突出した端子131,132,133,134,135,136を備えると共に、下端部に、前方に突出した端子137を備える。各端子131〜137は、その先端部の面方向がバスバー13の厚み方向(この例では左右方向)と平行となるように曲がって形成される。
【0068】
(マトリクスコンバータの各構成の接続関係)
スイッチモジュールQM1a,QM1b,QM1c,QM2a,QM2b,QM2cの各々の端子QT13には、それぞれ、ラミネートバスバー12の端子12A2,12B2,12C2,12A3,12B3,12D3が接続される。また、第1スイッチモジュールQM1a,QM1b,QM1cの各々の端子QT13には、それぞれ、コンデンサモジュールCM1の入出力端子T1,T2,T3(
図9B等参照)も接続され、上記ラミネートバスバー12の端子12A2,12B2,12C2と共に、ねじにより締結されて固定される。また、第2スイッチモジュールQM2a,QM2b,QM2cの各々の端子QT13には、それぞれ、コンデンサモジュールCM4の入出力端子T1,T2,T3(
図9B等参照)も接続され、上記ラミネートバスバー12の端子12A3,12B3,12D3と共に、ねじにより締結されて固定される。また、スイッチモジュールQM1d,QM1e,QM1f,QM2d,QM2e,QM2fの各々の端子QT13についても同様に、ラミネートバスバー12とコンデンサモジュールCM2,CM5とが接続される。さらに、スイッチモジュールQM1g,QM1h,QM1i,QM2g,QM2h,QM2iの各々の端子QT13についても同様に、ラミネートバスバー12とコンデンサモジュールCM3,CM6とが接続される。
【0069】
そして、スイッチモジュールQM1a,QM1b,QM1c,QM2a,QM2b,QM2cに接続されるラミネートバスバー12の端子12A1,12B1,12C1には、それぞれ、ラミネートバスバー11の左端側の第1の端子、第2の端子、第3の端子が、ねじにより締結されて接続される。スイッチモジュールQM1d,QM1e,QM1f,QM2d,QM2e,QM2fに接続されるラミネートバスバー12の端子12A1,12B1,12C1には、それぞれ、ラミネートバスバー11の中央の第1の端子、第2の端子、第3の端子が、ねじにより締結されて接続される。スイッチモジュールQM1g,QM1h,QM1i,QM2g,QM2h,QM2iに接続されるラミネートバスバー12の端子12A1,12B1,12C1には、それぞれ、ラミネートバスバー11の右端側の第1の端子、第2の端子、第3の端子が、ねじにより締結されて接続される。
【0070】
そして、ラミネートバスバー11の端子11A1,11B1,11C1には、それぞれ、バスバー17を介して、ACリアクトルL1,L2,L3の各々の端子LT2が接続される。
【0071】
また、第1スイッチモジュールQM1a,QM1b,QM1cの各々の端子QT11,QT12には、それぞれ、コンデンサモジュールCM1の入出力端子4a,4b、入出力端子6a,6b、入出力端子5a,5bが、ねじにより締結されて接続される。また、第1スイッチモジュールQM1d,QM1e,QM1fの各々の端子QT11,QT12についても同様に、コンデンサモジュールCM2が接続される。さらに、第1スイッチモジュールQM1g,QM1h,QM1iの各々の端子QT11,QT12についても同様に、コンデンサモジュールCM3が接続される。第2スイッチモジュールQM2a,QM2b,QM2cの各々の端子QT11,QT12には、それぞれ、コンデンサモジュールCM4の入出力端子4a,4b、入出力端子6a,6b、入出力端子5a,5bが、ねじにより締結されて接続される。また、第2スイッチモジュールQM2d,QM2e,QM2fの各々の端子QT11,QT12についても同様に、コンデンサモジュールCM5が接続される。さらに、第2スイッチモジュールQM2g,QM2h,QM2iの各々の端子QT11,QT12についても同様に、コンデンサモジュールCM6が接続される。
【0072】
つまり、各コンデンサモジュールCM1〜CM6は、入出力端子T1〜T3が3個のスイッチモジュールQMの端子QT13に接続されると共に、入出力端子4a,4b,6a,6b,5a,5bが3個のスイッチモジュールQMの端子QT11,QT12に接続されることで、当該3個のスイッチモジュールQM上に自立して設置される。
【0073】
また、コンデンサモジュールCM1〜CM3の各々の端子T5c,T5dと、コンデンサモジュールCM4〜CM6の各々の端子T4c,T4d(
図9B等参照)とが、ねじにより締結されて接続される。この際、コンデンサモジュールCM1〜CM6間では、それらの中性点端子TNがバスバー15(第1バスバーに相当)により接続される。
【0074】
