(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記磁性コアは柱状の被巻回部を有するとともに、前記巻線は平角線であり、前記コイルは前記平角線を前記被巻回部に対してエッジワイズ状に巻回してなるエッジワイズコイルである請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載のコイル組立体。
前記樹脂部材はコイル台であり、前記固定部は前記コイル台に設けられた前記取り付け部に取り付けられている請求項7または請求項8に記載のコイル組立体の取り付け構造。
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のコイル組立体を、請求項7ないし請求項9のいずれか一項に記載のコイル組立体の取り付け構造により前記樹脂部材に取り付けてなる電気接続箱。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施形態1を
図1ないし
図21によって説明する。
本実施形態のコイル組立体10は、チョークコイル(コイルユニットの一例)11と、チョークコイル11を収容するコイルケース20と、コイルケース20内に充填されるポッティング材60を備える(
図1、
図2、
図12参照)。以下、
図2における上方を上、下方を下、右奥を右、左手前を左、右手前を前、左奥を後ろとして説明する。
【0024】
チョークコイル11は、磁性コア12と、エッジワイズコイル16とを有する。磁性コア12は、いわゆるPQ型コアと称されるものであって、
図1に示すように、同形状の一対の第1コア12Aおよび第2コア12Bを組み合わせてなる。第1コア12Aおよび第2コア12Bは、円柱状の被巻回部13と、被巻回部13を挟んで被巻回部13の軸方向に沿って平行に延在する一対の略板状の脚部14と、被巻回部13および一対の脚部14の一方側の端部を互いに連結してなる板状の連結部15とを有する。被巻回部13と脚部14とは、連結部15に対して同等高さとされている。また連結部15の側縁のうち、脚部14と連結していない一対の側縁は、脚部14の両端部から被巻回部13に向けて斜めに切り欠かれている。
【0025】
また、
図1に示すように磁性コア12A、12Bのうち、外周面の端部121と内周面の端部123は、エッジが斜めに落とされた形状、すなわち面取り形状となっている。端部121、123を面取り形状にすることで、コイルケース20に充填されるポッティング材60が、熱応力により、端部121、123を起点として割れること抑制することが出来る。尚、端部121、123の形状は、面取り形状の他に、R形状(円弧形状)であってもよい。
【0026】
エッジワイズコイル16は、巻線に平角線を使用したコイルである。エッジワイズコイル16は、平角線をエッジワイズ状、言い換えると縦巻きに巻回したコイルである。エッジワイズコイル16は、
図1に示すように、両端部が同方向に向けて互いに平行に延出されて一対の接続部17A,17Bとされており、それらの端部付近に接続孔18が貫通形成されている。一対の接続部17A,17Bは異なる高さで延出されている。
【0027】
エッジワイズコイル16は、一対の第1コア12Aおよび第2コア12Bの被巻回部13の周囲に配されており、これにより、磁性コア12とともにチョークコイル11を形成している。
【0028】
チョークコイル11は、
図3に示すように、コイルケース20内に収容されている。
【0029】
コイルケース20は合成樹脂材からなり、
図2に示すように、一面側(前面)が開口21により開放された箱体からなる。より詳しくは、コイルケース20は、チョークコイル11の上面および下面に沿う上壁22および底壁23と、チョークコイル11の左右の側面(脚部14)に沿う側壁24と、チョークコイル11の背面に沿う後壁25と、を有している。尚、コイルケース20の底壁23は、後述するコイル台32の底部と相対する関係となっている。
【0030】
上壁22および底壁23のうち、後方側の縁部は、チョークコイル11の連結部15の側縁部に沿うように中央付近が内側に向けて斜めに切り欠かれている一方、前方側の縁部は、連結部15の切り欠かれた領域を覆うように、その中央付近も両端部と同位置まで延出された直線状とされている。また、後壁25のうちチョークコイル11のエッジワイズコイル16が配される部分は、エッジワイズコイル16の外周に沿うように、後方側に向けて円弧状に膨出した膨出部25Aとされている(
図5および
