特許第6061418号(P6061418)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061418
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】用紙折畳み方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/18 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   B65H45/18
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-143802(P2012-143802)
(22)【出願日】2012年6月27日
(65)【公開番号】特開2014-5141(P2014-5141A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000214836
【氏名又は名称】長野日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(72)【発明者】
【氏名】市川 毅
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−012158(JP,A)
【文献】 特開2005−008333(JP,A)
【文献】 特開2003−341928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/06
B65H 45/00 〜 45/30
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に搬入された用紙の所定位置に、移動する用紙折ガイドを押し当てるとともに、前記搬送路に沿って配した一対の折ローラ間に、前記用紙を進入させることにより当該用紙に対する折畳みを行う用紙折畳み方法であって、搬入された用紙を所定の折り位置に停止させた後、先端部に断面円形のコロシャフトを回動自在に支持した用紙折ガイドを、用紙面に対する交差方向に移動させることにより、前記コロシャフトを前記用紙の所定位置に押し当て、前記一対の折ローラ間に前記用紙を進入させることにより当該用紙に対する折畳みを行うことを特徴とする用紙折畳み方法。
【請求項2】
搬入された用紙をレジセンサにより検出した後、当該用紙を、停止したレジローラ機構に当接させることにより、当該用紙に対するスキュー補正を行うことを特徴とする請求項1記載の用紙折畳み方法。
【請求項3】
前記スキュー補正の終了後、前記レジローラ機構を所定の設定時間だけ回転させることにより、前記用紙を所定の折り位置に停止させることを特徴とする請求項2記載の用紙折畳み方法。
【請求項4】
前記用紙折ガイドを移動させることにより前記一対の折ローラ間に進入させる際には、 前記レジローラ機構の回転を停止させ、かつ前記一対の折ローラの手前(搬送方向後方)に配した搬入ローラ機構により、前記用紙に対して所定のバックテンションを付与することを特徴とする請求項3記載の用紙折畳み方法。
【請求項5】
前記搬送路に付設して前記用紙の搬送をガイドするガイドプレートであって、前記用紙折ガイドの移動により変位する用紙に対応するガイドプレートは、変位可能な可動ガイドプレートとして構成し、前記用紙折ガイドの位置に連動して前記可動ガイドプレートの位置を変位させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の用紙折畳み方法。
【請求項6】
搬送路に搬入された用紙の所定位置に、移動する用紙折ガイドを押し当てるとともに、前記搬送路に沿って配した一対の折ローラ間に、前記用紙を進入させることにより当該用紙に対する折畳みを行う折畳み処理部を備える用紙折畳み装置であって、先端部に断面円形のコロシャフトを回動自在に支持した用紙折ガイドと、この用紙折ガイドを用紙面に対する交差方向に移動させるガイド移動機構と、このガイド移動機構を制御することにより、少なくとも、前記コロシャフトを前記用紙の所定位置に押し当て、前記一対の折ローラ間に前記用紙を進入させることにより当該用紙に対する折畳みを行う制御手段とを有する折畳み処理部と、前記一対の折ローラの搬送方向前方に配設し、前記制御手段により回転制御又は回転停止制御可能なレジローラ機構とを備えてなることを特徴とする用紙折畳み装置。
【請求項7】
前記ガイド移動機構は、前記用紙折ガイドを、用紙面から離間する第一位置と前記一対の折ローラ間に進入する第二位置間を移動させる機能を備えることを特徴とする請求項6記載の用紙折畳み装置。
【請求項8】
前記搬送路に付設して前記用紙の搬送をガイドするガイドプレートであって、前記用紙折ガイドの移動により変位する用紙に対応するガイドプレートを、変位可能な可動ガイドプレートとして構成するとともに、前記ガイド移動機構に、前記用紙折ガイドの位置に連動して前記可動ガイドプレートの位置を変位させるガイドプレート連動機構を設けることを特徴とする請求項6又は7記載の用紙折畳み装置。
【請求項9】
