特許第6061232号(P6061232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6061232-ニンニク等マルチ栽培の筋状盛り土装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6061232
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】ニンニク等マルチ栽培の筋状盛り土装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/00 20060101AFI20170106BHJP
   A01G 1/00 20060101ALN20170106BHJP
【FI】
   A01G13/00 303
   !A01G1/00 301Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-257769(P2015-257769)
(22)【出願日】2015年12月11日
【審査請求日】2016年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】596016937
【氏名又は名称】株式会社苫米地技研工業
(72)【発明者】
【氏名】苫米地 力
【審査官】 門 良成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−81844(JP,A)
【文献】 特開2006−25615(JP,A)
【文献】 実開平2−81154(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 13/00
A01G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走車の前方に機枠を取り付け、この機枠に円筒状のブラシ体を横設した土寄せ装置を装備し、前記ブラシ体は回転軸に対して線材を放射方向に植設し、あらかじめ複数列の球根植え付け孔の位置には短径の線材を配置させて切除部を形成し、
この円筒状のブラシ体は広幅畝のマルチフイルム上面に対して進行方向に掬い上げながら回転することによって畝の溝部から掻き上げられた飛散土を前記切除部に集約させて筋状の盛り土部を形成することを特徴としたニンニク等マルチ栽培の筋状盛り土装置
【請求項2】
円筒状のブラシ体は機枠に対して上下に搖動自在に支承されている請求項1記載のニンニク等マルチ栽培の筋状盛り土装置
【請求項3】
土寄せ装置の後部には筋状の集約盛り土部間の残土を排除する補助ブラシを具備した請求項1記載のニンニク等マルチ栽培の筋状盛り土装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広幅畝にマルチフイルムを被覆した後、ニンニク等の球根を植え付けて栽培する作業体系に関するもので、生育初期における被覆フイルムの剥離を防止するための盛り土装置にかかるものである。
【背景技術】
【0002】
マルチフイルムを施設した後に、風に飛ばされたり、植え付け孔から風が侵入してフイルムがバタついて、吹き飛ばされることがあった。従来、マルチフイルムの風に対する剥離防止のための土盛り装置としては、例えば特許第3385689号公報に記載されるマルチフイルム敷設機の覆土装置が知られる。本公報には、「一定幅のマルチフイルムを繰り出しながら土壌面を前面に亘って被覆するマルチフイルム敷設機において、この往行程で被覆されるマルチフイルムの側端縁に沿って覆土する覆土器と、この覆土を該マルチフイルムの上面で中央寄りへ寄せる土寄せ器と、この土寄せ器によって寄せられた覆土を、復行程で被覆されるマルチフイルムの側端縁との重合部に戻して覆土する土戻し機とを設けてなる覆土装置の構成」(特許文献1)が開示されている。
又、特公平1−59856号公報には「成形される複数の畝及び畝溝にマルチフイルムを施設し、揚土部によってホッパに揚上した揚土を、下部が互いに開かれた位置に配置されている複数の配土シュートによって畔溝付近のマルチフイルムに覆土するように構成した覆土装置において、上記配土シュートは装置機枠に対する左右方向取り付け位置並びに放出方向左右位置の夫々を、調節可能に構成したマルチフイルム施設装置における覆土装置」(特許文献2)が開示されている。
又、従来、ニンニク等のマルチ栽培は畝にマルチフイルムを被覆して、フイルムに穴を開けながら球根を植え付けし、その後にフイルムが風に飛ばされるのを防止するために溝部からフイルム上面に土を掻き上げて盛り土して錘の代わりにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3385689号公報
