(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記装飾層形成ステップによって前記装飾層が形成された前記プライマー層をこのプライマー層のガラス転移点以上の温度に加熱するプライマー層加熱ステップを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の部材付着式装飾方法。
前記装飾層形成ステップによって形成された前記装飾層を保護する保護層を前記装飾層上に形成する保護層形成ステップを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の部材付着式装飾方法。
前記保護層形成ステップは、カラーのインクジェット印刷によって光透過性を有する前記保護層を形成するステップであることを特徴とする請求項6に記載の部材付着式装飾方法。
前記プライマー層形成ステップのインクジェット印刷で使用する印刷データと、前記保護層形成ステップのインクジェット印刷で使用する印刷データとは、印刷される図形の外形が同一である印刷データであることを特徴とする請求項7に記載の部材付着式装飾方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の部材付着式装飾方法においては、インク上に金粉を付着させるべき期間が短いので、適切な時期にインク上に金粉を付着させることが困難であるという問題がある。
【0006】
例えば、対象物上のインクが指触乾燥していない時点で、このインク上に金粉が付着させられた場合には、金粉に覆われたインクが乾燥し難いという問題が生じる。ここで、インクジェット用のインクは、スクリーン印刷用のインクと比較して、非常に粘度が低い。したがって、インクジェット用のインクが乾燥し難い場合、対象物上のインクが自重や濡れ性などによって対象物上で広がることによって、対象物上のインクの縁の形状が変化してしまい、結果として、金粉による高精度の装飾を得ることが困難であるという問題も生じる。
【0007】
一方、対象物上のインクが完全に指触乾燥した時点で、このインク上に金粉が付着させられた場合には、金粉がインクに付着しないという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、従来より作業性を向上することができる部材付着式装飾方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の部材付着式装飾方法は、装飾用の部材である装飾用部材を対象物に付着させることによって前記対象物に装飾を施す部材付着式装飾方法であって、硬化時または乾燥時にタックを有する塗料であるタック有塗料を前記対象物上にインクジェット印刷して前記対象物上に前記タック有塗料によるプライマー層を形成するプライマー層形成ステップと、前記プライマー層形成ステップによって形成された前記プライマー層上に前記装飾用部材による装飾層を前記プライマー層のタックによって形成する装飾層形成ステップとを備えていることを特徴とする。
【0010】
この構成により、本発明の部材付着式装飾方法は、プライマー層を完全に硬化または乾燥させた後でプライマー層のタック(粘着性)によってプライマー層上に装飾用部材を付着させるので、装飾用部材を付着させる時期の管理を従来より容易化することができる。すなわち、本発明の部材付着式装飾方法は、従来より作業性を向上することができる。
【0011】
また、本発明の部材付着式装飾方法において、前記装飾層形成ステップは、前記プライマー層上に前記装飾用部材を蒔き付けることによって前記装飾層を前記プライマー層のタックによって前記プライマー層上に形成するステップであっても良い。
【0012】
この構成により、本発明の部材付着式装飾方法は、プライマー層上に装飾用部材を蒔き付けるという簡単な作業によって装飾層を形成するので、作業性を向上することができる。
【0013】
また、本発明の部材付着式装飾方法は、前記装飾層形成ステップによって前記装飾層が形成された前記プライマー層をこのプライマー層のガラス転移点以上の温度に加熱するプライマー層加熱ステップを備えていても良い。
【0014】
この構成により、本発明の部材付着式装飾方法は、プライマー層のガラス転移点以上の温度にプライマー層を加熱することによってプライマー層の性質を変えてタックを無くすことができるので、プライマー層のタックによってプライマー層にゴミが付着することを防止することができる。したがって、本発明の部材付着式装飾方法は、対象物に装飾用部材が付着させられることによって生成される部材付着式装飾物が汚損することを防止することができる。
【0015】
また、本発明の部材付着式装飾方法は、前記プライマー層加熱ステップの後であって前記プライマー層の温度が前記ガラス転移点以上である時点で前記装飾層を前記プライマー層に押し付ける装飾層押付ステップを備えていても良い。
【0016】
この構成により、本発明の部材付着式装飾方法は、プライマー層の温度がプライマー層のガラス転移点以上である時点で装飾層をプライマー層に押し付けることによって、プライマー層に装飾層をめり込ませることができるので、プライマー層のタックが無くなった場合であっても、装飾層がプライマー層から剥がれる可能性を低減することができる。
【0017】
また、本発明の部材付着式装飾方法は、前記装飾層形成ステップによって形成された前記装飾層を保護する保護層を前記装飾層上に形成する保護層形成ステップを備えていても良い。
【0018】
この構成により、本発明の部材付着式装飾方法は、装飾層を保護層によって保護するので、対象物に装飾用部材が付着させられることによって生成される部材付着式装飾物の耐久性を向上することができる。また、本発明の部材付着式装飾方法は、タックを有するプライマー層を保護層によって覆うので、プライマー層にゴミが付着して部材付着式装飾物が汚損することを防止することができる。
【0019】
また、本発明の部材付着式装飾方法において、前記保護層形成ステップは、インクジェット印刷によって前記保護層を形成するステップであっても良い。