前記搬送路に沿って配した一対の折ローラの搬送方向後方には、用紙に対して所定のバックテンションを付与可能なワンウェイクラッチ又はトルクリミッタを付設した搬入ローラ機構を配設することを特徴とする請求項6,7又は8記載の用紙折畳み装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬入された用紙を一対の折ローラにより折畳む際に用いて好適な用紙折畳み方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、印刷装置等により印刷された用紙を、二つ折り,三つ折り,観音折り等の各種折り形式に折畳むことができるようにした用紙折畳み装置は知られており、通常、この種の用紙折畳み装置は、搬送路に搬入された用紙の所定位置に、移動する用紙折ガイドを押し当てるとともに、搬送路に沿って配した一対の折ローラ間に、用紙を進入させることにより折畳みを行う折畳み処理部を備えている。
【0003】
従来、このような折畳み処理部を備える用紙折畳み装置としては、特許文献1で開示される用紙折り装置及び特許文献2で開示されるシート処理装置が知られている。同文献1で開示される用紙折り装置は、受け入れた用紙を搬送するための第1の搬送路と、第1の搬送路の下流側に、当該搬送路に沿って互いに接触し、かつ相互に逆回転する第1の折りローラおよび第2の折りローラと、第1の折りローラに対向し、当該ローラに接離自在な第1の従動ローラと、第2の折りローラに対向し、当該ローラに接離自在な第2の従動ローラと、前記第2の折りローラの下流側に配置される第2の搬送路とを備え、第1の折りローラを搬送方向に、他方、第2の折りローラを戻し方向に回転させ、第2の従動ローラを第2の折りローラから離間した状態で、用紙の先端を第2の搬送路に送った後、第2の従動ローラを第2の折りローラに接触させて当該用紙を第1の折りローラおよび第2の折りローラで形成されるニップに導き、当該ニップの圧力によって第1の折り動作を行なった後、第1の折りローラおよび第2の折りローラを逆回転させ、第2の折りローラと第2の従動ローラとの間で、第2の折り動作を行なうものであり、用紙ガイドの先端部に取り付けられた可撓性を有するマイラ板によってループの隣接した領域を第2の折りローラに向けて押すことで、ループを左右均等に押さえ込むことができる構成を備えている。
【0004】
また、同文献2で開示されるシート処理装置は、シートに湾曲部を作り該湾曲部をローラ対に巻き込むことにより該シートに折り処理を施すシート処理装置において、ローラ対に巻き込むシートの湾曲部を押さえ込む押さえ込み部材を備え、押さえ込み部材は、シートの湾曲部に隣接した領域をローラ対側に押して該押さえ込み部材による湾曲部の押さえ込みを補助する、可撓性の押さえ込み補助部材を備えたものであり、折りローラに対応する位置には、ガイド爪を一体的に設けた従動ローラを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−008337号公報
【特許文献2】特開2006−052074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献1及び2で開示される従来の用紙折畳み装置は、次のような問題点があった。
【0007】
第一に、用紙の所定位置に、先端をV形に形成した用紙折ガイドを押し当てて一対の折りローラ間に進入させるため、用紙の画像面(印刷面等)に擦り傷が付きやすい。印刷方式によってはその影響が大きく、特に近年のフルカラープリンタの場合は傷が目立ちやすい。また、紙質や紙厚によっても影響を受けやすく、特に紙厚が薄い場合には破ける等の不具合を生じやすい。
【0008】
第二に、先端がV形の用紙折ガイドを用いるとともに、この用紙折ガイドを一対の折りローラ間に進入させる際には、回動変位させることにより円弧軌跡上を移動させるため、用紙の状態(環境,紙質,紙厚,サイズ等)によっては、折畳む位置がズレたり、用紙毎に折畳む位置のバラツキが発生しやすい。結局、折畳み品質が安定せず、折畳み品質の無視できない低下要因となる。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した用紙折畳み方法及び装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る用紙折畳み方法は、上述した課題を解決するため、搬送路3に搬入された用紙Pの所定位置に、移動する用紙折ガイドを押し当てるとともに、搬送路3に沿って配した一対の折ローラ2p,2m間に、用紙Pを進入させることにより当該用紙Pに対する折畳みを行うに際し、搬入された用紙Pを所定の折り位置Xsに停止させた後、先端部に断面円形のコロシャフト4sを回動自在に支持した用紙折ガイド4を、用紙面Pfに対する交差方向Fsに移動させることにより、コロシャフト4sを用紙Pの所定位置に押し当て、一対の折ローラ2p,2m間に用紙Pを進入させることにより当該用紙Pに対する折畳みを行うようにしたことを特徴とする。
【0011】
この場合、発明の好適な態様により、搬入された用紙PをレジセンサSrにより検出した後、当該用紙Pを、停止したレジローラ機構5に当接させることにより、当該用紙Pに対するスキュー補正を行うことができるとともに、スキュー補正の終了後、レジローラ機構5を所定の設定時間だけ回転させることにより、用紙Pを所定の折り位置Xsに停止させることができる。また、用紙折ガイド4を移動させることにより一対の折ローラ2pと2m間に進入させる際には、レジローラ機構5の回転を停止させ、かつ一対の折ローラ2p,2mの手前に配した搬入ローラ機構6により、用紙Pに対して所定のバックテンションを付与することができる。さらに、搬送路3に付設して用紙Pの搬送をガイドするガイドプレートG…であって、用紙折ガイド4の移動により変位する用紙Pに対応するガイドプレートG…は、変位可能な可動ガイドプレートGma,Gmbとして構成し、用紙折ガイド4の位置に連動して可動ガイドプレートGma,Gmbの位置を変位させることができる。
