特許第6061336号(P6061336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061336
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】水蒸気植栽ユニットと植栽装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20060101AFI20170106BHJP
   A01G 1/00 20060101ALI20170106BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20170106BHJP
   A01G 27/00 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   A01G9/02 E
   A01G1/00 303D
   A01G7/00 602C
   A01G27/00 502B
   A01G27/00 506
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-271860(P2012-271860)
(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-117163(P2014-117163A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】391050215
【氏名又は名称】ハニースチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081891
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】廣津 俊昭
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−022312(JP,A)
【文献】 特開昭61−088827(JP,A)
【文献】 特開昭61−181320(JP,A)
【文献】 特開平10−014391(JP,A)
【文献】 特開2006−325460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 1/00
A01G 7/00
A01G 9/02
A01G 27/00−27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲が非透湿性材料(11)に囲まれた容器(12)の下底部に貯水可能な水流通層(13)が形成されており、
単繊維繊度50dtex未満の細手繊維に囲まれて垂直方向に続く植栽隙間(14)によって植栽部位(28)が構成されている植栽資材(15)が、その植栽隙間(14)を垂直方向に向けて、その容器(12)の上縁部に挿填され、水流通層(13)の上側に保持されており、
その上縁部の植栽資材(15)と下底部の水流通層(13)の間が、水蒸気が充満可能な毛管現象遮断層(16)となっている根茎を水蒸気雰囲気に包み込む水蒸気植栽ユニット。
【請求項2】
植栽資材(15)が、単繊維繊度50dtex未満の細手繊維によって構成される総繊度200dtex以上15000dtex未満の多繊糸条をパイル糸(25)としてパイル(37)を基布(36)に植設したタフテッドファブリックによって構成されており、
細手繊維に囲まれて垂直方向に続く植栽隙間(14)が、基布の長さ方向を垂直方向に向けて向かい合わせたタフテッドファブリックの基布(36)と基布(36)の間に形成されており、
単繊維繊度50dtex未満の細手繊維によって構成されるパイル(37)が、タフテッドファブリックの基布(36)と基布(36)の間の植栽隙間(14)に介在している請求項1に記載の水蒸気植栽ユニット。
【請求項3】
タフテッドファブリックの基布(36)に、部分的に裁断されてパイル面(26)からバックステッチ面(27)に向けて貫通した裁断隙間(49)が形成されている請求項2に記載の水蒸気植栽ユニット。
【請求項4】
仕切材(29)によって複数の区画(30)に区切られる水槽(35)を具備し、
その仕切材(29)に区切られている区画(30)に水蒸気植栽ユニット(31)が嵌め込まれており、
