特許第6061286号(P6061286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6061286-ポンプ漏水除去装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061286
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】ポンプ漏水除去装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/70 20060101AFI20170106BHJP
   F04D 13/16 20060101ALI20170106BHJP
   F04D 13/12 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   F04D29/70 F
   F04D13/16 W
   F04D13/12 A
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-142723(P2012-142723)
(22)【出願日】2012年6月26日
(65)【公開番号】特開2014-5790(P2014-5790A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】391022658
【氏名又は名称】パーカーエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095245
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】石丸 昭夫
【審査官】 加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−028503(JP,U)
【文献】 特許第102734(JP,C2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/70
F04D 29/08−29/10
F04D 13/12
F04D 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプのケーシングに配設された軸封装置を介してポンプ内部空間から軸受側へ流れ出た漏水を一時的に貯留する漏水貯留部と、ポンプ出口から延びる配管から分岐した分岐配管の途上に配設した絞り部と前記漏水貯留部から前記絞り部まで延びる吸水管とによって形成されたアスピレータとを備え、前記分岐配管のアスピレータよりも下流側の部位がポンプ入口に配管を介して接続された貯水槽に接続されていることを特徴とするポンプ漏水除去装置。
【請求項2】
漏水貯留部はポンプと一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ漏水除去装置。
【請求項3】
漏水貯留部はポンプとは別体で形成され、ポンプに取付けられていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ漏水除去装置。
【請求項4】
漏水貯留部はポンプとは別体で形成され、ポンプとは別体で配設されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ漏水除去装置。
【請求項5】
ポンプのケーシングに配設された軸封装置を介してポンプ内部空間から軸受側へ流れ出た漏水を、ポンプ出口から延びる配管から分岐した分岐配管の途上に配設した絞り部と絞り部に接続する吸水管とによって形成されたアスピレータを用いて吸引除去し、前記分岐配管のアスピレータよりも下流側の部位から、ポンプ入口に配管を介して接続された貯水槽に還流させることを特徴とするポンプ漏水除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプ漏水除去装置及びポンプ漏水除去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポンプのケーシングに配設された軸封装置を介してポンプ内部空間から軸受側へ流れ出た漏水は、従来、例えば特許文献1に開示されているように、一時的に漏水貯槽に貯留し、専用の排水ポンプを介して外部環境に排出するのが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−170287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のポンプ漏水除去装置には、専用の排水ポンプを要するので高価である、排水ポンプが故障すると漏水の排出ができなくなる等の問題がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、従来技術に比べて安価であり信頼性の高いポンプ漏水除去装置及びポンプ漏水除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、ポンプのケーシングに配設された軸封装置を介してポンプ内部空間から軸受側へ流れ出た漏水を一時的に貯留する漏水貯留部と、ポンプ出口から延びる配管から分岐した分岐配管の途上に配設した絞り部と前記漏水貯留部から前記絞り部まで延びる吸水管とによって形成されたアスピレータとを備え、前記分岐配管のアスピレータよりも下流側の部位がポンプ入口に配管を介して接続された貯水槽に接続されていることを特徴とするポンプ漏水除去装置を提供する。
本発明においては、漏水貯留部に溜まった漏水を、ポンプ吐出水を利用したアスピレータで吸い出す。アスピレータは、ポンプ出口から延びる配管から分岐した分岐配管の途上に配設した絞り部と前記漏水貯留部から前記絞り部まで延びる吸水管とによって形成され、構成が単純なので、従来技術で使用する排水ポンプに比べて安価であり、また故障の可能性が低く信頼性が高い。
前記分岐配管のアスピレータよりも下流側の部位をポンプ入口に配管を介して接続された貯水槽に接続し、漏水を貯水槽に戻せば、漏水の外部環境への排出が防止され、漏水による外部環境汚染が防止される。
