(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
映像光を投写する投写型表示装置には、超高圧水銀ランプのような発光管を有する光源装置を備えたものがある。発光管は、細長い形状とされ、放電によって発光する一対の電極を収容する、中央部に設けられたバルブと、当該一対の電極の各電極に両端から電力を供給するための導電部材を封止する封止部と、を有する。発光管の封止部はガラスにより形成することができる。封止部には、導電部材とガラスとの接触部分や、導電部材と電極とを接続する溶接部等が形成されている。
【0003】
放電によりバルブ内に形成された電弧(アーク)は重力と逆方向に凸状の弧を描き、バルブ内の高温気体は浮力により上昇する。そのため、バルブの、鉛直上方となる部分の温度はバルブの、鉛直下方となる部分の温度より高くなる。したがって、バルブが適切な発光状態を維持するためには、バルブの、鉛直上方となる部分の温度を所定の値以下に抑制しつつ、バルブ全体の温度差を小さくすることが必要である。バルブの温度が適切な範囲内に維持されていないと、バルブの白濁や黒化により発光管の寿命が低下したり、明滅(フリッカ)などの発光異常が生じたりすることがある。
【0004】
投写型表示装置は、通常、床のような台に置かれる(以下、「床置き設置」という)。しかし、投射型表示装置は、光源装置が床置き設置の場合とは重力方向に対して逆向きに保持されるように、天井に吊るされることもある(以下、「天吊り設置」という)。床置き設置時におけるバルブの、鉛直方向上方となる部分は、天吊り設置時では、バルブの鉛直方向下方に位置する。一方、床置き設置時におけるバルブの、鉛直方向下方となる部分は、天吊り設置時では、バルブの鉛直方向上方に位置する。つまり、温度が高くなるバルブの鉛直上方となる部分は、床置き設置時と天吊り設置時で異なる。そのため、バルブの発熱しやすい部分が変わる。
【0005】
特許文献1は、バルブの上半分を冷却する送風と、バルブの下半分を冷却する送風とを、別々の導風経路を通してバルブに送り込む構成を有する画像供給装置を開示している。特許文献1に記載の画像供給装置では、バルブの上半分とバルブの下半分に均等に冷却風を向かわせる。そのため、床置き設置姿勢及び天吊り設置姿勢のどちらの場合も、発熱しやすいバルブの鉛直上方となる部分の温度が高くなる。例えば、300Wクラスの光源装置で、バルブの上半分と下半分との温度差が100℃〜150℃となり、バルブの白濁や黒化により発光管の寿命が低下したり、明滅(フリッカ)などの発光異常が生じたりする原因となっていた。
【0006】
近年では、投写画像を縦長にするために、投写型表示装置が、床やテーブル等の設置面から90度の角度を以て置かれる場合がある(以下、「横向き設置」という)。この場合、光源装置における光の出射方向と、投写型表示装置からの画像の投写方向とが90°の角度をなすように、投写型表示装置の光学部品が配置される。
【0007】
特許文献2には、それぞれ異なるプロジェクタの3つの姿勢における発光管の冷却方法が示されている。特許文献2に開示される冷却方法では、発光管に対して冷却風が流れる流路が3分割され、これらの流路のうち、天吊り設置、もしくは、床置き設置の場合には、鉛直方向上側の2つの流路を選択し、横向き設置の場合には、3つの流路を選択する風向切替部によって、流路が選択されて冷却風が供給される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態における光源装置を備えた投写型表示装置の外観斜視図である。
【
図2】投写型表示装置の光学処理を行う光学部品及び光学部品周辺の主要部品を示す斜視図である。
【
図3A】投写型表示装置が床置き設置された状態を示す模式図である。
【
図3B】投写型表示装置が天吊り設置された状態を示す模式図である。
【
図3C】投写型表示装置が横向き設置された状態を示す模式図である。
【
