特許第6061319号(P6061319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6061319
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】給電システムおよび給電方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170106BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20170106BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20170106BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   H02J7/00 303C
   H02J50/20
   B60L3/00 S
   B60L11/18 C
   H02J7/00 P
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-75993(P2016-75993)
(22)【出願日】2016年4月5日
【審査請求日】2016年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】ニチユ三菱フォークリフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 絢介
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−012604(JP,A)
【文献】 特開2013−33403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
H02J 50/00 − 50/90
B60L 3/00
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を搬送するために走行する無人搬送車と、
前記無人搬送車の運行を管理する管理装置と、
前記無人搬送車により搬送されるとともに当該無人搬送車に給電する給電装置と、を備える給電システムであって、
前記管理装置は、
前記無人搬送車が荷物を引き渡す荷卸場所から他の荷物を受け取る荷積場所までの当該無人搬送車の移動時間が所定時間以上となるとき、当該移動時間中での前記給電装置の搬送を前記無人搬送車に指示するための給電スケジュールを生成する給電スケジュール生成部と、
前記給電スケジュールを前記無人搬送車に送信する給電スケジュール送信部と、を備え、
前記無人搬送車は、
前記管理装置から送信された前記給電スケジュールを受信する給電スケジュール受信部と、
受信した前記給電スケジュールに基づいて前記給電装置を搬送するように当該無人搬送車の動作を制御する制御部と、
前記給電装置の搬送中に当該給電装置から供給される電力を蓄電するバッテリと、を備える
ことを特徴とする給電システム。
【請求項2】
前記給電スケジュールは、前記無人搬送車が前記給電装置を受け取る受取場所に係る情報と、前記無人搬送車が前記給電装置を引き渡す引渡場所に係る情報とを少なくとも含み、
前記制御部は、前記給電スケジュールに基づいて、前記給電装置を前記受取場所から前記引渡場所まで搬送するように前記無人搬送車の動作を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記給電スケジュール生成部は、前記バッテリの蓄電量が所定量未満になる時期を推測し、前記バッテリの蓄電量が所定量未満の状態で前記移動時間が所定時間以上となるとき、当該移動時間中での前記給電装置の搬送を指示するための前記給電スケジュールを生成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の給電システム。
【請求項4】
前記給電装置は、マイクロ波の送信により送電する無線送電部をさらに備え、
前記無人搬送車は、マイクロ波の受信により受電する無線受電部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項5】
前記管理装置は、
前記給電装置の受取場所に係る情報を含む前記給電スケジュールを生成するために、前記給電装置の位置情報を格納する情報格納部と、
