(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061409
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】超硬合金の表面仕上げ方法
(51)【国際特許分類】
B23K 15/00 20060101AFI20170106BHJP
B23B 27/14 20060101ALN20170106BHJP
【FI】
B23K15/00 502
!B23B27/14 B
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-117071(P2015-117071)
(22)【出願日】2015年6月10日
(65)【公開番号】特開2017-1058(P2017-1058A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2016年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(72)【発明者】
【氏名】井上 基弘
【審査官】
奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−049880(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/145215(WO,A1)
【文献】
特開2006−281386(JP,A)
【文献】
特開2014−169204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 15/00−15/10
B23B 27/00−27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバ内の上側にカソード電極を固定し、前記カソード電極から鉛直方向に所定距離離れて前記真空チャンバ内の下側に超硬合金の被照射体を設置し、前記真空チャンバ内に稀ガスを注入して少なくとも0.05Paまで減圧した状態で、前記カソード電極と前記被照射体との間に配設されている環状のアノード電極に所定のアノード電圧を印加して前記アノード電極内にプラズマを生成してから前記カソード電極に25kV以上30kV以下の所定のカソード電圧を印加して前記被照射体に電子ビームを照射し、前記電子ビームの照射を1回または2回行なって前記被照射体の被照射面において超硬合金の含有物質を溶融し均等に分散させ、冷却後の再凝固によって被照射面から3μm以上5μm以下の範囲内の均一な深さの変質層を形成し、前記変質層を研磨によって除去することを特徴とする超硬合金の表面仕上げ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大面積電子ビームの照射による超硬合金の表面仕上げ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高硬度材料である超硬合金は、ダイヤモンド工具のような超硬合金と同等以上の硬度を有する切削工具による切削加工または放電加工によって所望の形状に加工することができる。ただし、切削加工または放電加工によって超硬合金の表面を数μm以下の形状精度および1μmRz以下の面粗度で鏡面のように仕上げることは難しい。そのため、必要に応じてラップあるいはバフのような研磨によって表面を仕上げることが要求されることがある。
【0003】
特に、表面が磨きにくい形状を有する超硬工具の刃先あるいは超硬合金の片面を表面仕上げする場合は、専ら熟練作業者の手磨きによって表面仕上げが行なわれている。超硬合金の手磨きにあたっては、超硬合金が高硬度であるため、作業者にかかる負担がより大きい。また、作業者の能力によって仕上がり具合に差が出てしまって、表面にうねりやダレが生じることもある。そのため、作業者に高度な研磨技術が求められ、均一の高品質の超硬合金の製品を効率よく量産することが困難である。
【0004】
例えば、特許文献1は、超硬合金の少なくともすくい面と逃げ面の交わる切刃稜線部位にレーザ光を照射し、または電子ビームを照射して加熱することによって超硬工具の耐磨耗性を向上させることを開示している。特許文献1の発明によると、超硬合金の炭化物の含有割合にもよるが、局所的に加熱層が形成されて、耐磨耗性を向上させることができる。しかしながら、レーザ光の照射または電子ビームのスポット照射によって加熱するので、局所的に耐磨耗性を得ることができるが、加熱層の表面および加熱層と本体との間の境界部位にうねりが生じて、表面の全体にわたって均一に高精度で高面粗度の表面を得ることが困難である。
【0005】
特許文献2には、いわゆる大面積電子ビームを照射して均一に被照射体の表面を改質することができる表面改質方法が開示されている。特許文献2に開示されている電子ビーム照射装置を使って超硬合金の被照射体に大面積電子ビームを照射した場合、炭化タングステン粒子が溶融して飛散するとともに、コバルトが表面に溶出して被照射体の被照射面から数μmの均一の深さでコバルトの被覆層が形成されることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−230410号公報
