特許第6061432号(P6061432)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6061432塞栓インプラント及び動脈閉塞のためのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061432
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】塞栓インプラント及び動脈閉塞のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   A61B17/12
【請求項の数】19
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-513667(P2014-513667)
(86)(22)【出願日】2012年5月30日
(65)【公表番号】特表2014-523274(P2014-523274A)
(43)【公表日】2014年9月11日
(86)【国際出願番号】US2012040012
(87)【国際公開番号】WO2012166804
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2015年5月11日
(31)【優先権主張番号】61/493,108
(32)【優先日】2011年6月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/483,962
(32)【優先日】2012年5月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン エム ストラス
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ジェイ ヴァルコ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ エー レンカー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エー ピコー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター バーカー
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0054519(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0241735(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0229366(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0105644(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動脈閉塞のための塞栓インプラントであって、前記塞栓インプラントは、近位端および遠位端によって特徴付けられ、前記塞栓インプラントは、
近位端および遠位端によって特徴付けられるワイヤフレーム構造であって、前記ワイヤフレーム構造は、
一対の反対方向のジグザグ部分であって、前記一対の反対方向のジグザグ部分は、複数のV字型要素を含み、前記複数のV字型要素は、長手方向に配列された短いストラットを介してV字型部分の開放端で接合されることにより、前記ワイヤフレーム構造の中心領域を形成し、前記短いストラットは、互いに長手方向に移動され、前記複数のV字型要素は、前記ワイヤフレーム構造の中心から離れるように方向付けられた頂点を規定する、一対の反対方向のジグザグ部分と、
前記複数のV字型要素の近位に方向付けられた頂点から延びている長手方向に配向された複数のストラットであって、前記長手方向に配向された複数のストラットは、前記塞栓インプラントの近位端で前記ワイヤフレーム構造の斜線中心の近くで互いに接合されている、長手方向に配向された複数のストラットと
を含み、前記ワイヤフレーム構造は、自己膨張型材料から形成されている、ワイヤフレーム構造と、
前記塞栓インプラントの近位端に固定された離脱ジョイントと、
前記塞栓インプラントの近位端を覆って配置され血液不透過性膜であって、前記血液不透過性膜は、前記ジグザグ部分の少なくとも1つを覆って延びている、血液不透過性膜
を含む、塞栓インプラント。
【請求項2】
前記ワイヤフレーム構造は、前記複数のV字型要素の遠位に方向付けられた頂点から延びている長手方向に沿って配向され屈曲した第の複数のストラットを更に含み、前記長手方向に沿って配向され屈曲した複数のストラットは、前記塞栓インプラントの近位端で前記ワイヤフレーム構造の斜線中心の近くで互いに接合されている、請求項1記載の塞栓インプラント。
【請求項3】
前記ワイヤフレーム構造は、擬弾性金属合金を更に含む、請求項1記載の塞栓インプラント。
【請求項4】
前記膜は、接着剤を含浸したePTFEを含み、前記膜は、前記ワイヤフレーム構造接着されている、請求項1記載の塞栓インプラント。
【請求項5】
前記膜は、接着剤を含浸した2層のePTFEを含み、前記膜は、前記ワイヤフレーム構造接着されている、請求項1記載の塞栓インプラント。
【請求項6】
前記ワイヤフレーム構造は、5mmの直径を有する完全に膨張された構成と、1mm未満の直径を有する第2の完全に圧縮された構成を有する、請求項1記載の塞栓インプラント。
【請求項7】
親動脈閉塞のためのシステムであって、前記システムは、
近位端および遠位端によって特徴付けられる塞栓インプラントであって、前記塞栓インプラントは、
近位端および遠位端によって特徴付けられるワイヤフレーム構造であって、前記ワイヤフレーム構造は、
一対の反対方向のジグザグ部分であって、前記一対の反対方向のジグザグ部分は、複数のV字型要素を含み、前記複数のV字型要素は、長手方向に配列された短いストラットを介してV字型部分の開放端で接合されることにより、前記ワイヤフレーム構造の中心領域を形成し、前記短いストラットは、互いに長手方向に移動され、前記複数のV字型要素は、前記ワイヤフレーム構造の中心から離れるように方向付けられた頂点を規定する、一対の反対方向のジグザグ部分と、
前記複数のV字型要素の近位に方向付けられた頂点から延びている長手方向に配向された複数のストラットであって、前記長手方向に配向された複数のストラットは、前記塞栓インプラントの近位端で前記ワイヤフレーム構造の斜線中心の近くで互いに接合されている、長手方向に配向された複数のストラットと
を含み、前記ワイヤフレーム構造は、自己膨張型材料から形成されている、ワイヤフレーム構造と、
前記塞栓インプラントの近位端に固定された離脱ジョイントと、
前記塞栓インプラントの近位端を覆って配置され血液不透過性膜であって、前記血液不透過性膜は、前記ジグザグ部分の少なくとも1つを覆って延びている、血液不透過性膜
を含む、塞栓インプラントと、
患者の血管系を通って親動脈への移動に適応された送達カテーテルであって、前記送達カテーテルは、前記送達カテーテルの遠位端内に前記塞栓インプラントを収納することにも適応されてい送達カテーテルと、
前記送達カテーテル内にスライド可能なように配置された送達ロッドであって、前記送達ロッドは、前記離脱ジョイントを介して前記塞栓インプラントに固定された遠位端を有する送達ロッド
含む、動脈閉塞のためのシステム。
【請求項8】
前記ワイヤフレーム構造は、前記複数のV字型要素の遠位に方向付けられた頂点から延びている長手方向に沿って配向され屈曲した第の複数のストラットを更に含み、前記長手方向に沿って配向され屈曲した複数のストラットは、前記塞栓インプラントの近位端で前記ワイヤフレーム構造の斜線中心の近くで互いに接合されている、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記ワイヤフレーム構造は、擬弾性金属合金を更に含む、請求項7記載のシステム。
【請求項10】
前記膜は、接着剤を含浸したePTFEを含み、前記膜は、前記ワイヤフレーム構造接着されている、請求項7記載のシステム。
【請求項11】
前記膜は、接着剤を含浸した2層のePTFEを含み、前記膜は、前記ワイヤフレーム構造接着されている、請求項7記載のシステム。
【請求項12】
前記ワイヤフレーム構造は、5mmの直径を有する完全に膨張された構成と、1mm未満の直径を有する完全に圧縮された構成を有する、請求項7記載のシステム。
【請求項13】
前記ワイヤフレーム構造は、5mmの直径を有する完全に膨張された構成と、0.6mmの直径を有する完全に圧縮された構成を有する、請求項7記載のシステム。
【請求項14】
前記離脱ジョイントは、電解ジョイントである、請求項1に記載の塞栓インプラント。
【請求項15】
前記離脱ジョイントは、電解ジョイントである、請求項7に記載のシステム。
【請求項16】
前記長手方向に配向された複数のストラットは、屈曲した長手方向に配向された複数のストラットを含む、請求項1に記載の塞栓インプラント。
【請求項17】
前記長手方向に配向された複数のストラットは、屈曲した長手方向に配向された複数のストラットを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項18】
前記長手方向に配向された複数のストラットは、長手方向に配向された第1の複数のストラットを含み、前記塞栓インプラントは、前記複数のV字型要素の遠位に方向付けられた頂点から延びている長手方向に配向された第2の複数のストラットをさらに含み、前記長手方向に配向された第2の複数のストラットは、前記塞栓インプラントの遠位端で前記ワイヤフレーム構造の斜線中心の近くで互いに接合されている、請求項1に記載の塞栓インプラント。
【請求項19】
前記長手方向に配向された複数のストラットは、長手方向に配向された第1の複数のストラットを含み、前記塞栓インプラントは、前記複数のV字型要素の遠位に方向付けられた頂点から延びている長手方向に配向された第2の複数のストラットをさらに含み、前記長手方向に配向された第2の複数のストラットは、前記塞栓インプラントの遠位端で前記ワイヤフレーム構造の斜線中心の近くで互いに接合されている、請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に説明する本発明は、神経血管系(大脳動脈及び大脳静脈)で使用するための塞栓デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