【0012】
一方、本発明に係る用紙折畳み装置1は、上述した課題を解決するため、搬送路3に搬入された用紙Pの所定位置に、移動する用紙折ガイドを押し当てるとともに、搬送路3に沿って配した一対の折ローラ2p,2m間に、用紙Pを進入させることにより当該用紙Pに対する折畳みを行う折畳み処理部を備えてなる折畳み装置を構成するに際して、先端部に断面円形のコロシャフト4sを回動自在に支持した用紙折ガイド4と、この用紙折ガイド4を用紙面Pfに対する交差方向Fsに移動させるガイド移動機構7と、このガイド移動機構7を制御することにより、少なくとも、コロシャフト4を用紙Pの所定位置に押し当て、一対の折ローラ2p,2m間に用紙Pを進入させることにより当該用紙Pに対する折畳みを行う制御手段8とを有する折畳み処理部Usと、一対の折ローラ2p,2mの搬送方向前方に配設し、制御手段8により回転制御又は回転停止制御可能なレジローラ機構5とを備えてなることを特徴とする。
【0013】
この場合、発明の好適な態様により、ガイド移動機構7には、用紙折ガイド4を、用紙面Pfから離間する第一位置Xrと一対の折ローラ2pと2m間に進入する第二位置Xi間を移動させる機能を設けることができる。また、搬送路3に付設して用紙Pの搬送をガイドするガイドプレートG…であって、用紙折ガイド4の移動により変位する用紙Pに対応するガイドプレートG…を、変位可能な可動ガイドプレートGma,Gmbとして構成するとともに、ガイド移動機構7には、用紙折ガイド4の位置に連動して可動ガイドプレートGma,Gmbの位置を変位させるガイドプレート連動機構7rを設けることができる。他方、搬送路3に沿って配した一対の折ローラ2p,2mの搬送方向後方には、用紙Pに対して所定のバックテンションを付与可能なワンウェイクラッチ又はトルクリミッタを付設した搬入ローラ機構6を配設することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
このような構成を有する本発明に係る用紙折畳み方法及び装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0015】
(1) 先端部に断面円形のコロシャフト4sを回動自在に支持した用紙折ガイド4を、用紙面Pfの交差方向Fsに移動させることにより、コロシャフト4sを用紙Pの所定位置に押し当てるようにしたため、コロシャフト4sが用紙面Pfをスムースに移動可能となり、用紙面Pfに擦り傷が付いてしまう問題を解消できる。したがって、特に、傷が目立ちやすいフルカラープリンタ等に用いて最適となる。しかも、薄い用紙Pが破けてしまう問題も解消できるため、印刷できる用紙Pの種類拡大により汎用性を高めることができるとともに、ユーザの利便性向上及び使い勝手の向上に寄与できる。
【0016】
(2) コロシャフト4sが用紙面Pfをスムースに移動可能なため、用紙の状態(環境,紙質,紙厚,サイズ等)によって、折畳む位置がズレたり、用紙毎に折畳む位置のバラツキを生じる不具合を解消できる。これにより、折畳み品質を安定させることができるとともに、折畳み品質を高めることができる。
【0017】
(3) 好適な態様により、搬入された用紙PをレジセンサSrにより検出した後、用紙Pを、停止したレジローラ機構5に当接させることにより、当該用紙Pに対するスキュー補正を行うようにすれば、コロシャフト4sを有する用紙折ガイド4の使用と併せて、更なる折畳み品質の向上に寄与できる。
【0018】
(4) 好適な態様により、スキュー補正の終了後、レジローラ機構5を所定の設定時間だけ回転させることにより、用紙Pを所定の折り位置Xsに停止させるようにすれば、用紙Pを折畳む際の所定位置を正確に設定でき、コロシャフト4sを有する用紙折ガイド4の使用と併せて、更なる折畳み品質の向上に寄与できる。
【0019】
(5) 好適な態様により、用紙折ガイド4を移動させることにより一対の折ローラ2pと2m間に進入させる際に、レジローラ機構5の回転を停止させ、かつ一対の折ローラ2p,2mの手前に配した搬入ローラ機構6により、用紙Pに対して所定のバックテンションを付与するようにすれば、折畳み時における用紙Pの弛みを防止し、折り精度をより高めることができるとともに、折畳み位置のバラツキを大きく低減できる。
【0020】
(6) 好適な態様により、搬送路3に付設して用紙Pの搬送をガイドするガイドプレートG…であって、用紙折ガイド4の移動により変位する用紙Pに対応するガイドプレートG…を、変位可能な可動ガイドプレートGma,Gmbとして構成し、用紙折ガイド4の位置に連動して可動ガイドプレートGma,Gmbの位置を変位させるようにすれば、用紙Pが無用に接触してしまうなどの不具合を回避できるとともに、ガイドプレート連動機構7rの追加により容易に実施できるため、構成の簡略化,小型化及び低コスト化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の好適実施形態に係る用紙折畳み装置の要部及びその周辺構造を原理的に示す正面構成図、