【0020】
この構成により、本発明の部材付着式装飾方法は、手作業で保護層を形成する場合と比較して、容易に保護層を形成することができる。
【0021】
また、本発明の部材付着式装飾方法において、前記保護層形成ステップは、カラーのインクジェット印刷によって光透過性を有する前記保護層を形成するステップであっても良い。
【0022】
この構成により、本発明の部材付着式装飾方法は、装飾層を保護層によって保護することによって部材付着式装飾物の耐久性を向上することができるだけではなく、装飾用部材による装飾層と、光透過性を有するカラーの保護層との相乗効果による鮮やかな装飾を部材付着式装飾物に新たに追加することができる。
【0023】
また、本発明の部材付着式装飾方法において、前記プライマー層形成ステップのインクジェット印刷で使用する印刷データと、前記保護層形成ステップのインクジェット印刷で使用する印刷データとは、印刷される図形の外形が同一である印刷データであっても良い。
【0024】
この構成により、本発明の部材付着式装飾方法は、プライマー層形成ステップのインクジェット印刷で形成されるプライマー層の外形と、保護層形成ステップのインクジェット印刷で形成される保護層の外形とが同一になるので、プライマー層上に形成される装飾層と、光透過性を有するカラーの保護層とを高精度に重ねることができる。
【0025】
また、本発明の部材付着式装飾方法において、前記保護層形成ステップは、硬化性の合成樹脂を山盛りに滴下して前記保護層を形成するステップであっても良い。
【0026】
この構成により、本発明の部材付着式装飾方法は、装飾層を保護する保護層によって、硬化性の合成樹脂を山盛りにした装飾を部材付着式装飾物に新たに追加することができる。
【0027】
また、本発明の部材付着式装飾方法において、前記装飾用部材は、繊維であっても良い。
【0028】
この構成により、本発明の部材付着式装飾方法は、装飾用部材である繊維によって、視覚だけでなく、触覚にも訴えることができる装飾を対象物に施すことができる。
【0029】
また、本発明の部材付着式装飾方法において、前記タック有塗料は、紫外線硬化型の塗料であり、前記プライマー層形成ステップは、前記タック有塗料を前記対象物上にUVインクジェット印刷して前記対象物上に前記プライマー層を形成するステップであっても良い。
【0030】
この構成により、本発明の部材付着式装飾方法は、タック有塗料を対象物上にUVインクジェット印刷して対象物上にタック有塗料によるプライマー層を形成するので、プライマー層が硬化するまでの時間を短縮することができる。したがって、本発明の部材付着式装飾方法は、対象物に装飾用部材が付着させられることによって生成される部材付着式装飾物の完成までの時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の部材付着式装飾方法は、従来より作業性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0034】
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る部材付着式装飾物の構成について説明する。
【0035】
図1(a)は、本実施の形態に係る部材付着式装飾物10の一部分の正面図である。
図1(b)は、
図1(a)に示す部材付着式装飾物10の一部分の底面断面図である。
【0036】
図1に示すように、部材付着式装飾物10は、装飾用の部材である装飾用部材13aが対象物11に蒔き付けられることによって生成される物である。部材付着式装飾物10は、対象物11と、対象物11上に形成されたプライマー層12と、プライマー層12上に形成された装飾層13とを備えている。
【0037】
対象物11は、例えば、合成樹脂などの材料で形成されている。対象物11は、例えば、スマートフォン用のカバーなどの物である。
【0038】
プライマー層12は、硬化時にタック(粘着性)を有する紫外線硬化型の塗料であるタック有塗料が対象物11上にUVインクジェット印刷されて形成されている。タック有塗料は、例えば無色透明な塗料である。タック有塗料は、例えばバインダー樹脂としてアクリレートで形成されている。
【0039】
装飾層13は、プライマー層12のタックによって装飾用部材13aがプライマー層12上に付着させられることによって形成されている。
【0040】
次に、部材付着式装飾物10の製造に使用されるインクジェットプリンターの構成について説明する。
【0041】
図2は、部材付着式装飾物10の製造に使用されるインクジェットプリンター20の斜視図である。
【0042】
図2に示すように、インクジェットプリンター20は、対象物11を載せるテーブル21と、矢印20aで示す主走査方向に延在する本体22とを備えている。
【0043】
テーブル21は、矢印20bで示す副走査方向に延在していて本体22を矢印20bで示す副走査方向に移動可能に支持しているガイド機構21aを、矢印20aで示す主走査方向における両側に備えている。
【0044】
本体22は、矢印20aで示す主走査方向に延在しているガイドレール23と、矢印20aで示す主走査方向に移動可能にガイドレール23に支持されているキャリッジ24とを備えている。キャリッジ24は、紫外線硬化型の液体の滴をテーブル21に向けて吐出するための図示していない記録ヘッドと、記録ヘッドによって吐出された紫外線硬化型の液体を硬化させるための紫外線をテーブル21に向けて照射するための図示していないLED(Light Emitting Diode)とを搭載している。
【0045】
次に、対象物11に装飾用部材13aを蒔き付けることによって対象物11に装飾を施す部材付着式装飾方法、すなわち、部材付着式装飾物10の製造方法について説明する。
【0046】
1.プライマー層形成ステップ
作業者は、対象物11をインクジェットプリンター20のテーブル21の所定の位置に固定し、任意の印刷データに基づいた画像を対象物11上にタック有塗料で記録するように、インクジェットプリンター20に指示する。
【0047】
