特許第6061431号(P6061431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6061431-感熱記録材料 図000013
  • 特許6061431-感熱記録材料 図000014
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061431
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】感熱記録材料
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/333 20060101AFI20170106BHJP
   B41M 5/337 20060101ALI20170106BHJP
   C07C 317/14 20060101ALI20170106BHJP
   C07C 315/06 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   B41M5/333 220
   B41M5/337 212
   C07C317/14
   C07C315/06
【請求項の数】14
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-506236(P2014-506236)
(86)(22)【出願日】2013年3月19日
(86)【国際出願番号】JP2013057755
(87)【国際公開番号】WO2013141224
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年2月22日
(31)【優先権主張番号】特願2012-64226(P2012-64226)
(32)【優先日】2012年3月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】512072991
【氏名又は名称】株式会社ファインエース
(74)【代理人】
【識別番号】100107571
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】椛島 和夫
【審査官】 野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第2476147(GB,A)
【文献】 特開2004−256421(JP,A)
【文献】 特開2001−260544(JP,A)
【文献】 特開2005−041151(JP,A)
【文献】 特開2004−182668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M5/28−5/34
B41M5/40−5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、無色又は淡色の染料前駆体と顕色剤とを含有する発色層を設けた感熱記録材料の製造方法であって、前記顕色剤は、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとを含み、かつ前記2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと前記4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの重量比は、50/50を超え95/5以下の範囲内であり、さらに、前記2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと前記4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンは、2,4'−ジクロルジフェニルスルホンと4,4'−ジクロルジフェニルスルホンとを含有する第一の混合物から、前記2,4'−ジクロルジフェニルスルホンの重量比を高めた第二の混合物を得る分離工程と、前記第二の混合物を反応させて2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとを含有する第三の混合物を得る反応工程と、前記第三の混合物を脱色精製する後処理工程とを順次経て得られたものを含むことを特徴とする感熱記録材料の製造方法
【請求項2】
前記の重量比が、前記の一連の工程を経ることで実質的に決定されたものであることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料の製造方法
【請求項3】
前記の分離工程が、結晶析出工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の感熱記録材料の製造方法
【請求項4】
前記の分離工程は、一回の分離により2,4'−ジクロルジフェニルスルホンと4,4'−ジクロルジフェニルスルホンとの重量比が、50/50を超え95/5以下の範囲内に入るものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感熱記録材料の製造方法
【請求項5】
前記の第三の混合物を得る反応が、加水分解反応であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感熱記録材料の製造方法
【請求項6】
前記の第三の混合物を得る反応が、アルカリを加えて行う加水分解反応であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の感熱記録材料の製造方法
【請求項7】
前記の反応工程は、加水分解反応後にpH調整を行って第三の混合物を得るものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の感熱記録材料の製造方法
【請求項8】
前記の後処理工程は、脱色精製を溶媒を用いて再結晶して行うものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の感熱記録材料の製造方法
【請求項9】
さらに、補助剤として、下記(A)、(B)、(C)より選ばれる少なくとも一種の化合物を前記発色層に含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の感熱記録材料の製造方法
(A)下記式(I)で示されるトリスフェノール系化合物
【化6】

(式中Rは炭素原子数4以下のアルキル基またはシクロへキシル基を、Rは炭素原子数4以下のアルキル基を表す。)
(B)下記式(II)で示されるジフェニルスルホン架橋型化合物
【化7】

(式中、nは1〜7の数字を表す。)
(C)分子量が2000以下であって分子構造中にウレア基とウレタン基を有し、かつ、該ウレア基と該ウレタン基のそれぞれの両端に芳香族化合物残基が直接結合しているウレアウレタン化合物
【請求項10】
前記の(C)が、下記式(III)または(IV)で示されるウレアウレタン化合物であることを特徴とする請求項9記載の感熱記録材料の製造方法
【化8】

(式中、X及びYは芳香族化合物残基を表し、αは2価以上の価数を有する芳香族化合物残基を表し、nは2以上の整数を表し、また各残基は置換基を有していてもよい。)
【化9】

(式中、Z及びYは芳香族化合物残基を表し、βは2価以上の価数を有する芳香族化合物残基を表し、nは2以上の整数を表し、また各残基は置換基を有していてもよい。)
【請求項11】
前記の(C)が、下記式(V)で示されるウレアウレタン化合物であることを特徴とする請求項9又は10に記載の感熱記録材料の製造方法
【化10】
【請求項12】
増感剤として、ジフェニルスルホン、m−ターフェニル、4−ベンジルビフェニル、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、2−ベンジルオキシナフタレン、1,2−ジフェノキシメチルベンゼン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)エステル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)エステル、テレフタル酸ジベンジル、ステアリン酸アミド、4−アセチルビフェニルより選ばれる少なくとも一種の化合物を前記発色層に含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の感熱記録材料の製造方法
【請求項13】
顕色剤として、さらに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、ヒドロキシ安息香酸エステルのオリゴマー、4−n−オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸またはその金属塩、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、4,4'−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4−ヒドロキシ−4'−アリルオキシジフェニルスルホン、N−p−トルエンスルホニル―N'−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、4,4'−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、スルホニル尿素誘導体、より選ばれる少なくとも一種の化合物を前記発色層に含有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の感熱記録材料の製造方法