前記無人搬送車による前記給電装置の搬送に基づいて、前記情報格納部に格納された前記給電装置の位置情報を更新する情報更新部と、を備える
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項6】
荷物を搬送するために走行する無人搬送車と、前記無人搬送車の運行を管理する管理装置と、前記無人搬送車により搬送される給電装置とを備える給電システムにおいて、前記給電装置によって前記無人搬送車に給電する給電方法であって、
前記無人搬送車が荷物を引き渡す荷卸場所から他の荷物を受け取る荷積場所までの当該無人搬送車の移動時間が所定時間以上となるとき、当該移動時間中での前記給電装置の搬送を前記無人搬送車に指示するための給電スケジュールを前記管理装置が生成する給電スケジュール生成ステップと、
前記給電スケジュールを前記管理装置が送信する給電スケジュール送信ステップと、
送信された前記給電スケジュールを前記無人搬送車が受信する給電スケジュール受信ステップと、
受信した前記給電スケジュールに基づいて、前記無人搬送車が前記給電装置を搬送するとともに、前記給電装置が当該給電装置を搬送中の前記無人搬送車が備えるバッテリに給電する給電ステップとを備える
ことを特徴とする給電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中の無人搬送車に給電する給電システムおよび給電方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、無人搬送車の給電システムでは、無人搬送車が備えるバッテリの蓄電量が所定量未満となった場合に、所定の場所に設けられた充電ステーションに無人搬送車を移動させ、充電ステーションで待機中の無人搬送車に給電が行われている。
【0003】
ところで、無人搬送車の稼働効率を向上させるためには、走行中の無人搬送車に給電を行うことが求められており、特許文献1には、パレットに搭載されたパレット側バッテリの電力を、無人搬送車が備える車両側バッテリに供給するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−117067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の給電システムでは、給電が必要な無人搬送車と給電が必要でない無人搬送車とを区別しておらず、使用される全てのパレットにパレット側バッテリが搭載されている場合には、給電が必要でない無人搬送車に対しても、無駄に給電が行われるおそれがある。すなわち、無人搬送車が荷物を搬送する際は給電装置(パレット側バッテリ)から無人搬送車(車両側バッテリ)への給電が常時行われるので、給電の効率性が低いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、給電装置から無人搬送車への給電の効率性を向上させることが可能な給電システムおよび給電方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、荷物を搬送するために走行する無人搬送車と、前記無人搬送車の運行を管理する管理装置と、前記無人搬送車により搬送されるとともに当該無人搬送車に給電する給電装置と、を備える給電システムであって、
前記管理装置は、前記無人搬送車が荷物を引き渡す荷卸場所から他の荷物を受け取る荷積場所までの当該無人搬送車の移動時間が所定時間以上となるとき、当該移動時間中での前記給電装置の搬送を前記無人搬送車に指示するための給電スケジュールを生成する給電スケジュール生成部と、前記給電スケジュールを前記無人搬送車に送信する給電スケジュール送信部と、を備え、前記無人搬送車は、前記管理装置から送信された前記給電スケジュールを受信する給電スケジュール受信部と、受信した前記給電スケジュールに基づいて前記給電装置を搬送するように当該無人搬送車の動作を制御する制御部と、前記給電装置の搬送中に当該給電装置から供給される電力を蓄電するバッテリと、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の給電システムにおいて、前記給電スケジュールは、前記無人搬送車が前記給電装置を受け取る受取場所に係る情報と、前記無人搬送車が前記給電装置を引き渡す引渡場所に係る情報とを少なくとも含み、前記制御部は、前記給電スケジュールに基づいて、前記給電