(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061311
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】投影装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20170106BHJP
H04N 9/31 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
G03B21/14 A
H04N9/31 Z
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-542684(P2014-542684)
(86)(22)【出願日】2012年7月3日
(65)【公表番号】特表2015-505976(P2015-505976A)
(43)【公表日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】CN2012078091
(87)【国際公開番号】WO2013078862
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2015年4月24日
(31)【優先権主張番号】201110385139.9
(32)【優先日】2011年11月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514049760
【氏名又は名称】アポトロニクス コーポレイション リミテッド
【氏名又は名称原語表記】APPOTRONICS CORPORATION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】フゥ,フェイ
(72)【発明者】
【氏名】リ,イ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,イー
(72)【発明者】
【氏名】カオ,リャンリャン
【審査官】
田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−191602(JP,A)
【文献】
特開2011−048377(JP,A)
【文献】
特開2011−117989(JP,A)
【文献】
特開2011−197212(JP,A)
【文献】
特開2011−028244(JP,A)
【文献】
特開2006−119440(JP,A)
【文献】
特開2011−128522(JP,A)
【文献】
特開2006−023436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B21/00−21/30、33/00−33/16
H04N5/66−5/74、9/12−9/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影装置において:
少なくとも2つの光線を直接的または間接的に発生させるための少なくとも2つの固体光源であって、励起光を発生させるための第1の固体光源を具え、前記少なくとも2つの光線は異なる色を有し、交互に出力される、固体光源と;
同期信号を発生させるための同期信号発生機と;
前記同期信号に基づいて、前記少なくとも2つの固体光源それぞれにパルス状の駆動力を供給するためのコントローラと;
前記励起光を変換光に変換するための波長変換装置と;
入射する前記変換光を受け取るように配置された第1の色相環であって、第1のセグメントと第2のセグメントとを具える第1の色相環と;
前記第1の色相環を回転駆動させるための第1の駆動機構と;
を具えており、
少なくとも1のサブピリオドの間、前記少なくとも2つの固体光源のうち少なくとも1つは動作状態となり、それ以外の前記少なくとも2つの固体光源は停止状態に維持され、
前記第1のセグメントおよび前記第2のセグメントは前記変換光の経路に交互に配置され、これにより、前記変換光が前記第1のセグメントによってフィルタリングされて第1の原色光が生じ、前記第2のセグメントによってフィルタリングされて第2の原色光が生じ、
前記少なくとも2つの固体光源が、第3の原色光を発生させるための第2の固体光源をさらに具えており、前記投影装置がさらに:
前記第1の色相環を照明するために、前記変換光および前記第3の原色光を結合光へと結合する光結合デバイスを具えており、
