(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061414
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】マルチコイルワイヤレス給電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/12 20160101AFI20170106BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20170106BHJP
H02J 50/50 20160101ALI20170106BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/40
H02J50/50
H02J7/00 301D
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-516211(P2016-516211)
(86)(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公表番号】特表2016-523071(P2016-523071A)
(43)【公表日】2016年8月4日
(86)【国際出願番号】FI2013050593
(87)【国際公開番号】WO2014191609
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2015年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ムーリネン ヤリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴオリ ペトリ
【審査官】
古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/166126(WO,A1)
【文献】
特表2014−522630(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/077493(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0109445(US,A1)
【文献】
国際公開第2013/157191(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/038265(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42−10/48
H02J 7/00− 7/12
H02J 7/34− 7/36
H02J 50/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の共振タンクに接続可能な第1のワイヤレス給電回路であって、前記第1の共振タンクは、第1の誘導エネルギーコイル、周波チューナ、共振モードスイッチ、及び給電モードスイッチを備え、第1の周波数で誘導エネルギーを伝送するように構成される、前記第1のワイヤレス給電回路と;
第2の共振タンクに接続可能な第2のワイヤレス給電回路であって、前記第2の共振タンクは、第2の誘導エネルギーコイルを備え、前記第1の周波数と異なる第2の周波数で誘導エネルギーを伝送するように構成され、前記第2のワイヤレス給電回路と;
どのコイルがアクティブであるかを決定するように構成される制御ロジック回路と;
を備える装置であって、前記第2の誘導エネルギーコイルがアクティブであると決定される場合、前記共振モードスイッチは、前記第1の共振タンクを前記第2の周波数に同調させるように構成され、前記給電モードスイッチは、前記第1の誘導エネルギーコイルを前記第1のワイヤレス給電回路から切断するように構成される、装置。
【請求項2】
前記第1のコイルがアクティブであると前記制御ロジック回路が決定した場合、前記共振モードスイッチは、前記第1の共振タンクの前記第2の周波数への同調を無効にするように構成され、前記給電モードスイッチは、誘導エネルギーを伝送するために、前記第1の誘導エネルギーコイルと前記第1のワイヤレス給電回路との間の電気接続を有効にするように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の共振タンクは、第2の共振モードスイッチ及び第2の給電モードスイッチを更に備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のコイルがアクティブであると前記制御ロジック回路が決定した場合、前記第2の共振モードスイッチは、前記第2の共振タンクを前記第1の周波数に同調させるように構成され、前記第2の給電モードスイッチは、前記第2の誘導エネルギーコイルを前記第2のワイヤレス給電回路から切断するように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2のコイルがアクティブであると前記制御ロジック回路が決定した場合、前記第2の共振モードスイッチは、前記第2の共振タンクの前記第1の周波数への同調を無効にするように構成され、前記第2の給電モードスイッチは、誘導エネルギーを伝送するために、前記第2の誘導エネルギーコイルと前記第2のワイヤレス給電回路との間の電気接続を有効にするように構成される、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1及び第2のワイヤレス給電回路の少なくとも1つがワイヤレス給電レシーバ回路であり、前記制御ロジックは、前記ワイヤレス給電レシーバ回路からアクティブ標示情報を受け取ることに基づいて、どのコイルがアクティブであるかを決定するように構成される、請求項1から5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
