(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記摺動手段は、前記レールに嵌合して当該レールの長手方向に移動するランナーと、前記カーテン本体の上端部に係止されると共に前記ランナーに吊り下げられる複数個のフックとを備え、
前記カーテン本体の上端部には、前記カーテン本体の幅方向に延在して前記複数のフックを覆うシート状のカバー部材を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の間仕切りカーテン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、当該特許文献1の間仕切り構造は、仕切部材を開閉させなければ当該間仕切りの手前側から向こう側に移動することができず、その際に空気が流出入して冷暖房効果が減じられてしまうことが考えられる。また、仕切り部材による区画を解消する場合には当該仕切り部材の格納のための一定のスペースが必要である。しかし、このような住宅が都市部の狭小敷地に多いことを鑑みると、そのためのスペースを確保することや当該確保のための設計などを行うことは困難である。
【0007】
上記のことを解決するために、本発明者らは、間仕切りが建具や家具ではなく、布のカーテンとすることが望ましいことを見出した。すなわち、カーテンであれば、格納スペースは比較的少なくて済む。また、春秋の過ごしやすい期間は取り外してしまっておくことも可能である。また、暖気冷気の流れを逃がさないことを配慮した場合、カーテンの出入りの際にカーテン自身を開閉しない暖簾のような構造が望ましい。更に、暖簾とは異なり、スリット部に重ね代を設けることで、カーテン間を気流が通過しづらくすることも可能となる。
【0008】
また、カーテンを分割、連結可能とする場合、冷暖房の効率化を考慮した場合、エアコンなどを使う空間を仕切るために、その被分割空間がすべて間仕切れるカーテンが必要であるが、例えば、階段からのコールドドラフト防止のためであれば、降口のみ間仕切れればよいので、全部を仕切る必要が無くなる。
【0009】
そこで、本発明は、通行人が間仕切りを通じて移動する場合でも当該間仕切りの手前側と向こう側とでの空気の流出入を可及的抑制し、且つ、間仕切りによる区画を解消する場合でも収納場所に困らない(すなわち、容易に収納できる、収納スペースを可及的小さなものとすることができる)間仕切りカーテンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る間仕切りカーテンは、居住空間に設けられる開口面の上縁部に沿って水平状に延在するレールと、該レールに案内されてレールの長手方向に摺動する摺動手段と、該摺動手段に着脱可能に懸架されるカーテン本体と、を備え、該カーテン本体は、開口面の上下方向に延在する複数の帯状布体を備え、該複数の帯状布体は、側縁部を互いに重ね合わせた状態で摺動手段に保持されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る間仕切りカーテンによれば、帯状布体によりカーテン本体が形成されているので、布のカーテンであれば、格納スペースは比較的少なくて済む。また、春秋の過ごしやすい期間は取り外してしまっておくことも可能である。また、かかるカーテンの如き構成により間仕切りを形成するものの、区画した領域の暖気/冷気を逃がさないことを配慮すると、開口面を通過する度にカーテン本体を引いてしまわないことが望ましい。かかる観点から、本発明は、互いに隣り合う帯状布体同士が重なり合った状態にあるので、当該帯状布体間の隙間(スリット)は重なり合っている部分によって覆われることとなり、これによって、当該隙間からの暖気や冷気の漏れを防止することができると共に、光や視線の入り込みも防止することができる。また、帯状布体はそれぞれが独立して動くことが可能となっているので、当該開口面を通過する通行人も各帯状布体を押し動かす等して容易に開口面を通過することができる。
【0012】
