特許第6061178号(P6061178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6061178-AVスイッチャー 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061178
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】AVスイッチャー
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/439 20110101AFI20170106BHJP
   H04N 21/436 20110101ALI20170106BHJP
【FI】
   H04N21/439
   H04N21/436
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-154647(P2012-154647)
(22)【出願日】2012年7月10日
(65)【公開番号】特開2014-17722(P2014-17722A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 徹
(72)【発明者】
【氏名】松下 健太
【審査官】 福西 章人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−019890(JP,A)
【文献】 特開昭61−287400(JP,A)
【文献】 特開2010−113780(JP,A)
【文献】 特開2009−100329(JP,A)
【文献】 特開2008−228009(JP,A)
【文献】 特開平05−145847(JP,A)
【文献】 特開2008−153974(JP,A)
【文献】 特開2008−107397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
H04N 5/38−5/46
H04N 5/76−5/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の映像・音声ソースと一つまたは複数の映像・音声出力機器の間に出力ケーブル及び入力ケーブルを介して接続配置され、内蔵されたスイッチング制御部を介して前記映像・音声ソースと映像・音声出力機器を選択的に接続し、前記映像・音声ソースから映像・音声出力機器に対して映像及び音声信号を出力することが出来るAVスイッチャーにおいて、
前記AVスイッチャーは、前記映像・音声ソースが前記入力ケーブルを介して接続される入力部を、複数有し、
前記入力部は、前記入力ケーブルを接続することの出来るデジタル映像・音声入力端子及びアナログ音声入力端子を有し、
前記デジタル映像・音声入力端子及びアナログ音声入力端子には、それらのいずれかの端子にデジタル音声信号又はアナログ音声信号が入力された場合に、それらを検出して検出結果を出力することが出来る音声入力検出部が接続されており、
前記デジタル映像・音声入力端子から入力されるデジタル音声信号と、前記アナログ音声入力端子から入力されるアナログ音声信号のいずれかの音声信号に対してミューティング処理を行って、他の音声信号に対してはミューティング処理を行わずに出力することが出来るミューティング制御部を有し、
前記ミューティング制御部からのデジタル音声信号及びアナログ音声信号を合成して合成音声信号として前記スイッチング制御部に出力する音声合成部を有し、
前記ミューティング制御部は、音声入力検出部の検出結果に応じて、該音声入力検出部が検出した音声信号以外のデジタル音声信号又はアナログ音声信号を、ミューティング処理して、前記音声合成部に出力し、
前記ミューティング制御部に対して、前記入力されるアナログ又はデジタル音声信号のどちらを優先して採用すべきかを設定することの出来る設定手段を設け、
前記ミューティング制御部は、前記音声入力検出部がデジタル音声信号及びアナログ音声信号を共に検出した場合には、前記優先して採用すべきと設定された音声信号以外の音声信号に対してミューティング処理を行って、前記優先して採用すべきと設定された音声信号に対してはミューティング処理を行わずに、前記音声合成部に出力し、
更に、前記ミューティング制御部には、前記デジタル音声信号又はアナログ音声信号が優先すべき音声信号として、デフォルト設定されており、