以下に説明するデバイスは、大脳動脈及び大脳静脈の障害の治療を意図している。大脳動脈の障害としては、動脈瘤、紡錘状動脈瘤、動静脈奇形、動静脈瘻、海綿状瘻及び解離、並びに他の血管過多病変(hyper−vascular lesions)(頭部及び頸部腫瘍等)が挙げられる。これらの障害は、頭痛から失明、脳卒中、死亡まで、さまざまな症状の原因となる。好ましくは、これらの障害は、脳の部位に血液を自然に供給し続けられるように、関連する親動脈又は静脈を損傷せず元のままにしておく機器及び技術を用いて治療される。これらの技術としては、閉塞ポリマー若しくは閉塞コイルで動脈瘤を閉塞する技術、又は可能な場合にはステント若しくはカバードステントを挿入する技術が挙げられる。しかし、多くのケースでは、この技術が障害のある動脈及び静脈部分、又は障害自体に適合しないか、患者の病状が血流の即時停止を必要とすることを示しているので、この技術は得策でないか、又は不可能である。
【0003】
親動脈の保存が得策でない場合、他の可能性としては、親動脈閉塞又はPAOがある。親動脈閉塞は、障害の近くの血管の端から端までの部分を、迅速かつしっかりと閉鎖することにより実施され、好ましくは迅速かつ十分な障害への血流の閉鎖、障害の近くで血管部分の永続的な分離をもたらす。親動脈閉塞は、更に広く見れば、動脈及び静脈を両方とも閉塞することを包含する、親血管閉塞と呼ばれる場合がある。一部の血管内デバイス及び技術は、親動脈閉塞を実施するために開発されてきた。これまでは、取り外し可能なバルーンが提案され、親動脈閉塞に使用されてきたが、バルーンから漏出したり、バルーンが収縮したりする場合があり、深刻な塞栓合併症を起こす場合があるので、不成功に終わっていた。(Giant Intracranial Aneurysms at 257(Awad,Issam and Barrow,Daniel,eds.,Thieme/AANS 1st ed.,1995))。閉塞コイルは、紡錘状動脈瘤及び海綿状瘻をパックするために用いられてきたが、これは非常に高価であり(多数のコイルを必要とする)、即時に閉塞することができない。したがって、コイルの塊の周囲で患者の血液が凝固する間の数分間に血流がぽたぽた落ち、この血流がコイルの塊から血栓を形成し、血栓を移行させる場合がある。親動脈閉塞を実施するために、血管プラグが使用されてきた。現在入手できるプラグ、例えばAmplatzer血管プラグ等は神経血管系において適応外で使用され、配置することは困難である。Rossら、The Vascular Plug:A new Device for Parent Artery Occlusion,28 AJNR Am J Neuroradiology 385(Feb 2007)。また、これらの血管プラグの目の粗いメッシュ構造は、そのメッシュ構造がプラグ上に形成され、閉塞した動脈の下流に塞栓を引き起こすので、血栓を除去する可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Giant Intracranial Aneurysms at 257(Awad,Issam and Barrow,Daniel,eds.,Thieme/AANS 1st ed.,1995
【非特許文献2】Rossら、The Vascular Plug:A new Device for Parent Artery Occlusion,28 AJNR Am J Neuroradiology 385(Feb 2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下に説明するデバイス及び方法は、塞栓インプラントを用いる、神経血管の動脈の迅速な塞栓を提供し、これは、大脳動脈内(又は大脳静脈内)で親動脈閉塞デバイスとして用いるのに適している。このデバイスは、動脈瘤内に配置してもよい。塞栓インプラントは、ポリマー膜を覆っている、細長いか球形、又は扁円若しくは長球の、自己膨張型のかご様ワイヤフレーム構造であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
塞栓デバイスは、戻り止めのような機械的連結手段、電解脱離又は他の適切な脱離手段により、解放可能なように送達カテーテルに結合している。送達カテーテルから解放されると、塞栓デバイスは、周囲の大脳動脈により許される範囲まで自由な形状に膨張する。かご様構造の膨張、及び膜の同時膨張により、大脳動脈の即時閉塞がもたらされる。最近の比較研究では、血流を止めるのに3分かかるAmplatzer(商標)血管プラグに比べ、塞栓インプラントは、約15秒以内に動脈内の血流を止めることが示された。
【0007】
更に、これらのデバイスは、術前脈管切除を実施し、閉塞を試験するために用いられる。更に、ストラット及び抑制バンドを包含する塞栓インプラントも開示されている。これらのデバイスは脳血管系内での使用が提案されているが、全身の血管の障害を治療するためにも使用することができる。
実施形態において、本発明は、例えば、下記の項目を提供する。
(項目1)
近位端及び遠位端により特徴づけられる、親動脈閉塞のための塞栓インプラントであって、該塞栓インプラントは、
長手方向に配列した短いストラットを介してV字型部分の開放端で接合して前記ワイヤフレーム構造の中心領域を形成する、複数のV字型要素を有する、一対の反対方向のジグザグ部分、及び近位端に方向づけられたV字型要素の頂点から膨脹する長手方向に沿って配向される屈曲した複数のストラットを有する、近位端及び遠位端により特徴づけられるワイヤフレーム構造であって、前記短いストラットは、互いに前記ワイヤフレーム構造の中心から離れて、頂点を規定する前記V字型要素から離れて長手方向に移動し、前記長手方向に沿って配向される屈曲したストラットは、前記塞栓インプラントの近位端でワイヤフレーム構造の斜線中心の近くで互いに結合しており、自己膨張型材料から形成されているワイヤフレーム構造と;
前記塞栓インプラントの近位端に固定された電解離脱ジョイントと;
前記塞栓インプラントの近位端を覆って配置される血液不透過性膜であって、前記ジグザグ部分の少なくとも1つを覆って膨脹している血液不透過性膜と;を有する塞栓インプラント。
(項目2)
前記ワイヤフレーム構造が、遠位端に方向づけられたV字型要素の頂点から膨脹する長手方向に沿って配向される屈曲した第二の複数のストラットを更に有し、前記長手方向に沿って配向される屈曲したストラットは、前記塞栓インプラントの近位端でワイヤフレーム構造の斜線中心の近くで互いに結合している、項目1記載の塞栓インプラント。
(項目3)
前記ワイヤフレーム構造が、擬弾性金属合金を更に有する、項目1記載の塞栓インプラント。
(項目4)
前記膜が、接着剤を含浸したePTFEを有し、前記膜が前記ワイヤフレーム構造と接着している、項目1記載の塞栓インプラント。
(項目5)
前記膜が、接着剤を含浸した2層のePTFEを有し、前記膜が前記ワイヤフレーム構造と接着している、項目1記載の塞栓インプラント。
(項目6)
前記ワイヤフレーム構造が、約5mmの直径の全体として膨張した構成、及び約1mm未満の直径の全体として圧縮した構成を有する、項目1記載の塞栓インプラント。
(項目7)
長手方向に配列した短いストラットを介してV字型部分の開放端で接合して前記ワイヤフレーム構造の中心領域を形成する、複数のV字型要素を有する、一対の反対方向のジグザグ部分、及び近位端に方向づけられたV字型要素の頂点から膨脹する長手方向に沿って配向される屈曲した複数のストラットを有する、近位端及び遠位端により特徴づけられるワイヤフレーム構造であって、前記短いストラットは、互いに前記ワイヤフレーム構造の中心から離れて、頂点を規定する前記V字型要素から離れて長手方向に移動し、前記長手方向に沿って配向される屈曲したストラットは、前記塞栓インプラントの近位端でワイヤフレーム構造の斜線中心の近くで互いに結合しており、自己膨張型材料から形成されているワイヤフレーム構造と;前記塞栓インプラントの近位端に固定された電解離脱ジョイントと;前記塞栓インプラントの近位端を覆って配置される血液不透過性膜であって、前記ジグザグ部分の少なくとも1つを覆って膨脹している血液不透過性膜とを有する、近位端及び遠位端により特徴づけられる前記塞栓インプラント;
患者の血管系を通って親動脈への移動に適応する送達カテーテルであって、該送達カテーテルの遠位端内に塞栓インプラントを収納することにも適応される送達カテーテル;
前記送達カテーテル内にスライド可能なように配置された送達ロッドであって、該送達ロッドは、前記電解離脱ジョイントを介して前記塞栓インプラントに固定された遠位端を有する送達ロッド;並びに
電源から、前記電解離脱ジョイントに電力を供給するためのコンダクターを有する、動脈閉塞のためのシステム。
(項目8)
前記ワイヤフレーム構造が、遠位端に方向づけられたV字型要素の頂点から膨脹する長手方向に沿って配向される屈曲した第二の複数のストラットを更に有し、前記長手方向に沿って配向される屈曲したストラットは、前記塞栓インプラントの近位端でワイヤフレーム構造の斜線中心の近くで互いに結合している、項目7記載のシステム。
(項目9)
前記ワイヤフレーム構造が、擬弾性金属合金を更に有する、項目7記載のシステム。
(項目10)
前記膜が、接着剤を含浸したePTFEを有し、前記膜が前記ワイヤフレーム構造と接着している、項目7記載のシステム。
(項目11)
前記膜が、接着剤を含浸した2層のePTFEを有し、前記膜が前記ワイヤフレーム構造と接着している、項目7記載のシステム。
(項目12)
前記ワイヤフレーム構造が、約5mmの直径の全体として膨張した構成、及び約1mm未満の直径の全体として圧縮した構成を有する、項目7記載のシステム。
(項目13)
前記ワイヤフレーム構造が、約5mmの直径の全体として膨張した構成、及び約0.6mmの直径の全体として圧縮した構成を有する、項目7記載のシステム。
(項目14)
下記工程を含む、患者の脳血管内の障害の治療方法:
項目1記載の第一の塞栓インプラント及び第二の塞栓プラントを供給する工程;
脳血管内の、前記障害と余分の血流の発生源との間の前記障害から遠い部位に、前記第一の塞栓インプラントを植え付ける工程;
脳血管内の前記障害から近い部位に、前記第二の塞栓インプラントを植え付ける方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】頭蓋内塞栓デバイスの代表的な配置を示す脳の血管系の概要図である。
図2】ウィリス輪及びウィリス輪を供給する動脈を説明する、脳血管の概要図である。
図3】膜を部分的に覆う、楕円形で扁長のワイヤフレーム構造を有する塞栓インプラントを示す。
図4】親動脈閉塞デバイスのいくつかの部分を示す。
図5】膨張していない状態での、複数の長手方向ストラットを有する塞栓インプラントの側面図を示す。
図6】2つの端の距離を短縮することによって放射状に膨張した、図5の塞栓インプラントの側面図を示す。
図7】送達カテーテルの遠位端に解放可能に連結され、更にガイドワイヤに沿ってガイドカテーテルの管腔を通って挿入された、膨張していない図6の塞栓インプラントの側面図を示す。
