【実施例】
【0033】
図1に、少なくとも1個のメモリセルCMを含む、高エネルギー粒子の衝突に耐え得るメモリ素子を示す。
【0034】
当該素子はまた、メモリセルCMに保存された値を所定の期間保持する保持モジュールMRETを含む。
【0035】
当該システムはまた、保持モジュールMRETに保存された値との比較により、メモリセルCMの状態の変化を検知する検知モジュールMDETと、メモリセルCMの検知された状態変化が、高エネルギー粒子に起因するか否かを判定し、起因する場合は保持モジュールMRETに保存されている値をメモリセルCMに再ロードするよう命令すべく適合された管理モジュールMGとを含む。
【0036】
関係する信号は、以下の通りである。
【0037】
信号Qdは、メモリセルまたはメモリ点CMに保存された値または状態を表す。信号Qdは、保持モジュールMRETに、およびメモリセルCMの状態の変化を検知すべく検知モジュールMDETへの入力として送信される。
【0038】
信号Qは、メモリ素子の出力として保持モジュールMRETに所定の期間保存された値を表す。信号Qは、メモリ素子の出力として、検知モジュールMDETの入力として、および管理モジュールMGの入力として送信される。
【0039】
管理モジュールMGは、入力として、検知モジュールMDETの出力、すなわち保持モジュールMRETに所定の期間保持された値を表す信号Qを受信する。管理モジュールMGはまた、入力として、メモリセルMCに保存すべき値Dataまたはデータ項目の状態および、メモリセルCMに保存すべき値の正常または予測された状態の変化を確認するためにData信号に伴なうデータのロード検証用の信号CSを受信する。
【0040】
メモリセルCMは従って、入力として、保存すべき値、管理モジュールMGの出力、検知モジュールMDETにより検知されたメモリセルCMの状態の変化が高エネルギー粒子に起因すると管理モジュールMGが判定した場合に保持モジュールMRETに保存された値をメモリセルCMに再ロードするよう命令する信号、および再初期化またはリセット信号RSTを受信する。
【0041】
図2に、
図1の素子の一実施形態を示す。
【0042】
メモリセルCMは、DフリップフロップFFであってよい。Dフリップフロップは、1また2個の出力および1個以上の入力を備えた論理回路である。出力は論理レベル0または1であってよい。出力の状態変化は、入力に印加された信号および演算子の種類により判定される。フリップフロップと組み合わせ論理回路(AND、OR、排他的論理和等のゲート)の違いは、命令信号が消失した後でも出力がその状態を維持する点である。前の状態と記憶内容が関係するため、これは順序論理と呼ばれる。フリップフロップは、順序論理の基本要素である。
【0043】
変型例として、メモリセルは「ラッチ」を含んでもよい。
【0044】
保持モジュールMRETは、電気抵抗RおよびコンデンサCを含むRC回路形式で作られていてよい。従って、電気抵抗RおよびコンデンサCの値を正しくプログラミングすることにより、保持されている値の保持時間を正確に決定することができる。
【0045】
場合により、保持モジュールMRETはまた、シュミットトリガーまたは閾値比較器とも呼ばれるシュミットフリップフロップB1を含んでもよい。
【0046】
シュミットトリガーは、入力V、2個の閾値Vil、Vih、および1個の出力Qを有するセルである。シュミットトリガーの閾値Vil、Vihが完全に特徴付けられている利点がある。
【0047】
閾値Vil、Vih(各々低閾値および高閾値であり、後者すなわちVihはVilより高い電位である)は、例えばVccとアース間に直列に配置された3個のレジスタからなる分圧器により固定された電位に保たれる。入力Vih、Vilは、分圧器の中間点に接続されている。動作は以下の通りである。
−最初にVは0であると仮定すれば、Qは0であり、
−Vが増大した場合、QはVがVihを超えるまで0のままであり、この時点でQは1へ切り替わる。
−VがVilを下回る時点までQは1のままであり、この時点でQは0へ切り替わる。