前記ミューティング制御部は、前記音声入力検出部がデジタル音声信号及びアナログ音声信号を共に検出した場合で、前記設定手段により優先して採用すべきと設定された音声信号が無かった場合には、該デフォルト設定された以外の音声信号に対してミューティング処理を行って、前記デフォルト設定された音声信号に対してはミューティング処理を行わずに、前記音声合成部に出力することを特徴として構成したAVスイッチャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の映像・音声ソースと一つまたは複数の映像・音声出力機器との間に接続され、映像・音声ソースと映像・音声出力機器との間で画像信号及び音声信号の出力状態を切り替える、AVスイッチャーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の映像・音声出力機器に入力される映像・音声の信号はアナログ信号であり、例えば教室の教卓などに設置されている映像・音声出力機器のAV外部入力の形態は
映像 → DSUBコネクタ、コンポジットコネクタ、
音声 → RCAピンジャック、ミニジャック
であり、扱いも容易であった。
【0003】
しかし近年は映像・音声出力機器もデジタルのインターフェースが実装されつつあり、デジタルの映像・音声信号が1本のケーブルで伝送可能なHDMIコネクタが普及し始めている。これにより映像・音声出力機器にHDMIが追加される場合が多く見られるようになった。ただし、現状ではHDMIで音声信号を送る場合、映像・音声ソース側(つまり送る側)で設定を必要とする場合があるため、その設定の煩雑さを避けるために、映像信号はデジタルで、音声信号はアナログでそれぞれ入力する場合も考えられる(従来のDVI規格に基づいたシステムはそのような構成であった)。
【0004】
さて、例えば教卓等に設置されている映像・音声ソースとしてのブルーレイディスク(BD)プレーヤやPC等は、多くの場合AVスイッチャーに接続され、AVスイッチャーは選択すべき入力チャンネルをそれら映像・音声ソース間で選択的に切換えて、当該選択された映像・音声ソースの映像・音声信号をプロジェクター等の映像・音声出力機器に出力できるようになっている。HDMIの普及により、使用されるAVスイッチャーもHDMIに対応した製品が普及し始めてきた。
【0005】
このようなAVスイッチャーは、1つの映像・音声ソースが接続される映像・音声入力端子の1系統毎に、HDMI入力端子とアナログ音声入力端子を持ち(1系統であるがコネクタは別)、デジタル音声とアナログ音声のどちらを映像・音声出力機器に出力するかを設定により切換えることができるように構成されている。さらに高機能な装置ではユーザの特別な切り替え操作無しで、デジタル音声信号とアナログ音声信号を適切に切り替え処理することができるものもある。
【0006】
この種の機器としては、例えば、特許文献1に示すものが知られている。特許文献1には、デジタル音声信号が存在するときは、HDMI端子から入力されるデジタル音声信号を選択してスピーカなど音声信号処理回路に供給できるようにし、デジタル音声信号が存在しないときは、アナログ入力端子からの信号を音声信号処理回路に供給する映像信号受信装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-19890
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、デジタル/アナログ音声信号を、入力の有無によって切り替えた場合、切り替え時にスイッチングノイズが入ったり、無音状態が生じたりして違和感を与える場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、デジタル/アナログ音声信号を、信号入力の有無によって切り替えた場合でも、切り替え時にスイッチングノイズや無音状態が生じることのない、AVスイッチャーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点によれば、複数の映像・音声ソース(2)と一つまたは複数の映像・音声出力機器(3)の間に出力ケーブル(5)及び入力ケーブル(6)を介して接続配置され、内蔵されたスイッチング制御部(13)を介して前記映像・音声ソース(2)と映像・音声出力機器(3)を選択的に接続し、前記映像・音声ソース(2)から映像・音声出力機器(3)に対して映像及び音声信号を出力することが出来るAVスイッチャー(1)において、
