(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第1の変換装置の出力電力と、第2の変換装置の放電電力との和が、前記第3の変換装置の出力電力が略定格となる電力となるように、前記第2の変換装置に放電させる
請求項1に記載の電力制御装置。
前記制御部は、前記第1の変換装置の出力電力と、第2の変換装置の放電可能電力との和が、前記第3の変換装置の出力が略定格となる電力より小さい場合、前記第2の変換装置に充電させる
請求項4に記載の電力制御装置。
前記制御部は、前記第3の変換装置から前記電力系統に供給された出力電力量が、前記第1の変換装置の出力電力量より大きい場合、前記第3の変換装置による前記電力系統への交流電力の供給を停止させる
請求項1に記載の電力制御装置。
【背景技術】
【0002】
従来、商用電力を供給する電力系統からの電力だけでなく、太陽光発電により発電された電力やバッテリに蓄積されている電力など、複数の電力源から供給される電力を効率良く使用するために、最適な電力管理を行うエネルギーマネジメントシステムの開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、出力抑制制御時に、発電された電力を蓄電池に充電することで、発電された電力を有効に使用するようにしたパワーコンディショナの構成が開示されている。
【0004】
図1および
図2には、エネルギーマネジメントシステムの一構成例が示されている。
【0005】
図1および
図2に示すように、エネルギーマネジメントシステム11は、電力制御装置12が電流計13を介して電力系統14に接続され、電力制御装置12に、PV(Photovoltaics)15、バッテリ16、およびAC(Alternating Current)負荷17が接続されて構成されている。
【0006】
電力制御装置12は、PV用DC/DC変換部21、DC/AC変換部22、バッテリ用DC/DC変換部23、および制御部24を有して構成される。DC/AC変換部22のAC側の端子は、電力系統14およびAC負荷17に接続される。一方、DC/AC変換部22のDC側の端子は、PV用DC/DC変換部21を介してPV15に接続されるとともに、バッテリ用DC/DC変換部23を介してバッテリ16に接続される。ここで、DC/AC変換部22のDC側の端子に接続され、PV用DC/DC変換部21およびバッテリ用DC/DC変換部23との間で直流電力の供給が行われる配線を、以下、DCバス25という。
【0007】
制御部24は、エネルギーマネジメントシステム11の状況に応じて、PV用DC/DC変換部21、DC/AC変換部22、およびバッテリ用DC/DC変換部23に対する制御を行う。
【0008】
エネルギーマネジメントシステム11においては、
図1の矢印Aで示されるように、PV15により発電された電力は、PV用DC/DC変換部21によりDC/DC変換されてDCバス25を介してDC/AC変換部22に供給され、DC/AC変換部22によりDC/AC変換されてAC負荷17に供給されるとともに、余った電力は電力系統14に供給(逆潮流)される。
【0009】
また、PV15により発電された電力が、PV用DC/DC変換部21、DCバス25、バッテリ用DC/DC変換部23を介してバッテリ16に充電されている場合、
図2の矢印Bで示されるように、バッテリ16に充電されている電力は、バッテリ用DC/DC変換部23によりDC/DC変換されてDCバス25を介してDC/AC変換部22に供給され、DC/AC変換部22によりDC/AC変換されてAC負荷17に供給されるとともに、余った電力は電力系統14に供給(逆潮流)される。
【0010】
このように、PV15により発電された電力が電力系統14に逆潮流されることで、売電が行われ、電力制御装置12を所有するユーザは、売電による利益を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
[エネルギーマネジメントシステムの構成例]
図3は、本技術を適用したエネルギーマネジメントシステムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0024】
図3において、エネルギーマネジメントシステム31は、太陽光発電システムとして構成され、電力制御装置32が電流計33を介して電力系統34に接続され、PV35、バッテリ36、EV(Electric Vehicle)37、AC負荷38、並びに、DC負荷39−1および39−2が、電力制御装置32に接続されて構成されている。
【0025】
電力制御装置32は、いわゆるパワーコンディショナとして構成され、電力制御装置32に接続される複数の電力源(PV35、バッテリ36、またはEV37)から供給される電力を、電力制御装置32に接続される複数の負荷(AC負荷38、並びに、DC負荷39−1および39−2)に供給する制御を行う。
【0026】