また、本発明に係る間仕切りカーテンにおいて、隣り合う帯状布体は、互いに重なり合う側縁部のうち、上端部同士が開閉不能に固定されていることが好ましい。これによれば、帯状布体の上端部が互いに連結された状態となるので、その分だけ当該帯状布体間のスリットの開放面積を小さくすることができ、スリットを通じて通行人が出入りする際の空気の流出入をさらに抑制することができるものとなっている。加えて、帯状布体自体が開きにくくなり、帯状布体同士が重なっている状態を維持しやすいものとなっている。
【0013】
また、本発明に係る間仕切りカーテンにおいて、摺動手段は、レールに嵌合して当該レールの長手方向に移動するランナーと、カーテン本体の上端部に係止されると共にランナーに吊り下げられる複数個のフックとを備え、カーテン本体の上端部には、カーテン本体の幅方向に延在して複数のフックを覆うシート状のカバー部材を備えていることが好ましい。カーテン本体は、開口面を覆う場合には、当該開口面の手前側からでも奥方側からであっても当該カーテン本体を視認することができるものとなるが、フックがカバー部材により覆われることとなるので、当該フックはいずれからも視認不能となり、見栄えを向上させることができるものとなっているのである。
【0014】
また、本発明に係る間仕切りカーテンにおいて、カーテン本体を複数備え、各カーテン本体の上端部の側縁部には、隣り合うカーテン本体の上端部の側縁部に着脱自在な連結部が設けられていることが好ましい。これによれば、カーテン本体の幅を例えば所定のモジュールに規定して複数備え、隣り合うカーテン本体同士を連結部により連結することにより、1枚の大きなカーテン本体として開口面全体を覆うことができると共に、いくつかのカーテン本体のみを連結することで開口面の一部を覆うことも可能となっている。また、当該連結部は、側縁部の上端部に形成されているので、当該連結部により連結される部位も通行人の移動を許容するスリットとして機能させることができるものとなっているのである。
【0015】
また、本発明に係る間仕切りカーテンにおいて、開口面の一方の側縁部側には、当該開口面に交差する他の開口面が設けられており、レールは、開口面と他の開口面の上端部に沿ってそれぞれ延在する一対の直線部と、これら一対の直線部間を連結する屈曲部とを備えていることが好ましい。これによれば、レールに沿ってカーテン本体を移動させることにより、当該開口面を覆うことはもちろん、別の開口面を覆うことができ、さらには、これら両方の開口面を覆うことができるものとなっている。一方で、いずれかの開口面の一側方にまとめてカーテン本体を収納することができ、収納スペースの削減も図ることができる。また、両開口面をカーテン本体で覆う場合には、レールの屈曲部の下方にもカーテン本体が位置するものとなるので、当該屈曲部に対向する位置に他の間仕切壁の側縁部等が位置する場合でも、当該間仕切壁の側縁部とカーテン本体との間を通過することができ、これによって、当該カーテン本体で覆われる空間にアクセスすることなく、当該空間により隔絶された両スペースを行き来することができるものとなっている。
【0016】
また、本発明に係る間仕切りカーテンにおいて、居住空間には下階へ通じる下り階段が設けられ、該下り階段は、開口面の一部を降口とすると共に、少なくとも一方の側面が腰高程度の高さを有する腰壁で区画されており、レールは、開口面の一方の側縁部から少なくとも階段の降口まで延在する第1レールと、第1レールと始端部を同じくして、降口の手前で屈曲して前記下り階段の一方の側面の終端部まで延在する第2レールとを備えていることが好ましい。これによれば、第1レールに沿ってカーテン本体を移動させることにより、当該下り階段の降口をカーテン本体によって塞ぐことができるものとなっている。また、第2レールに沿ってカーテン本体を移動させることにより、腰壁の領域を開口面の上下に亘ってカーテン本体により覆うことができる。これによって、下り階段に臨む空気流通経路をカーテン本体により塞ぐことができ、当該下り階段を通じての暖気や冷気の逃げを抑制することができるものとなっている。
【0017】