【請求項14】
保存安定剤として、さらに4,4'−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4−ベンジルオキシ−4'−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、4,4'−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、ナトリウム−2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、N,N'−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンより選ばれる少なくとも一種の化合物を前記発色層に含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の感熱記録材料の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリやプリンター等で使用される感熱記録材料に関し、さらに詳しくは、発色性ならびに画像保存性を向上させた低コストの感熱記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファクシミリ、プリンター、レコーダーなどの各種情報機器において、熱エネルギーによって記録を行う感熱記録方式が多く採用されている。感熱記録方式で用いられる感熱記録材料は、白色度が高い、外観や感触が普通紙に近い、発色感度等の記録適性が良い等、多くの優れた特性を備えている。特に、発色剤として無色又は淡色の電子供与性染料前駆体(特にロイコ染料)とフェノール性化合物のような酸性顕色剤を用いたものは、電子供与性化合物である染料前駆体の反応性が高いという特性を有する。この染料前駆体が電子受容性化合物である顕色剤と接触すると、瞬間的に濃度の高い発色画像が得られる長所がある。その反面、得られた発色画像は耐薬品性が劣るため、プラスチックシートや消しゴムに含まれる可塑剤あるいは食品や化粧品に含まれる薬品に接触して記録が消失しやすい、また、記録部分の耐光性が劣るため、比較的短期間の日光暴露で記録が退色したり記録が消失したりする、等の記録の保存安定性に劣るという欠点を有していた。
【0003】
そこで、記録の保存安定性が比較的改良される顕色剤として、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの混合物を様々な重量比で用いることが提案されている(例えば、特許文献4,5参照)。中でも2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンは、発色感度や白色度等という感熱記録材料としての基本性能が優れていることから、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの重量比を高くして感熱記録材料に用いる発明が開示されている(例えば、特許文献1,6参照)。しかし、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンは記録保存性が比較的劣り、かつ比較的生産が難しくて生産量が少なく製造コストも高い。一方、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンは、感熱記録材料としての基本性能は比較的低いが記録保存性がよい。また、従来からポリスルホン等の原料として使用されているため比較的生産が容易で大量に製造されており製造コストが低い。このため、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの重量比を高くして感熱記録材料に用いる発明も開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0004】
感熱記録材料に用いられるこれらの2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンは、従来、フェノールにスルホン化剤やフェノールスルホン酸又は硫酸等を反応させる一段階の反応工程を経る製法により、異性体混合物として製造されてきた。この製法は、ポリスルホン等の原料である4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを製造することが本来の目的である。この製法では、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンが例えば80〜99.9%、副生成物である2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンが例えば0.1〜20%というような重量比で生成される。そして、この製法の本来の目的物である4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを効率よく製造するためには、副生成物である2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの重量比が可能な限り小さくなるように反応等の各条件を最適化して設定するのが通常である。
【0005】
しかし、感熱記録材料の様々な性能をより向上させるために、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの重量比をより高めて使用しようとする場合には、上記の製法により生成されるジヒドロキシジフェニルスルホン混合物から、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン又は4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを分離し、しかるのちに目的の重量比となるように、分離された物を添加混合する等の工程を経なければならない。この製造プロセスを図2に示した。従来はこのようにして製造されたジヒドロキシジフェニルスルホン混合物が感熱記録材料に用いられてきた。
【0006】
ところが、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンは、両者の分離に用いる溶剤への溶解度がかなり近いという性質がある。そのため、それぞれの純度を高めるにはpH調整等を行ったり分離工程を繰り返したりする複雑な分離工程を経る必要があった。特に、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの反応時の生成比率が可能な限り小さくなるようにあらかじめ反応条件が設定されている通常の場合では、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを高い濃度で得るには、例えば重量比で0.1〜0.2%しかない混合物から濃度を上げる処理を行わなければならない。この処理はかなりの手間と時間を要し、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを高い重量比で使用した感熱記録材料の製造コストが高くなる原因となっていた。
【0007】
また、この製法では、不純物としてフェノールスルホン酸フェニルエステル、あるいはトリヒドロキシトリフェニルジスルホンが生成し、混合物に含まれてしまうことが知られている。さらに、これら不純物が感熱記録材料の発色感度ならびに地肌の保存安定性に悪影響を及ぼすこともわかってきた(特許文献5、特許文献6)。
【0008】
ところで、エポキシ樹脂の硬化剤となる4,4'−ジアミノジフェニルスルホンの原料を得る目的で、硫酸ジアルキルやクロロベンゼン等の出発物質を用いて反応し、4,4'−ジクロロジフェニルスルホンを製造する発明が開示されている。その反応の際、2,4'−ジクロロジフェニルスルホンが副生成物として合成されて結果物が異性体混合物となること、さらに、この異性体混合物を加水分解するという二段階の反応により、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの混合物が生成されること、が開示されている(特許文献7参照)。
【0009】
しかし、この製法では、最初に市販の出発物質を用いた反応でジクロルジフェニルスルホン混合物を合成し、しかるのちに加水分解してジヒドロキシジフェニルスルホン混合物を得る工程を経る。つまり、合成と加水分解の少なくとも二段の反応工程を経る必要がある。そのため、この二段の反応工程を経る製法は、市販出発物質から一段の反応工程で直接ジヒドロキシジフェニルスルホン混合物を得る従来の製造プロセスと比較して、明らかにコスト高になる不利
な方法と考えられていた。そのため、この特許文献7の製法は、従来はジヒドロキシジフェニルスルホン混合物を得る現実的な方法とは考えられていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−92665号公報
【特許文献2】特開2002−120462号公報
【特許文献3】特開2002−144742号公報
【特許文献4】特開2003−246152号公報
【特許文献5】特開2004−42401号公報
【特許文献6】特開2004−114366号公報