前記第1の色相環がさらに第3のセグメントを有し、前記第1、第2、および第3のセグメントが前記結合光の経路に交互に配置され、前記第3の原色光が前記第3のセグメントを通過することを特徴とする投影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投影装置において、前記波長変換装置が:
波長変換物質を保持する第2の色相環と;
前記第2の色相環を回転駆動させる第2の駆動機構と;
を具えており、
前記励起光によって形成された前記第2の色相環上の光スポットは、所定の経路に沿って前記波長変換物質を照射し、前記波長変換物質は前記励起光を前記変換光に変換することを特徴とする投影装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の投影装置において、前記同期信号発生機が前記第1の色相環の移動位置を検出して、前記同期信号を発生させることを特徴とする投影装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の投影装置において、前記コントローラが、前記第1のセグメントが前記変換光の経路にあるときに第1の動力を前記第1の固体光源に供給し、前記第2のセグメントが前記変換光の経路にあるときに第2の動力を前記第1の固体光源に供給し、前記第3のセグメントが前記変換光の経路にあるときに低動力を前記第1の固体光源に供給し、前記低動力は前記第1および第2の動力よりも低いことを特徴とする投影装置。
【請求項5】
請求項4に記載の投影装置において、前記第3のセグメントが前記変換光の経路にあるときに、スタンバイ状態に維持するために、前記コントローラが前記第1の固体光源を停止させる、あるいは前記第1の固体光源の動力を調整することを特徴とする投影装置。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の投影装置において、前記コントローラが、前記第3のセグメントが前記変換光の経路にあるときに第3の動力を前記第2の固体光源に供給し、前記第1および第2セグメントが前記変換光の経路にあるときに低動力を前記第2の固体光源に供給し、前記低動力は前記第3の動力よりも低いことを特徴とする投影装置。
【請求項7】
請求項6に記載の投影装置において、前記第1または第2のセグメントが前記変換光の経路にあるときに、スタンバイ状態に維持するために、前記コントローラが前記第2の固体光源を停止させる、あるいは前記第2の固体光源の動力を調整することを特徴とする投影装置。
【請求項8】
請求項1に記載の投影装置において、前記第1の色相環がさらに、前記変換光および前記第3の原色光を透過する第4のセグメントを具えており、
第1の駆動機構を駆動させることにより、前記第1、第2、第3、および第4のセグメントは前記変換光および前記第3の原色光の経路に交互に配置され、
前記第4のセグメントが前記変換光および前記第3の原色光の経路にあるときに、前記コントローラは前記第1および第2の固体光源が同時に動作状態となるように制御することを特徴とする投影装置。
【請求項9】
投影装置を制御する方法において:
(a)少なくとも2つの固体光源を用いて、色が異なる少なくとも2つの原色光を直接的または間接的に発生させて交互に出力するステップと;
(b)同期信号検出器を用いて、同期信号を発生させるステップと;
(c)コントローラを用いて、少なくともサブピリオドの間に、少なくとも1の固体光源が動作状態となり、少なくとも1の固体光源が停止状態となるように、前記同期信号に基づいて前記少なくとも2つの固体光源の駆動力をパルス状に制御するステップと、を具え、
ステップ(a)が:
前記少なくとも2つの固体光源の第1の固体光源を用いて、励起光を発生させるステップと;
波長変換装置を用いて、前記励起光を変換光に変換するステップと;
第1の駆動機構を用いて、第1の色相環を回転駆動させるステップであって、前記第1の色相環は第1および第2のセグメントを有し、これにより、前記第1の色相環が回転したときに前記第1および第2セグメントは前記変換光の経路に交互に配置され、前記変換光が前記第1のセグメントによってフィルタリングされて第1の原色光が生じ、前記第2のセグメントによってフィルタリングされて第2の原色光が生じる、ステップと、
前記少なくとも2つの固体光源の第2の固体光源を用いて、第3の原色光を発生させるステップと;
光結合デバイスを用いて前記変換光および前記第3の原色光を結合し、前記第1の色相環を照射するステップと;
第1の駆動機構を用いて、第3のセグメントを更に有する前記第1の色相環を駆動させるステップと有しており、これにより、前記第1、第2および第3セグメントは前記変換光および前記第3の原色光の経路に交互に配置され、前記第3の原色光は前記第3のセグメントを通過することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、ステップ(c)が:
