(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記磁石の前記位置が変位測定範囲の前記重ならない部分に含まれる場合、前記変位測定範囲に対応する前記磁界センサの前記出力信号と前記磁界センサの前記ゼロ点に対する前記磁石の前記位置との間に線形の関係が存在することを特徴とする請求項1に記載の変位センサ。
前記磁石の前記位置が変位測定範囲の前記重なる部分に含まれる場合、繰り返し精度、従って、前記変位測定範囲に対応する前記磁界センサの前記出力信号と前記磁界センサの前記ゼロ点に対する前記磁石の前記位置との間の前記線形の関係が減少することを特徴とする請求項2に記載の変位センサ。
前記計算ユニットは、第1の変位測定範囲の前記重ならない部分から第2の変位測定範囲を有する前記第1の変位測定範囲の前記重なる範囲への前記磁石の前記遷移部において、第1の出力信号値と第2の出力信号値との間の前記差を形成するように更に構成され、
前記第1の変位測定範囲の前記重ならない部分から前記第2の変位測定範囲を有する前記第1の変位測定範囲の前記重なる範囲への前記磁石の前記遷移部において、前記第1の出力信号値と前記第2の出力信号値は、第1の磁界センサ又は第2の磁界センサによって出力され、前記第1の磁界センサが前記第1の変位測定範囲に対応し、前記第2の磁界センサが前記第2の変位測定範囲に対応することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の変位センサ。
第1の出力信号値と第2の出力信号値との間の前記差が形成される前記遷移部での前記重なる範囲は、前記基準点から更に離れる前記第1の変位測定範囲の前記重なる範囲であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の変位センサ。
前記計算ユニットは、前記磁石の前記位置が第1の変位測定範囲と第2の変位測定範囲との間の重なる範囲内に含まれ且つ前記第1の変位測定範囲が前記基準点を含む場合、第1の出力信号とオフセットで修正された第2の出力信号に基づいて前記位置信号形成し、前記磁石の前記位置が第1の変位測定範囲と第2の変位測定範囲との間の重なる範囲内に含まれ且つ前記第1の変位測定範囲と前記第2の変位測定範囲が前記基準点を含まない場合、第1のオフセットで修正される第1の出力信号と第2のオフセットで修正される第2の出力信号に基づいて前記位置信号を形成し、
前記第1の出力信号は、前記第1の変位測定範囲に対応する第1の磁界センサによって出力され、
前記第2の出力信号は、前記第2の変位測定範囲に対応する第2の磁界センサによって出力され、
前記第2の変位測定範囲は、前記第1の変位測定範囲よりも前記基準点から更に離れており、
前記磁石の前記位置が前記基準点を含む前記変位測定範囲の前記重ならない部分に含まれる場合、出力信号に基づいて前記計算ユニットが前記位置信号を形成し、
前記磁石の前記位置が変位測定範囲の前記重ならない部分に含まれ且つ前記基準範囲、従って、前記基準点を含む前記変位測定範囲に含まれない場合、オフセットで修正される出力信号に基づいて前記計算ユニットが前記位置信号を形成し、
前記出力信号は、前記磁石が位置される前記磁界センサの変位測定範囲において前記磁界センサによって出力されることをするように前記計算ユニットが更に構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の変位センサ。
前記磁石の前記位置が第1の変位測定範囲と第2の変位測定範囲との間の重なる範囲に含まれ且つ前記第1の変位測定範囲が前記基準点を含む場合において、前記位置信号を形成するための前記オフセットは、第1の出力信号値と第2の出力信号値との間の前記差に等しく、前記差は、前記第1の変位測定範囲の前記重ならない部分から前記磁石の前記位置が位置する前記重なる範囲への遷移部で形成されており、
前記磁石の前記位置が第1の変位測定範囲と第2の変位測定範囲との間の重なる範囲に含まれ且つ前記第1の変位測定範囲と前記第2の変位測定範囲が前記基準点を含まない場合において、前記位置信号を形成するための前記第1のオフセットと前記第2のオフセットは、前記第1の変位測定範囲の前記重ならない部分において前記位置信号を形成するための前記オフセットに等しいか又は第1の出力信号値と第2の出力信号値との間の前記差の合計に等しく、前記差は、前記基準点を含む前記変位測定範囲と前記オフセットが決定されるべき前記変位測定範囲との間に位置する全ての遷移部で形成されており、
前記磁石の前記位置が変位測定範囲の前記重ならない部分に含まれ且つ前記基準点を含む前記変位測定範囲に含まれない場合において、前記位置信号を形成するための前記オフセットは、前記基準点により近い前記変位測定範囲の前記重なる範囲において前記位置信号を形成するための前記第2のオフセットに等しいことを特徴とする請求項6に記載の変位センサ。
前記磁石の前記位置が第1の変位測定範囲と第2の変位測定範囲との間の重なる範囲に含まれ且つ前記第1の変位測定範囲が前記基準点を含む場合において、前記位置信号を形成するための前記オフセットは、第1の出力信号値と第2の出力信号値との間の前記差に等しく、前記差は、前記第1の変位測定範囲の前記重ならない部分から前記磁石の前記位置が位置される前記重なる範囲への遷移部で形成されており、