装置を前記受取場所から前記引渡場所まで搬送するように前記無人搬送車の動作を制御することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の給電システムにおいて、前記給電スケジュール生成部は、前記バッテリの蓄電量が所定量未満になる時期を推測し、前記バッテリの蓄電量が所定量未満の状態で前記移動時間が所定時間以上となるとき、当該移動時間中での前記給電装置の搬送を指示するための前記給電スケジュールを生成することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の給電システムにおいて、前記給電装置は、マイクロ波の送信により送電する無線送電部をさらに備え、前記無人搬送車は、マイクロ波の受信により受電する無線受電部をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の給電システムにおいて、前記管理装置は、前記給電装置の受取場所に係る情報を含む前記給電スケジュールを生成するために、前記給電装置の位置情報を格納する情報格納部と、前記無人搬送車による前記給電装置の搬送に基づいて、前記情報格納部に格納された前記給電装置の位置情報を更新する情報更新部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、荷物を搬送するために走行する無人搬送車と、前記無人搬送車の運行を管理する管理装置と、前記無人搬送車により搬送される給電装置とを備える給電システムにおいて、前記給電装置によって前記無人搬送車に給電する給電方法であって、前記無人搬送車が荷物を引き渡す荷卸場所から他の荷物を受け取る荷積場所までの当該無人搬送車の移動時間が所定時間以上となるとき、当該移動時間中での前記給電装置の搬送を前記無人搬送車に指示するための給電スケジュールを前記管理装置が生成する給電スケジュール生成ステップと、前記給電スケジュールを前記管理装置が送信する給電スケジュール送信ステップと、送信された前記給電スケジュールを前記無人搬送車が受信する給電スケジュール受信ステップと、受信した前記給電スケジュールに基づいて、前記無人搬送車が前記給電装置を搬送するとともに、前記給電装置が当該給電装置を搬送中の前記無人搬送車が備えるバッテリに給電する給電ステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、給電装置から無人搬送車への給電の効率性を向上させることが可能な給電システムおよび給電方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る給電システムの模式図である。
図2】同実施形態に係る無人搬送車の概略構成を示すブロック図である。
図3】同実施形態に係る管理装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】同実施形態に係る給電装置の概略構成を示すブロック図である。
図5】同実施形態に係る無人搬送車の動作の流れの一例を示す図である。
図6】比較例に係る無人搬送車の動作の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1に示すように、給電システム1は、荷物を搬送するために走行する無人搬送車10と、無人搬送車10の運行を管理する管理装置20と、無人搬送車10により搬送されるとともに無人搬送車10に給電する複数の給電装置30とを備えている。
【0016】
無人搬送車10は、昇降可能な荷役用のフォークを備えた無人フォークリフトである。無人搬送車10は、管理装置20から受信した荷役スケジュールに基づき、荷物を荷積場所から荷卸場所まで搬送する。無人搬送車10は、荷卸場所で荷物を引き渡して搬送を終了した後は、他の荷物を受け取るための荷積場所に移動し、荷積場所で荷物を受け取って搬送を開始する。こうして、無人搬送車10は、荷物を搬送する荷物搬送動作と荷物を搬送しない移動動作とを交互に繰り返す。
【0017】
なお、荷積場所および荷卸場所は、例えば、自動倉庫に荷物を入庫するための入庫ステーションP1、荷物を保管するラックが設けられた荷物保管場所P2、および、自動倉庫から荷物を出庫するための出庫ステーションP3のいずれかである。荷積場所が入庫ステーションP1であるとき、荷卸場所は荷物保管場所P2であり、荷積場所が荷物保管場所P2であるとき、荷卸場所は出庫ステーションP3である。