また、本発明に係る間仕切りカーテンにおいて、開口面の側縁部には、カーテン本体を収容する収容部が設けられており、該収容部には、係合長さを調節自在とするタッセルが設けられていることが好ましい。これによれば、カーテンを係留するタッセルが係合長さを調節自在とされているので、当該収容部にすべてのカーテン本体を収容する場合はもちろん、いくつかのカーテン本体のみを収容しておく場合でも、良好に収容部にカーテン本体を係留させておくことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、通行人が間仕切りを通じて移動する場合でも当該間仕切りの手前側と向こう側とでの空気の流出入を可及的抑制し、且つ、間仕切りによる区画を解消する場合でも収納場所に困らない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る間仕切りカーテン1を示す斜視図である。
図2は、本発明の第一実施形態に係る間仕切りカーテン1のカーテン本体4の上端部の側縁部を示す拡大図である。
図3は、カーテン本体4を上方から見た模式図である。本実施形態に係る間仕切りカーテン1は、建物の居住空間を用途に応じて仕切って区画することにより、間取りを変更することを可能とするものである。間仕切りカーテン1は、大きな居住空間内において、仕切りたい空間同士の間に設けられる開口面Eに設置される。なお、開口面Eは居住空間の任意の位置に設定され、具体的な例は後述の使用態様にて詳細に説明する。
【0022】
図1〜
図3に示すように、間仕切りカーテン1は、居住空間に設けられる開口面Eの上縁部に沿って水平状に延在するレール2と、該レール2に案内されてレール2の長手方向に摺動する摺動部(摺動手段)3と、該摺動部3に着脱可能に懸架されるカーテン本体4と、を備えている。
図1では、柱P1と柱P2との間に開口面E1が設けられ、当該開口面E1の側縁部側(すなわち、柱P1側)に、当該開口面E1と直交する開口面E2が設けられているものとして、以下の説明を行う。なお、開口面E1は、柱P1によって一方の側縁部が規定され、柱P2によって他方の側縁部が規定され、天井面Cによって上端部が規定され、床面Fによって下端部が規定されるものとする。また、開口面E2は、柱P1によって一方の側縁部が規定され、図示されない柱や壁によって他方の側縁部が規定され、天井面Cによって上端部が規定され、床面Fによって下端部が規定されるものとする。
図1では、開口面E1を二枚のカーテン本体4で覆ったときの様子を示している。なお、当該開口面E1の縁部は上記のように規定されるのみならず、本棚等の家具の側縁部や上縁部、手摺等の立上りの上端部等によって規定することができる。
【0023】
レール2は、天井面CFに設けられており、開口面E1,E2の上縁部付近に当該各上端部に沿って設けられている。レール2は、間仕切りカーテン1で仕切りたい部分の位置や大きさに合わせて任意に設定することができる。
図1に示す例では、レール2は、開口面E1と開口面E2との間で直角に屈曲している。レール2は、開口面E1の上端部に沿って延在する直線部2aと、開口面E2の上端部に沿って延在する直線部2bと、これら一対の直線部2a,2b間を連結する屈曲部2cとを備えている。また、摺動部3は、レール2に嵌合して当該レール2の長手方向に移動するランナー6と、カーテン本体4の上端部に係止されると共にランナー6に吊り下げられる複数個のフック7とを備えている。レール2、ランナー6及びフック7は、通常のカーテンで用いられている一般的なものを適用することができる。
【0024】
カーテン本体4は、開口面E1,E2の上下方向に延在する複数の帯状布体10を備えている。本実施形態では、一枚当たりのカーテン本体4が、並設された二枚の帯状布体10A,10Bを備えている。カーテン本体4の上端部は、帯状布体10A,10Bの上端部10Aa,10Baによって形成され、カーテン本体4の下端部は、帯状布体10A,10Bの下端部10Ab,10Bbによって形成され、カーテン本体4の一方の側縁部は、帯状布体10Aの一方の側縁部10Acによって形成され、カーテン本体4の他方の側縁部は、帯状布体10Bの他方の側縁部10Bdによって形成される。
【0025】
隣り合う帯状布体10A,10Bは、側縁部10Ad,10Bcを互いに重ね合わせた状態で摺動部3に保持されている。すなわち、帯状布体10Aの他方の側縁部10Adと帯状布体10Bの一方の側縁部10Bcとが重ね合されている。空間同士の間の気流を通過しづらくすることができれば、重ね代の大きさは特に限定されないが、例えば30〜100mm程度に設定することが好ましい。隣り合う帯状布体10A,10Bは、互いに重なり合う側縁部10Ad,10Bcのうち、上端部10Aa,10Ba同士が開閉不能に固定されている。具体的には、側縁部10Ad,10Bcの上端部10Aa,10Ba付近の縫付領域FAにて、当該側縁部10Adと側縁部10Bcとが縫い付けられて固定されている。一方、縫付領域FAよりも下側の領域は、固定されることなく単に重ね合わせられたスリットとして構成され、気流を通過し難くすると共に通行人が通過できる。
