【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明品は患部等の身体部位の治療が目的の身体部位完全被覆型の被覆用品、被覆用品製造用基材に関
する。身体部位と薬剤を接触させたり、身体部位から薬剤を吸収させたりする為の身体部位被覆用品及び
被覆用品製造用基材とそれらの使用方法に関するものである。
従来のこれらを目的とした被覆用品では、被覆用品を身体部位に固定する為に接着剤等が使用されていた。
接着剤をした場合には接着剤に起因する皮膚かぶれ等の問題点があった。
また、薬剤が既に塗付された被覆用品が殆どで、使用者が任意に薬剤を選択出来るものではなかった。
本発明はこれらの問題点を改善し、身体部位の患部に任意に選んだ薬剤を接触させて患部に薬剤を直接塗
布すると同様の治癒効果を発揮させたり、薬剤を身体部位から吸収させる為の被覆用品、被覆用品製造用
基材に関するものであり、身体部位を完全に被覆する立体形状の被覆用品にすること、完全に被覆して使
用すること、接着剤を使用することなく持続して身体部位と薬剤の接触を行うことを可能とした完全被覆
型の被覆用品及びその使用法、被覆用品製造用基材の使用方法に関するものである。
本発明品の被覆用品、被覆用品製造用基材はいずれもストレッチ性、伸縮回復性を有しており、その特徴
を生かした立体形状の全体被覆用品であり、また基材の使用も全体被覆して使用するので、いずれも身体
部位を密着被覆する事が可能である。形状が身体部位にフィットしていない被覆用品を使用したの場合は
余裕部分を基材のストレッチ性を生かして伸張して使用し、身体部位にフィットさせ、密着性を改善して
使用することは応用使用方法として無論可能である。
余裕部分を伸張した場合は伸張部分を例えば両面接着テープ、クリップ、バンド等で固定する事で形状は
容易に固定できる。被覆用品製造用基材をテープ状シートとして使用する場合は基材のストレッチ性を生
かして身体部位を完全被覆した後に端末を上記の手段と同様にして固定する事が可能である。
いずれも密着被覆性に優れているので、薬剤を被覆用品の布帛部分に塗付した後に身体部位に被覆すれば
薬剤を安定して身体部位と接触出来て身体部位に薬剤を塗布すると同様の効果を発揮させる事が可能にな
る。
身体部位との密着性が優れている為、側面からの水の浸入防止性も良い。更に身体部位に接触する側の反
対側は防水性のフイルムで構成されているので被覆用品全体の水の浸入防止性にも優れていて、被覆用品
を使用したままで、水洗い等の家事作業を行っても水の浸透の防止性に於いても優れている。
身体部位を全体被覆することとなるので従来の部分被覆型の被覆用品と比較した場合に用品の端部が外
部からの摩擦等の抵抗力で容易に剥がされる事も少なくなり、剥離抵抗性に優れてた効果をうむ。
本願発明品は必要な薬剤を任意に選択して使用出来る点、薬剤を任意の割合に混合して使用できる点、薬
剤を患部や患部周辺の必要な個所に任意に点在させたり、分散して配置させたりして患部等の身体部位に
薬剤を接触させうる事も可能な点等において今までの患部被覆用品にはなかった構造の身体部位の治療や
殺菌用の身体被覆用品の提供及びその使用方法、被覆用品製造用基材 の使用方法を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明品は密着性に優れている身体部位完全被覆型被覆構造体、被覆用品製造用基材 であるため、接
着剤を使用しないで安定して身体部位を完全に被覆できる被覆用品、使用方法に関する特許である。更に
被覆部分を広く設計すれば薬剤を広い面積に塗付できるので薬剤と患部の接触ズレを心配しないで安定し
て持続接触させることが可能になる。
【0009】
本願発明品の被覆用品、被覆用品製造用基材 はいずれもストレッチ性の防水フイルムとストレッチ性を
有する薬剤保持層の布帛とがラミネートされたストレッチ性、伸張回復性ある複合布帛である。
ストレッチ性、伸張回復性を生かして、身体部位を全体的に被覆する立体形状の被覆用品に構成する事で、
また被覆用品製造用基材は身体部位に完全被覆する事で、接着剤を使用せずに身体部位を完全密着被覆さ
せることが可能である。
【0010】