図8】送達カテーテルの遠位端に解放可能に連結され、インプラントが放射状に膨張できるように、ガイドワイヤに沿ってガイドカテーテルの遠位端の外に膨脹する、図6の塞栓インプラントの側面図を示す。
図9】インプラントが送達カテーテルから解放されるように、ガイドワイヤの遠位端がインプラントの近位端に近接するように、ガイドワイヤが引き出された、膨張した図2Bの塞栓インプラントを示す。
図10】送達カテーテルが、解放された塞栓インプラントから離れて近くに引き出された、図9の塞栓インプラントを示す。
図11】解放可能な固定機構を示す、一部破断側面図における、90℃回転した、図7の塞栓プラントを示す。
図12】ガイドワイヤが引き出され、固定機構が塞栓インプラントから解放された、一部破断側面図における、図11の塞栓インプラントを示す。
図13】膜が連結された上に、放射状に膨張可能な複数のストラットを有する、塞栓インプラントの側面図を示す。
図14】膨脹可能なストラット上に配置され、連結された、穴のあいた網を有する、塞栓インプラントの側面図を示す。
図15】円筒形の近位端に連結され、実質的には何もストラットの遠位端に突出しないような遠位端に一緒に到達する複数のストラットを有する、塞栓インプラントの側面図を示す。
図16】ストラットが、どのように遠位端に一緒に到達するかを示す、図8Aの塞栓インプラントの端面図を示す。
図17】送達シースが部分的に格納されており、横断面で示されている送達カテーテルに接続されたままの、膨張した塞栓インプラント(インプラントは、長手方向配置された複数のストラット、又は近位端若しくは遠位端で一緒に接続した棒状物を有し、更にインプラントの近位部を取り囲む、重合性膜を含む)の側面図を示す。
図18】送達カテーテルに接続されたままの、膨張した塞栓インプラント(インプラントは、部分的に長手方向ストラットと互いにかみ合い、膜で部分的に覆われている、長手方向に配置された複数のストラットを有する)の側面図を示す。
図19】送達カテーテルに連結され、送達シース内に配置され、網を有する、つぶれた塞栓インプラントの側面図を示す。
図20】シースが引き出され、直径方向に膨張できるようにむき出しにされた、図19の塞栓インプラントの側面図を示す。
図21】送達カテーテル及びシースから全体として分離した塞栓インプラント(塞栓インプラントは、複数の長手方向ストラットを有し、長手方向ストラットの中心領域に複数の屈曲した部分を更に有する)の側面図を示す。
図22】送達カテーテル及びシースから全体として分離した塞栓インプラント(インプラントは、近位の中心領域に長手方向に配置された複数のストラット、遠位中心領域に網を有する)の側面図を示す。
図23】各ストラットが3つのストラットに分割され、その分岐点がインプラントの中心領域である、複数の長手方向ストラットを有する、塞栓インプラントの側面図を示す。
図24】小さい直径の部分のインプラントの中心領域の近くに接続された2つの球状部を形成するように複数の長手方向ストラットを有する、塞栓インプラントの側面図を示す。
図25】インプラントの遠位端に連結された湾曲したストラットによって輪郭だけ形成された、花びら構造を有するように互いにかみ合った、複数の長手方向ストラットを有する、塞栓インプラントの側面図を示す。
図26】横方向に配置された棒状物によって中心領域に相互接続された、複数の長手方向ストラットを有する、塞栓インプラントの側面図を示す。
図27】インプラントの近位端及び遠位端に中心の編み目構造が接続する、複数の長手方向ストラットを有する、塞栓インプラントの側面図を示す。
図28】ねじ状の解放可能な結合によって、送達カテーテルと連結した、塞栓インプラントの一部破断側面図を示す。
図29】溶融可能な結合によって、送達カテーテルと連結した、塞栓インプラントの一部破断側面図を示す。
図30】加圧により解放される系によって、送達カテーテルと連結した、塞栓インプラントの一部破断側面図を示す。
図31】連結器中で真空を適用してその直径を収縮して切り離すことができる、膨張可能な連結器によって、送達カテーテルと連結した、塞栓インプラントの一部破断側面図を示す。
図32】インプラントを分離及び配置する押し込みシステムを示す、塞栓インプラントの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1及び2は、以下の説明で示す塞栓インプラントの使用を十分詳細に説明するための、脳の血管系を示す。塞栓インプラント1を、典型的な配置で示す。塞栓インプラントは、送達カテーテル2を用いて、この血管障害の部位に送達される。塞栓インプラントの使用の対照とする環境である神経血管系は、首のそれぞれの側の頸動脈及び椎骨動脈を通して脳3に血液を供給する。重要な動脈としては、塞栓インプラントの最も一般的なアクセス経路である首の総頸動脈4、及び目動脈6を供給する内頸動脈5が挙げられる。外頸動脈7は、顎動脈8、中硬薄膜動脈9、及び浅側頭動脈10(前頭骨)及び11(頭骨頭頂部)を供給する。椎骨動脈12は、脳底動脈13、並びに後大脳動脈14及び一般に15で示されるウィリス輪を含む、大脳動脈を供給する。椎骨動脈のサイフォン12aは、ウィリス輪への椎骨アプローチにおける頭蓋内血管系内に見られる。また、内頸動脈により、前大脳動脈16及び中大脳動脈17だけでなく、ウィリス輪が供給され、後交通動脈18及び前交通動脈19も含まれる。内頸動脈5のサイフォン5aは、ウィリス輪への頸動脈アプローチにおける頭蓋内血管系内に見られる。これらの動脈は、通常は約1mm〜5mm、最も一般的には2〜4mmの内径を有する。本明細書に開示される方法及びデバイスは、これらの動脈及びこれらの動脈内のステントの配置にアクセスすることを可能にする。図1では、挿入カテーテル及び塞栓インプラント1は、前大脳動脈16内に配置された塞栓インプラントを用いて、通常の頸動脈4及び内頸動脈5を通って進む。
【0010】
図2は、ウィリス輪、及びこの重要な解剖学的特徴を供給する動脈を更に説明する概略図の同一の血管を示す。ウィリス輪15は、他の大脳動脈16、中大脳動脈17及び後大脳動脈14に内頸動脈及び脳底動脈(それ故、左及び右大脳動脈)をつなぐ動脈の輪である。この系は、非常に豊富な血液を大脳動脈に供給する。この図では、内頸動脈5のなくてはならない部分を形成する頸動脈サイフォン5aが、より明瞭に見える。ウィリス輪又は脳内のより深い、頸動脈の頭蓋内部分、椎骨動脈(並びにサイフォンの遠位にある、それらの動脈の一部)及び脳底動脈の脳内で発生する動脈瘤、瘻、脳動静脈奇形(AVM)及び腫瘍は、以下に説明する塞栓インプラント及び送達システムを用いて治療することができる。図2は、塞栓インプラントにより血管障害20(このケースでは紡錘状動脈瘤)を治療するために、送達カテーテル2が大動脈を通って内頸動脈に向かう総頸動脈に挿入される、典型的な使用を示す。1つのインプラントは、ウィリス輪由来の逆行血流を遮断するために障害から遠位に配置され、1つのインプラントは、内頸動脈由来の正常血流を遮断するために障害の近くに配置される。この親動脈を犠牲にすることにより、障害は分離されるが、脳のこの部位の神経血管系により、ウィリス輪を通る、豊富な経路が供給されるであろう。しかし、正常な方向の血流の停止する際の遅れにより塞栓インプラントから取り除かれたあらゆる血栓は、下流の動脈の閉塞をもたらす可能性がある。
【0011】
図3は、患者の神経血管系で使用するのに適した塞栓インプラント、又は親動脈閉塞デバイスを示す。塞栓インプラント21は、デバイスの長手方向(長軸方向)中心に集中する、輪と一緒に固定されたストラットを有する全体に管状の形状のワイヤフレーム構造である。ワイヤフレーム構造は、部分的に膜で覆われている。ワイヤフレーム構造は、ニチノールチューブをレーザー切断することにより形成される。得られた、ワイヤフレーム構造の部分としては、小さい縦長のストラット25を通して、V字型要素の「開放」端で結合したV字型要素を有する、第一のジグザグ部分22及び第二のジグザグ部分23が挙げられる。これらのストラットは、塞栓インプラントを、小さい直径の形状に圧縮することができるように互いに長手方向に対して斜めであり、ストラット及びジグザグ部分間の接点は、ストラットが長手方向に沿って配置した場合に可能な直径よりも小さい直径に圧縮できる。ストラットは、切断したデバイスからの元のチューブよりも小さい直径に圧縮することができる。各ジグザグ部分は、デバイスの長手方向中心から離れて長手方向に向いている各V字型要素の頂点26によって特徴づけられる。V字型要素の頂点から、末端ストラット27は、デバイスの長手方向中心から離れて長手方向に膨脹し、デバイスの斜線中心に向かって曲がっている。近位の屈曲したストラットは、直線状のストラット28の部分に続いている(図4参照)。遠位の屈曲したストラットは、直線上のストラット37の部分に続いている(図4参照)。長手方向中心から最も離れた末端ストラットの端は、小さいリング29及び30内に固定されている。(蛍光透視鏡による誘導下、塞栓インプラントの配置を容易にすることを補助するために、金、白金合金等の放射線不透過物質で製造されている。)デバイスは、デバイスを挿入するために用いられる送達カテーテルに関して定義される近位端31及び遠位端32、及びインプラントが、挿入部位に到達するために誘導される経路により特徴づけることができる。近位端では、ワイヤフレーム構造は、電解離脱ジョイント34を通して、送達ロッド33と接合されている。送達ロッドの近位端で、電源からの電流を流すことによって電解離脱接合部を加熱し、接合部を破壊する。(低電流を流し、電気化学反応を起こしたときに電解離脱接合部が破壊される。)(また、電解離脱接合部を送達ロッドから離脱する間、塞栓インプラントを維持するために、以下に説明する離脱手段のいずれかを用いることができる。)
【0012】
図4は、いくつかの部分を説明するために、広がっているように、ワイヤフレーム構造を示す。第一及び第二のジグザグ部分22及び23は、小さい中心ストラット25を通して接続されている。符号35として示された円周線は、互いに対するストラットの長手方向の移動を説明するために記載されている。ストラット及びV字型の頂点は、同じ円周線に沿って配置されていないので、インプラントは、ストラットの接触を妨害することによって制限されることなく圧縮することができる。ジグザグ部分から長手方向に膨脹する屈曲したストラットは、ジグザグ部分36を解体するために接続されている。これらの部分は、レーザー切断工程の際に形成され、デバイスのいずれかの末端でリングに、屈曲したストラットを集めるのを容易にするために用いられる。屈曲したストラットをリング中に固定した後、これらの部分を取り除き、廃棄する。図4に示すように、中心のジグザグ部分は一緒に結合し、いくつかのダイヤモンド型のセルを形成し、これは、長手方向に向いている頂点及び円周頂点の両方に関する、長手方向に移動する頂点を有する。連結したジグザグ部分は、デバイスの長手方向に沿って0.180°に広がっている。屈曲したストラットは0.230°に広がっている。
