(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6061358
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】ペン立て
(51)【国際特許分類】
B43K 23/04 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
B43K23/04 F
B43K23/04 R
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-222035(P2015-222035)
(22)【出願日】2015年11月12日
【審査請求日】2015年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】504474323
【氏名又は名称】宇野 公二
(72)【発明者】
【氏名】宇野 公二
【審査官】
藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】
実開平3−118019(JP,U)
【文献】
実公昭37−5747(JP,Y1)
【文献】
実開昭54−143779(JP,U)
【文献】
実開昭57−138691(JP,U)
【文献】
特開2000−325131(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3150101(JP,U)
【文献】
特開2001−286320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 23/04
B43M 99/00
B65D 85/28
A45C 1/00−15/08
A45F 3/00− 3/04
A45F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に内部への挿入口をそれぞれ備える第1、第2及び第3筒状体と、
前記第2及び前記第3筒状体を連動させる連結部と、
前記第1筒状体の一端部から中間部のいずれかにおいて前記第2筒状体の一端部から中間部のいずれかを揺動自在に支持する支持部と、
を具備し、
前記第1筒状体の両隣に沿うようにそれぞれ前記第2及び前記第3筒状体が配置された折畳状態と、
前記折畳状態から前記支持部中心に前記第1筒状体の他端部に対して前記第2及び前記第3筒状体の他端部が離れる方向に揺動させた脚広げ状態と、
を有し、
前記脚広げ状態で前記第1、前記第2及び前記第3筒状体を水平面に立てた状態でそれぞれの挿入口から筆記具の一部又は全部を収納可能である、ペン立て。
【請求項2】
前記連結部は前記支持部から離れた位置に配置される、
請求項1に記載のペン立て。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペン立てに関する。
【背景技術】
【0002】
ペン立てにおいては、特許文献1の実施例のように、水平面に立てたペン立てのペン挿入口から水平面接地部に向けて広がるテーパー形状でペン立ての安定性を高めるアイデアが知られている。
【0003】
また、ペン立てにおいては、特許文献2の実施例のように、一端部にペン挿入口、他端部に回転支持部を備える2本の筒状体が回転支持部中心に互いに回転自在であるアイデアが知られている。
【0004】
また、ペン立てにおいては、特許文献3の実施例のように、一端部にペンや小物を入れる引き出しの挿入口、他端部に回転支持部を備える複数の筒状体が回転支持部中心に互いに回転自在であり、複数の筒状体を揺動させてペン立て全体として回転中心軸方向に見てL字状にすることでペンを水平面に立てるアイデアが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−001062号公報
【特許文献2】実開昭63−030187号公報
【特許文献3】実開昭62−114789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ペン立てにおいては、使用しないときは本棚などの空きスペースに収納可能な薄型で、使用するときはペンの出し入れによって倒れにくい安定感が求められる。しかし、特許文献1のような実施例では接地部が分厚くなり収納性が悪くなる。また、特許文献2及び3の実施例では複数の筒状体を互いに揺動させる際に揺動の最外周にある挿入口が最大距離移動することとなり、ペンや引き出しが飛び出さないようゆっくり揺動させたり、ペンや引き出しと挿入口の間に摩擦力を有する構造とするような配慮が必要になり、気軽にペンの出し入れが出来なくなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態図等を用いて以下に説明するが、これは本発明の内容をより把握しやすいようにする為で、添付の特許請求の範囲を縮小するものではない。