前記第1のセグメントが前記変換光の経路にあるときに第1の動力を前記第1の固体光源に供給し、前記第2のセグメントが前記変換光の経路にあるときに第2の動力を前記第1の固体光源に供給し、前記第3のセグメントが前記変換光の経路にあるときに低動力を前記第1の固体光源に供給し、前記低動力は前記第1および第2の動力よりも低く、前記第3のセグメントが前記変換光の経路にあるときに第3の動力を前記第2の固体光源に供給し、前記第1および第2のセグメントが前記変換光の経路にあるときに別の低動力を前記第2の固体光源に供給し、前記別の低動力は前記第3の動力よりも低くなるように、前記コントローラを使用するステップを有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影の分野に関するものである。より具体的には、本発明は、投影装置及びそれを制御する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の投影表示システムでは、LD(レーザダイオード)またはLED(発光ダイオード)といった少なくとも2つの固体光源(略してSSLS)を一般に使用して、色が異なる少なくとも2つの原色光線を直接的または間接的に発生させる。しかしながら、このような投影システムでは、各SSLSの動力は一定である。そのため、少なくとも2つの原色の光線が交互に出力される必要がある場合であっても、各SSLSは動作状態にあり続ける。この少なくとも2つの原色光線の交互の出力は、光フィルタ環を用いた光フィルタリングによって達成され、これは投影装置の高いエネルギ消費を招いてしまう。
【0003】
要するに、投影装置及びその制御方法は、既存の技術において投影装置のそれぞれのSSLSを動作状態に維持し続けることによって起こる高いエネルギ消費の問題を解決する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、投影装置のエネルギ消費を減少させるために、投影装置及びその制御方法を提供することである。
【0005】
上記問題を解決するために、本発明は投影装置を提供しており、当該投影装置は、少なくとも2つの固体光源と、同期信号発生機と、コントローラとを有する。少なくとも2つの固体光源は、少なくとも2つの光線を直接的または間接的に発生させるために使用され、少なくとも2つの光線は異なる色を有し、交互に出力される。同期信号発生機は同期信号を発生させるために使用される。コントローラは、同期信号に基づいてパルス状に駆動力を供給し、少なくとも2つの固体光源それぞれの動力を制御するために使用される。少なくとも1のサブピリオドの間、少なくとも2つの固体光源の一方は通常の動作状態となり、少なくとも2つの固体光源の他方は停止状態となる。
【0006】
一態様では、少なくとも2つの固体光源は励起光を発生させるための第1の固体光源を具え、投影装置はさらに、波長変換装置と、第1の色相環と、第1の駆動機構とを具える。波長変換装置は、励起光を変換光に変換するために使用される。第1の色相環は第1のセグメントと第2のセグメントとを具え、変換光が第1の色相環に入射する。第1の駆動機構は、第1の色相環を回転駆動させるために使用される。第1のセグメントおよび第2のセグメントは交互に変換光の経路に配置され、これにより、変換光は、第1の原色光を生じさせるために第1のセグメントによってフィルタリングされ、第2の原色光を生じさせるために第2のセグメントによってフィルタリングされる。
【0007】
他の態様では、波長変換装置は、波長変換物質を保持する第2の色相環と、第2の駆動機構とを具えている。この第2の駆動機構を用いて第2の色相環を回転駆動させ、励起光によって形成された第2の色相環上のスポットは所定の経路に沿って波長変換物質を照射し、波長変換物質は励起光を変換光に変換する。
【0008】
他の態様では、少なくとも2つの固体光源は、第3の原色光を発生させるための第2の固体光源を具えており、投影装置はさらに、変換光および第3の原色光を結合光へと結合して、第1の色相環を照射する光結合デバイスを具える。第1の色相環はさらに、第3のセグメントを有する。第1の駆動機構を駆動させることにより、第1、第2、および第3のセグメントが結合光の経路に交互に配置され、第3の原色光は第3のセグメントを通過する。
【0009】