【0013】
インプラントが送達カテーテルから開放されることによって自己膨張するように、ワイヤフレーム構造は、好ましくは超弾性合金で製造され、体温で超弾性であるように製造されている。ワイヤフレーム構造は、弾性のある金属若しくはポリマー、又は形状記憶合金若しくは形状記憶ポリマーで製造してもよい。ジグザグ部分は、デバイスを圧縮するのに役立つ、明確に規定されたV字型要素で説明されている。V字型要素はU字型要素、又は正弦波状に曲がった要素で置換することができ、一緒に結合した屈曲部分、U字型要素の底部と結合した屈曲したストラットが作られる。
【0014】
再度、図3に言及すると、塞栓インプラントのワイヤフレーム構造は膜38で覆われている。膜38は、図示するように、両方のジグザグ部分を覆って膨脹し、リング30からインプラントの長手方向中心まで、塞栓インプラントの近位端を覆っている。膜は、ePTFEで製造され、適切な接着剤を用い、ワイヤフレーム構造の金属ストラットと接着している。この膜は、近位接面39上で血液に対して不浸透性であり、デバイスの中心を覆っている円周面上でも不浸透性であってもよい。しかし、図示するように、インプラント側で血管壁に対して圧縮されるであろう膜の円周面は、穿孔又は「水抜き穴」40で穴を開けられてもよい。これらの穿孔は、挿入の直前に空気の装置を浄化することを容易にするであろう。水抜き穴は、膜を通過した血液のいくつかの小さな浸出を可能にするのに有益であれば、膜の近位接面に備えてもよい。
【0015】
図示したように、膜は、ePTFEを接着剤で含浸したような、2枚のePTFEシートの間に挟まれた、Bacon Adhesive 430又は431等の接着剤総を有する2枚の0.0003インチ(0.00762mm)厚のePTFEシートから製造される。膜の材料は、1枚のシートに接着剤を塗布し、こするか、又は圧迫して接着剤を取り除き、シートの表面の薄い接着剤相を有するシートを湿潤し、ePTFEの穴に接着剤を施すことにより、製造される。次いで、第二のシートを湿潤表面上に置き、次いで、この組立品をこするか圧迫し、組立品を平らにする。得られるものは、接着に対するePTFEの通常の抵抗にかかわらず、ワイヤフレーム構造の金属ストラットに接着することのできるePTFEのシートである完成した膜にある程度の放射線不透過性を与えるために、タンタル粉末を接着剤に混合してもよい。次いで、シートを図示されるように大体円錐形に形成し、円錐形の型の上に広げ、加熱し、次いで型から剥離する。次いで、膜を、膨張したワイヤフレーム構造に接着するか、固定する。膜は、膨張したワイヤフレーム構造の外周に適合するように引き伸ばされ加熱形成される、ePTFEの単層を形成してもよい。
【0016】
塞栓インプラントは、その中心で5mmの拘束されていない直径であるが、0.021インチ(0.5334mm)以下の内径、又は0.039インチ(1mm)(3F)以下の外径を有する送達カテーテルに適合するように、1mm未満の直径、好ましくは約0.5mmの直径に圧縮することができるように、開いて十分に膨張するように形成することができる。これは、比較可能なAmplatzer(商標)PAOデバイスよりもはるかに大きなアクセスを可能にする。膨張した直径で6mmのAmplatzer(商標)は、送達のために十分に圧縮されたときに、0.054インチ〜0.072インチ(1.37mm〜1.83mm)の内径を有する5〜6F(1.7mm〜2mm)の送達カテーテルを必要とする。
【0017】
塞栓インプラントは、その構造中で血栓形成又は空間充填特性を向上させるために、コーティングすることができる。コーティングとしては、インプラント100に適合し、使用前に乾燥される、親水性ヒドロゲル又は発泡体が挙げられる。血液又は他の液体にさらすことにより、ヒドロゲル又は発泡体は水分を吸収し、容積が増大する。このような容積の膨張は、ヒドロゲル又は発泡体層の厚みを10倍以上に増大させる。親水性ヒドロゲルは、フィブリン接着剤、プロトロンビン又は他の血液凝固物質を含んでいてもよい。血栓形成(血液凝固)化学物質を、ヒドロゲルを用い、又は用いずに塞栓インプラントに適用することができる。
【0018】
使用の際、血管外科医(通常は放射線科医)は、送達カテーテルにパックした塞栓インプラントを、障害のある大脳動脈(又は静脈)の部分に挿入する。これは、通常は、外科医が送達カテーテルの挿入前に挿入するガイドカテーテルを通して実施されるであろう。デバイスの位置を確認した後(蛍光透視法により)、外科医は送達カテーテルを引き抜き、塞栓インプラントをむき出しにして解放する。必要であれば、塞栓インプラントは送達カテーテル内に引き戻され、(送達ワイヤを通して)再配置される。塞栓インプラントが適切に配置され、配置されると、外科医は小さい電源を操作し、電源との分離接合部から膨脹するコンダクター(プッシュロッドはコンダクターとしての機能を果たす)を通して電流を供給し、接合部を溶解又は電解分離し、プッシュロッドから塞栓インプラントを引き離す。血管を分離するために1個のインプラントを使用することができ、これにより、余分な血液供給又は逆流にさらされない。内頸動脈等の余分な血液供給にさらされる血管のために、外科医は、逆流を防止するために障害の遠位に第一のインプラントを配置し、順流を防止するために第二のインプラントを配置するであろう。更に、塞栓インプラントは、一時的に血管を閉塞するために使用することができ、インプラントが、カテーテルの端から外に送達され、血管を閉塞するために膨脹する全体のシステムは、薬剤又は他の治療薬送達デバイスとして使用され、その後、薬剤又は治療薬が、塞栓インプラントに対してまさに近くの送達カテーテル、ガイドカテーテル又は追加のカテーテルから送達され、治療薬が、より正確に血管標的に解放することが可能となる。このケースでは、送達ロッドにしっかりと保持されているインプラントは分離しないが、薬剤の送達後に血管系から取り除かれる。
【0019】
同様に、システムは閉塞を試験するために使用することができる。これは、塞栓デバイスを送達ロッドから分離せずに、外科医が一時的に塞栓デバイスを配置し、脳血管系内の疑わしい部分への血流を閉塞してその部分を試験し、その部分のあらゆる障害が、患者で観察される症状の原因であることを確かにする診断技術である。観察された症状が試験閉塞により改善されるなら、障害の状態、大きさ及び位置に依存し、外科医は疑わしい部分から塞栓インプラントを取り除き、脳血管系から送達カテーテルを引き抜き、コイル、ステント、塞栓デバイス等を用いて障害の治療を開始し、試験を行った血管の開存性を保存する。一方、障害の状態、大きさ及び位置が、その部分を犠牲にして閉塞すべきであるようなら、外科医は、送達ロッドから塞栓インプラントを分離し、その部分を閉塞する。図3及びその他の図の塞栓インプラントは、即時的であるが容易に可逆的な閉塞を提供するので、それは、他に類を見ないほど試験閉塞に適している。このシステムは、脳動静脈奇形(AVM)及び腫瘍の外科的手術に付属するものとして、術前脈管切除にも用いることができる。この方法では、脳内のAVM又は腫瘍を外科的に切除する前に、外科医は、AVM又は腫瘍に血液を供給する動脈に1つ以上の塞栓デバイスを埋め込み、AMV又は腫瘍から血液が戻る静脈に1つ以上の塞栓デバイスを埋め込むこともでき、その後、観血手術でAVM又は腫瘍を切除する。この方法を用い、AVM又は腫瘍が身体から切除される時の出血は非常に少なくなる。図3及びその他の図の塞栓インプラントは、即時的であるが容易に可逆的な閉塞を提供するので、それは、他に類を見ないほど術前脈管切除に適している。
【0020】
塞栓インプラントは、種々の実施態様で構成することができる。図5は、近位端110、遠位端102、複数の長手方向に配向したストラット104、及び複数の長手方向に配向したスロットを有する、その第一の小さい直径の膨脹していない状態の塞栓インプラント100の側面図を示す。複数の長手方向ストラット104は、近位帯111及び遠位帯103に連結され、又は一体化されている。複数の長手方向スロット106は、残りの構造が複数のストラット104を有するように、インプラント内の穿孔であってもよい。固定機構108は、近位端110、遠位端102又はその両方に、連結され、又は一体化されていてもよい。固定機構108は、図示するように、近位端110内の穿孔を有していてもよく、又はインプラント100の中心線から外側又は内側のいずれかに放射状に突出する構造を有していてもよい。固定機構108は、円形、長方形(図示したような)、直線状、円周状等のいずれの形態を有していてもよい。
【0021】
図6は、そのストラット104が、第二の拡大した構成に膨脹したインプラント100の側面図を示す。インプラント100は、近位帯111、遠位帯103、複数のストラット104、複数のスロット106、及びラッチ要素108を有する。ストラット104は、弓形形状を形成するように膨脹し、次いで後部に湾曲し、ストラットが近位帯111及び遠位帯103に連結される部位で、インプラント100の長手方向中心線と並ぶ。4つのストラット104及び4つのスロット106がある。後ろの方のストラット104は、前面のストラットによって隠れている。上部及び底部のストラット104は目に見える。ストラット104の中心で測定した、膨脹したインプラント100の直径は約3mmである。ストラット104の長さ及びストラット104にかかる歪みの量に依存して、程度の差はあるが、膨脹が実現され得る。ストラット104の製造に用いられる材料の線形範囲内の歪みの量を維持することが好ましい。スロット106は、インプラント100の構成を膨脹させるために、著しく変形及び拡大する。ストラット104及びスロット106の数を増やすことにより、大きな膨脹を実現することができる。ストラット104の数を増やすことは、ストラット104を狭くし、スロット106を狭くし、又は両方を狭くすることにより実現することができる。1mmの直径の膨脹していないインプラント100で、8、10又はたとえ12個にさえ増やすことが可能である。ストラット104を、末端110及び102に連結される、小さい直径の円形又は長方形のワイヤで製造すれば、ストラットの数を更に多くすることができる。
【0022】