その水蒸気植栽ユニット(31)が、非透湿性材料(11)によって形成された容器(12)に植栽資材(15)を挿填して構成され、
その容器(12)の下底部に貯水可能な水流通層(13)が形成されており、
植栽資材(15)が、単繊維繊度50dtex未満の細手繊維に囲まれて垂直方向に続く植栽隙間(14)を有し、
その植栽資材(15)が、非透湿性材料(11)によって形成された容器(12)の上縁部に挿填されて水流通層(13)の上側に保持されており、
植栽資材(15)と水流通層(13)の間が水蒸気が充満可能な毛管現象遮断層(16)となっている植栽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気によって植物の発芽、育苗、栽培を促し、水源として海水を利用することが出来る水蒸気植栽ユニットと植栽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水流通層と毛管現象遮断層と栽培土壌層の順に積層した植栽装置は公知である(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
浮力枠体に取り付けられて浮島構造体とした熱可塑性樹脂製立体網状構造体の表面層に植栽することも公知である(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−085124(特許第1766339号)
【特許文献2】特開昭61−088827(特許第1752518号)
【特許文献3】特開2001−333654(特許第3449476号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1と2に開示されている植栽装置は、水流通層の水が蒸発して栽培土壌層に吸湿保持され、栽培土壌層から植物の根に吸収される仕組みになっている。
しかし、土壌の中には人体に有害な成分も含まれている場合もある。
従って、特許文献1と2に開示されている植栽装置は、完全に人体に無害な野菜や穀物の植栽には不向きである。
そして、特許文献1と2には、海水を直接潅水の水源に利用する発想は認められない。
【0006】
特許文献3に開示されている土壌を必要としない熱可塑性樹脂製立体網状構造体を使用した植栽装置では、根の成長を妨げる障害物が水中にないことから、根が徒に伸びるものの、植物の結ぶ果実が少なく、その結ぶ果実の含水率が高く、味わいのある果実は得られず、水源として海水を利用することは出来ない。
【0007】
そこで本発明は、栽培土壌を必要とせず、収穫される果実が人体に無害であり、含水率が低く味わいのある果実を植栽することが出来、水源として海水を利用することが出来、従って、水源を確保し難い海岸や海上でも自由に植栽することが出来る水蒸気植栽ユニットと植栽装置を得ること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る水蒸気植栽ユニットは、
(1) 周囲が非透湿性材料11に囲まれた容器12の下底部に貯水可能な水流通層13が形成されており、
(2) 単繊維繊度50dtex未満の細手繊維に囲まれて垂直方向に続く植栽隙間14によって植栽部位28が構成されている植栽資材15が、その植栽隙間14を垂直方向に向けて、その容器12の上縁部に挿填され、水流通層13の上側に保持されており、
(3) その上縁部の植栽資材15と下底部の水流通層13の間が、水蒸気が充満可能な毛管現象遮断層16となっており、植物の根茎を水蒸気雰囲気に包み込むように構成されていることを第1の特徴とする。
【0009】
植栽資材15の垂直方向に続く植栽隙間14を構成している細手繊維には肥料成分を保持させることが出来る。
【0010】
本発明に係る水蒸気植栽ユニットの第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、
(1) 植栽資材15が、単繊維繊度50dtex未満の細手繊維によって構成される総繊度200dtex以上15000dtex未満の多繊糸条をパイル糸25としてパイル37を基布36に植設したタフテッドファブリックによって構成されており、
(2) 細手繊維に囲まれて垂直方向に続く植栽隙間14が、基布36の長さ方向を垂直方向に向けて向かい合わせたタフテッドファブリックの基布36と基布36の間に形成されており、
