特許第6061492号(P6061492)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061492
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】畦塗り機
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/00 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   A01B35/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-112937(P2012-112937)
(22)【出願日】2012年5月17日
(65)【公開番号】特開2013-236603(P2013-236603A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】頭司 宏明
【審査官】 中澤 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−295105(JP,A)
【文献】 特開2012−029636(JP,A)
【文献】 特開2012−080834(JP,A)
【文献】 特開2006−304615(JP,A)
【文献】 実開昭54−132609(JP,U)
【文献】 特許第2847252(JP,B2)
【文献】 特開2005−046040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に装着され、該走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置に配置されて、旧畦の天場を切り崩すため回転自在に支持された回転中心軸に複数の耕耘爪が取り付けられた天場処理ロータを備え、前記走行機体の前進走行に伴って進行しながら畦塗り作業を行う畦塗り機において、
前記天場処理ロータは前記旧畦の天場に対して上下方向に移動自在に支持され、
前記天場処理ロータにより前記天場を切り崩す掘削範囲内の該天場処理ロータの進行方向前方に配置され、前記回転中心軸の前側端部に取付けられて下方へ延びるアーム部、および前記アーム部の下部に繋がって前記進行方向前方へ延びる接地本体部を有し、前記天場に接地する接地部材が設けられ、
前記天場処理ロータ及び前記接地部材は、附勢装置によって前記天場側である下方に附勢されている
ことを特徴とする畦塗り機。
【請求項2】
前記附勢装置は、伸縮自在なロッド部と、前記ロッド部に挿着されて前記天場処理ロータを前記天場に附勢する圧縮ばねとを有し、
前記ロッド部は、筒状に形成された基端側ロッドと、該基端側ロッド内に挿入されて突出入自在な先端側ロッドとを有し、
前記基端側ロッドは、前記圧縮ばねによって前記ロッド部が伸長する側に附勢され、
前記先端側ロッドは、前記基端側ロッドよりも下方に位置するように斜め下方へ向いた状態で設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の畦塗り機。
【請求項3】
前記天場処理ロータは、その前記回転中心軸が旧畦の延びる方向に対して鋭角に交差する方向を向いて配置され、
前記接地部材は、前記天場処理ロータの前記回転中心軸よりも下方に配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の畦塗り機。
【請求項4】
前記天場処理ロータは、その前記回転中心軸が旧畦の延びる方向に対して略平行な方向を向いて配置され、
前記接地部材は、前記天場処理ロータの前記回転中心軸よりも下方に配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の畦塗り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旧畦の天場を切り崩す天場処理部と、旧畦の内側を切り崩して土盛りを行う前処理部と、前処理部によって盛られた土を切り崩された旧畦上に塗り付ける整畦部とを備える畦塗り機に関する。
【背景技術】
【0002】