図2】同用紙折畳み装置の要部を示す正面構成図、
図3】同用紙折畳み装置の要部を示す斜視図、
図4】同用紙折畳み装置の要部の作用説明図、
図5】同用紙折畳み装置の正面から見た全体の内部構成図、
図6】同用紙折畳み装置の主要機構を示す構成図、
図7】同用紙折畳み装置の制御系のブロック系統図、
図8】同用紙折畳み装置の要部の動作を説明するためのフローチャート、
図9】本発明の好適実施形態に係る用紙折畳み方法により用紙を折畳む際の動作説明図、
図10】同用紙折畳み方法により用紙を折畳む際の次工程の動作説明図、
図11】同用紙折畳み方法により用紙を折畳む際の次工程の動作説明図、
図12】同用紙折畳み方法により用紙を折畳む際の次工程の動作説明図、
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
まず、本実施形態に係る用紙折畳み装置1の全体及び要部の構成について、図1図7を参照して説明する。
【0024】
図5は、用紙折畳み装置1全体の概略構成を示す。例示の用紙折畳み装置1は、印刷装置90のオプション装置であり、用紙後処理装置(第一用紙後処理装置)として位置付けられる。したがって、印刷装置90の後段に設置、具体的には印刷装置90の用紙排出口に対向させて設置する。一方、用紙折畳み装置1の更に後段には、必要に応じて製本装置等の第二用紙後処理装置91を付設することができる。
【0025】
用紙折畳み装置1は、キャビネット71を備え、このキャビネット71における底部71dの外面(下面)には複数のキャスタ72…を備える。また、キャビネット71における底部71dの内面(上面)には、スタッカ73を配する。スタッカ73は、例えば、スライドさせることにより外部に引出可能な引出形式に構成することができる。さらに、キャビネット71の左パネル部71pには用紙搬入口75を設けるとともに、右パネル部71qには用紙搬出口76を設ける。
【0026】
他方、キャビネット71の内部における用紙搬入口75から用紙搬出口76間には、ほぼ水平となる水平搬送路81を配設するとともに、この水平搬送路81とスタッカ73間、即ち、水平搬送路81の下方であって、スタッカ73の上方における空間には、用紙折畳み機構部40を配設する。水平搬送路81は、前段の搬入路81iと、中段の通過搬送路81pと、後段の搬出路81eからなる。そして、搬入路81iの下流端からは下方に至る前搬送路81fの上端を分岐させるとともに、搬出路81eの上流端には下方からの排紙搬送路82の上端を合流させる。また、搬入路81iの下流端に対向させた切換フラッパ83を配設する。この切換フラッパ83は不図示のソレノイドにより切換られ、搬入路81iの下流端に対して、通過搬送路81pの上流端又は前搬送路81fの上流端を選択的に接続することができる。前搬送路81fと排紙搬送路82は、用紙折畳み機構部40の一部となり、折畳み前の用紙Pは前搬送路81fから供給されるとともに、折畳み後の用紙P、具体的には、二つ折りされた用紙PとZ折りされた用紙Pは排紙搬送路82から排出される。
【0027】
図6には、用紙折畳み機構部40を抽出して示す。用紙折畳み機構部40は、上端が用紙Pの搬入側となり下端が用紙Pの搬出側となる半円状に湾曲させた主搬送路10を備える。そして、主搬送路10の上側に前折畳み処理部Ufを配設し、かつ主搬送路10の下側に本発明の要部を構成する折畳み処理部Usを配設する。
【0028】
前折畳み処理部Ufは、圧接した一対の前ローラ11p,11qを備えるとともに、前搬送路81fにより搬入された用紙Pの所定位置を一対の前ローラ11p,11q間に進入させる前用紙折ガイド12を備える。この場合、一対の前ローラ11p,11qは上下に配し、かつ主搬送路10の上端開口の手前に配設するとともに、一方の前ローラ11pは前折モータM1により回転可能に構成する。一方、上述した搬入路81iの下流端から分岐させた前搬送路81fは下方に至らせ、その中間位置を前ローラ11p,11qの手前に位置させる。これにより、搬入路81iから搬送された用紙Pを、前搬送路81fにより前折畳み処理部Ufに対してローラ配列方向へ搬入する前搬入機構部が構成される。前用紙折ガイド12は、前折ソレノイドC1(図7)を用いたガイド移動機構により移動可能に構成する。この前用紙折ガイド12は、後述する後用紙折ガイド(用紙折ガイド)4と同様に構成する。さらに、13は一方の前ローラ11pと搬送ローラRにより構成したレジローラ機構を示すとともに、Sfはレジローラ機構13の手前に配した前折レジセンサを示す。
【0029】
また、主搬送路10には、一対の前ローラ11pと11q間を通過した用紙Pを、後述する後折畳み処理部Usのローラ配列方向であって後折畳み処理部Usの搬送方向左右両側に搬入可能な一対の搬送路(後搬送路)3,3eを有するとともに、主搬送路10の中間位置に配することにより、一対の後搬送路3,3eに対して用紙Pを選択的に進入させる後搬送路切換フラッパ3cを有する後搬入機構部を設ける。この場合、図6に示すように、後搬送路切換フラッパ3cよりも搬送方向前方における主搬送路10を、一方の後搬送路(第一後搬送路)3として用いるとともに、別途、弓状の搬送路を追加して他方の後搬送路(第二後搬送路)3eとして構成する。後搬送路切換フラッパ3cは、後切換ソレノイドC2(図7)を用いたフラッパ切換機構により切換可能に構成する。
【0030】