図6参照)。
【0031】
また、後壁25の内面側には、コイルケース20内に挿入されたチョークコイル11の磁性コア12(脚部14)およびエッジワイズコイル16の位置決めを行うための一対の位置決め突部25Bが、前方に向けて突出して設けられている(
図5および
図10参照)。また、後壁25の内面には、一対の当接リブ25Dが設けられている。一対の当接リブ25Dは、
図4に示すように、一対の位置決め突起25Bの外側に設けられている。さらに、後壁25の外面のうち一方側の端部寄り(
図8における左寄り)には、後述する外側ケース30の案内凹部46と嵌合する位置決めリブ25Cが、上下方向に延びるとともに突出して設けられている。
【0032】
これらコイルケース20のうち、上壁22、底壁23、側壁24の内面には、チョークコイル11の磁性コア12の外面(上下面および側面)に当接する複数本の当接リブ26が、チョークコイル11の挿入方向(前後方向)に延びて設けられている(
図2参照)。
【0033】
コイルケース20の一対の側壁24には、
図2に示すように、それぞれ、板状の固定部27が一体に設けられている。固定部27は、その板面が上壁22および底壁23と平行になるように、各側壁24から外側に向けて垂直に立設されている。これらの各固定部27には、後述するコイル台32の固定孔35に取り付けるための取り付け孔28が貫通形成されている。
【0034】
また、固定部27の基端側の両端部は、側壁24に上下方向に延びて立設されている一対の補強壁29と、一体的に連結されている。
【0035】
これら一対の固定部27は、コイルケース20に対して、若干弾性変形可能とされている。具体的には、コイルケース20の側壁24に連結された基端を支点として先端側が撓み可能となっている。
【0036】
チョークコイル11は、
図3に示すように、一対の接続部17A,17Bが開口21から外側に向けて突出する向きでコイルケース20内に収容されている。この状態において、磁性コア12の外面はコイルケース20の複数の当接リブ26と当接しており、磁性コア12の外面とコイルケース20の内面との間には、僅かな隙間が形成されている(
図7参照)。また、磁性コア12の後面はコイルケース20の後壁内面に設けられた当接リブ25Dと当接しており、磁性コア12の後面とコイルケース20の後壁内面との間には、僅かな隙間が形成されている(
図10参照)。また、コイルケース20内は、チョークコイル11を収容した状態でポッティング材60により充填されており、コイル組立体10とされている(
図12および
図13参照)。
【0037】
なお、ポッティング材60としては、例えばエポキシ樹脂等を使用することができる。
【0038】
このコイル組立体10は、外側ケース30内に取り付けられる。
【0039】
外側ケース30は、
図18に示すように、合成樹脂製の枠体31と、枠体31内に配置される合成樹脂製のコイル台(樹脂部材の一例)32を含む。コイル台32は、
図14に示すように、板状部材であって、その略中央部に設けられた貫通孔33に丸ねじ34を貫通させ、枠体31内に配された図示しない放熱板のねじ孔に螺合させることにより、放熱板に対して固定される。また、コイル台32の前面に設けられた係止突部45を枠体31に設けられた図示しない受け部に係止することにより、枠体31内の所定位置に係止される。
【0040】
コイル台32には、
図14、
図19に示すように、一対の固定台36(取り付け部の一例)が設けられている。固定台36の上面は、コイル台32の底部よりも高い位置に配置されている。各固定台36の上面には、それぞれ固定孔35が設けられている。これら固定孔35は、コイルケース20の固定部27の取り付け孔28と対応している。
【0041】
コイルケース20の固定部27に設けられた取り付け孔28を、固定台36の固定孔35に重ねて丸ねじ34をねじ止めすることにより、コイル組立体10(コイルケース20)が、コイル台32に対して固定される(
図19および
図20参照)。換言すれば、コイルケース20は、コイル台32を介して枠体31(外側ケース30側)に対して固定される。
【0042】
なおこの時、コイルケース20の後壁25に設けられた位置決めリブ25Cが外側ケース30に設けられた案内凹部46(
図18参照)と嵌合することにより、コイル組立体10の外側ケース30に対する姿勢が案内されるようになっている。
【0043】
コイル組立体10(コイルケース20)がコイル台32に対して固定された状態において、コイル組立体10の接続部17A,17Bが配される位置には、