このような畦塗り機には、特許文献1に記載されているように、圧縮ばねによって天場処理部を旧畦の天場に附勢するとともに、回転自在に支持された案内輪によって天場処理部の下方への移動を規制するように構成されたものがある。この畦塗り機は、箱状に形成されて下側が開口した機台の上部に支持竿が上方へ突出して設けられ、機台に設けられた受金具に圧縮ばねを介して上下方向に移動自在に弾性支持された支持竿を備えている。天場処理部は、旧畦の天場にならいながら上下方向に移動して天場処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−182204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の案内輪は、天場処理を行う耕耘爪(文献では畦削取刃杆)の掘削範囲の外側に配設されているので、旧畦の天場が傾斜している場合や高さが異なる場合等には、天場の切り崩しの量が多くなったり小さくなったりして、天場の切り崩し量を一定にすることができない虞がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、旧畦の天場の状態に拘わらず、天場を一定の深さで切り崩することができる畦塗り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の畦塗り機は、走行機体に装着され、該走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置に配置されて、旧畦の天場を切り崩すため回転自在に支持された回転中心軸に複数の耕耘爪が取り付けられた天場処理ロータを備え、走行機体の前進走行に伴って進行しながら畦塗り作業を行う畦塗り機において、天場処理ロータは旧畦の天場に対して上下方向に移動自在に支持され、天場処理ロータにより天場を切り崩す掘削範囲内の進行方向前方に配置されて天場に接地する接地部材が設けられていることを特徴とする(請求項1)。
【0007】
また、本発明の天場処理ロータは、その回転中心軸が旧畦の延びる方向に対して交差する方向を向いて配置され、接地部材は、天場処理ロータの回転中心軸よりも下方に配設されていることを特徴とする(請求項2)。
【0008】
また、本発明の天場処理ロータは、その回転中心軸が旧畦の延びる方向に対して略平行な方向を向いて配置され、接地部材は、天場処理ロータの回転中心軸よりも下方に配置されていることを特徴とする(請求項3)。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係わる畦塗り機によれば、上記特徴を有することで、旧畦の天場の状態に拘わらず、天場の削り量を一定にすることができる畦塗り機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係わる畦塗り機の平面図を示す。
図2】この畦塗り機の作業部の部分断面説明図を示す。
図3】畦塗り機の正面図を示す。
図4】同図(a)は天場処理部及び接地部材の側面側説明図を示し、同図(b)は天場処理部及び接地部材の正面側説明図を示す。
図5】比較対象とした畦塗り機の天場処理部及び接地部材の作動を説明するための正面側説明図を示す。
図6】本発明の第2実施形態に係わる畦塗り機の作業部の部分断面説明図を示す。
図7】同図(a)は本発明の第2実施形態に係わる天場処理部及び接地部材の側面側説明図を示し、同図(b)は本発明の第2実施形態に係わる天場処理部及び接地部材の正面側説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係わる畦塗り機の好ましい実施の形態を図1図7に基づいて説明する。本実施の形態は、走行機体の前進走行に応じて畦塗り作業を行なう畦塗り機を例にして説明する。
【0012】
[第1実施形態]
畦塗り機1は、図1に示すように、走行機体90の後部に設けられた三点リンク連結機構(図示せず)に連結されて、走行機体90の前進走行に応じて進行する。畦塗り機1は、走行機体90に装着されて走行機体90からの動力が入力される入力軸11aを備えた装着部10と、装着部10に設けられた旋回シリンダ13によって装着部10に対して装着部幅方向(以下、「左右方向」と記す。)に回動可能なオフセット機構部20と、オフセット機構部20の移動端側(後端側)に垂直方向に延びる回転駆動軸21を回動支点Oとして水平方向に回動可能に取り付けられた作業部30とを有してなる。
【0013】
装着部10の左右方向の中央下部にはギアボックス11が設けられ、このギアボックス11に前述した入力軸11aが設けられている。入力軸11aは、走行機体90のPTO軸(図示せず)からの動力を図示しない伝動軸を介して伝達されるようになっている。
【0014】
