【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8は、このようなハイブリッド試験の試験装置の全体を示す概略図である。
【0006】
図8に示したように、従来の試験装置100は、例えば、加振装置などの物理空間に実際に存在する被試験構造物に対して、実際に外力を負荷して、各種の試験を行う実モデル試験装置102を備えている。
【0007】
そして、この実モデル試験装置102の試験条件を制御し、実モデル試験装置102の復元力などの挙動データを授受する実モデル試験制御装置104を備えている。また、図示しない仮想空間に存在する被試験構造物に対して、仮想的に外力を負荷した際の挙動を計算する仮想モデル制御装置106を備えている。
【0008】
さらに、試験装置100は、これらの実モデル試験制御装置104と、仮想モデル制御装置106との間のデータの授受を制御するデータ制御装置108を備えている。また、仮想モデル制御装置106と、このデータ制御装置108との間は、例えば、LANネットワーク110によって、データの授受が行われるようになっている。
【0009】
ところで、このような従来の試験装置100では、実モデル試験制御装置104における物理空間に実際に存在する被試験構造物の復元力などの挙動データを、仮想モデル制御装置106にフィードバックしている。
【0010】
これによって、仮想モデル制御装置106において、仮想空間に存在する被試験構造物に対して、仮想的に外力を負荷した際の挙動を計算して、実モデル試験制御装置104における試験条件を制御するように構成されている。
【0011】
しかしながら、この際、実モデル試験制御装置104における物理空間に実際に存在する被試験構造物の挙動は、仮想モデル制御装置106からの入力に対して、データ制御装置108におけるデジタル制御器のサンプリング、または、機械的な要因によって遅れが生じることになる。
【0012】
すなわち、従来の試験装置100は、例えば、
図9の制御チャートに示したように、t0の時点において、力の入力がされ、仮想モデル制御装置106において、t1の時点において、計算が開始される。そして、計算が終了したt2の時点において、コマンドが開始され、コマンドが終了した時点t3において、実モデル試験装置102の試験が開始される。そして、この時点t3において、再び力の入力が次の試験ステップで開始される。
【0013】
従って、t0から時点t3の間の実モデル試験制御装置104における制御遅れQが発生することになる。
【0014】
このような実モデル試験制御装置104の制御遅れは、「負の減衰」とみなされ、仮想モデルの解析結果が発散するおそれがある。このため、制御遅れが、なるべく解析結果に影響を及ぼさないようにする必要があり、解析が複雑になり、大型で高速な制御装置が必要になってしまうことにもなる。
【0015】
本発明は、このような現状に鑑み、実モデル試験装置において、制御遅れが極めて少なく、仮想モデルの解析結果が発散するおそれがなく、解析が簡単で、大型で高速な制御装置が不要で、正確な解析ができる試験装置を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、例えば、ダンパー付免震装置などの速度依存性を有する構造物に対しても、実際の物理空間にある試験片と、コンピュータ上の仮想空間にある試験片モデルの挙動結果を融合して、より実際の現象に近く、試験結果を解析することの可能な試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の試験装置は、
被試験構造物に対して、外力を負荷して各種の試験を行うための試験装置であって、
物理空間に実際に存在する被試験構造物に対して、実際に外力を負荷して各種の試験を行う実モデル試験装置と、
前記実モデル試験装置における試験条件を制御する制御装置と、
仮想空間における仮想モデルの挙動演算を行う仮想空間演算装置と、
を備え、
前記仮想空間演算装置により、仮想空間に存在する被試験構造物に対して、仮想的に外力を負荷した際の挙動を予め計算して、仮想モデル試験予測データを作成し、
前記制御装置により、
仮想空間に存在する被試験構造物の一部の試験片に相当する、物理空間に実際に存在する被試験構造物に対して、実際に外力を負荷した際の挙動を
仮想モデル試験予測データに基づいて予め計算して、実モデル試験予測データを作成し、
前記制御装置により、前記仮想モデル試験予測データと実モデル試験予測データに基づいて、
実モデル試験予測データを制御予測値として記憶し、
前記制御装置により、制御予測値に基づいて、実モデル試験装置において、
仮想空間に存在する被試験構造物の一部の試験片に相当する、物理空間に実際に存在する被試験構造物に対して、実際に外力を負荷して試験を開始し、
前記制御装置により、前記実モデル試験装置における実際の試験中の挙動データと、仮想空間に存在する被試験構造物の挙動データとを比較して、比較結果に基づいて、実モデル試験装置における試験条件を制御するように構成したことを特徴とする。
【0018】
このように構成することによって、
仮想空間演算装置により、仮想空間に存在する被試験構造物に対して、仮想的に外力を負荷した際の挙動を予め計算して、仮想モデル試験予測データを作成している。
そして、仮想空間に存在する被試験構造物の一部の試験片に相当する、物理空間に実際に存在する被試験構造物に対して、実際に外力を負荷した際の挙動を仮想モデル試験予測データに基づいて予め計算して、実モデル試験予測データを作成している。