前記制御ロジック回路は、前記ワイヤレス給電レシーバ回路にアクティブ標示情報の要求を送信するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記周波チューナはコンデンサを備える、請求項1から7の何れかに記載の装置。
【請求項9】
携帯電話機である、請求項1から8の何れかに記載の装置。
【請求項10】
マルチモードワイヤレス充電装置のアクティブ誘導エネルギーコイルを決定することであって、前記マルチモードワイヤレス充電装置は、第1の共振タンク、前記第1の共振タンクに接続可能な第1のワイヤレス給電回路、及び第2の共振タンクを備え、前記第1の共振タンクは、第1の誘導エネルギーコイル、第1の周波チューナ、共振モードスイッチ、及び給電モードスイッチを備え、前記第1の誘導エネルギーコイルは、第1の周波数で誘導エネルギーを伝送するように構成され、前記第2の共振タンクは、第2の誘導エネルギーコイルを備え、前記第2の誘導エネルギーコイルは、前記第1の周波数と異なる第2の周波数で誘導エネルギーを伝送するように構成される、前記決定することと;
前記第2の誘導エネルギーコイルがアクティブであると決定される場合、前記共振モードスイッチによって、前記第1の共振タンクを前記第2の周波数に同調させ、前記給電モードスイッチによって、前記第1の誘導エネルギーコイルを前記第1のワイヤレス給電回路から切断することと;
を含む、方法。
【請求項11】
前記第1の誘導エネルギーコイルがアクティブであると決定される場合、前記共振モードスイッチによって、前記第1の共振タンクの前記第2の周波数への同調を無効にし、前記給電モードスイッチによって、誘導エネルギーを伝送するために、前記第1の誘導エネルギーコイルと第1のワイヤレス充電レシーバ回路との間の電気接続を有効にすることを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の共振タンクは、前記第2の共振タンクに接続可能な第2のワイヤレス給電回路、第2の共振モードスイッチ及び第2の給電モードスイッチを更に備え、
前記第1の誘導エネルギーコイルがアクティブであると決定される場合、前記第2の共振モードスイッチによって、前記第2の共振タンクを前記第1の周波数に同調させ、前記第2の給電モードスイッチによって、前記第2の誘導エネルギーコイルを前記第2のワイヤレス給電回路から切断することと
を更に含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の誘導エネルギーコイルがアクティブであると決定される場合、前記第2の共振モードスイッチによって、前記第2の共振タンクの前記第1の周波数への同調を無効にし、前記第2の給電モードスイッチによって、誘導エネルギーを受け取るために、前記第2の誘導エネルギーコイルの間の電気接続を有効にすることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1及び第2のワイヤレス給電回路の少なくとも1つがワイヤレス給電レシーバ回路であり、前記アクティブコイルの決定は、前記ワイヤレス給電レシーバ回路からアクティブ標示情報を受け取ることに基づいている、請求項10から13の何れかに記載の方法。
【請求項15】
前記周波チューナはコンデンサを備える、請求項10から14の何れかに記載の方法。
【請求項16】
装置の処理手段に実行されると、前記装置に、請求項10から15のいずれかに記載の方法を遂行させるように構成されるプログラム命令を備える、コンピュータプログラム。
【請求項17】
マルチモードワイヤレス充電装置のアクティブ誘導エネルギーコイルを決定する手段を備える装置であって、
前記マルチモードワイヤレス充電装置は、第1の共振タンク及び第2の共振タンクを備え、
前記第1の共振タンクは、第1の周波数で誘導エネルギーを伝送する手段、同調手段、給電手段、共振モードスイッチ手段、及び給電モードスイッチ手段を備え、
前記第2の共振タンクは、前記第1の周波数と異なる第2の周波数で誘導エネルギーを伝送する手段を備え、
前記共振モードスイッチ手段は、前記第2の周波数で誘導エネルギーを伝送する手段がアクティブであると決定される場合、前記第1の共振タンクを前記第2の周波数に同調させ、前記給電手段を無効にするように構成される、
装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