−Vが再びVihを上回るまでQは0のままである。
【0048】
検知モジュールMDETは、XOR(出力Ckxの「eXclusiveOR」の略語)と呼ばれる場合が多い「排他的論理和」機能を実行するモジュールXORを含んでもよい。
【0049】
変型形態として、検知モジュールMDETは論理比較器を含むモジュールを含んでもよい。
【0050】
管理モジュールMGは、
図2に示すような2個のマルチプレクサM1、M2を含んでもよい。各マルチプレクサは入力として、命令信号aと2個の入力bおよびcを受信する。命令信号aの値により、マルチプレクサM1の出力Diとして、またはマルチプレクサM2の出力Ckiとして配信された入力bまたはcを選択可能になる。
【0051】
マルチプレクサM1およびマルチプレクサM2に対して、入力命令信号は同一、すなわち信号CSである。
【0052】
マルチプレクサM1の他の2個の入力は信号QおよびDataであり、一方、マルチプレクサM2の他の2個の入力は信号CLKおよび判定モジュールMDETの出力信号Ckxである。
【0053】
変型形態として、管理モジュールMGは、同一機能を実現する任意の論理手段を含んでもよい。
【0054】
図4に、
図2の素子の動作をタイミング図を介して模式的に示す。
【0055】
正常動作モードにおいて、信号CSが有効(すなわち、1に等しい論理レベルを有する)である間、信号CLKおよびDataが選択されて、2個のマルチプレクサM1、M2を介してフリップフロップFFの入力DiおよびCkiに印加される。
【0056】
モジュールXORの信号Ckxは次いで、フリップフロップFFのスイッチング時間dtの間にモジュールXORの出力Ckxに対して生じ得るいかなる過渡パルスもマルチプレクサM2により遮断されるように「切断」される。信号Dataは、クロックパルスCLKの立上がりエッジにおいて、回路RCおよび出力バッファまたはシュミットフリップフロップB1を介して出力Qとして転送される。
【0057】
異常動作モードにおいて、高エネルギー粒子またはSEUの衝突に続く再ロードのために、信号CSが無効である(すなわち、0に等しい論理レベルを有する)間、信号QおよびCkxが選択されて、2個のマルチプレクサM1、M2を介してDフリップフロップFFの入力DiおよびCkiに印加される。
【0058】
高エネルギー粒子SEUの衝突に続いて、最初にロードされたデータ項目の値を回路RC内に保持しながら、DフリップフロップFFの出力Qdが状態を変える。すなわち、Qは状態を変えていない。
【0059】
モジュールXORは次いで、立上がりエッジにおいてデータの保持された項目の値をフリップフロップFFに再ロードするパルスCkxを生成する。再ロードシーケンスの間、回路の信号Qrcの電圧変動をVih〜Vilの範囲(使用する技術に依存)に維持すべく、回路RCの保持時間を計算しなければならない。
【0060】
時間制約に準拠すべく、本補正システムは以下のタイミング公式を満たさなければならない。
t4min+t5min+t1min>t2max+t6max−tholdmax(FF)
【0061】
図4で、時点は以下のように記載されている。すなわち、
t1はマルチプレクサM1の入力(信号DATAまたはQ)と出力(信号Di)間の伝播時間を表し、
t2はマルチプレクサM2の入力(信号CkxまたはCLK)と出力(信号Cki)間の伝播時間を表し、
t3はフリップフロップFFの入力(信号Cki)と出力(信号Qd)間の伝播時間を表し、
t4は回路RCの電圧の立上がりまたは立下がりの(シュミットトリガーのVih〜Vilの範囲内)の時間を表し、
t5はシュミットトリガーB1の入力(信号Qrc)と出力(信号Q)間の伝播時間表し、
t6はモジュールXORの入力(信号QdまたはQ)と出力(信号Ckx)間の伝播時間を表し、
tholdmax(FF)はフリップフロップFFの入力(信号Di)とクロック(信号Cki)のアクティブエッジ間の最大保持時間を表す。
【0062】
また、本システムにおいて、リセット信号RSTは、考慮に入れるために、保持時間より長く持続しなければならない点にも注意されたい。