【0018】
また、無人搬送車10は、管理装置20から受信した給電スケジュールに基づき、荷物の搬送を終了した後かつ他の荷物の搬送を開始する前に、給電装置30を搬送する。すなわち、無人搬送車10は、荷卸場所から荷積場所までの無人搬送車10の移動時間中に、給電装置30を受取場所から引渡場所まで搬送する。すなわち、無人搬送車10は、受取場所で給電装置30を受け取って、受取場所から離れた引渡場所で給電装置30を引き渡す。無人搬送車10は、給電装置30の搬送中に、その給電装置30から電力の供給を受ける。こうして、無人搬送車10は、給電装置30を搬送する給電装置搬送動作を行う。
【0019】
なお、給電装置30の受取場所および引渡場所は、給電装置30を保管するラックが設けられた給電装置保管場所Qである。無人搬送車10が荷物を引き渡した後に給電装置30を速やかに受け取れるように、給電装置30の受取場所は荷卸場所の近傍に設けられている。また、無人搬送車10が給電装置30を引き渡した後に荷物を速やかに受け取れるように、給電装置30の引渡場所は荷積場所の近傍に設けられている。
【0020】
管理装置20は、サーバ20Aと、無人搬送車10とサーバ20Aとの通信を中継する複数のアクセスポイント20Bとにより構成されており、無人搬送車10に荷役スケジュールおよび給電スケジュールを送信することで無人搬送車10の運行を管理する。サーバ20Aは、管理者から入力された情報に基づいて荷物スケジュールを生成し、搬送スケジュールに基づいて給電スケジュールを生成する。サーバ20Aは、分散して配置された複数のアクセスポイント20Bのいずれかを介して、無人搬送車10に荷役スケジュールおよび給電スケジュールを送信する。
【0021】
給電装置30は、複数の受取場所に分散して配置されている。すなわち、少なくとも1つの給電装置30が、荷卸場所の近傍に位置する給電装置30の受取場所に配置されている。給電装置30は、その給電装置30を搬送中の無人搬送車10に給電する。
【0022】
図2に示すように、無人搬送車10は、バッテリ11と、走行装置12と、無線通信部13と、記憶部14と、制御部15と、給電制御部16と、無線受電部17とを備えている。無人搬送車10は、バッテリ11の蓄電量が低下したとき、給電装置30から給電を受ける。
【0023】
バッテリ11は、蓄電可能な二次電池により構成されており、走行装置12等に電力を供給する。バッテリ11は、給電装置30の搬送中に当該給電装置30から供給される電力を蓄電する。バッテリ11の蓄電量は、走行装置12等へ電力を供給することで減り、給電装置30から供給された電力を蓄電することで増える。
【0024】
走行装置12は、無人搬送車10が走行するための走行モータ(図示略)や、無人搬送車10が走行する方向を変える操舵モータ(図示略)等により構成されている。走行装置12は、バッテリ11から電力が供給されることにより動作する。
【0025】
無線通信部13は、給電スケジュールを受信する給電スケジュール受信部であって、管理装置20および給電装置30と通信するための小型アンテナを備えた無線通信モジュールにより構成されている。無線通信部13は、管理装置20から送信された荷役スケジュールおよび給電スケジュールを受信する。また、無線通信部13は、給電制御部16の指示に従って、給電要求信号および給電停止信号を給電装置30に送信する。
【0026】
記憶部14は、無線通信部13で受信した荷役スケジュールおよび給電スケジュールに係る情報を記憶する記憶装置(例えば半導体メモリ)により構成されている。記憶部14は、荷役スケジュールに係る情報として、荷物の搬送作業の順序の情報と、荷物の荷積場所の情報、荷物の荷卸場所の情報とを記憶する。また、記憶部14は、給電スケジュールに係る情報として、給電装置30を搬送する時期の情報と、給電装置30の受取場所の情報と、給電装置30の引渡場所の情報とを記憶する。
【0027】
制御部15は、走行装置12を制御する集積回路により構成されている。制御部15は、記憶部14に記憶された荷役スケジュールに基づいて、無人搬送車10が荷物を荷積場所から荷卸場所まで搬送するように走行装置12を制御する。すなわち、制御部15は、管理装置20から受信した荷役スケジュールに基づいて、荷物を荷積場所から荷卸場所搬送するように無人搬送車10の動作を制御する。また、制御部15は、記憶部14に記憶された給電スケジュールに基づいて、無人搬送車10が給電装置30を受取場所から引渡場所まで搬送するように走行装置12を制御する。すなわち、制御部15は、管理装置20から受信した給電スケジュールに基づいて、給電装置30を受取場所から引渡場所まで搬送するように無人搬送車10の動作を制御する。