前記磁石の前記位置が第1の変位測定範囲と第2の変位測定範囲との間の重なる範囲に含まれ且つ前記第1の変位測定範囲と前記第2の変位測定範囲が前記基準点を含まない場合において、前記位置信号を形成するための前記第1のオフセットと前記第2のオフセットは、前記第1の変位測定範囲の前記重ならない部分において前記位置信号を形成するための前記オフセットに等しいか又は位置信号値と出力信号値との間の前記差に等しく、前記位置信号値と前記出力信号値は、前記変位センサすなわち前記第1の変位測定範囲の前記重ならない部分から前記第1の変位測定範囲と前記第2の変位測定範囲との間の前記重なる範囲への前記磁石の前記遷移部で前記第2の変位測定範囲に対応する前記変位センサ又は前記磁界センサによって出力され、前記磁石の前記位置が変位測定範囲の前記重ならない部分に含まれ且つ前記基準点を含む前記変位測定範囲に含まれない場合において前記位置信号を形成するための前記オフセットは、前記基準点により近い前記変位測定範囲の前記重なる範囲において前記位置信号を形成するための前記第2のオフセットに等しいことを特徴とする請求項6に記載の変位センサ。
前記差が形成される前記二つの出力信号値の内の少なくとも一方は、前記磁石が一つ及び同じ遷移部を数回通過する時に出力され且つ不揮発性記憶部へ記憶される複数の出力信号値の平均値であることを特徴とする請求項7に記載の変位センサ。
前記差が形成される前記位置信号値は、前記磁石が一つ及び同じ遷移部を数回通過する時に出力され且つ不揮発性記憶部に記憶される一つ以上の位置信号値対の平均値、又は前記差が形成される前記出力信号値は、前記磁石が一つ及び同じ遷移部を数回通過する時に出力され且つ不揮発性記憶部に記憶される一つ以上の出力信号値対の平均値であることを特徴とする請求項8に記載の変位センサ。
前記計算ユニットは、前記重なる範囲における前記磁石の前記位置が第1の変位測定範囲と第2の変位測定範囲との間に含まれる場合、前記第1の出力信号と前記第2の出力信号との間の最大精度を有する前記出力信号を選択し、且つ前記位置信号を形成するために前記選択された出力信号を使用するように更に構成されることを特徴とする請求項6乃至14のいずれか一項に記載の変位センサ。
前記計算ユニットは、前記磁石の前記位置が第1の変位測定範囲と第2の変位測定範囲との間の前記重なる範囲に含まれ且つ前記第1の変位測定範囲が前記基準点を含む場合、前記第1の出力信号とオフセットで修正される前記第2の出力信号から加重平均値を形成し、
前記磁石の前記位置が第1の変位測定範囲と第2の変位測定範囲との間の前記重なる範囲に含まれ且つ前記第1の変位測定範囲と前記第2の変位測定範囲が前記基準点を含まない場合、第1のオフセットで修正される前記第1の出力信号と第2のオフセットで修正される前記第2の出力信号から加重平均値を形成するように前記計算ユニットが更に構成され、
前記加重平均値が形成される前記信号の重み付けは、前記重なる範囲における前記磁石の位置に依存すること及び前記位置信号を形成するために前記加重平均値を使用することを特徴とする請求項6乃至14のいずれか一項に記載の変位センサ。
前記計算ユニットは、前記重なる範囲にS曲線又は放物線又は指数関数又は単調な勾配を有する任意の線形状のパスを有する位置信号を形成するように更に構成されることを特徴とする請求項6乃至14のいずれか一項に記載の変位センサ。
【背景技術】
【0004】
ホールセンサは、機械器具の制御のため、自動化技術とロボット工学において及び自動車部門において多くの場合に使用されている。光学的方法に従って動作する変位センサに比較して、ホールセンサは、それらが非磁性ケージングで密閉して包まれることができるので、埃及び損傷に対する感度が低い。
【0005】
可動部材の移動を検出するためのホールセンサを有する変位センサにおいて、磁石は、可動部材に嵌合され、その磁石によって生成される磁界は、ホールセンサによってその可動部材の移動中に検出される。磁石の移動によって、ホールセンサは、時間経過に従って変化する磁界を検出し、磁石の位置に依存する出力信号を出力する。出力信号の精度は、ホールセンサによって検出される磁界の磁束密度の減少に従って減少する。それによって、磁石の位置決定は、ホールセンサから磁石の間隔が増加するに従って精度が低くなる。
【0006】
特に、磁石とホールセンサとの間の比較的に大きな間隔での位置決定の精度は、3D(3次元)ホール技術を有するセンサ(以降、3Dホールセンサと呼ばれる)を使用することによって増加される。このタイプのホールセンサにおいて、二つの相互に垂直な磁界成分は、ある位置で測定され、その関係は、測定された磁界成分同士間に形成され、この位置に対する磁石の位置は、その関係を参照して示される。
【0007】
図1は、3Dホールセンサ100を示す。この3Dホールセンサ100は、センサ中心の上にあるゼロ点0を有する。磁石が3Dホールセンサのゼロ点を通って延出する移動軸101に沿って又はそれに平行に移動すると、そのセンサは、センサにゼロ点0に対する磁石の位置を示す出力信号102を出力する。出力信号がゼロ点に対する磁石の位置を示す精度は、ゼロ点からの磁石の間隔が増加するに従って減少する。このことは、3Dホールセンサの変位測定範囲を制限することになる。既知の3Dホールセンサの場合、その変位測定範囲は、最大で40mm(ゼロ点を中心に±20mm)である。
【0008】
図2は、ゼロ点に対する磁石の位置に従う
図1に示される3Dホールセンサの出力信号102を示す。ゼロ点を中心とする範囲において、センサの出力信号102とゼロ点に対する磁石の位置との間に線形の関係がある。変位測定範囲の二つの端部103と104では、測定信号の、従って、測定誤差のバラツキがより大きくなる。センサの出力信号102と磁石の位置との間の線形関係は、出力信号102が磁石の位置を示す精度が低くなり過ぎると、失われる。ゼロ点からの磁石の所与の間隔から、出力信号102が磁石の位置を示す精度は、3Dホールセンサの出力信号102とゼロ点に対する磁石の位置との間にもう関係が存在しない程度に低い。