【0026】
図2及び
図3に示すように、帯状布体10A,10Bは、上端部10Aa,10Baにて摺動部3に保持されている。帯状布体10A,10Bの上端部10Aa,10Baには、フック7が所定のピッチにて取り付けられている。フック7は、帯状布体10A,10Bの上端部10Aa,10Baのうち、一方の面に取り付けられる。当該面ではフック7が露出しているため、当該フック7を隠すために、帯状布体10A,10Bの上端部10Aa,10Baには、カーテン本体4の幅方向に延在して複数のフック7を覆うシート状のカバー部材11が設けられている。カバー部材11は、カーテン本体4と同様な布で構成されている。カバー部材11の長さは、カーテン本体4の幅方向の大きさと略同一に設定されている。カバー部材11の上下方向の大きさは、フック7の全長を覆う程度の大きさに設定されている。カバー部材11は、所定のピッチで形成される縫付部12にて、カーテン本体4に固定される。カーテン本体4の帯状布体10Aの側縁部10Ac側では、当該側縁部10Acとカバー部材11の側縁部11aとに縫付部12が形成されているため、カーテン本体4とカバー部材11とは開くことなく固定された状態となっている。一方、カーテン本体4の帯状布体10Bの側縁部10Bd側では、当該側縁部10Bdとカバー部材11の側縁部11bから離間した位置に縫付部12が形成されているため、カーテン本体4とカバー部材11とが開いた状態となっている。
【0027】
互いに隣り合うカーテン本体4同士は、着脱可能に連結されている。具体的には、カーテン本体4の上端部10Aaの側縁部10Acには、隣り合うカーテン本体4の上端部10Baの側縁部10Bdに着脱自在な面ファスナーテープ(連結部)13Aが設けられている。面ファスナーテープとして、マジックテープ(登録商標)を適用することができる。当該面ファスナーテープ13Aは、カーテン本体4の外面4aに、側縁部10Acに沿って上下方向に延びるように設けられる。一方、カーテン本体4の上端部10Baの側縁部10Bdには、隣り合うカーテン本体4の上端部10Aaの側縁部10Acに着脱自在な面ファスナーテープ(連結部)13Bが設けられている。当該面ファスナーテープ13Bは、カーテン本体4の内面4bに、側縁部10Bdに沿って上下方向に延びるように設けられる。面ファスナーテープ13A,13Bの上下方向の大きさは、帯状布体10A,10Bを固定する縫付領域FAと略同じ大きさに設定することが望ましい。
【0028】
互いに隣り合うカバー部材11同士も、着脱可能に連結されている。カバー部材11の側縁部11aには、隣り合うカーテン本体4に取り付けられたカバー部材11の側縁部11bに着脱自在な面ファスナーテープ14Aが設けられている。当該面ファスナーテープ14Aは、カバー部材11の外面11cに、側縁部11aに沿って上下方向に延びるように設けられる。一方、カバー部材11の側縁部11bには、隣り合うカーテン本体4に取り付けられたカバー部材11の側縁部11aに着脱自在な面ファスナーテープ14Bが設けられている。当該面ファスナーテープ14Bは、カバー部材11の外面11dに、側縁部11bに沿って上下方向に延びるように設けられる。
【0029】
このような連結構造により、互いに隣り合うカバー部材11を連結する際は、一方のカーテン本体4の側縁部10Bdとカバー部材11の側縁部11bとを開いた状態として、他方のカーテン本体4の側縁部10Ac及びカバー部材11の側縁部11aを挟み込む。一方のカーテン本体4の側縁部10Bdの面ファスナーテープ13Bを他方のカーテン本体4の側縁部10Acの面ファスナーテープ13Aに接合し、一方のカバー部材11の側縁部11bの面ファスナーテープ14Bを他方のカバー部材11の側縁部11aの面ファスナーテープ14Aに接合する。以上によって、一方のカーテン本体4及びカバー部材11が、他方のカーテン本体4及びカバー部材11と連結される。このような連結構造では、カーテン同士を二重で止める構造となるので、連結強度を増加させることができる。また、重ね代を確保することにより、気流を通過し難くすると共に通行人が通過できる構造とすることができる。なお、連結部13A,13Bとしては、上記面ファスナーテープ以外にも、ボタンやチャック、フック、磁石、粘着テープ等といった、着脱可能な様々な連結方式を採用することができるものとなっている。