他の態様では、少なくとも2つの固体光源は第3の原色光を発生させるための第2の固体光源を具えており、投影装置はさらに、第1、第2、および第3の原色光を結合光へと結合する光結合デバイスを具えており、第1の色相環はさらに第3のセグメントを具え、第1の駆動機構を駆動させることによって、第1、第2、および第3のセグメントは交互に変換光の経路に配置される。
【0010】
他の態様では、同期信号発生機が、第1の色相環の移動位置を検出して同期信号を生成する。
【0011】
他の態様では、コントローラは、第1のセグメントが変換光の経路にあるときに第1の動力を第1の固体光源に供給し、第2のセグメントが変換光の経路にあるときに第2の動力を第1の固体光源に供給し、第3のセグメントが変換光の経路にあるときに低動力を第1の固体光源に供給し、この低動力は第1および第2の動力よりも低い。
【0012】
他の態様では、第3のセグメントが変換光の経路にあるときに第1の固体光源をスタンバイ状態に維持するために、第1の固体光源を停止させるか、あるいは第1の固体光源への低動力が調整される。
【0013】
他の態様では、コントローラは、第3のセグメントが変換光の経路にあるときに第3の動力を第2の固体光源に供給し、第1または第2のセグメントが変換光の経路にあるときに低動力を第2の固体光源に供給し、この低動力は第3の動力よりも低い。
【0014】
他の態様では、第1または第2のセグメントが変換光の経路にあるときに第2の固体光源をスタンバイ状態に維持するために、第2の固体光源を停止させるか、第2の固体光源への低動力が調整される。
【0015】
他の態様では、第1の色相環がさらに、変換光および第3の原色光を透過させる第4のセグメントを具えており、第1の色相環を駆動させることによって、第1、第2、第3および第4のセグメントは交互に変換光および第3の原色光の経路になる。第4のセグメントが変換光および第3の原色光の経路にあるとき、コントローラは、第1および第2の固体光源を通常の動作状態に同時に制御する。
【0016】
上記問題点を解決するために、本発明はさらに投影装置を制御する方法を提供しており、当該方法は:
(a)少なくとも2つの固体光源を用いて、色が異なる少なくとも2の原色光を直接的または間接的に発生させて出力するステップと;
(b)同期信号発生機を用いて同期信号を発生させるステップと;
(c)少なくともサブピリオドの間、少なくとも1の固体光源が通常の動作状態にあり、少なくとも1の固体光源が停止状態にあるように、同期信号に基づいて、コントローラを用いて少なくとも2つの固体光源の駆動力をパルス状に制御するステップと、を有する。
【0017】
他の態様では、ステップ(a)は:少なくとも2つの固体光源の第1の固体光源を用いて、励起光を発生させるステップと;波長変換装置を用いて、励起光を変換光に変換するステップと;第1の駆動機構を用いて、第1の色相環を回転駆動させるステップとを含んでおり、色相環は第1および第2のセグメントを有し、第1および第2のセグメントは変換光の経路に交互に配置され、これにより、変換光が第1のセグメントにフィルタリングされて第1の原色光が発生し、第2のセグメントにフィルタリングされて第2の原色光が発生する。
【0018】
他の態様では、ステップ(a)はさらに:少なくとも2つの固体光源の第2の固体光源を用いて、第3の原色光を発生させるステップと;光結合デバイスを用いて、変換光および第3の原色光を結合光へと結合して、第1の色相環を照射するステップとを含む。第1の駆動機構は、第3のセグメントを更に有する第1の色相環を駆動し、これにより、第1、第2、および第3のセグメントは結合光の経路に交互に配置され、第3の原色光は第3のセグメントを通過する。
【0019】
他の態様では、ステップ(a)はさらに:少なくとも2つの固体光源の第2の固体光源を用いて、第3の原色光を発生させるステップと;光結合デバイスを用いて、第1、第2および第3の原色光を結合光へと結合するステップと;駆動機構を用いて、第3のセグメントをさらに有する第1の色相環を駆動させるステップとを含み、これにより、第1、第2、および第3のセグメントは、変換光の経路に交互に配置される。
【0020】
他の態様では、ステップ(c)は、コントローラを用いて、第1のセグメントが変換光の経路にあるときに第1の動力を第1の固体光源に供給し、第2のセグメントが変換光の経路にあるときに第2の動力を第1の固体光源に供給し、第3のセグメントが変換光の経路にあるときに低動力を第1の固体光源に供給するステップを含んでおり、この低動力は第1および第2の動力よりも低い。さらに、このコントローラは、第3のセグメントが変換光の経路にあるときに第3の動力を第2の固体光源に供給し、第1および第2のセグメントが変換光の経路にあるときに別の低動力を第2の固体光源に供給するために使用され、別の低動力は第3の動力よりも低い。