作業者から指示を受けたインクジェットプリンター20は、テーブル21に対してキャリッジ24をガイドレール23に沿って矢印20aで示す主走査方向に移動するとともに、テーブル21に対して本体22をガイド機構21aに沿って矢印20bで示す副走査方向に移動する。すなわち、インクジェットプリンター20は、テーブル21上に固定された対象物11に対してキャリッジ24を印刷データに応じて移動する。そして、インクジェットプリンター20は、テーブル21上に固定された対象物11上に向けてキャリッジ24上の記録ヘッドによってタック有塗料を吐出するとともに、対象物11上に吐出されたタック有塗料に向けてキャリッジ24上のLEDによって紫外線を照射する。すなわち、インクジェットプリンター20は、印刷データに基づいた画像の形でタック有塗料を対象物11上にUVインクジェット印刷することによって、タック有塗料によるプライマー層12を対象物11上に形成する。
【0048】
図3(a)は、プライマー層12が形成された対象物11の一部分の正面図である。
図3(b)は、
図3(a)に示す対象物11の一部分の底面断面図である。
【0049】
プライマー層形成ステップによってプライマー層12が形成された対象物11は、例えば
図3に示すようになる。
【0050】
2.装飾層形成ステップ
次いで、作業者は、インクジェットプリンター20のテーブル21から対象物11を取り外し、対象物11上に形成されたプライマー層12上に装飾用部材13aを手作業で蒔き付けることによって、装飾用部材13aによる装飾層13をプライマー層12上にプライマー層12のタックによって形成する。
【0051】
装飾層形成ステップによって装飾層13が形成された対象物11は、例えば
図1に示すように部材付着式装飾物10として完成する。
【0052】
以上に説明したように、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、プライマー層12を完全に硬化させた後でプライマー層12のタック(粘着性)によってプライマー層12上に装飾用部材13aを付着させるので、装飾用部材13aを付着させる時期の管理を従来より容易化することができる。すなわち、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、従来より作業性を向上することができる。
【0053】
また、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、プライマー層12を完全に硬化させた後でプライマー層12上に装飾用部材13aを付着させるので、硬化前においてスクリーン印刷用のインクと比較して非常に粘度が低いインクジェット用のタック有塗料でプライマー層12が形成されていても、プライマー層12上に装飾用部材13aが蒔き付けられた後で、対象物11上のプライマー層12が自重や濡れ性などによって対象物11上で広がることがない。すなわち、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、プライマー層12上に装飾用部材13aが蒔き付けられた後も対象物11上のプライマー層12の縁の形状が固定されている。したがって、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、装飾用部材13aによる高精度の装飾を得ることが可能である。
【0054】
また、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、タック有塗料を対象物11上にUVインクジェット印刷して対象物11上にタック有塗料によるプライマー層12を形成するので、プライマー層12が硬化するまでの時間を短縮することができる。したがって、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、対象物11に装飾用部材13aが付着させられることによって生成される部材付着式装飾物10の完成までの時間を短縮することができる。
【0055】
なお、タック有塗料は、本実施の形態において紫外線硬化型の塗料であるが、紫外線硬化型の塗料以外の硬化型の塗料、すなわち、成分が反応して硬化するタイプの塗料であっても良い。例えば、タック有塗料は、2液硬化型の塗料であっても良い。
【0056】
また、タック有塗料は、本実施の形態において硬化型の塗料であるが、有機溶剤系の塗料や、水性の塗料など、溶剤が乾燥するタイプの塗料であっても良い。すなわち、タック有塗料は、乾燥時にタックを有する塗料であっても良い。本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、プライマー層12を完全に乾燥させた後でプライマー層12のタックによってプライマー層12上に装飾用部材13aを付着させるようになっていても、装飾用部材13aを付着させる時期の管理を従来より容易化することができ、従来より作業性を向上することができる。
【0057】
装飾用部材13aとしては、例えば、金粉などの金属粉、蓄光粉、雲母粉、粉状の繊維などが使用されることが可能である。
【0058】
鉱物である蓄光粉は、硬いので、微細化されることが困難である。そのため、蓄光粉は、インクに混入されてインクジェットプリンターによる印刷に使用されるようにしたとしても、大きさの点でインクジェットプリンターのノズルから吐出されることが困難である。また、鉱物である蓄光粉は、重いので、インクに混入された場合に、インク内で沈殿し易く、やはりインクジェットプリンターのノズルから吐出されることが困難である。しかしながら、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、インクジェットプリンター20によるUVインクジェット印刷によって形成されたプライマー層12上に装飾用部材13aが付着させられるので、装飾用部材13aが蓄光粉である場合であっても対象物11に蓄光粉による装飾を施すことができる。
【0059】