【0030】
上述の間仕切りカーテン1の作用・効果について説明をする。
【0031】
本実施形態に係る間仕切りカーテン1によれば、帯状布体10A,10Bによりカーテン本体4が形成されている。例えば、間仕切り用の板材を適用する場合は不使用時の収納スペースの問題があるが、布のカーテンであれば、格納スペースは比較的少なくて済む。また、春秋の過ごしやすい期間は取り外してしまっておくことも可能である。また、かかるカーテンの如き構成により間仕切りを形成するものの、区画した領域の暖気/冷気を逃がさないことを配慮すると、開口面Eを通行人が通過する度にカーテン本体4を引いてしまわないことが望ましい。これに対し、本実施形態では、互いに隣り合う帯状布体10A,10B同士が重なり合った状態にあるので、当該帯状布体10A,10B間の隙間(スリット)は重なり合っている部分によって覆われることとなり、これによって、当該隙間からの暖気や冷気の漏れを防止することができると共に、光や視線の入り込みも防止することができる。また、帯状布体10A,10Bはそれぞれが独立して動くことが可能となっているので、当該開口面Eを通過する通行人も各帯状布体10A,10Bを押し動かす等して容易に開口面Eを通過することができる。また、隣り合う帯状布体10A,10Bの重ね代の開き高さが抑えられるので、これによって、室内の気流等による当該帯状布体10A,10Bの揺れを抑制し、重ね代同士が重なっている状態を維持しやすいものとなっているのである。
【0032】
また、本実施形態に係る間仕切りカーテン1において、隣り合う帯状布体10A,10Bは、互いに重なり合う側縁部10Ad,10Bcのうち、上端部同士が縫付領域FAにて開閉不能に固定されている。これによれば、帯状布体10A,10Bの上端部10Aa,10Baが互いに連結された状態となるので、その分だけ当該帯状布体10A,10B間のスリットの開放面積を小さくすることができ、スリットを通じて通行人が出入りする際の空気の流出入をさらに抑制することができるものとなっている。加えて、帯状布体10A,10B自体が開きにくくなり、帯状布体10A,10B同士が重なっている状態を維持しやすいものとなっているのである。
【0033】
また、本実施形態に係る間仕切りカーテン1において、摺動部3は、レール2に嵌合して当該レール2の長手方向に移動するランナー6と、カーテン本体4の上端部10Aa,10Baに係止されると共にランナー6に吊り下げられる複数個のフック7とを備えている。また、カーテン本体4の上端部10Aa,10Baには、カーテン本体4の幅方向に延在して複数のフック7を覆うシート状のカバー部材11を備えている。カーテン本体4は、開口面Eを覆う場合には、当該開口面Eの手前側からでも奥方側からであっても当該カーテン本体4を視認することができるものとなるが、フック7がカバー部材11により覆われることとなるので、当該フック7はいずれからも視認不能となり、見栄えを向上させることができるものとなっているのである。
【0034】
また、本実施形態に係る間仕切りカーテン1において、カーテン本体4を複数備え、各カーテン本体4の上端部の側縁部には、隣り合うカーテン本体4の上端部の側縁部に着脱自在な面ファスナーテープ13A,13Bが設けられている。これによれば、カーテン本体4の幅を例えば所定のモジュールに規定して複数備え、隣り合うカーテン本体4同士を面ファスナーテープ13A,13Bにより連結することにより、1枚の大きなカーテン本体4として開口面E全体を覆うことができると共に、いくつかのカーテン本体4のみを連結することで開口面Eの一部を覆うことも可能となっている。また、当該面ファスナーテープ13A,13Bは、側縁部の上端部に形成されているので、当該面ファスナーテープ13A,13Bにより連結される部位も通行人の移動を許容するスリットとして機能させることができるものとなっているのである。