前記AVスイッチャー(1)は、
前記映像・音声ソース(2)が前記入力ケーブル(6)を介して接続される入力部(7)を、複数有し、
前記入力部(7)は、前記入力ケーブル(6)を接続することの出来るデジタル映像・音声入力端子(9)及びアナログ音声入力端子(10)を有し、
前記デジタル映像・音声入力端子(9)及びアナログ音声入力端子(10)には、それらのいずれかの端子にデジタル音声信号又はアナログ音声信号が入力された場合に、それらを検出して検出結果を出力することが出来る音声入力検出部(11)が接続されており、
前記デジタル映像・音声入力端子(9)から入力されるデジタル音声信号と、前記アナログ音声入力端子(10)から入力されるアナログ音声信号のいずれかの音声信号に対してミューティング処理を行って、他の音声信号に対してはミューティング処理を行わずに出力することが出来るミューティング制御部(12)を有し、
前記ミューティング制御部(12)からのデジタル音声信号及びアナログ音声信号を合成して合成音声信号(CS)として前記スイッチング制御部(13)に出力する音声合成部(15)を有し、

前記ミューティング制御部(12)は、音声入力検出部(11)の検出結果に応じて、該音声入力検出部(11)が検出した音声信号以外のデジタル音声信号又はアナログ音声信号を、ミューティング処理して、前記音声合成部(15)に出力することを特徴として構成される。
【0011】
本発明の第2の観点によれば、前記ミューティング制御部(12)に対して、前記入力されるアナログ又はデジタル音声信号のどちらを優先して採用すべきかを設定することの出来る設定手段(キーボードやオンスクリーンメニューなど)を設け、
前記ミューティング制御部(12)は、前記音声入力検出部(11)がデジタル音声信号及びアナログ音声信号を共に検出した場合には、前記優先して採用すべきと設定された音声信号以外の音声信号に対してミューティング処理を行って、前記優先して採用すべきと設定された音声信号に対してはミューティング処理を行わずに、前記音声合成部(15)に出力することを、特徴として構成される。
【0012】
本発明の第3の観点によれば、前記ミューティング制御部(12)には、前記デジタル音声信号又はアナログ音声信号が優先すべき音声信号として、デフォルト設定されており、
前記ミューティング制御部(12)は、前記音声入力検出部(11)がデジタル音声信号及びアナログ音声信号を共に検出した場合で、前記設定手段により優先して採用すべきと設定された音声信号が無かった場合には、該デフォルト設定された以外の音声信号に対してミューティング処理を行って、前記デフォルト設定された音声信号に対してはミューティング処理を行わずに、前記音声合成部(15)に出力することを、特徴として構成される。
【0013】
本発明の第4の観点によれば、前記ミューティング制御部には、前記デジタル音声信号又はアナログ音声信号が優先すべき音声信号として、デフォルト設定されており、
前記ミューティング制御部は、前記音声入力検出部がデジタル音声信号及びアナログ音声信号を共に検出した場合に、該デフォルト設定された以外の音声信号に対してミューティング処理を行って、前記デフォルト設定された音声信号に対してはミューティング処理を行わずに、前記音声合成部(15)に出力することを、特徴として構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ミューティング制御部(12)で音声入力検出部(11)が検出した音声信号以外のデジタル音声信号又はアナログ音声信号を、ミューティング処理し、音声合成部(15)で、それらを合成して合成音声信号CSとすることで、機械的なスイッチング動作を用いること無く、デジタル/アナログ音声信号を切り替えることが出来るので、切り替え時にスイッチングノイズや無音状態が生じることが未然に防止され、違和感の無いAVスイッチャーの提供が可能となる。
【0015】
また、設定手段により、優先採用すべき音声信号を設定しておくことが出来るので、音声入力検出部(11)がデジタル音声信号及びアナログ音声信号を共に検出した場合でも、適切な制御が可能となる。