図18に示すように、相手側の接続端子(相手側の接続部の一例)70A,70Bが配されている。相手側の接続端子70A,70Bは、外側ケース30の回路基板に接続されており、各接続部17A,17Bに対応する高さに設置されている。接続部17A,17Bと相手側の接続端子70A,70Bとは、互いに重ねて配されたそれぞれの接続孔18,71にボルト80を貫通し、相手側の接続端子70A,70Bの下面に配された後述する四角ナット51と締結することにより、電気的に接続される。なお、
図19および
図20においては、相手側の接続端子70A,70Bを省略している。
【0044】
上述した四角ナット51は、コイル台32に設けられたナット保持部37に保持されている。本実施形態において、正方形状の四角ナット51は、
図16および
図19に示すように、ナット保持部37に対して傾いた状態で保持されている。具体的には、
図16に示すように、接続部17A、17Bの延出方向(
図16、
図27の上下方向)に対して、ナットの外形線が45度傾いた状態で保持されている。そして、四角ナット51は、ナット保持部37に対して、対角線上において対向する一対の角部(
図16の左右両側の角部)が抜け止めされるようになっている。
【0045】
ところで、四角ナット51は、外形の一部を抜け止めすることにより、ナット保持部37に保持される構造である。従って、外形の一部が、接続部17A,17Bから外側にはみ出すように、その大きさに設定しなければならない。そのため、例えば、四角ナット51を傾けずに配置した場合(ナットの外形線を接続部17A、17Bの延出方向に沿って配置した場合)、四角ナット51の一辺の幅寸法を、接続部17A,17Bの幅寸法よりも大きく必要がある。
【0046】
一方、四角ナット51の対角線の長さは、一辺の長さよりも長い。そのため、本実施形態のように、四角ナット51を傾けて配置すれば、四角ナット51の幅寸法をエッジワイズコイル16の接続部17A,17Bの幅寸法と同等程度に設定することで、接続部17A,17Bから四角ナット51の角部がはみ出すことになり、はみ出した角部を抜け止することで、四角ナット51を保持できる。すなわち、四角ナット51を傾けずに配置する場合に比べて、小さい幅寸法の四角ナット51を採用することができ、もって、コイル組立体10全体の軽量化につながる。
【0047】
さて、ナット保持部37をより詳細に説明すると、ナット保持部37は、
図17に示すように、コイル台32の底部から垂直方向に立ち上がってその上面において四角ナット51を支持する一対の支持台38を備えている。支持台38の中央部はその上面から下方に向けて凹状に窪んでおり、四角ナット51を貫通したボルト80の先端部を逃がす逃がし部39とされている。
【0048】
なお一対の支持台38は、コイル組立体10の一対の接続部17A,17Bに対応するべく、コイル台32の底部からの高さが異なるように設定されている。
【0049】
支持台38の上面の周囲には、
図14および
図15に示すように、四角ナット51を支持台38の上面に正しい向きで保持する保持壁40が設けられている。保持壁40は、四角ナット51の側面に沿うように、その内側の面が、組み付けられたコイル組立体10の接続部17A,17Bの延出方向に対して45度傾くように設定されている。また保持壁40の上面は、支持台38に四角ナット51が載置された状態において、四角ナット51の上面とほぼ面一となる高さに設定されている(
図17および
図19参照)。
【0050】
四角ナット51が支持台38上に載置された状態において、四角ナット51の4つの角部のうち、左右方向(組み付けられたコイル組立体10の接続部17A,17Bの延出方向と交差する方向)に配された互いに対向する一対の角部に対応する位置には、四角ナット51の角部を上方から係止して抜け止めするための二対の弾性係止片41が設けられている。
【0051】
弾性係止片41は板状部材であって、
図17に示すように、支持台38と間隔を隔てて設けられており、支持台38の反対側にたわみ空間を有することで、支持台38の反対側(外側)に向けて弾性変形可能とされている。
【0052】
図15および
図17に示すように、これら弾性係止片41の上端部は支持台38側に向けて突出した突出部42とされており、この突出部42の下面において四角ナット51の一対の角部を係止して、上方側への抜け止めを図っている。
【0053】