【特許文献2】特公平1−59856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチフイルム被覆によるニンニク等の栽培は、日光の通過による地温保持効果と、雑草の抑制が期待されて行われる。そしてニンニク等球根は、広幅の畝に対して複数列に7〜8センチの深さに植えつけし、この後に風による剥離防止のため溝部から土を掻き上げてフイルム上面に飛散させて錘代わりにしていた。しかし、前記した公知の土盛り装置で広幅の畝上面に土を掻き揚げたままでは飛散した掻き揚げ土自体が日光の通過を阻止してマルチ内部の地温保持効果が損なわれる問題があった。そこで本発明では植え付け孔を密閉して強風の侵入を防止しするために、植え付け孔に対して筋状の盛り土する盛り土装置を提供するものである。現状、篤農家の人は人力による箒や板ヘラで飛散土を集約して筋状の盛り土を形成していたが本発明はこの人力による筋状盛り土作業を機械的軽作業に置き換えようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記課題を解決するために、請求項1記載の
自走車の前方に機枠を取り付け、この機枠に円筒状のブラシ体を横設した土寄せ装置を装備し、前記ブラシ体は回転軸に対して線材を放射方向に植設し、あらかじめ複数列の球根植え付け孔の位置には短径の線材を配置させて切除部を形成し、この円筒状のブラシ体は広幅畝のマルチフイルム上面に対して進行方向に掬い上げながら回転することによって畝の溝部から掻き上げられた飛散土を前記切除部に集約させて筋状の盛り土部を形成することを特徴としたニンニク等マルチ栽培の筋状盛り土装置である。
また、請求項2記載の円筒状のブラシ体は機枠に対して上下に搖動自在に支承されている請求項1記載のニンニク等マルチ栽培の筋状盛り土装置である。
また、請求項3記載の土寄せ装置の後部には筋状の集約盛り土部間の残土を排除する補助ブラシを具備した請求項1記載のニンニク等マルチ栽培の筋状盛り土装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のブラシ体は回転軸に対して線材を円筒状に植設し、あらかじめ設定した球根植え付け孔の位置に切除部を形成して構成し、このブラシ体は広幅のマルチフイルムに対して進行方向に掬い上げながら回転することによって掻き上げられた飛散土を前記切除部に集約させて筋状の盛り土部を形成するから、フイルム上面の植え付け孔を密閉して錘代わりになるので剥離を防止する。またブラシ体は機枠に対して上下に搖動自在に支承されているのでフイルム上面の凹凸に対して滑らかに追随してフイルムを破損することもない。また筋状の集約盛り土部間に残土を排除する補助ブラシを具備したので、日光の通過効率を一定に保持して地温保持効果が損なわれない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】は本発明を実施した外観斜視図
図2】は一部を省略した側面図
図3】要部の斜視図
図4】ブラシ体の断面図
図5】筋状盛り土成形斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態は自走車の前方に機枠を取り付け、この機枠に円筒状のブラシ体を横設した土寄せ装置を装備し、前記ブラシ体は回転軸に対して線材を放射方向に植設し、あらかじめ球根植え付け孔の位置に短径の線材を配置し切除部を形成し、このブラシ体は広幅のマルチフイルムに対して進行方向に掬い上げながら回転することによってマルチフイルム上面に掻き上げられた飛散土を前記切除部に集約させて筋状の盛り土部を形成するニンニク等マルチ栽培の筋状盛り土装置であり、前記の円筒状のブラシ体は機枠に対して上下に搖動自在に支承されて、前記の集約した筋状の盛り土間には残土を排除する補助ブラシを具備してなるニンニク等マルチ栽培の筋状盛り土装置である。
【実施例】
【0009】
本発明を実施した図面に基づいて構成を説明する。図1は本発明を実施した外観斜視図を示し、1は自走車で、エンジン18と変速ボックス25と駆動輪16から構成されて17のハンドルによって操作される。変速ボックス25の前方には筋状土寄せ装置6を装備した機枠2が装備されている。機枠2は水平方向の主枠3と4の横枠と前端に縦枠5が連結されて構成される。横枠4の両サイドには平面コ字状の支持枠8が装備される。19は中間軸で前記横枠4の下部に平行に設けられ13の第1伝導帯から伝動され、支持枠8の外側に設けた第2伝導帯14を介してブラシ体9の回転軸10を駆動する。21はテンションレバーを示し、第1伝導帯13の動力を切入りするものである。