【0016】
優先採用すべき音声信号をデフォルト設定しておくことで、音声入力検出部(11)がデジタル音声信号及びアナログ音声信号を共に検出した場合にも、適切に対応することが出来る。
【0017】
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明が適用されるAVスイッチャーの接続例を示すブロック図。
図2図2は、AVスイッチャーの入力部の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づき、本発明の実施例を説明する。
【0020】
AVスイッチャー1には、図1に示すように、パーソナルコンピュータやブルーレイディスク再生装置、DVD再生装置など複数の映像・音声ソース2が接続されており、また、プロジェクター、プラズマディスプレイ(図1ではPDPn:n=1.2.…と表示)、液晶ディスプレイ等の複数の映像・音声出力機器3が接続している。AVスイッチャー1は、複数の映像・音声ソース2と一つまたは複数の映像・音声出力機器3とを、内蔵されたスイッチング制御部13の切り替えスイッチを操作することで、選択的又は重複して相互に接続し、任意の映像・音声出力機器3に、任意の映像・音声ソース2の映像及び音声信号を出力することができる。また、AVスイッチャー1と映像・音声出力機器3の間は、HDMIケーブル、DVIケーブル、アナログ音声ケーブルなどの出力ケーブル5により接続されており、AVスイッチャー1からは、デジタル映像信号、デジタル音声信号及びアナログ音声信号を、出力ケーブル5を介して各映像・音声出力機器3に出力することができる。
【0021】
また、AVスイッチャー1と各映像・音声ソース2との間も、HDMIケーブル、DVIケーブル、アナログ音声ケーブルなどの入力ケーブル6により、接続されており、各映像・音声ソース2からはAVスイッチャー1へ、デジタル映像信号、デジタル音声信号及びアナログ音声信号を、入力ケーブル6を介して出力することができる。
【0022】
AVスイッチャー1には、各映像・音声ソース2からの信号が入力ケーブル6を介して入力される入力部7が複数設けられており、各入力部7は、図2に示すように、デジタル映像信号又はデジタル映像及びデジタル音声信号が入力されるデジタル映像・音声入力端子9が設けられている。このデジタル映像・音声入力端子9は、HDMI端子やDVI端子から構成されており、更に、各入力部7には、アナログ音声信号が入力されるアナログ音声入力端子10が設けられている。アナログ音声入力端子10は,RCAピンジャックやミニジャックなどから構成されており、更に、デジタル映像・音声入力端子9とアナログ音声入力端子10は、音声入力検出部11に接続されている。また、音声入力検出部11には、ミューティング制御部12を介して音声合成部15が接続しており、各入力部7の音声合成部15及びデジタル映像・音声入力端子9は、図1に示すように、スイッチング制御部13に接続されている。
【0023】
スイッチング制御部13は、内蔵された図示しないスイッチ回路を介して、各入力部7のデジタル映像信号とデジタル音声信号及び/又はアナログ音声信号を、1個以上の映像・音声出力機器3に出力ケーブル5を介して出力することができる。出力ケーブル5は、入力ケーブル6と同様に、HDMIケーブル、DVIケーブル、アナログ音声信号用ケーブルなど、1本以上のケーブルから構成されている。
【0024】
AVスイッチャー1等は、以上のような構成を有するので、AVスイッチャー1を用いて、該AVスイッチャー1に接続された一つまたは複数の映像・音声出力機器3に、各映像・音声ソース2からの映像・音声を出力する際には、各映像・音声ソース2とAVスイッチャー1の入力部7の間を、入力ケーブル6で接続するが、その際、各映像・音声ソース2の出力仕様に合わせて、各映像・音声ソース2の映像及び音声を伝送するケーブルを接続する。この際、映像・音声ソース2を接続するユーザは、当該映像・音声ソース2の音声信号の出力仕様がデジタルかアナログかを、判断する必要は無く、とりあえず、映像・音声ソース2の映像・音声信号の出力端子とAVスイッチャー1の未だ入力ケーブル6が接続されていない入力部7とを入力ケーブル6を構成する1本以上のケーブルで接続する。例えば、ある映像・音声ソース2と入力部7を、HDMIケーブルと、ピンジャックケーブルで接続したり、DVIケーブルとRCAピンジャックケーブルで接続したりする。