密着性を良くするためには上述のストレッチ性の複合布帛を立体構造の完全被覆型被覆用品とすることが
必要であるが、身体部位に装着する際に被覆用品内部に密着性を阻害する空気がとどまらない様にする事
も重要である。装着時に空気が被覆用品から排出されやすい構造にする為に、本発明の接着剤不使用の完
全被覆被覆用品は少なくとも2箇所以上の開放口を有する構造の被覆用品とすることがこの点からは好ま
しい。
【0011】
更に本発明品は身体部位と接触する側の布帛で構成されている薬剤保持部に薬剤を含ませた後に身体部位
に被覆して使用する。その為の薬剤保持部はスペースとして一定以上の容積が必要である。
薬剤を一定量保持する目的から基材に使用される布帛は0.3mm以上の厚みが有り、目付けが50g/
m
2以上、好ましくは70g/m
2以上、更に好ましくは100g/m
2以上であるものが好ましい。
また、同様の目的から布帛の抱液性が30% 以上あるのが好ましく、50%以上が更に好ましい。
布帛の厚みが1.5mm以上になると身体部位と接触させる為に塗布される薬剤量が布帛内部にも多く含
まれる結果、内部に含まれる薬剤は有効に活用されないので無駄になってしまい好ましくない。
薬剤保持部の容積を確保し、且つ安定して一定量の薬剤を保持する布帛を作る為の布帛に使用する糸の糸
形態は長繊維の嵩高構造の加工糸タイプが好ましい。
使用する単糸の糸の太さは表面積を大きくし身体部位との接触面積を大きく、接触を緻密にする為、また
薬剤保持性(保水性で評価)を高める為にも細い糸が好ましく、2デニール以下が好ましく、1.5デニ
ール以下が更に好ましく、1.0デニール以下が最も好ましい。
発塵性の原因となる埃や毛羽が問題でない場合は短繊維糸も空間が多くて、加工糸と同様に容積を確保出
来る点で好ましく利用可能である。
繊維種別では塗付する薬剤の性質で疎水性薬剤の場合には、例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、
ポリオレフィン繊維等の疎水性繊維が好ましい。親水性の薬剤の場合には、例えば綿やレーヨン等のセル
ローズ系の親水性繊維が好ましく利用できる。
ストレッチ性を布帛に付与する目的では、ストレッチ性を有する、例えばポリウレタン系繊維や変性ポリ
エステル繊維等のストッレチ性を有する糸を適宜使用して布帛を製造することは好ましい方法である。
汎用性の薬剤の使用を想定した被覆用品を製造する場合には、親水性の繊維と疎水性の繊維を複合化した
糸を使用した布帛や交織、交編した布帛を使用することが好ましい。
被覆用品に使用するストレッチ性に優れ、伸張回復性にも優れた基材を作るために使用する布帛のストレ
ッチ性、伸縮回復率は重要である。このため基材の一面を構成する布帛の形態は不織布に比較して織物や
編物は布帛の組織がしっかりと構成されていて、形状が安定している点、縦方向または及び緯方向に所定
のストレッチ性を付与出来る点で、また伸張回復率にも優れている点で好ましい布帛である。
編物や織物は組織がしっかりと構成されていて形状が安定している点で好ましく、中でも編物は縦方向及
び緯方向の両方向に所定のストレッチ性を付与出来る様に設計できる点、伸張回復率にも優れている点で
最も好ましい布帛である。
繰り返して使用する出来る事はコスト面だけでなく、環境面で重要である。繰り返して使用する場合は洗
濯等で布帛組織が変化し難く、安定している事が求められる。この点から布帛を構成している繊維の糸が
良く組織化されている織物や編物の布帛が不織布に比べて好ましい。
使用される布帛には目的に応じて従来から公知の各種加工処理を行うことは特に問題が無く可能である。
例えば親水性を付与する為の親水化加工、吸水(吸汗)性加工、撥水加工等を具体的に例示出来る。
布帛に使用される繊維等の素材材質は薬剤と親和性のある材質が好ましい。例えば親水性の薬剤は親水性
の素材、疎水性の薬剤には疎水性の素材が多く使われている布帛が薬剤保持性の点で好ましい。
親水性の薬剤、疎水性の薬剤にも対応を可能にする汎用性のある材質としては親水性の繊維と疎水性の繊
維がミックスされたような素材、例えばポリエステ繊維と綿やレーヨン等のセルローズ繊維との混紡繊