電流計33は、電力制御装置32から電力系統34に供給(逆潮流)される電力を計測する。エネルギーマネジメントシステム31は、電力系統34に対して交流電力を供給する。
【0027】
PV35は、例えば、複数の太陽電池モジュールが接続されてパネル状に構成され、受光する太陽光の光量に応じて発電し、その発電した電力を電力制御装置32に供給する。バッテリ36は、電力制御装置32から供給される電力を蓄電したり、蓄電している電力を電力制御装置32に供給したりする。EV37は、ユーザがEV37を使用するのに応じて電力制御装置32に適宜接続され、電力制御装置32から供給される電力を蓄電するバッテリを内蔵している。
【0028】
AC負荷38は、交流電力を消費して駆動する機器であり、DC負荷39−1および39−2は、直流電力を消費して駆動する機器である。なお、
図3の構成例では、2台のDC負荷39−1および39−2が電力制御装置32に接続されているが、その台数を増減させることができる。
【0029】
電力制御装置32は、PV用DC/DC変換部41、DC/AC変換部42、バッテリ用DC/DC変換部43、EV用DC/DC変換部44、負荷用DC/DC変換部45−1および45−2、分電盤46、並びにシステム制御部47を備えて構成される。また、分電盤46には、ブレーカ51−1乃至51−6、電流計52−1乃至52−4、およびDCバス53が収納される。
【0030】
電力制御装置32では、電力系統34とAC負荷38とを接続する電力線40に、DC/AC変換部42のAC側の端子が接続されており、DC/AC変換部42のDC側の端子はブレーカ51−1を介して、直流電力を供給する経路となるDCバス53に接続される。また、PV35が接続されるPV用DC/DC変換部41はブレーカ51−2を介してDCバス53に接続される。同様に、バッテリ36が接続されるバッテリ用DC/DC変換部43はブレーカ51−3を介してDCバス53に接続され、EV37が接続されるEV用DC/DC変換部44はブレーカ51−4および電流計52−1を介してDCバス53に接続される。
【0031】
また、DC負荷39−1が接続される負荷用DC/DC変換部45−1はブレーカ51−5および電流計52−2を介してDCバス53に接続され、DC負荷39−2が接続される負荷用DC/DC変換部45−2はブレーカ51−6および電流計52−3を介してDCバス53に接続される。AC負荷38は、ブレーカ51−7および電流計52−4を介して、DC/AC変換部42に接続される。
【0032】
PV用DC/DC変換部41は、PV35において発電された電力を所定の電圧となるようにDC/DC変換(昇降圧)して、DCバス53に出力する。PV用DC/DC変換部41は、PV35から最大の電力を取り出すように最大出力点を追跡するMPPT制御を行うことができる。
【0033】
DC/AC変換部42は、DCバス53を介して供給される直流電力をDC/AC変換し、得られた交流電力を、電力線40を介してAC負荷38に供給したり、電力系統34に逆潮流したりする。なお、DC/AC変換部42は、電力系統34から供給される交流電力をAC/DC変換してDCバス53に出力することはしない。
【0034】
バッテリ用DC/DC変換部43は、バッテリ36に蓄積されている電力をDC/DC変換(昇降圧)してDCバス53に出力(放電)したり、DCバス53を介して供給される電力をDC/DC変換してバッテリ36を充電したりする。
【0035】
EV用DC/DC変換部44は、電力制御装置32にEV37が接続されているとき、EV37に蓄積されている電力をDC/DC変換してDCバス53に出力(放電)したり、DCバス53を介して供給される電力をDC/DC変換してEV37を充電したりする。
【0036】
負荷用DC/DC変換部45−1および45−2は、DCバス53を介して供給される電力を、それぞれに接続されているDC負荷39−1および39−2の駆動に必要な電圧にDC/DC変換して、DC負荷39−1および39−2にそれぞれ供給する。
【0037】
システム制御部47は、電流計33および電流計52−1乃至52−4により計測される電流や、PV35の発電状態、バッテリ36の充電状態、AC負荷38の状態などに基づいて、電力制御装置32を構成する各ブロックに対する制御を行うことで、エネルギーマネジメントシステム31全体を制御する。
【0038】
また、例えば、システム制御部47は、AC負荷38の状態に応じて、バッテリ36の充電または放電を行うよう、バッテリ用DC/DC変換部43を制御する。
【0039】
なお、
図3では、システム制御部47と各ブロックを接続する配線の図示は、省略されている。
【0040】
以降においては、説明を簡略化するために、
図4に示すようなエネルギーマネジメントシステム31の構成例を用いて説明する。
図4のエネルギーマネジメントシステム31において、
図3のエネルギーマネジメントシステム31における構成と対応する部分には同一の符号を付してある。