オフセット機構部20は、前端側が装着部10に回動自在に連結されて後方側へ延びるオフセットフレーム22と、オフセットフレーム22の右側に沿って並設されて前端側が装着部10の右側に回動自在に連結されたリンク部材23とを有してなる。リンク部材23の後端部には、オフセットフレーム22の後端部との間に連結された連結アーム部材25が回動自在に取り付けられている。オフセット機構部20は、オフセットフレーム22、リンク部材23、装着部10及び連結アーム部材25によって平行リンク機構を形成している。
【0015】
オフセットフレーム22は、前述した旋回シリンダ13の伸縮により左右方向に回動可能であり、オフセットフレーム22内に設けられた図示しない動力伝達機構を介してオフセットフレーム22の後端側に設けられた従動軸22aを回転させるようになっている。この従動軸22aの下部に作業部30の回動中心軸となる前述した回転駆動軸21が従動軸22aと同軸上に連結されている。
【0016】
回転駆動軸21の外側には、これを覆う回転軸ケース27が設けられている。回転軸ケース27の上端部は、オフセットフレーム22の後端下部に回動可能に連結され、回転軸ケース27の下端部には、作業部30が取り付けられている。また回転軸ケース27の上部には、回転軸ケース27に対して連結アーム部材25が回動自在に設けられている。
【0017】
作業部30は、連結アーム部材25と回転軸ケース27との間に接続された伸縮シリンダ(図示せず)の伸縮により、回動可能であるとともにオフセット機構部20の回動に対して作業部30の作業方向が走行機体90の進行方向と平行に保持される。
【0018】
作業部30は、畦塗り機1の進行方向前側から天場処理部31、前処理部40及び整畦部50を配置して構成される。
【0019】
整畦部50は、図2に示すように、進行方向に対して左右方向に略直交する方向を向いて回転自在に支持された回転中心軸51に取り付けられた多面体ドラム53と、多面体ドラム53の右側端部に取り付けられて横方向に延びる円筒部55を有してなる。整畦部50は整畦動力伝達ケース57を介して回転軸ケース27に連結されて支持される。整畦動力伝達ケース57内には図示しない整畦側動力伝達機構が内蔵され、この整畦側動力伝達機構は、回転駆動軸21に繋がって回転駆動軸21からの動力を整畦部50に伝達する。
【0020】
前処理部40は、回転自在な前処理ロータ41を備える。前処理ロータ41は前処理動力伝達ケース42を介して回転軸ケース27に連結支持されている。前処理動力伝達ケース42内には、回転駆動軸21からの動力を受けて回転駆動する前処理側駆動軸43を有した前処理側動力伝達機構44が内蔵されている。前処理側駆動軸43の先端部に前処理ロータ41の回転中心軸41aが前処理側駆動軸43と同軸上に接続されている。前処理ロータ41の回転中心軸41aは旧畦Kの延びる方向に対して鋭角θに交差する方向を向いて配置されている。
【0021】
天場処理部31は回転自在な天場処理ロータ32を備える。天場処理ロータ32は天場動力伝達フレーム33を介して前処理ロータ41の回転中心軸41aに対して上下方向に揺動自在に支持されている。天場処理ロータ32はその回転中心軸32aに複数の耕耘爪32bを放射状に取り付けて構成されている。天場処理ロータ32の回転中心軸32aは、前処理ロータ41の回転中心軸41aと略平行に配設されている。このため、天場処理ロータ32の回転中心軸32aは、旧畦Kの延びる方向に対して鋭角に交差する方向を向いて配置されている。
【0022】
天場動力伝達フレーム33は天場処理ロータ32と前処理ロータ41との間に配置されて天場処理ロータ32の回転中心軸41aに対して直交する方向に延びる。天場動力伝達フレーム33は、その基端部が前処理ロータ41の回転中心軸41aの先端部から延びる連結軸45に上下方向に回動自在に取り付けられるとともに、後述する附勢装置35(図1参照)を介して回転軸ケース27に取り付けられた支持部材34(図1参照)に支持されている。支持部材34は、図1に示すように、その一端部が回転軸ケース27の上側に取り付けられて他端側が前処理動力伝達ケース42(図2参照)の上方をこのケースに沿って天場動力伝達フレーム33側へ延びる。天場動力伝達フレーム33は、支持部材34との間に設けられた附勢装置35を介して上下位置調整可能に支持されている。
【0023】
附勢装置35は、図1及び図3に示すように、伸縮自在なロッド部36と、ロッド部36に挿着されて天場処理ロータ32を旧畦の天場に附勢する圧縮ばね37とを有してなる。ロッド部36は、筒状に形成された基端側ロッド36aと、この基端側ロッド36a内に挿入されて突出入自在な先端側ロッド36bとを有してなる。
【0024】