【0035】
また、本実施形態に係る間仕切りカーテン1において、レール2は、開口面E1と他の開口面E2の上端部に沿ってそれぞれ延在する一対の直線部2a,2bと、これら一対の直線部2a,2b間を連結する屈曲部2cとを備えている。これによれば、レール2に沿ってカーテン本体4を移動させることにより、当該開口面E1を覆うことはもちろん、別の開口面E2を覆うことができ、更には、これら両方の開口面E1,E2を覆うことができるものとなっている。一方で、いずれかの開口面E1,E2の一側方にまとめてカーテン本体4を収納することができ、収納スペースの削減も図ることができる。また、両開口面E1,E2をカーテン本体4で覆う場合には、レール2の屈曲部2cの下方にもカーテン本体4が位置するものとなるので、当該屈曲部2cに対向する位置に他の間仕切壁の側縁部等が位置する場合でも、当該間仕切壁の側縁部とカーテン本体4との間を通過することができ、これによって、当該カーテン本体4で覆われる空間にアクセスすることなく、当該空間により隔絶された両スペースを行き来することができるものとなっている。
【0036】
次に、
図4を参照して、上述のような構成を有する間仕切りカーテン1を具体的な居住空間に適用した場合の一例について説明する。
図4に示す例は、1階の居住空間内に、廊下を介さないリビング階段LSが設けられており、当該リビング階段LSを取り囲むように間仕切りカーテン1が設けられている例である。
図4に示すようにリビング階段LS周辺の空間と、キッチンやリビング等の空間との間には、開口面E1,E2が形成されている。当該開口面E1に対応する位置にレール2の直線部2aが形成され、開口面E2に対応する位置にレール2の直線部2bが形成され、当該直線部2a,2bの間にレール2の屈曲部2cが形成される。
図4では、開口面E1が一枚のカーテン本体4で覆われ、開口面E2が4枚のカーテン本体4で覆われている。これにより、リビング階段LSはカーテン本体4で囲まれることとなり、当該リビング階段LS周辺の空間と、キッチンやリビング等の空間とは、間仕切られる。なお、説明のための模式図であるため、
図4ではカーテン本体4がレール2から離間し、カーテン本体4同士の間、カーテン本体4と壁・柱との間に隙間があるように示されているが、実際はこれらの隙間が無いようにカーテン本体4が配置され、カーテン本体4はレール2の真下に配置される。このような構成により、1階の居住空間内の暖房がリビング階段LSを通じて2階に拡散することを防止できる。あるいは、2階からの冷気がリビング階段LSを通じて1階に流れ込むことを防止できる。また、カーテン本体4にはスリットがあるので、カーテン本体4を開閉(レール2に沿ってカーテン本体4全体を移動させることによる開閉)することなしに通行人が出入りすることができるため、通行人の出入り時にも、暖気冷気の通過を最小限に抑えることができる。なお、
図4では、1階にてリビング階段LSを囲む間仕切りカーテン1を採用しているが、2階にも同趣旨の構成を有する間仕切りカーテン1を採用してもよい。
【0037】
また、開口面E1の側縁部には、各カーテン本体4を収容する収容部15が設けられており、当該収容部15には、係合長さを調節自在とするタッセル16が設けられている。
図5(a)に示すように、タッセル16は、壁に設けられた二本の紐体17で構成されている。通常のカーテンのタッセルは、両端に輪が設けられた一本の紐体で構成され、畳まれたカーテンを束ねて、壁に設けられたフックに両端の輪をかけることにより、カーテンを収容している。しかしながら、本実施形態に係る間仕切りカーテン1では、使用態様によりカーテン本体4の枚数が変化するため、収容部15に収容しておくカーテン本体4の束の大きさも変化する。従って、通常のタッセルでは、カーテン本体4を最適に束ねることができない。一方、本実施形態に係るタッセル16は、二本の紐体17でカーテン本体4を束ねて両紐体17を結ぶことより、カーテン本体4の束の大きさによらず好適に収容することができる。すなわち、
図5(b)〜