【0028】
給電制御部16は、無線通信部13を制御する集積回路により構成されている。給電制御部16は、記憶部14に記憶された給電スケジュールに基づいて、無人搬送車10が給電装置30の搬送を開始する場合に、給電要求信号を送信するように無線通信部13を制御する。また、給電制御部16は、給電装置30からの受電中にバッテリ11の充電が完了した場合、または、無人搬送車10が給電装置30の搬送を終了する場合に、給電停止信号を送信するように無線通信部13を制御する。
【0029】
無線受電部17は、マイクロ波を受信するレクテナにより構成されている。無線受電部17は、給電装置30から受信したマイクロ波を電気エネルギーに変換することで、給電装置30から電力を受電する。そして、無線受電部17は、給電装置30から受電した電力をバッテリ11に供給する。こうして、バッテリ11が充電される。
【0030】
図3に示すように、管理装置20は、サーバ20Aに設けられた情報格納部21と、荷役スケジュール生成部22と、給電スケジュール生成部23と、情報更新部24とを備えるとともに、アクセスポイント20Bに設けられた無線通信部25とを備えている。
【0031】
情報格納部21は、無人搬送車10が搬送すべき荷物に係る情報と給電装置30に係る情報とを記憶する記憶装置(例えばハードディスクドライブ)により構成されている。情報格納部21は、荷物に係る情報として、搬送すべき荷物毎に、荷物を受け取る荷積場所の情報と、その荷物を引き渡す荷卸場所の情報と、その荷物の重さの情報と、荷積場所または荷卸場所のラックにおけるその荷物の格納位置の情報とを格納している。また、情報格納部21は、給電スケジュールを生成するために、給電装置30に係る情報として、給電装置30の位置情報、すなわち給電装置30を受け取ることが可能な受取場所の情報とを格納している。荷物に係る情報、および、給電装置30に係る情報は、管理用情報端末装置(図示略)から管理装置20に入力されて、情報格納部21に格納される。
【0032】
荷役スケジュール生成部22は、情報格納部21に格納されている荷物に係る情報に基づいて、無人搬送車10の荷役スケジュールを生成する集積回路により構成されている。荷役スケジュールには、複数の荷物の搬送順序の情報と、無人搬送車10が荷物を受け取る荷積場所に係る情報と、および、無人搬送車10が荷物を引き渡す荷卸場所に係る情報とが含まれる。したがって、荷役スケジュールには、複数回の荷物搬送動作および複数回の移動動作を無人搬送車10に指示するための情報が含まれている。
【0033】
給電スケジュール生成部23は、情報格納部21に格納されている給電装置30に係る情報と、荷役スケジュール生成部22で生成された荷役スケジュールとに基づいて、給電スケジュールを生成する集積回路により構成されている。給電スケジュールには、無人搬送車10が給電装置30を搬送する時期の情報と、無人搬送車10が給電装置30を受け取る受取場所に係る情報と、および、無人搬送車10が給電装置30を引き渡す引渡場所に係る情報とが含まれる。したがって、給電スケジュールには、少なくとも1回の給電装置搬送動作を無人搬送車10に指示するための情報が含まれている。
【0034】
情報更新部24は、情報格納部21に格納された情報を適宜更新する集積回路により構成されている。情報更新部24は、荷役スケジュール生成部22で生成された荷役スケジュールに基づいて、無人搬送車10が荷物搬送動作を終了したときに、荷物に係る情報(例えば荷物の位置情報)を更新する。また、情報更新部24は、給電スケジュール生成部23で生成された給電スケジュールに基づいて、無人搬送車10が移動動作を終了したときに、給電装置30に係る情報(例えば給電装置30を受け取ることが可能な受取場所の情報)を更新する。すなわち、情報更新部24は、無人搬送車10による給電装置30の搬送に基づいて、情報格納部21に格納された給電装置30の位置情報に係る情報を更新する。
【0035】