【0021】
本発明の利点は、先行技術とは異なり、本発明の投影装置および制御方法は、同期信号に基づく制御によって、投影装置が通常動作する状態の下でエネルギ消費を減少させることができ、少なくとも1のサブピリオドの間、少なくとも2つの固体光源の一方を通常の動作状態に、少なくとも2つの固体光源の他方を停止状態に維持する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本投影装置の第1の実施形態を概略的に示している。
【
図2】
図2は、
図1に示す投影装置に使用される第1の色相環を概略的に示している。
【
図3】
図3は、
図2に示す第1の色相環を適用した場合の原色光の輝度の例を示している。
【
図4】
図4は、
図2に示す第1の色相環を適用した場合の第1の固体光源の動力を示している。
【
図5】
図5は、
図2に示す第1の色相環を適用した場合の第2の固体光源の動力を示している。
【
図6】
図6は、
図1に示す投影装置の他の第1の色相環を示している。
【
図7】
図7は、
図6に示す色相環を適用した場合の原色光の輝度の例を示している。
【
図8】
図8は、
図6に示す第1の色相環を適用した場合の第1の固体光源の動力を示している。
【
図9】
図9は、
図6に示す第1の色相環を適用した場合の第2の固体光源の動力を示している。
【
図10】
図10は、本投影装置の第2の実施形態を概略的に示している。
【
図11】
図11は、本発明の投影装置の制御方法を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照すると、
図1は、第1の実施形態における投影装置の概略的な構造を示している。
図1に示すように、本実施形態の投影装置は主に、光源システム10と、光調整システム11と、スクリーン12と、同期信号発生機13と、コントローラ14とを具えている。
【0024】
この実施形態では、光源システム10は、第1のSSLS101と、第2のSSLS102と、第1の色相環103と、第2の色相環104と、第1の駆動機構105と、第2の駆動機構106と、光結合デバイス107と、集光デバイス108および109とを具えている。第1のSSLS101を用いて励起光を発生させて、励起光は第2の色相環104に入射する。波長変換物質(図示せず)が第2の色相環104上に設けられて、励起光を変換光に変換する。第2の駆動機構106は第2の色相環104を駆動して、所定の経路に沿って、第1のSSLS101によって生じた励起光により第2の色相環104上に形成された光スポットに波長変換物質を照射させる。これにより、励起光によって形成された第2の色相環104上の光スポットにより、波長変換物質の同一位置を長時間照射することで生じる過熱を防ぐことができる。本発明の他の実施形態では、第2の色相環104および第2の駆動機構106は、その包装資材中の適切な波長変換物質と併用される発光装置といった、他の波長変換装置と置換することができる。
【0025】
第2の色相環104から出力された変換光は集光デバイス108によって集光され、次いで、光結合デバイス107を照射して通過し、最後に、集光デバイス109によって集光されて第1の色相環103を照射する。この実施形態では、集光デバイス108および109は、レンズまたは他の適切な光学要素である。
図2に示すように、第1の色相環103は、第1のセグメント1031と、第2のセグメント1032と、第3のセグメント1033とを有する。変換光は、第1のセグメント1031にフィルタリングされたときに第1の原色光となり、第2のセグメント1032にフィルタリングされたときに第2の原色光となる。
【0026】
第2のSSLS102は第3の原色光を発生させる。第2のSSLS102によって発生した第3の原色光は光結合デバイス107によって反射され、次いで、第2の色相環104によって生じた変換光と結合される。この実施形態では、光結合デバイス107は、光スプリットフィルタまたは他の適切な光学要素である。変換光および第3の原色光は光結合デバイス107によって結合され、次いで第1の色相環103に入射する。
【0027】