【特許文献7】英国特開GB2476147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを比較的多く用いて優れた発色性と保存安定性とを兼ね備え、かつ比較的簡単な製造プロセスにより低コストで得られる、優れた感熱記録材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、支持体上に、無色又は淡色の染料前駆体と顕色剤とを含有する発色層を設けた感熱記録材料であって、前記顕色剤は、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとを含み、かつ前記2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと前記4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの重量比が、50/50を超え95/5以下の範囲内であり、さらに、前記2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと前記4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンは、2,4'−ジクロルジフェニルスルホンと4,4'−ジクロルジフェニルスルホンとを含有する第一の混合物から、前記2,4'−ジクロルジフェニルスルホンの重量比を高めた第二の混合物を得る分離工程と、前記第二の混合物を反応させて2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとを含有する第三の混合物を得る反応工程と、前記第三の混合物を脱色精製する後処理工程とを順次経て得られたものを含むことを特徴とする感熱記録材料である。ここで、前記の重量比が、前記の一連の工程を経ることで実質的に決定されたものであることは好ましい。また、前記の分離工程が結晶析出工程を含むことは好ましい。また、前記の分離工程は、一回の分離により2,4'−ジクロルジフェニルスルホンと4,4'−ジクロルジフェニルスルホンとの重量比が、50/50を超え95/5以下の範囲内に入るものであることは好ましい。また、前記の第三の混合物を得る反応が、加水分解反応であることは好ましい。また、前記の第三の混合物を得る反応が、アルカリを加えて行う加水分解反応であることは好ましい。また、前記の反応工程は、加水分解反応後にpH調整を行って第三の混合物を得るものであることは好ましい。また、前記の後処理工程は、脱色精製を溶媒を用いて再結晶して行うものであることは好ましい。を特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
【0013】
また、補助剤として、下記(A)、(B)、(C);
(A)下記式(I)で示されるトリスフェノール系化合物
【化1】
(式中Rは炭素原子数4以下のアルキル基またはシクロへキシル基を、Rは炭素原子数4以下のアルキル基を表す。)
(B)下記式(II)で示されるジフェニルスルホン架橋型化合物
【化2】
(式中、nは1〜7の数字を表す。)
(C)分子量が2000以下であって分子構造中にウレア基とウレタン基を有し、かつ、該ウレア基と該ウレタン基のそれぞれの両端に芳香族化合物残基が直接結合しているウレアウレタン化合物
より選ばれる少なくとも一種の化合物を前記発色層に含有することは好ましい。
【0014】
また、前記補助剤(C)が下記式(III)または(IV)
【化3】
(式中、X及びYは芳香族化合物残基を表し、αは2価以上の価数を有する芳香族化合物残基を表し、nは2以上の整数を表し、また各残基は置換基を有していてもよい。)
【化4】
(式中、Z及びYは芳香族化合物残基を表し、βは2価以上の価数を有する芳香族化合物残基を表し、nは2以上の整数を表し、また各残基は置換基を有していてもよい。)
で示されるウレアウレタン化合物であることは好ましい。
【0015】
また、前記補助剤(C)が下記式(V)
【化5】
で示されるウレアウレタン化合物であることは好ましい。
【0016】
また、増感剤として、ジフェニルスルホン、m−ターフェニル、4−ベンジルビフェニル、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、2−ベンジルオキシナフタレン、1,2−ジフェノキシメチルベンゼン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)エステル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)エステル、テレフタル酸ジベンジル、ステアリン酸アミド、4−アセチルビフェニルより選ばれる少なくとも一種の化合物を前記発色層に含有することは好ましい。
【0017】
また、顕色剤として、さらに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、ヒドロキシ安息香酸エステルのオリゴマー、4−n−オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸またはその金属塩、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、4,4'−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4−ヒドロキシ−4'−アリルオキシジフェニルスルホン、N−p−トルエンスルホニル―N'−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、4,4'−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、スルホニル尿素誘導体、より選ばれる少なくとも一種の化合物を前記発色層に含有することは好ましい。
【0018】
また、保存安定剤として、さらに4,4'−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4−ベンジルオキシ−4'−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、4,4'−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、ナトリウム−2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、N,N'−ジ−2−ナフチルーp−フェニレンジアミンより選ばれる少なくとも一種の化合物を前記発色層に含有することは好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の感熱記録材料は、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの重量比が、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの重量比より大きいジヒドロキシジフェニルスルホン混合物を、発色層の顕色剤として用いながら、比較的簡単な製造プロセスにより低コストで製造できる。その結果、発色濃度や発色感度等を含む発色性に優れ、かつ可塑剤による記録の消失や地肌かぶり等を含む画像保存性に優れた性能を有する高性能な感熱記録材料を低コストで提供することが可能になる。具体的には、明らかにコスト高になると考えられる分離と反応の二段階のプロセスを経るにもかかわらず、全体としての製造プロセスがより簡単なものになる。具体的に従来のジヒドロキシ体を直接製造する製造プロセスと比較すると、本発明では、ジクロル体を経由して処理することで、最初の合成で2,4' ジヒドロキシジフェニルスルホンが比較的多く生成されること、異性体の分離プロセスが簡易で手間と時間がかからないこと等から、これら異性体の分離も含めた全体プロセスの製造コストが低減化できる。
【0020】
さらに、本願発明の感熱記録材料は、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとをそれぞれ分離して、しかるのち目標の重量比に両者を添加混合して得られた物を顕色剤と用いた場合より、理由は不明であるが、感熱記録材料としての性能がより優れたものが得られる。
【0021】
さらに、従来の感熱顕色剤の製造方法では必然的に生じていた副反応生成物のフェノールスルホン酸フェニルエステル又はトリヒドロキシトリフェニルジスルホンが、本発明の感熱記録剤では生じないことから、これらの副反応生成物に起因する感熱記録材料の性能低下が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本願発明で用いられる顕色剤の製造方法の概略フローを示した概念図である。
図2図2は、ジヒドロキシジフェニルスルホンを含有する従来の顕色剤の製造方法の概略フローを示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明について、以下、図面も用いて具体的に説明する。本発明の感熱記録材料は、紙等の支持体上にロイコ染料を代表例とする無色又は淡色の染料前駆体と、加熱により反応して染料前駆体を発色させる顕色剤等を含有した発色層を設けている。
【0024】
本発明で用いる顕色剤は、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとを含み、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの重量比は、50/50を超え95/5以下の範囲内である。両者の重量比が50/50を超えることで、発色感度等の感熱記録材料としての基本性能に優れ、ある程度の画像保存性も確保できる感熱記録材料が得られる。また、重量比を95/5以下とすることで、異性体の分離に手間と時間をかける必要が低減化し、製造コストが低く抑えられる。これにより感熱記録材料の発色性と画像保存性の両方が改善できる。