(3) 単繊維繊度50dtex未満の細手繊維によって構成されるパイル37が、タフテッドファブリックの基布36と基布36の間の植栽隙間14に介在している点にある。
【0011】
パイル糸25には、下撚を有する複数本の単糸33・34を引き揃え、その下撚の撚方向に逆向きの上撚を加え、それらの複数本の単糸33・34を合撚した合撚多繊糸条を適用することが望ましい。
【0012】
本発明に係る水蒸気植栽ユニットの第3の特徴は、上記第2の特徴に加えて、タフテッドファブリックの基布36に、部分的に裁断されてパイル面26からバックステッチ面27に向けて貫通した裁断隙間49が形成されている点にある。
【0013】
本発明に係る植栽装置は、
(1) 仕切材29によって複数の区画30に区切られる水槽35を具備し、
(2) 仕切材29に区切られている区画30に水蒸気植栽ユニット31が嵌め込まれており、
(3) その水蒸気植栽ユニット31が、非透湿性材料11によって形成された容器12に植栽資材15を挿填して構成され、
(4) その容器12の下底部に貯水可能な水流通層13が形成されており、
(5) 植栽資材15が、単繊維繊度50dtex未満の細手繊維に囲まれて垂直方向に続く植栽隙間14を有し、
(6) その植栽資材15が、非透湿性材料11によって形成された容器12の上縁部に挿填されて水流通層13の上側に保持されており、
植栽資材15と水流通層13の間が水蒸気が充満可能な毛管現象遮断層16となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水蒸気植栽ユニット31は、図4図5図6および図9に図示するように、植栽部位28である細手繊維に囲まれた植栽隙間14を垂直方向に保持した植栽資材15と毛管現象遮断層16と水流通層13が、非透湿性材料11に囲まれた容器内(12)で三層積層構造を形成し、植物の根茎を水蒸気雰囲気に包み込むように構成されている。
その水流通層13から発生する水蒸気は、毛管現象遮断層16に充満し、植栽資材15に結露水として捕捉され、植物42に吸収される。
水流通層13の水は、毛管現象遮断層16に遮断され、毛管現象による水流通層13から植栽資材15への水の移行が抑えられ、植栽資材15の含水量は過剰にならない。
このため、植栽資材15に植栽して得られる果実の含水率が抑えられ、新鮮で味わいのある果実が収穫される。
【0015】
植栽資材15には垂直方向に続く植栽隙間14が形成されており、その植栽隙間14に沿って水蒸気が上昇し易い。
その植栽隙間14は、細手繊維に囲まれて垂直方向に続いている。
そして、植栽資材15に使用するタフテッドファブリックの基布36の長さ方向を垂直方向に向ける場合、図1図3図4図5図9に図示するように、基布36に植設されているパイル37は、横向きになる。
即ち、植栽隙間14を囲んでいる細手繊維の長さ方向は、水平方向になる。
そのため、上昇する水蒸気は、植栽隙間14を囲む細手繊維に捕捉され、結露水となって植栽資材15に蓄えられる。
同時に、水蒸気を含む上昇気流は横向きに突き出ている細手繊維即ちパイル37に攪拌され、上昇気流に含まれている酸素は、結露水と共に細手繊維に捕捉されて植栽資材15に蓄えられる。
【0016】
本発明の水蒸気植栽ユニット31は、植物の根茎を水蒸気雰囲気に包み込むように構成されており、植物は、植栽資材15に蓄えられた酸素と結露水を吸収して生長する。
従って、水流通層13の水が塩分を含んだ海水であっても、植物が水流通層13の海水に含まれる塩分を吸収することがなく、水流通層13の水質によって植物の成長が損なわれることがなく、収穫される作物の品質が水流通層13の水質に左右されない。
そのように、海水を使用することが出来、水源を確保するために苦労することなく、水源を確保し難い海岸や海上での植栽に好適である。
又、植物の根茎が水流通層13に直接触れることがないように、水流通層13と植栽資材15の間が毛管現象遮断層16によって遮断されており、水流通層13の水が毛管現象によって植栽資材15へと直接移行しないので、水蒸気が毛管現象遮断層16に充満するように水流通層13を加熱する場合でも植物が枯れる危険が回避される。
従って、本発明によると、水流通層13の温度管理、および、植栽資材15と毛管現象遮断層16の湿度管理が楽になる。
【0017】
タフテッドファブリックは、タフテッドカーペットとしても使用される嵩高な繊維構造物である。