バスバー15は、左右方向に延びる直線部15Aと、直線部15Aの左端部に連結された上下方向に延びる直線部15Bと、直線部15Aの略中央部に連結された上下方向に延びる直線部15Cと、直線部15Aの右端部に連結された上下方向に延びる直線部15Dとを備える。直線部15Bの両端部には、端子15B1,15B2が設けられ、直線部15Cの両端部には、端子15C1,15C2が設けられ、直線部15Dの両端部には、端子15D1,15D2が設けられる。
【0075】
そして、コンデンサモジュールCM1,CM2,CM3,CM4,CM5,CM6の各々の中性点端子TNに、それぞれ、バスバー15の端子15B1,15C1,15D1,15B2,15C2,15D2が、ねじにより締結されて接続される。
【0076】
また、コンデンサモジュールCM1〜CM3の各々の端子T4c,T4d(
図9B等参照)には、放電回路(図示せず)に接続されるバスバー16の適宜の位置に設けられた各々の端子161,162が、ねじにより締結されて接続される。これにより、各コンデンサモジュールCM1〜CM6のスナバコンデンサSCと放電回路とが接続される。
【0077】
また、スイッチモジュールQM1a,QM1b,QM1c,QM2a,QM2b,QM2cの各々の端子QT14には、それぞれ、バスバー13の端子131,132,133,134,135,136が、ねじにより締結されて接続される。また、スイッチモジュールQM1d,QM1e,QM1f,QM2d,QM2e,QM2fの各々の端子QT14についても同様に、バスバー13が接続される。さらに、スイッチモジュールQM1g,QM1h,QM1i,QM2g,QM2h,QM2iの各々の端子QT13についても同様に、バスバー13が接続される。
【0078】
そして、スイッチモジュールQM1a,QM1b,QM1c,QM2a,QM2b,QM2cに接続されるバスバー13の端子137には、バスバー14の端子141が、ねじにより締結されて接続される。スイッチモジュールQM1d,QM1e,QM1f,QM2d,QM2e,QM2fに接続されるバスバー13の端子137には、バスバー14の端子142が、ねじにより締結されて接続される。スイッチモジュールQM1g,QM1h,QM1i,QM2g,QM2h,QM2iに接続されるバスバー13の端子143には、バスバー14の端子142が、ねじにより締結されて接続される。
【0079】
そして、バスバー14の端子144,145,146には、それぞれ、適宜の接続部材(バスバーやケーブル等)を介して、負荷4のU相、V相、W相が接続される。
【0080】
(本実施形態による効果)
以上説明したように、本実施形態のマトリクスコンバータ1は、交流電源2の各入力相及び負荷4の各出力相と各々接続される複数の第1双方向スイッチQ1と、第1双方向スイッチQ1が接続される入力相及び出力相と同一の入力相及び出力相に当該第1双方向スイッチQ1と電気的に並列に接続される複数の第2双方向スイッチQ2とを有する。このマトリクスコンバータ1は、第1双方向スイッチQ1及び第2双方向スイッチQ2をスイッチングすることにより、交流電源2の交流電力を任意の電圧・周波数の交流電力に変換し、負荷4に出力する。
【0081】
ここで、個々の双方向スイッチQには、対応可能な定格電流が定められている。双方向スイッチQの定格電流を超えてマトリクスコンバータ1の定格電流を増大することはできないので、マトリクスコンバータ1の大容量化が制限されることになる。
【0082】
本実施形態では、交流電源2の各入力相及び負荷4の各出力相に対し、複数の双方向スイッチQが並列に接続される。これにより、個々の双方向スイッチQに流れる電流を減少させることができる(例えば2個並列の場合、片方の双方向スイッチQに流れる電流を半減できる)ので、双方向スイッチQの電流を定格電流内に抑えつつ、マトリクスコンバータ1の定格電流を大幅に増大することができる。したがって、大容量のマトリクスコンバータ1を実現することができる。
【0083】
また、本実施形態では特に、第2双方向スイッチQ2は、第1双方向スイッチQ1と同数のグループを1以上(本実施形態では1つ)有する。これにより、第2双方向スイッチQ2のグループを増やすことにより、マトリクスコンバータ1の容量を増やすことができるので、大容量化が容易となる。
【0084】
また、本実施形態では特に、複数の第1双方向スイッチQ1は、一つにまとまって配置され、複数の第2双方向スイッチQ2は、グループごとにまとまって配置される。これにより、マトリクスコンバータ1の容量を増やす際には、第2双方向スイッチQ2のグループを増やしていけばよいこととなり、既設のスイッチの配置構成を変更する必要がない。したがって、大容量化が容易となる。
【0085】