【0025】
この混合物は、以下の製造方法により得ることができる。製造方法の概略フローを図1に示した。まず、市販の出発物質から、合成工程により2,4'−ジクロルジフェニルスルホンと4,4'−ジクロルジフェニルスルホンとを含むジクロルジフェニルスルホンの混合物(以下、第一の混合物という)を合成する。合成反応は公知の反応を用いることができ、特に制限されない。例えば、市販の三酸化硫黄と硫酸ジメチルとを反応させてピロ硫酸ジメチルと三酸化硫黄の混合物を得て、この混合物をクロロベンゼンと反応させるようにしても良い。また、4−クロルベンゼンスルホン酸クロリドとクロルベンゼンとを用いた脱水縮合反応を用いても良い。これらの合成工程では、通常、4,4'−ジクロルジフェニルスルホンが約9割前後、2,4'−ジクロルジフェニルスルホンが1割前後の比率で合成される。つまり、従来のジヒドロキシフェニルスルホンの製造方法で4,4'体の製造に最適化された通常の場合に比較して、2,4'体がより多く生成される。そのため、その後の処理で2,4'体の重量比を高めることが比較的容易である。
【0026】
次に、合成工程で得た第一の混合物から、4,4'−ジクロルジフェニルスルホンの一部を分離工程で除去して、2,4'−ジクロルジフェニルスルホンの重量比を高めた第二の混合物を得る。分離工程はモノクロロベンゼン等の有機溶媒と水との混合溶媒を用いて第一の混合物を洗浄する。次に、有機溶媒中で結晶を析出させ、得られた結晶を濾過等で固液分離し、この得られたろ液から溶媒を除く。これにより2,4'−ジクロルジフェニルスルホンの重量比を高めた第二の混合物を得ることができる。ジクロル体での異性体分離は、2,4'−ジクロルジフェニルスルホンと4,4'−ジクロルジフェニルスルホンとの溶解度の違いが大きいことから比較的簡易であり、容易に2,4'−ジクロルジフェニルスルホンの重量比を高めた第二の混合物を得ることができる。4,4'−ジクロルジフェニルスルホンの除去は、第二の混合物における2,4'−ジクロルジフェニルスルホンと4,4'−ジクロルジフェニルスルホンとの重量比が、一回の分離で50/50を超え95/5以下の範囲内となるように行うのは好ましい。しかし、必ずしも一回で範囲内に入らなくともよく、50/50付近に近づく程度でも良い。その後の工程でも2,4'体の重量比を上げることが容易だからである。これにより、分離工程を比較的簡易なものに留めることができ、感熱記録材料の製造コストをより低減化できる。
【0027】
次に、第二の混合物を反応させて、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとを含む第三の混合物を得る。合成反応は公知の反応を用いることができ、特に制限されない。例えば、第二の混合物を第二の反応工程で加水分解反応を用いて反応させて、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとを含む第三の混合物を得る。加水分解反応は溶媒にアルカリを添加して加熱及び加圧して行えばよい。加熱温度は100℃から300℃が好ましく、さらに好ましくは180℃から250℃であり、さらに好ましくは200℃から240℃である。また反応に用いるアルカリは特に制限されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムが好ましく、特に水酸化ナトリウムが好ましい。また反応に用いる溶媒は水が好ましいが、有機溶媒又は有機溶媒と水の混合溶媒も使用できる。反応に用いる有機溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルカノ―ル類及びアルカノ―ルー水混合溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタンのような塩素系脂肪族溶媒、クロロベンゼン、0−ジクロロベンゼンのような塩素系芳香族溶媒を用いることができる。反応終了後に未反応物等を除去するため固液分離を行い、さらに硫酸または塩酸等の酸性溶液で中和し、結晶を得る。またさらに得られた結晶を溶解・晶析分離等を行うことが好ましい。具体的には、得られた結晶を苛性ソーダ水溶液に溶解させ、硫酸または塩酸でpHを適宜調整して、順次結晶を取り出せば良い。さらに好ましくは、pH調整によりアルカリ性のpH領域で4,4'体の比率が比較的高い沈殿が生じるので、この沈殿を濾別して取り除けばよい。さらに濾液を酸性側に中和すると再び沈殿が生じるので、この沈殿を濾別すればよい。これらにより、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとを含む第三の混合物を得ることができる。これにより、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの一部がモノナトリウム塩のかたちで除去される。分離操作は複数回繰り返してもよいが、通常は1回行えば十分である。これは、元々2,4'体の重量比を高めたところ、例えば重量比が50/50付近、から分離操作をスタートしているためである。これにより2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの重量比がさらに高くでき、容易に目的の重量比の範囲内に調整できる。
【0028】
次に、第三の混合物を脱色精製する後処理工程を行う。脱色精製にあたっては溶媒を用いて再結晶を行ってもよいし、活性炭等を投入して脱色するようにしてもよいし、また他の脱色方法を用いても良い。溶媒を用いる場合に用いる溶媒はジヒドロキシジフェニルスルホンを溶解する溶媒であれば何でもよいが、好ましくはアルカノ―ル類であり、さらに好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アルカノ―ルー水混合溶媒のようなアルコール類である。これにより、混合物を感熱記録材料の顕色剤として用いることが可能になる。また、着色成分と共に未反応物質等の不要物を除去することは好ましい。また、必要により、脱色精製に伴って、さらに4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの一部を除去できる処理条件を設定することは好ましい。これにより、さらに、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの重量比を上げることが可能になる。後処理工程には必要により乾燥工程を加えてもよい。
【0029】
感熱記録材料の発色層における2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの重量比は、上記の一連の工程を経ることにより実質的に決定されたものであることが好ましい。ここで、実質的に決定されるとは、他で別途製造された2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを後から添加混合する場合を含まないことを意味する。これにより、感熱記録材料を簡易な製造方法により製造することが可能になり、製造コストを結果的に低く抑えることが可能になる。
【0030】
上記一連の工程を経て得られた混合物に、他で別途製造された2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを後から添加混合して用いることも可能であるが、感熱記録材料の製造プロセスが全体として複雑になり、製造コストが増加する短所がある。そのため、そのような添加混合工程等を経ることなく、上記一連の工程を経て得られた混合物に含まれる異性体の重量比のままで、感熱記録材料に用いることがより好ましい。
【0031】
このようにして得られたジヒドロキシジフェニルスルホン混合物は、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの重量比が4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの重量比より大きい。そのため、感熱記録材料の顕色剤として用いると、発色感度や白色度に優れた感熱記録材料が得られる。画像保存性にも改良が見られる。残念ながら、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの重量比が2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンより大きい混合物を用いた場合に比較すると、画像保存性の改良の程度がやや劣る。しかし、後述の補助剤を発色層に用いることで画像保存性にもより優れた感熱記録材料が得られる。また、異性体の分離を溶解度の違いが大きいジクロル体で主に行うので、分離が容易である。さらに、必要により加水分解工程や脱色精製工程でも4,4'体の一部を除去する条件を設定できることに加え、元々のジクロル体を生成する反応工程で2,4'体が比較的多く生成されることもあり、異性体混合物から4,4'体を除去して2,4'体の重量比を高めることが比較的簡単である。そのため、反応工程が合成と加水分解との二段を必要とするにも係わらず、分離工程を含めたトータルの製造プロセスが簡単であり製造コストも低くできる。
【0032】