図7は、送達カテーテルチューブ210上に、ガイドカテーテルチューブ204内にスライド移動可能に装着されたインプラント100の側面図を示す。ガイドカテーテルチューブ204は横断面で示す。送達カテーテルチューブ210は送達カテーテル200によって構成されており、カテーテルチューブ210の管腔の中を通るガイドワイヤ206の上にスライド可能に配置されている。インプラント100は複数のストラット104、遠位端102、近位端110、及びラッチ機構108を有している。送達カテーテル200は、更に解放可能なロック202を有している。
【0023】
図7及び8を参照すると、カテーテルチューブ210は、インプラント100の中央管腔112内でスライド移動可能である。ガイドワイヤ206は、カテーテルチューブ210の管腔(図示せず)内でスライド移動可能であり、カテーテルチューブ210の遠位端を超えて突出している。カテーテルチューブ210に連結された固定機構202は、インプラント100の近位端110によって構成されている固定機構108通って外側に突出している。インプラントストラット104は超弾性ニチノール等のばね用金属であり、拘束されない場合には湾曲部又は円弧を形成するように外側に偏っている。しかし、ストラット104はガイドカテーテル204の壁に拘束されており、それによりインプラント100が前進する。したがって、ストラット104は、第一の低収縮形態又は形状に圧縮されるか、又はつぶされている。
【0024】
図8は、ガイドカテーテルチューブ204の遠位端の外側に広がっているインプラントの側面図を示す。インプラント100は、ストラット104、遠位端102、近位端110、及びラッチ機構108を有している。送達カテーテル206は、送達カテーテルチューブ210及び固定機構202を有している。ガイドワイヤ206はカテーテルチューブ210の管腔内に配置され、その遠位端の外側に突出している。ストラット104は放射状に(外見上はインプラント100の縦軸に対して)膨脹している。膨脹したストラット104は円弧形状を形成するが、形状は、三角形、長方形、台形等であってもよい。ストラットはばねの性質を有し、ガイドカテーテルチューブ204の拘束が解除されると弾性的に膨脹する。インプラント100の近位端110は、ラッチ機構108とかみ合ったままで、固定機構202によってカテーテルチューブ210に対して固定されている。インプラント100の遠位端102はカテーテルチューブ210の上に近接して長手方向にスライドし、遠位端102は近位端110に接近するように移動し、ストラット104の外側への膨脹を容易にするので、インプラント100が膨脹していない状態である場合よりもカテーテルチューブ210の遠位端から離れている。インプラント100は、使用者が送達カテーテル200の近位端からの解放機構を操作するまでは、送達カテーテル200に連結されたままである。
【0025】
図9は、インプラント100、送達カテーテル200、及びガイドカテーテルチューブ204の側面図を示す。送達カテーテル200は、送達カテーテルチューブ及び固定機構202を有している。インプラント100は、複数のストラット104、遠位端102、近位端110、及び固定機構108を有している。ガイドカテーテルチューブ104は中央管腔302を有している。
【0026】
図9及び8によれば、ガイドワイヤ206は、送達カテーテルチューブ210の管腔から取り除かれている。ガイドワイヤの除去は、固定機構202を内側に放射状に格納し、インプラント100の固定機構108を解放する。インプラント100の近位端110は、ガイドカテーテルチューブ204の管腔302内に位置づけられたままである。
【0027】
図10は、インプラント100、送達カテーテル200、及びガイドカテーテルチューブ204の側面図を示す。ガイドカテーテルチューブ204は中央管腔302を有している。インプラント100は、遠位端102、複数のストラット104、近位端110、及び固定機構108を有している。送達カテーテル200は、インプラント100の管腔から近位に引き抜かれ、ガイドカテーテルチューブ204から引き抜かれる。送達カテーテル200のロック202が解放された後は、カテーテルチューブ201とインプラント100の間の相対的に長手方向の動きを妨げるものはもはやない。インプラントの近位端110は、ガイドカテーテルチューブ204の管腔302内にとどまっている。しかし、ガイドカテーテルチューブが近位に引き抜かれると、ガイドカテーテルチューブ204からインプラント100を完全に引き離し、塞栓を起こし、血栓症を起こし、血管を閉塞するために、血管内にインプラントを残すであろう。
【0028】
図11は、図8のインプラント100、送達カテーテルチューブ210、ガイドカテーテルチューブ204及びガイドワイヤ206の部分切断側面図を示すが、解放可能なロック202及びラッチ機構108の動きの側面図を見えるように紙面から90°回転させた。送達カテーテルチューブ210は、更に解放可能なロック202、ロックスプリング404、及びロックオープン機構402を有している。インプラント100は、更に遠位端102、複数のストラット104、近位端110、放射線不透過性マーカー410、及びラッチ機構108を有している。ガイドワイヤ206は、送達カテーテルチューブ210の管腔406の中を通って膨脹する。ガイドワイヤ206は、カテーテル管腔406のかなりの部分を満たし、ロックスプリングが、カテーテルチューブ204のラッチオープニング404を通って外側に引き出されるように、解放可能なロック202を外側に放射状に引き出されるように圧迫する。解放可能なロック202は外側に引き出され、インプラント100のラッチ機構108内で係合し、インプラント100が、カテーテルチューブ210に対して近位又は遠位のいずれかに移動するのを防ぐ。インプラント100は拘束され、送達カテーテルチューブ210の全体にスライド移動可能に配置されているので、送達カテーテルチューブ210に対し、実質的又は機能的に意味のある量の関係で放射状に移動することができない。ラッチ機構108は、インプラント100の近位端110、遠位端102、又は近位端及び遠位端の両方に配置することができる。
【0029】
クロスハッチングを有するカテーテルの壁の断面図を示し、これは、限定されないが、ポリマー環境に埋め込まれたステンレス鋼、チタン、ニチノール等の金属、又はポリエチレンレート(PEN)、PET等のポリマーの組紐又はコイル補強材を含んでいてもよい。解放可能なロック202は、ロックスプリング404の第一の末端に連結されている。片持ち梁ばねとして示されるロックスプリング404は、カテーテルチューブ210の第二の末端に連結されている。ロックスプリング4040は、限定されないが、ニチノール、ステンレス鋼、チタン、コバルトニッケル合金等の金属で製造することができる。また、ロックスプリング404は、限定されないが、PEEK、PEN、PET、ポリカーボネート等のポリマーで製造することができる。ロックスプリング404は、接着剤、留め具、熱溶接、超音波溶接等を用いてカテーテルチューブ210に連結することができる。
【0030】
図12は、インプラント100、及び図11の送達システムの側面図を示すが、ガイドワイヤ206が近位に引き抜かれ、インプラント100の内側から取り外されている。ロックスプリング404が拘束されていない位置に戻され、解放可能なロックがインプラント100のラッチ機構108ともはや係合しないように、解放可能なロック202がロックオープン機構402内の位置に引き出されている。したがって、今では、インプラント100は送達カテーテルチューブ210に沿って長手方向に自由に移動できる。
【0031】
解放可能なロック202は、ガイドワイヤの周囲の中央管腔を同軸上に通って配置されているか、又は別の管腔を通って配置されている別のリンケージ(図示せず)により操作することもできる。リンケージは、解放可能なロック202が内側及び外側に放射状に移動できるように、押し込み、引き、又は回転するように構成されていてもよい。回転リンケージは、ロック202を内側及び外側に移動するように、ねじジャッキ又はウォームギアを回転させることができる。インプラント100からカテーテルチューブ100を固定又は解放するために、電動式アクチュエータ(図示せず)を使用することができる。インプラント100は、カテーテルにインプラントを運ぶために陽圧又は陰圧のいずれかを供給し、又は解放可能なロック202を解放するよう操作可能に形状が決められている流体系によって、カテーテルチューブ210から解放することができる。オーム加熱又は抵抗加熱は、インプラント100とカテーテルチューブ210との間で解放するために、形状記憶又は熱反応性材料を移動させるために使用することができる。
【0032】
図13は、送達カテーテルチューブ210から解放されたインプラント700の側面図を示すが、依然として断面図に示されるガイドカテーテルチューブ204の近位に存在している。インプラント700は、遠位端102、複数のストラット104、近位端110、カバー702,及び近位カバー結合部704を有する。カバー702は、結合部704によって近位端110に連結されている。カバー702は弾性的でありストラットに対して弾性的にしてもよく、又はそこに連結させてもよい。
【0033】
図14は、遠位端102、複数のストラット104、近位端110、カバー752、近位カバー結合部54、及び遠位端カバー結合部756を有するインプラント750の側面図を示す。インプラント750は送達カテーテル210から解放され、その近位端は、一部がガイドカテーテルチューブ204の遠位端内に存在している。近位端110、ストラット104、及び遠位端102は、図7Aのインプラント700と同様である。図に示すように、カバー752は、網又は織物を有している。カバー752は、限定されないが、肉眼で見える穴又は細穴等を有する織物、組紐、ニット、膜を有していてもよい。カバー752は、インプラント750の表面の実質的全て又は100%を取り囲んでいる。近位端110は、送達カテーテルチューブ210への係合又は固定を促進し、又は容易にするために、カバー752の下部から突き出ている。
【0034】
図15は、ちょうど送達カテーテル210から解放され、まだ断面図で示すガイドカテーテルチューブ204に最も近い、膨脹した塞栓インプラント800の側面図を示す。インプラント800は、遠位端802、複数のストラット104、近位端110、及び複数の隙間106を有する。ストラット104は、短円筒形として構成された近位端110と一体となっているか、連結されている。複数のストラット104は、互いに遠位端802に連結されている。ストラットが互いに連結されている場所を超えて、遠位の突出は実質的に存在しない。このインプラントの構造800は、脳血管内動脈瘤に配置するのに適している。漿果状動脈瘤は、遠位端802が動脈瘤内に挿入され、その時点でインプラントが送達カテーテルから解放できるように形成されている。また、ストラット104の一体構造は、近位端により構成することができる。
【0035】