また、本実施形態では特に、次のような効果を得ることができる。すなわち、マトリクスコンバータ1においては、各入力相に接続された双方向スイッチQ間でACコンデンサを介して電流が流れる。つまり、本実施形態のように、交流電源2の入力相が3相(R相、S相、T相)である場合、R相とS相、S相とT相、R相とT相の双方向スイッチQ間で電流が流れる。このとき、各双方向スイッチQ間の配線インダクタンスが大きいとサージ電圧も増大するので、大容量化が難しくなる。本実施形態では、各入力相に接続された双方向スイッチQ同士が近接して配置されるので、各双方向スイッチQ間の配線インダクタンスを低減できる。これにより、サージ電圧の増大を抑制しつつ電流を増大できるので、マトリクスコンバータ1の大容量化が容易となる。
【0086】
また、本実施形態では特に、一の出力相に接続される複数の第1双方向スイッチQ1と複数の第2双方向スイッチQ2とが、上下方向に沿った一列のスイッチ列として配置される。これにより、マトリクスコンバータ1の幅方向の寸法を低減することが可能となる。
【0087】
また、本実施形態では特に、風胴部120が、上下方向に冷媒を流すように構成される。これにより、風胴部120では、一の入力相(R相又はS相又はT相)に接続される複数の第1双方向スイッチQ1及び複数の第2双方向スイッチQ2が並ぶ方向である左右方向に対しては、垂直な方向に冷媒が流れることになる。その結果、各双方向スイッチQの熱が冷媒の流れる向きに対してヒートシンク190a〜190cにより均一に伝わるので、冷却効率を向上することができる。
【0088】
また、本実施形態では特に、次のような効果を得ることができる。すなわち、上述のように、マトリクスコンバータ1においては、各入力相に接続された双方向スイッチQ間でACコンデンサを介して電流が流れる。このとき、各ACコンデンサ間の配線インダクタンスが大きいとサージ電圧も増大するので、大容量化が難しくなる。本実施形態では、各入力相に接続された双方向スイッチQに対応する複数のACコンデンサを単一のモジュールカバーMCに収容するので、それらのACコンデンサ同士を近接して配置できる。これにより、各ACコンデンサ間の配線インダクタンスを低減できるので、サージ電圧の増大を抑制しつつ電流を増大できるので、マトリクスコンバータ1の大容量化が容易となる。また、1組の入力相(R相、S相、T相)単位でACコンデンサをモジュール化することにより、マトリクスコンバータ1の容量を増やす際には、増加した第2双方向スイッチQ2のグループに対し各出力相(U相、V相、W相)ごとにコンデンサモジュールCMを追加すればよい。したがって、大容量化がより一層容易となる。
【0089】
また、本実施形態では、コンデンサモジュールCMが、モジュールカバーMCの底面bs1,bs2から突出した端子T1,T2,T3,T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bを有する。これにより、これら端子T1,T2,T3,T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bを支持部材としつつ、コンデンサモジュールCMを複数の双方向スイッチQ上に自立して設置することが可能となる。その結果、双方向スイッチQとACコンデンサとを近接して配置できるので、この間の配線インダクタンスを低減できる。これにより、サージ電圧の増大を抑制しつつ電流を増大できるので、マトリクスコンバータ1の大容量化が容易となる。また、端子T1,T2,T3,T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bは、モジュールカバーMCの左右両側に配置されるので、コンデンサモジュールCMを安定して自立させ、設置強度を高めることができる。
【0090】
また、本実施形態では特に、コンデンサモジュールCMが、端子T1,T2,T3,T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bにより自立可能である。これにより、コンデンサモジュールCMを、端子T1,T2,T3,T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bにより、複数の双方向スイッチQ上に自立して設置し、双方向スイッチQとACコンデンサとを近接して配置でき、この間の配線インダクタンスを低減する確実性を高めることができる。また、コンデンサモジュールCMを固定するための固定部材が不要となるので、部品点数やコストの低減が可能となる。また、固定部材と各部品との絶縁距離を確保する必要もなくなるので、小型化も可能となる。
【0091】
また、本実施形態では特に、モジュールカバーMCは、複数のACコンデンサよりも後側に、近接して配置された複数の双方向スイッチQに対応する複数のスナバコンデンサSCを収容する。これにより、マトリクスコンバータ1の容量を増やす際には、増加した第2双方向スイッチQ2のグループに対し各出力相(U相、V相、W相)ごとにコンデンサモジュールCMを追加することで、ACコンデンサ及びスナバコンデンサSCを容易に追加することができる。したがって、大容量化がより一層容易となる。また、スナバコンデンサSCをACコンデンサよりも双方向スイッチQにより近接して配置することができるので、サージ電圧の抑制効果を高めることができる。