さらに、この混合物を用いた感熱記録材料は、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの各々を単離して乾燥し、その後に目的の重量比になるように添加・調合して得た顕色剤を用いた感熱記録材料よりも、感熱記録材料としての性能が優れている。その理由は不明であるが、両者が反応生成時に分子レベルでよく混合された状態になるため、優れた性能が得られると推測している。なぜなら、両者を別々に単離して乾燥した物をあとから物理的に混合しても、分子レベルの混合状体は得られないからである。また、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの重量比を必要により変更して改良することも可能だから、より優れた性能の感熱記録材料を得やすくなる。
【0033】
さらに、2,4'−ジクロルジフェニルスルホンと4,4'−ジクロルジフェニルスルホンを含有する混合物を用いた反応により得られる2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの混合物は、特許文献5,6等に記載された不純物を含まない。このことから、発色性ならびに画像保存性の向上した感熱記録材料を得るうえで性能的に有利である。また、性能向上のためにこれらの不純物の除去する工程は不要だから、製造コストを低くできる。
【0034】
ジヒドロキシジフェニルスルホン混合物を顕色剤として用いる場合の、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの混合割合は、重量比で50/50を超え95/5以下である。この割合が50/50を超えることで発色性と画像保存性をバランスよく向上することができ、また割合が95/5以下で感熱記録材料の性能とコストとのバランスが良くなる。より好ましくは、この割合が70/30以上90/10以下である。
【0035】
また本発明の感熱記録材料は、補助剤として以下の(A)、(B)、(C)より選ばれる少なくとも一種の化合物を、顕色剤と併用することにより、優れた発色性とより優れた画像保存性とを両立したものが得られる。すなわち、本発明で使用する顕色剤では、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの重量比が小さいため保存安定性が不足する傾向があるが、この保存安定性不足を改良することが可能になる。特に、補助剤(B)または(C)より選ばれる化合物を顕色剤と併用することが、保存安定性においてより優れており好ましい。
【0036】
補助剤(A)として上記式(I)で表されるトリスフェノール系化合物の具体例を示すと、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−エチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン等が挙げられる。1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンは、例えば、商品名:ADKARKLS DH−37(式(I)においてRがt−ブチル、Rがメチルの化合物、(株)ADEKA製)が市場より入手できる。また、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタンは、例えば、商品名:ADKARKLS DH−43(式(I)においてRがシクロヘキシル、Rがメチルの化合物、(株)ADEKA製)が市場より入手できる。
【0037】
補助剤(B)として上記式(II)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物は、特許第3913820号あるいはWO97/16420号記載の化合物であり、このような化合物としては、例えば、商品名:D−90(日本曹達(株)製)が市場より入手できる。
【0038】
補助剤(C)である分子量が2000以下であって分子構造中にウレア基とウレタン基を有し、かつ該ウレア基と該ウレタン基のそれぞれの両端に芳香族化合物残基が直接結合しているウレアウレタン化合物は、特許第3739282号、特許第3836867号、特許第3836868号に記載の化合物である。具体例としては、例えば特許第3739282号に記載されているE−1〜E−43のような化合物が例示できる。なかでも上記式(III)または上記式(IV)で示される化合物が好ましい。このような化合物としては、商品名:UU(式(V)で示される化合物を主成分とするもの、ケミプロ化成(株)製)が市場より入手できる。
【0039】
本発明の感熱記録材料における発色層を形成するにあたり、染料前躯体に対する顕色剤の使用量は特に限定されないが、染料前躯体に対して5〜500質量%の範囲内で使用することが好ましく、さらには20〜300質量%の範囲内で使用することがより好ましい。5質量%以上で染料前駆体の発色性がさらによくなり、また、500質量%以下で過剰で未反応の顕色剤が残りにくくなり、経済的にも好ましい。また、顕色剤に対する補助剤の使用量は特に限定されないが、顕色剤に対して2〜50質量%の範囲内で使用することが好ましく、さらに5〜40質量%の範囲内で使用することがより好ましい。2質量%以上で発色性および画像保存性改良効果がより明確に認められ、また、50質量%以下の使用で充分な効果が得られてより好ましい。さらに、必要に応じて、他の顕色剤、増感剤、保存安定剤、分散剤、充填剤、滑剤、紫外線吸収剤等をそれぞれ任意の割合で用いることができる。
【0040】
本発明で用いられる、無色または淡色の染料前駆体の一例であるロイコ染料は、感圧記録材料や感熱記録材料に用いられている公知の化合物であり、特に限定されない。例えば下記のものが挙げられる。
(1)トリアリールメタン系化合物
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9 −エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等。
(2)ジフェニルメタン系化合物
4,4−ビス−ジメチルアミノフェニルベンズヒドリルベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等。
(3)キサンテン系化合物
ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等。
(4)チアジン系化合物
ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等。
(5)スピロ系化合物
3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等である。
また、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3'−(6'−ジメチルアミノフタリド)、3−ジエチルアミノ−6−ジメチルアミノフルオレン−9−スピロ−3'−(6'−ジメチルアミノフタリド)、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3'−(6'−ジメチルアミノフタリド)、3−ジブチルアミノ−6−ジメチルアミノフルオレン−9−スピロ−3'−(6'−ジメチルアミノフタリド)、3−ジブチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオレン−9−スピロ−3'−(6'−ジメチルアミノフタリド)、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3'−(6'−ジエチルアミノフタリド)、3−ジエチルアミノ−6−ジメチルアミノフルオレン−9−スピロ−3'−(6'−ジエチルアミノフタリド)、3−ジブチルアミノ−6−ジメチルアミノフルオレン−9−スピロ−3'−(6'−ジエチルアミノフタリド)、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3'−(6'−ジエチルアミノフタリド)、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3'−(6'−ジブチルアミノフタリド)、3−ジブチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオレン−9−スピロ−3'−(6'−ジエチルアミノフタリド)、3−ジエチルアミノ−6−ジメチルアミノフルオレン−9−スピロ−3'−(6'−ジブチルアミノフタリド)、3,3−ビス[2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテニル]−4,5,6,7,−テトラクロロフタリド等の近赤外に吸収領域を持つ化合物等である。
【0041】
本発明における発色層の作製にあたっては、上記無色又は淡色の染料前駆体の1種類を用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0042】
本発明の感熱記録材料に用いられる顕色剤、補助剤あるいは無色または淡色の染料前駆体の、それぞれの分散液の作製に用いる分散剤は、水溶性高分子および界面活性剤の中から選べばよい。これら分散剤の具体例を以下に述べる。
【0043】