【0041】
[バッテリの充放電制御処理]
次に、
図5のフローチャートを参照して、エネルギーマネジメントシステム31におけるバッテリの充放電制御処理について説明する。この充放電制御処理は、PV35により発電された電力がDC/DC変換部41によりDC/DC変換されて、DCバス53に出力されているときに実行される。
【0042】
ステップS11において、システム制御部47は、PV35の出力電力(PV用DC/DC変換部41からDCバス53に出力された電力)が、AC負荷38の消費電力を超えているか否かを判定する。
【0043】
ステップS11において、PV35の出力電力がAC負荷38の消費電力を超えていないと判定された場合、処理はステップS12に進み、システム制御部47は、DC/AC変換部42を停止させる。
【0044】
そして、ステップS13において、システム制御部47は、バッテリ用DC/DC変換部43を充電方向に駆動させることで、PV用DC/DC変換部41からDCバス53に出力された電力をDC/DC変換してバッテリ36に充電させる。
【0045】
すなわち、PV用DC/DC変換部41の出力電力がAC負荷38の消費電力より小さい場合、エネルギーマネジメントシステム31においては、
図6の矢印Cで示されるように、PV35により発電された電力が、PV用DC/DC変換部41によりDC/DC変換されてDCバス53を介してバッテリ用DC/DC変換部43に供給され、バッテリ用DC/DC変換部43によりDC/DC変換されてバッテリ36に充電される。
【0046】
一方、ステップS11において、PV35の出力電力がAC負荷38の消費電力を超えていると判定された場合、処理はステップS14に進み、システム制御部47は、DC/AC変換部42を駆動させる。
【0047】
そして、ステップS15において、システム制御部47は、バッテリ用DC/DC変換部43を放電方向に駆動させることで、バッテリ36に蓄電された電力をDC/DC変換してDCバス53に放電させる。
【0048】
すなわち、PV用DC/DC変換部41の出力電力がAC負荷38の消費電力より大きい場合、エネルギーマネジメントシステム31においては、
図7の矢印Dで示されるように、バッテリ36から放電された電力が、バッテリ用DC/DC変換部43によりDC/DC変換されてDCバス53を介してDC/AC変換部42に供給され、DC/AC変換部42によりDC/AC変換される。また、
図7の矢印Eで示されるように、PV35により発電された電力も、PV用DC/DC変換部41によりDC/DC変換されてDCバス53を介してDC/AC変換部42に供給され、DC/AC変換部42によりDC/AC変換される。
【0049】
このとき、システム制御部47は、DC/AC変換部42の出力電力が、AC負荷38の消費電力より大きくなるように、バッテリ用DC/DC変換部43によるバッテリ36の放電を制御する。
【0050】
以上の処理によれば、DC/AC変換部42の出力電力がAC負荷38の消費電力より大きくなるように、バッテリ36に蓄電された電力が放電されるので、その放電電力が全てAC負荷38で消費されることはなく、余った電力は余剰電力として電力系統34に供給されるようになる。これにより、PV35により発電されバッテリ36に蓄電された電力の少なくとも一部を売電することができるようになり、PVにより発電された電力を効率的に使用することが可能となる上に、ユーザは売電による利益を得ることが可能となる。
【0051】
従来、家庭などにおいては、
図8上段に示されるように、時刻t11までの時間帯のように、AC負荷の消費電力に対してPVの発電電力が小さい場合には、PVの発電電力は全てAC負荷で消費され、時刻t11から時刻t12までの時間帯のように、AC負荷の消費電力に対してPVの発電電力が大きい場合には、PVの発電電力の一部はAC負荷で消費され、残りは余剰電力Psとして電力系統に供給されていた。
【0052】
一方、上述した処理によれば、
図8下段に示されるように、時刻t11までの時間帯のように、AC負荷の消費電力に対してPVの発電電力が小さい場合には、PVの発電電力は充電電力Pcとしてバッテリに充電され、時刻t11から時刻t12までの時間帯のように、AC負荷の消費電力に対してPVの発電電力が大きい場合には、PVの発電電力の一部はAC負荷で消費され、残りは余剰電力Psとして電力系統に供給される上に、充電電力Pcが放電電力Pdとして電力系統に供給されるようになる。これにより、PV35により発電された電力の一部に加え、バッテリ36に蓄電された電力を確実に売電することができるようになり、PVにより発電された電力をより効率的に使用することが可能となる上に、ユーザは売電によるさらなる利益を得ることが可能となる。
【0053】
[充放電制御処理の他の例]
次に、
図9のフローチャートを参照して、エネルギーマネジメントシステム31における充放電制御処理の他の例について説明する。