図16は、遠位端802に向かって見た、図8Aのインプラント800の図を示す。インプラント800は、複数のストラット104、近位端110、遠位端802、複数の隙間106、及び位置合わせ穴804を有する。インプラント800は、遠位端802が脳血管動脈瘤に挿入され、動脈瘤の傷つきやすい組織に外傷を起こすことなく、そこに配置できるように、遠位端802内で平坦かつ不鮮明であるように形成されている。位置合わせ穴804は、送達カテーテルの管腔内に配置されたリンケージ又は棒状物(図示せず)によって係合していてもよく、インプラント80の遠位端を近位端110から離れて移動し、インプラント800が長手方向に膨脹し、配置されている間にストラット104が放射状につぶれるように、送達カテーテルの近位端での操作のために構成されていてもよい。リンケージ又は棒状物を取り除くと、ストラット104は弓状の形状をとり、膨脹することがある。図11及び12を参照すると、解放可能な固定機構202をインプラント800のラッチ機構108から係合及び解放するために、リンケージ又は棒状物はガイドワイヤ206と置換することができる。インプラント800は、2〜20個のストランド104を有していてもよく、図13及び14に示すように、カバー702及び752を有していてもよい。インプラント800は、星形のパターンに形成されたストラット104で切断し溶接、留め具、接着剤、又は他の固定法により近位端110に沿って曲げて固定することによって、平らな金属から構成することができる。
【0036】
図17は、複数の長手方向ストラット104、近位端110、遠位端102、固定ウィンドウ108及び膜カバー902を有する、膨脹した塞栓インプラント900の側面図を示す。インプラント900は、更に解放可能なロック202を有する、送達カテーテル210に解放可能に連結されている。送達カテーテル210は、送達カテーテル210の中央管腔(図示せず)を通って連結されているガイドワイヤ206の上に配置されているが、送達カテーテル210は、更にカテーテル管腔302を有するガイドカテーテル又はシース204を通って挿入される。送達カテーテル210は、インプラント902の近位端110及び遠位端102の開放された中央管腔(図示せず)を通って、遠位102の遠位に突出するように送られる。ガイドワイヤ206は、送達カテーテル210の遠位端から突出し、送達カテーテル210により構成される中央管腔(図示せず)内に存在している。塞栓インプラント90は、直径方向に膨脹できるように、誘導シース又はガイドカテーテル204の管腔302の外側に露出されている。長手方向スラット104は、膨脹する前には、通常は圧縮されており、カテーテル210に対して軸方向又は長手方向に並んでいる。図示するように、いったん膨脹すると、リブ又はスラット104は、近位端110及び遠位端102の近くで、弓形形状を形成するように偏る。リブ又はスラット104の中央部分は、通常は直線状のままであり、長手方向に並んでいる。スラット104の近位領域は膜902で覆われている。膜902はスラット104の遠位端を覆い、近位端は覆っていなくてもよい。膜902は、近位端及び遠位端の両方を覆っていてもよい。膜902は、スラット104により構成されるインプラント900の全領域を覆っていてもよい。膜902は、本明細書に開示された材料から製造することができる。
【0037】
図18は、直径方向に膨脹し、まだ送達カテーテル210に固定されているインプラント950の側面図を示す。図9Aのシース204は取り除いてある。塞栓インプラント950は、近位端110、遠位端102、固定ウィンドウ108、複数の長手方向に突出した棒状物又はストラット104、近位端110のみに連結された複数の部分的に長手方向に突出した棒状物又はストラット904を有する。塞栓インプラント950は、塞栓インプラント950の近位端部分を覆っている膜902を更に有している。カテーテル210は、解放可能なロック202、ガイドワイヤ管腔(図示せず)、及びガイドワイヤ206を更に有している。不完全なストラット、リブ又はスラット904は、実質上インプラント950の中心に突出して、インプラント905の近位端110に連結されているが、それらは遠位端102の方向に約10%〜90%の任意の範囲に膨脹していてもよい。不完全なストラット904は、近位端110に連結された不完全なストラット904について記載されたのと反対方向に同じだけ突出して遠位端102に連結されており、近位端110とは連結していない。インプラント950は、近位端の上に配置され、実質上不完全なストラット904の長さに膨脹していてもよい、膜902を有していてもよい。完全長のストラット104は、インプラント950の全体の直径及び長さにわたり、構造規制している。不完全なストラット904は、完全長のストラット104の外側に実質的に半径方向の同じ距離に突出していてもよく、又は更に放射状に突出していてもよく、又は完全長のストラット104よりも遠くには放射状に突出していなくてもよい。完全長のストラット104及び不完全なストラット904は、同じ材料から構成されていてもよく、又は異なる材料から構成されていてもよく、又は同じ材料であるが異なる性質を有する材料から構成されていてもよい。
【0038】
図19は、放射状につぶれた塞栓インプラント1000の側面図を示す。インプラント1000は、近位端110、遠位端102、固定ウィンドウ108、及び網1002を有する。また、インプラント1000システムは、更に解放可能なロック202を有する送達カテーテル210、ガイドワイヤ管腔(図示せず)及びガイドワイヤ206を有している。インプラント1000システムは、更に、断面図で示す送達シース又はガイドカテーテル204を有している。網1002は、ガイドカテーテルの管腔302又は送達導入部内で放射状に拘束されている。インプラント1000の近位端110は、近位端110内で長方形に開口している固定機構108内に係合した送達カテーテル210のロック202によって送達カテーテル210に連結されたままである。ガイドワイヤ206は、通常は容器である場所にとどまっているとして示されており、送達カテーテル210を、脳血管を通って目的の治療部位に誘導するのを補助するために使用される。
【0039】
図20は、放射状に膨脹した後の図19からの塞栓インプラント1000の側面図を示す。塞栓インプラント1000は、網1002、近位端110、遠位端102、及び近位ロックウィンドウ108を有する。また、塞栓インプラント1000システムは、シース204、更にガイドワイヤ管腔(図示せず)、解放可能なロック202、及びガイドワイヤ206を有する送達カテーテル210を有している。塞栓インプラント1000の網1002は、その完全に操作可能な直径まで膨脹している。網1002は、材料の偏った自己膨脹するばねを有していてもよく、可鍛性のバルーン膨脹性材料、近位端110に対して遠位端102の軸圧縮により直径方向に膨脹する可鍛性材料を有していてもよく、体温で活性化する形状記憶材料、体温より高いオーム加熱により活性化する形状記憶材料を有していてもよく、超弾性又は擬弾性状態等で存在又は偏移する材料を有していてもよい。網1002は、円形、長方形、卵形、三角形、又は他の幾何学的断面のワイヤを有していてもよい。膨脹した網1002は、図10Aのつぶれたインプラントの外径の1.1〜10倍の外径を有していてもよい。シース204は、近位端110にさらされて格納して示されている。送達カテーテル210は、近位端110上の固定機構108に係合された送達カテーテル210に連結されている、解放可能なロック202によりインプラント1000に連結されたままである。ガイドワイヤ206は、送達カテーテル210の管腔(図示せず)内に配置されたままである。
【0040】
図21は、他の実施態様について本明細書に開示されたものと同様の、関連する送達カテーテル又はシースのいずれを欠く、直径方向に膨脹した塞栓インプラント110のみの側面図を示す。膨脹した塞栓インプラント1100は、近位端110、遠位端102、複数の長手方向に方向づけられた棒状物又は支柱1102、固定機構108、及び複数の長手方向の棒状物又は支柱1102上の湾曲した中心領域を有する。長手方向ストラット1102は、近位端110及び遠位端102に連結されているか、一体化している。長手方向ストラット1102は、湾曲した中心領域1104と一体化し、又は連結されるように形成されている。湾曲した中心ストラット領域1104は、1個の起伏、又は約1〜20個の範囲の複数の起伏を有していてもよい。図示した実施態様では、合計8個のストラットが存在している。固定機構108は、近位端110、遠位端102、又は両者と一体化して形成されていてもよい。固定機構108は、本明細書に図示したような、概して円筒状の薄壁構造のウィンドウ以外の構造を有していてもよい。このような他の固定機構108は、突起、縦穴、留め具、着剣装置、摩擦による干渉(friction interference)等を有していてもよい。
【0041】
図22は、直径方向に膨脹した塞栓インプラント1150の側面図を示す。塞栓インプラント1150は、更に近位端110、遠位端102、固定機構108、複数の近位の長手方向に方向づけられたストラット又は支柱1154、及び遠位の網1156、並びにストラット1154及び網要素1156の間の連結部位1152を有する。長手方向ストラット1154は、遠位端110に連結されているか、一体化している。遠位の網1156は、遠位端102に連結されているか、一体化している。長手方向ストラット1154は、網1156とストラット1154と溶接、固定又は一体化して形成することのできる、複数の連結部位1152で網1156及びストラット1154に連結されている。網1152は、近位端110及び遠位端102の距離の約1/2を占有するように図示されているが、前記距離の10%〜90%の範囲を占有することができる。網1156は、図示するように遠位端にあってもよく、又は近位端にあってもよい。
【0042】
図23は、固定機構108、遠位端102、複数の遠位の長手方向に突出したストラット又は棒状物1204、複数の溶剤、遠位のストラット1204の近位端で連結部位1210と連結した、近位の長手方向に突出したストラット又は棒状物1208、1206、1202を有する、膨脹したインプラント1200の側面図を示す。遠位端の長手方向ストラット1204は、近位端のストラット1202、1206及び1208よりも大きいが、それらはおよそ同じ断面であっても、大きさが小さくてもよい。大きい遠位のストラット1204は、連結域1210で、より小さい近位端のストラット1202、1206、1208と連結しているか、又は一体化している。図示したように、それぞれの大きい遠位のストラット1204について、3個の小さい近位のストラット1202、1206及び1208がある。それぞれの遠位ストラット1204について、近位端ストラットの数は1〜5個、又はそれ以上である。方向は、より少ない、大きいストラット1204が、遠位端に連結している複数の小さいストラットと近位端で連結し、又は一体化されるように反対であってもよい。