維、混繊繊維を使用して作られる布帛が好ましい。また例えばポリエステル繊維と綿やレーヨン等のセル
ローズ繊維の交織や交編で得られる布帛が例示出来る。
傷口等への素材くず(繊維くず)の附着が好ましくない場合には発塵が少ない長繊維使用の布帛が好まし
い。同様の視点で組織構造がしっかりしている織物や編物が不織布に比べて好ましい布帛構造である。
傷口等を含む身体部位の刺激を小さくする目的からは布帛に使用される繊維素材は単糸の太さが細い方が
身体部位刺激が小さくて好ましく、2デニール以下が好ましく、1.5デニール以下が更に好ましく、
1.0デニール以下が最も好ましい。これらの細い糸を使用した布帛は表面積が大きくなり抱水性が良い
点、身体部位との接触面積が大きく密着性が良い点でも好ましい。
被覆用品や 被覆用品製造用基材 の薬剤保持層の反対側を構成するストレッチ性のフイルムは薬剤保持層
を形成する布帛以上のストレッチ性があり防水性を有するものなら特に制限はなく、例えばポリウレタン
系のフイルムやポリエステル系のフイルム等が利用可能である。
フイルムとして透湿性があるものが身体被覆部位のムレ感を発生させ難い点で好ましい。
複合布帛である基材のこのための透湿性としては2000mg/m
2/24Hr以上あるものが好ましい。
また基材の防水性としては耐水圧が1000mm以上あるものが好ましい。
これらの性質を容易に作成できるフイルムの例としてポリウレタン系のフイルムを例示出来る。
透湿性フイルムには無孔性と有孔性のフイルムが有るが、有孔性のフイルムの場合は布帛に塗付された薬
剤がフイルム層にまで滲みだした場合は孔の中に入り込む事も起こりうるので無孔のフイルムの方が好ま
しい。
薬剤保持層のストレッチ性布帛と外側を構成する防水性ストレッチ性フイルムとをラミネートした複合素
材構造の基材は被覆用品用製造用に使用されたり、身体を完全に被覆するための身体部位被覆に適した任
意の幅を有するテープ状シートとして使用される。
この布帛とフイルムがラミネートされた被覆用品用基材、テープ状シートのストレッチ性及びストレッチ
回復性(伸張回復性)は接着剤不使用の完全被覆型被覆用品、完全に身体部位を被覆するために使用する
テープ状シートの密着性、動作追随性に重要な役割を果たす。
そのストレッチ性は経又は緯方向に50%以上あるものが身体部位との密着性動作追随性の点から好まし
く、更に70%以上あるものがより好ましい。経方向及び緯方向共に50%以上あるものが最も好ましい。
また伸張回復率は60%以上あるものが好ましい。
更に、身体部位に対する圧迫感を与えない被覆用テープ状シート、身体部位形状にフィットした立体形状
の完全被覆型被覆用品を製造する為には基材の厚みは2mm以下のものが好ましく、1mm以下のもの
が更に好ましい。
厚みが2mm以上になると,サポータのようになって、フィット性が不十分になるだけでなく使用する身
体部位によっては部位の動きを阻害して本来の身体部位の動作を制約するので好ましくない。
サポーターの役割は身体部位を保護する、動きを制約する事を目的としており、本願発明品とは目的が異
なり、そのために構成を異にしている。このためには被覆用テープ状のシートの使用に際しても身体部位
の完全被覆は2重以下の範囲で使用するのが好ましい。
薬剤を被覆用品や被覆テープ状シートの布帛部分に塗布した後に、身体部位に被覆着用し使用した場合、
家事仕事やその他で水の使用中に水が被覆用品の側面から浸透するのを起こり難くする事は重要である。
被覆用品、被覆テープ状のシートの側面からの水の浸透を防止のする目的で疎水性の薬剤(本願で通常の
薬剤と区別して説明が必要な場合には防護薬剤と区別して呼ぶ)、例えばパラフィン、ワックス、ワセリ
ン等の防護薬剤を被覆用品や被覆用テープ状のシートの周辺部に予め塗布されている被覆用品が好ましい。
又、使用に関して言えば、薬剤を布帛に塗布する際に布帛の周辺部に上記の疎水性の防護薬剤を先に塗布
し、次に薬剤をその内側に塗付して使用すると被覆用品周辺部からの水浸透を防止する効果だけでなく、
塗付した薬剤が被覆用品の周辺部からの外へ漏出するのを防止する効果も発揮できる点で好ましい使用法
である。
複数の薬剤を点在させて塗付して使用する事は本願発明品では可能であるが、その際に薬剤の混ざり合う