【0054】
なお、
図9のフローチャートのステップS21乃至S23,S25,S26の処理は、
図5のステップS11乃至S15の処理と、それぞれ基本的に同様であるので、その説明は省略する。
【0055】
すなわち、ステップS21において、PV35の出力電力がAC負荷38の消費電力を超えていると判定された場合、処理はステップS24に進み、システム制御部47は、PV35の出力電力(PV用DC/DC変換部41の出力電力)と、バッテリ用DC/DC変換部43のバッテリ36からの放電可能電力との和が、所定の出力P1より大きいか否かを判定する。
【0056】
ここで、所定の出力P1とは、
図10の左側に示されるように、DC/AC変換部42においてある程度高い変換効率を得るのに必要な電力、すなわち、DC/AC変換部42の出力電力が略定格となる電力であり、これより低い電力がDC/AC変換部42にDC/AC変換される場合、DC/AC変換の変換損失が大きくなり、その変換効率は極端に低くなる。そこで、ステップS24においては、DC/AC変換部42によるDC/AC変換の変換損失が、バッテリ用DC/DC変換部43によるバッテリ36への充電における損失より小さいか否かが判定されるようにしてもよい。
【0057】
ステップS21において、PV35の出力電力と、バッテリ36からの放電可能電力との和が、所定の出力P1より大きくないと判定された場合、または、DC/AC変換部42によるDC/AC変換の変換損失が、バッテリ用DC/DC変換部43による充電における損失より小さくない(大きい)と判定された場合、処理はステップS22に進み、その後、バッテリ36への充電が行われる。
【0058】
一方、ステップS21において、PV35の出力と、バッテリ36からの放電可能電力との和が、所定の出力P1より大きいと判定された場合、または、DC/AC変換部42によるDC/AC変換の変換損失が、バッテリ用DC/DC変換部43による充電における損失より小さいと判定された場合、処理はステップS25に進み、その後、バッテリ36からの放電が行われる。
【0059】
なお、ステップS26においては、システム制御部47は、PV53の出力電力とバッテリ36からの放電可能電力との和が、所定の出力P1となるように、バッテリ用DC/DC変換部43によるバッテリ36の放電を制御する。
【0060】
一般に、
図10の右側上段に示されるように、PVの発電電力が時間とともに大きくなる場合、DC/AC変換部のAC出力もPVの発電電力に伴い大きくなるが、特にPVの発電電力が小さいときには、AC電力への変換効率が低下し、変換損失が増大してしまう。
【0061】
一方、上述した処理によれば、
図10の右側下段に示されるように、時刻t21までの時間帯のように、PVの発電電力が小さいときには、PVの発電電力は充電電力Pcとしてバッテリに充電され、時刻t21において、PVの発電電力と充電電力Pcとの和が、DC/AC変換部の出力電力が略定格となる電力となったとき、充電電力Pcが放電電力Pdとして放電されるようになる。これにより、DC/AC変換部は、略定格の電力を出力することができるようになり、結果として、PVにより発電された電力をより効率的に使用することが可能となる。
【0062】
以上においては、AC負荷38の状態に応じて、バッテリ36の充放電を制御する処理について説明してきたが、AC負荷38の消費電力は、一日のうちの決まった時間帯で大きくなったり小さくなったりすることが多い。
【0063】
したがって、バッテリ36の放電を行う際に、AC負荷38の消費電力が小さくなる時間帯がわかっていれば、バッテリ36から放電された電力をより確実に売電することができる。
【0064】
そこで、以下においては、AC負荷38の消費電力が小さくなる時間帯を学習し、その時間帯にバッテリ36の放電を行う例について説明する。
【0065】
[エネルギーマネジメントシステムの他の構成例]
図11は、エネルギーマネジメントシステムの他の構成例を示すブロック図である。
【0066】
なお、
図11のエネルギーマネジメントシステム31において、
図4のエネルギーマネジメントシステム31における構成と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0067】
すなわち、
図11のエネルギーマネジメントシステム31において、
図4のエネルギーマネジメントシステム31と異なるのは、システム制御部47に代えて、システム制御部101が設けられている点である。
【0068】
システム制御部101は、
図4のエネルギーマネジメントシステム31におけるシステム制御部47と同様の機能を備える上に、学習部101aを有している。
【0069】
学習部101aは、バッテリ用DC/DC変換部43が、PV用DC/DC変換部41からDCバス53に出力された電力をDC/DC変換してバッテリ36に充電している時刻と、バッテリ用DC/DC変換部43が、バッテリ36に蓄電された電力をDC/DC変換してDC53に放電している時刻とを、システム制御部101内のメモリ等に記録する。