図5】床置き設置状態におけるランプホルダ付近をランプユニットとは反対側からみた斜視図である。
【
図6】床置き設置状態におけるランプホルダ付近をランプユニット側から見た斜視図である。
【
図8A】床置き設置時のダクト内の冷却風の流れを示す模式図である。
【
図8B】床置き設置時のダクトからの冷却風の流れを示す、
図8AのAA断面の模式図である。
【
図8C】床置き設置時の第1のバルブ用吹き出し口からの冷却風の流れを示す、
図8AのBB断面の模式図である。
【
図8D】床置き設置時の第2の封止部用吹き出し口からの冷却風の流れを示す、
図8AのCC断面の模式図である。
【
図9A】天吊り設置時のダクト内の冷却風の流れを示す模式図である。
【
図9B】天吊り設置時のダクトからの冷却風の流れを示す、
図9AのDD断面の模式図である。
【
図9C】天吊り設置時の第3のバルブ用吹き出し口からの冷却風の流れを示す、
図9AのEE断面の模式図である。
【
図9D】天吊り設置時の第1の封止部用吹き出し口からの冷却風の流れを示す、
図9AのFF断面の模式図である。
【
図10A】横向き設置時のダクト内の冷却風の流れを示す模式図である。
【
図10B】横向き設置時のダクトからの冷却風の流れを示す、
図10AのGG断面の模式図である。
【
図10C】横向き設置時の第2のバルブ用吹き出し口からの冷却風の流れを示す、
図10AのHH断面の模式図である。
【
図10D】横向き設置時の第1および第2の封止部用吹き出し口からの冷却風の流れを示す、
図10AのII断面の模式図である。
【
図11】ダクトの内部構造を示す、ダクトの概略斜視図である。
【
図12A】床置き設置状態における、ダクトの断面の模式図である。
【
図12B】天吊り設置状態における、ダクトの断面の模式図である。
【
図12C】横向き設置状態における、ダクトの断面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態おける光源装置を備えた投写型表示装置の外観斜視図である。投写型表示装置15は、各部品を収容する筐体12と、画像を形成する光をスクリーン等に投写する投写レンズ14と、を備えている。なお、床置き設置状態時に、投写型表示装置が被設置面に設置されたときに、被設置面と対向する筐体の面を設置面13とする。
【0017】
図2は、投写型表示装置15の光学処理を行う光学部品及び光学部品周辺の主要部品を示している。これらの部品は、筐体12内に収容されている。投写型表示装置15は、光源装置20及び光学エンジン16を備えている。
【0018】
光源装置20のランプユニット(不図示、
図4参照)から出射した光は、光学エンジン16の内部の光学部品によって光学処理された後に、投写レンズ14を通ってスクリーン等に投写される。本実施形態では、光源装置20から出射した光は、光学エンジン16で90度曲げられる。つまり、光源装置20における光の出射方向と、投写型表示装置からの画像の投写方向(投影光の方向)とが90°の角度をなすようなっている。また、ランプユニットは、送風装置18で発生し、通路19と、ダクト(不図示、
図5参照)またはリフレクタ裏側冷却風流路31を介して流れてくる風によって冷却される。
【0019】
図3A〜
図3Cは、投写型表示装置15の設置姿勢の例を示している。
【0020】
図3Aは、投写型表示装置15が床置き設置された状態を示している。本例では、床置き設置姿勢において、投写レンズ14は概ね水平面に沿った方向に横長の光Lを投写する。
【0021】
図3Bは、投写型表示装置が天吊り設置された状態を示している。本例では、天吊り設置姿勢において、投写レンズ14は概ね水平面に沿った方向に横長の光Lを投写する。
【0022】
図3Cは、投写型表示装置が横向き設置された状態を示している。本例では、投射型表示装置15は、投写レンズ14が概ね水平面に沿った縦長の光Lを投写するように向けられている。この場合、発光管48(
図4参照)は、鉛直上方を向いている。
【0023】