第1のセグメント1031、第2のセグメント1032、および第3のセグメント1033を変換光および第3の原色光の経路に交互に配置させるため、第1の駆動機構105は第1の色相環103を回転駆動させる。第1のセグメント1031は、入射した変換光および第3の原色光をフィルタリングし、第1の原色光を通過させる。第2のセグメント1032は、入射した変換光および第3の原色光をフィルタリングし、第2の原色光を通過させる。第3のセグメント1033は、変換光および第3の原色光が入射したときに第3の原色光のみを通過させるようフィルタリングする。したがって、第1の色相環103は、色が異なる第1、第2、および第3の原色光を交互に出力する。第3の原色光を散乱させてデコヒーレンスを実現するために、散乱物質または散乱微小構造を第3のセグメント1033上に配置してもよい。第1、第2、および第3の原色光は光調整システム11によって調整され、次いでスクリーン12上に投影される。
【0028】
本実施形態では、第1のSSLS101は、青色光、UV光または近UV光を放出するレーザダイオードまたは発光ダイオードである。第2のSSLS102は、青色光のレーザダイオードまたは発光ダイオードである。第2の色相環104上の波長変換物質は、第1のSSLS101によって生じた励起光を黄色光に変換する黄色蛍光体である。第1の色相環103上の第1のセグメント1031、第2のセグメント1032、および第3のセグメント1033は、赤色光のフィルタリングセグメント、緑色光のフィルタリングセグメント、青色光の透過セグメントであり、第1のセグメント1031は入射する黄色光および青色光をフィルタリングして赤色光を出力し、第2のセグメント1032は入射する黄色光および青色光をフィルタリングして緑色光を出力し、第3のセグメント1033は入射する黄色光および青色光を受けたときに青色光をのみを透過する。したがって、第1の色相環103は、赤色光、緑色光および青色光(RGB)である3つの原色光を交互に発生させる。共通の表示プロセスにおける、赤色光R、緑色光Gおよび青色光Bの輝度が
図3に図示されている。他の実施形態では、上記の光源システム10は、他の色の3つの原色光を生じさせることができる。
【0029】
同期信号発生機13は、第1の色相環103の移動位置を検出して、同期信号を生成する。より具体的には、同期信号発生機13は第1の色相環103上の専用標識を検出し、この標識を検出するたびに同期パルスを生成することができる。他の実施形態では、同期信号発生機13は、特定の原色光の輝度を検出するといった他の手段によって同期信号を発生させることができる。
【0030】
図4および
図5に示すように、コントローラ14は、同期信号に応じて、第1、第2、および第3のセグメント1031、1032、1033が変換光および第3の原色光の光路に配置されたときを特定する。コントローラ14は、第1のセグメントが変換光および第3の原色光の経路にあるときに第1の動力を第1のSSLS101に供給し、第2のセグメントが変換光および第3の原色光の経路にあるときに第2の動力を第1のSSLS101に供給し、このようにして、第1のSSLS101は通常の動作状態となる。このコントローラ14はさらに、第3のセグメントが変換光および第3の原色光の経路にあるときに第3の動力を第2のSSLS102に供給し、このようにして、第2のSSLS102は通常の動作状態となる。したがって、第1、第2および第3の原色光を、投影ディスプレイの要件を満たすのに必要な輝度に調整することができる。
図4に示すように、第1の動力および第2の動力は同一であることを示しているが、実際には、原色光それぞれに必要な輝度に基づいて、第1、第2、および第3の動力をランダムに調整することができる。
【0031】
さらに、本実施形態では、コントローラ14は、第1のセグメント1031または第2のセグメント1032が変換光および第3の原色光の経路に配置されたときに低動力を第2のSSLS102に供給し、この低動力は第3の動力よりも低い。このようにして、第2のSSLS102は停止状態となる。さらに、コントローラ14は、第3のセグメント1033が変換光および第3の原色光の経路にあるときに別の低動力を第1のSSLS101に供給し、この別の低動力は第1および第2の動力よりも低い。このようにして、第1のSSLS101は停止状態となる。
【0032】
好適な実施形態では、第2のSSLS102をウォームアップ状態に維持するために、第1のセグメント1031または第2のセグメント1032が変換光および第3の原色光の経路に配置されるとき、コントローラ14は第2のSSL102を停止させるか、その動力を調整する。第1のSSLS101をウォームアップ状態に維持するために、第3のセグメント1033が変換光および第3の原色光の経路に配置されるとき、コントローラ14は第1のSSL101を停止させるか、その動力を調整する。第1および第2のSSLS101、102がウォームアップ状態にある場合、それらを所定の温度に維持することができ、これにより、より迅速に通常の動作状態にして、状態が変化する時間を減少させる。