【特許文献2】特開2014−169204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
超硬合金に比較的エネルギ密度が小さい大面積電子ビームを繰返し照射することによって、耐蝕性が高く、摩擦力が低減される平滑な表面の製品を得ることができる。数μmの薄いコバルトの被覆層は、超硬合金本体に馴染んで一体的に密着する。しかしながら、コバルトの被覆層は、超硬合金が有している硬度を得ることができないので、切削工具のように超硬合金としての硬度が要求される製品の表面の性質としては、適していない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて、超硬合金の表面をより容易に仕上げることができる超硬合金の表面仕上げ方法を提供することを主たる目的とする。本発明の表面仕上げ方法によって得ることができるいくつかの利点は、本発明の実施の形態の説明において、具体的に示される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の超硬合金の表面仕上げ方法は、上記課題を解決するために、真空チャンバ(1)内の上側にカソード電極(5A)を固定し、カソード電極(5A)から鉛直方向に所定距離(d)離れて真空チャンバ(1)内の下側に超硬合金の被照射体を設置し、真空チャンバ(1)内に稀ガスを注入して少なくとも0.05Paまで減圧した状態で、カソード電極(5A)と被照射体(6)との間に配設されている環状のアノード電極(5B)に所定のアノード電圧を印加してアノード電極(5B)内にプラズマを生成してからカソード電極(5A)に25kV以上30kV以下の所定のカソード電圧を印加して被照射体(6)に電子ビームを照射し、電子ビームの照射を1回または2回行なって被照射体(6)の被照射面において超硬合金の含有物質を溶融し均等に分散させ、冷却後の再凝固によって被照射面から3μm以上5μm以下の範囲内の均一な深さの変質層を形成し、変質層を研磨によって除去するようにするものである。
【発明の効果】
【0010】
超硬合金にエネルギ密度が比較的低い大面積電子ビームを被照射体に照射すると、被照射体の被照射面に溶出した材料が冷却し凝固して改質層が形成される。被照射体が超硬合金であるとき、カソードに25kV以上30kV以下のカソード電圧を印加して大面積電子ビームを照射すると、電子ビームの衝突エネルギがより小さいために、被照射面においてコバルトの被覆層が生成されず、炭化タングステン粒子とコバルトが溶融した後に均等に分散し混合して、数μmの均一のタングステンとコバルトの変質層が形成される。
【0011】
変質層は、炭化タングステン粒子が溶融して脆弱になっており、炭化タングステン粒子がバインダであるコバルトによって焼結されている被照射体本体に対して異なる性質を有し、被照射体本体との間の結合性が低い。そのため、比較的弱い力で変質層だけを剥離させるように被照射体を研磨することによって、被照射体本体の表面が1μm以下の小さい面粗度に磨かれたような状態で変質層が除去される。その結果、より容易に高硬度、高精度、高面粗度の表面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の表面仕上げ方法を実施するための電子ビーム照射装置を示す側面図である。
【
図3】本発明の表面仕上げ方法によって変質層が除去された後の超硬合金の内部構造を示す試料の断面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の超硬合金の表面仕上げ方法を実施するために適する大面積電子ビーム照射装置の側面を模式的に示す。
図1においては、真空チャンバが断面で示されている。
【0014】
電子ビーム照射装置は、真空チャンバ1と、移動装置2と、真空装置3と、稀ガス供給装置4と、電子ビーム発生装置5と、を含んでなる。実施の形態の電子ビーム照射装置は、被照射体6の被照射面から生じた滓を含むチャンバ1の中の汚れたガスを強制的に排出できる図示しない浄化装置を含んでなる。被照射体6は、超硬合金である。
【0015】
真空チャンバ1は、被照射体6を収容する手段である。真空チャンバ1は、基台1Aの上に設置されている。真空チャンバ1は、電子ビーム照射装置の前面で被照射体6を出し入れするために開口している。真空チャンバ1には、開口を閉鎖する密閉扉1Bが設けられている。密閉扉1Bを閉鎖することによって、真空チャンバ1を密閉することができる。
【0016】
移動装置2は、水平1軸方向と、水平1軸方向に直交する他の水平1軸方向と、鉛直方向と、に被照射体6を移動させる手段である。移動装置2は、水平1軸方向に往復移動できる移動体10と、水平1軸方向に直交する他の水平1位軸方向に往復移動できる移動体20と、上下方向に往復移動できる昇降装置30と、を備える。昇降装置30の上に被照射体6を載置できる取付台であるテーブル40が設置されている。
【0017】