無線通信部25は、給電スケジュールを送信する給電スケジュール送信部であって、無人搬送車10と通信するための小型アンテナを備えた無線通信モジュールにより構成されている。無線通信部25は、複数回の荷物の搬送を無人搬送車10に指示するために、荷役スケジュール生成部22で生成した荷役スケジュールを無人搬送車10に送信する。また、無線通信部25は、少なくとも1回の給電装置30の搬送を無人搬送車10に指示するために、給電スケジュール生成部23で生成した給電スケジュールを無人搬送車10に送信する。
【0036】
図4に示すように、給電装置30は、バッテリ31と、無線通信部32と、無線送電部33とを備えている。給電装置30は、無線送電部33から送電することで無人搬送車10に給電する。
【0037】
バッテリ31は、蓄電可能な二次電池により構成されており、無線送電部33に電力を供給する。バッテリ31の蓄電量は、無線送電部33に電力を供給することで減り、給電装置30に接続される充電設備(図示略)を用いて回復することができる。
【0038】
無線通信部32は、無人搬送車10と通信するための小型アンテナを備えた無線通信モジュールにより構成されている。無線通信部32は、無人搬送車10から送信された給電要求信号および給電停止信号を受信する。
【0039】
無線送電部33は、マイクロ波を送信する送電アンテナにより構成されており、バッテリ31から供給される電力によりマイクロ波を送信することで、無人搬送車10に送電する。無線送電部33は、無線通信部32で無線要求信号を受信した場合、マイクロ波による送電を開始する。また、無線送電部33は、無線通信部32で無線停止信号を受信した場合、マイクロ波による送電を停止する。
【0040】
次に、給電スケジュール生成部23による給電スケジュールの生成アルゴリズムを説明する。
まず、給電スケジュール生成部23は、荷役スケジュール生成部22で生成された荷役スケジュールと、情報格納部21に格納されている荷物に係る情報とに基づいて、無人搬送車10のバッテリ11の蓄電量が所定量A未満になる時期を予測する。すなわち、給電スケジュール生成部23は、荷積場所および荷卸場所の情報から算出される無人搬送車10が走行する距離と、搬送する荷物の重さと、荷積時および荷卸時におけるフォークのリフト量とに基づいて、無人搬送車10の消費電力の経時変化を推定することで、バッテリ11の蓄電量が所定量A未満になる時期を予測する。
【0041】
バッテリ11の蓄電量が所定量A未満になる時期が予測されなかった場合、すなわち、バッテリ11の蓄電量が所定量A未満にならないと予測された場合は、給電スケジュール生成部23は、無人搬送車10に給電を行う必要がないと判断して、給電スケジュールを生成しない。
【0042】
一方、バッテリ11の蓄電量が所定量A未満になる時期が予測された場合、給電スケジュール生成部23は、バッテリ11の蓄電量が所定量A未満になる時期において、荷卸場所から荷積場所までの移動時間が所定時間T以上になる区間を検索する。すなわち、給電スケジュール生成部23は、荷卸場所および荷積場所の情報から算出される無人搬送車10が走行する距離に基づいて、荷卸場所から荷積場所までの移動時間を試算することで、当該移動時間が所定時間T以上となる区間を検索する。
【0043】
荷卸場所から荷積場所までの移動時間が所定時間T以上になる区間が検索されなかった場合、すなわち、荷卸場所から荷積場所までの各区間の移動時間が所定時間T未満になる場合は、給電スケジュール生成部23は、所定時間Tを短くして、荷卸場所から荷積場所までの移動時間が所定時間T以上になる区間を再度検索する。
【0044】
一方、荷卸場所から荷積場所までの移動時間が所定時間T以上になる区間が検索された場合、給電スケジュール生成部23は、その区間での給電装置搬送動作を無人搬送車10に指示するための情報を含んだ給電スケジュールを生成する。以上のようにして、給電スケジュール生成部23は、無人搬送車10が荷物を引き渡す荷卸場所から他の荷物を受け取る荷積場所までの無人搬送車10の移動時間が所定時間T以上となるとき、当該移動時間中での給電装置30の搬送を指示するための給電スケジュールを生成する。また、本実施形態では、給電スケジュール生成部23は、バッテリ11の蓄電量が所定量A未満になる時期を推測し、バッテリ11の蓄電量が所定量A未満の状態で荷物を搬送しない移動動作に係る移動時間が所定時間T以上となるとき、給電スケジュールを生成する。
【0045】