【0033】
上記方法により、コントローラ14は第1のSSLS101および第2のSSLS102の動力をパルス状に制御して、通常動作状態と停止状態の間を交互にシフトさせるため、投影装置が上手く動作している状況で投影装置のエネルギ消費を減少させる。
【0034】
さらに、第1のSSLS101および第2のSSLS102がパルス状に動作することで第1および第2のSSLSによって発生する熱を減少させることができるため、高い動力で駆動した場合により高い輝度の光を出力することができる。換言すると、同一の輝度を出力する場合、第1のSSLS101および第2のSSLS02の量を減らして、システム全体のコストを低下させることができる。
【0035】
図6は、第1のセグメント1031、第2のセグメント1032および第3のセグメント1033は当然のことながら、第4のセグメント1034を有する第1の色相環103を示している。第1のセグメント1031、第2のセグメント1032、第3のセグメント1033、および第4のセグメント1034が交互に、光結合デバイス107によって結合された変換光と第3の原色光の結合光の経路に配置されるようになるために、第1の駆動機構105は第1の色相環103を回転駆動させる。変換光および第3の原色光は第4のセグメント1034を通過し、白色光として出力される。一般的な表示プロセスにおける、赤色光R、緑色光G、青色光Bおよび白色光Wの輝度が
図7に図示されている。一方、
図8および
図9に示すように、第1の色相環103の第4のセグメント1034が変換光および第3の原色光の経路に配置されたとき、コントローラ14は第1のSSLS101および第2のSSLS102が同時に通常動作状態となるように制御するため、第1の色相環103は白色を光調整システム11に出力し、白色光を強めるという目的を達成する。さらに、第1のSSLS101と第2のSSLS102のデューティサイクルが増加し、使用効率も増加する。
【0036】
図10を参照すると、
図10は、本発明の第2の実施形態による投影装置を示している。
図10に示すように、この実施形態の投影装置は主に、光源システムと、光調整システム21と、スクリーン22と、同期信号発生機23と、コントローラ24とを具えている。
【0037】
この実施形態では、光源システムは、第1のSSLS201と、第2のSSLS202と、第1の色相環203と、第2の色相環204と、第1の駆動機構205と、第2の駆動機構206と、光結合デバイス207と、集光デバイス208および209とを具えている。この実施形態の投影装置と、
図1に示す実施形態の投影装置の相違点は、第2のSSLS202および光結合デバイス207が、第1の色相環203から下流に配置されている点である。したがって、光結合デバイス207を通り、第2のSSLS202によって発生した第3の原色光は、第1の色相環203によって発生した第1の原色光と第2の原色光の光路と結合される。
【0038】
この実施形態では、第1の色相環203はまた、第1のセグメントと、第2のセグメントと、第3のセグメントとを有しており、これらのセグメントは第1の駆動機構205によって駆動されて、第2の色相環204によって発生した変換光の光路に交互に配置される。第2の色相環204によって発生した変換光は、第1のセグメントによってフィルタリングされた後に第1の原色光となり、第2のセグメントによってフィルタリングされた後に第2の原色光となる。
【0039】
コントローラ24は、同期信号発生機23によって発生した同期信号に応じて、第1、第2、および第3のセグメントが変換光の光路に配置されるときを特定する。コントローラ24は、第1のセグメントが変換光の経路にあるときに第1の動力を第1のSSLS201に供給し、第2のセグメントが変換光の経路にあるときに第2の動力を第1のSSLS201に供給し、第3のセグメントが変換光の経路にあるときに低動力を第1のSSLS201に供給し、この低動力は第1および第2の動力よりも小さい。さらに、このコントローラ24は、第3のセグメントが変換光の経路にあるときに第3の動力を第2のSSLS202に供給し、第1および第2セグメントが変換光の経路にあるときに低動力を第2のSSLS202に供給し、この別の低動力は第3の動力よりも低い。
【0040】
