特許第6061184号(P6061184)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6061184-液状化粧料塗布体 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061184
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】液状化粧料塗布体
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   A45D34/04 510A
   A45D34/04 515A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-223054(P2012-223054)
(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公開番号】特開2014-73295(P2014-73295A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000223986
【氏名又は名称】フィグラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141210
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100100767
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 正彦
(72)【発明者】
【氏名】澤柳 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 布美子
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−229655(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0074868(US,A1)
【文献】 特開2007−307314(JP,A)
【文献】 特開2008−125843(JP,A)
【文献】 特開2004−351210(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0011532(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と、塗布部とから構成され、
該塗布部は、塗布面を形成するとともに、該塗布部の幅がシゴキのシゴキ穴の内径よりも大とし、
上記軸部の塗布部方向先端に、該塗布面に直交する方向に、塗布部のシゴキ穴通過において、該シゴキ穴の内径を拡張させるよう略楕円形状変形させて、該シゴキ穴の内縁が塗布部の塗布面に密着することを阻止するように突出してなる突出部を形成する
ことを特徴とする液状化粧料塗布体。
【請求項2】
上記塗布部の塗布面において、その全面又はその一部に対してフロッキー植毛加工をする
ことを特徴とする請求項1記載の液状化粧料塗布体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、液状口紅やリップグロス等の液状化粧料(以下、「液状化粧料」とする。)の塗布に使用する液状化粧料塗布体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液状化粧料の塗布に使用する液状化粧料塗布体には、例えば軟質樹脂、エラストマー又はゴム等の軟質材(以下、「軟質材」とする。)からなり、軸部と一体に成形される塗布部を幅広のヘラ状としてなるものがある。
【0003】
ところで、上記液状化粧料塗布体を内部に収容する塗布容器本体内の開口部内には、塗布部や該塗布部を保持する保持軸に過剰に付着した液状化粧料を拭い去る軟質材からなるシゴキが内装されており(特許文献1参照)、該シゴキには、その中央に塗布部や該塗布部を保持する保持軸が通過する円形のシゴキ穴が穿設されている。
【0004】
そのため、上記液状化粧料塗布体、特に幅広のヘラ状である塗布部がシゴキ穴を通過する際には、シゴキ穴は該塗布部によって大きく変形するものとなる。すなわち、円形状のシゴキ穴内を幅広のヘラ状である塗布部が通過しようとすると、該円形状のシゴキ穴は塗布部の幅だけ直径方向へ伸長するとともに、該塗布部の幅に対して直交する直径方向に短縮して略楕円形状のシゴキ穴へと変形するので、塗布部の塗布面、特に塗布部と一体に成形される軸部との近傍ではシゴキ穴の内縁と密着して塗布面に付着している液状化粧料を拭い去られるものとなる。その結果、塗布部の塗布面には必要量の液状化粧料が保持されていないので、反復して液状化粧料を被塗布面に対して塗布しなければならず、非常に煩らしいものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−161434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、液状化粧料塗布体の塗布部がシゴキを通過する際に、該シゴキ穴の変形によって該塗布部の塗布面において必要量の液状化粧料を保持させることができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の特徴として、