図4は、ランプユニット40の詳細図である。本実施例のランプは超高圧水銀ランプであり、リフレクタベース52を介してリフレクタ50に保持される発光管48は、放電により光を発する一対の電極と、一対の電極を収容し、放電により発光する略球状のバルブ44と、バルブ44から互いに反対方向に延び、バルブ44内の一対の電極に電力を供給する導電部材を収容する封止部45,46と、から構成されている。この導電部材は、例えば箔状の金属から形成される。封止部45,46は、この導電部材を気密に封止している。封止部45,46は、ガラスにより形成することができる。リフレクタベース52による発光管48の保持は無機材料を主成分とした接着剤により固着されている。一方の封止部45は、バルブ44から、リフレクタ50によって形成された空間の開放された一面に向かう方へ延びていて良い。他方の封止部46は、バルブ44から、リフレクタ50の底部を貫通してリフレクタ50の後方へ延びていて良い。また、バルブ44と一方の封止部45は、リフレクタ50に囲まれて配置されているため、他方の封止部46に比べて一方の封止部45は高温になりやすく、一方の封止部45は、他方の封止部46に比べると冷却をする必要がある。
【0024】
リフレクタ50は、凹面形状の反射面を有しており、発光管48を収容する空間を形成している。当該空間は一面で開放されている。発光管48からの光は、直接またはリフレクタ50で反射されて、当該空間の開放された一面から当該空間の外部に出射し、光学エンジン16へ入射する。バルブ44は、リフレクタ50の底部近傍に配置されていることが好ましい。
【0025】
バルブ44の放電による発光基点は重力の方向とは反対側に凸状の弧を描くことと、バルブ44内の高温気体が重力に対して上側(鉛直上方)に移動することにより、バルブ44の温度は鉛直下方よりも鉛直上方の方が高くなる。バルブ温度が所定温度範囲より高くなると白濁を生じるため寿命が短くなる。逆に所定温度範囲より低くなると、輝度低下やフリッカが生じたり、黒化を原因として寿命が短縮したりする。また、ガラス管と導電部材の気密封止部の温度が適温よりも高くなると、導電部材の酸化が促進し、破裂や不点灯が発生する。
【0026】
また、導電部材を封止する一方の封止部45の温度は、バルブ44からの光の照射により高くなる。封止部45の温度が所定の値よりも高くなると、導電部材の酸化が促進され、発光管48が破裂したりバルブ44が点灯しなかったりすることがある。したがって、バルブ44全体の温度を所定の範囲内に維持するとともに、封止部45の温度を所定の値以下に維持することが望まれる。
【0027】
図5は、床置き設置状態におけるランプホルダ42付近をランプユニット42とは反対側からみた斜視図である。
図6は、床置き設置状態におけるランプホルダ42付近をランプユニット40側から見た斜視図である。
図7は、ダクト30の概略斜視図である。なお、
図6では、ランプユニット40を省略している。
【0028】
ランプユニット40を保持するランプホルダ42に隣接して、バルブ44と封止部45を冷却する冷却風が通過するためのダクト30が設けられている。ダクト30には、流入口1と、流入口1と第1のバルブ用吹き出し口2とに連通する第1の流路5と、流入口1と第2のバルブ用吹き出し口3とに連通する第2の流路6と、流入口1と第3のバルブ用吹き出し口4とに連通する第3の流路7と、開口である第1の封止部用吹き出し口8および第2の封止部用吹き出し口9と、塞ぎ部材として、第1封止板10および第2封止板11と、が設けられている。
【0029】
送風装置18からの冷却風が流入口1からダクト30内に流入する。床置き設置状態において、第1の流路5が最も上部(設置面13から遠い側)に配置され、第1の流路から下方に向かって第2の流路6と第3の流路7とが順に配置されている。なお、第1〜第3のバルブ用吹き出し口2、3、4は互いに等間隔に配置されている。
【0030】