【0070】
[学習処理]
次に、
図12のフローチャートを参照して、
図11のエネルギーマネジメントシステム31における学習処理について説明する。
【0071】
なお、
図9のフローチャートのステップS31乃至S33,S35,S36の処理は、
図5のステップS11乃至S15の処理と、それぞれ基本的に同様であるので、その説明は省略する。
【0072】
すなわち、ステップS33の後、ステップS34において、学習部101aは、そのときの時刻を、バッテリ用DC/DC変換部43がバッテリ36に充電している時刻として記録する。この処理は、PV35の出力電力(PV用DC/DC変換部41の出力電力)がAC負荷38の消費電力を超えていない場合に行われる。したがって、学習部101aは、充電している時刻を記録することで、AC負荷38の消費電力がPV35の出力電力より大きくなる時間帯を学習する。
【0073】
また、ステップS36の後、ステップS37において、学習部101aは、そのときの時刻を、バッテリ用DC/DC変換部43がバッテリ36に蓄電された電力を放電している時刻として記録する。この処理は、PV35の出力電力(PV用DC/DC変換部41の出力電力)がAC負荷38の消費電力を超えている場合に行われる。したがって、学習部101aは、放電している時刻を記録することで、AC負荷38の消費電力がPV35の出力電力より小さくなる時間帯を学習する。
【0074】
以上の処理によれば、AC負荷38の消費電力が小さくなる時間帯や大きくなる時間帯が学習されるようになる。
【0075】
[充放電制御処理の例]
次に、
図13のフローチャートを参照して、学習処理による学習結果を用いた充放電制御処理について説明する。
【0076】
なお、
図13のフローチャートのステップS51乃至S53,S55,S56の処理は、
図5のステップS11乃至S15の処理と、それぞれ基本的に同様であるので、その説明は省略する。
【0077】
すなわち、ステップS51において、PV35の出力電力がAC負荷38の消費電力を超えていると判定された場合、処理はステップS54に進み、システム制御部47は、現在の時間帯が、学習部101aによって放電している時刻が記録された時間帯、すなわち、AC負荷38の消費電力が小さくなる時間帯であるか否かを判定する。
【0078】
ステップS54において、放電している時刻が記録された時間帯でないと判定された場合、処理はステップS52に進み、その後、バッテリ36への充電が行われる。
【0079】
一方、ステップS54において、放電している時刻が記録された時間帯であると判定された場合、処理はステップS55に進み、その後、バッテリ36からの放電が行われる。
【0080】
以上の処理によれば、AC負荷38の消費電力が小さくなる時間帯に、バッテリ36からの放電が行われるので、バッテリ36から放電された電力をより確実に売電することができるようになる。
【0081】
また、学習部101aによって、バッテリ36に充電している時刻も記録されるようにしたので、バッテリ36へ充電された電力が、電力系統34から供給された、夜間の安価な電力ではないことを証明することが可能となる。
【0082】
さらに、上述で説明したエネルギーマネジメントシステム31において、売電された電力量が、PV15による発電電力量より大きくなってしまった場合、PV15による発電電力量を超過して売電された電力は、電力系統34から供給された(購入した)電力とみなされてしまう。すなわち、電力系統34から供給された電力を不正に売電したとみなされてしまう。
【0083】
そこで、システム制御部47は、DC/AC変換部42から電力系統34に供給される出力電力量が、DC/DC変換部41の出力電力量より大きくなったとき、DC/AC変換部42による電力系統34への交流電力の供給を停止させるようにする。これにより、電力系統34から供給された電力を不正に売電したとみなされることがなくなるようになる。
【0084】
また、システム制御部47が、出力抑制により売電できなかった電力量を積算し、バッテリ36からの放電によって売電される電力量が、その積算量を超えないように調整するようにしてもよい。これにより、不正に売電したとみなされない範囲で、バッテリ36からの放電電力を売電することが可能となる。
【0085】
[エネルギーマネジメントシステムのさらに他の構成例]
以上においては、PV35により発電された電力は、PV用DC/DC変換部41、DCバス53、バッテリ用DC/DC変換部43を介して、バッテリ36へ充電されるようにしたが、
図14に示されるように、PV35とバッテリ用DC/DC変換部43とを、配線111によって接続することによって、PV35で発電された電力を、配線111およびバッテリ用DC/DC変換部43を介してバッテリ36へ充電されるようにしてもよい。