軸部と、塗布部とから構成され、
該塗布部は、塗布面を形成するとともに、該塗布部の幅がシゴキのシゴキ穴の内径よりも大とし、
上記軸部の塗布部方向先端に、該塗布面に直交する方向に、塗布部のシゴキ穴通過において、該シゴキ穴の内径を拡張させるよう略楕円形状変形させて、該シゴキ穴の内縁が塗布部の塗布面に密着することを阻止するように突出してなる突出部を形成するものである。
【0008】
そのため、シゴキ穴を塗布部が通過するにあたっては、液状化粧料塗布体を保持する保持軸に付着した液状化粧料を拭い去ることができる。
さらに、液状化粧料塗布体を軸部とともに構成する塗布部がシゴキ穴を通過にあたり、軸部の塗布部方向先端に形成される突出部が、シゴキ穴の内径を拡張するように変形させて、該塗布部の塗布面に密着しようとするシゴキ穴の内縁を阻止するとともに、該塗布部がシゴキ穴を通過する際にも該突出部がシゴキ穴の内縁が塗布面に密着しようとすることをも阻止するものである。その結果、シゴキを通過する塗布部の塗布面、特に塗布面の軸部側に対してシゴキ穴の内縁は密着することがないので、該塗布部の塗布面において必要量の液状化粧料を残すことができるものとなる。
【0009】
ここで、液状化粧料塗布体を構成する軸部の塗布部方向先端に形成される突出部は、塗布部がシゴキ穴を通過するにあたり及び通過するに際しても、シゴキ穴の内縁が塗布部の塗布面に密着することを阻止するので、該塗布部の塗布面に直交する方向に、シゴキ穴の内径を拡張するように突出していれば足りるものである。そして、特に液状化粧料塗布体の抜出時においてシゴキの変形を円滑に促すようにするために、該突出部を、その軸部側面において全周にわたって、軸部後端方向に小径化する円錐台形状としてなるものの他、対向する位置に配置するものであって、その形状を半球状とするものや、軸部方向に斜辺を形成する略三角形状又は略台形状とするものであっても良いものである〔図4(イ)〜(ハ)参照〕。
なお、塗布部の塗布面は、軸部の軸線の延長線上において平面状に形成されることで被塗布面に対する塗布部の位置を把握し易くなるが、口唇、特に上唇に対する塗布においては、液状化粧料塗布体を持つ手が体に接近して十分な角度が得られないことから上唇に対して十分に密着させられず、液状化粧料を正確に塗布することができなくなる。そこで、塗布部の塗布面を軸部の軸線の延長線上に対して傾斜させることで、塗布時に液状化粧料塗布体を液状化粧料塗布体を持つ手が体より離れて十分な角度が得られるので、液状化粧料を正確に塗布することができる〔図4(ニ)参照〕。
【0010】
第1の特徴を踏まえて、第2の特徴として、
上記塗布面において、その全面又はその一部に対してフロッキー植毛加工をするものである。
【0011】
そのため、フロッキー植毛加工をしてなる塗布部の塗布面の全面又は一部では、より多量の液状化粧料を保持されるものとなる。その結果、塗布部がシゴキを通過した後でも塗布面に残される液状化粧料をより多くすることができるので、広範囲の塗布部分に対して液状化粧料を塗布することができるものである。
【発明の効果】
【0012】
本願発明は、液体化粧料塗布体においてシゴキ穴の内径を拡張させるように突出してなる突出部によって、塗布部がシゴキを通過するにあたり及び通過するに際しても、シゴキ穴の内縁が塗布面に密着することを阻止するので、該塗布部の塗布面、特に塗布面の軸部側において必要量の液状化粧料を残すことができ、反復することなく、簡易且つ確実に液状化粧料の塗布を行うことができる優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本願発明の実施例1である液状化粧料塗布体を具える液状化粧料塗布容器の拡大断面図である。
図2図2(イ)は、本願発明の実施例1である液状化粧料塗布体を具える液状化粧料塗布容器を構成し、本願発明の実施例1である液状化粧料塗布体を保持するキャップの拡大断面図、(ロ)は、本願発明の実施例である液状化粧料塗布体の拡大部分断面図、(ハ)は、本願発明の実施例である液状化粧料塗布体の底面図である。
図3図3(イ)は、本願発明の実施例である液状化粧料塗布体の塗布部の拡大正面図、拡大側面図及び拡大底面図であり、(ロ)は、本願発明の実施例である液状化粧料塗布体の塗布部のシゴキ通過時の状態を示す断面図である。