雲母粉は、乱反射によってパール状に輝いて見えるので、パール状に輝いて見えるために粒の大きさがある程度の大きさ以上である必要がある。そのため、雲母粉は、インクに混入されてインクジェットプリンターによる印刷に使用されるようにしたとしても、大きさの点でインクジェットプリンターのノズルから吐出されることが困難である。しかしながら、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、インクジェットプリンター20によるUVインクジェット印刷によって形成されたプライマー層12上に装飾用部材13aが付着させられるので、装飾用部材13aが雲母粉である場合であっても対象物11に雲母粉による装飾を施すことができる。
【0060】
粉状の繊維は、インクに混入されてインクジェットプリンターによる印刷に使用されるようにした場合、印刷されたインクの表面に表れ難い。しかしながら、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、インクジェットプリンター20によるUVインクジェット印刷によって形成されたプライマー層12上に装飾用部材13aが付着させられるので、装飾用部材13aが繊維である場合であっても部材付着式装飾物10の表面に繊維による装飾を施すことができる。すなわち、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、装飾用部材13aが繊維である場合、装飾用部材13aである繊維によって、視覚だけでなく、触覚にも訴えることができる装飾を対象物11に施すことができる。本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、装飾用部材13aが繊維である場合、装飾用部材13aである繊維によって、例えば、桃の果実の皮のような肌触りや、スエードのような肌触りの装飾を対象物11に施すことができる。
【0061】
(第2の実施の形態)
本実施の形態に係る部材付着式装飾物の構成は、第1の実施の形態に係る部材付着式装飾物10(
図1参照。)の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0062】
対象物11に装飾用部材13aを蒔き付けることによって対象物11に装飾を施す部材付着式装飾方法、すなわち、本実施の形態に係る部材付着式装飾物の製造方法について説明する。
【0063】
1.プライマー層形成ステップ
作業者は、第1の実施の形態と同様に、インクジェットプリンター20による印刷によって、タック有塗料によるプライマー層12を対象物11上に形成する。
【0064】
2.装飾層形成ステップ
次いで、作業者は、第1の実施の形態と同様に、対象物11上に形成されたプライマー層12上に装飾用部材13aを蒔き付けることによって、装飾用部材13aによる装飾層13をプライマー層12上にプライマー層12のタックによって形成する。
【0065】
3.プライマー層加熱ステップ
次いで、作業者は、プライマー層12および装飾層13が形成された対象物11を加熱用の装置に入れるなどして、プライマー層12のガラス転移点以上の温度に加熱する。すなわち、装飾層形成ステップによって装飾層13が形成されたプライマー層12は、プライマー層12自身のガラス転移点以上の温度に加熱される。
【0066】
4.装飾層押付ステップ
次いで、作業者は、プライマー層12の温度がプライマー層12自身のガラス転移点以上である時点で装飾層13をプライマー層12に押し付ける。したがって、装飾層押付ステップの実行前に
図4(a)に示すようにプライマー層12の表面に付着していた装飾用部材13aは、装飾層押付ステップの実行後に
図4(b)に示すようにプライマー層12にめり込んだ状態となる。
【0067】
以上のようにして、本実施の形態に係る部材付着式装飾物は、完成させられる。
【0068】
以上に説明したように、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、プライマー層12を完全に硬化させた後でプライマー層12のタック(粘着性)によってプライマー層12上に装飾用部材13aを付着させるので、装飾用部材13aを付着させる時期の管理を従来より容易化することができる。すなわち、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、従来より作業性を向上することができる。
【0069】
また、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、プライマー層12のガラス転移点以上の温度にプライマー層12を加熱することによってプライマー層12の性質を変えてタックを無くすことができるので、プライマー層12のタックによってプライマー層12にゴミが付着することを防止することができる。したがって、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、本実施の形態に係る部材付着式装飾物が汚損することを防止することができる。
【0070】
また、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、プライマー層12の温度がプライマー層12のガラス転移点以上である時点で装飾層13をプライマー層12に押し付けることによって、プライマー層12に装飾層13をめり込ませることができるので、プライマー層12のタックが無くなった場合であっても、装飾層13がプライマー層12から剥がれる可能性を低減することができる。
【0071】
なお、タック有塗料は、紫外線硬化型の塗料、有機溶剤系の塗料など、任意の塗料が使用されることが可能である。
【0072】
また、装飾用部材13aとしては、例えば、金粉などの金属粉、蓄光粉、雲母粉、粉状の繊維などが使用されることが可能である。
【0073】
(第3の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る部材付着式装飾物の構成について説明する。
【0074】
なお、本実施の形態に係る部材付着式装飾物の構成のうち第1の実施の形態に係る部材付着式装飾物10(