また、突出部42には、上面から下方に向けて四角ナット51の一対の角部を案内するための、四角ナット51の角部に沿う形状の案内溝43が、下端付近まで形成されている。案内溝43の下端部は、支持台38(内側)に向けて傾斜した傾斜面44とされており、これにより、四角ナット51が案内溝43の下端に達して押し込まれた際、傾斜面44により弾性係止片41を外側に向けて弾性変形させることにより突出部42を乗り越え、支持台38上に到達できるようになっている。
【0054】
次に、コイル組立体10の製造方法およびコイル組立体10の取り付け方法について説明する。
【0055】
コイル組立体10を製造するには、まず、コイルケース20に対し、チョークコイル11の接続部17A,17Bが開口21から突出する向きでチョークコイル11を挿入する(
図2および
図3参照)。チョークコイル11の外面は、コイルケース20の内部に設けられた当接リブ26に当接しつつ、奥方へ挿入され、位置決め突部25Bにより位置決めがなされる(
図10参照)。
【0056】
この状態において、磁性コア12の外面とコイルケース20の内面との間には、当接リブ26により僅かな隙間が形成されている(
図7参照)。また、磁性コア12の後面とコイルケース20の後壁内面との間には、当接リブ25Dにより僅かな隙間が形成されている(
図10参照)。
【0057】
このように、チョークコイル11がコイルケース20の正規位置に挿入されたら、コイルケース20の開口21が上方に向くようにコイルケース20を置き、開口21からポッティング材60を充填する。ポッティング材60はチョークコイル11とコイルケース20との間の隙間や、エッジワイズコイル16と磁性コア12との間の隙間に充填され、次第に固まる。これにより、チョークコイル11がコイルケース20内に固定されたコイル組立体10が完成する(
図12および
図13参照)。
【0058】
次に、コイル組立体10の接続部17A,17Bと相手側の接続端子70A,70Bとを接続するための四角ナット51を、コイル台32に取り付ける。
【0059】
まず、
図15に示すように、四角ナット51をコイル台32のナット保持部37に近づけ、その対向する一対の角部を弾性係止片41の案内溝43内に嵌め入れて、奥方へ押し込む。弾性係止片41は、案内溝43の下端の傾斜面44が四角ナット51の角部に押されることにより、全体が外側に向けて弾性変形し、これにより、四角ナット51が突出部42を乗り越えて、支持台38上に到達する。四角ナット51が支持台38上に載置されると、弾性係止片41は弾性復帰し、突出部42の下面において四角ナット51の対向する一対の角部を抜け止めする(
図17および
図19参照)。
【0060】
次に、四角ナット51が設置されたコイル台32を、外側ケース30の枠体31内の所定位置に、
図18の下方から嵌め入れる。この時、コイル台32に設けられた係止突部45が枠体31に設けられた図示しない受け部に係止することにより、コイル台32は枠体31内の所定位置に係止される。
【0061】
続いてコイル台32の下面に放熱板(図示せず)を配し、丸ねじ34を貫通孔33に貫通して放熱板のねじ孔(図示せず)に螺合させることにより、コイル台32と放熱板とを固定する。
【0062】
この状態において、一対の四角ナット51の上方には、
図18に示すように、予め外側ケース30内に設置された回路基板の接続端子70A,70Bが配置されている。
【0063】
次に、コイル組立体10をコイル台32の上方から近づけ、その接続部17A,17Bを相手側接続端子70A,70Bに重ね合わせるとともに、固定部27を固定台36に重ね合わせる。この時、コイルケース20の位置決めリブ25Cが外側ケース30の案内凹部46に嵌合されるから、コイル組立体10は安定した姿勢で正規の位置に配される。
【0064】
そして、重ね合わされた接続部17A,17Bの接続孔18と、相手側接続端子70A,70Bの接続孔71とにボルト80を嵌め入れて四角ナット51のねじ孔と螺合させるとともに、固定部27の取り付け孔28に丸ねじ34を嵌め入れて固定孔35に螺合させて、コイル組立体10を相手側接続端子70A,70Bと接続するとともに、外側ケース30に取り付ける(
図19および
図20参照)。
【0065】
さらに枠体31全体にカバーを被せることにより、電気接続箱100が完成する(
図21参照)。尚、電気接続箱100は、回路基板、放熱板、コイル組立体10、外側ケース30、カバー等を含む。
【0066】