次に、図5を参照して、給電スケジュールに基づいて無人搬送車10の動作の一例を説明する。
図5に示すように、実施例に係る無人搬送車10は、管理装置20で生成された荷役スケジュールに基づいて、荷物搬送動作M1、荷物搬送動作M2、荷物搬送動作M3、および、荷物搬送動作M4を順番に行う。また、無人搬送車10は、管理装置20で生成された給電スケジュールに基づいて、荷物搬送動作M1の終了後かつ荷物搬送動作M2の開始前に移動動作N1を行い、荷物搬送動作M2の終了後かつ荷物搬送動作M3の開始前に移動動作N2、荷物搬送動作M3の終了後かつ荷物搬送動作M4の開始前に移動動作N3を順番に行う。移動動作N1に係る荷卸場所から荷積場所までの移動時間、および、移動動作N2に係る荷卸場所から荷積場所までの移動時間は、それぞれ、所定時間T未満であり、移動動作N3に係る荷卸場所から荷積場所までの移動時間は、所定時間T以上である。
【0046】
無人搬送車10の荷物搬送動作M1中にバッテリ11の蓄電料が所定量A未満になると推測される場合、移動動作N3に係る移動時間が所定時間T以上であるため、給電スケジュール生成部23は、移動動作N3に係る移動時間中での給電装置30の搬送を指示するための給電スケジュールを生成する。したがって、無人搬送車10は、給電スケジュールに基づいて、荷物搬送動作M3の終了後に、荷卸場所の近傍に位置する受取場所で給電装置30を受け取り、移動動作N3に係る移動時間中に給電装置30から給電を受け、荷物搬送動作M4の開始前に、荷積場所の近傍に位置する引渡場所で給電装置30を引き渡す。すなわち、無人搬送車10は、荷物搬送動作M3の終了後かつ移動動作N3の開始前と、移動動作N3の終了後かつ荷物搬送動作M4の開始前とで、給電装置30の積卸動作Eを行い、移動動作N3に係る区間で給電装置搬送動作を行う。
【0047】
図6は、比較例に係る無人搬送車の動作の流れを示している。
比較例に係る無人搬送車10は、実施例と同様に、荷物搬送動作M1、移動動作N1、荷物搬送動作M2、移動動作N2、荷物搬送動作M3、移動動作N3、および、荷物搬送動作M4を順番に行う。
【0048】
比較例の無人搬送車10は、荷物搬送動作M1の終了後に給電装置30を受け取り、移動動作N1に係る移動時間中に給電装置30から給電を受け、荷物搬送動作M2の開始前に給電装置30を引き渡す。さらに、比較例の無人搬送車10は、移動動作N1に係る移動時間中ではバッテリ11への蓄電量が十分回復しないため、荷物搬送動作M2の終了後に給電装置30を受け取り、移動動作N2に係る移動時間中に給電装置30から給電を受け、荷物搬送動作M2の開始前に給電装置30を引き渡す。したがって、比較例の無人搬送車10は、上記実施例に比べて、給電装置30の積卸動作Eに係る合計時間が長くなり、無人搬送車10の稼働時間が長くなる。
【0049】
以上のように構成された給電システム1において、給電装置30によって無人搬送車10に給電する給電方法は、下記(S1)〜(S4)のステップを備える。
(S1)荷卸場所から荷積場所までの無人搬送車10の移動時間が所定時間T以上となるとき、その移動時間中での給電装置30の搬送を指示するための給電スケジュールを管理装置20が生成する給電スケジュール生成ステップ
(S2)給電装置30の搬送を無人搬送車10に指示するために、給電スケジュールを管理装置20が送信する給電スケジュール送信ステップ
(S3)送信された給電スケジュールを無人搬送車10が受信する給電スケジュール受信ステップ
(S4)受信した給電スケジュールに基づいて、無人搬送車10が給電装置30を搬送するとともに、給電装置30がその給電装置30を搬送中の無人搬送車10が備えるバッテリ11に給電する給電ステップ
【0050】
本実施形態においては以下の効果が得られる。
(1)無人搬送車10は、荷卸場所から荷積場所までの当該無人搬送車10の移動時間が所定時間T以上となるとき、当該移動時間中での給電装置30の搬送を指示するための給電スケジュールに基づいて、給電装置30を搬送する。そして、給電装置30は、当該給電装置30を搬送中の無人搬送車10に給電する。このため、荷卸場所から荷積場所までの当該無人搬送車10の移動時間が所定時間T以上確保できるときに、給電装置30から供給される電力をバッテリ11に蓄電させることができ、荷物を搬送する際にバッテリへの給電が常時行われる構成に比べて、給電装置30からバッテリ11への給電の効率性を高めることができる。また、無人搬送車10が給電装置30を搬送する回数を少なくすることができ、給電装置30の積卸動作Eに係る合計時間を短くすることによって、無人搬送車10の稼働時間を短くすることができる。