【0009】
米国特許第6097183号明細書は、直列に配置された複数のセンサと、移動軸に沿ってこれらのセンサを通過するように移動することができる磁石とを有する変位センサを開示している。センサは、一方向に感度を有する磁気抵抗センサ又はホールセンサである。磁石の位置を示す位置信号は、この例では、磁石の近くに位置される二つの隣接するセンサによって出力される二つの出力信号に基づいて確立される。線形の関係は、このように確立される位置信号と磁石の位置との間には存在しない。代わりに、磁石の位置に従う位置信号は、センサにおける非線形性に起因し得る波状パスを有する。これらを補償するために、磁石の位置に依存する補正係数が位置信号に追加される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
市販されている従来の3Dホールセンサが現在有する40mmという変位測定範囲は、可動部材の移動が検出されるべき場合の多くの用途にとって小さすぎる。
【0011】
従って、本発明の目的は、ホール効果の原理を利用するが市販の従来の3Dホールセンサよりも実質的に大きな変位測定範囲を有し、同時に、変位センサによって出力される位置信号の最大許容全誤差に適合する当該変位センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1の主題によって達成される。従属請求項は、本発明に係る変位センサの他の有利な展開に関連する。
【0013】
本発明は、複数のホールセンサが直列に且つ磁石の移動軸に平行に配置され、隣接するホールセンサの変位測定範囲がそれらの端部で重なり、変位測定範囲が重なる範囲で重なるホールセンサによって出力される出力信号に基づいて位置信号が重なる範囲に形成され、前記位置信号は、前記ホールセンサによって出力される前記出力信号に基づいて、変位測定範囲の重ならない部分すなわち前記磁石が位置される変位測定範囲に形成される。特に、隣接するホールセンサの前記変位測定範囲の重なりは、前記重なる範囲に形成される前記位置信号の全誤差が最大許容誤差よりも小さいように選択される。
【0014】
前記変位センサによって出力される位置信号と前記基準点に対する前記磁石の位置との間の線形の関係は、前記ホールセンサの出力信号と前記ホールセンサの前記ゼロ点に対する前記磁石の位置との間に線形の関係がある場合、特に容易に達成されることができる。
【0015】
前記変位センサの前記変位測定範囲の延長は、前記ホールセンサの出力信号と前記ホールセンサの前記ゼロ点に対する前記磁石の位置との間の前記重なる範囲に線形の関係が存在しない場合に最適である。
【0016】
前記変位センサによって出力される位置信号の一定の線形パスは、前記ホールセンサによって出力される出力信号のオフセット補正によって達成されることができる。
【0017】
出力信号の前記オフセットの決定は、第1の出力信号値と第2の出力信号値との間の差が変位測定範囲の重ならない部分から前記基準点から更に離れた前記変位測定範囲の重なる範囲への磁石の遷移部に形成される場合、学習ルーチンによって容易に実施されることができ、前記第1の出力信号値と前記第2の出力信号値とは、前記ホールセンサによって出力され、これらのホールセンサの変位測定範囲は、前記変位測定範囲の重ならない部分から前記基準点から更に離れた前記変位測定範囲の前記重なる範囲への前記磁石の遷移中に前記重なる範囲で重なる。
【0018】
前記位置信号は、重なる範囲において出力される二つの出力信号に含まれる位置情報に基づいてこの重なる領域に形成される場合、前記位置信号の全誤差は、出力信号の一方又は両方の誤差が重なる範囲の幾つかの部分で最大許容誤差を越えると、前記最大許容誤差の範囲内に維持されることができる。
【0019】
本発明に係る前記変位センサが製造されると、一つ以上の印刷回路基板は、複数のホールセンサを備える。前記印刷回路基板上の望ましい位置は、ホールセンサ毎に事前に決定されることができ、所定の望ましい位置に従ってホールセンサを印刷回路基板に取り付けることが試みられる。ホールセンサが印刷回路基板上に取り付けられた後、印刷回路基板上のホールセンサの望ましい位置と実際の位置との間のずれが無い場合、出力信号のオフセットは、設計図又は印刷回路基板レイアウトから知られるホールセンサの望ましい位置に基づいて容易に決定されることができる。
【0020】
しかしながら、前記印刷回路基板がホールセンサを備えると、印刷回路基板上のホールセンサの望ましい位置と実際の位置との間のずれが生じる可能性がある。このずれは、その変位測定範囲の重なる範囲における変化となる。出力信号のオフセットが印刷回路基板上のホールセンサの位置に基づいて決定される場合、この変化が考慮されなければならず、それは、複数のホールセンサの実際の位置がその望ましい位置からずれる場合、特に複雑である。
【0021】
出力信号のオフセットの確立は、そのために学習ルーチンが使用される場合、印刷回路基板上のホールセンサの実際の位置又は実際の配向が望ましい位置又は望ましい配向とは異なる配置に対して実質的に単純化されることができる。
【0022】
前記学習ルーチンは、前記基準点を含む前記変位測定範囲と前記オフセットが確立されるべき前記変位測定範囲との間の位置される全ての遷移部に形成される二つの出力信号値の間の差の合計に基づいてこの学習ルーチンが出力信号のオフセットを確立するように実施されることができる。
【0023】
或いは、出力信号の前記オフセットは、計算ユニット又はホールセンサによって対応する重なる範囲への遷移中に形成される位置信号値と出力信号値との間の差に基づいて形成されることができる。