図1参照。)の構成と同様の構成については、部材付着式装飾物10の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0075】
図5(a)は、本実施の形態に係る部材付着式装飾物110の一部分の正面図である。
図5(b)は、
図5(a)に示す部材付着式装飾物110の一部分の底面断面図である。
【0076】
図5に示すように、部材付着式装飾物110の構成は、装飾層13を保護するための保護層114を部材付着式装飾物10が備えた構成と同様である。
【0077】
保護層114は、紫外線硬化型の塗料が装飾層13上にUVインクジェット印刷されて形成されている。この塗料は、例えば、無色透明な塗料である。
【0078】
次に、対象物11に装飾用部材13aを蒔き付けることによって対象物11に装飾を施す部材付着式装飾方法、すなわち、部材付着式装飾物110の製造方法について説明する。
【0079】
1.プライマー層形成ステップ
作業者は、第1の実施の形態と同様に、インクジェットプリンター20による印刷によって、タック有塗料によるプライマー層12を対象物11上に形成する。
【0080】
2.装飾層形成ステップ
次いで、作業者は、第1の実施の形態と同様に、対象物11上に形成されたプライマー層12上に装飾用部材13aを蒔き付けることによって、装飾用部材13aによる装飾層13をプライマー層12上にプライマー層12のタックによって形成する。
【0081】
3.保護層形成ステップ
次いで、作業者は、装飾層13が形成された対象物11をインクジェットプリンター20のテーブル21の所定の位置に固定し、上述のプライマー層形成ステップで使用した印刷データと同一の印刷データに基づいた画像を対象物11上に紫外線硬化型の塗料で記録するように、インクジェットプリンター20に指示する。
【0082】
インクジェットプリンター20は、上述したように、テーブル21上に固定された対象物11に対してキャリッジ24を印刷データに応じて移動する。そして、インクジェットプリンター20は、テーブル21上に固定された対象物11上に向けてキャリッジ24上の記録ヘッドによって紫外線硬化型の塗料を吐出するとともに、対象物11上に吐出された紫外線硬化型の塗料に向けてキャリッジ24上のLEDによって紫外線を照射する。すなわち、インクジェットプリンター20は、印刷データに基づいた画像の形で紫外線硬化型の塗料を装飾層13上にUVインクジェット印刷することによって、紫外線硬化型の塗料による保護層114を装飾層13上に形成する。
【0083】
保護層形成ステップによって保護層114が形成された対象物11は、例えば
図5に示すように部材付着式装飾物110として完成する。
【0084】
以上に説明したように、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、プライマー層12を完全に硬化させた後でプライマー層12のタック(粘着性)によってプライマー層12上に装飾用部材13aを付着させるので、装飾用部材13aを付着させる時期の管理を従来より容易化することができる。すなわち、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、従来より作業性を向上することができる。
【0085】
また、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、タック有塗料を対象物11上にUVインクジェット印刷して対象物11上にタック有塗料によるプライマー層12を形成するので、プライマー層12が硬化するまでの時間を短縮することができる。したがって、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、対象物11に装飾用部材13aが付着させられることによって生成される部材付着式装飾物110の完成までの時間を短縮することができる。
【0086】
また、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、装飾層13を保護層114によって保護するので、部材付着式装飾物110の耐久性を向上することができる。
【0087】
また、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、タックを有するプライマー層12を保護層114によって覆うので、プライマー層12にゴミが付着して部材付着式装飾物110が汚損することを防止することができる。
【0088】
また、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、インクジェット印刷によって保護層114を形成するので、作業者の手作業で保護層114を形成する場合と比較して、容易に保護層114を形成することができる。
【0089】
部材付着式装飾物110は、保護層114による光の反射および透過の影響によって、保護層114を備えていない構成と比較して、装飾層13の見え方が異なる。
【0090】
なお、タック有塗料と、保護層114を形成する塗料とは、紫外線硬化型の塗料、有機溶剤系の塗料など、任意の塗料が使用されることが可能である。
【0091】
また、装飾用部材13aとしては、例えば、金粉などの金属粉、蓄光粉、雲母粉、粉状の繊維などが使用されることが可能である。
【0092】
なお、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、保護層形成ステップにおいてインクジェット印刷によって保護層114を形成するようになっているが、保護層形成ステップにおいて硬化性の合成樹脂を山盛りに滴下して保護層を形成するようになっていても良い。
【0093】
図6(a)は、
図5に示す例とは異なる例における本実施の形態に係る部材付着式装飾物110の一部分の正面図である。
図6(b)は、
図6(a)に示す部材付着式装飾物110の一部分の底面断面図である。
【0094】
図6に示す部材付着式装飾物110の構成は、装飾層13を保護するための保護層115を部材付着式装飾物10が備えた構成と同様である。