【0043】
図24は、更に固定機構108を有する近位端110、遠位端102、複数のストラット1258を有する近位の丸い突出部1252、及び長手方向に配置した複数のストラット1258を有する遠位の丸い突出部1254を有する、横方向に膨脹した塞栓インプラント1250の側面図を示す。近位の丸い突出部1252及び遠位の丸い突出部1254は、中心の連結部位1256で互いに連結している。近位領域の長手方向ストラット1252は、遠位領域1254で長手方向ストラットと連結しているか、一体化している。近位ストラット1252及び遠位ストラット1254は、連結部位1256又は他の都合のよい場所で互いに連結しているか、一体化している。図示したように、連結部位1256は、近位の丸い突出部1252又は遠位の丸い突出部1254の最大直径よりも直径が小さくなるように構成されている。近位の丸い突出部1252の最大直径は、遠位の丸い突出部1254の直径よりも大きくてもよく、小さくてもよく、又はほぼ同じであってもよい。近位の丸い突出部1252及び遠位の丸い突出部1254を有するストラットは同じストラットであってもよい。近位の丸い突出部1252及び遠位の丸い突出部1254を有するストラットは、それぞれ、近位端110及び遠位端102と連結しているか、一体化していてもよい。遠位端102は、近位端110と同様の固定機構108を有していてもよい。
【0044】
図25は、更に固定機構108を有する近位端110、遠位端102、中央領域で、遠位領域の補足的に複数の細い棒状物又はストラット1308に遷移する、複数の近位の長手方向に突出したストラット又は棒状物1302を有する、膨脹した塞栓インプラント1300の側面図を示す。遠位の長手方向で互いに係合するストラット1308は、閉じたループ内で葉又は花びらの形状の複数の薄い棒状物1304である。花びら1304の先端は、三角形の形状に構成され、外側に放射状にわずかに湾曲している。長手方向ストラット1302は、近位端110に対する横寸法が大きく、遠位端102に対する横寸法が小さい。遠位端102と連結し、又は一体化している小さいストラット1304は、ループ又は花びら形状に形成され、近位端110に対し、部分的に軸方向に突出している。小さいストラット1304は、インプラントが血管壁、血管壁の血栓、粉瘤等と係合する能力を向上するように、わずかに外側に湾曲した三角形末端形状で形成されている。三角形の先端は、インプラント1300のおおよその形状を模倣してもよく、又は外側若しくは内側に湾曲していてもよい。また、全体の花びらループ1304は、目的とするインプラント部位での安定性を補助するように、外側、内側、インプラント1300の全体的な外被を超えた突起を有するように構成してもよい。花びらループ1304及び遠位の長手方向ストラット1308は、近位の長手方向ストラット1302よりも小さい断面を有していてもよく、遠位の長手方向ストラット1308の断面と同様であってもよい。花びらループ1304は、近位の長手方向ストラット1302と同じか、大きい断面を有していてもよい。花びらループ1304は、遠位端102よりも、近位端110と連結していてもよい。
【0045】
図26は、更に固定機構108を有する近位端108、遠位端102、複数の長手方向に方向づけられたストラット1352、及び複数の横方向に突出したストラット1354を有する、膨脹した塞栓インプラント1350の側面図を示す。軸方向に方向づけられたストラット1352は、近位端で近位端110と連結していてもよく、又は近位端と一体化して形成してもよい。遠位端で、軸方向に方向づけられたストラット1352は、遠位端102と連結しているか、又は一体化していてもよい。横方向ストラット1354は、軸方向ストラット1352と一体化していてもよく、又は留め具、溶接、接着剤等を用いて連結してもよい。横方向ストラット1354は、例えば、形状記憶、可鍛性、ばね等の長手方向ストラット1352と同様の力学的特性を有していてもよい。横方向ストラット1354は、長手方向ストラット1352の力学特性とは異なる特性を有していてもよい。横方向ストラット1352は、図示するように、直線状であってもよく、又はインプラント1350がその放射状に小さい直径につぶれ、又は圧縮されたときに、横方向ストラット1352の間の空間の圧縮に適合するように、曲率又は湾曲部を有していてもよい。
【0046】
長手方向ストラットは、超弾性ニチノールを有していてもよく、横方向ストラット1354は、パッケージ化した状態ではマルテンサイト特性が残っているが、室温より高温では超弾性特性に遷移する形状記憶ニチノールを有していてもよい。マルテンサイトからオーステナイトに相転移を起こす代表的な温度は、22℃〜25℃の室温から約37℃の体温までのいずれかの温度を含む。図13Bの説明は、まっすぐに伸びた横方向ストラット1352を有するが、例えば、患者に挿入前又は挿入中に、直径方向にくずれた構成でインプラント1350と共に、該ストラット1352が、屈曲し、又は曲がった形状を有する、インプラント1350を示す。横方向ストラット1354は、中心に向かって近位端、遠位端の近くにあってもよく(図示したように)、又は複数の横方向ストラット1354が1箇所以上の場所で長手方向ストラット1352に連結していてもよい。
【0047】
図27は、更に固定機構108を有する近位端108、更に遠位固定機構1408を有する遠位端102、インプラント1400の近位端、遠位端で長手方向に方向づけられた複数のストラット1402、中央の網1404、及び中央の網1404がストラット1402の末端に連結した複数の連結領域1406を有する、膨脹した塞栓インプラント1400の側面図を示す。長手方向ストラット1402は近位端110に連結しているが、遠位端の長手方向ストラット1402は遠位端102に連結している。近位固定機構1408は、近位端110に連結しているか、一体化しているが、遠位固定機構1408は、遠位端102に連結しているか、一体化している。近位端110及び遠位端102は、両方とも中央管腔(図示せず)を有する、中が空洞の軸方向に細長い構造である。近位固定機構108、遠位固定機構1408、又は両者は、近位端110及び遠位端102に、それぞれ穿孔を有していてもよい。穿孔は長方形(図示したように)であってもよいが、円形、卵形、三角形、又は送達カテーテルのロックと相互接続するのに適した任意の他の形状であってもよい。固定機構108及び1408は、更に突起、隆起、ねじ状部分、簡易着脱機構、着剣装置、留め具等を有していてもよい。
【0048】
図28は、カテーテルチューブ204の遠位端に連結した塞栓インプラント1500の垂直断面図及び一部破断側面図を示す。塞栓インプラント1500は、遠位端120、及び更に雌ねじ1516を有する近位端1510を有している。カテーテルチューブ204の遠位端は、更に回転連結器1504を有し、更にガイドワイヤ係合突起物1518、ベアリングフランジ1506、一式の雄ねじ1502、内部管腔1512、及びテーパー注入口1508を有している。塞栓インプラント1500システムは、更に送達シース、導入シース、又はガイドカテーテル204と、更に長手方向ねじ溝1522を有する展開ガイドワイヤ1524と、任意のガイドワイヤ放射線不透過性マーカー1514を有している。カテーテルチューブ204は、更に回転軸受溝1520を有している。インプラント1500は、複数の長手方向に方向づけられたスラット、棒状物、ランナー等104を有している。回転連結器1504は、ベアリングフランジ、雄ねじ1526、及びガイドワイヤ係合突起物1518に連結され、又は一体化されている。回転連結器1504の雄ねじ1502は、インプラント1500の相補的な雌ねじ1516に係合している。インプラント1500に対する回転連結器1504の回転により、回転の方向に依存し、長手方向係合の増大又は長手方向係合の減少が起こる。
【0049】
他の実施態様では、回転連結器1504は、ねじの代わりに、インプラント1500の近位端1510に円周スロット(図示せず)と係合する先のとがったもの又は突起物(図示せず)を含んでいても良い。先のとがったもの又は突起物(図示せず)は、インプラント1550により構成されてもよいが、差し込み溝は、カテーテルシャフト204又は回転連結器の遠位端により構成されてもよい。回転連結器システムは、近位端1501に代え、インプラント1500の遠位端102により構成されてもよい。
【0050】
装置は、インプラント1500の回転を防止するように提供されるが、回転連結器1504は、ねじれている。回転防止機構は、限定されないが、その縦軸に関する回転を防止する等のために、インプラント1500を、穴、溝又は容器と係合しインプラントをロックする近位端から操作可能なインプラント間のフリクションフィット及びガイドカテーテル204、別々の安定化リンケージを含む構造及び手段を有する。インプラント1500は、更に、ガイドカテーテル204チューブの遠位端で長手方向スロット(図示せず)を係合する突起物(図示せず)を有していてもよい。突起物は、スロット内で軸方向にスライド移動可能であるが、スロット壁の障害による回転運動に対して拘束される。ガイドカテーテル204は突起物を有していてもよいが、インプラント1500はスロットを有していてもよい。ガイドカテーテル204は、内部に突出し、膨脹していないインプラント1500の長手方向スラット104間の空間と係合する内部ランナーを有していてもよい。インプラント1500は、ガイドカテーテルチューブ204に対して軸方向又は長手方向遠位にカテーテルチューブを移動することにより、ガイドカテーテルチューブ204を押し出すことができる。
【0051】