このような本実施形態のコイル組立体10によれば、以下の効果を有する。一般に、部品には寸法誤差があるため、これを無理に固定しようとすると、歪が生じて、部品に対して無理な力が加わる。コイル組立体10は、チョークコイル11を、コイルケース20を介して、外側ケース30のコイル台32に固定する。そのため、部品の寸法誤差や組み付け位置の誤差による歪を、コイルケース20とチョークコイル11の間で吸収できる。従って、コイル台32に対してチョークコイル11を直接固定する場合に比べて、チョークコイル11に強い力が加わることを防止することが可能であり、チュークコイル11の磁性コア12に割れが生じ難い。しかも、コイルケース20の固定部27は弾性を有しており、固定部27でも歪をすることが吸収できる。そのため、磁性コア12の割れがより一層生じ難い。
【0067】
また、コイルケース20の内部は、ポッティング材60が充填され、空気がない構成であるから、磁歪による異音を抑制することができる。また、コイルケース20内でチョークコイル11ががたつくこともない。よって、異音が生じ難いコイル組立体10とすることができる。
【0068】
また、コイルケース20の内面に当接リブ26、25Dが設けられており、チョークコイル11の外面とコイルケース20の内面との間に、僅かな隙間が形成されるようになっているから、この隙間にポッティング材60を確実に充填することができ、もって、より異音の発生を抑制するとともに、チョークコイル11をコイルケース20内によりしっかり固定することができる。
【0069】
また、四角ナット51は、取付状態におけるコイル組立体10の接続部17A,17Bの延出方向に対して、その同一平面内において45度傾いてコイル台32(外側ケース30側)に取り付けられる構成とされている。このような構成は、上述したように、四角ナット51を、接続部17A,17Bの延出方向に沿う方向に取り付ける構成と比較して、より小さい幅寸法の四角ナット51を採用することができる。すなわち、コイル組立体10を軽量化することができる。
【0070】
実施形態2を
図16、
図22ないし
図31により説明する。尚、以下の説明において、接続部17A、17Bの並び方向(
図22、
図27の左右方向)をX方向とし、コイルケース320に対するチョークコイル11の挿入方向(
図22、
図27の上下方向)をY方向とする。
【0071】
実施形態2のコイル組立体310は、コイルケース320と、チョークコイル11と、コイルケース320内に充填されるポッティング材60とを備える。チョークコイル11は、実施形態1と同一構成であり、磁性コア12と、エッジワイズコイル16とから構成され、コイルケース320の内部に収容されている。
【0072】
コイルケース320は、実施形態1のコイルケース20と同様、合成樹脂製であり、一面側(前側)が開口321により開放された箱型である。コイルケース320は、外面にフランジ(位置決め部の一例)330を有している。フランジ330はコイルケース20の外面から外向きに突出している。フランジ330は、コイルケース320の開口端部、すなわち開口321が設けられた前端部に設けられている。フランジ330は、コイルケース320の全周に亘って形成されている。
【0073】
より詳しくは、コイルケース320のX方向両側の側壁24の前端部に側部フランジ330A、330Bが形成され、コイルケース320の上壁22の前端部に上部フランジ330Cが形成され、コイルケース320の底壁23の前端部に底部フランジ330Dが形成されている(
図23参照)。このように、コイルケース320の前端部(開口端部)にフランジ330を設けることで、成形に伴う、コイルケース320の反りや変形を抑制することができる。また、特に、フランジ330を全周に形成することで、反りや変形の抑制効果を高めることが出来る。
【0074】
また、実施形態2のコイル組立体310は、フランジ330を利用して、外側ケース30のコイル台32に対して、コイルケース320を位置決めする。具体的には、X方向(左右方向)とY方向(前後方向)の2方向を位置決めする。尚、外側ケース30は、実施形態1と同一構造である。
【0075】
(X方向の位置決め構造)
図24に示すように、コイル台32には、複数の前後リブ410と、複数の左右リブ420が形成されている。前後リブ410はY方向に沿って形成され、左右リブ420はX方向に沿って形成されている。一方、
図23に示すように、コイルケース320の底部フランジ330Dには切り欠き部340(凹部の一例)が左右2か所設けられている。切り欠き部340はコイル台32に形成された、中央2本の前後リブ410と対応する位置に設けられている。