第1のバルブ用吹き出し口2からの冷却風は、バルブ44の、設置面13から遠い部分(第1の部分)を冷却し、第2のバルブ用吹き出し口3からの冷却風は、バルブ44の、封止部45に近い部分(第2の部分)を冷却し、第3のバルブ用吹き出し口4からの冷却風は、バルブ44の、設置面13に近い部分(第3の部分)を冷却する。
【0031】
なお、第1〜第3のバルブ用吹き出し口2〜4は、ダクト30の側面に設けられている。そのため、第1〜第3の流路5〜7は、各流路5〜7の入口と、出口である第1〜第3のバルブ用吹き出し口2〜4とでは向きが異なる。したがって、各流路5〜7は湾曲している。第2の流路6を通過する冷却風は、バルブ44の、封止部45に近い部分(第2の部分)を冷却する必要があるため、第2の流路6の曲率は、第1の流路5および第3の流路7の曲率に比べて大きい。第1の流路5および第3の流路7の曲率は同じである。
【0032】
冷却風の流れる方向において、第1のバルブ用吹き出し口2の上流に第1の封止部用吹き出し口8が設けられ、第3のバルブ用吹き出し口4の上流に第2の封止部用吹き出し口9が設けられている。第1の封止部用吹き出し口8および第2の封止部用吹き出し口9からの冷却風で、封止部45が冷却される。
【0033】
なお、第1の封止部用吹き出し口8および第2の封止部用吹き出し口9は、第1〜第3のバルブ用吹き出し口2、3、4より小さくなっている。
【0034】
封止板10、11は、直線状に延びた平板部23と、平板部23につながり、平板部23に対して角度を有する屈折部24と、を有している(
図7参照)。
【0035】
ダクト30は、第1の流路5と第2の流路6の間でありかつ冷却風の流れの向きで第1の封止部用吹き出し口8よりも上流に位置する第1の回動軸21と、第2の流路6と第3の流路7の間でありかつ冷却風の流れの向きで第2の封止部用吹き出し口9よりも上流に位置する第2の回動軸22と、を有する。
【0036】
第1の封止板10は、冷却風の流れの向きで第1の回動軸21よりも下流側に屈折部24が位置し、屈折部24の先端が設置面13とは反対の方向を向くように、平板部23の、屈折部24とは反対の端部が第1の回動軸21に回動可能の支持されている。
【0037】
第2の封止板11は、冷却風の流れの向きで第2の回動軸22よりも下流側に屈折部24が位置し、屈折部24の先端が設置面13の方向を向くように、平板部23の、屈折部24とは反対の端部が第2の回動軸22に支持されている。
【0038】
このような構成により、第1の封止板10と第2の封止板11は自重により回転が可能である。
【0039】
送風装置18からダクト30に供給される冷却風は、流入口1に流入し、各吹き出し口2〜4、8、9のいずれかを通過し、主にバルブ44と封止部45を冷却した後、冷却風出口32から光源装置外部に排気される。
【0040】
ダクト30に隣接して、冷却風をリフレクタ50の裏側に導くリフレクタ裏側冷却風流路31が備えられている。
【0041】
次に、投写型表示装置15が床置き設置、天吊り設置、横向き設置の各状態における冷却風の流れを説明する。
【0042】
まず、床置き設置時について、
図8A〜
図8Dを用いて説明する。
図8Aは床置き設置時のダクト内の冷却風の流れを示す模式図である。
図8Bは、床置き設置時のダクトからの冷却風の流れを示す、
図8Aの断面の模式図である。
図8Cは、床置き設置時の第1のバルブ用吹き出し口からの冷却風の流れを示す、
図8AのBB断面の模式図である。
図8Dは、床置き設置時の第2の封止部用吹き出し口からの冷却風の流れを示す、
図8AのCC断面の模式図である。なお、図中の矢印は、冷却風(気体)の流れを示している。
【0043】
床置き設置においては、自重により回転した第1の封止板10と第2の封止板11とによって、第2の流路6の入口と第3の流路の入口がそれぞれ塞がれる。送風装置18からの冷却風は、ダクト30の流入口1に流入する。ダクト30に流入した冷却風は、第1の流路5のみを通過し、第1のバルブ用吹き出し口2から噴出し、主にバルブ44の第1の部分を冷却する。
【0044】