【0024】
前記出力信号が前記ゼロ点に対する前記磁石の位置を示す精度は、前記磁石の速度に依存する。磁界がホールセンサによって検出される時の前記磁石の速度が大きくなればなるほど、前記ホールセンサによって出力される出力信号は、より低い精度で前記磁石の位置を示す。また、前記磁石の速度は、オフセットが確立される精度に作用する。これは、離散時間走査による不鮮鋭度(ボケ)の発生によって引き起こされる。
【0025】
この影響は、オフセットが確立される差がオフセットの平均出力信号値から形成される又はそのオフセットが平均位置信号値と平均出力信号値との間の差から確立される場合に、実質的に減少される。
【0026】
平均値形成は、その平均値が移動平均値である場合、資源を節約する方法でより容易に実施されることができる。
【0027】
オフセットの精度に対する更なる向上は、加重平均値によって達成されることができ、この信号値の重み付けは、前記磁石の速度に依存する。
【0028】
特に、重み付けが磁石の速度の増加で減少し且つ特定の最大値を超える速度で発生された磁石の信号値が第1の平均値又は第2の平均値を形成するために使用されない場合に減算によって確立されるオフセットの精度を向上することが可能である。
【0029】
前記重なる範囲における位置信号の誤差は、その重なる範囲に対して出力される出力信号同士間で、最も大きな精度を有する出力信号が選択され且つそれが位置信号を形成するために使用される場合に最大許容誤差の範囲内に保たれることができる。
【0030】
また、前記重なる範囲における位置信号の誤差は、加重平均値が前記位置信号を形成するための重なる範囲において出力される位置信号同士間に形成される場合及び信号の重み付けが重なる範囲における磁石の位置に依存する場合に最大許容誤差の範囲内に保つことができる。加重平均値の形成は、更に、重なる範囲の内側の位置信号とその外側の位置信号との間のなだらかな遷移となる。
【0031】
なだらかな遷移は、重なる範囲における位置信号がS曲線、放物線又は指数関数のパスを有する場合にも達成されることができる。
【0032】
非常に単純な実施は、重なる範囲における定義された位置で迅速に一方のセンサ信号から他方のセンサのセンサ信号への切替えによって達成されることもできる。
【0033】
本発明の利点は、ホールセンサを使用することによって3Dホール技術で達成されることができる。
【0034】
本発明をより良く理解するために、本発明は、添付の図面を参照してより詳細に説明される。同一の部品は、同じ参照番号及び同じ部品指定を使用して参照される。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、以下に図面を参照してより詳細に記述される。
【0037】
図3は、本発明に係る変位センサの配置を示す。直列に配置された2個の3Dホールセンサ201,202は、印刷回路基板200上の固定位置に取り付けられ、永久磁石であることが好ましい磁石203は、これら二つのホールセンサに対して移動軸204に沿って変位することができる。磁石203のNS軸は、移動軸204に平行に配向される。しかしながら、この配向は、絶対的に必要なものではない。原理的には、磁石のNS軸が異なる配向、例えば、移動軸に対して横切る配向を有する場合も、本発明を実施することが可能である。
【0038】
磁石は、
図3に示される基準点205から変位することができる。近くに磁石が配置される3Dホールセンサは、少なくとも二つの直交磁界成分を検出し、制限された範囲で3Dホールセンサのゼロ点回りに線状に延出する出力信号を生成する。3Dホールセンサによって出力される出力信号は、例えば、電圧信号、電流信号又はパルス幅変調信号のようなアナログ信号であってもよく、若しくはバス又は他のデジタルインターフェースを介するデジタル信号として出力されることができる。
【0039】
図2は、3Dホールセンサのゼロ点に対する磁石の位置に従う3Dホールセンサの出力信号102を示す。出力信号の測定精度は、磁石がゼロ点から更に離れると減少する。それによって、3Dホールセンサの変位測定範囲が制限される。パス測定範囲の端部で、出力信号の測定精度がより低くなるすなわち測定誤差がより大きくなる。磁石が指定位置を越えて移動されると、3Dホールセンサの出力信号は、もう有意な方法で使用されることができない。
【0040】
本発明に係る変位センサは、実際上個々の3Dホールセンサの変位測定範囲よりも数倍大きな変位測定範囲を有する。本発明によれば、それは、複数の3Dホールセンサが磁石の移動軸と平行に配置されることによってもたらされる。3Dホールセンサは、
図3の下部に描かれているように、隣接する3Dホールセンサの変位測定範囲が重なるように配置される。
【0041】
図3は、磁石の位置に従うホールセンサ201,202の出力信号206,207を示す。出力信号206,207は、従って、3Dホールセンサ201と202に属する変位測定範囲は、重なる範囲208において重なる。互いに重なる端部範囲209,210は、各端部範囲の少なくとも一部における出力信号が最大許容誤差未満である測定誤差を有するように選択される。この重なりは、重なる範囲における二つの隣接する3Dホールセンサが有意に使用可能な出力信号を出力し、その結果、重なる範囲における変位情報が3Dホールセンサ201から3Dホールセンサ202へ伝送されることを保証する。
【0042】