【0076】
図31に示すように、コイル台32の底部に形成された中央2か所の前後リブ410に対して、底部フランジ330Dの各切り欠き部340が嵌合することにより、コイルケース320はX方向(左右方向)の位置が規制され、コイル台32に対して位置決めされる。より詳しく言えば、コイルケース320は、X方向の中心がコイル台32のX方向の中心Lo(
図26参照)に対して一致するように位置決めされる。尚、
図31に示す符号HPは、放熱板である。
【0077】
また、コイル組立体310は、コイルケース320とは別の方法で、チョークコイル11についても、X方向に位置決めする構造になっている。具体的に説明すると、コイル台32は、
図24に示すように、各支持台38のX方向両側に、外壁部430A、430Bを有している。外壁部430A、430Bは、支持台38のX方向両側に形成された弾性係止片41の外側を囲っており、弾性係止片41を保護する機能を果たしている。
【0078】
各外壁部430A、430Bの後端には、アーム431A、431Bが形成されている。各アーム431A、431Bは、支持台38の中心に向かって内向きに延びている。これら2つのアーム431A、431Bの先端部は、
図24に示すように、支持台38の上面に位置している。2つのアーム431A、431Bは、支持台38の中心からの距離が等しく、アーム間の距離は、チョークコイル11の接続部17A、17Bの幅寸法と一致している。
【0079】
図27に示すように、各支持台38の2つのアーム431A、431Bの間に、チョークコイル11の接続部17A、17Bがそれぞれ嵌合することにより、チョークコイル11はX方向(左右方向)の位置が規制され、コイル台32に対して位置決めされる。このように、コイルケース320に対する位置決め構造とは別に、チョークコイル専用の位置決め構造を設けることで、コイルケース320に対するチョークコイル11の組付位置がずれている場合(例えば、ポッティング材60の充填時に組付位置がずれた場合)でも、コイル台32の中心Loに対するチョークコイル11の中心位置のずれを抑えることが可能となる。
【0080】
(Y方向の位置決め構造)
次にコイルケース320をコイル台32に対してY方向(前後方向)に位置決めする構造について説明する。
図16、
図24に示すように、コイル台32は一対の支持部450A、450Bと、一対の縦壁460A、460Bを有している。一対の支持部450A、450Bは、コイル台32のX方向両側にあって、X方向両側の固定台36に対応して設けられている。
【0081】
支持部450A、450Bは、固定台36よりも上面の高さが低く、また、コイル組立体310の組付スペースを避けるように、固定台36の外側に位置している。支持部450A、450Bは、
図25に示すように、枠体31のうち、固定台36の外側を囲む第1壁部500A、500Bを支持している。
【0082】
縦壁460A、460Bは、
図24に示すように、支持部450A、450Bの内側前端に設けられている。縦壁460A、460Bは、支持部450A、450Bから前方に突出している。縦壁460A、460Bの前面は垂直であり、上部にはテーパが設けられている。
【0083】
枠体31は、
図25に示すように、第2壁部510A、510B、第3壁部510Cを有している。第2壁部510A、510Bは、コイル台32に形成されたX方向両側の外壁部430A、430Aの上面を覆っている。第3壁部510Cは、2つの第2壁部510A、510Bを連結しており、X方向に並ぶ2つの支持台38の周囲を覆っている。
【0084】
図25、
図26に示すように、第2壁部510A、510Bの後部は段差状になっており、段差部分の内側に、コイル台32の縦壁460A、460Bが位置する。第2壁部510A、510Bのうち内側の後面壁521A、521Bは、縦壁460A、460BとY方向(前後方向)に向かい合っている。これら縦壁460A、560Bと後面壁521A、521Bは、
図26、
図28、
図29に示すように、両壁の間に、位置決め溝530を形成する。
【0085】
図27、
図30に示すように、X方向両側の各位置決め溝530に対して、コイルケース320の各側部フランジ330A、330Bがそれぞれ嵌合することにより、コイルケース320はY方向(前後方向)の位置が規制され、コイル台32に対して位置決めされる。
【0086】