基端側ロッド36aの先端側にはピン36cを挿抜可能な基端側孔部が設けられ、先端側ロッド36bには軸方向に所定間隔を有して配置されて基端側孔部と連通可能な複数の先端側孔部が設けられている。基端側ロッド36aに対して先端側ロッド36bを突出入させ、基端側孔部に対して先端側孔部のいずれかを連通させた状態でピン36cを挿入すると、ロッド部36の長さを調整した状態で基端側ロッド36aに対して先端側ロッド36bを固定することができる。
【0025】
基端側ロッド36aは、支持部材34に対してロッド部36の伸長方向に移動自在に支持され、基端側ロッド36aに装着された圧縮ばね37によってロッド部36が伸長する側に附勢されている。またロッド部36は、その先端側が基端側よりも下方に位置するように斜め下方へ向いた状態で設けられている。このため、圧縮ばね37によって、天場処理ロータ32及び後述する接地部材60が天場動力伝達フレーム33を介して附勢され、また圧縮ばね37の圧縮変形によって、天場処理ロータ32及び接地部材60に作用する上方への衝撃力を緩和する。
【0026】
天場処理ロータ32の上部にはこのロータの上部を覆う天場カバー38が配設されている。この天場カバー38は、天場動力伝達フレーム33に取り付けられている。
【0027】
次に、旧畦の天場に接地して天場処理ロータ32によって天場を一定の深さで切り崩すための接地部材60について、図2図5を参照しながら説明する。接地部材60は、図2図3に示すように、天場処理ロータ32の回転中心軸32aの前側端部に取り付けられている。
【0028】
接地部材60は、板状の金属材料で形成され、回転中心軸32aに取り付けられて下方へ延びるアーム部60aと、アーム部60aの下部に繋がって前方側へ延びる接地本体部60bとを有してなる。アーム部60aは回転中心軸32aの回転に拘わらずに常に下方へ延びた状態になるように回転中心軸32aに取り付けられている。
【0029】
接地本体部60bは、図4(a)に示すように、板状に形成されて進行方向前側へ延びる。接地部材60bの後側は略水平に延び、接地本体部60bの前側は前方に進むに従って上方へ傾くように形成されている。なお、接地本体部60bの前側は湾曲した形状でもよい。また、接地部材60は板状に限るものではなく、円筒、球、車輪のような回転体で形成してもよい。
【0030】
接地部材60は、図4(b)を更に追加して説明すると、天場処理ロータ32により旧畦Kの天場Ktを切り崩す掘削範囲H内の天場処理ロータ32の進行方向前方であって天場処理ロータ32の回転中心軸32aよりも下方(図面では真下)に配置されている。また、接地本体部60bの下面は、天場処理ロータ32の耕耘爪32bの先端の回転軌跡Lよりも内側の所定距離Yを有した位置に配置されている。このため、接地本体部60bが旧畦Kの天場Kt上に接地すると、天場処理ロータ32が所定距離Yに対応した一定の深さで天場Ktを切り崩すことができる。
【0031】
ここで、本願発明との比較として、接地部材60を天場処理ロータ32の掘削範囲H外に配設した場合の天場Ktの切り崩しについて図5(a)〜図5(d)を参照しながら説明する。
【0032】
図5(a)は天場Ktが略水平方向に延びる場合を示し、図5(b)は天場Ktが傾斜している場合を示し、図5(c)は天場Ktが凹状に窪んでいる場合を示し、図5(d)は天場Ktが段状に形成されている場合を示している。
【0033】
図5(a)に示すように、天場Ktが略水平方向に延びている場合には、接地部材60の接地本体部60bの下面よりも下方の位置に天場処理ロータ32の耕耘爪32bの先端の回転軌跡Lが通るため、天場Ktを一定の深さで切り崩すことができる。
【0034】
しかしながら、図5(b)に示すように、天場Ktが傾斜している場合、例えば、接地部材60側が天場処理ロータ32側よりも高くなるように傾斜している場合には、接地本体部60bが天場Ktに接地しても天場処理ロータ32が天場Ktから浮き上がった状態になって天場Ktを切り崩すことができない。
【0035】
また、図5(c)に示すように、天場Ktの幅方向中央部が下方に窪んだ凹状に形成されている場合、接地本体部60bが天場Ktの凹状の底部に接地すると、天場処理ロータ32に対向する天場Ktの部分は土が盛り上がった状態にあるので、天場処理ロータ32による天場Ktの切り崩し量は多くなる。
【0036】
また、図5(d)に示すように、天場Ktの幅方向一方側が他方側よりも高さが高くなるような段状に形成されている場合、接地部材60が高さの高い段状部分に接地し、天場処理ロータ32に対向する天場Ktの部分が高さの低い部分であると、天場処理ロータ32は天場Ktから浮き上がった状態になって天場Ktを切り崩すことができない。
【0037】