市販されているパイルの長さが10mmのタフテッドカーペットのパイル層の1平方メートル当たりの質量(パイル目付け)は概して1000g/m2 未満であることから理解されるように、パイル層内部の空隙率は80%以上であり、パイル層は断熱性に富む。
このことは、図1に図示するように、隣り合うパイル37・37の間のパイル隙間39や隣り合うバックステッチ27・27の間のバックステッチ隙間40、パイル37の内部で隣り合う単糸33・34の間の単糸隙間、それらの単糸33・34を構成している細手繊維と細手繊維の間の微細な繊維隙間など、大小様々な隙間がタフテッドファブリックに介在している事実によって容易に理解し得る。
そのようにパイル層内部の空隙率が高いので、タフテッドファブリックによって構成された植栽資材15では、植物の根茎は、それらの隙間を伝って植栽資材内部に伸びる。
そして、植物の根茎は、植栽資材内部で酸素に触れ易く、植栽資材内部に蓄えられた結露水を吸収して成長する。
又、パイル層内部の空隙率が80%以上のタフテッドファブリックは一種の断熱材でもあるので、水蒸気植栽ユニット31の内部を恒温状態に保ち易く、酷暑の夏季にも植物が萎れることがなく、厳寒の冬期にも水流通層13の凍結が回避される。
【0018】
単繊維繊度50dtex未満の細手繊維によって構成される総繊度200dtex以上15000dtex未満の多繊糸条をパイル糸25として基布36に植設して形成されるタフテッドファブリックは、カーペットに使用されているので容易に入手することが出来、本発明を経済的に実施することが出来る。
【0019】
図4図9に図示するように、根茎が成長する植栽隙間14にはパイル37が介在しているが、パイル層内には大小様々な隙間が介在しており、単繊維繊度50dtex未満の細手繊維によって構成されるパイル37は押し倒されて嵩を縮め易い。
従って、根茎が成長して太さを増せば、根茎からの根圧を受けてパイル37が押し倒される恰好になるので、根茎がパイル面26から圧迫されて、植物42の成長が妨げられるような不都合は生じない。
【0020】
パイル糸25の単繊維繊度50dtex未満であり、そのパイル糸25の総繊度200dtex以上15000dtex未満であれば、パイル糸25は、比表面積が広く水分を蓄え易い嵩高なパイル37を形成する。
特に、複数本の単糸33・34を合撚して構成されるパイル糸25では、合撚することによってパイル糸25を構成している細手繊維と細手繊維が密着し、その繊維隙間が狭くなるので、結露水が保持され易くなる。
【0021】
パイル糸25の総繊度が同じであっても、パイル糸25の単繊維繊度が細かければ、その単繊維繊度に応じてパイル糸25の比表面積が広くなる。
従って、結露水が植栽資材15に蓄積され易くするためには、パイル糸25の単繊維繊度を単繊維繊度が20dtex未満にすることが望ましい。
そのようにパイル糸25の単繊維繊度を20dtex未満にする場合、パイル内部の繊維隙間が少なくなるとしても、タフテッドファブリックにはパイル隙間39やバックステッチ隙間40、パイル内部で隣り合う単糸33・34の間の単糸隙間があるので、根茎が圧迫されて成長し難くなることはない。
特に、図2に図示するように、タフテッドファブリックの基布36を部分的に裁断し、パイル面26からバックステッチ面27に向けて貫通した裁断隙間49を基布36に設けた植栽資材15では、その裁断隙間49を貫通して根茎が成長するので、馬鈴薯や玉葱、大蒜、人参、鬱金、生姜等の根菜類の植栽も可能となる。
【0022】
図8に図示するように、水槽35を仕切材29によって複数の区画30に区切り、その仕切材29に囲まれる水槽35の区画内部(30)のそれぞれに水蒸気植栽ユニット31を嵌め込んだ本発明の植栽装置32では、成長の遅い植物42の植栽された水蒸気植栽ユニット31を残し、商品として販売し得る所要の植物42だけを容器12と共に水槽35から取り出して出荷することが出来る。
そのように、本発明の植栽装置32を使用すると、植栽してから販売するまで、植物42を合理的に管理することが出来る。
【0023】
広大な水槽35を構築することに格別な苦労は伴わない。従って、広大な水槽35を構築し、仕切材29に区切られる多数の区画30に水蒸気植栽ユニット31を嵌め込み、大規模植物工場プラントとして本発明を実施することが出来る。