図5(d)に示すように、使用中のカーテン本体4が少ないほど収容されるカーテン本体4の束は大きくなるが、それに応じて両紐体17での結び目の位置を変化させることで、カーテン本体4の束を良好にまとめておくことができる。以上のように、カーテンを係留するタッセル16が係合長さを調節自在とされているので、当該収容部15にすべてのカーテン本体4を収容する場合はもちろん、いくつかのカーテン本体4のみを収容しておく場合でも、良好に収容部15にカーテン本体4を係留させておくことができる。
【0038】
[第二実施形態]
第一実施形態で説明した構成と同様な間仕切りカーテン1を他の居住空間に適用した場合の例を第二実施形態として、
図6を参照して説明する。
図6に示すように、第二実施形態では、2階の居住空間内において、下り階段LS周辺の開口面E1,E2,E3をカーテン本体4で覆うことを可能とするために、レール2は、三本の第1レール2Aと、第2レール2Bと、第3レール2Cを備えている。
図6では、一つの大きな居住空間内に、居間R1、台所食堂R2、書斎R3、下り階段LSが区画されている。下り階段LSは、正面に降口を有し、一方の側面が腰高程度の高さを有する腰壁21、背面が腰壁22、他方の側面が腰壁23で区画されている。書斎R3は、腰壁21と当該腰壁21と対向する壁部24との間に区画される。開口面E1は、居間R1と他の空間との間に形成される。開口面E2は、台所食堂R2と他の空間との間に形成される。開口面E3は、下り階段LSの降口及び書斎R3と他の空間(居間R1とは反対側の空間)との間に形成される。開口面E4は、下り階段LSの側面に形成される。
【0039】
第1レール2Aは、開口面E3の壁部24側の側縁部から少なくとも下り階段LSの降口まで延在する直線部によって構成されている。本実施形態では、第1レール2Aは、開口面E3に沿って開口面E2まで延びている。第2レール2Bは、第1レール2Aと始端部を同じくして、下り階段LSの降口の手前(すなわち腰壁21の手前)で屈曲して下り階段LSの腰壁21の終端部まで延在している。第2レール2Bは、開口面E3に沿って壁部24から腰壁21まで延びる直線部2Baと、当該直線部2Baと直交し開口面E4に沿って延びる直線部2Bbと、当該直線部2Ba,2Bb間を連結する屈曲部2Bcと、を有している。第3レール2Cは、開口面E1に沿って延びる直線部2aと、開口面E2に沿って延びる直線部2Cbと、当該直線部2Ca,2Cb間を連結する屈曲部2Ccと、を備えている。また、壁部24には、第1レール2A及び第2レール2Bの始端に収容部15が設けられ、第3レール2Cの始端に収容部15が設けられる。第2実施形態では、収容部15は、各カーテン本体4を収容しておく開閉蓋付きの箱体によって構成されている。
【0040】
このように第1レール2A及び第2レール2Bを備えることにより、第1レール2Aに沿ってカーテン本体4を移動させることで、下り階段LSの降口をカーテン本体4によって塞ぐことができるものとなっている。また、第2レール2Bに沿ってカーテン本体4を移動させることにより、腰壁21の領域を開口面E4の上下に亘ってカーテン本体4により覆うことができる。これによって、下り階段LSに臨む空気流通経路をカーテン本体4により塞ぐことができ、当該下り階段LSを通じての暖気や冷気の逃げを抑制することができるものとなっている。
【0041】
次に、
図7〜
図13を参照して各使用態様の例について説明する。
図7に示す使用態様では、第3レール2Cの直線部2Ca全体にカーテン本体4を設置することにより、開口面E1全体をカーテン本体4で覆っている。これにより、居間R1を他の居住空間から独立分離させることができる。
【0042】
図8に示す使用態様では、第3レール2Cの直線部2Cb全体にカーテン本体4を設置することにより、開口面E2全体をカーテン本体4で覆っている。これにより、台所食堂R2を他の居住空間から独立分離させることができる。
【0043】
図9に示す使用態様では、第3レール2Cの直線部2Ca全体にカーテン本体4を設置することにより、開口面E1全体をカーテン本体4で覆っている。また、第3レール2Cの直線部2Cb全体にカーテン本体4を設置することにより、開口面E2全体をカーテン本体4で覆っている。これにより、居間R1及び台所食堂R2をそれぞれ他の居住空間から独立分離させることができる。
【0044】