のを防止する方法にも疎水性のパラフィンやワックス等の防護薬剤は利用可能である。即ち薬剤ごとに薬
剤を取り囲む形でパラフィン等の防護薬剤を先に布帛に刷り込んで塗付したの後に薬剤をその内側に塗布
することで薬剤どうしの混ざり合うのを防止できる。パラフィンやワックスが着色されているいると薬剤
を区別して塗付出来るのでより好ましい使用方法である。
立体構造の完全被覆型被覆用品の製造に際して、身体部位に適した立体被覆構造に縫製する方法には熱融
着方式,両面接着テープ使用方式、ミシン縫い方式等が有るが特に限定されるものではない。
ミシン縫いで行った場合は縫い孔がフイルム層に形成されたり、縫い目が形成されたりする結果、縫い孔
部分や縫い目ピッチ部分から薬剤が被覆用品外部に漏出したり、水使用時には外部から水の浸透が起こる
こともあり、場合に依っては好ましくない。縫い合わせが必要な個所の製造技術には両面接着テープ使用
方式が好ましく利用可能である。中でも熱融着性の性能を有する接着テープは簡便でシールド性も良くて
好ましい。外側を構成しているストレッチ性フイルム自体が熱融着性である場合には接着用のテープ等も
不要で且つ効率的に縫製が出来るので最も好ましい。この熱融着縫製には例えば特開63−005929
に記載の公知の技術等を使用する事で可能である。
本願発明品は外側がフイルム層、内側が布帛層で構成されている。治療用や殺菌用の液状、ペースト状の
市販されている塗り薬等の薬剤、病院で処方される液状、ペースト状の塗り薬等の薬剤を布帛に適宜付与
させた後に本願発明の被覆用品で身体部位を被覆して、薬剤と身体部位と接触させる事で治療や殺菌効果
、径皮薬剤吸収効果を発揮させる為の身体部位の被覆用品である。
またテープ状の被覆シートでは薬剤を同様に布帛部分に塗布した後にぐっると全体を被覆すした後、末端
部を接着テープやクリップで固定するか、その上にストレッチ性のある帯状のバンドで被覆固定する事で
密着被覆が可能である。
本願発明の接着剤不使用の完全被覆型被覆用品はストレッチ性と伸張回復性が有り、更に患部を含む身体
部位全体を被覆する立体形状の被覆用品であることから接着剤を使用しないで身体部位の密着被覆性に優
れている。
テープ状の被覆シートも身体部位をぐるっと被覆して使用するので、接着剤を使用しないで密着被覆でき
る。このため接着剤による皮膚かぶれ等の皮膚のトラブルを起こさない特徴を有する。更に本願発明品は
患部を含む身体部位全体をすっぽりと密着被覆する被覆構造体、全体をぐるっと被覆使用するので移動し
難く、被覆ズレを起こし難い特徴も有している。 また保持部を広く設計し、全面に薬剤を塗付すればた
とえ被覆用品が移動した場合でも患部と薬剤が接触しなくなることをも防ぐことが可能である。
身体部位を全体被覆する構造体、及び被覆使用する方法であるので従来の部分被覆型の被覆用品と比較し
た場合に端部が外部からの摩擦等の抵抗力で剥がれてる事は少なく、剥離抵抗性に優れている。
外側に配置して使用されるフイルム層は防水機能の役割と共に布帛層に塗付される薬剤、薬剤に含まれる
溶媒等の成分の外部への漏れ出しを防止する役割も果たす。
本願発明品の構成は、患部に薬剤を持続して接触させる為の薬剤保持部を有し、その保持部に必要な薬剤
を任意に選択して塗布し、接着剤を使用しないで 患部を含む身体部位をすっぽりと被覆して使用する被
覆用品及び使用方法であり、身体部位の密着被覆性に優れ、今までの市場にはない新規な治療や殺菌用に
使用出来る接着剤不使用の身体部位完全被覆型の被覆用品、被覆使用方法である。
本願で記述する布帛の厚みはピーコック社製マイクロメータで測定した値、透湿性は JIS L109
9 A−1法で測定した値、ストレッチ性は JIS L1096 B−1法で測定した値、伸張回復率
は JIS L1096 B−1法で測定した60分後の値、剥離強力はJIS L 1086 A−
1法で測定した値、ウイッキング性はJIS L 1096 A法で測定した値,フイルム伸度はJIS
L 1096 A法で測定した値である。
抱液性は布帛を水に浸漬した後、4.4Kg/cm
2の圧力のマングルで絞った後の布帛の水分含有量率
を言う。