軸封装置からの漏水流量が微小の場合には、小容量の漏水貯留部をポンプと一体形成し、或いはポンプと別体で形成してポンプに取付けても良い。軸封装置からの漏水流量が微小でない場合には、漏水貯槽等の比較的大容量の漏水貯留部をポンプとは別体で形成してポンプとは別体で配設しても良い。
本発明においては、ポンプのケーシングに配設された軸封装置を介してポンプ内部空間から軸受側へ流れ出た漏水を、ポンプ出口から延びる配管から分岐した分岐配管の途上に配設した絞り部と絞り部に接続する吸水管とによって形成されたアスピレータを用いて吸引除去し、前記分岐配管のアスピレータよりも下流側の部位から、ポンプ入口に配管を介して接続された貯水槽に還流させることを特徴とするポンプ漏水除去方法を提供する。
アスピレータを用いたポンプ漏水除去方法は従来技術に比べて安価であり、且つ信頼性が高い。分岐配管のアスピレータよりも下流側の部位をポンプ入口に配管を介して接続された貯水槽に接続し、漏水を貯水槽に戻せば、漏水の外部環境への排出が防止され、漏水による外部環境汚染が防止される。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、従来技術に比べて安価であり信頼性の高いポンプ漏水除去装置及びポンプ漏水除去方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例に係るポンプ漏水除去装置の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施例に係るポンプ漏水除去装置及びポンプ漏水除去方法を説明する。
図1に示すように、ポンプAのケーシング1を貫通して主軸2がポンプA外へ延びている。主軸2のポンプA内部空間α内に在る一端にはインペラ3が固定され、主軸2のポンプA外に在る他端は、図示しない外部駆動源に連結されている。ケーシング1のインペラ近傍部には軸封装置4が配設され、ケーシング1の外部駆動源側端部には軸受5が配設されている。
軸封装置4と軸受5との間に空間6が形成されている。空間6の下端部は下方の外部空間に連通している。空間6下方の外部空間に配設され或いは空間6下方でポンプAの外表面に形成された図示しない漏水受部が、排水管7を介して、ポンプA近傍下方に配設された漏水貯槽8に接続している。
ポンプAの入り口A’は配管9を介して貯水槽10に接続している。ポンプAの出口A”は配管11を介して、図示しない水利用機器に接続している。
配管11から分岐配管12が延びている。分岐配管12の途上に、絞り部13と、漏水貯槽8から延びて絞り部13に接続する吸水管14とで構成されるアスピレータ15が配設されており、分岐配管12のアスピレータ15よりも下流側の部位が、貯水槽10に接続している。
漏水貯槽8、分岐配管12、アスピレータ15によってポンプ漏水除去装置が形成されている。
【0009】
上記構成を有するポンプ漏水除去装置の作動を説明する。
図示しない外部駆動源が回転し、主軸2が回転する。主軸2の回転に伴ってインペラ3が回転し、貯水槽10内の水が、図1に白抜大矢印で示すように、配管9と入口A’とを通ってポンプA内部空間αに流入し、インペラ3によって駆動され、出口A”を通ってポンプA内部空間αから流出し、図1に白抜大矢印で示すように、配管11を通って図示しない水利用機器に供給される。配管11を流れる水の一部は、図1に白抜小矢印で示すように、分岐配管12へ流入し、貯水槽10に還流する。絞り部13を流れる高速水流によって絞り部13内に負圧が形成され、吸水管14内に絞り部13へ向けて低下する圧力勾配が形成される。
インペラ3が配設されたポンプA内部空間αから、少流量の水が軸封装置4を通って軸受側の空間6へ漏出し、空間6の下端部から下方の図示しない漏水受部に流入し、排水管7を通って漏水貯槽8に流入する。
漏水貯槽8内の漏水は、アスピレータ15によって吸い出されて、より具体的には絞り部13へ向けて低下する圧力勾配が形成された吸水管14に吸い込まれ、図1に実線矢印で示すように、吸水管14を通って絞り部13に流入して、配管11から分岐配管12へ流入した水と共に、分岐配管12のアスピレータ15よりも下流側の部位を通って、貯水槽10に還流する。
上記説明から分かるように、本実施例に係るポンプ漏水除去装置においては、漏水貯槽8に溜まった漏水を、ポンプ吐出水を利用したアスピレータ15で吸い出す。アスピレータ15は、ポンプ出口A”から延びる配管11から分岐した分岐配管12の途上に配設した絞り部13と、漏水貯槽8から絞り部13まで延びる吸水管14とによって形成され、構成が単純なので、従来技術で使用する排水ポンプに比べて安価であり、また故障の可能性が低く信頼性が高い。
分岐配管12のアスピレータ15よりも下流側の部位を貯水槽10に接続し、漏水を貯水槽10に戻すので、漏水の外部環境への排出が防止され、漏水による外部環境汚染が防止される。
【0010】
軸封装置4からの漏水流量が微小の場合には、図1に一点鎖線で示すように、漏水貯槽8に代えて小容量の漏水貯留部16をポンプAと一体形成し、或いはポンプAと別体で形成してポンプAに取付け、吸水管17を介して漏水貯留部16を絞り部13に接続して、図1に一点鎖線矢印で示すように、吸水管17を介して漏水貯留部16内の漏水を絞り部13へ吸い出しても良い。
軸封装置4からの漏水流量が微小でない場合には、図1に実線で示すように、漏水貯槽8等の比較的大容量の漏水貯留部をポンプ1とは別体で形成してポンプ1とは別体で配設すれば良い。
漏水貯留部を設けず、空間6の下部から直接に、或いは軸封装置4の直下から直接に、絞り部13へ漏水を導いても良い。
環境汚染の可能性が無い場合には、漏水を貯水槽10に戻さず、外部環境へ排出しても良い。
アスピレータを用いたポンプ漏水除去方法は従来技術に比べて安価であり、且つ信頼性が高い。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明は、ポンプの漏水除去に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0012】
A ポンプ
A’ 入口
A” 出口
α ポンプA内部空間
1 ケーシング
2 主軸
3 インペラ
4 軸封装置
5 軸受
6 空間
7 排水管
8 漏水貯槽
9、11 配管
10 貯水槽
12 分岐配管
13 絞り部
14、17 吸水管
15 アスピレータ
16 漏水貯留部
図1