他方、主搬送路10の下側に配設する後折畳み処理部(折畳み処理部)Usは、本発明の要部を構成する。以下、後折畳み処理部Usの構成について、図1図6を参照して具体的に説明する。
【0031】
後折畳み処理部Usは、図1に示すように、一対の折ローラ2m,2p、即ち、主折ローラ2mと、この主折ローラ2mの搬入方向後側に圧接させた副折ローラ2pを備えるとともに、主折ローラ2mの搬入方向前側に圧接させた副ローラ2qを備え、主折ローラ2mと副折ローラ2pは第一後搬送路3(主搬送路10)に沿って配する。この主折ローラ2mは、後折モータM2により回転可能に構成する。また、第一後搬送路3における副折ローラ2pに対して搬送方向後方には、一対の搬送ローラR…により構成する搬入ローラ機構6を配設する。この場合、搬入ローラ機構6には、用紙Pに対して所定のバックテンションを付与可能なワンウェイクラッチ又はトルクリミッタを付設する。これにより、主折ローラ2mと副折ローラ2p間による折畳み時には、用紙Pの弛みを防止し、折り精度をより高めることができるとともに、折畳み位置のバラツキを大きく低減できる。さらに、第一後搬送路3における主折ローラ2mに対して搬送方向前方には、後述する制御手段8により回転制御又は回転停止制御可能なレジローラ機構5を配設する。Srはレジローラ機構5の手前に配設した後折レジセンサ(レジセンサ)を示す。
【0032】
一方、後折畳み処理部Usには、第一後搬送路3に搬入された用紙Pの所定位置を主折ローラ2mと副折ローラ2p間に進入させる後用紙折ガイド(用紙折ガイド)4を備える。後折畳み処理部Usは、図3に示す折ガイドユニット20を備え、後用紙折ガイド4はこの折ガイドユニット20により支持される。折ガイドユニット20において、21は位置が固定された固定フレームであり、この固定フレーム21は左右に離間した一対の支持プレート部21p,21qと、この支持プレート部21pと21q間に一体に形成し、かつ前後に位置する一対のガイドプレートG…、即ち、ガイドプレートGca,Gccにより構成する。この場合、一方のガイドプレートGcaは、図1に示す副折ローラ2pの手前(搬送方向後方)に固定して配設するガイドプレートGとなり、他方のガイドプレートGccは、図1に示す主折ローラ2mの搬送方向前方に固定して配設するガイドプレートGとなる。また、図3に示すように、ガイドプレートGcaにより搬入ローラ機構6における上側の搬送ローラRを支持するとともに、ガイドプレートGccによりレジローラ機構5における上側のレジローラ5uを支持する。
【0033】
さらに、後用紙折ガイド4は、一体形成した折ガイドプレート22を備える。折ガイドプレート22は、左右に長い水平プレート部22hとこの水平プレート部22hの両端から下方側へ直角に折曲したブラケットプレート部22p,22qを有し、このブラケットプレート部22p,22qの下端部(先端部)に断面円形のコロシャフト4sを回動自在に支持することにより後用紙折ガイド4を構成する。他方、折ガイドユニット20には、後用紙折ガイド4を移動させるガイド移動機構7を備える。この場合、一対の支持プレート部21p,21qにおける前後方向中間位置に、縦方向に沿ったガイドスリット23p…をそれぞれ形成し、後用紙折ガイド4における各ブラケットプレート部22p,22qから外方に突出したコロシャフト4sの両端部をそれぞれ係合させるとともに、各ブラケットプレート部22p,22qの上端部に外方へ突出させて固定した支軸部24p…をそれぞれ係合させる。これにより、先端部にコロシャフト4sを支持した後用紙折ガイド4は、ガイドスリット23p…に沿って平行移動自在に支持される。この際、後用紙折ガイド4の移動範囲は、用紙面Pfから所定距離だけ離間する第一位置Xrから副折ローラ2pと主折ローラ2m間の設定した進入限まで進入する第二位置Xiまでとなるとともに、後用紙折ガイド4の移動方向は、用紙Pの用紙面Pfに対する交差方向Fsとなる。
【0034】
また、一対の支持プレート部21pと21q間における搬送方向後側位置には支持シャフト25を回動自在に架設する。そして、支持シャフト25の一端にレバー部材26の一端を固定するとともに、レバー部材26の他端側には長孔部26sを形成し、この長孔部26sを後用紙折ガイド4の支軸部24pに係合させる。他方、支持シャフト25の他端にはリンク部材27の一端を固定する。一方、支持プレート部21qの上端には、後折ソレノイド(リニアアクチュエータ)C3を固定し、この後折ソレノイドC3から突出する駆動プランジャC3pの先端とリンク部材27の他端を連結部材28により連結する。
【0035】
さらに、ガイド移動機構7には、ガイドプレート連動機構7rを備える。この場合、前述したガイドプレートG…のうち、第一後搬送路3に配設して用紙Pの搬送をガイドするガイドプレートG…であって、後用紙折ガイド4の移動により変位する用紙Pに対応するガイドプレートG…は、変位可能な可動ガイドプレートGma,Gmbとして構成する。例示の場合、一方の可動ガイドプレートGmaは、図1に示す上側に位置するガイドプレートGcaに対面する下側のガイドプレートGとなり、他方の可動ガイドプレートGmbは、図1に示すガイドプレートGcaとガイドプレートGcc間に配設するガイドプレートGとなる。そして、一方の可動ガイドプレートGmaは、左右両端位置に、上方へ直角に折曲したブラケットGmak…を一体形成し、このブラケットGmak…を支持プレート部21p,21qの外面にそれぞれ回動自在に取付けるとともに、ブラケットGmakとレバー部材26間にはコイルスプリング30を架設して可動ガイドプレートGma側の連動機構部7raを構成する。また、他方の可動ガイドプレートGmbは、左右両端位置に、上方へ直角に折曲したブラケットGmbk…を一体形成し、このブラケットGmbk…を支持プレート部21p,21qの内面にそれぞれ回動自在に取付けるとともに、可動ガイドプレートGmbの一端部を折ガイドプレート22に一体形成したストッパ部22s上に載置して可動ガイドプレートGmb側の連動機構部7rbを構成する。