流入口1と第1の流路5の間に第1の封止部用吹き出し口8が存在するが、冷却風の慣性により冷却風の大部分は第1の封止部用吹き出し8を通過し、冷却風は第1のバルブ用吹き出し口2から噴出する。
【0045】
また、流入口1から流入した冷却風は、第1および第2の封止板10、11によって遮断され、第2および第3の流路6、7には流入しない。そして、第2の封止板11に遮断された冷却風は、流れの向きを変えられ、第2の封止部用吹き出し口9から噴出し、主に封止部45を冷却する。
【0046】
床置き設置状態においては、バルブ44の鉛直上方に位置する第1の部分に向かって冷却風を噴出できる第1のバルブ用吹き出し口2から冷却風を噴出でき、封止部45に向かって冷却風を噴出できる第2の封止部用吹き出し口9からも冷却風を噴出することができる。
【0047】
次に、天吊り設置時について、
図9A〜
図9Dを用いて説明する。
図9Aは天吊り設置時のダクト内の冷却風の流れを示す模式図である。
図9Bは、天吊り設置時のダクトからの冷却風の流れを示す、
図9AのDD断面の模式図である。
図9Cは、天吊り設置時の第3のバルブ用吹き出し口からの冷却風の流れを示す、
図9AのEE断面の模式図である。
図9Dは、天吊り設置時の第1の封止部用吹き出し口からの冷却風の流れを示す、
図9AのFF断面の模式図である。なお、図中の矢印は、冷却風(気体)の流れを示している。
【0048】
天吊り設置においては、自重により回転した第1の封止板10と第2の封止板11とによって、第1の流路5の入口と第2の流路6の入口がそれぞれ塞がれる。送風装置18からの冷却風は、ダクト30の流入口1に流入する。ダクト30に流入した冷却風は、第3の流路7のみを通過し、第3のバルブ用吹き出し口4から噴出し、主にバルブ44の第3の部分を冷却する。
【0049】
流入口1と第3の流路7の間に第2の封止部用吹き出し口9が存在するが、冷却風の慣性により冷却風の大部分は第2の封止部用吹き出し9を通過し、冷却風は第3のバルブ用吹き出し口4から噴出する。
【0050】
また、流入口1から流入した冷却風は、第1および第2の封止板10、11によって遮断され、第1および第2の流路5、6には流入しない。そして、第1の封止板10に遮断された冷却風は、流れの向きを変えられ、第1の封止部用吹き出し口8から噴出し、主に封止部45を冷却する。
【0051】
天吊り設置状態においては、バルブ44の鉛直上方に位置する第3の部分に向かって冷却風を噴出できる第3のバルブ用吹き出し口4から冷却風を噴出でき、封止部45に向かって冷却風を噴出できる第1の封止部用吹き出し口8からも冷却風を噴出することができる。
【0052】
次に、横向き設置時について、
図10A〜
図10Dを用いて説明する。
図10Aは天吊り設置時のダクト内の冷却風の流れを示す模式図である。
図10Bは、天吊り設置時のダクトからの冷却風の流れを示す、
図10AのGG断面の模式図である。
図10Cは、天吊り設置時の第3のバルブ用吹き出し口からの冷却風の流れを示す、
図10AのHH断面の模式図である。
図10Dは、天吊り設置時の第1の封止部用吹き出し口からの冷却風の流れを示す、
図10AのII断面の模式図である。なお、図中の矢印は、冷却風(気体)の流れを示している。
【0053】
横置き設置においては、自重により回転した第1の封止板10と第2の封止板11とによって、第1の流路5の入口と第3の流路7の入口がそれぞれ塞がれる。送風装置18からの冷却風は、ダクト30の流入口1に流入する。ダクト30に流入した冷却風は、第2の流路6のみを通過し、第2のバルブ用吹き出し口3から噴出し、主にバルブ44の第2の部分を冷却する。
【0054】
また、流入口1から流入した冷却風は、第1および第2の封止板10、11によって遮断され、第1および第3の流路5、7には流入しない。そして、第1の封止板10に遮断された冷却風は、流れの向きを変えられ、第1の封止部用吹き出し口8から噴出し、主に封止部45を冷却する。さらに、第2の封止板11に遮断された冷却風は、流れの向きを変えられ、第2の封止部用吹き出し口9から噴出し、主に封止部45を冷却する。