電磁誘導は、長い間周知であり、多くのアプリケーションで使用されている。電磁誘導において、時間変動磁束(time-varying magnetic flux)は、導体閉ループに対して起電力を誘導する。反対に、時間変動電流(time-varying current)は変動磁束を発生させる。変圧器ではこの現象を利用し、誘導結合されたコイルを介して、回路から他のものに無線でエネルギー伝送をする。一次コイルは交流電流を変動磁束に変換し、この変動磁束が二次コイルを流れるように編成される。さらに、変動磁束は二次コイルを通じて交流電圧を誘導する。入出力電圧の比率は、一次コイルと二次コイルの巻き数で調整することができる。
【0002】
ワイヤレス充電(WLC)は、電磁誘導を利用して無線でエネルギー伝送をするもう一つのアプリケーションである。ワイヤレス充電システムは、一次コイルを備える充電器と、二次コイルを備える被充電機器とを備える。充電器内の電流は、こうした電磁結合されたコイルを通じ、前述の被充電機器に伝送される。そして、誘導電流は更に処理をされ、前述の被充電機器のバッテリを充電するのに使われる。エネルギーは誘導結合を通じ充電器から被充電機器に伝送される。被充電機器は伝送されたエネルギーをバッテリ充電に使用してもよく、電力として直接使用してもよい。
【0003】
携帯電子機器等の携帯デバイスにおける最近の傾向は、誘導充電機能である。ワイヤレス充電機能を有するデバイスは有線でデバイスを充電器に繋ぐ必要がなく、様々な環境でワイヤレス充電器を電源として使用することができる。しかし、ワイヤレス充電機能を有するデバイスを誘導充電器で誘導充電する場合、どのデバイスに対しても任意の充電器を使用できるというわけではない。すなわち、ワイヤレス充電送信機はワイヤレス充電受信機と同じ周波数/規格を用いなくてはならない。
【0004】
本発明は、概してワイヤレス充電システムに関連するものであり、ここでは、電磁場がワイヤレスエネルギー伝送に利用される。ワイヤレス充電システムは、例えば、電磁誘導手段でエネルギー伝送するために相互に結合された1組のコイルを備える。具体的には、本発明はマルチコイルワイヤレス給電装置に関する。本発明の種々の態様には、独立請求項に記載されている事項を特徴とする方法や装置、コンピュータプログラムを格納するコンピュータ可読媒体が含まれる。また、本発明の様々な実施形態が従属請求項に示されている。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、次の装置、即ち、第1の共振タンクに接続可能な第1のワイヤレス給電回路であって、前記第1の共振タンクは、第1の誘導エネルギーコイル、周波チューナ、共振モードスイッチ、及び給電モードスイッチを備え、第1の周波数で誘導エネルギーを伝送するように構成される、前記第1のワイヤレス給電回路と;
第2の共振タンクに接続可能な第2のワイヤレス給電回路であって、前記第2の共振タンクは、第2の誘導エネルギーコイルを備え、前記第1の周波数と異なる第2の周波数で誘導エネルギーを伝送するように構成され、前記第2のワイヤレス給電回路と;
どのコイルがアクティブであるかを決定するように構成される制御ロジック回路とを備える装置であって、
前記第2の誘導エネルギーコイルがアクティブであると決定される場合、前記共振モードスイッチは、前記第1の共振タンクを前記第2の周波数に同調させるように構成され、前記給電モードスイッチは、前記第1の誘導エネルギーコイルを前記第1のワイヤレス給電回路から切断するように構成される、装置が提供される。
【0006】
実施形態によっては、前記第1のコイルがアクティブであると前記制御ロジック回路が決定した場合、前記共振モードスイッチは、前記第1の共振タンクの前記第2の周波数への同調を無効にするように構成され、前記給電モードスイッチは、誘導エネルギーを伝送するために、前記第1の誘導エネルギーコイルと前記第1のワイヤレス給電回路との間の電気接続を有効にするように構成される。実施形態によっては、前記第2の共振タンクは、第2の共振モードスイッチ及び第2の給電モードスイッチを更に備える。実施形態によっては、前記第1のコイルがアクティブであると前記制御ロジック回路が決定した場合、前記第2の共振モードスイッチは、前記第2の共振タンクを前記第1の周波数に同調させるように構成され、前記第2の給電モードスイッチは、前記第2の誘導エネルギーコイルを前記第2のワイヤレス給電回路から切断するように構成される。実施形態によっては、前記第2のコイルがアクティブであると前記制御ロジック回路が決定した場合、前記第2の共振モードスイッチは、前記第2の共振タンクの前記第1の周波数への同調を無効にするように構成され、前記第2の給電モードスイッチは、誘導エネルギーを伝送するために、前記第2の誘導エネルギーコイルと前記第2のワイヤレス給電回路との間の電気接続を有効にするように構成される。実施形態によっては、前記第1及び第2のワイヤレス給電回路の少なくとも1つがワイヤレス給電レシーバ回路であり、前記制御ロジックは、前記ワイヤレス給電レシーバ回路からアクティブ標示情報を受け取ることに基づいて、どのコイルがアクティブであるかを決定するように構成される。実施形態によっては、制御ロジック回路は、前記ワイヤレス給電レシーバ回路にアクティブ標示情報の要求を送信するように構成される。実施形態によっては、前記周波チューナはコンデンサを備える。実施形態によっては、前記装置が携帯電話機である。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、次の方法、即ち、マルチモードワイヤレス充電装置のアクティブ誘導エネルギーコイルを決定することであって、前記マルチモードワイヤレス充電装置は、第1の共振タンク、前記第1の共振タンクに接続可能な第1のワイヤレス給電回路、及び第2の共振タンクを備え、前記第1の共振タンクは、第1の誘導エネルギーコイル、第1の周波チューナ、共振モードスイッチ、及び給電モードスイッチを備え、前記第1の誘導エネルギーコイルは、第1の周波数で誘導エネルギーを伝送するように構成され、前記第2の共振タンクは、第2の誘導エネルギーコイルを備え、前記第2の誘導エネルギーコイルは、前記第1の周波数と異なる第2の周波数で誘導エネルギーを伝送するように構成される、前記決定することと;