【0036】
このように、第一後搬送路3に付設して用紙Pの搬送をガイドするガイドプレートG…であって、後用紙折ガイド4の移動により変位する用紙Pに対応するガイドプレートG…を、変位可能な可動ガイドプレートGma,Gmbとして構成し、後用紙折ガイド4の位置に連動して可動ガイドプレートGma,Gmbの位置を変位させるガイドプレート連動機構7r(7ra,7rb)を設ければ、用紙Pが無用に接触してしまうなどの不具合を回避できるとともに、ガイドプレート連動機構7rを追加するのみで容易に実施できるため、構成の簡略化,小型化及び低コスト化に寄与できる。
【0037】
一方、図6に示すように、後折畳み処理部Usには、主折ローラ2mと副折ローラ2p間を通過した用紙Pを、主折ローラ2mと副ローラ2qのローラ配列方向へ搬入可能な搬送方向切換フラッパ35x,35yを配設する。各切換フラッパ35x,35yは、それぞれ独立して切換えられる。このように、後折畳み処理部Usに、主折ローラ2mと一方の副折ローラ2p間を通過した用紙Pを、主折ローラ2mと他方の副ローラ2qのローラ配列方向へ搬入可能な搬送方向切換フラッパ35x,35yを設ければ、主折ローラ2mと一方の副折ローラ2p間及び主折ローラ2mと他方の副ローラ2q間の双方を利用する観音折りを行うことができる。以上が、後折畳み処理部Usの要部の構成となる。
【0038】
他方、第二後搬送路3eには、第二後折レジセンサSs及び一対の搬送ローラR…を有するレジローラ機構36を配設する。また、主折ローラ2mと副ローラ2q間の接線方向前方には排紙系37を配設する。この場合、排紙系37の手前には、排出方向切換フラップ38を配設する。これにより、主折ローラ2mと副ローラ2q間から搬出された用紙Pを、合流搬送路39を介した排紙搬送路82側又は排紙系37側に対して選択的に搬出可能となる。なお、上述した搬出路81eの上流端に合流する排紙搬送路82は下方に至らせ、下部を半円状に湾曲させるとともに、排紙搬送路82の上流端(下端)は、主搬送路10の下端開口に連続させる。これにより、主搬送路10と排紙搬送路82の下部82dにより円状の搬送路85が形成される。
【0039】
その他、本実施形態に係る用紙折畳み装置1の全体における各搬送路10…の所定位置には、用紙P…を搬送する一対の搬送ローラR…を有する複数の搬送ローラ機構を設けるとともに、各搬送路10…には搬送される用紙P…の搬送方向をガイドする複数の固定したガイドプレートG…を設ける。なお、M3は各搬送路10…における搬送ローラR…を回転させる主搬送モータを示す。
【0040】
このような構成を備える用紙折畳み装置1によれば、装置全体における折畳み処理部は、前折畳み処理部Ufと後折畳み処理部Usの二つで足りるとともに、折畳み処理に要するローラも計五つで足りるなど、部品点数の削減及び各処理部Uf,Usを配設するための省スペース化が可能となり、装置全体の小型化及びコストダウンを図ることができる。また、この種の用紙折畳み装置では、ローラ径を小さくしたり搬送路の曲率を大きくするほど、装置全体を小型化できるが、反面、厚紙の折畳みに対しては不利になる。しかし、本実施形態に係る用紙折畳み装置1では、前折畳み処理部Ufと後折畳み処理部Usの二つの折畳み処理部を用いるとともに、合理的なレイアウトの採用により、従来の用紙折畳み装置に対して、装置の小型化と厚紙の折畳み処理の双方を実現できるとともに、そのバランスの最適化を図ることができる。
【0041】
さらに、図7には、用紙折畳み装置1における制御系61の全体構成を示す。制御系61は、用紙折畳み装置1の全体の制御を司る制御部62を備える。制御部62は、CPU,メモリ等のハードウェアを有するとともに、特に、一連の折畳み処理、即ち、二つ折り,Z折り,外三つ折り,内三つ折り,四つ折り及び観音折りを含む各種折り形式に係わる折畳み処理を実行可能なシーケンスプログラム63(ソフトウェア)を有するコンピュータ機能を備える。制御部62のセンサ入力ポートには、前述した前折レジセンサSf,後折レジセンサSr及び第二後折レジセンサSsを接続する。また、制御部62のドライブ出力ポートには、前述した前折モータM1,後折モータM2及び主搬送モータM3を接続するとともに、前折ソレノイドC1,後切換ソレノイドC2及び後折ソレノイドC3を接続する。したがって、この制御系61(制御部62)は、ガイド移動機構7を制御することにより、少なくとも、コロシャフト4を用紙Pの所定位置に押し当て、主折ローラ2pと副折ローラ2m間に用紙Pを進入させることにより当該用紙Pに対する折畳みを行うための制御手段8を構成する。
【0042】