【0095】
保護層115は、硬化性の合成樹脂が装飾層13上に山盛りに滴下された後、この合成樹脂が硬化させられて形成されている。この合成樹脂は、例えば、無色透明な合成樹脂である。
【0096】
本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、硬化性の合成樹脂を山盛りに滴下して保護層115を形成するようになっている場合、インクジェット印刷によって保護層114を形成する場合と比較して、装飾層13を保護する保護層115によって、合成樹脂を山盛りにした装飾を部材付着式装飾物110に新たに追加することができる。
【0097】
部材付着式装飾物110は、保護層115による光の反射および透過の影響によって、保護層115を備えていない構成や、保護層114を備えている構成と比較して、装飾層13の見え方が異なる。
【0098】
なお、硬化性の合成樹脂を山盛りに滴下する方法としては、作業者の手作業で合成樹脂を滴下する方法や、専用の装置によって合成樹脂を滴下する方法などがある。
【0099】
(第4の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る部材付着式装飾物の構成について説明する。
【0100】
なお、本実施の形態に係る部材付着式装飾物の構成のうち第1の実施の形態に係る部材付着式装飾物10(
図1参照。)の構成と同様の構成については、部材付着式装飾物10の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0101】
図7(a)は、本実施の形態に係る部材付着式装飾物210の一部分の正面図である。
図7(b)は、
図7(a)に示す部材付着式装飾物210の一部分の底面断面図である。
【0102】
図7に示すように、部材付着式装飾物210の構成は、装飾層13を保護するための保護層としてのカラー層214と、装飾層13を保護するための保護層としての山盛り層215と、対象物11およびプライマー層12の間に設けられたホワイト層216とを部材付着式装飾物10が備えた構成と同様である。
【0103】
カラー層214は、紫外線硬化型の塗料が装飾層13上にUVインクジェット印刷されて形成されている。この塗料は、カラーの塗料である。
【0104】
山盛り層215は、硬化性の合成樹脂がカラー層214上に山盛りに滴下された後、この合成樹脂が硬化させられて形成されている。この合成樹脂は、例えば、無色透明な合成樹脂である。
【0105】
ホワイト層216は、紫外線硬化型の塗料が対象物11上にUVインクジェット印刷されて形成されている。この塗料は、ホワイト色の塗料である。
【0106】
なお、装飾層13の装飾用部材13aは、金粉、銀粉などの金属粉である。
【0107】
次に、対象物11に装飾用部材13aを蒔き付けることによって対象物11に装飾を施す部材付着式装飾方法、すなわち、部材付着式装飾物210の製造方法について説明する。
【0108】
作業者は、以下に説明するように、後述のホワイト層形成ステップ、プライマー層形成ステップおよびカラー層形成ステップにおいて使用される印刷データを作成する。
【0109】
図8(a)は、部材付着式装飾物210の製造方法におけるカラー層形成ステップにおいて使用される印刷データに基づいた画像201を示す図である。
図8(b)は、部材付着式装飾物210の製造方法におけるホワイト層形成ステップおよびプライマー層形成ステップにおいて使用される印刷データに基づいた画像202を示す図である。
【0110】
まず、作業者は、PC(Personal Computer)などのコンピューターを使用して、
図8(a)に示す画像201を印刷するためのカラーの印刷データを作成する。
【0111】
次に、作業者は、コンピューターにおいて実行される画像処理プログラムを使用して、
図8(a)に示す画像201の色を黒色1色に変換することによって、
図8(b)に示す画像202を印刷するための白黒の印刷データを生成する。したがって、画像201の印刷データと、画像202の印刷データとは、印刷される図形の外形が同一である印刷データである。
【0112】
作業者は、以上に説明したように印刷データを作成した後、以下の作業を実施する。
【0113】
1.ホワイト層形成ステップ
作業者は、対象物11をインクジェットプリンター20のテーブル21の所定の位置に固定し、画像202(
図8(b)参照。)の印刷データに基づいた画像を対象物11上に紫外線硬化型のホワイト色の塗料で記録するように、インクジェットプリンター20に指示する。
【0114】
作業者から指示を受けたインクジェットプリンター20は、上述したように、テーブル21上に固定された対象物11に対してキャリッジ24を画像202の印刷データに応じて移動する。そして、インクジェットプリンター20は、テーブル21上に固定された対象物11上に向けてキャリッジ24上の記録ヘッドによって紫外線硬化型のホワイト色の塗料を吐出するとともに、対象物11上に吐出された紫外線硬化型のホワイト色の塗料に向けてキャリッジ24上のLEDによって紫外線を照射する。すなわち、インクジェットプリンター20は、印刷データに基づいた画像202の形で紫外線硬化型のホワイト色の塗料を対象物11上にUVインクジェット印刷することによって、紫外線硬化型のホワイト色の塗料によるホワイト層216を対象物11上に形成する。
【0115】
図9(a)は、ホワイト層216が形成された対象物11の一部分の正面図である。
図9(b)は、
図9(a)に示す対象物11の一部分の底面断面図である。
【0116】
ホワイト層形成ステップによってホワイト層216が形成された対象物11は、例えば
図9に示すようになる。
【0117】
2.プライマー層形成ステップ
次いで、作業者は、ホワイト層216が形成された対象物11をインクジェットプリンター20のテーブル21のうちホワイト層形成ステップにおける位置と同一の位置に固定したまま、上述のホワイト層形成ステップで使用した印刷データと同一の印刷データ、すなわち、画像202(