二つの出力信号206,207が基準点205に対する磁石の位置を明確に決定するように、3Dホールセンサ202の出力信号は、重なる範囲において二つの出力信号206,207間でジャンプが起こらない方法でオフセット信号によって修正されなければならない。出力信号206,207は、一方が他方に続くことが好ましい。重なる範囲において、出力信号206,207の測定精度が重なる範囲の幾つかの部分で最大許容誤差を越える場合、出力信号206とオフセットで修正された出力信号207を使用して磁石の位置を許容誤差の範囲内に示すことが可能である。しかしながら、このためには、
図4と
図5に示されるように、重なる範囲において互いに重なる出力信号206,207の端部範囲がそれに応じて選択されなければならない。
【0043】
図4は、本発明に係る変位センサの配置における出力信号206,207に対する相対誤差のパスと位置信号の全誤差のパスを示す。参照番号401,402,403は、夫々、出力信号206の相対誤差、出力信号207の相対誤差及び位置信号の全誤差に関する。位置信号は、基準点205に対する磁石の位置を示し、下記のように、出力信号206,207に基づき形成される。相対誤差401は、ゼロ点211回りでは制限された範囲内で小さなままであり、変位測定範囲の端部範囲で急速に増加する。重なる範囲において、相対誤差401は、最初は最大許容誤差404未満であるが、ゼロ点211からの所与の間隔離れるとその最大許容誤差を越える。これは、それに応じて、相対誤差403にも当てはまる。
【0044】
全誤差403は、重なる範囲の外側の相対誤差401,402のパスを実質的に採用する。重なる範囲において、全誤差403は、常に最大許容誤差404未満である。
【0045】
図5は、本発明に従わない変位センサの配置における出力信号206,207に対する相対誤差のパスと位置信号の全誤差のパスを示す。参照番号401,502,503は、出力信号206の相対誤差、出力信号207の相対誤差、及び位置信号の全誤差に関する。
図4と
図5における相対誤差401のパスはほとんど違わない。相対誤差502のパスは、それが変位方向へ変位される点で
図4における相対誤差402のパスと異なっている。その結果、重なる範囲における全誤差503は、
図4における全誤差403のパスとは異なるパスを有する。更に、全誤差503は、重なる範囲において最大許容誤差を越える。
【0046】
図5における出力信号201,202の重なる端部範囲は、全誤差503が重なる範囲の全ての位置で最大許容誤差未満のままであることを保証しない。
図4と
図5は、重なる範囲における位置信号の全誤差のパスが、重なる端部範囲の選択に依存することを示している。特に、重なる端部範囲の選択によって、重なる範囲における位置信号の全誤差が最大許容誤差未満であるかそうでないかが決定される。重なる端部範囲が夫々のゼロ点から遠過ぎると、重なる範囲における位置信号の全誤差を最大許容誤差未満に保つことができない。
【0047】
また、重なる範囲における位置信号の全誤差のパスは、位置信号が出力信号201,202に基づいて重なる範囲内に形成される方法に依存する。
【0048】
本発明によれば、重なる範囲で重なる出力信号201,202の端部範囲は、重なる範囲において出力信号201,202に基づいて形成される位置信号の全誤差が最大許容誤差よりも小さいように選択される。
【0049】
重なる範囲における位置信号の全誤差は、また、重なる範囲における位置信号が形成される方法に依存するので、出力信号206,207の種々の重なる端部範囲は、重なる範囲における位置信号の全誤差が最大許容誤差よりも小さいことを保証するために、位置信号が出力信号206,207から形成される方法に従って選択されなければならない。
【0050】
本発明に係る変位センサが位置信号を形成する方法が以下に記述される。位置信号は、基準点205に対する磁石の位置を示す。位置信号値と基準点205に対する磁石の位置との間には、明瞭な関係が存在する。変位センサの全変位測定範囲にわたる線形の関係は、位置信号と基準点に対する磁石の位置との間に存在することが好ましい。
【0051】
以下で基準範囲と呼ばれる、基準点が位置する変位測定範囲は、磁石が第1の初期動作の開始位置に位置する変位測定範囲である。基準範囲として働く変位測定範囲は、変位センサが使用される用途に依存する。
図3に示される変位センサの配置において、3Dホールセンサ201の変位測定範囲は、基準範囲として働く。しかしながら、3Dホールセンサ202の変位測定範囲すなわち重なる範囲208も、基準範囲として働くことができる。基準範囲が重なる範囲内にある場合、位置信号の不明瞭なパスすなわち不定パスが重ならない範囲への第1の遷移中に生じる可能性がある。しかしながら、位置信号のパスにおけるこの不定性は、以下で述べられるように、学習ルーチンによって克服されることができる。基準点205が3Dホールセンサ201の変位測定範囲内にある場合のみが、以下で記述される。この場合は、
図3に示されている。従って、これは、基準点が3Dホールセンサ202の変位測定範囲内に位置される場合に当てはまる。
【0052】
位置信号の計算のために、本発明に係る変位センサは、三つの状態の間で差分する計算ユニットを有する。第1の状態は、磁石が基準範囲の重ならない部分に位置される場合に関連する。
図3に示される変位センサの配置に関連して、それは、磁石が3Dホールセンサ201の変位測定範囲にある場合がその場合である。第2の状態は、磁石が重なる範囲にある場合に関連し、第3の状態は、磁石が基準範囲ではない変位測定範囲の重ならない部分に位置される場合に関連する。
図3に示される変位センサの配置に関連して、それは、磁石が3Dホールセンサ202の変位測定範囲に位置される場合がその場合である。
【0053】
計算ユニットは、変位センサが現在ある状態に従って位置信号を計算する。