一方、制御部62には、印刷装置90に備える印刷装置コントローラ65を接続することができる。印刷装置コントローラ65は、印刷装置90,用紙折畳み装置(第一用紙後処理装置)1及び第二用紙後処理装置91を含む全体の管理及び制御を行うコンピュータ機能を有するコントローラであり、操作部(設定部)66,表示部67及びメモリ68が付属する。これにより、オペレータは、表示部67に表示される操作画面(設定画面)に従い、操作部(設定部)66により各種折り形式を選択できるとともに、必要な操作及び設定を行うことができる。なお、メモリ68には必要な管理及び制御に必要なアプリケーションプログラムやデータベースが格納されている。
【0043】
次に、本実施形態に係る用紙折畳み装置1の全体動作を含む用紙Pの折畳み処理の一例について、図1図12を参照して説明する。
【0044】
用紙折畳み装置1は、用紙Pに対して折畳みを行わない通常モードと用紙Pに対して折畳みを行う折畳モードを選択できる。通常モードを選択した場合には、図5に示す切換フラッパ83が切換えられ、搬入路81iの下流端に対して通過搬送路81pの上流端が接続される。これにより、印刷装置90で印刷された用紙Pは、用紙搬入口75から搬入路81iに搬入されるとともに、搬入路81i,通過搬送路81p及び搬出路81eを搬送され、用紙搬出口76から外部に排出される。排出された用紙Pは、不図示のストッカにストックされたり或いは必要により第二用紙後処理装置91に供給され、例えば、製本装置による製本処理等が行われる。これに対して、折畳みモードを選択した場合には、切換フラッパ83が切換えられ、搬入路81iの下流端に対して前搬送路81fの上流端が接続される。これにより、用紙搬入口75から搬入路81iに搬入された用紙Pは、前搬送路81fを搬送され、用紙折畳み機構部40に供給される。そして、用紙折畳み機構部40により用紙Pに対する折畳み処理が行われる。
【0045】
以下、用紙折畳み機構部40による折畳み処理の一例、特に、後用紙折ガイド4の具体的な機能(作用)を含む「内三つ折り」の例について、図1図7及び図9図12を参照しつつ図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0046】
まず、図6において、前搬送路81fにより用紙Pが搬入されれば、前折レジセンサSfにより用紙Pの先端が検出される。これにより、レジローラ機構13(前折モータM1)の回転は所定の設定時間経過後に停止する。次いで、前折ソレノイドC1(図7)が駆動制御され、リリース位置にある前用紙折ガイド12が前進し、用紙Pの前端から後方における略1/3位置が前ローラ11pと11q間に進入する。この後、前折モータM1が駆動制御され、前折畳み処理部Ufを構成する前ローラ11p,11qが回転することにより、用紙Pが前ローラ11pと11q間に引込まれ、用紙Pは二つ折りされる(第一折処理)。また、後切換ソレノイドC2(図7)が駆動制御され、後搬送路切換フラッパ3cが第一後搬送路3側に切換えられ、前ローラ11pと11q間から搬出された二つ折りされた用紙Pは、第一後搬送路3に搬入される。以上が、図8における第二折処理までの前工程となる(ステップS1)。
【0047】
この後、用紙Pは、第一後搬送路3における搬入ローラ機構6により搬送される(ステップS2)。そして、用紙Pの先端が後折レジセンサSrにより検出されれば、スキュー補正を行う(ステップS3,S4)。この場合、レジローラ機構5が停止制御されるため、図9に示すように、用紙Pの先端辺がレジローラ機構5に当接し、同先端辺がレジローラ5u…の軸方向に平行となるように補正される。これにより、コロシャフト4sを有する後用紙折ガイド4の使用と併せて、更なる折畳み品質の向上に寄与できる。
【0048】
また、後折レジセンサSrによる検出後、第一設定時間が経過したタイミング、即ち、スキュー補正の終了直後のタイミングで、レジローラ機構5が回転制御される(ステップS5,S6)。この後、第二設定時間が経過したタイミングでレジローラ機構5の回転が停止制御される(ステップS7,S8)。この第二設定時間は、次行程で用紙Pの所定位置、即ち、用紙Pの後端辺から前方における略1/3位置(第一折処理により二つ折りされた用紙Pにおいては前後方向略中央位置)が折畳まれる時間を設定する。これにより、用紙Pは、図10に示すように、レジローラ機構5から距離Lfだけ前進移動した位置で停止する。これにより、コロシャフト4sを有する後用紙折ガイド4の使用と併せて、更なる折畳み品質の向上に寄与できる。
【0049】
一方、レジローラ機構5の回転が停止したなら、後折ソレノイドC3を制御し、後用紙折ガイド4を第一位置Xrから前進移動させる(ステップS9)。これにより、先端部に断面円形のコロシャフト4sを回動自在に支持してなる後用紙折ガイド4が、図11に示すように、用紙面Pfの交差方向Fsに前進移動する。この際、ガイドプレート連動機構7rを備えるため、後用紙折ガイド4の位置に連動して可動ガイドプレートGma,Gmbの位置が変位する(ステップS10)。即ち、レバー部材26が下方へ回動変位するため、コイルスプリング30に支持される可動ガイドプレートGmaの一端側は、図4に示す実線位置から仮想線で示すGmas…の位置に変位するとともに、折ガイドプレート22が下方へ変位するため、ストッパ部22sに上から係止する可動ガイドプレートGmbの一端側も自重により、図4に示す実線位置から仮想線で示すGmbs…の位置に変位する。したがって、用紙Pが可動ガイドプレートGma,Gmbに対して無用に接触してしまうなどの不具合が回避される。
【0050】