【0055】
横向き設置状態においては、バルブ44の、鉛直上方に位置する第2の部分に向かって冷却風を噴出できる第2のバルブ用吹き出し口3から冷却風を噴出できる。
【0056】
また、横向き設置状態では、封止部45の先端が鉛直上方を向いているため、床置き設置状態や天吊り設置状態に比べて封止部45が高温になる。しかしながら、横置き設置状態において、床置き設置状態と天吊り設置状態と異なり、第1の封止部用吹き出し口8と第2の封止部用吹き出し口9の2か所から冷却風を封止部45に噴出することができる。そのため、封止部45の温度上昇を抑制することができる。
【0057】
以上で説明したように、本発明では、発光管が水平方向と平行な姿勢のみならず、鉛直方向と平行になる姿勢を含んだ、各設置状態において、バルブ44の、鉛直上方となる部分を冷却することができる。さらに、各設置状態において封止部45を冷却することができるが、横向き設置状態においては、特に高温になりやすい封止部45を効果的に冷却することができる。
【0058】
次に、ダクト30の他の実施形態を説明する。
図11は、ダクト60の内部構造を示す、ダクトの概略斜視図である。
図11では、内部構造をわかりやすくするために、ダクト60の壁面の一部を省略している。なお、上述の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0059】
冷却風の流れる向きにおいて、ダクト60の、各流路5〜7と第1、第2の封止部用吹き出し口8、9の間であり、ダクト60の側面にそれぞれガイド63が設けられている。
【0060】
このガイド63同士の間に、塞ぎ部材として、第1の球61(設置面13より遠い側)と第2の球62(設置面13に近い側)とが挟まれ、ガイド63に案内される。このガイド63は、冷却風の流れの向きにおいて、第2の流路6の高さの位置で最も上流側(流入口1側)に突出するV字形状をしている。
【0061】
投写型表示装置15の各姿勢における、ダクト60内の様子を、
図12A〜
図12Cを用いて説明する。
図12Aは、床置き設置状態における、ダクト60の断面の模式図、
図12Bは、天吊り設置状態における、ダクト60の断面の模式図、
図12Cは、横向き設置状態における、ダクト60の断面の模式図である。
【0062】
床置き設置状態では、第1の球61と第2の球62とは、自重により、設置面13に近づいて重なる。そして、上述の実施形態と同様に、第1の球61で第2の流路6の入口を塞ぎ、第2の球62で第3の流路7の入口が塞がれる。その結果、第1のバルブ用吹き出し口2と、第2の封止部用吹き出し口9とから冷却風が噴出する。
【0063】
天吊り設置状態では、第1の球61と第2の球62とは、自重により、設置面13とは遠い側に近づいて重なる。そして、上述の実施形態と同様に、第1の球61で第1の流路6の入口を塞ぎ、第2の球62で第2の流路6の入口が塞がれる。その結果、第3のバルブ用吹き出し口4と、第1の封止部用吹き出し口8とから冷却風が噴出する。
【0064】
横向き設置状態では、第1の球61と第2の球62とは、自重により、設置面13に近い側と遠い側とに移動する。そして、上述の実施形態と同様に、第1の球61で第1の流路6の入口を塞ぎ、第2の球62で第3の流路7の入口が塞がれる。その結果、第2のバルブ用吹き出し口3と、第1および第2の封止部用吹き出し口8、9とから冷却風が噴出する。
【0065】
したがって、本実施形態においても、投写型表示装置15の各姿勢においても上述の実施形態と同様に、バルブ44および封止部45を適切に冷却することができる。
【0066】
以上、本発明の望ましい実施形態について提示し、詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない限り、さまざまな変更及び修正が可能であることを理解されたい。