【0054】
第1の状態において、位置信号は、基準範囲の3Dホールセンサによって出力される出力信号に基づいて確立される。計算された位置信号は、基準範囲の3Dホールセンサによって出力される出力信号と同一であることが好ましい。以下は、
図3に示される変位センサの配置に関して当てはまる。
【数1】
この式で、Pos
Signalは位置信号であり、Pos
IC1は3Dホールセンサ201によって出力される出力信号である。
【0055】
第2の状態において、計算ユニットは、変位測定範囲が重なる範囲で重なる二つの3Dホールセンサによって出力される出力信号に基づいて位置信号を確立する。しかしながら、3Dホールセンサによって出力され、且つ変位測定範囲が基準範囲にない出力信号は、重なる範囲の二つの出力信号同士間の差を補償するためにオフセットで修正される。重なる範囲で重なる変位測定範囲のいずれもが基準範囲ではない場合、両出力信号は、個々のオフセットで修正される。
図3に示される変位センサの配置に関連して、位置信号は、3Dホールセンサ201の出力信号と3Dホールセンサ202の出力信号に基づいて確立される。3Dホールセンサ202の出力信号は、それを3Dホールセンサ201の出力信号に関して重なる範囲に調節するためにオフセットで修正される。オフセットが確立されることができる方法は、以下に記述される。
【0056】
第3の状態において、計算ユニットは、変位測定範囲が基準範囲ではない3Dホールセンサによって出力される出力信号に基づいて位置信号を確立する。しかしながら、この出力信号は、それを隣接する変位測定範囲の出力信号に関して重なる範囲へ調節するためにオフセットによって修正される。以下は、
図3に示される変位センサの配置に関して当てはまる。
【数2】
この式で、Pos
Signalは位置信号であり、Pos
IC2は3Dホールセンサ202によって出力される出力信号207であり、x
offsetは3Dホールセンサ201,202の重なる範囲において出力される出力信号を互い関して調節するために出力信号207が修正されるオフセットである。
【0057】
図6は、第1の変位測定範囲と第2の変位測定範囲との間の重なる範囲とこの重なる範囲内の複数の位置信号のパスを示す。第1の変位測定範囲の重ならない部分から重なる範囲への遷移は、位置x
tz0で起こり、重なる範囲から第2の変位測定範囲の重ならない部分への遷移は、位置x
tz1で起こる。
図6は、位置信号が重なる範囲で増加する又は減少する両方の場合を示す。第1の変位測定範囲において出力される位置信号から第2の変位測定範囲において出力される位置信号への変化(遷移)は、重なる範囲で起こる。その変化は、重なる範囲において増加する位置信号の場合及び減少する位置信号の場合の両方で急激に又はなだらかに(連続的に)生じることができる。
【0058】
本発明によれば、急激な変化は、最も大きな測定精度を有する位置信号がこれら二つの位置信号から選択される場合にもたらされる。そのように選択された位置信号値の測定精度が最大許容誤差の範囲内である場合、重なる範囲の幾つかの部分における重なる範囲で出力される二つの位置信号や出力信号の測定精度が最大許容誤差の範囲内にない時に、最大許容誤差の範囲内にある位置信号を形成することもできる。
図3に示される変位センサの配置に関連して、出力信号206からオフセットで修正される出力信号207への変化は、これら二つの信号の信号値から測定精度が最も大きい信号値が選択される場合に生じる。
【0059】
本発明によれば、重なる範囲に対して計算された位置信号が重なる範囲において出力される出力信号同士間の加重平均値に基づいて形成される場合になだらかな遷移(変化)や急激な遷移(変化)を達成することができる。基準範囲に関連しない出力信号は、対応するオフセットで事前に修正されなければならない。平均値が形成されると、出力信号の重み付けは、位置信号が計算される重なる範囲の位置に依存する。第1の変位測定範囲において出力される出力信号の重み付けは、位置x
tz0からの間隔が増加するに従って減少することが好ましい。第2の変位測定範囲において出力される出力信号の重み付けも、x
tz1からの間隔が増加するに従って減少する。
【0060】
図3に示される変位センサの配置に関連して、出力信号206からオフセットで修正される出力信号207へのなだらかな遷移(変化)を以下の平均値形成によって達成されることができる。
【数3】
この式で、Pos
Signalは、重なる範囲における位置posに対して計算される位置信号であり、
Pos
IC1は、重なる範囲の位置posでホールセンサ201によって出力される出力信号であり、
Pos
IC2は、重なる範囲の位置posでホールセンサ202によって出力される出力信号であり、
x
offsetは、出力信号206に関して重なる範囲へ第2の出力信号207を調節するために第2の出力信号207が修正されるオフセットである。
【0061】
信号Pos
Signal、Pos
IC1、Pos
IC2、x
offset、x
tz0及びx
tz1の信号値は、同じ物理的単位で記述されなければならない。それらは、変位単位(mm,cm)で記述されるのが好ましい。
【0062】
出力信号206とオフセットで修正された出力信号207との間の加重平均値に基づく位置信号の形成は、重なる範囲における位置信号のなだらかなパスとなるのみならず、
図4に示されるように、出力信号206,207の測定精度が重なる範囲の幾つかの部分で最大許容誤差を実質的に超える場合でも測定精度が最大許容誤差の範囲内にある位置信号の形成を可能とする。
【0063】
これらの利点は、