また、この際、用紙Pの先端側はレジローラ機構5により固定されるとともに、用紙Pの後端側は、搬入ローラ機構6におけるワンウェイクラッチ又はトルクリミッタにより適度のバックテンションが付与されるため、折畳時における用紙Pの弛みが防止され、折り精度が高められるとともに、折畳み位置のバラツキが低減される。
【0051】
さらに、コロシャフト4sが用紙Pの所定位置に当接した後は、主折ローラ2pと副ローラ2m間に用紙Pが進入するため、図12に示すように、後用紙折ガイド4が前進限となる第二位置Xiに達する近辺となる所定位置に達したなら後折モータM2を制御し、主折ローラ2mを用紙Pを戻す方向に回転させる(ステップS11,S12)。これにより、用紙Pの後端辺から前方における略1/3位置が主折ローラ2mと副折ローラ2p間に引き込まれ、当該用紙Pに対する折畳み処理が行われる(ステップS13)。そして、折畳み処理が終了、即ち、用紙Pが主折ローラ2pと副ローラ2m間を通過したタイミング(第三設定時間経過後)において後用紙折ガイド4を後退させる(ステップS14,S15)。これにより、各可動ガイドプレートGma,Gmbもガイドプレート連動機構7rにより元の位置に復帰する。また、主折ローラ2mの回転は停止させる。以上により、第二折処理が終了し、以降の用紙Pは、第二折処理からの後行程が行われる(ステップS16)。この場合、図6において、用紙Pは、搬送方向切換フラッパ(第一方向切換フラッパ)35x,副ローラ2qと主折ローラ2m間,排出方向切換フラップ38,排紙系37を経て、スタッカ73に投入される。以下、同様の手順により、予定している全用紙P…が終了するまで行われる(ステップS17,S1…)。
【0052】
よって、このような本実施形態に係る用紙折畳み方法及び装置1によれば、先端部に断面円形のコロシャフト4sを回動自在に支持した用紙折ガイド4を、用紙面Pfの交差方向Fsに移動させることにより、コロシャフト4sを用紙Pの所定位置に押し当てるようにしたため、コロシャフト4sが用紙面Pfをスムースに移動可能となり、用紙面Pfに擦り傷が付いてしまう問題を解消できる。したがって、特に、傷が目立ちやすいフルカラープリンタ等に用いて最適となる。しかも、薄い用紙Pが破けてしまう問題も解消できるため、印刷できる用紙Pの種類拡大により汎用性を高めることができるとともに、ユーザの利便性向上及び使い勝手の向上に寄与できる。また、コロシャフト4sが用紙面Pfをスムースに移動可能なため、用紙の状態(環境,紙質,紙厚,サイズ等)によって、折畳む位置がズレたり、用紙毎に折畳む位置のバラツキを生じる不具合を解消できる。これにより、折畳み品質を安定させることができるとともに、折畳み品質を高めることができる。なお、本実施形態に係る用紙折畳み装置1によれば、例示した「内三つ折り」をはじめ、「二つ折り」、「Z折り」、「外三つ折り」、「四つ折り」及び「観音折り」の各折畳み処理を行うことができる。
【0053】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0054】
例えば、レジローラ機構5により用紙Pに対するスキュー補正を行う例を示したが他の方法によりスキュー補正を行ってもよいし、スキュー補正を行わない場合を排除するものではない。また、スキュー補正の終了後、レジローラ機構5を所定の設定時間だけ回転させることにより、用紙Pを所定の折り位置Xsに停止させる場合を示したが、位置センサ等を用いた他の方法により停止させてもよい。さらに、搬入ローラ機構6により用紙Pに対して所定のバックテンションを付与する場合を示したが、後用紙折ガイド4の移動速度を低速に設定するなどにより必ずしもバックテンションを付与することを要しないとともに、他の方法によりバックテンションを付与してもよい。一方、ガイドプレート連動機構7rにより可動ガイドプレートGma,Gmbを変位させる場合を示したが、他の独立した駆動系により変位させてもよい。なお、用紙Pは、必ずしも紙素材に限定されるものではなく、紙以外の素材を含む混合紙,紙素材を含まない合成樹脂素材や木質素材等を利用した用紙,紙素材の用紙と紙素材以外の素材による用紙を積層した複合紙等の各種用紙Pが含まれる。ローラ配列方向は正確な方向を示すものではなく、ローラ間に用紙Pの所定位置…を押込み可能となる方向を全て含む概念である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係る用紙折畳み装置は、書類や手紙等の各種用紙を折畳む際に利用できる。また、用紙折畳み装置として単独で利用してもよいし、複写装置等を含む各種印刷装置や用紙を処理する各種用紙処理装置等のオプション装置として利用してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1:用紙折畳み装置,2p:折ローラ,2m:折ローラ,3:搬送路,4:用紙折ガイド,4s:コロシャフト,5:レジローラ機構,6:搬入ローラ機構,7:ガイド移動機構,7r:ガイドプレート連動機構,8:制御手段,P:用紙,Pf:用紙面,Xs:折り位置,Xr:第一位置,Xi:第二位置,Fs:交差方向,Sr:レジセンサ,G…:ガイドプレート,Gma:可動ガイドプレート,Gmb:可動ガイドプレート,Us:折畳み処理部
図1
図2
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図12