その場合、水槽35を台車に搭載し、区画30への水蒸気植栽ユニット31の嵌め込み工程や植栽資材15への植物42の植え付け工程から作物の収穫工程まで水槽35を植物工場内で移動し、植物42への日照時間や水蒸気植栽ユニット31の温度、毛管現象遮断層16の湿度、水流通層13の水位等を自動的に管理することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る植栽資材の拡大斜視図である。
図2】本発明に係る植栽資材の展開斜視図である。
図3】本発明に係る植栽資材の一部切截斜視図である。
図4】本発明に係る水蒸気植栽ユニットの断面図である。
図5】本発明に係る水蒸気植栽ユニットの断面斜視図である。
図6】本発明に係る水蒸気植栽ユニットの断面図である。
図7図6に図示する水蒸気植栽ユニットの組立斜視図である。
図8】本発明に係る植栽装置の斜視図である。
図9図8に図示する植栽装置の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
水蒸気植栽ユニット31の容器12の内面17と植栽資材15の外面18の間に植栽資材15を保持する保持部20を設け、その緩衝材19を介して植栽資材15を容器12の上縁部に保持することが出来る。
その保持部20に緩衝材19を適用する場合には、根茎が成長して太さを増しても、根茎が容器12の中で圧迫されず、植物42の成長が損なわれない。
【0026】
植栽資材15と水流通層13の間には緩衝材21を装填することが出来る。
その緩衝材21は、植栽資材15を水流通層13の上側に支持する戴承層22を構成する。
植栽資材15と水流通層13の間に緩衝材21を装填すると、植栽資材15は、毛管現象遮断層16に押し込まれることがなく、空隙率が高く、植物が成長し易い嵩高な状態に維持される。
【0027】
緩衝材19・21には、立体網状に交絡する熱可塑性合成繊維に熱融着性繊維が融着していて空隙率の高い合成繊維製立体網状構造体を適用するとよい。
緩衝材19・21に合成繊維製立体網状構造体を適用すると、水蒸気植栽ユニット31の内部で空気が流通し易く、酸素が植栽資材15に補給され易くなる。
【0028】
本発明において、植栽資材15と水流通層13の間に毛管現象遮断層16を設ける理由は、水流通層13の水分が毛管現象によって植栽資材15へと直接移動しないようにし、そうすることによって植物の根茎が過剰に水分を吸収して異常に膨潤しないように、水分を摂取する植物の水分摂取量を抑えるためである。
従って、植栽資材15と水流通層13の間に、緩衝材21として合成繊維製立体網状構造体を装填するとしても、その合成繊維製立体網状構造体が水流通層13から植栽資材15への毛管現象を促すことがないように、その合成繊維製立体網状構造体(緩衝材21)の空隙率を95%以上にする。
【0029】
植栽資材15の垂直方向に続く植栽隙間14を構成している細手繊維には、肥料成分を付与することが出来る。
植栽資材15に肥料成分を付与しておくと、全く土壌を使用せずに植栽可能となる。
そのように、本発明によると、土壌を使用せずに植栽可能となるが、このことは、土壌の使用が、本発明の実施の妨げになることを意味しない。
植物の中には土壌菌を必須とする植物もあれば、植物の成長過程では土壌菌を必要とする時期もある。
その土壌菌を必須とする植物や土壌菌を必要とする時期には、土壌菌の培養に必要な土壌を植栽資材15に付与することが出来る。
水蒸気植栽ユニットの容器12において、植物は、水流通層13から発生して植栽資材15に蓄えられる水蒸気を吸収して生長する。
しかし、種蒔き時や移植時等の植栽開始時には、灌水して植栽資材15を湿潤状態に調整する。
その灌水する理由は、植栽開始時の植栽資材15は、水流通層13から発生する水蒸気を蓄えておらず、又、種蒔き時には種子が発芽するまで、移植時には苗が根を降ろすまで、多量な水蒸気を必要とするからである。
従って、植物の成長過程の多量な水蒸気を必要とする一時期に植栽資材15に灌水することがあっても、そのことは本発明の効用を損なうことにはならない。
【0030】
水蒸気植栽ユニットの容器12には、水流通層13に給排水可能な流通口23を設けるとよい。水蒸気植栽ユニット31に流通口23を設けておけば、その流通口23を開けて水蒸気植栽ユニット31を水槽35に入れて植栽することが出来る。