このように、接地部材60を天場処理ロータ32の掘削範囲H外に配置すると、天場Ktの状態が変わると、天場処理ロータ32によって天場を一定の深さで切り崩すことができなくなる。
【0038】
これに対して、本願発明に係わる接地部材60は、図4(a)、図4(b)に示すように、天場処理ロータ32の掘削範囲H内であって天場処理ロータ32の進行方向前方に配置され、さらに天場処理ロータ32の回転中心軸32aよりも下方に配置されているので、天場Ktの状態に拘わらずに接地部材60が天場Ktに接地すると、接地部材60の進行方向後方側に配置された天場処理ロータ32によって接地部材60が接地した天場Ktを切り崩す。このため、天場Ktの状態に拘わらずに天場Ktを一定の深さで切り崩すことができる。
【0039】
なお、接地部材60の位置は、天場処理ロータ32の回転中心軸32aの真下に限るものではなく、天場処理ロータ32の掘削範囲H内であって天場処理ロータ32の前方であれば、回転中心軸32aの中心に対して横方向にずれた位置でもよい。
【0040】
また接地部材60は、回転中心軸32aの前側端部に取り付けた場合を示したが、天場処理ロータ32を覆う天場カバー38の前面側に取り付けたり、天場カバー38を支持する天場動力伝達フレーム33を介して取り付けてもよい。
【0041】
[第2実施形態]
次に、本発明の畦塗り機の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係わる畦塗り機1'の天場処理部71は、図6に示すように、旧畦Kの延びる方向に対して横方向に略直交する方向を向いた回転中心軸72aの外周に複数の耕耘爪72bを取り付けた天場処理ロータ72を備える。耕耘爪72bは、回転中心軸72aの軸芯方向に所定間隔を有して回転中心軸72aの一端側から他端側に亘って取り付けられている。
【0042】
天場処理ロータ72は、その上部の前側、後側、上側、両側が天場カバー73によって覆われている。天場カバー73の左側端部には天場動力伝達ケース75が接続され、天場動力伝達ケース75は前処理部40を囲むようにして配置されている。天場動力伝達ケース75は、天場カバー73に接続されて左側へ延びる第1天場伝達ケース75aと、第1天場伝達ケース75aの左側端部に接続されて後方側へ延びる第2天場伝達ケース75bと、第2天場伝達ケース75bの後端部に接続されて後述する整畦動力伝達ケース79を介して回転軸ケース27に接続されたな第3天場伝達ケース75cを有してなる。
【0043】
天場動力伝達ケース75内には、動力を伝達可能な動力伝達機構が内蔵されて、回転駆動軸21の動力を天場処理ロータ72に伝達する。第2天場伝達ケース75bは、その後端部が第3天場伝達ケース75cの先端部に対して上下方向に回動自在に接続されている。このため、天場処理ロータ72は第1天場伝達ケース75a及び第2天場伝達ケース75bを介して上下方向に移動自在である。
【0044】
天場処理ロータ72の上部前側を覆う天場カバー73の前面には、前述した接地部材60が取り付けられている。なお、接地部材60の取り付けは天場カバー73に限るものではなく、天場処理ロータ72を支持する第1天場伝達ケース75aに接続した支持部材(図示せず)に取り付けてもよい。
【0045】
接地部材60は、図7(a)及び図7(b)に示すように、天場処理ロータ72により天場Ktを切り崩す掘削範囲H内の天場処理ロータ72の進行方向前方であって、天場処理ロータ72の複数の耕耘爪72bの回転中心軸72aの軸芯方向範囲内に配置されている。接地部材60の接地本体部60bの下面は、天場処理ロータ72の耕耘爪72bの先端の回転軌跡Lよりも内側の所定距離Yを有した位置に配置されている。このため、接地本体部60bが旧畦Kの天場Kt上に接地すると、天場処理ロータ72が所定距離Yに対応した一定の深さで天場Ktを切り崩すことができる。
【0046】
また、図5(b)、図5(c)、図5(d)に示すように、天場Ktが傾斜していたり凹状に窪んでいたり段部が形成したりしている場合でも、接地部材60が天場Ktに接地すると、接地部材60の進行方向後方側に配置された天場処理ロータ72が天場Ktを切り崩す。このため、天場Ktの状態に拘わらずに天場Ktを一定の深さで切り崩すことができる。
【符号の説明】
【0047】
1 畦塗り機
32、72 天場処理ロータ
32a、72a 回転中心軸
32b、72b 耕耘爪
60 接地部材
90 走行機体
H 掘削範囲
K 旧畦
Kt 天場
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7