図8(b)参照。)の印刷データに基づいた画像を対象物11上にタック有塗料で記録するように、インクジェットプリンター20に指示する。
【0118】
作業者から指示を受けたインクジェットプリンター20は、上述したように、テーブル21上に固定された対象物11に対してキャリッジ24を画像202の印刷データに応じて移動する。そして、インクジェットプリンター20は、テーブル21上に固定された対象物11上に向けてキャリッジ24上の記録ヘッドによってタック有塗料を吐出するとともに、対象物11上に吐出されたタック有塗料に向けてキャリッジ24上のLEDによって紫外線を照射する。すなわち、インクジェットプリンター20は、印刷データに基づいた画像202の形でタック有塗料を対象物11上にUVインクジェット印刷することによって、タック有塗料によるプライマー層12をホワイト層216上に形成する。
【0119】
図10(a)は、ホワイト層216上にプライマー層12が形成された対象物11の一部分の正面図である。
図10(b)は、
図10(a)に示す対象物11の一部分の底面断面図である。
【0120】
プライマー層形成ステップによってプライマー層12が形成された対象物11は、例えば
図10に示すようになる。
【0121】
3.装飾層形成ステップ
次いで、作業者は、第1の実施の形態と同様に、対象物11上に形成されたプライマー層12上に装飾用部材13aを蒔き付けることによって、装飾用部材13aによる装飾層13をプライマー層12上にプライマー層12のタックによって形成する。
【0122】
なお、作業者は、装飾用部材13aをスポンジなどで押し付けるようにしてプライマー層12上に蒔き付けることによって、プライマー層12と、装飾用部材13aとの密着性を向上させることができる。
【0123】
また、作業者は、プライマー層12上に装飾用部材13aを蒔き付けた後、スポンジなどで対象物11上を擦ったり、水などで対象物11上を洗い流したり、エアーブラシなどで対象物11上に空気を吹き付けたりすることによって、対象物11上のプライマー層12以外の部分に装飾用部材13aが残ることを防止することができる。
【0124】
図11(a)は、プライマー層12上に装飾層13が形成された対象物11の一部分の正面図である。
図11(b)は、
図11(a)に示す対象物11の一部分の底面断面図である。
【0125】
装飾層形成ステップによって装飾層13が形成された対象物11は、例えば
図11に示すようになる。
【0126】
4.カラー層形成ステップ(保護層形成ステップ)
次いで、作業者は、装飾層13が形成された対象物11をインクジェットプリンター20のテーブル21のうちプライマー層形成ステップにおける位置と同一の位置に固定して、画像201(
図8(a)参照。)の印刷データに基づいた画像を対象物11上に紫外線硬化型のカラーの塗料で記録するように、インクジェットプリンター20に指示する。
【0127】
作業者から指示を受けたインクジェットプリンター20は、上述したように、テーブル21上に固定された対象物11に対してキャリッジ24を画像201の印刷データに応じて移動する。そして、インクジェットプリンター20は、テーブル21上に固定された対象物11上に向けてキャリッジ24上の記録ヘッドによって紫外線硬化型のカラーの塗料を吐出するとともに、対象物11上に吐出された紫外線硬化型のカラーの塗料に向けてキャリッジ24上のLEDによって紫外線を照射する。すなわち、インクジェットプリンター20は、印刷データに基づいた画像201の形で紫外線硬化型のカラーの塗料を装飾層13上にUVインクジェット印刷することによって、紫外線硬化型のカラーの塗料によるカラー層214を装飾層13上に形成する。
【0128】
図12(a)は、装飾層13上にカラー層214が形成された対象物11の一部分の正面図である。
図12(b)は、
図12(a)に示す対象物11の一部分の底面断面図である。
【0129】
カラー形成ステップによってカラー層214が形成された対象物11は、例えば
図12に示すようになる。
【0130】
5.山盛り層形成ステップ(保護層形成ステップ)
次いで、作業者は、カラー層214が形成された対象物11のうち、カラー層214が形成されている面の全体に硬化性の合成樹脂を山盛りに滴下することによって、合成樹脂による山盛り層215を対象物11上に形成する。
【0131】
山盛り層形成ステップによって山盛り層215が形成された対象物11は、例えば
図7に示すように部材付着式装飾物210として完成する。
【0132】
以上に説明したように、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、プライマー層12を完全に硬化させた後でプライマー層12のタック(粘着性)によってプライマー層12上に装飾用部材13aを付着させるので、装飾用部材13aを付着させる時期の管理を従来より容易化することができる。すなわち、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、従来より作業性を向上することができる。
【0133】
また、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、タック有塗料を対象物11上にUVインクジェット印刷して対象物11上にタック有塗料によるプライマー層12を形成するので、プライマー層12が硬化するまでの時間を短縮することができる。したがって、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、対象物11に装飾用部材13aが付着させられることによって生成される部材付着式装飾物210の完成までの時間を短縮することができる。
【0134】
また、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、装飾層13をカラー層214および山盛り層215によって保護するので、部材付着式装飾物210の耐久性を向上することができる。
【0135】