前記第2の誘導エネルギーコイルがアクティブであると決定される場合、前記共振モードスイッチによって、前記第1の共振タンクを前記第2の周波数に同調させ、前記給電モードスイッチによって、前記第1の誘導エネルギーコイルを前記第1のワイヤレス給電回路から切断することと
を含む、方法が提供される。
【0008】
実施形態によっては、前記方法は、前記第1の誘導エネルギーコイルがアクティブであると決定される場合、前記共振モードスイッチによって、前記第1の共振タンクの前記第2の周波数への同調を無効にし、前記給電モードスイッチによって、誘導エネルギーを伝送するために、前記第1の誘導エネルギーコイルと第1のワイヤレス充電レシーバ回路との間の電気接続を有効にすることを更に含む。実施形態によっては、前記第2の共振タンクは、前記第2の共振タンクに接続可能な第2のワイヤレス給電回路、第2の共振モードスイッチ及び第2の給電モードスイッチを更に備え、前記方法は、前記第1の誘導エネルギーコイルがアクティブであると決定される場合、前記第2の共振モードスイッチによって、前記第2の共振タンクを前記第1の周波数に同調させ、前記第2の給電モードスイッチによって、前記第2の誘導エネルギーコイルを前記第2のワイヤレス給電回路から切断することとを更に含む。
実施形態によっては、前記方法は、前記第2の誘導エネルギーコイルがアクティブであると決定される場合、前記第2の共振モードスイッチによって、前記第2の共振タンクの前記第1の周波数への同調を無効にし、前記第2の給電モードスイッチによって、誘導エネルギーを受け取るために、前記第2の誘導エネルギーコイルの間の電気接続を有効にすることを更に含む。実施形態によっては、前記第1及び第2のワイヤレス給電回路の少なくとも1つがワイヤレス給電レシーバ回路であり、前記アクティブコイルの決定は、前記ワイヤレス給電レシーバ回路からアクティブ標示情報を受け取ることに基づいている。実施形態によっては、制御ロジック回路は、前記ワイヤレス給電レシーバ回路にアクティブ標示情報の要求を送信するように構成される。実施形態によっては、前記周波チューナはコンデンサを備える。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、次のコンピュータプログラム製品、即ち、コンピュータプログラムコードを備える非一時的コンピュータ可読媒体に具現化される、コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサで実行されると、装置に:
前記装置のアクティブ誘導エネルギーコイルを決定することであって、前記マルチモードワイヤレス充電装置は、第1の共振タンク、前記第1の共振タンクに接続可能な第1のワイヤレス給電回路、及び第2の共振タンクを備え、前記第1の共振タンクは、第1の誘導エネルギーコイル、第1の周波チューナ、共振モードスイッチ、及び給電モードスイッチを備え、前記第1の誘導エネルギーコイルは、第1の周波数でエネルギーを伝送するように構成され、前記第2の共振タンクは、第2の誘導エネルギーコイルを備え、前記第2の誘導エネルギーコイルは、前記第1の周波数と異なる第2の周波数で誘導エネルギーを伝送するように構成される、前記決定することと;
前記第2の誘導エネルギーコイルがアクティブであると決定される場合、前記共振モードスイッチによって、前記第1の共振タンクを前記第2の周波数に同調させ、 前記給電モードスイッチによって、前記第1の誘導エネルギーコイルを前記第1のワイヤレス給電回路から切断することと;
を実行させるように構成される、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、次の装置、即ち、マルチモードワイヤレス充電装置のアクティブ誘導エネルギーコイルを決定する手段であって、前記マルチモードワイヤレス充電装置は、第1の共振タンク及び第2の共振タンクを備え、前記第1の共振タンクは、第1の周波数で誘導エネルギーを伝送する手段、同調手段、給電手段、共振モードスイッチ手段、及び給電モードスイッチ手段を備え、前記第2の共振タンクは、前記第1の周波数と異なる第2の周波数で誘導エネルギーを伝送する手段を備える、前記決定する手段を備える装置であって、前記第2の誘導エネルギーコイルがアクティブであると決定される場合、前記共振モードスイッチ手段は、 前記第1の共振タンクを前記第2の周波数に同調させ、前記給電手段を無効にするように構成される、装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明に関する種々の実施形態は、添付の図面を参照して以下で詳しく説明する。
【