【0092】
また、本実施形態では特に、次のような効果を得ることができる。すなわち、バスバー等の配線構成の相違等により、同じ出力相における各コンデンサモジュールCM間に電位差が生じる場合がある。本実施形態では、コンデンサモジュールCM1〜CM6間で中性点端子TNを接続したバスバー15に電流が流れることにより上記電位差を低減できるので、マトリクスコンバータ1の動作の安定性、信頼性を向上できる。
【0093】
また、本実施形態では特に、モジュールカバーMCが樹脂製である。これにより、コンデンサモジュールCMと他の部品との絶縁距離を短縮できる。その結果、コンデンサモジュールCMの近傍にバスバーを配置することが可能となる等、部品の配置の自由度を高めることができる。
【0094】
また、本実施形態では特に、次のような効果を得ることができる。すなわち、前述のように、マトリクスコンバータ1においては、R相とS相、S相とT相、R相とT相の双方向スイッチQ間で電流が流れる。本実施形態では、上記電流の経路に含まれるラミネートバスバー11,12を、入力相の各々に接続された板状のバスバー12A,12B,12Cを積層した構成とする。これにより、上記電流が流れた際に積層された2つのバスバーで生じる磁界の向きが互いに反対となり打ち消しあうので、配線インダクタンスの低減効果を高めることができる。したがって、マトリクスコンバータ1の大容量化をより一層容易とすることができる。
【0095】
また、本実施形態では特に、同一の入力相及び出力相に対し電気的に並列に接続される、第1双方向スイッチQ1の第1信号配線W1の長さと、第2双方向スイッチQ2の第2信号配線W2の長さとが、等しい。これにより、同一の入力相及び出力相に対し電気的に並列に接続される第1双方向スイッチQ1と第2双方向スイッチQ2とを高精度に同期してスイッチング動作させることができるので、マトリクスコンバータ1の動作の安定性、信頼性を向上できる。
【0096】
また、本実施形態では特に、コンデンサモジュールCMが、モジュールカバーMCの右側に配置されたACコンデンサ部ACの入出力端子T1,T2,T3と、モジュールカバーMCの左側に配置されたスナバコンデンサSCの入出力端子T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bとを有する。これにより、右側にACコンデンサの入出力端子である端子QT13,QT14を、左側にスナバコンデンサSCの入出力端子である端子QT11,QT12を備えた双方向スイッチQ上に、複数の端子T1,T2,T3,T4a,T4b,T5a,T5b,T6a,T6bを支持部材としつつコンデンサモジュールCMを自立して設置することができる。
【0097】
また、本実施形態では特に、コンデンサモジュールCMが、モジュールカバーCMの上下両側に配置されたスナバコンデンサSCの入出力端子T4c,T4d,T5c,T5dを有する。これにより、これら入出力端子T4c,T4d,T5c,T5dを、各コンデンサモジュールCM間でスナバコンデンサSC同士を接続する端子や、スナバコンデンサSCと放電回路とを接続する端子として使用することができる。また、モジュールカバーMCの四方に端子が配置されるので、本実施形態において、入出力端子T4c,T4d,T5c,T5dをコンデンサモジュールCMの自立用に使用可能に構成した場合には、コンデンサモジュールCMの自立安定性及び設置強度をさらに高めることができる。
【0098】
また、本実施形態では特に、モジュールカバーMCが、一列に配置された複数の双方向スイッチQに対応する長さを有する。これにより、ACコンデンサやスナバコンデンサSCを対応する双方向スイッチQの直上に設置することが可能となるので、双方向スイッチQとACコンデンサ又はスナバコンデンサSC間の配線インダクタンスをより一層低減できる。また、コンデンサモジュールCMと双方向スイッチQとの対応関係が視認し易くなる。
【0099】
<変形例等>
なお、実施形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0100】
以上、一実施形態について説明したが、マトリクスコンバータの構成は、上記で説明した構成に限定されるものではなく、どのような構成であってもよい。
【0101】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0102】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0103】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
【0104】
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。