【0025】
すると、AVスイッチャー1の各入力部7には、各映像・音声ソース2からデジタル映像・音声入力端子9とアナログ音声入力端子10の両方にそれぞれ音声信号用ケーブルが接続されたり、また、デジタル映像・音声入力端子9にのみデジタル音声信号用ケーブル(HDMIケーブル)が接続されたり、更には、アナログ音声入力端子10のみに、アナログ音声信号用ケーブル(ピンジャックケーブル)が接続されたりすることとなる。なお、映像信号は、全てHDMIケーブル又はDVIケーブルによるデジタル映像信号とする。
【0026】
使用に当たっては、各映像・音声ソース2からは、入力ケーブル6を介して、デジタル映像信号及びデジタル音声信号及び/又はアナログ音声信号がAVスイッチャー1の対応する入力部7に入力されるが、この際、各入力部7の音声入力検出部11は、デジタル映像・音声入力端子9及びアナログ音声入力端子10における、音声信号の入力状態を監視し、いずれかの信号が入力端子9又は10に入力された時点で、ミューティング制御部12に対して、その旨、通知する。ミューティング制御部12に対しては、AVスイッチャー1の図示しないキーボードやオンスクリーンメニューなどの入力手段を介して、入力されるアナログ又はデジタル音声信号のどちらを優先して採用すべきかを、オペレータが設定することができるように構成されている。
【0027】
音声入力検出部11は、デジタル音声信号については、デジタル映像・音声入力端子9から入力される信号から音声パケットの有無や、クロック信号の有無、音声データレベルを検出することで検出することができ、アナログ音声信号については、アナログ音声入力端子10から入力される信号から音声レベルを検出することで可能である。音声入力検出部11でデジタル音声信号又はアナログ音声信号が検出されると、その検出結果をミューティング制御部12に出力し、ミューティング制御部12は、その検出結果に応じて、音声入力検出部11を介して入力されるデジタル音声信号及び/又はアナログ音声信号のうち、いずれかをミューティングする制御を行う。
【0028】
即ち、ミューティング制御部12には、デジタル映像・音声入力端子9及びアナログ音声入力端子10からの音声信号(入力)がそのまま入力されるように構成されており、デジタル映像・音声入力端子9及び/又はアナログ音声入力端子10に音声信号が入力されれば、そのまま音声入力検出部11を介してミューティング制御部12に入力される構成となっている。
【0029】
ミューティング制御部12は、音声入力検出部11からの検出結果に応じて、
(a)デジタル音声信号が検出された場合:ミューティング制御部12に入力されるデジタル音声信号及びアナログ音声信号のうち、アナログ音声信号に対してミューティングを掛け、デジタル音声信号はミューティング処理を行わず、そのまま音声合成部15に出力する、
(b)アナログ音声信号が検出された場合:ミューティング制御部12に入力されるデジタル音声信号及びアナログ音声信号のうち、アナログ音声信号はミューティング処理を行わず、そのまま音声合成部15に出力し、デジタル音声信号に対してミューティングを掛ける、
制御を行う。この際のミューティング動作(処理)は、図2に示すように、ミューティング対象の音声信号に対して、デジタル又はアナログ音声信号の検出を示す音声検出信号がミューティング制御部12に入力された時点T1から、所定時間t(例えば、0.5秒)を掛けて、時点T2までの間で行われる。
【0030】
具体的には、対象音声信号、即ち、音声入力検出部11で検出された音声信号以外の音声信号について、それまでのミューティング制御部12に入力される音声信号に対して何らのミューティング処理も行わないMax状態から、ミューティング制御部12に入力された音声信号を完全に制限して音声合成部15に出力しない、Min状態にまで、徐々にその出力PWを変化させる制御(ミューティング処理)を行う。これにより、所定時間tの後には、音声入力検出部11で検出された音声入力のみが、そのままの状態で音声合成部15に出力されることになる。
【0031】