図1】例示的実施形態に従う、マルチスタンダードWLCレシーバの構造を示す。
【
図2】例示的実施形態に従う、複数の標準WLCレシーバ構成を示す。
【
図3a】例示的実施形態に従う、共振タンクの共振コイルを備える携帯デバイスの背面図を示す。
【
図3b-3d】例示的実施形態に従う、
図3aの携帯デバイスの側面図を示す。
【
図4a】例示的実施形態に従う、共振タンクの共振コイルを備える携帯デバイスの背面図を示す。
【
図4b-4d】例示的実施形態に従う、
図4aの携帯デバイスの側面図を示す。
【
図5】例示的実施形態に従う、マルチモードWLCレシーバの構造を示す。
【
図6】例示的実施形態に従う、マルチレシーバWLC装置の充電方法のフローチャートを示す。
【0012】
以下では、本発明の幾つかの実施形態について、充電器から誘導エネルギーを受け取る装置の文脈で説明する。こうした誘導エネルギーを受け取る装置は携帯デバイスであって、例えば携帯電話機、モバイルコンピュータ、モバイル協同機器(mobile collaboration device)、モバイルインターネット機器、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、タブレット型パソコン(PC)、電子手帳、携帯用ゲーム機、ポータブルメディアプレーヤー、デジタルスチルカメラ(DSC)、デジタルビデオカメラ(DVC、デジタル・カムコーダー)、ページャー、小型カーナビゲーション装置(PND)等のデバイスでもよい。あるいは、誘導結合又は磁気共鳴を用いて又はそれによって、即ち誘導エネルギーリンクでエネルギーを受け取るのに適したあらゆる他のデバイスでもよい。ただし、本発明は携帯デバイスのみに限定されるものではないことに留意されたい。実際に、デバイスが誘導によりエネルギーを受け取るためのワイヤレス充電レシーバコイル構成を必要とするようなあらゆる環境で、様々な実施形態が幅広く適用されうる。ワイヤレス充電レシーバコイル構成は、誘導エネルギーレシーバコイルと、コンデンサ等の周波チューナとを備える。この誘導エネルギーレシーバコイルとコンデンサは、相互に接続されると、誘導エネルギーを受け取り可能な電気共振器として動作できる共振タンクを形成する。本発明の実施形態によっては、ワイヤレス充電レシーバコイル構成を概括して共振タンクと呼んでもよい。
【0013】
磁気共鳴ベースのワイヤレス電力伝送システムにおけるWLCトランスミッタ及びWLCレシーバの各々には、伝送周波数で共振する共振器が具備される。WLCトランスミッタの共振器とWLCレシーバの共振器の共振周波数が同じである場合、エネルギー伝送効率は最大となる。ワイヤレス充電規格はそれぞれ異なる周波数で動作し得るため、マルチスタンダードWLCデバイスには、各規格に対応する専用ソフトウェア又はハードウェアが具備されてもよい。例えば、種々の規格に従って誘導エネルギーを伝送する、即ち送ったり受け取ったりするように構成された複数のコイル構成があってもよい。WLCレシーバでは、共振タンク構造が共振器として動作してもよい。共振タンクは、周波チューナと、誘導エネルギーレシーバコイルである、ループコイル等の平面コイル構成とを備えてもよい。各共振タンクは、特定の周波数で動作する誘導エネルギーレシーバとして動作してもよい。そして、各共振タンクはエネルギーを受け取るのにも適している。すなわち、充電器であって、そのWLCトランスミッタが、共振タンクの特定の周波数に対応する伝送周波数で共振するような充電器によって充電されるのに適している。こうして、共振タンクを備える携帯デバイスは、適切な充電規格、即ち、特定の共振タンクに対応する共振周波数を持つ充電器によって充電することができる。WLCレシーバを備えるデバイスを、例えば100kHzと6.78kHzの2つの異なる周波数で動作させるために、即ち、2つの異なる規格に従うワイヤレス給電の受け取りに対応させるために、1つのWLCレシーバに2つの別々の共振器、即ち2つの別々の共振タンクが実装されてもよい。当然ながら、追加構造のためには更なる空間とコストが必要となる。2つ以上のWLC共振タンクを備えるWLCレシーバは、マルチスタンダードWLCレシーバ又はマルチコイルワイヤレス給電装置と呼ばれる。
【0014】
2つ以上のWLC共振タンクを備えるマルチスタンダードWLCレシーバは、同時に2つ以上の周波数でそれぞれ動作することができる。実装によっては、別々の規格/周波数でワイヤレス電力伝送動作を行うために、各タンクが別々に使用され、共同利用されることはない。これは、ワイヤレス給電を受けるために使用中のタンク、即ちアクティブなタンクのみがバッテリ充電IC等の給電回路に接続され、他の1つ又は複数のタンクは、アクティブ充電タンクに対する寄生負荷を防ぐために回路から切断されることを意味する。しかし、マルチスタンダード構造による追加の空間とコストのために、こうした構造を利用することが好ましいだけでなく、マルチスタンダードWLCレシーバが多周波充電機能を有するという利点にも繋がる。
【0015】