以上説明したように、実施形態2では、コイル組立体310をコイル台32に対して位置決めできる。従って、コイル台32に対するコイル組立体310の相対的な位置のずれを抑えることが出来る。そのため、コイル台32の固定孔35とコイル組立体310に設けられた固定部27の取り付け孔28が概ね一致することから、コイル組立体310をコイル台32に固定するネジ止め作業を容易に行うことが出来る。
【0087】
また、外側ケース30に設置された接続端子70A、70Bと、チョークコイル11の接続部17A、17Bの位置のずれも抑えられる。そのため、これらを接続するネジ締め作業についても、容易に行うことが出来る。
【0088】
また、コイル組立体310はX方向、Y方向の2方向の位置決めが可能であり、コイル台32に対するコイル組立体310の相対的な位置のずれを一層抑えることが出来る。そのため、上記した2つのネジ止め作業を一層容易に行うことが出来る。
【0089】
また、コイル組立体310は、コイルケース320の開口端部に形成したフランジ330を利用して位置決めを行う。従って、コイルケース320の補強と位置決めを合わせて行うことが出来る。
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0090】
(1)上記実施形態1においては、磁性コア12として一対のPQ型コアを用いた例を示したが、一対のE型コアや一対のポットコア等、他の磁性コアを用いてもよい。
【0091】
(2)また、コイルもエッジワイズコイル16に限るものではなく、他のコイルを使用してもよい。また、コイル形状も、円形状に限定されるものではなく、例えば、
図32に示すエッジワイズコイル160のように長円形状や楕円形状としてもよい。そして、コイル形状を長円や楕円形状にすることで、コイルをコンパクト化できる。
【0092】
(3)コイルケース20の当接リブ26は必ずしも設けなくてもよい。
【0093】
(4)コイルケース20の位置決め突部25Bは必ずしも設けなくてもよい。
【0094】
(5)上記実施形態1では、「固定部」の一例として、コイルケース20と一体に形成した固定部27を例示した。固定部は弾性を有するものであればよく、コイルケース20と別体で構成されてしてもよい。また、固定部は、樹脂材料に限定されるものではなく、ばね鋼等の金属製であってもよい。
【0095】
(6)上記実施形態1では、コイル組立体10を外側ケース30のコイル台32に対して取り付けた例を示した。コイル組立体10の取り付け先は、外側ケース30やコイル台32に限定されるものではなく、樹脂製の樹脂部材であれば、特に制約はない。
【0096】
(7)上記実施形態1においては、外側ケース30と別体でコイル台32を設け、四角ナット51をこのコイル台32に保持する構成としたが、コイル台32を一体に設けた外側ケース30に四角ナット51を保持する構成としてもよい。
【0097】
(8)また上記実施形態1では、四角ナット51を、コイル組立体10の接続部17A,17Bの延出方向に対して45度傾いて設置する構成としたが、45度に限らず、他の角度で設置してもよく、要は、四角ナット51の角部を保持できる角度であればよい。
【0098】
(9)四角ナット51の保持構造は、上記実施形態に限るものではない。
【0099】
(10)上記実施形態1では、外側ケース30を枠体31とコイル台32を含む構成とした。そして、外側ケース30のコイル台32にコイル組立体10を取付ける例を示した。コイル組立体10は、コイル台32を利用して取り付ける場合に限らず、外側ケース30や枠体31に対して取り付け部を設けて、外側ケース30や枠体31に直接取り付ける構成としてもよい。
【0100】
(11)上記実施形態2では、コイルケース320の外面に形成したフランジ330を利用して、コイル組立体310をコイル台32に位置決めする構成とした。位置決めの方法は、フランジ330を利用する場合に限らず、フランジ330とは別に設けた位置決め部(例えば、突起やリブ)をコイル台32や枠体31の一部に嵌合させる構造でもよい。
【0101】
(12)上記実施形態2では、コイル組立体310をコイル台32に対して、X方向とY方向の2方向とも位置決めした例を示したが、2方向のうち、どちらか一方だけ位置決めする構造にしてもよい。
【0102】
(13)また、実施形態2では、コイルケース320に形成した左右の側部フランジ330A、330Bを、コイル台32の左右の位置決め溝530に対してそれぞれ嵌合させる構造にしたが、片側の側部フランジ330A、330Bと位置決め溝530だけを用いて、コイルケース320のY方向の位置決めを行うようにしてもよい。