【0008】
発明1に係るペン立ては、例えば
図1及び2の組み、
図3から5の組み、
図6、
図7から9の組み、のいずれかのように、
一端部1から3に内部への挿入口4から6をそれぞれ備える筒状体7から9と、
筒状体8及び9を連動させる連結部10と、
筒状体7の一端部1から中間部11のいずれかにおいて筒状体8の一端部2から中間部12のいずれかを揺動自在に支持する支持部14と、
を具備し、
筒状体7の両隣に沿うようにそれぞれ筒状体8及び9が配置された例えば
図1、3又は7のような折畳状態と、
折畳状態から支持部14中心に筒状体7の他端部16に対して筒状体8及び9の他端部17及び18が離れる方向に揺動させた例えば
図2、4、5、6、8又は9のような脚広げ状態と、
を有し、
脚広げ状態で筒状体7から9を水平面19に立てた状態でそれぞれの挿入口4から6から筆記具23の一部又は全部を収納可能である、ペン立てである。
【0009】
発明2に係るペン立ては、発明1のペン立てにおいて、
連結部10は支持部14から離れた位置に配置される、
ペン立てである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明では、折畳状態では筒状体7から9が整列することで本棚などの空きスペースに収納可能な薄型となり、使用するときは適度な揺動角度による脚広げ状態で水平面19に対して広い接地部が得られ、折畳状態から脚広げ状態に移る際に支持部14が挿入口4及び5に比較的近いことから挿入口4及び5の移動距離が抑えられ、脚広げ状態では複数の筆記具23の後端部27が適度に離れることから指先で摘み易くなる、というような設計が容易となる。すなわち筆記具23の出し入れの際に安定感があり気軽に筆記具23の出し入れが可能で、且つペン立ての状態移行を簡便に素早く行うことが出来る、というようなペン立ての設計が容易となる。
【0011】
また発明2では、本発明の効果に加えて、連結部10による筒状体7への干渉が比較的少なく、筆記具23を収納する筒状体7内部が広くスムーズで金型による成形性も高いような設計が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態の折畳状態を第三角法で表した図
【
図2】第1実施形態の脚広げ状態を第三角法で表した図
【
図3】第2実施形態の折畳状態を第三角法で表した図
【
図4】第2実施形態の脚広げ状態を第三角法で表した図
【
図5】第2実施形態の脚広げ状態に筆記具23を挿入した斜視図
【
図6】第3実施形態の脚広げ状態に筆記具23を挿入した斜視図
【
図7】第4実施形態の折畳状態を第三角法で表した図
【
図8】第4実施形態の脚広げ状態を第三角法で表した図
【
図9】第4実施形態の脚広げ状態に筆記具23を挿入した斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1実施形態を
図1及び2に基づいて説明する。
【0014】
図1の折畳状態では筒状体7の両隣に筒状体8及び9が沿うように並んでおり、一端部1から3が開口端の挿入口4から6で、他端部16から18が閉口端で他端部17及び18の間に連結部10が架設されるように一体成形されている。また水平面19に対する接地部は他端部17、18及び連結部10が構成しており、他端部16は水平面から浮いた状態であり、折畳状態でペン立てとして水平面19に自立している。
折畳状態から
図2の脚広げ状態に移る際は、
図2右図のように筒状体7に対して筒状体8及び9を40度程中心線20中心に揺動させる。また中心線20を中心とする支持部14及び15はそれぞれ筒状体7及び8の間及び筒状体7及び9の間にあり回転軸機構を備えており、筒状体7は筒状体8及び9に挟まれるようにして中心線20軸方向に移動が規制されるスナップフィット構造となっている。また40度程で揺動を規制する為に筒状体7及び8の間及び筒状体7及び9の間にはそれぞれピンと案内溝による揺動規制機構21及び22が設けられているが、例えば90度程の範囲で揺動を規制して10度毎にクリック感を与えて任意の角度で静止できるような機構でもよいだろう。また支持部15及び揺動規制機構22が無くてもペン立ての揺動構造は完成するし、より揺動の安定感を求めたい場合は支持部14の軸ピンの先端を潰して中心線20軸方向への規制を支持部14で完結させればよいだろう。