したがって、本発明の実施形態によっては、無線エネルギー伝送を行っていないタンクである非アクティブ共振タンクをマルチスタンダードWLCレシーバの給電回路から単に切断する代わりに、非アクティブ共振タンクを追加共振器として使用してもよい。追加共振器は、デフォルトでは対応する規格毎に別々の周波数に同調される。本発明の実施形態によっては、マルチスタンダードWLCレシーバの充電効率を改善するために、こうした非アクティブ共振タンクがアクティブ共振器の周波数に同調されるようにすることができる。これを可能にするために、マルチスタンダードWLCレシーバ構造は、アクティブタンクの周波数への同調を有効/無効にする共振モードスイッチと、非アクティブタンクの充電機能を有効/無効にする給電モードスイッチとを備える。給電モードではWLCレシーバがエネルギー充電の代わりにエネルギーを直接使うことになる点に留意されたい。例えば、2つの異なる共振タンクを持つマルチスタンダードWLCレシーバを備えたデバイスでは、第1のタンクは、第2のタンク(アクティブタンク)の周波数への同調を有効/無効にする共振モードスイッチと、充電機能を有効/無効にする給電モードスイッチとを備える。第1のタンクの共振モードスイッチ(有効状態とする)とコンデンサは、第1のタンクの共振タンク周波数を規定する。同期整流回路の一部として実装され得る給電モードスイッチ(無効状態とする)は、第1の共振タンクを給電チェーンから切断するアイソレータとして動作する。それ故、給電モードスイッチが無効状態で共振モードスイッチが有効状態である場合、第1のタンクが第2のタンクの周波数に同調させられ、それにより、追加共振器において第2のタンクのアクティブ充電コイルを貫く磁束が増加するようになる。第2のタンクのアクティブ充電コイルを貫く磁束の増加により、充電効率が高められる。こうして、本発明の実施形態では、非アクティブ共振タンクを、給電回路に接続されたアクティブ共振タンクに磁束を導く高Q値磁界レンズとして利用することによって、磁界受信特性を最適化することができる。この種のスイッチ構造を有する共振タンクは、マルチモード共振タンクとも呼ばれる。
【0016】
以上のように、本発明の実施例とは、第2の共振タンクがアクティブであるとき、即ち充電のためにエネルギーを受け取っているときに、携帯デバイスの第1のマルチモード共振タンクを第2の共振タンクの共振周波数に同調することである。携帯デバイスは、どの共振タンクがアクティブであるかと、どのタンクが無効になり追加共振器として使用されるべきであるかを決定する制御ロジックを備えてもよい。制御ロジックは、WLCレシーバであって、そのレシーバが対応する特定の規格に充電信号が従っているかを決定できるWLCレシーバに接続されてもよい。レシーバの1つが自身に対する有効な充電信号があると決定した場合、制御ロジック(又は、アクティブWLCレシーバ)は、非アクティブWLCレシーバの共振タンク回路において共振モードを有効にしてもよい。共振モードの有効化には、非アクティブ共振タンクをWLCレシーバ回路から切断することと、追加コンデンサ又は他の同調手段を非アクティブWLCレシーバの共振タンクに接続することとの何れか又は両方が含まれてもよい。しかし、2つの共振タンクがあって、一方のタンクがアクティブ状態である場合にそのタンクの周波数に同調させることができる共振モードスイッチと、もう一方のタンクが非アクティブタンクである場合、即ち一方のタンクがアクティブ状態である場合に電力伝送を無効にする給電モードスイッチとを、両共振タンクが備えることも可能である。加えて、2より多い、即ち3以上の共振タンクが共振モードスイッチと給電モードスイッチを備え、共振モードスイッチは非アクティブ共振タンクをアクティブ共振タンクの周波数に同調させることができるが、給電モードスイッチは同じ非アクティブタンクの電力伝送を無効にするということも可能である。
【0017】
本発明のある例示的実施形態とその可能性のある利点は、添付の
図1から
図6を参照して理解されよう。
【0018】
図1は、例示的実施形態に従う、マルチスタンダードWLCレシーバの構造100を示している。マルチスタンダードWLCレシーバ構造100は2つの共振タンク101・102、即ち、2つの異なる周波数で動作するように構成されるワイヤレス充電レシーバを備える。第1の共振タンク101はいわゆるマルチモード共振タンクであって、共振モードスイッチ103と給電モードスイッチ(図示せず)、加えてコイル104、コンデンサ105を備える。コンデンサ105は、別の周波チューナに変えられてもよい。共振モードスイッチ103のオンモードでは、第1の共振タンク101が非アクティブで、第2の共振タンクがアクティブである場合、第1の共振タンク101の共振モードスイッチ103は、第1の共振タンク101の第2の共振タンクの周波数への同調を有効にする。共振タンク102の同調は、例えばコイル104の両端にコンデンサ105を接続することによって行われてもよい。コイル104の一部のみを共振させることも可能である。この場合、共振は第2のタンク102の周波数である。第1のタンク101の共振タンク周波数は、共振モードスイッチ103のオンモードにおける共振モードスイッチ103とコンデンサ105によって定義されてもよい。さらに、第1の共振タンク101がアクティブで、第2の共振タンクが非アクティブである場合、又はその何れかである場合、第1の共振タンク101の共振モードスイッチ103は、オフモードとなるように命令され、同調は無効になる。制御ロジック回路120は、どのコイルがアクティブであるかと、どのコイルが無効になりアクティブコイルのための追加共振器として使用されるべきかを決定してもよい。制御ロジック回路120は、共振モードスイッチ103と給電モードスイッチのオン/オフモードを制御してもよい。