図4図3(イ)〜(ニ)は、本願発明の実施例である液状化粧料塗布体の変形例の各々の正面図、側面図及び底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
液状化粧料塗布体において、シゴキを通過した後でも塗布部の塗布面に必要量の液状化粧料を残すものとするために、該液状化粧料塗布体を構成する軸部先端方向に、少なくとも塗布部の塗布面に直交する方向に、シゴキ穴の内径を拡張するように突出してなる突出部を形成することで実現した。
【実施例】
【0015】
図1において示すのは、本願発明の実施例である液状化粧料塗布体10を具える液状化粧料塗布容器1である。
ここで、該液状化粧料塗布容器1は、その内部に液状口紅、リップグロス等の液状化粧料(以下、「液状化粧料」という。)3を貯留し、その開口部4では後述する本願発明の実施例である液状化粧料塗布体10を保持する保持軸9又は塗布部12に密着して過剰に付着した液状化粧料3を拭い去る、変形可能な軟質材からなり、中央に円形状のシゴキ穴5aを有するシゴキ5を内装するとともに、その外周面には雄ネジ部6を螺設してなる塗布容器本体2と、その内周面において前記塗布容器本体2の開口部4の外周面に螺設する雄ネジ部6と螺合して該開口部4を閉塞自在とする雌ネジ部8を螺設するものであって、後述する本願発明の実施例1である液状化粧料塗布体10を、その軸部11を保持する保持軸9の根元部9aを嵌合させて一体に固持してなるキャップ7とからなるものである。
【0016】
そして、本願発明の実施例である液状化粧料塗布体10は、図2に示すように、上記キャップ7内において一体に固持する保持軸9先端の保持孔9b内に挿嵌される軸部11と、塗布部12とから構成されるものである。
さらに該塗布部12は、対向する両面を平面状の塗布面13、13とし、且つ該塗布部12の幅をシゴキ5のシゴキ穴5aの内径よりも大とし、上記軸部11の塗布部12方向先端に、塗布面13、13に直交する方向に、シゴキ穴5aの内径を拡張させるように突出してなる、軸部11後端方向に先細化する円錐台形状の突出部14を軸部11側面の全周にわたって形成するものである。
【0017】
本願発明の実施例である液状化粧料塗布体10は以上の構成を具えるので、液状化粧料3の塗布において次のようになるものである。
すなわち、まず液状化粧料3を塗布するにあたって、キャップ7の保持軸9に保持された液状化粧料塗布体10を内部に収容された塗布容器本体2内より取り出すため、キャップ7の雌ネジ部8と、塗布容器本体2の開口部4の雄ネジ部6との螺合を解くとともに該キャップ7を引張するものである。
【0018】
そして、該キャップ7の引張により、該キャップ7の保持軸9及び保持軸9に保持される液状化粧料塗布体10は、塗布容器本体2の開口部4に内装されるシゴキ5のシゴキ穴5aを通過するものとなる。すなわち、塗布容器本体2の開口部4内に内装されるシゴキ5のシゴキ穴5aに対してキャップ7の保持軸9及び該保持軸9に保持される液状化粧料塗布体10の塗布部12は、シゴキ穴5aを通過するものである。従って、まずキャップ7の保持軸9はシゴキ5のシゴキ穴5aの内縁に密着するので、その表面に付着した過剰の液状化粧料3を拭い去ることができるものである。
【0019】
さらに、該保持軸9に保持される液状化粧料塗布体10、特に塗布部12が通過するにあたっては、軸部11の塗布部12方向先端に、塗布面13、13に直交する方向に突出して形成される円錐台形状の突出部14がシゴキ穴5aの内径を拡張するように変形させるものである。さらに、該塗布部12の幅はシゴキ5のシゴキ穴5aの内径よりも大であるので、シゴキ5を通過する際に、シゴキ5の円形状のシゴキ穴5aは塗布部12の幅だけ直径方向に拡大すると共に、該拡大した直径に直交する直径方向に収縮し略楕円形状のシゴキ穴5aへと変形するものである。
【0020】
その結果、塗布部12がシゴキ5のシゴキ穴5aを通過するにあたっては、該突出部14が塗布部12の塗布面13、13にシゴキ5のシゴキ穴5aの内縁が密着することを阻止するものとなる。
さらに、塗布部12がシゴキ5のシゴキ穴5aを通過するに際しても、該突出部14がシゴキ穴5aが塗布面13、13に密着しようとすることをも阻止するものである。
【0021】
以上により、塗布部12の塗布面13、13、特に軸部11側には必要量の液状化粧料3が十分に残るものとなるので(図3参照)、液状化粧料塗布体10の塗布部12の塗布面13、13に十分に残った液状化粧料3によって、反復することなく、液状化粧料3を塗布することができるようになるものである。
【符号の説明】
【0022】
1 液状化粧料塗布容器
2 塗布容器本体
3 液状化粧料
4 開口部
5 シゴキ
5a シゴキ穴
6 雄ネジ部
7 キャップ
8 雌ネジ部
9 保持軸
9a 根元部
9b 保持孔
10 液状化粧料塗布体
11 軸部
12 塗布部
13 塗布面
14 突出部

図1
図2
図3
図4