図29は、遠位端102及び近位端1610に連結された、複数の軸方向に方向付けられたストラット104を有する、塞栓インプラント1600の一部破断側面図を示す。塞栓インプラント1600は、更に送達カテーテルチューブ210、ガイドカテーテル204、更に第一の導線1604、第二の導線1606、抵抗加熱コイル1608及び可溶性リンク1612を有する押し出し機1602を有している。可溶性リンク1612は、押し出し機1602の遠位端に連結されているか、又は一体化されている。可溶性リンク1612は、はんだ等の低温溶解性金属、又はポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等のポリマー材料を有していてもよい。図示したように、可溶性リンク1612は、近位端1610の領域でインプラント1600と連結しているが、遠位端102でインプラント1600と連結してもよい。抵抗加熱要素1608は、タングステン、ニッケルクロムワイヤ等の材料を含んでいてもよい。抵抗加熱要素1608は、図示したように、コイルの形態で、可溶性リンク1612を包囲していてもよく、又は可溶性リンク1612を溶解するのに十分な熱を伝達するのに十分近くで、長手方向又は任意の他の形態で方向付けられていてもよい。一般的に、抵抗加熱要素1608の熱から本体を保護することが有利であり、これは、ガイドカテーテルチューブ204及びインプラントの近位端1610により提供され、又は構成される絶縁により実施される。押し出し機1602は、完全な展開及び解放を確保するために、インプラント1600をガイドカテーテル204から離れて物理的に押し出すために使用することができる。このシステムは、必要であれば、例えば、図4のガイドワイヤ206を更に有していてもよい。
【0052】
油圧式の取り外し可能なリンケージは、送達カテーテルの近位端から遠位端に伸びる流路を有していてもよい。流路は、ピストン、ブラッダー、膨脹可能な部材、又は解放可能に連結されたインプラントを、送達カテーテルの遠位端から解放するための他の構造物と、操作可能に連結されていてもよい。流路は、好ましくは、生理食塩水、放射線不透過性造影剤等の液体で加圧されている。流路と操作可能に連結した送達カテーテルの近位端の加圧ポートに対し、オペレーターが小さいシリンジを用い、手で圧力をかけることにより、1,000PSIを超える圧力が発生する。1,000PSIに近い、又はそれ以上の圧力は、送達カテーテルの遠位端と連結したインプラントが、切断され、分離され、又は解放されるように摩擦を強制することができる。空間の加圧がインプラントを遠くに移動させ、送達カテーテルから分離するように、流圧をインプラントのすぐ近くの空間に供給することができる。空間は、流路と操作可能に連結されている。
【0053】
図30は、遠位端102、近位端1710、及びピストン1702を有する、塞栓インプラント1700の一部破断断面図を示す。このシステムは、更にガイドカテーテル204、及び更に加圧管腔1704を有する送達カテーテルシース210を有している。インプラント1700は、完全に膨脹した操作可能な直径まで膨脹し、ピストン1702は、まさにインプラント1700をカテーテル210から分離するために遠位に移動し始める。ピストン1702は近位端1710に連結している。ピストン1702は、加圧管腔1704内で軸方向に突出しており、そこで長手方向にのみ移動するようにスライド可能に拘束されている。ピストン1702は、管腔1704内に発生した圧力がピストン1702の周囲に漏れないように、カテーテル210の壁に対して流体的に密封されている。管腔1704の加圧に適した流体としては、限定されないが、水、放射線不透過性媒体、エタノール等が挙げられる。この流体は、流体内に圧力が蓄積し、圧力の解放が患者の器具類を損傷しないように、非圧縮性であることが好ましい。管腔1704の加圧に適した圧力は、約10PSI〜約3,000PSIの範囲であってもよく、この圧力は全て、携帯型のシリンジで発生させることができる。小さい直径(約0.005インチ〜約0.050インチの範囲であるが、一般的には約0.010〜約0.030インチの直径であってもよい)の管腔1704内での圧力損失を克服するために、より高い圧力が必要となる場合がある。カテーテルチューブ210の長さは、一般的には非常に長く、脳血管にアクセスする手段については、約45cm〜約250cmの範囲、好ましくは約80cm〜約150cmである。
【0054】
ピストンは、加圧管腔1704が流体により加圧された時に流圧の損失が起こらないように、ベローズ状構造を有していてもよい(図示せず)。ピストン1702は、更にピストンがカテーテルチューブ210の遠位端から押し出され、又は放出されるときの更なる圧力損失を抑制するために、ピストンリング又はシール(図示せず)を有していてもよい。ピストンは、ラッチ、留め具、解放可能なロック、又はインプラント1700の一部を保持する他の構造物を作動させることができる。ラッチを作動させることにより、ピストンは、インプラント1700の近位端1710から送達カテーテルチューブ210を解放又は外すことができる。インプラント1700は、更にガイドカテーテル204又は他の押し出し機の遠位相対運動により、送達カテーテルチューブ210から解放され、又は分離され得る。
【0055】
油圧式の取り外し可能なリンケージと同様の手段により、真空リンケージを、送達カテーテルの遠位端を真空にし、送達カテーテルに固定されたインプラントを解放可能に保持するために構成された連結機構の大きさを小さくし、突起を少なくするために使用することができる。
【0056】
図31は、遠位端102、複数のストラット104、並びに更に開口部1802及び内部管腔1812を有するインプラント1800の一部破断側面図を示す。このシステムは、更に加圧管腔1704を有する送達カテーテル210、ガイドカテーテル204、更にブラッダー内部容積1808を有するブラッダー、及びブラッダー結合部1806を有している。ブラッダー1804は、ブラッダー結合部1806により、送達カテーテル210の遠位端に連結している。ブラッダー管腔1808は、加圧管腔1704に操作可能に連結しており、又は流体的に密封されている。ブラッダー1804は小さい外形に構成されており、開口部1802の直径よりも大きい直径に膨脹し、圧縮されていない状態で、開口部1802の直径よりも大きい直径に膨脹するように構成されていてもよい。加圧管腔1704により、ブラッダー1804を真空にし、又は流体を引き抜くことにより、インプラント1800が送達カテーテルチューブ210から分離されるように、ブラッダー1804の横方向又は直径方向の直径を、開口部1802の直径よりも小さくすることができる。送達カテーテルチューブ210に対してガイドカテーテル204を遠くに移動することにより、更なる分離及び展開を起こすことができる。
【0057】
図17に記載のシステムにおいて、真空を解除し、又は液体若しくは流体を除去することにより、インプラント1700からプラグ1702を取りすことができ、それにより、インプラント1700を解放及び展開することができる。
プラグ1702は、摩擦適合(friction fit)になるか、インプラント1700の戻り止めにはめ込むことができ、それにより、加圧管腔1704にかけられた真空下でプラグ1702の再剥離性を可能にする。
【0058】
機械的押し出し機は、送達カテーテルの近位端で駆動され、軸方向に移動し、送達カテーテルの遠位端からインプラントを解放可能に連結することができる。機械的押し出し機は、レバー又は引き金装置等の機械効率により、直接押し出され、又は軸方向に移動し得る。また、機械的押し出し機は、回転してジャック−スクリュー効果を生じ、それにより、送達カテーテルの遠位端で直線運動を起こし、インプラントを解放又は分離することができる。
【0059】
カテーテルの遠位端でのインプラントの連結は、送達カテーテルのスタブの全体にしっかりと適合する外部スリーブを有するインプラントと、簡単な摩擦適合を有していてもよい。カテーテルスタブはインプラントのスリーブ内に突出し、例えば、圧入、結合取り付け、戻り止め、突起等によって、そこに保持される。
【0060】
図32は、押し出し機1902によって、その送達カテーテルチューブ210に解放可能に連結されたインプラント1900の一部破断側面図を示す。インプラント1900は、遠位端102、複数のランナー104、更にバンパー1906及び係合要素1904を有する近位端1910を有している。このシステムは、更に1個以上の突起1912、1個以上のばね要素1914を有する送達カテーテルチューブ210、及びガイドカテーテルチューブ204を有している。近位端1910は、ランナー104の近位端に連結した、軸方向に細長い構造で、実質的に空洞である。バンパー、又は縮小した中央開口部1906は、近位端1910の内部に連結している。1個以上の任意のばね1914により外側に偏っている1個以上の係合突起物1912は、送達カテーテルチューブ210の遠位端に連結している。係合突起物1912は、インプラントの近位端1910の内部で、くぼみ又は戻り止め1904に係合するように構成されている。係合突起物1910は、押し出し機1902が遠位に移動することにより、バンパー1906に対してかかる軸方向の力に打ち勝つことのできる、破壊可能な係合をもたらす。ばね1914は任意的であり、同じ機能は、送達カテーテルチューブ210内、又は係合突起物1912の構造内で弾性的に得ることができる。また、近位端1910内部の戻り止め1904は、突起物1912をつかむように、近位端の穴又は開口部として構成してもよく、のこぎり状又は周囲に溝のついた表面として構成してもよい。
【0061】
インプラントは、図16に示すような電気接触を用いて、送達カテーテル200の近位端から供給される電磁石の使用により作動又は解除し得る磁気的手段によって送達カテーテルに連結してもよい。
【0062】
脳血管閉塞を意図する場合、インプラント100の、膨脹していないときの直径又は横方向の寸法は0.021インチ(0.5334mm)未満の範囲である。インプラント100は、膨脹していない状態では、約0.2〜0.3インチの長さを有する。インプラントの壁の厚みは、約0.001〜0.005インチの範囲である。脳血管内の神経介入的手順については、膨脹したインプラント100の直径は、約2mm〜約6mmの範囲であり、好ましい範囲は約3mm〜約5mmであるべきである。
【0063】
インプラント100は、血栓形成性又は空間充填特性を向上させるために、更にコーティングを有してもよい。このようなコーティングは、使用前にインプラント100に塗布され、乾燥する、親水性ヒドロゲル又は発泡体を含んでいてもよい。血液又は他の液体に触れると、ヒドロゲル又は発泡体は水を吸収し、容積が膨脹する。このような容積の膨脹により、ヒドロゲル又は発泡体の厚みは10倍以上に増大する。親水性ヒドロゲルは、フィブリン糊、プロトロンビン、又は他の血液凝固物質、又は血液凝固化合物、ヒドロゲルなしでインプラント100に塗布できる物質又は材料を含んでいてもよい。装置及び方法の好ましい実施態様を、開発された環境を参照して開示したが、これらは、本発明の原理の単なる説明である。他の種と併用した要素の利点を得るために、種々の実施態様の要素をそれぞれの他の種に導入することができ、種々の長所は、実施態様単独で、又は互いに組み合わせて使用することができる。本発明の精神及び添付の請求項の範囲を逸脱することなく、他の実施態様及び構成を考案することができる。



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