【0019】
給電モードスイッチは、例えば同期整流回路109の一部でもよく、給電モードスイッチとして動作する専用アクティブスイッチでもよい。給電モードスイッチは、第1の共振タンク101がアクティブで第2の共振タンク102が非アクティブである場合、オンモード、即ち、第1の共振タンク101と第1のワイヤレス給電レシーバ回路(WLC RX IC1)121との間の電気接続を有効にするように命令される。さらに、オフモード、即ち、第1の共振タンク101が非アクティブで第2の共振タンク102がアクティブである場合、給電モードスイッチは第1のワイヤレス充電レシーバ回路から第1の共振タンク101を切断することによって、充電機能、即ち電力伝送を無効にする。こうして、共振タンク101は寄生負荷としては動作しないか、共振タンク101によって生じる寄生負荷は、アクティブな第2の共振タンク102に対して減らされる。第2の共振タンク102は、コイル16とコンデンサ17を備え、同期整流回路108に接続されている。
【0020】
図2は、例示的実施形態に従う、マルチスタンダードWLCレシーバの構造20を示している。構造20は、両方のタンク21・22が共振モードスイッチ23・24と給電モードスイッチ(図示せず)、加えてコイル25・26、コンデンサ27・28を備えるという点で、構造100とは異なる。したがってこの場合、タンク22がアクティブ状態のときは、タンク21が磁束を共振タンク22に導く高Q値磁界レンズとして用いられ、タンク21がアクティブ状態のときは、タンク22が磁束を共振タンク21に導く高Q値磁界レンズとして用いられる。
【0021】
図3aは、例示的実施形態に従う、共振タンクの誘導エネルギーレシーバコイルを備える携帯デバイス30の背面図を示している。この実施形態では、コイル31・32は平面を形成し、平面の法線は平行である。すなわち、コイル31の法線はコイル32の法線と平行である。そして、上から見ると、即ち、法線方向(Z方向)では、コイル32はコイル31を取り囲んでいる。しかし、コイル31・32は同一平面に配置されてもよく(
図3b参照)、部分的に同一平面に配置されたり(
図3c参照)、携帯30内部の別の平面に配置されたりしてもよい(
図3d参照)。ここで、携帯デバイス30の全ての部分が図示されているわけではない。
【0022】
図3bは、例示的実施形態に従う、
図3aの携帯デバイス30の側面図を示している。この実施形態では、両方のコイル31・32は同一平面上にあって、コイル32はコイル31を取り囲んでいる。
【0023】
図3cは、例示的実施形態に従う、
図3aの携帯デバイス30の側面図を示している。この実施形態では、コイル31・32は一部が同一平面上にあって、コイル32はコイル31を一部取り囲んでいる。
【0024】
図3dは、例示的実施形態に従う、
図3aの携帯デバイス30の側面図を示している。この実施形態では、コイル31・32は一部が別の平面にある。
【0025】
図4aは、例示的実施形態に従う、共振タンクの誘導エネルギーレシーバコイルを備える携帯デバイス40の背面図を示している。この実施形態では、コイル41・42は平面を形成し、平面の法線は平行である。すなわち、コイル41の法線はコイル42の法線と平行である。実施形態4b−4dでは、上から見ると、即ち、法線方向(Z方向)では、コイル41・42は重なり合わない。すなわち、コイル41はコイル42の隣にある。しかし、コイル41・42は同一平面に配置されてもよく(
図4b参照)、部分的に同一平面に配置されたり(
図4c参照)、別の平面に配置されたりしてもよい(
図4d参照)。ここで、携帯デバイス40の全ての部分が図示されているわけではない。
【0026】
図5は、電子装置50、即ちマルチスタンダードWLCレシーバの実施例を示している。この装置は2つの共振タンク、即ちワイヤレス充電レシーバを備え、第1の共振タンクは第1の誘導エネルギーコイル51を備え、第2のタンクは第2の誘導エネルギーコイル52を備える。第1のタンクは第1の充電規格に対応する。すなわち、第1のタンクのコイル51は、第1の周波数で誘導エネルギーを受け取るように構成される。そして、第2のタンクは第2の充電規格に対応する。すなわち、第2のタンクのコイル52は、第1の周波数とは異なる第2の周波数で誘導エネルギーを受け取るように構成される。加えて、タンク構造は、周波チューナと、共振モードスイッチ及び給電モードスイッチを備えるスイッチ構造(図示せず)とを備えてもよい。これらのスイッチは電気式スイッチでも機械式スイッチでもよい。さらに、装置50は、どのコイルがアクティブであるかと、どのコイルが無効になり、アクティブコイルのための追加共振器として使用されるべきかを決定する制御ロジック回路53を備える。タンクが、特定の規格に従ってワイヤレス充電器(図示せず)が伝送する充電信号に対応する場合、そのタンクが具備するコイルがアクティブになってもよい。制御ロジック回路53は、WLC RX IC1 56及びWLC RX IC2 57等のワイヤレス充電レシーバ回路に接続されてもよい。ワイヤレス充電レシーバ回路56・57は、コイル52・53に接続されてもよい。WLCレシーバ回路の1つが自身に対する有効な充電信号があると決定した場合、制御ロジック回路53(換言するとアクティブWLCレシーバ回路)は、非アクティブWLCレシーバの共振タンク回路において共振モードを有効にしてもよい。共振モードの有効化には、非アクティブコイルをWLC回路から切断することと、追加コンデンサを非アクティブコイルの共振タンクに接続することとの何れか又は両方が含まれてもよい。装置50は更に、スイッチ構造を制御するのに使用されるコンピュータプログラムコードを格納するよう構成されるメモリ54と、装置の機能を実行するためにプログラムコードを実行するプロセッサ55とを備える。加えて装置は、コイルに電力を供給するように構成される給電回路を備える。