第2のSSLS202によって発生した第3の原色光は光調整システム21に直接入射するため、第1または第2のセグメントが変換光の経路に配置されたとき、第3の原色光による第1および第2原色光への干渉が人間の目によって知覚されないというように、第2のSSLS202によって発生した第3の原色光が第1および第2原色光に何ら影響を与えない程度まで第2のSSLS202の動力が調整される。好適には、第2のSSLS202をウォームアップ(スタンバイ)状態に維持するために、第1または第2のセグメントが変換光の経路に配置されたとき、コントローラ24は第2のSSLS202を停止させるか、その動力を調整する。第1のSSLS201をウォームアップ(スタンバイ)状態に維持するために、第3のセグメントが変換光の経路に配置されたとき、コントローラ24は第1のSSLS201を停止させるか、その動力を調整する。
【0041】
上記方法により、コントローラによってもたらされる第1および第2のSSLSへの動力をパルス状に制御することによって、第1のSSLS201および第2のSSLS202は交互に通常の動作状態および停止状態となる。したがって、投影装置が通常動作することができる状況では投影装置のエネルギ消費を減少させることができる。
【0042】
さらに、第1のSSLS201および第2のSSLS202がパルス状に動作することで第1および第2のSSLS201、202によって発生する熱を減少させることができるため、高い動力によって駆動された場合により高い輝度の光を出力することができる。換言すると、同一の輝度を出力する場合、第1のSSLS201および第2のSSLS202の量を減らして、システム全体のコストを低下させることができる。
【0043】
さらに、第1の実施形態および第2実施形態に記載の投影装置を除き、同期信号発生機およびコントローラは、少なくとも2つのSSLSを具えて、色が異なる少なくとも2の原色光を直接的または間接的に交互に発生させるために使用する他の投影装置においても利用することができる。一方、少なくともサブピリオドの間、少なくとも2つのSSLSの少なくとも一方が通常動作状態となり、少なくとも2つのSSLSの他方が停止状態となることを実現するために、コントローラは、同期信号に基づいて少なくとも2つのSSLSの動力をパルス状に制御する。この方法によって、投影装置のエネルギ消費が低減する。
【0044】
図11を参照すると、
図11は、本発明における投影装置の制御方法の概略図である。
図11に示すように、この実施形態における制御方法は、以下のステップを具えている。
【0045】
ステップS31では、少なくとも2つのSSLSが、色が異なる少なくとも2つの原色光線を直接的または間接的に交互に出力する。このステップは、上述した第1および第2実施形態に記載の方法によって、あるいは当該分野において周知の他の方法によって実現することができ、したがって以下で詳細には記載しない。
【0046】
ステップS32では、同期信号発生機を適用して同期信号を発生させる。このステップでは、原色光を発生させるために使用される色相環の移動位置を検出することによって、同期信号を生成することができる。
【0047】
ステップS33では、少なくともサブピリオドの間、少なくとも2つのSSLSの少なくとも一方が動作状態となり、少なくとも2つのSSLSの他方が停止状態となることを実現するために、コントローラを用いて、同期信号に基づいて少なくとも2つのSSLSの動力をパルス状に制御する。このステップは、上述した第1の実施形態および第2の実施形態に記載の方法によって実現することができ、したがって以下で詳細には記載しない。
【0048】
本発明の投影装置および制御方法は、同期信号に基づく制御によって、投影装置が通常動作する状況下でエネルギ消費を低下させることができ、この制御は、少なくとも1のサブピリオドの間、少なくとも2つのSSLSの一方を動作状態にして、少なくとも2つのSSLSの他方を停止状態に維持する。
【0049】
動力の制御は、電流または電圧を変化させる、パルス幅の(デューティサイクル)比を駆動信号の全パルス幅に変化させるといった、多くの方法によって実現しうることは理解できる。これらの方法の全ては周知であり、詳しくは記載しない。
【0050】
本発明の以上の記載により、当業者は現時点で最良のモードであると考えられる本発明を使用することができるが、当業者は本書に記載の特定の実施形態、方法、および例示の変化態様、組み合わせ、および均等物の存在について理解し、認識するであろう。したがって、本発明は、上述した実施形態、方法、及び例示によって限定されるべきではなく、特許請求の範囲による発明の範囲および概念に収まる全ての実施形態及び方法によって限定されるものである。