特許第6061229号(P6061229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6061229-練製品成形装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061229
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】練製品成形装置
(51)【国際特許分類】
   A23P 30/10 20160101AFI20170106BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20170106BHJP
【FI】
   A23P30/10
   A23L13/00 E
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-85900(P2014-85900)
(22)【出願日】2014年4月2日
(65)【公開番号】特開2015-195792(P2015-195792A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年7月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】森本 浩人
(72)【発明者】
【氏名】越智 一志
【審査官】 長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭56−39346(JP,Y2)
【文献】 特公昭47−13096(JP,B1)
【文献】 実開平3−122692(JP,U)
【文献】 実公昭56−39356(JP,Y2)
【文献】 実公平7−50949(JP,Y2)
【文献】 特公昭58−5026(JP,B2)
【文献】 実開昭62−77591(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23P 30/10
A23L 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ドラムの外周面に形成された成形型から押し出された練製品を線材によって型面から剥離する練製品成形装置において、線材は、弓形枠に軸支された駆動ローラーを含む複数のローラーに掛け回されて、回転ドラムの外周面に近接した状態で回転ドラムの軸方向に循環走行するように張設され、駆動ローラーは、本体側から突設した出力軸と同心線上に弓形枠に支架された入力軸からの動力によって駆動され、弓形枠は、線材が回転ドラムの外周面に近接した作用位置と離れた退避位置とに位置変更可能に支持され、出力軸と入力軸の間には、弓形枠の位置変更に関連して作用するクラッチが設けられたことを特徴とする練製品成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロッケ、ハンバーグなどの練製品成形装置に関する。詳しくは回転ドラムの外周面に形成された成形型から押し出される練製品を線材によって型面から剥離する練製品成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る練製品成形装置の先行文献には、例えば特許文献1(実用公開昭54−140095号公報)がある。この文献においては、線材を成型ローラー(回転ドラムに相当)の軸方向に往復動自在に張設した構成が開示されており、線材の一端にはおもりが取り付けられ、他端は機体に据え付けられたモーターの駆動軸に固着されたクランク円盤に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用公開昭54−140095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粘性食材を使った練製品成形装置においては、食品衛生上の理由から材料が接触する箇所や飛散した材料が付着した箇所は作業中であっても清掃して常に清潔に保つ必要がある。従って、構成はできるだけ簡潔に、清掃が容易にできるようにしなければならない。
更に、作業中において、異なった成形品を得る場合には、異なった成形型を有した回転ドラムと迅速に交換できなければならない。
【0005】
本発明は、前記のような課題に対応するためになされたものであって、剥離用線材を備えたコンパクトで取り扱い性に優れた練製品成形装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、回転ドラムの外周面に形成された成形型から押し出された練製品を線材によって型面から剥離する練製品成形装置において、線材は、弓形枠に軸支された駆動ローラーを含む複数のローラーに掛け回されて、回転ドラムの外周面に近接した状態で回転ドラムの軸方向に循環走行するように張設され、駆動ローラーは、本体側から突設した出力軸と同心線上に弓形枠に支架された入力軸からの動力によって駆動され、弓形枠は、線材が回転ドラムの外周面に近接した作用位置と離れた退避位置とに位置変更可能に支持され、出力軸と入力軸の間には、弓形枠の位置変更に関連して作用するクラッチが設けられたことを特徴とする練製品成形装置とした。