すると、それまでミューティング制御部12を通って音声合成部15にミューティングされること無く出力されていたデジタル音声信号及びアナログ音声信号は、音声入力検出部11で検出された音声信号だけが、そのままの状態、即ち、ミューティングされない状態で、音声合成部15に出力され、検出されなかった音声信号に関してのみ、その出力PWがミューティングされて、音声合成部15に出力される。音声合成部15には、それら(1)ミューティングされない状態の音声信号(デジタル音声信号又はアナログ音声信号)と、(2)ミューティング制御部12でミューティング処理された音声信号(アナログ音声信号又はデジタル音声信号)の両方が入力されるが、音声合成部15では、それらデジタル音声信号及びアナログ音声信号を同期化回路などの公知の手法を用いて合成し、合成音声信号CSとして、スイッチング制御部13に出力する。音声合成部15は、デジタル音声信号又はアナログ音声信号のどちらかにミューティング制御部12によるミューティング処理が施されつつある処理状態中PR(図2参照)であっても、ミューティング処理が施されていない音声信号をミューティング処理中の音声信号と合成して合成音声信号CSとして出力することが出来るので、合成音声信号CSには、スイッチングノイズや切り替えに伴う無音状態などが生じることはない。これにより、スイッチング制御部13には、ミューティング処理が施された音声信号とミューティング処理が施されていない音声信号を合成した合成音声信号CSが出力されることとなる。スイッチング制御部13では、対応する入力部7について設定された接続先の映像・音声出力機器3に対してデジタル映像信号と音声合成部15で合成された合成音声信号CSを出力する。
【0032】
ミューティング制御部12によるミューティング動作は、機械的なスイッチング動作ではなく、該当する音声信号の出力を、所定時間を掛けて電気的に減少させる形で行われるので、不快なスイッチングノイズの発生が防止されるばかりか、仮に、後述するように、デジタル映像・音声入力端子9及びアナログ音声入力端子10の両方からデジタル音声信号及びアナログ音声信号が入力されてきた場合でも、ミューティング制御(処理)の対象となるデジタル音声信号又はアナログ音声信号の出力がなめらかに減少される形で絞られ、ミューティング対象とならない音声信号は、そのまま音声合成部15に出力され、合成音声信号CSとしてスイッチング制御部13に出力されるので、スイッチング制御部13、従って、各映像・音声出力機器3に出力される音声信号が途切れてしまうようなことが無く、違和感のない音声信号の切り替え動作が可能となる。
【0033】
ところで、映像・音声ソース2の仕様やAVスイッチャー1への接続態様により、映像・音声ソース2から、デジタル映像・音声入力端子9及びアナログ音声入力端子10にデジタル音声信号及びアナログ音声信号が共に、入力される状態が生じる場合がある。こうした場合には、音声入力検出部11は、デジタル音声信号及びアナログ音声信号の両方の入力を検出することとなる。
(c)デジタル音声信号及びアナログ音声信号が共に検出された場合:オペレータが設定した優先すべき音声信号をそのまま音声合成部15に出力し、それ以外の音声信号に対してミューティングを掛ける処理を行って、音声合成部15で合成音声信号CSを生成する。これにより、オペレータが設定したデジタル音声信号又はアナログ音声信号はミューティング処理が施されない状態で、音声合成部15に出力され、それ以外のアナログ音声信号又はデジタル音声信号はミューティング処理が施されて、音声合成部15に出力されて、合成音声信号CSが生成される。
【0034】
なお、デジタル音声信号及びアナログ音声信号が共に検出された場合で、オペレータによる優先すべき音声信号の設定が無かった場合には、ミューティング制御部12の適宜なメモリに優先すべき音声信号としてデフォルト設定されたデジタル音声信号又はアナログ音声信号が優先され、ミューティング処理が施されること無く音声合成部15に出力され、それ以外のアナログ音声信号又はデジタル音声信号に対してミューティング処理が行われる。
【符号の説明】
【0035】
1…AVスイッチャー
2…映像・音声ソース
3…映像・音声出力機器
5…出力ケーブル
6…入力ケーブル
7…入力部
9…デジタル映像・音声入力端子
10…アナログ音声入力端子
11…音声入力検出部
12…ミューティング制御部
13…スイッチング制御部
15…音声合成部
図1
図2