さらに、制御装置により、仮想モデル試験予測データと実モデル試験予測データに基づいて、
実モデル試験予測データを制御予測値として記憶し、制御装置により、制御予測値に基づいて、実モデル試験装置において、
仮想空間に存在する被試験構造物の一部の試験片に相当する、物理空間に実際に存在する被試験構造物に対して、実際に外力を負荷して試験を開始している。
【0019】
そして、
制御装置により、実モデル試験装置における実際の試験中の挙動データと、仮想空間に存在する被試験構造物の挙動データとを比較して、比較結果に基づいて、実モデル試験装置における試験条件を制御している。
【0020】
従って、実モデル試験装置において、制御遅れが極めて少なく、仮想モデルの解析結果が発散するおそれがなく、大型で高速な制御装置が不要で、正確な解析ができる。
【0021】
しかも、例えば、ダンパー付免震装置などの速度依存性を有する構造物に対しても、実際の物理空間にある試験片と、コンピュータ上の仮想空間にある試験片モデルの挙動結果を融合して、より実際の現象に近く、試験結果を解析することが可能である。
【0022】
これにより、予め挙動についてある程度計算できる試験対象物に対して、試験の途中で任意の入力を行い、その反応をフィードバックするシミュレーション試験に適用することができる。
【0023】
また、本発明の試験装置は、前記制御装置における試験条件の制御が、PID制御とフィードフォワード制御と、制御量補償フィードバック制御によって行われることを特徴とする。
【0024】
このように構成することによって、通常のPID制御と、フィードフォワード制御をお行い、さらに、制御量補償フィードバック制御によって、随時制御量を補償している。これにより、制御遅れの影響が、仮想モデル試験のモデル演算に対して影響を及ぼさないようにすることができる。
【0025】
また、本発明の試験装置は、前記制御装置における試験条件の制御が、前記実モデル試験装置における実際の試験ステップ中の挙動データに基づいて、仮想空間に存在する被試験構造物の挙動データを計算して、その計算結果に基づいて、実モデル試験装置における次の試験ステップの試験条件を制御するように構成したことを特徴とする。
【0026】
このように構成することによって、実モデル試験装置における実際の試験ステップ中の挙動データに基づいて、仮想空間に存在する被試験構造物の挙動データを計算して、その計算結果に基づいて、実モデル試験装置における次の試験ステップの試験条件を制御するので、実モデル試験装置において、制御遅れが極めて少なく、仮想モデルの解析結果が発散するおそれがなく、大型で高速な制御装置が不要で、正確な解析ができる。
【0027】
また、本発明の試験装置は、
前記制御装置が、
前記実モデル試験装置における試験条件を制御する実モデル試験制御装置と、
仮想空間に存在する被試験構造物に対して、仮想的に外力を負荷した際の挙動を計算する仮想モデル制御装置と、
前記実モデル試験制御装置と仮想モデル制御装置との間のデータの授受を制御するデータ制御装置と、
を備えることを特徴とする。
【0028】
このように構成することによって、実モデル試験制御装置と、仮想モデル制御装置と、実モデル試験制御装置と仮想モデル制御装置との間のデータの授受を制御するデータ制御装置とから、制御装置を構成している。
【0029】
従って、実モデル試験装置における実際の試験中の挙動データと、仮想空間に存在する被試験構造物の挙動データとを比較して、比較結果に基づいて、実モデル試験装置における試験条件を制御することが容易となり、実モデル試験装置において、制御遅れが極めて少なく、仮想モデルの解析結果が発散するおそれがなく、大型で高速な制御装置が不要で、正確な解析ができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、
仮想空間演算装置により、仮想空間に存在する被試験構造物に対して、仮想的に外力を負荷した際の挙動を予め計算して、仮想モデル試験予測データを作成している。
そして、仮想空間に存在する被試験構造物の一部の試験片に相当する、物理空間に実際に存在する被試験構造物に対して、実際に外力を負荷した際の挙動を仮想モデル試験予測データに基づいて予め計算して、実モデル試験予測データを作成している。
さらに、制御装置により、仮想モデル試験予測データと実モデル試験予測データに基づいて、
実モデル試験予測データを制御予測値として記憶し、制御装置により、制御予測値に基づいて、実モデル試験装置において、
仮想空間に存在する被試験構造物の一部の試験片に相当する、物理空間に実際に存在する被試験構造物に対して、実際に外力を負荷して試験を開始している。
【0031】
そして、
制御装置により、実モデル試験装置における実際の試験中の挙動データと、仮想空間に存在する被試験構造物の挙動データとを比較して、比較結果に基づいて、実モデル試験装置における試験条件を制御している。
【0032】
従って、実モデル試験装置において、制御遅れが極めて少なく、仮想モデルの解析結果が発散するおそれがなく、大型で高速な制御装置が不要で、正確な解析ができる。
【0033】
しかも、例えば、ダンパー付免震装置などの速度依存性を有する構造物に対しても、実際の物理空間にある試験片と、コンピュータ上の仮想空間にある試験片モデルの挙動結果を融合して、より実際の現象に近く、試験結果を解析することが可能である。
【0034】
これにより、予め挙動についてある程度計算できる試験対象物に対して、試験の途中で任意の入力を行い、その反応をフィードバックするシミュレーション試験に適用することができる。