真空装置3は、密閉された真空チャンバ1の中を減圧して真空に近い状態にする手段である。真空装置3は、真空ポンプによって真空チャンバ1の中の空気を抜く、いわゆる真空引きをして真空チャンバ1の中を減圧する。真空ポンプは、スクロールポンプ3Aとターボ分子ポンプ3Bでなる。真空チャンバ1の中の空気を抜いた後は、流量調整弁3C,3Dを閉じて真空チャンバ1の中を真空に近い状態に保持する。真空ポンプは、電子ビームを照射している間稼働しており、真空チャンバ1の排気をして、真空チャンバ1の中の減圧状態を維持している。
【0018】
稀ガス供給装置4は、真空チャンバ1の中に稀ガスを供給する手段である。稀ガスは、長周期表第18族元素であるヘリウム,ネオン,アルゴン,クリプトン,キセノン,ラドンを示す。本発明では、稀ガスと窒素ガスのような化学反応性の低い気体とを含めて不活性ガスという。実施の形態の電子ビーム照射装置において、稀ガスは、具体的に、アルゴンガスである。アルゴンガスは、プラズマの生成を促す。窒素ガスは、図示しない浄化装置において、真空チャンバ1の中から汚れたアルゴンガスを追い出して真空チャンバ1の中を清浄にするときに使用される。
【0019】
稀ガス供給装置4は、液化アルゴンを封入したボンベ4Aと、真空チャンバ1に接続する配管4Bと、ボンベ4Aを開放するバルブ4Cと、を含んでなる。電子ビーム照射装置は、真空チャンバ1内の気圧を0.03Pa以上0.1Pa以下の範囲で減圧状態を維持することができるように設計されている。
【0020】
電子ビーム発生装置5は、電子銃であるカソード電極5Aと、環状のアノード電極5Bと、被照射体6に通電するコレクタ5Cと、磁場を形成するソレノイド5Dと、を含んでなる。コレクタ5Cは、実質的にテーブル40である。テーブル40は、グランドライン5Eによって真空チャンバ1にアースする。
【0021】
電子ビーム発生用電源装置5Fは、カソード電極5Aとテーブル40に通電する被照射体6との両極間に電子ビームを発生させるための電圧パルスを印加する高圧電源とを含む。プラズマ発生用電源装置5Gは、カソード電極5Aとアノード電極5Bとの間に設けられ、アノード電極5Bの環内にプラズマを発生させる電圧を供給する。スイッチ5Hは、カソード電極5Aの電源の接続を切り換える。
【0022】
カソード電極5Aは、所定の断面積を有する断面円形の基板にチタンの多数の針状突起が設けられて成る。本発明の表面改質方法を実施する電子ビーム照明装置においては、カソード電極5Aが多数の電子銃を有していると見做すことができる。断面積が比較的大きいカソード電極5Aによって直径が大きくエネルギ密度がより小さい電子の粒子線束を発生させることができる。そのため、一度の照射においてより広範囲に均一に被照射面に電子ビームを衝突させることができ、表面から数μm程度の極浅い深さで材料を変質させることができる。
【0023】
カソード電極5Aは、密閉された真空チャンバ1内の上側に固定される。カソード電極5Aの上側の密閉空間の中には、カソードのギャップスイッチが存在する。カソード電極5Aをチャンバ1の上側に配置することによって、カソード電極5Aを直下の鉛直方向に所定距離d離れて真空チャンバ1内の下側に設けられているテーブル40の上に被照射体6を設置することができる。そのため、被照射体6に断面積の大きい電子ビームを重力方向に直線的にかつばらつきなく照射することができる。
【0024】
アノード電極5Bは、カソード電極5Aの断面積よりも大きい内径を有するリング形状を有している。本発明の超硬合金の表面仕上げ方法を実施できる電子ビーム照射装置では、具体的に、カソード電極5Aの直径が60mmφのときで、アノード電極5Bの内径が210mmφである。アノード電極5Bは、円環内に比較的存在期間の短いプラズマを生成する。プラズマの電離層は、カソード電極5Aから放出される電子を収束する。
【0025】
以下に、本発明の超硬合金の表面仕上げ方法の実施の形態を説明する。まず、真空チャンバ1の上側にカソード電極5Aを固定する。より具体的に、カソード電極5Aの直径は、カソード電極5Aに供給し得るカソード電圧と電子線束(電子ビーム柱)の要求される直径を考慮して30mmφ以上80mmφ以下である。
【0026】
超硬合金の被照射体6は、カソード電極5Aから鉛直方向に所定距離d離れて真空チャンバ1内の下側に設けられているテーブル40上に配置される。所定距離dは、電子が被照射体6に衝突するときの速度を考慮して160mm以上200mm以下が適当である。
【0027】
アノード電極5Bは、カソード電極5Aと被照射体6との間であって環内に生成されるプラズマの電離層で電子が収束されるために適する位置に予め配設されている。アノード電極5Bの直径は、カソード電極5Aの直径に対応して発生する電子線束の直径に合わせて決定し、100mmφ以上200mmφ以下である。
【0028】
被照射体6を設置したら、密閉扉1Bを閉めて、真空装置3によって気圧が一度0.03Paに達するまで真空チャンバ1内を真空引きし、その後、真空チャンバ1内に稀ガス、例えば、アルゴンガスを注入して、真空チャンバ1内を0.05Paまで減圧した状態にする。
【0029】