また、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、タックを有するプライマー層12をカラー層214および山盛り層215によって覆うので、プライマー層12にゴミが付着して部材付着式装飾物210が汚損することを防止することができる。
【0136】
また、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、インクジェット印刷によってカラー層214を形成するので、作業者の手作業でカラー層214を形成する場合と比較して、容易にカラー層214を形成することができる。
【0137】
部材付着式装飾物210は、カラー層214による光の反射および透過の影響によって、カラー層214を備えていない構成と比較して、装飾層13の見え方が異なる。すなわち、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、装飾層13をカラー層214によって保護することによって部材付着式装飾物210の耐久性を向上することができるだけではなく、装飾用部材13aによる装飾層13と、光透過性を有するカラー層214との相乗効果による鮮やかな装飾を部材付着式装飾物210に新たに追加することができる。
【0138】
また、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、プライマー層形成ステップのインクジェット印刷で形成されるプライマー層12の外形と、カラー層形成ステップのインクジェット印刷で形成されるカラー層214の外形とが同一になるので、プライマー層12上に形成される装飾層13と、光透過性を有するカラー層214とを高精度に重ねることができる。
【0139】
本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、硬化性の合成樹脂を山盛りに滴下して山盛り層215を形成するので、装飾層13を保護する山盛り層215によって、合成樹脂を山盛りにした装飾を部材付着式装飾物210に新たに追加することができる。
【0140】
部材付着式装飾物210は、山盛り層215による光の反射および透過の影響によって、山盛り層215を備えていない構成と比較して、装飾層13の見え方が異なる。
【0141】
なお、硬化性の合成樹脂を山盛りに滴下する方法としては、作業者の手作業で合成樹脂を滴下する方法や、専用の装置によって合成樹脂を滴下する方法などがある。
【0142】
本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、装飾層13およびカラー層214の下にホワイト層216を形成するので、例えば対象物11の色が黒色であっても、装飾層13およびカラー層214の発色を向上することができる。
【0143】
なお、タック有塗料と、カラー層214を形成する塗料と、ホワイト層216を形成する塗料とは、紫外線硬化型の塗料、有機溶剤系の塗料など、任意の塗料が使用されることが可能である。
【0144】
また、装飾用部材13aとしては、金属粉の他、例えば、蓄光粉、雲母粉、粉状の繊維などが使用されることが可能である。
【0145】
なお、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、山盛り層形成ステップにおいて山盛り層215を形成するようになっているが、山盛り層形成ステップを省略することによって、山盛り層215を形成しないようになっていても良い。
【0146】
図13(a)は、
図7に示す例とは異なる例における本実施の形態に係る部材付着式装飾物210の一部分の正面図である。
図13(b)は、
図13(a)に示す部材付着式装飾物210の一部分の底面断面図である。
【0147】
図13に示す部材付着式装飾物210の構成は、
図7に示す部材付着式装飾物210が山盛り層215を備えていない構成と同様である。
【0148】
また、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、ホワイト層形成ステップにおいてホワイト層216を形成するようになっているが、ホワイト層形成ステップを省略することによって、ホワイト層216を形成しないようになっていても良い。
【0149】
図14(a)は、
図7および
図13に示す例とは異なる例における本実施の形態に係る部材付着式装飾物210の一部分の正面図である。
図14(b)は、
図14(a)に示す部材付着式装飾物210の一部分の底面断面図である。
【0150】
図14に示す部材付着式装飾物210の構成は、
図7に示す部材付着式装飾物210がホワイト層216を備えていない構成と同様である。つまり、
図7に示す部材付着式装飾物210は、対象物11上にホワイト層216を介してプライマー層12が形成されているが、
図14に示す部材付着式装飾物210は、対象物11上に直接プライマー層12が形成されている。
【0151】
更に、本実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、ホワイト層形成ステップおよび山盛り層形成ステップを省略することによって、山盛り層215およびホワイト層216を形成しないようになっていても良い。
【0152】
図15(a)は、
図7、
図13および
図14に示す例とは異なる例における本実施の形態に係る部材付着式装飾物210の一部分の正面図である。
図15(b)は、
図15(a)に示す部材付着式装飾物210の一部分の底面断面図である。
【0153】
図15に示す部材付着式装飾物210の構成は、
図7に示す部材付着式装飾物210が山盛り層215およびホワイト層216を備えていない構成と同様である。
【0154】
上述した各実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、プライマー層12上に装飾用部材13aを蒔き付けるという簡単な作業によって装飾層13を形成するので、作業性を向上することができる。しかしながら、上述した各実施の形態に係る部材付着式装飾方法は、プライマー層12上に装飾用部材13aを蒔き付け以外の方法によって付着させるようになっていても良い。