【0027】
一方、コイル51・52の他にもWLC二次コイルが存在してもよい。装置50は更に、ユーザに充電過程を知らせる1つ又は複数のLED(図示せず)を有していてもよい。装置50は更に、一つまたは複数の物理的なボタン、または、一つまたは複数のタッチスクリーンボタンを有していてもよい。装置50はキーパッドを備えていてもよい。このキーパッドは、タッチスクリーンのキーパッドとしてのディスプレイ上、または、物理的なキーパッドとしての装置50の筐体上に備えられる(図示せず)。装置50は更に、音声の送受信をするためにマイクやスピーカ(図示せず)を備えることもできる。装置50は通信インターフェースを備えることもできる(図示せず)。この通信インターフェースは、装置50を無線ネットワーク及び/または有線ネットワークを介して別の機器に接続するように構成され、上記無線ネットワーク及び/または有線ネットワークによってデータを受信及び/または送信することができる。装置50はさらに、ユーザインターフェースの表示等を提供するためのディスプレイ及び入出力要素を備えることもできる。さらに装置50は、「充電が完了しました」等、充電状況に関するユーザへの音声メッセージを提供するスピーカを備えてもよい。
【0028】
図6は、例示的実施形態に従う、マルチスタンダードWLCレシーバ装置の充電方法60のフローチャートを示している。
図6に記載された機能は、例えばマルチスタンダードWLC給電装置の制御ロジック回路に実装されてもよい。この実施例におけるマルチスタンダードWLCレシーバ装置は、複数のワイヤレス充電レシーバ回路(WLC RX)を備え、各WLC RXは特定の規格に特化しており、これらのWLC RXはそれぞれに適切な充電信号の存在を決定することができる。開始ステップ61で、マルチスタンダードWLCレシーバ装置の給電モードスイッチは有効、同じマルチスタンダードWLCレシーバ装置の共振モードスイッチは無効である。ステップ62で、制御ロジック回路は、複数のWLC RXに対してアクティブ標示情報を要求する、即ちそうした要求を送信し、複数のWLC RXからアクティブ標示情報を受信する。WLC RXは、アクティブ情報を制御ロジックに伝送し、制御ロジックはそれに従って動作してもよい。(ステップ63で)アクティブWLC RXが存在する場合、ステップ64で、複数の非アクティブWLC RXのワイヤレス給電モードスイッチが無効になる。(ステップ63で)アクティブWLC RXが存在しない場合、この方法はステップ62戻る。ステップ65で、複数の非アクティブWLC RXのワイヤレス共振モードスイッチが有効になる。ステップ64と65の間、マルチスタンダードWLCレシーバ装置はエネルギーを受け取っている。ステップ66で、充電が完了したかが確認される。未だ完了していない場合、マルチスタンダードWLCレシーバ装置はWLCエネルギーの受け取りを継続する。完了の場合、ステップ67で、複数の非アクティブWLC RXの共振モードスイッチが無効になり、ステップ68で、複数の非アクティブWLC RXの給電モードスイッチが有効になる。
図6の動作はワイヤレス充電装置の文脈で記述されていたが、当然ながらこうした動作は、受け取ったエネルギーを直接負荷に供給するのにも使用することができる。
【0029】
共振タンクで使用されるコイルはそれぞれ異なっていてもよい。例えば、コイルにはリッツコイル線及び/又は直径の異なるコイル線を用いることもできる。例えば、第1のコイルのコイル線は第2のコイルのコイル線よりも細くてもよい。これは即ち、充電されるべきデバイスにおける別々の共振タンクのコイルがそれぞれ異なる厚みを持てることを意味する。あるいは、コイルがそれぞれ別々のコイル巻き数を持つこともできる。さらに、コイルの形状と直径は、充電されるべきデバイスにおける共振タンク毎にそれぞれ異なっていてもよい。ただし、例えば直径の異なるコイル線が使われる場合でも、コイルの形状と直径はコイル同士で同じにすることもできる。上から見ると、即ち、法線方向では、コイルは一部が重なっていてもよいことに留意すべきである。すなわち、第1のコイルが第2のコイルと一部重なっていてもよい。したがって、コイルの形状と大きさは、これまで示されてきた実施形態に限定されない。本発明の例示的実施形態をマルチモード充電レシーバの文脈で説明してきたが、本発明は、マルチモードワイヤレス充電トランスミッタにおいても等しく適用可能である。すなわち、マルチモードWLC構造は、エネルギーをワイヤレスで伝送する、即ち受け取ったり送ったりするのに使用することができる。
【0030】
本発明の実施形態は、本明細書に紹介したものに限定されるものではないことは当然であり、請求項の範囲内で様々に変形されうるものであることは明らかである。