水蒸気植栽ユニット31を水槽35から取り出して移動する場合、流通口23に栓24を嵌めて止栓すれば、水蒸気植栽ユニット31の移動過程で植物42が萎れることがなく、移動過程で植物42の鮮度を保つことが出来る。
その流通口23は、図4図9に図示するように容器12の側面に設けるほか、図6図7に図示するように容器12の底面に設けることも出来る。
【0031】
三層積層構造を成す植栽資材15と毛管現象遮断層16と水流通層13の各層の厚みや水蒸気植栽ユニット31の容器12の大きさ(容積)は、植栽する植物に種類によって適宜に設定される。その植栽資材15と毛管現象遮断層16の厚みが薄く、或いは、容器12の容積が少なく、植物の根茎が毛管現象遮断層16を突き抜けて水流通層13に達したとしても、水流通層13の水が塩分を含んだ海水でなければ、根茎が徒に水流通層13の水を吸い上げるとしても植栽に格別に支障を来すことはない。植物の根茎が毛管現象遮断層16を突き抜けて水流通層13に達した場合には、水槽35の水位を加減するか、或いは、流通口23の栓24を開閉して水流通層13の水量を加減すれば済む。
【0032】
タフテッドファブリックを使用した植栽資材15の植栽隙間14は、図3に図示するように、ロール巻きにされたタフテッドファブリックのパイル面26とバックステッチ面27の間に形成することが出来る。その植栽隙間14は、図4図5図9に図示するように、向き合うパイル面26とパイル面26の間に形成することも出来る。
【0033】
タフテッドファブリックをロール巻きする場合において、その中心部の植栽隙間14を大きくする場合は、図6図7に図示するように、その大きい植栽隙間14に繊維集束体43を挿填して発芽するまで種子が毛管現象遮断層16に脱落することなく植栽隙間14の上で支えられるようにする。
その場合、繊維集束体43は、繊維44を植栽隙間14が続く垂直方向に揃えて集束する。そうすると、植物の根は、その繊維間(44)の隙間に沿って成長する。
【0034】
パイル糸25の総繊度を200dtex以上にする理由は、総繊度が200dtex未満のパイル(37)は押し倒され易く、植栽資材15を空隙率が80%以上の嵩高な状態に維持し難くなるためである。
パイル糸25の総繊度を15000dtex未満にする理由は、総繊度が15000dtex以上のパイル糸25は太すぎ、パイル37を基布36に植設し難くなり、パイル37を基布36に植設するためには格別なタフティングマシンが必要になるためである。
【0035】
植栽資材15に付与する肥料成分は、植栽資材15の植栽隙間14に挿填する繊維集束体43にも付与することが出来る。肥料成分は、バインダーと共に繊維に付与することが出来る。化学繊維を植栽資材15や繊維集束体43に使用する場合は、その化学繊維の紡糸時に、その化学繊維の紡糸原料のポリマーに肥料成分を練り込むことも出来る。
【0036】
タフテッドファブリックは、図5に図示するように、容器12に架け渡した数本の支桿41にパイル面26を表向きにして引っ掛けて吊るすことも出来る。その場合は、支桿41から吊り降ろされて向き合うパイル面26とパイル面26の間の支桿41の長さ方向に続く垂直な植栽隙間14に、支桿41の長さ方向に沿って複数本の植物42を挟み込むように植栽するとよい。そのように、支桿41に吊るした植栽資材15は、サラダ菜やレタスその他の野菜の植栽に好適である。
【0037】
タフテッドファブリックのパイル層内部の空隙率は80%以上であるが、植栽資材15が、水流通層13から発生する水蒸気を捕捉して蓄えて植物の根茎に供給し得るようにするためには、パイル層内部の空隙率を95%以下、即ち、パイル層内部の空隙率を80%以上95%以下にする。植栽資材内部(15)の空隙率を高めるためには、芯地の片面か表裏両面に繊維ウェブを積層してニードルパンチングを施し、芯地と繊維ウェブを一体化したニードルパンチング不織布をタフテッドファブリックの基布38に使用するとよい。植栽資材15の空隙率と保湿性を同時に高めるためには、水分が付着し易いアクリル繊維をパイル糸25に使用するとよい。
【0038】
パイル37の比表面積を広くするためには、単繊維繊度が5dtex未満の細手繊維を含む単繊維繊度が20dtex未満の細手繊維によってパイル糸25を構成するよい。