水溶性高分子の具体例としては、例えば、PVA、スルホン酸変性PVA、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルピロリドンまたはこれらの共重合体等の合成高分子、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩のようなセルロース系の高分子等が挙げられる。なかでも、PVA誘導体、セルロース誘導体が好ましく、さらには変性PVAやヒドロキシプロピルメチルセルロースがより好ましい。次に界面活性剤の具体例を上げる。陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルススルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリル硫酸エステル塩、芳香族スルホン酸誘導体(例えばアルキルベンゼンスルホン酸の塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸の塩、アルキルナフタレンスルホン酸の塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩)、ポリカルボン酸誘導体(例えば、各種カルボキシル基含有単量体の重合または共重合物、またはこれらの混合物)、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルが挙げられる。また、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミドが挙げられる。また、両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アミンオキサイド、イミダゾリニウムベタイン、その他ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、反応型陰イオン性界面活性剤、特殊高分子界面活性剤が挙げられる。なかでも、陰イオン性界面活性剤が好ましく、さらには芳香族スルホン酸誘導体およびポリカルボン酸誘導体がより好ましい。芳香族スルホン酸誘導体としては、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩をより好ましく上げることができる。これらの分散剤は単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0044】
分散剤の使用割合は、無色又は淡色の染料前駆体、顕色剤、あるいは補助剤に対して0.5〜50質量%の範囲内で使用することが好ましく、さらに好ましくは1〜20質量%の範囲内で使用することである。
【0045】
分散液組成物の作製にあたって、必要に応じ、公知の任意の添加剤が有効に用いられる。以下にこれらについて記載する。
本発明の感熱記録材料の発色感度を向上させるために、熱可融性物質(増感剤)を含有させることができる。熱可融性物質は60℃〜180℃の融点を有するものが好ましく、特に80℃〜140℃の融点を有するものがより好ましい。熱可融性物質の例としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、N−メチロールステアリン酸アミド、β−ナフチルベンジルエーテル、N−ステアリルウレア、N,N′−ジステアリルウレア、β−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、2−(p−メチルベンジルオキシ)ナフタレン、2−ベンジルオキシナフタレン、1,4−ジメトキシナフタレン、1−メトキシ−4−ベンジルオキシナフタレン、N−ステアロイルウレア、4−ベンジルビフェニル、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−フェノキシ−2−(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、1,2−ジフェノキシメチルベンゼン、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、m−ターフェニル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)エステル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)エステル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸(4'−クロロベンジル)、1,2−ビス(4'−ヒドロキシ安息香酸)エチル、1,5−ビス(4'−ヒドロキシ安息香酸)ペンチル、1,6−ビス(4'−ヒドロキシ安息香酸)ヘキシル等が挙げられる。さらに、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、ジフェニルスルホン、4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4'−ジクロロジフェニルジサルファイド、ジフェニルアミン、2−メチル−4−メトキシジフェニルアミン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、1−(N−フェニルアミノ)ナフタレン、ベンジル、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン等を用いることができる。なかでも、特に好ましい熱可融性物質(増感剤)として、ステアリン酸アミド、ジフェニルスルホン、m−ターフェニル、4−ベンジルビフェニル、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、2−ベンジルオキシナフタレン、1,2−ジフェノキシメチルベンゼン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)エステル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)エステル、テレフタル酸ジベンジル、4−アセチルビフェニルを挙げることができる。前記熱可融性物質は、単独でも、あるいは二種以上を混合して使用してもよい。その使用量は限定されないが、十分な熱応答性を得るためには、無色または淡色の染料前駆体に対して10〜500質量%の範囲内で用いることが好ましく、さらに、20〜300質量%の範囲内で用いることがより好ましい。
【0046】
本発明の感熱記録材料で用いる顕色剤に加えて、必要に応じて他の顕色剤を併用してもよい。顕色剤としては、一般に使用される電子受容性の物質であり、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体あるいはその金属塩、サリチル酸誘導体又はその金属塩、N,N−ジアリールチオ尿素誘導体、スルホニルウレア誘導体等であり、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシフェニル−4'−メチルフェニルスルホン、3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル−4'−メチルフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4'−メチルフェニルスルホン、4−イソプロピルフェニル−4'−ヒドロキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−アリルオキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシフェニル−4'−ベンジルオキシフェニルスルホン、4−イソプロピルフェニル−4'−ヒドロキシフェニルスルホン、ビス(2−メチル−3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、ヒドロキシ安息香酸エステルのオリゴマー、4−ヒドロキシ安息香酸(4'−クロロベンジル)、1,2−ビス(4'−ヒドロキシ安息香酸)エチル、1,5−ビス(4'−ヒドロキシ安息香酸)ペンチル、1,6−ビス(4'−ヒドロキシ安息香酸)ヘキシル、3−ヒドロキシフタル酸ジメチル、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸イソペンチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ベンジル、4−n−オクチルオキシサリチル酸、4−n−ブチルオキシサリチル酸、4−n−ペンチルオキシサリチル酸、3−n−ドデシルオキシサリチル酸、3−n−オクオクタノイルオキシサリチル酸、4−n−オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸またはその金属塩、4−n−オクタノイルオキシカルボニルアミノサリチル酸、サリチルアミド、サリチルアニリド、4,4'−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4'−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4'−ビス(o−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4'−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルスルフィド、4,4'−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルエーテル、N−p−トルエンスルホニル―N'−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、N−(p−トルエンスルホニル)−N'−(p−ブトキシカルボニル)ウレア、N−(p−トルエンスルホニル)−N'−フェニルウレア等が挙げられる。なかでも、特に好ましい顕色剤として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、ヒドロキシ安息香酸エステルのオリゴマー、4−n−オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸またはその金属塩、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、4,4'−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4−ヒドロキシ−4'−アリルオキシジフェニルスルホン、N−p−トルエンスルホニル―N'−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、4,4'−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、スルホニル尿素誘導体(商品名PERGAFASTTM 201)を挙げることができる。これら任意に用いられる顕色剤は、単独でも、あるいは二種以上を混合して使用してもよく、その使用量は限定されないが、本願に特定する顕色剤に対して2〜50質量%の範囲内で用いることが好ましく、より好ましくは5〜40質量%の範囲で用いることができる。