【0051】
(2)無人搬送車10は、管理装置20から受信した給電装置30の受取場所および引渡場所に係る情報に基づいて、給電装置30を受取場所から引渡場所に搬送するため、管理装置20は、引渡場所で保管される給電装置30の個数を管理することができる。
【0052】
(3)給電装置30から無人搬送車10への給電がマイクロ波で行われるため、無人搬送車10と給電装置30とを有線で接続することなく、給電装置30から供給される電力をバッテリ11に蓄電することができる。
【0053】
(4)情報更新部24は、無人搬送車10による給電装置30の搬送に基づいて、情報格納部21に格納された給電装置30の位置情報を更新するため、給電装置30の位置情報が自動で更新される。
【0054】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を変更することもできる。例えば、以下のように変更して実施することもでき、以下の変更を組み合わせて実施することもできる。
【0055】
・マイクロ波以外の手段で給電装置30から無人搬送車10に給電するように構成してもよい。例えば、電磁誘導方式または電磁界共鳴方式により給電装置30から無人搬送車10に給電するように構成してもよい。また、給電装置30から無人搬送車10に有線で給電するように構成してもよい。
【0056】
・搬送の搬送システムの規模に応じて、無人搬送車10、アクセスポイント20B、給電装置30の個数を適宜変更してもよく、無人搬送車10、アクセスポイント20B、給電装置30は、それぞれ1つであってもよい。また、アクセスポイント20Bを省略して、無人搬送車10とサーバ20Aとが直接通信を行う構成を採用することもできる。
【0057】
・無人搬送車10と給電装置30とが通信する構成に代えて、管理装置20と給電装置30とが通信する構成を採用してもよい。この場合、管理装置20が、無人搬送車10に代えて給電要求信号および給電停止信号を給電装置30に送信する。また、無人搬送車10と給電装置30とが管理装置20を介して通信する構成を採用してもよい。
【0058】
・給電スケジュールに給電装置30の引渡場所に係る情報を含まないように構成してもよい。この場合には、給電装置30を受け取った無人搬送車10が、常に所定の場所で給電装置30を引き渡すように構成することができる。
【0059】
・荷物を保管するラックが給電装置30を保管するラックを兼ねていてもよい。このようにして、荷卸場所と給電装置30の受取場所とが同じであることが好ましく、また、荷積場所と給電装置30の引渡場所とが同じであることが好ましい。また、無人フォークリフト以外の無人搬送車(例えば、積載型の無人搬送車や牽引型の無人搬送車)に本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1 給電システム
10 無人搬送車
11 バッテリ
13 無線通信部(給電スケジュール受信部)
15 制御部
17 無線受電部
20 管理装置
21 情報格納部
23 給電スケジュール生成部
24 情報更新部
25 無線通信部(給電スケジュール送信部)
30 給電装置
33 無線送電部
【要約】
【課題】給電装置から無人搬送車への給電の効率性を向上させることが可能な給電システムおよび給電方法を提供する。
【解決手段】給電システム1は、無人搬送車10と管理装置20と給電装置30とを備える。管理装置20は、荷物の荷卸場所から他の荷物の荷積場所までの無人搬送車10の移動時間が所定時間以上となるとき、当該移動時間中での給電装置30の搬送を指示するための給電スケジュールを生成する給電スケジュール生成部と、給電装置30の搬送を無人搬送車10に指示するために、給電スケジュールを無人搬送車10に送信する給電スケジュール送信部とを備える。無人搬送車10は、給電スケジュールを受信する給電スケジュール受信部と、受信した給電スケジュールに基づいて給電装置30を搬送するように無人搬送車10の動作を制御する制御部と、給電装置30の搬送中に当該給電装置30から供給される電力を蓄電するバッテリ11とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6