図6に示されるように、重なる範囲における位置信号がS曲線、放物線又は指数関数のパスを有する場合にも達成されることができる。原理的には、その線は、任意の形状であることができるが、単調な勾配を有する。その線の形状は、例えば、ルックアップテーブル(探索表)によって実施されることができる。
【0064】
次に記述される態様は、出力信号のオフセットが確立される方法である。
【0065】
オフセットは、本発明に係る変位センサにおいて、印刷回路基板に取り付けられるホールセンサの幾何学的配置とホールセンサの特性線(ゼロ点に対する磁石の位置に従う出力信号を示す)に基づいて確立されることができる。二つの隣接するホールセンサ同士間の間隔が確立され、重なる範囲の限界x
tz0と限界x
tz1は、変位センサの印刷回路基板レイアウトから固定され、特性線に基づいて、隣接するホールセンサの出力信号同士間の差が位置x
tz0又は位置x
tz1で確立される。
【0066】
一旦、限界x
tz0と限界x
tz1がある用途に対して固定されると、それらは、記憶ユニットに記憶され、長時間にわたってもう変化しない。しかしながら、限界x
tz0と限界x
tz1は、必要に応じて、用途から用途へ変化するように選択されることができる。
【0067】
印刷回路基板レイアウト又はシステムレイアウトが生成されると、二つのホールセンサ同士間の間隔が過剰に大きくないこと又は重なる範囲におけるホールセンサの出力信号が重なる範囲の少なくとも幾つかの部分で有意に使用可能な測定結果をなお供給することすなわち出力信号がゼロ点に対する磁石の位置と相関することが保証されなければならない。限界x
tz0と限界x
tz1が固定されると、重なる範囲における出力信号の測定精度は、全誤差が最大許容誤差の範囲内にある位置信号の形成を可能にするのに十分に大きいことが保証されなければならない。次に、オフセットは、重なる範囲の限界x
tz0又は限界x
tz1で重なる特性線がなお直線状である場合に極度に高い精度で確立されることができる。
【0068】
オフセットが形成されると、重なる変位測定範囲の一つが基準範囲であるか否かに関して区別されなければならない。
【0069】
例えば、
図6において重なる変位測定範囲の内の第1のものが基準範囲である場合、第2の変位測定範囲の出力信号に対するオフセットは、遷移部x
tz0で出力される出力信号同士間の差と等しい。或いは、x
tz1で形成された差は、そのために使用されることができる。
【0070】
図6において重なる変位測定範囲のいずれもが基準範囲でない場合、オフセットは、オフセットが確立されるべき出力信号に対して、基準範囲と変位測定範囲との間に位置される遷移部x
tz0の全てで形成された差の合計に等しい。或いは、x
tz1で形成された差がそのために使用されてもよい。
【0071】
上記方法に従って確立されるオフセットは、変位センサの記憶ユニットに記憶され、長期にわたってもう変化しない。
【0072】
本発明に係る変位センサの製造中に、1個以上の印刷回路基板は複数のホールセンサを備える。各ホールセンサに対して、印刷回路基板上の望ましい位置が事前に決定され、所定の望ましい位置に従うホールセンサを印刷回路基板上に取りつけようとされる。印刷回路基板が3Dホールセンサを備える場合、望ましい位置は、印刷回路基板上の3Dホールセンサの実際の位置とその望ましい位置との間にずれが生じるように近似的方法で達成されるに過ぎない。その複数のホールセンサが複数の印刷回路基板にわたって分配される場合、二つの隣接する印刷回路基板の互いに対する不正確な配置によって、一方の印刷回路基板上に位置するホールセンサの隣接する印刷回路基板上に位置されるホールセンサに対する変位が生じ、それは、また望ましい位置からのずれと同等である。
【0073】
望ましい位置とホールセンサの実際の位置との間にずれが存在しない場合、出力信号のオフセットは、上述の方法に従って確立されることができる。しかしながら、3Dホールセンサの実際の位置又は実際の配向がそれの望ましい位置からずれると、それは、3Dホールセンサの変位測定範囲の重なる範囲の変化となる。上述の方法に従うオフセットの確立は、この変化を考慮しなければならない。それは、製造される個々のシステムに対して、特に複数のホールセンサの実際の位置がそれの望ましい位置からずれる場合困難であるために、非常に複雑である。
【0074】
そのため、オフセットを二つの限界(遷移)x
tz0とx
tz1の一方で自動的に決定する方法が必要である。その方法(以降、学習ルーチンとも呼ばれる)によれば、磁石は、変位測定範囲の重ならない部分から二つの遷移部x
tz0とx
tz1の一方を介して案内され、出力信号値出力Pos
IC1とPos
IC2は、磁石が案内されて通った遷移部で検出され、これら二つの出力信号値に差が形成される。
【0075】
この方法において、オフセット形成中に、重なる変位測定範囲の一方が基準範囲であるか否かの区別も行われなければならない。
【0076】
例えば、
図6において重なる変位測定範囲の第1のものが基準範囲である場合、第2の変位測定範囲の出力信号に対するオフセットは、遷移部x
tz0で出力された出力信号同士間の差に等しい。或いは、x
tz1で形成された差が、そのために使用されることができる。
【0077】
図6において重なる変位測定範囲のいずれもが基準範囲でない場合、オフセットは、オフセットが確立されるべき出力信号に対して、基準範囲と変位測定範囲との間に位置される遷移部x
tz0の全てで形成された差の合計に等しい。或いは、x
tz1で形成された差がそのために使用されてもよい。
【0078】
図6における第2の変位測定範囲に対するオフセットは、遷移部x
tz0で出力された位置信号値と遷移部x