【0047】
分散液組成物に、必要に応じて地肌及び印字の保存性を向上させる目的で、アミノ化合物を添加してもよい。添加できるアミノ化合物は、少なくとも1個の1級あるいは2級あるいは3級のアミノ基を有する無色または淡色の物質である。例えばWO00/14058に記載されているような、アニリン誘導体、複素環系化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
【0048】
さらに、地肌かぶりや熱応答性等の向上のために、N−ステアリル−N'−(2−ヒドロキシフェニル)ウレア、N−ステアリル−N'−(3−ヒドロキシフェニル)ウレア、N−ステアリル−N'−(4−ヒドロキシフェニル)ウレア、p−ステアロイルアミノフェノール、o−ステアロイルアミノフェノール、p−ラウロイルアミノフェノール、p−ブチリルアミノフェノール、m−アセチルアミノフェノール、o−アセチルアミノフェノール、p−アセチルアミノフェノール、o−ブチルアミノカルボニルフェノール、o−ステアリルアミノカルボニルフェノール、p−ステアリルアミノカルボニルフェノール、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4−ベンジルオキシ−4'−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、4,4'−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、N,N'−ジ−2−ナフチルーp−フェニレンジアミン、ナトリウム−2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、4,4'−ビス(p−トルエンスルホンアミド)ジフェニルスルホン、4,4'−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2′−エチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)1,1,3−トリス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラ(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラ(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)ブタン、トリス(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、等の化合物を添加することができる。特に好ましいものとして、4,4'−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4−ベンジルオキシ−4'−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、4,4'−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、ナトリウム−2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、N,N'−ジ−2−ナフチルーp−フェニレンジアミンを挙げることができる。
【0049】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に加熱発色する感熱記録層を設けてなる。具体的には、上記の顕色剤、補助剤、ロイコ染料のごとき無色又は淡色の染料前駆体、その他必要に応じて熱可融性物質(増感剤)、保存安定剤等を含み、さらに感熱記録層の形成に必要なその他の成分とを含めた分散液組成物を調製し、混合して塗工液を調製する。各成分の分散液の調製は、これまでに挙げた種々の化合物から選ばれる1種または複数種を、水溶性高分子、界面活性剤など分散能を持つ化合物を含有する水溶液中で、サンドグラインダー等で微粉砕することにより行えばよい。顕色剤、補助剤および無色又は淡色の染料前駆体の各分散液の分散体の粒子径は、0.1〜10μmの範囲内であることが好ましく、特に1μm前後とすることがより好ましい。この塗工液を支持体上に塗工して感熱記録層を形成する。
【0050】
感熱記録層の形成に必要なその他成分としては、顔料やバインダー等が上げられる。顔料としては、例えばケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂等が例示される。また、ヘッド摩耗防止、スティッキング防止などの目的でステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類を用いることができる。また、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の分散剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、退色抑制剤さらに界面活性剤、蛍光染料等も必要に応じて含有させることができる。
【0051】
バインダーとしては、例えば、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性バインダー、およびスチレン/ブタジエン共重合体、マレイン酸変性プロピレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体などのラテックス系水不溶性バインダー等が挙げられる。
【0052】
感熱記録層の支持体としては、紙が主として用いられるし、紙の他に各種織布、不織布、合成樹脂フィルム、ラミネート紙、合成紙、金属箔、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて用いることができる。感熱記録層は単一の層で構成されていても複数で構成されていてもよい。例えば、各発色成分を一層ずつに含有させ、多層構造としてもよい。また、この感熱記録層上に、水溶性高分子、疎水性高分子、無機填料、有機填料等を主成分とする1層又は複数の層からなる保護層を設けてもよいし、支持体と感熱記録層の間に、焼成カオリンなどの無機填料、有機填料、中空構造を有する高分子体等を主成分とする1層又は複数の層からなる中間層を設けてもよい。また、この感熱記録層の支持体の下に、水溶性高分子、疎水性高分子、無機填料、有機填料等を主成分とする1層又は複数の層からなる保護層を設けてもよい。
この感熱記録層は、各発色成分あるいはその他の成分を微粉砕して得られる各々の水性分散液とバインダー等を混合した塗布液を、支持体上に塗布、乾燥することにより得ることができる。塗布液の塗布量は、塗布液が乾燥した状態で1から15g/m の範囲内とすることが好ましい。
【0053】
以下、本発明を実施例及び比較例により、さらに具体的に説明する。各物性の評価及び分散液の調整は以下の方法で行った。なお、説明中、部及び%は特に断らない限り、それぞれ質量部及び質量%を表す。また、重量比は質量%の比を意味する。
<印字感度>
【0054】
大倉電機製印字試験機を用い、サーマルヘッドは京セラ製KJT−256−8MGF1、印加電圧は24V、パルス幅は1.5msecの条件で、感熱記録紙に印字した。その印字の光学濃度をマクベス光学濃度計RD918で測定した。評価基準は、表1の脚注に記載した。
<耐可塑剤性>
【0055】
上記と同様にして発色した画像を、厚さ1mmの透明ポリ塩化ビニルシートに挟み、45℃で24時間放置した後の画像の色濃度を測定した。評価基準は、表1の脚注に記載した。
<耐湿地肌被り性>
【0056】
作成した感熱記録紙を用いて耐湿試験を行った。試験は、40℃、相対湿度90%雰囲気下に24時間、感熱記録紙を放置して行った。耐湿試験前後の未印字部(地肌)の白色度を測定し、その変化量から耐湿地肌性の改良効果を評価した。評価基準は、表1の脚注に記載した。
<分散液の調整>
【0057】
下記組成の混合物を、サンドグラインダーを用いて、平均粒径が1μm以下になるように粉砕・分散化して分散液を調製し、染料分散液、顕色剤分散液、および補助剤分散液を作製した。
染料分散液作製用組成:
・ロイコ染料 52.5g
・商品名ゴーセランL3266(日本合成化学工業(株)製) 5.38%水溶液 97.5g
(得られる染料分散液のロイコ染料含有率は35%)
顕色剤分散液作製用組成:
・ジヒドロキシジフェニルスルホン混合物 60g
・商品名ゴーセランL3266(日本合成化学工業(株)製) 5.38%水溶液 30g
・蒸留水 60g
(得られる顕色剤分散液のジヒドロキシジフェニルスルホン混合物含有率は40%)