次に、カソード電極5Aと被照射体6との間に配設されている環状のアノード電極5Bに所定のアノード電極、例えば、5.0kVの電圧を印加して、アノード電極5Bにプラズマを生成する。このとき、電子の速度が低下して被照射体6に電子が到達しないということがないように、ソレノイド5Dに1.0kV以上2.0kV以下の電圧を印加して磁場を形成して電圧を加速するようにする。そして、直ちにカソード電極5Aに25kV以上30kV以下の所定のカソード電圧を印加して約15msec(ミリ秒)の間、被照射体6に電子ビームを照射する。
【0030】
プラズマの生成から電子ビームの照射までの間で1回の電子ビームの照射として、通常1回から2回の電子ビームの照射によって被照射体6の被照射面において超硬合金の含有物質を溶融し均等に分散させることができる。そして、数秒の冷却期間による自然冷却後の再凝固によって被照射面から3μmないし5μmの範囲内の均一な深さの変質層が形成される。このとき形成される変質層は、炭化タングステン粒子が溶融し、少しの炭素粒子が残留することがあるが、主に炭化タングステンとコバルトおよびいくらかの添加物が融合している状態になる。
【0031】
3回以上の電子ビームの照射を否定するものではない。ただし、通常は、3回以上の電子ビームの照射を行なうと、被照射面において炭化タングステンの飛散または昇華が進行して炭化タングステンの割合が減少し、コバルトの溶出による改質層が徐々に形成されてくる。したがって、被照射体6の被照射面の見掛け上の性状から超硬合金の組織が十分に崩壊していないと判断されるときに限って3回目の電子ビームの照射を行なうようにすることが望ましい。
【0032】
30kVよりも高いカソード電圧を印加して電子ビームを照射すると、電子が被照射体6に衝突するときのエネルギが大きすぎて、1回目の電子ビームの照射によって、コバルトの被覆層の形成が進行する。そのため、被照射体6の被照射面を研磨によって薄く均等に除去することが困難になり、本発明の表面仕上げ方法においては、不適当である。また、カソード電圧が25kVよりも低い電圧値であると、電子が被照射体6に衝突するときのエネルギが小さすぎて、被照射面が殆ど変化しない。もっとも、本来の表面改質の点から言うなら、硬度が低く剥離しやすい変質層の形成は、不測のものであり、そのままでは製品の価値がないと言える。
【0033】
変質層は、研磨によって除去される。変質層においては、炭化タングステン粒子がコバルトによって強固に結合している状態が崩壊しており、超硬合金が有する硬度と耐磨耗性の特性が失われている。また、変質層においては、炭化タングステン粒子が溶融して存在しない状態であるので、被照射体6の本体を構成している超硬合金との間の結合性が相当に低下しており、変質層が被照射体6の本体から一体的に離脱しやすくなっている。
【0034】
そのため、大面積電子ビームを照射後の被照射体6の被照射面を軽く研磨することによって、簡単に被照射体6の本体から変質層だけが除去されて、超硬合金の本体の均一で面粗度が小さい表面が現れる。このとき、研磨する力が強すぎて磨きすぎてしまうと、被照射体6の本体の表面まで傷付けられて、かえって形状精度と面粗度を低下させるおそれがある。そのため、手作業によるときは、粒子のサイズが#1000以上#3000以下の研磨剤を使用して、十分に小さい力で研磨を行なうことが望ましい。
【0035】
図2は、本発明の実施例における電子ビームの照射によって形成された被照射体6の変質層を示す。このとき、カソード電極5Aの直径が60mmφでカソード電圧が30kV、アノード電極5Bの直径が120mmφで内径が約190mmφであってアノード電圧が5kV、ソレノイド電極5Eのソレノイド電圧が1.5kV、真空チャンバ1内の気圧が0.05Pa、カソード電極5Aと被照射体6との間の所定距離dが170mm、電子ビームの照射時間が15mmsec、照射回数が1回である。
【0036】
図3は、
図2に示される被照射体6の表面を#1000の研磨剤で手磨きによって研磨して変質層を一体的に除去した後の被照射体6を示す。
図3に示されるように、大面積電子ビームの照射による固有の被照射体本体と変質層との均一な境界がそのまま超硬合金の被照射体6の表面になるので、より容易に均一な面粗度の表面に仕上げることができる。なお、
図3において研磨後に残る薄い層は再蒸着層である。
【0037】
以上のとおり、実施の形態の超硬合金の表面仕上げ方法によると、超硬合金の高硬度を特性を失うことなく、より容易に高精度で高面粗度の表面を有する超硬合金の製品を得ることができる。特に、超硬合金製の切削工具のように、表面形状が平坦ではない超硬合金製の製品の製作に有効である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、超硬合金の製品に適用することができる。特に、本発明は、表面形状が平坦ではない超硬工具あるいは超硬金型に有益である。本発明は、超硬合金製の製品の品質の向上と生産性の向上に寄与する。
【符号の説明】
【0039】
1 真空チャンバ
1A 基台
1B 密閉扉
2 移動装置
3 真空装置
4 稀ガス供給装置
5 電子ビーム発生装置
5A カソード電極
5B アノード電極
5C コレクタ
5D ソレノイド
5E グランドライン
5F 電子ビーム発生用電源装置
5G プラズマ発生用電源装置
5H スイッチ5H
6 超硬合金である。
10 移動体
20 移動体
30 昇降装置
40 テーブル