tz0で第2の変位測定範囲のホールセンサによって出力される出力信号値との間の差から確立されてもよい。或いは、x
tz1に対して形成された差が、そのために使用されてもよい。
【0079】
図3に示される変位センサの配置に関連して、次に、以下のように出力信号207のオフセットx
offsetを計算することが可能である。
【数4】
【0080】
不鮮鋭度(ボケ)の発生は、信号の走査中の急激な移動の場合に生じる。すなわち出力信号値Pos
IC1とPos
IC2は、夫々、位置x
tz0とx
tz1では正確には検出されないが、代わりに、その少し前又はその少し後に検出される。これらの不鮮鋭度(ボケ)の発生は、磁石の速度の増加に従って増加する。学習ルーチンに従って確立されるオフセットの精度は、信号の走査中に不鮮鋭度(ボケ)の発生によって損なわれる。
【0081】
しかしながら、学習ルーチンは、各個別のシステムの製造中であって目的の用途での使用中にのみ実行されてもよい。
【0082】
学習ルーチンに基づいて確立されるオフセットの精度を増加するために、学習ルーチンは、磁石が一つの及び同じ遷移部x
tz0(又はx
tz1)上を数回案内され、遷移部が通過される毎に出力信号値Pos
IC1とPos
IC2が検出されて不揮発的方法で記憶ユニットに記憶される本発明に従って拡張される。これらの動作の数は、各動作に対する出力信号値が揮発的方法で記憶される必要はないので、制限されるべきである。
【0083】
オフセットの確立の精度に対する信号走査の影響は、平均値形成によって実質的に減少される。最初に、遷移部で記憶された出力信号値Pos
IC1とPos
IC2の平均値が形成されることができ、引き続いて、そのように確立された平均値同士間の差が形成されることができる。しかしながら、或いは、遷移部で1つの及び同じ動作に対して検出された出力信号値Pos
IC1とPos
IC2との間の差が最初に形成され、引き続いて、その差の平均値が形成される。
【0084】
複数の方法、例えば、中間値、数学平均、幾何学平均、平方平均等が平均値形成のために使用されることができる。
【0085】
本発明によれば、加重平均値が複数の出力信号値の平均値の形成のために使用される場合及び出力平均値の重み付けが磁石の速度に依存している場合、オフセットの確立の精度への信号走査の影響を更に減少することができる。この場合、重み付けは、各出力信号値と対の状態で記憶されなければならない。
【0086】
オフセット形成の精度の更なる向上は、磁石の過剰に速い速度で検出された出力信号値が平均値の形成又は差に含まれない場合に達成される。
【0087】
平均値形成は、平均値が移動平均値である場合により少ない資源で技術的により単純な方法で実施されることができる。
【0088】
学習ルーチンは、また、遷移部x
tz0とx
tz1の内の一方を最初に通過中に、磁石は、重なる範囲又は基準範囲ではない変位測定範囲から来る場合に、適用されることができる。しかしながら、遷移部が最初に通過されると、記憶された位置の値が使用されなければならない。これらの位置の値は、例えば、3Dホールセンサの幾何学的配置とそれらの特性線に基づいて確立されることができる。学習方法は、磁石が少なくとも一回基準範囲の重ならない部分にある場合に使用されることができるに過ぎない。引き続いて、その方法は、上記のように適用される。
【0089】
3Dホールセンサの幾何学的配置に基づいてオフセットを確立する方法と学習方法によってオフセットを確立する方法は、互いに組み合わされることができる。
【0090】
本発明の原理は、二つの3Dホールセンサを有する変位センサの配置に制限されず、二つの3Dホールセンサよりも多くの数の3Dホールセンサを有する変位センサの配置に移転されることもできる。任意の3Dホールセンサの変位測定範囲は基準範囲として働くことができる。
【0091】
位置情報は、パルス幅変調信号又はアナログ電圧又はアナログ電流の形式で、又はデジタルプロトコル(Sent、I
2C、LIN等)を介して3Dホールセンサによって出力されることができる。3Dホールセンサは、位置を直接には出力しないが、代わりに、位置に変換される角度情報を出力すると、その計算が上述の方法に従ってデータの更なる処理が行われる前の実行されなければならない。(これを実行する方法は、既知である。)
【0092】
位置情報は、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ等によって本発明に従って入力され、既述された方法に従って処理される。これらの処理ユニットは、3Dホールセンサに統合されてもよい。処理ユニットは、パルス幅変調信号又はアナログ電圧又はアナログ電流の形態で、又はデジタルプロトコル(Sent、I
2C、LIN等)を介して位置の値を上位のシステムへ出力する。
【0093】
本発明は、3Dホールセンサの使用に制限されない。本発明は、線形ホール技術にも使用することができる。更に、IC(複数)による非接触式変位検出に適する磁界センサ、例えば、巨大磁気抵抗(GMRセンサ)に又は異方性磁気抵抗効果(AMRセンサ)に基づくセンサへ本発明を拡張することができる。
【0094】
本発明の変位センサは、非接触式変位測定に使用することができる。本発明は、現在市場にある3Dホールセンサよりも更により大きい変位検出範囲を本発明が有するという利点を有する。現在市場にある3Dホールセンサは、約4cmの変位測定範囲を有する。これに比較して、本発明の変位センサは、それが2個のホールセンサを備える場合、7.8cmの変位検出範囲を有する。3Dホールセンサを有する変位センサの場合、変位検出範囲は、更に11.6cmまで増加される。