補助剤分散液作製用組成:
・補助剤 60g
・商品名ゴーセランL3266(日本合成化学工業(株)製)5.38%水溶液 30g
・蒸留水 60g
(得られる補助剤分散液の補助剤含有率は40%)
【0058】
また、炭酸カルシウム分散液を次のようにして作製した。炭酸カルシウム10g(商品名カルライトKT、白石カルシウム(株)製)を水30gと混合してマグネチックスターラーで撹拌分散して、25%炭酸カルシウム分散液を得た。
<製造法評価>
【0059】
感熱記録材料の顕色剤として用いることができる2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの混合物を得るまでの製造法を、工程の難易度によるトータルの製造プロセスの長短に基づいて四段階に相対評価した。なお、市販のジヒドロキシジフェニルスルホン粉末を出発物質として用いた場合は、その製造に要したであろう時間と工程数を推定して評価に加えた。
【実施例1】
【0060】
ロイコ染料;3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(以下ODB2と記述する)の35%分散液を、上記記載の方法で調製した。
【0061】
顕色剤;1モルの硫酸ジメチルと2モルの三酸化硫黄とを混合し反応させ、さらに2モルのクロロベンゼンと触媒を投入し、30℃で1時間反応させた。反応後、クロロベンゼンを投入して30℃で1時間撹拌し、静置して沈澱物を分離した。この沈殿物から4、4'−ジクロルジフェニルスルフォンを溶媒を用いて、晶析分離して取り出した。残りのろ液中には、2,4'−ジクロルジフェニルスルフォンと4、4'−ジクロルジフェニルスルフォンとが65/35の重量比で含有されていた。次に、この混合物に薄い苛性ソーダ水溶液を加え、220℃で加圧下に4時間反応した。冷却後、未反応のジクロル化合物を分離し、希硫酸水溶液で処理して生じた沈殿を濾別、水洗、乾燥することにより、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの混合物が得られた。この得られた混合物を25%の苛性ソーダ水溶液に完全に溶解させ、それに硫酸を加えてpH調整をしながら4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの一部をモノナトリウム塩として除き、さらに硫酸で中和してpH5.0にし、沈殿を濾別して、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの混合物が得られた。これをメタノールで脱色、再結晶、精製、分離を行い重量比が70/30であるジヒドロキシジフェニルスルホン混合物(以下BPS7/3と記述する)が得られた。これを用いて上記記載の方法で40%分散液を調製した。
【0062】
感熱紙の印字感度ならびに耐湿地肌被り性の評価は、以下の手順で行った。上記の分散液を、ODB2が15部(乾燥体基準。以下同様)、BPS7/3が40部、炭酸カルシウムが20部、さらにステアリン酸亜鉛(商品名ハイドリンZ−7−30;中京油脂(株)製)が10部、さらにポリビニルアルコール(商品名ポバールPVA110;(株)クラレ製を15%水溶液に調整して使用した。)が10部の割合になるように調整し、撹拌混合して塗工液を得た。
【0063】
この塗工液を50g/mの秤量をもつ原紙上にバーコーターで塗布し、乾燥後スーパーカレンダーで処理して感熱紙を得た。このときの塗布量は、ODB2換算で、0.40g/mであった。
【0064】
このようにして作製した感熱紙について、印字感度、耐可塑剤性ならびに耐湿地肌被り性を、上記記載の方法で評価した。評価結果を表1に示した。
【実施例2】
【0065】
実施例1において、BPS7/3に替えて、反応、精製、分離の条件を変えることで、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの重量比が80/20であるジヒドロキシジフェニルスルホン混合物(以下BPS8/2と記述する)を得て用いた以外は、実施例1と同様にして感熱紙を作製した。この感熱紙の印字感度、耐可塑剤性ならびに耐湿地肌被り性を評価し、評価結果を表1に示した。
【実施例3】
【0066】
実施例1において、BPS7/3にかえて、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの重量比が90/10であるジヒドロキシジフェニルスルホン混合物(以下BPS9/1と記述する)を得て用いたこと以外は、実施例1と同様にして感熱紙を作成した。作製した感熱紙の印字感度、耐可塑剤性ならびに耐湿地肌被り性を評価し、評価結果を表1に示した。
【実施例4】
【0067】
ロイコ染料;3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(ODB2)の35%分散液を、上記記載の方法で調製した。
【0068】
顕色剤;2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの重量比が70/30であるジヒドロキシジフェニルスルホン混合物(BPS7/3)の40%分散液を、上記記載の方法で調製した。
【0069】
補助剤;商品名UU(ケミプロ化成(株)製)(以下UUと記述する)の40%分散液を、上記記載の方法で調製した。
【0070】
感熱紙の評価は、実施例1において、BPS7/3が40部にかえて、BPS7/3が30部、UUが10部としたこと以外は実施例1におけると同様にして、印字感度、耐可塑剤性ならびに耐湿地肌被り性を評価し、評価結果を表1に示した。
【実施例5】
【0071】
実施例4において、BPS7/3の代わりにBPS9/1を用いたこと以外は実施例4と同様にした。作製した感熱紙の印字感度、耐可塑剤性ならびに耐湿地肌被り性を評価し、評価結果を表1に示した。
【実施例6】
【0072】
実施例4において、UU の代わりに商品名D−90(日本曹達(株)製)を用いたこと以外は、実施例4におけると同様にして感熱紙を作製した。この感熱紙の印字感度、耐可塑剤性ならびに耐湿地肌被り性を評価し、評価結果を表1に示した。
【実施例7】
【0073】
実施例4において、UU の代わりに商品名DH43((株)ADEKA製)を用いたこと以外は、実施例4におけると同様にして感熱紙を作製した。この感熱紙の印字感度、耐可塑剤性ならびに耐湿地肌被り性を評価し、評価結果を表1に示した。
【実施例8】
【0074】
実施例4において、BPS7/3の量を29部としUUの量を11部としたこと以外は実施例4におけると同様にして感熱紙を作製した。この感熱紙の印字感度、耐可塑剤性ならびに耐湿地肌被り性を評価し、評価結果を表1に示した。
[比較例1]
【0075】
実施例1において、BPS7/3にかえて、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの重量比が30/70であるジヒドロキシジフェニルスルホン混合物(以下BPS3/7と記述する)を用いた以外は、実施例1におけると同様にして感熱紙を作製した。この感熱紙の印字感度、耐可塑剤性ならびに耐湿地肌被り性を評価し、評価結果を表1に示した。
[比較例2]
【0076】
実施例1において、BPS7/3にかえて、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン粉末(商品名24BPS、日華化学(株)製)と4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン粉末(商品名44BPS、日華化学(株)製)とを用い、両者の重量比が70/30となるように添加混合した粉末混合物(以下24bps/44bps7/3と記述する)を用いた以外は、実施例1におけると同様にして感熱紙を作成した。この感熱紙の印字感度、耐可塑剤性ならびに耐湿地肌被り性を評価し、評価結果を表1に示した。
[比較例3]
【0077】
実施例1において、BPS7/3にかえて、従来の製造法であるフェノールとスルホン化剤による方法においてスルホン化剤として硫酸を用いた脱水反応により得た2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの重量比が20/80であるジヒドロキシジフェニルスルホン混合物(以下bps2/8と記述する)を用いた以外は、実施例1におけると同様にして感熱紙を作成した。作製した感熱紙の印字感度、耐可塑剤性ならびに耐湿地肌被り性を評価し、評価結果を表1に示した。
【表1】
【0078】
注1) 顕色剤に対する補助剤の質量%
注2)感熱記録紙を印字エネルギー0.51mj/dotで発色させたときの画像の光学密度
◎: 濃度が非常に濃い○: 濃度が良好△: 濃度がやや薄い×:度が非常に薄い
注3)感熱記録紙の耐可塑剤性
◎: 色濃度が非常に濃い○:色濃度が良好△:色濃度がやや薄い
×:色濃度が非常に薄い
注4)感熱記録紙の耐湿地肌被り性
◎:白色度の変化量が非常に少ない○:白色度の変化量が少ない△:白色度の変化量がやや多い×: 白色度の変化量が非常に大きい
注5)製造法評価
◎: 工程の難易度が小さくトータルの製造プロセスが短い。○: 工程の難易度がやや小さくトータルの製造プロセスがやや短い。△:工程の難易度がやや大きくトータルの製造プロセスがやや長い。×: 工程の難易度が大きくトータルの製造プロセスが長い。
産業上の利用可能性

【産業上の利用可能性】
【0079】
感熱記録方式を採用した各種情報機器、例えば、ファクシミリ、プリンター、レコーダーの感熱記録材料として用いることができる。
図1
図2