縦枠5の下端には一対の支持輪7が設けられて20の調整レバーによって畝との高さを調整する。土寄せ装置6のブラシ体9は回転軸10に対して線材を放射方向に植設し、あらかじめ複数列の球根植え付け孔の位置には短径の線材を配置させて切除部を形成し、外観上は段付きの円筒状を形成する。
補助ブラシ15は支持枠8の後端に垂直状に取り付けられて、ブラシ体9が形成した筋状盛り土部相互間の残土を掃きだす。
図2は一部を省略した側面図で、自走車1の前方に土寄せ装置3が装備される。主枠3の前端に中間軸19が配置され、第1伝導帯13からテンション装置のレバー21によって駆動が断続される。8は支持枠で下部にブラシ体9の回転軸10を支承する。この円筒状のブラシ体は広幅畝のマルチフイルム上面に対して進行方向に掬い上げながら回転(F)することによって畝の溝部から前工程で掻き上げられた飛散土を前記切除部に寄せて集約させ筋状の盛り土部を形成するものである。支持枠8は先端が中間軸19を支軸として揺動自在(f方向)に支承されているので、ブラシ体9は畝の凹凸の際にも適宜に揺動してフイルム上面を滑らかに移動して傷つけることもない。15は筋状盛り土の相互間の飛散土を掃く補助ブラシであり、フイルムの光通過量を一定に保持する。マルチフイルム上面に畝溝から揚土する手段を本発明のブラシ体9の前方に一体に設けても本発明の要旨は変わらない。
図3は土寄せ装置要部の斜視図を示す。9のブラシ体はニンニクの植え付け列の4列に合わせて線材11を短径にした切除部を設けている。平面視コ字状の支持枠8の後部には筋状盛り土部相互間の飛散土を掃きだす三列の補助ブラシ15が装備される。補助ブラシ15は櫛状に下部に線材を突出させて形成す。
図4はブラシ体の断面図を示すものである。9のブラシ体は円筒状の木製からなる基台12に放射方向に線材11を植設してなる。両端には回転軸10が固着される。本実施例の線材12はナイロン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの樹脂材からなり、適宜な弾性を有する。22はニンニク球根で本実施例では畝に対して4列に植え付けられている。前記の線材11はこの植え付けられた球根列に位置する場所が短径を植設して切除部を形成してなる。
図5は本発明を実施した筋状盛り土成形斜視図を示し、広幅の畝に対してニンニク球根22が植え付けられたマルチフイルム23の孔25の列に筋状の盛り土24が形成された状態を示している。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明を実施することにより、冬直前のニンニク植え付けの後の強風などが吹いても、植え付け孔に風が侵入することもなく、また強風によるフイルムがバタついて剥離することもなく安定した生育がなされることになった。小規模のニンニク栽培農家に対しても計画的な経営ができる効果がある。
【符号の説明】
【0011】
1は自走車
2は機枠
3は主枠
4は横枠
5は縦枠
6は土寄せ装置
7は支持輪
8は支持枠
9はブラシ体
10は回転軸
11は線材
12は基台
13は第1伝導帯
14は第2伝導帯
15は補助ブラシ
16は駆動輪
17はハンドル
18はエンジン
19は中間軸
20調整レバーは
21はテンションレバー
22はニンニク球根
23はマルチフイルム
24は筋状盛り土
25は変速ボックス
【要約】
【課題】本発明はニンニク球根等のマルチ栽培の植え付け孔を密閉して強風の侵入を防止しするために、マルチフイルム上面に筋状の盛り土を形成する盛り土装置を提供する
【解決手段】発明は自走車の前方に機枠を取り付け、この機枠に円筒状のブラシ体を横設した土寄せ装置を装備し、前記ブラシ体は回転軸に対して線材を放射方向に植設し、あらかじめ球根植え付け孔の位置に短径の線材を配置し切除部を形成し、このブラシ体は広幅のマルチフイルムに対して進行方向に掬い上げながら回転することによってマルチフイルム上面に掻き上げられた飛散土を前記切除部に集約させて筋状の盛り土部を形成するニンニク等マルチ栽培の筋状盛り土装置であり、前記の円筒状のブラシ体は機枠に対して上下に搖動自在に支承されて、前記の集約した筋状の盛り土間には残土を排除する補助ブラシを具備してなるニンニク等マルチ栽培の筋状盛り土装置。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5