また支持部14及び15はいずれも一端部1及び2の間及び一端部1及び3の間に配置されており、程度な揺動角度で水平面19に対して広い接地部を確保でき、且つ挿入口4、5及び6の揺動時の移動距離が少なく、脚広げ状態でそれぞれがあまり離れないという理想的な折畳式ペン立てとなるが、例えば中間部11及び12の間及び中間部11及び13の間に配置しても一定の効果は得られるだろう。
また連結部10は支持部14及び15から最大限離れた位置に配置されているので、筒状体7は略寸胴であり内部は広くスムーズである。
また使い方の例としては、脚広げ状態のペン立てを
図2のように筒状体7から9が水平面19に立った状態で設置し、字を書く為のペンや顔に化粧する為のペン等の筆記具23をペン立ての挿入口4、5及び6から出し入れし、使い終わったら筆記具23を入れたまま他端部16の逃げ形状24が連結部10に当たるまで折り畳んでペン立てを平板状にし、本棚の本と一緒に並べて保管、というのが考えられる。
【0015】
本発明の第2実施形態は第1実施形態と共通する部分が多いので、主に違いについて
図3から5に基づいて説明する。
【0016】
図3の折畳状態では水平面19に対する接地部は他端部16から18及び連結部10が構成しており、他端部16は水平面から浮いていない状態である。
折畳状態から
図4及び5の脚広げ状態に移る際は、
図4右図のように筒状体7に対して筒状体8及び9を40度程中心線20中心に揺動させてやると、予め先端が斜めに成形された他端部16から18及び連結部10が水平面19にピタリと合い、第1実施形態よりも広い接地部を得ている。
また連結部10は支持部14及び15から離れた位置に配置されており、他端部16には連結部10を避けるように大きめの逃げ形状24が設けられているが筒状体7の閉口端側なので内部は比較的広くスムーズで抜き勾配を考慮すると金型による成形性は良好である。
【0017】
本発明の第3実施形態は第2実施形態と共通する部分が多いので、主に違いについて
図6に基づいて説明する。
【0018】
第2実施形態の挿入口4の長方形の縁の長辺の一方から広がるように一体成形の板状部25が設けられており、また挿入口5及び6それぞれの長方形の縁の長辺の一方及び短辺の一方の半分から広がり架設されるように板状部26が設けられており、
図6の脚広げ状態では挿入口4から6に筆記具23を出し入れ可能だが、折畳状態にすると板状部25及び26は二枚貝が閉じるように合わさるので本と本の間にペン立てを挿入する際の筆記具23による悪影響を排除でき、ペン立ての持ち運び時に筆記具23が不意に出てしまうことを防止できる。
【0019】
本発明の第4実施形態は第2実施形態と共通する部分が多いので、主に違いについて
図7から9に基づいて説明する。
【0020】
第2実施形態の筒状体7を取り去って、
図7のように筒状体8、9及び連結部10から成る部材と同一形状の筒状体35、7及び連結部36から成る部材を、順に筒状体8、7、9、35となるように一列に並べ、各筒状体の間隔を詰め、逃げ形状24及び38を設け、支持部15の代わりに支持部30を筒状体9及び35の間に設けたものである。
同一形状の2個の部品でペン立てを構成可能であり、製造コスト削減に有利である。
また水平面19への接地部は筒状体35の他端部34及び連結部36も追加されるので、より安定感のあるペン立てとなるだろう。
【0021】
本発明の第1から第4実施形態において、連結部10や36が水平面19に接触しない構造であっても、ペン立ての安定性に悪影響は無いだろう。
【0022】
本発明の第1から第4実施形態において、筒状体7、8、9及び35の内部に仕切り板を設けてもよいだろう。
【符号の説明】
【0023】
1,2,3,32. 一端部
4,5,6,37. 挿入口
7,8,9,35. 筒状体
10,36. 連結部
11,12,13,33. 中間部
14,15,30. 支持部
16,17,18,34. 他端部
19. 水平面
20. 中心線
21,22,31. 揺動規制機構
23. 筆記具
24,38. 逃げ形状
25,26. 板状部
27. 後端部
【要約】
【課題】 使用しないときは本棚などの空きスペースに収納可能な薄型で、使用するときはペンの出し入れによって倒れにくい安定感が求められる。しかし、接地部が分厚ければ収納性が悪くなる。また、折畳式にした際に折り畳み動作で筆記具挿入口が動き過ぎれば筆記具が不意に飛び出し易くなり、筆記具が飛び出さないようゆっくり揺動させたり、筆記具と挿入口の間に摩擦力を有する構造とするような配慮が必要になり、気軽に筆記具の出し入れが出来なくなる。
【解決手段】 複数の筒状体(7)(8)(9)の挿入口(4)(5)(6)や揺動の支持部(14)や連結部(10)などを最適な位置関係で配置する。
【選択図】
図1