その場合、パイル37が押し潰されないようにし、タフテッドファブリックの嵩高な状態が維持されるようにする。そのためには、単繊維繊度が20dtex未満の細手繊維と単繊維繊度が20dtex以上の太手繊維をパイル糸25に混用するとよい。
【0039】
パイル糸25は、紡績糸でもマルチフィラメント糸でもよく、又、紡績糸とマルチフィラメント糸との合撚糸、紡績糸とモノフィラメント糸との合撚糸、或いは、マルチフィラメント糸とモノフィラメント糸との合撚糸でもよい。
パイル37の内部で隣り合う単糸33・34の間の単糸隙間、および、その単糸33・34を構成している細手繊維と細手繊維の間の微細な繊維隙間を増やし、パイル層内部の空隙率を90%以上にするために、熱可塑性捲縮合成繊維をパイル糸25に使用する。
【0040】
容器12の内面17と植栽資材15の外面18の間や容器内の植栽資材15と水流通層13の間に挿填する緩衝材19・21には、熱融着性繊維が交絡する繊維に融着して不織布内部に網目が形成されている不織布のほか、気泡セルが網目が形成されていて通気性に富むポリウレタン樹脂その他の弾性樹脂の発泡体を使用することも出来る。
それらの緩衝材19・21に使用する不織布や発泡体は極軽量にし、その比重は通気性を確保する上でも0.1〜0.01で概して0.03前後にするとよい。
【0041】
植栽資材15を挿填する容器12の挿填口45には、流通過程における植栽資材15を脱落を防ぎ水蒸気植栽ユニット31の商品としての外観を整えるために、蓋を被せるとよい。その蓋は、図6図7に図示するように、容器12の挿填口45の周縁を覆う縁取蓋46と、その縁取蓋46の中心部に設けた嵌合口48に嵌合する内蓋47との二重蓋にするとよい。そのように挿填口45に被せる蓋を二重蓋にすると、必要に応じて縁取蓋46を被せたまま内蓋47だけを外し、植栽資材15の周囲からの水蒸気を蒸発を防ぎつつ嵌合口48の下に現れる植栽資材15の中心部の植栽隙間14に植栽することも可能となる。植栽資材15を挿填する容器12や縁取蓋46や内蓋47を構成する非透湿性材料11は、ガラスでも金属でもプラスチックでもよい。
【0042】
タフテッドファブリックの基布36にパイル面26からバックステッチ面27に向けて貫通した裁断隙間49を形成するためには、タフテッドファブリックのパイル糸25や基布36に熱可塑性合成繊維を使用し、バックステッチ面27から基布36に電熱で刃先が加熱されるヒートカッターを部分的に当て、図2に図示するように、基布36を部分的に加熱し溶融して裁断するとよい。
【0043】
裁断口(裁断隙間49)での解れを防ぎ、植栽資材15の仕上がりを綺麗にするためには、バックステッチ36に平行にし、隣り合うバックステッチ36とバックステッチ36の間に露出している基布36にヒートカッターを当て、その隣り合うバックステッチ36とバックステッチ36の間で基布36を裁断する。
そのようにすると、バックステッチ36を裁断せずに済む。
【産業上の利用可能性】
【0044】
単繊維繊度50dtex未満の細手繊維によって構成される総繊度200dtex以上15000dtex未満の多繊糸条をパイル糸25として基布36に植設して形成されるタフテッドファブリックは、カーペットに広く使用されている。
従って、本発明は、使用後のタフテッドカーペットの廃棄処理を兼ねて実施することも出来る。本発明の植栽資材15に使用されるタフテッドファブリックには格別な美観は要求されない。従って、特に、大規模植物工場プラントにおいて、使用後のタフテッドカーペットの廃棄処理を兼ねて本発明を実施するとしても何ら不都合は生じない。
【符号の説明】
【0045】
11:非透湿性材料
12:容器
13:水流通層
14:植栽隙間
15:植栽資材
16:毛管現象遮断層
17:内面
18:外面
19:緩衝材
20:保持部
21:緩衝材
22:戴承層
23:流通口
24:栓
25:パイル糸
26:パイル面
27:バックステッチ面
29:仕切材
29:区画
31:水蒸気植栽ユニット
32:植栽装置
33:単糸
34:単糸
35:水槽
36:バックステッチ
37:パイル
38:基布
39:パイル隙間
40:バックステッチ隙間
41:支桿
42:植物
43:繊維集束体
44:繊維
45:挿填口
46:縁取蓋
47:内蓋
48:嵌合口
49:裁断隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9