【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る水蒸気植栽ユニットは、
(1) 周囲が非透湿性材料11に囲まれた容器12の下底部に貯水可能な水流通層13が形成されており、
(2) 単繊維繊度50dtex未満の細手繊維に囲まれて垂直方向に続く植栽隙間14によって植栽部位28が構成されている植栽資材15が、その植栽隙間14を垂直方向に向けて、その容器12の上縁部に挿填され、水流通層13の上側に保持されており、
(3) その上縁部の植栽資材15と下底部の水流通層13の間が、水蒸気が充満可能な毛管現象遮断層16となっており、植物の根茎を水蒸気雰囲気に包み込むように構成されていることを第1の特徴とする。
【0009】
植栽資材15の垂直方向に続く植栽隙間14を構成している細手繊維には肥料成分を保持させることが出来る。
【0010】
本発明に係る水蒸気植栽ユニットの第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、
(1) 植栽資材15が、単繊維繊度50dtex未満の細手繊維によって構成される総繊度200dtex以上15000dtex未満の多繊糸条をパイル糸25としてパイル37を基布36に植設したタフテッドファブリックによって構成されており、
(2) 細手繊維に囲まれて垂直方向に続く植栽隙間14が、基布36の長さ方向を垂直方向に向けて向かい合わせたタフテッドファブリックの基布36と基布36の間に形成されており、
(3) 単繊維繊度50dtex未満の細手繊維によって構成されるパイル37が、タフテッドファブリックの基布36と基布36の間の植栽隙間14に介在している点にある。
【0011】
パイル糸25には、下撚を有する複数本の単糸33・34を引き揃え、その下撚の撚方向に逆向きの上撚を加え、それらの複数本の単糸33・34を合撚した合撚多繊糸条を適用することが望ましい。
【0012】
本発明に係る水蒸気植栽ユニットの第3の特徴は、上記第2の特徴に加えて、タフテッドファブリックの基布36に、部分的に裁断されてパイル面26からバックステッチ面27に向けて貫通した裁断隙間49が形成されている点にある。
【0013】
本発明に係る植栽装置は、
(1) 仕切材29によって複数の区画30に区切られる水槽35を具備し、
(2) 仕切材29に区切られている区画30に水蒸気植栽ユニット31が嵌め込まれており、
(3) その水蒸気植栽ユニット31が、非透湿性材料11によって形成された容器12に植栽資材15を挿填して構成され、
(4) その容器12の下底部に貯水可能な水流通層13が形成されており、
(5) 植栽資材15が、単繊維繊度50dtex未満の細手繊維に囲まれて垂直方向に続く植栽隙間14を有し、
(6) その植栽資材15が、非透湿性材料11によって形成された容器12の上縁部に挿填されて水流通層13の上側に保持されており、
植栽資材15と水流通層13の間が水蒸気が充満可能な毛管現象遮断層16となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水蒸気植栽ユニット31は、
図4、
図5、
図6および
図9に図示するように、植栽部位28である細手繊維に囲まれた植栽隙間14を垂直方向に保持した植栽資材15と毛管現象遮断層16と水流通層13が、非透湿性材料11に囲まれた容器内(12)で三層積層構造を形成し、植物の根茎を水蒸気雰囲気に包み込むように構成されている。
その水流通層13から発生する水蒸気は、毛管現象遮断層16に充満し、植栽資材15に結露水として捕捉され、植物42に吸収される。
水流通層13の水は、毛管現象遮断層16に遮断され、毛管現象による水流通層13から植栽資材15への水の移行が抑えられ、植栽資材15の含水量は過剰にならない。
このため、植栽資材15に植栽して得られる果実の含水率が抑えられ、新鮮で味わいのある果実が収穫される。
【0015】
植栽資材15には垂直方向に続く植栽隙間14が形成されており、その植栽隙間14に沿って水蒸気が上昇し易い。
その植栽隙間14は、細手繊維に囲まれて垂直方向に続いている。
そして、植栽資材15に使用するタフテッドファブリックの基布36の長さ方向を垂直方向に向ける場合、
図1と
図3と
図4と
図5と
図9に図示するように、基布36に植設されているパイル37は、横向きになる。
即ち、植栽隙間14を囲んでいる細手繊維の長さ方向は、水平方向になる。
そのため、上昇する水蒸気は、植栽隙間14を囲む細手繊維に捕捉され、結露水となって植栽資材15に蓄えられる。
同時に、水蒸気を含む上昇気流は横向きに突き出ている細手繊維即ちパイル37に攪拌され、上昇気流に含まれている酸素は、結露水と共に細手繊維に捕捉されて植栽資材15に蓄えられる。
【0016】
本発明の水蒸気植栽ユニット31は、植物の根茎を水蒸気雰囲気に包み込むように構成されており、植物は、植栽資材15に蓄えられた酸素と結露水を吸収して生長する。
従って、水流通層13の水が塩分を含んだ海水であっても、植物が水流通層13の海水に含まれる塩分を吸収することがなく、水流通層13の水質によって植物の成長が損なわれることがなく、収穫される作物の品質が水流通層13の水質に左右されない。
そのように、海水を使用することが出来、水源を確保するために苦労することなく、水源を確保し難い海岸や海上での植栽に好適である。