【0086】
このような構成によれば、バッテリ36へ充電されている電力が、電力系統34から供給された電力ではないことを確実に証明することが可能となる。
【0087】
また、以上においては、太陽光を受光した光量に応じて発電するPV35が、電力制御装置32に接続されるものとしたが、例えば、
図15に示されるように、PV35に代えて、風力を利用して発電を行う風力発電部131が、電力制御装置32に接続されるようにしてもよい。この場合、DC/DC変換部141が、風力発電部131において発電された電力を所定の電圧となるようにDC/DC変換して、DCバス53に出力する。
【0088】
なお、風力発電部131に限らず、バイオマスやその他の自然エネルギーを利用して発電を行う発電部や燃料電池などが、電力制御装置32に接続されるようにしてもよい。
【0089】
ところで、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
【0090】
[汎用のパーソナルコンピュータの構成例]
図16は、汎用のパーソナルコンピュータの構成例を示している。このパーソナルコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)1001を内蔵している。CPU1001にはバス1004を介して、入出力インタフェース1005が接続されている。バス1004には、ROM(Read Only Memory)1002およびRAM(Random Access Memory)1003が接続されている。
【0091】
入出力インタフェース1005には、ユーザが操作コマンドを入力するキーボード、マウスなどの入力デバイスよりなる入力部1006、処理操作画面や処理結果の画像を表示デバイスに出力する出力部1007、プログラムや各種データを格納するハードディスクドライブなどよりなる記憶部1008、LAN(Local Area Network)アダプタなどよりなり、インターネットに代表されるネットワークを介した通信処理を実行する通信部1009が接続されている。また、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどのリムーバブルメディア1011に対してデータを読み書きするドライブ1010が接続されている。
【0092】
CPU1001は、ROM1002に記憶されているプログラム、または磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリ等のリムーバブルメディア1011から読み出されて記憶部1008にインストールされ、記憶部1008からRAM1003にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM1003にはまた、CPU1001が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0093】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU1001が、例えば、記憶部1008に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース1005及びバス1004を介して、RAM1003にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0094】
コンピュータ(CPU1001)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア1011に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0095】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア1011をドライブ1010に装着することにより、入出力インタフェース1005を介して、記憶部1008にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部1009で受信し、記憶部1008にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1002や記憶部1008に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0096】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。また、プログラムは、1つのCPUにより処理されるものであっても良いし、複数のCPUによって分散処理されるものであっても良い。なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0097】
また、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。