図10に示す使用態様では、第1レール2Aのうち、下り階段LSの降口に対応する位置に設置することにより、開口面E3のうち降口手前の領域のみをカーテン本体4で覆っている。これにより、コールドドラフトの下降を防止することができる。
【0045】
図11に示す使用態様では、第1レール2Aのうち、下り階段LSの降口に対応する位置及び書斎R3に対応する位置に設置することにより、開口面E3のうち降口手前の領域及び書斎R3に対応する部分をカーテン本体4で覆っている。また、第2レール2Bの直線部2Bb全体にカーテン本体4を設置することにより、開口面E4全体をカーテン本体4で覆っている。また、第3レール2Cの直線部2Caのうち、書斎R3に対応する位置に設置することにより、開口面E1のうち書斎R3に対応する部分をカーテン本体4で覆っている。第2レール2Bを用いることにより、書斎R3を他空間から視覚的に分離することができる。なお、第2レール2Bに係るカーテン本体4は出入りには使われないため、スリットを設けなくともよい。ただし、スリットを設ければ、通常の暖簾のように、少し開けて向こう側を覗くことも可能となる。当該第2レール2Bで開口面E4を覆うことに加え、第1レール2A及び第3レール2Cで書斎R3に対応する部分を覆うことで、書斎R3を他空間から独立分離することができる。書斎R3にエアコンが設けられている場合、当該エアコンを書斎R3のためにのみ用いることができる。
【0046】
図12に示す使用態様では、第2レール2Bの直線部2Bb全体にカーテン本体4を設置することにより、開口面E4全体をカーテン本体4で覆っている。他の開口面はカーテン本体4で覆っていない。書斎R3を他空間から視覚的に分離することのみを目的とする場合は、開口面E4を覆うのみで十分である。
【0047】
図13に示す使用態様では、第1レール2A、第2レール2B及び第3レール2Cの全てを用いて下り階段LSを取り囲んでいる。具体的には、第1レール2Aのうち、腰壁21よりも開口面E2側の領域全体にカーテン本体4を設置することにより、開口面E3のうち下り階段LS付近の領域をカーテン本体4で覆っている。また、第2レール2Bの直線部2Bb全体にカーテン本体4を設置することにより、開口面E4全体をカーテン本体4で覆っている。また、第3レール2Cの直線部2Caのうち、腰壁21よりも開口面E2側の領域全体にカーテン本体4を設置することにより、開口面E1のうち下り階段LS付近の領域をカーテン本体4で覆っている。これにより、エアコンの負荷面積を低減することができ、下階からの熱気の拡散を防止することなどが可能となる。
【0048】
[第三実施形態]
第二実施形態の居住空間に対して異なるレール配置を適用した場合の例を第三実施形態として、
図14を参照して説明する。
図14に示すように、レール2として一本の第4レール2Dのみが用いられている。レール2Dは、下り階段LSの周りを取り囲むように延在しており、具体的には、壁部24から延びて降口の手前を通過して腰壁23まで延び、屈曲して腰壁23に沿って腰壁22まで延び、屈曲して腰壁22に沿って腰壁21まで延び、屈曲して腰壁21に沿って降口の位置まで延びている。下り階段LSを取り囲む場合は、収容部15から全てのカーテン本体4を引き出して、第4レール2Dに沿って移動させ、下り階段LSの四方の全ての直線部にカーテン本体4を配置すればよい。このように下り階段LSを周回するように複数のカーテン本体4を設置する場合でも、直線部を屈曲部で連結して周回状にレール2Dを設けることで、最小のレール本数で一体的に階段周りを仕切ることができるのみならず、当該複数のカーテン本体4を収容する収容部15も一箇所で済み、収納場所に過大なスペースを要しないものとなっている。
【0049】
本発明は、上述の各実施形態に限定されない。レールの構成やカーテン本体の大きさ、帯状布体の枚数等は適用される場所や目的に応じて適宜変更可能である。例えばカーテン本体4は、気流の通過を可及的抑制することができるものであれば、透明なシート樹脂等により形成されていても構わない。この場合、カーテン本体4により空間を区画している場合でも、当該区画領域を明るくすることができるのみならず、カーテン本体4を通して向こう側を視認することができ、当該カーテン本体4を通過する際に向こうからこちらに向かう人とぶつかる等の事故を防止することができる。