又、植物の根茎が水流通層13に直接触れることがないように、水流通層13と植栽資材15の間が毛管現象遮断層16によって遮断されており、水流通層13の水が毛管現象によって植栽資材15へと直接移行しないので、水蒸気が毛管現象遮断層16に充満するように水流通層13を加熱する場合でも植物が枯れる危険が回避される。
従って、本発明によると、水流通層13の温度管理、および、植栽資材15と毛管現象遮断層16の湿度管理が楽になる。
【0017】
タフテッドファブリックは、タフテッドカーペットとしても使用される嵩高な繊維構造物である。
市販されているパイルの長さが10mmのタフテッドカーペットのパイル層の1平方メートル当たりの質量(パイル目付け)は概して1000g/m
2 未満であることから理解されるように、パイル層内部の空隙率は80%以上であり、パイル層は断熱性に富む。
このことは、
図1に図示するように、隣り合うパイル37・37の間のパイル隙間39や隣り合うバックステッチ27・27の間のバックステッチ隙間40、パイル37の内部で隣り合う単糸33・34の間の単糸隙間、それらの単糸33・34を構成している細手繊維と細手繊維の間の微細な繊維隙間など、大小様々な隙間がタフテッドファブリックに介在している事実によって容易に理解し得る。
そのようにパイル層内部の空隙率が高いので、タフテッドファブリックによって構成された植栽資材15では、植物の根茎は、それらの隙間を伝って植栽資材内部に伸びる。
そして、植物の根茎は、植栽資材内部で酸素に触れ易く、植栽資材内部に蓄えられた結露水を吸収して成長する。
又、パイル層内部の空隙率が80%以上のタフテッドファブリックは一種の断熱材でもあるので、水蒸気植栽ユニット31の内部を恒温状態に保ち易く、酷暑の夏季にも植物が萎れることがなく、厳寒の冬期にも水流通層13の凍結が回避される。
【0018】
単繊維繊度50dtex未満の細手繊維によって構成される総繊度200dtex以上15000dtex未満の多繊糸条をパイル糸25として基布36に植設して形成されるタフテッドファブリックは、カーペットに使用されているので容易に入手することが出来、本発明を経済的に実施することが出来る。
【0019】
図4と
図9に図示するように、根茎が成長する植栽隙間14にはパイル37が介在しているが、パイル層内には大小様々な隙間が介在しており、単繊維繊度50dtex未満の細手繊維によって構成されるパイル37は押し倒されて嵩を縮め易い。
従って、根茎が成長して太さを増せば、根茎からの根圧を受けてパイル37が押し倒される恰好になるので、根茎がパイル面26から圧迫されて、植物42の成長が妨げられるような不都合は生じない。
【0020】
パイル糸25の単繊維繊度50dtex未満であり、そのパイル糸25の総繊度200dtex以上15000dtex未満であれば、パイル糸25は、比表面積が広く水分を蓄え易い嵩高なパイル37を形成する。
特に、複数本の単糸33・34を合撚して構成されるパイル糸25では、合撚することによってパイル糸25を構成している細手繊維と細手繊維が密着し、その繊維隙間が狭くなるので、結露水が保持され易くなる。
【0021】
パイル糸25の総繊度が同じであっても、パイル糸25の単繊維繊度が細かければ、その単繊維繊度に応じてパイル糸25の比表面積が広くなる。
従って、結露水が植栽資材15に蓄積され易くするためには、パイル糸25の単繊維繊度を単繊維繊度が20dtex未満にすることが望ましい。
そのようにパイル糸25の単繊維繊度を20dtex未満にする場合、パイル内部の繊維隙間が少なくなるとしても、タフテッドファブリックにはパイル隙間39やバックステッチ隙間40、パイル内部で隣り合う単糸33・34の間の単糸隙間があるので、根茎が圧迫されて成長し難くなることはない。
特に、
図2に図示するように、タフテッドファブリックの基布36を部分的に裁断し、パイル面26からバックステッチ面27に向けて貫通した裁断隙間49を基布36に設けた植栽資材15では、その裁断隙間49を貫通して根茎が成長するので、馬鈴薯や玉葱、大蒜、人参、鬱金、生姜等の根菜類の植栽も可能となる。
【0022】
図8に図示するように、水槽35を仕切材29によって複数の区画30に区切り、その仕切材29に囲まれる水槽35の区画内部(30)のそれぞれに水蒸気植栽ユニット31を嵌め込んだ本発明の植栽装置32では、成長の遅い植物42の植栽された水蒸気植栽ユニット31を残し、商品として販売し得る所要の植物42だけを容器12と共に水槽35から取り出して出荷することが出来る。
そのように、本発明の植栽装置32を使用すると、植栽してから販売するまで、植物42を合理的に管理することが出来る。
【0023】
広大な水槽35を構築することに格別な苦労は伴わない。従って、広大な水槽35を構築し、仕切材29に区切られる多数の区画30に水蒸気植栽ユニット31を嵌め込み、大規模植物工場プラントとして本発明を実施することが出来る。
その場合、水槽35を台車に搭載し、区画30への水蒸気植栽ユニット31の嵌め込み工程や植栽資材15への植物42の植え付け工程から作物の収穫工程まで水槽35を植物工場内で移動し、植物42への日照時間や水蒸気植栽ユニット31の温度、毛管現象遮断層16の湿度、水流通層13の水位等を自動的に管理することが出来る。