【発明の効果】
【0007】
線材が弓型枠に軸支されたローラーに掛け回されて循環走行するので特許文献1の往復動するものに比べて構成が簡単でありコンパクトに構成できる。又、弓型枠が退避位置に位置変更されると回転ドラムを抜き替えての交換が容易となり、しかも線材を走行させる動力が断たれるので安全である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る練製品成形装置の要部を示す側面図
図2図1のAから見た要部の拡大図
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0009】
図面を参照しながら本発明に係る練製品成形装置を説明する。本発明の実施に供される成形装置は、外周面に粘性食品原料の成形型1が形成された回転ドラム2の上方にホッパー3が設けられていて、成形型1がホッパー3の直下に位置したときにホッパー3内の回転翼4によって送り出される食品原料が成形型1内に充填され、回転ドラム2が矢印の方向に回転して成形型1に充填された練製品が下方の排出位置に達すると成形型1の底板5がカム機構16によって押し上げられ(図1における仮想線位置)成形された練製品が押し出される構成である。
【0010】
成形型1から押し出された練製品は、底板5に付着したまま離れないので回転ドラム2の外周面に近接させた線材6上を通過することで剥離され図示しないコンベヤ上に落下して機外に排出される。
【0011】
線材6は、図2に示されるように、回転ドラム2の外周面に近接して回転ドラム2の幅寸法以上の長さを有した弦を張った状態の弓形枠7に軸支された駆動ローラー8を含む複数のローラー9、9間に掛け回されて矢印方向に循環走行される。
【0012】
弓形枠7は、形状が特定されるものではないが、平板状であって略中央部分に駆動ローラー8が配置される。駆動ローラー8は、本体側から回転ドラム2と同軸方向に突設した出力軸10と同心線上に弓形枠7に回転可能に支架された入力軸11からの動力を直交方向に変換する一組のベベルギヤー伝動機構12を介して駆動されるように構成される。このベベルギヤー伝動機構12はケースに収められ弓形枠7に取り付けられている。
【0013】
出力軸10と入力軸11とは同心線上で突き合わせて配設され、両軸間にはクラッチ13が設けられ、線材6が回転ドラム2の外周面に近接した作用位置(図1における実線位置)にあるときには、出力軸10から入力軸11に動力が伝達できるように構成される。本例におけるクラッチ13は、両軸端に取り付けられたアーム10a,11aの突起が作用位置において係合して動力が伝達される構成である。
【0014】
弓形枠7は、線材6が掛け回された駆動ローラー8を含む複数のローラー9、9、入力軸11、ベベルギヤー伝動機構12、スクレーパー15などがコンパクトに組み込まれていて、図1において実線で示されるように、線材6が回転ドラム2の外周面に近接した作用位置と仮想線表示の離れた退避位置とに位置変更可能に本体から回転ドラム2と平行に突設された支持軸17に揺動自在に支持される。
弓型枠7と本体との間には、線材6が回転ドラム2の周面に向けて弾圧されるようにスプリング14が張設される。
図示は省略したが、弓型枠7を作用位置及び退避位置のそれぞれの位置で保持させる保持機構が設けられる。
【0015】
15は、作用位置において矢印方向に走行する線材6に接して表面に付着した滓を拭い取る弓型枠7に取り付けられたスクレーパーである。
【0016】
上述したように構成された練製品成形装置において、成形された練製品を回転ドラム2の成形型1から剥離させる線材6を、線材6を走行させる動力の入力軸11、ベベルギヤー伝動機構12とともに支持させた弓型枠7を作用位置と退避位置とに位置変更可能に本体に支持させたので、点検清掃時及び回転ドラムの交換作業を行う際に、弓型枠7を退避位置に移動させると側面視において回転ドラム2と重なっていた弓型枠7の先端部も線材6とともに回転ドラム2から離れた位置まで移動させられるので支障なく容易に行える。
又、弓型枠7の退避位置へ移動に伴い、線材6を走行させる動力の入力軸11も移動するのでクラッチ13を構成する突起10aと11aとの係合が外れ動力の伝達が断たれるので安全に作業ができる。
【0017】
点検清掃及び回転ドラムの交換作業が終って弓型枠7を作用位置まで復帰させれば、入力軸11も出力軸10の同心線上に戻りクラッチ13を構成するアーム10a、11aの突起が係合して動力が伝達可能な状態となる。
【符号の説明】
【0018】
1 成形型
2 回転ドラム
6 線材
7 弓型枠
8 駆動ローラー
10 出力軸
11 入力軸
12 ベベルギヤー伝動機構
13 クラッチ
14 スプリング
15 スクレーパー
図1
図2