(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記初期座標設定部で前記携帯型の画像表示部の前記初期位置が設定される前は、前記画像再構成部は前記被検体の体軸方向の垂直断面で且つ前記中心位置を通る断層像を画像再構成し、前記携帯型の画像表示部は前記中心位置を通る前記断層像を表示する請求項1に記載の医用画像表示装置。
前記画像表示部は、前記断層像を表示する第1表示画面と、前記三次元画像の全体輪郭枠及び前記輪郭枠に対する前記第1表示画面に表示される前記断層像の位置を表示する第2表示画面と、を含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
前記画像表示部は、前記断層像を表示する第1表示画面と、前記三次元画像の前記被検体の体軸方向の始端部又は終端部と前記断層像の位置との距離を示す第2表示画面と、を含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、核医学診断装置、超音波診断装置、又はMRI(magnetic resonance imaging)装置のいずれかである医用画像診断装置と、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の医用画像表示装置と、を備え、
前記画像データは前記医用画像診断装置により取得されたデータに基づいて生成される医用画像診断システム。
前記医用画像診断装置は、前記被検体に超音波を送信し前記被検体からのエコー信号を受信するトランスデューサ及び座標位置を検出する座標位置センサを含む送受信プローブを有し、
前記画像データ保存部に保存された前記画像データは、前記エコー信号及び前記送受信プローブの座標位置に基づいて生成される請求項6に記載の医用画像診断システム。
前記送受信プローブは、前記トランスデューサと直交する方向に駆動させる駆動部及び前記駆動部が前記トランスデューサを駆動させた駆動量を検出する駆動量センサを備える請求項7に記載の医用画像診断システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0019】
(第1実施形態)
<医用画像表示装置100の構成>
図1は、操作者10が医用画像表示装置100を用いて被検者20の断層像を観察している様子が示された図である。また、
図1の右側には医用画像表示装置100の構成図が示されている。
図1では、ベッド30に被検者20が寝ており、操作者10が医用画像表示装置100により被検者20の臓器等の断層像を観察している。以降の説明では、被検者20の体軸方向をZ軸方向、被検者20の鉛直上方をY軸方向、Z軸方向及びY軸方向に垂直な方向をX軸方向として説明する。
【0020】
医用画像表示装置100は操作者10が携帯することができ、画像データ保存部110、画像再構成部120、画像表示部130、及び位置検出部140を有している。画像データ保存部110には、超音波診断装置等の医用画像診断装置により取得された三次元画像の画像データが収納されている。また、位置検出部140は医用画像表示装置100の三次元座標位置及び傾きを検出する。位置検出部140は、例えば磁気センサであり、医用画像表示装置100が使用される部屋内に設置され磁界を発生させる磁場ソース40の磁界を受けて医用画像表示装置100の三次元座標位置及び傾きを計測する。画像再構成部120は、画像データ保存部110に記憶された三次元画像の画像データに基づいて、任意の断面の断層像、すなわち二次元画像の画像データを画像表示部130に表示させる。画像表示部130には、医用画像表示装置100が移動した移動量及び医用画像表示装置100の初期位置から傾いた傾き量に応じた断層像が表示される。
【0021】
位置検出部140の例として磁気センサを挙げたが、位置検出部140は磁気センサと加速度センサとを組み合わせることにより形成されても良い。また、X,Y,Z軸方向の加速度センサを形成し、磁場ソース40が無い状態で用いても良い。さらに、
図1では被検者20が居る場合を示したが、医用画像表示装置100は、画像データ保存部110に被検者20の三次元画像の画像データを記憶しておくことにより、被検者20が居ない場所で使用することができる。このような医用画像表示装置100のみの使用は、被検体のどのような断面でどのような画像になるかを物理的に把握することができるため、例えば新人医師及び技師の教育用として使用することができる。
【0022】
図2は、医用画像表示装置100の平面図である。医用画像表示装置100の画像表示部130は、例えば第1表示画面131と第2表示画面132との2つの画面により構成されることができる。
図2では、第1表示画面131内に第2表示画面132が重ねて表示されている例が示されている。第1表示画面131には被検者20の断層像153が表示されている。また、第2表示画面132には、医用画像診断装置により取得された三次元画像151の輪郭枠及び三次元画像151を切断するように表示された断層平面152が示されている。断層平面152は、三次元画像151のどの断面を、第1表示画面131に表示しているかを理解させるための平面である。
つまり、第1表示画面131に表示される断層像153は断層平面152が切断する三次元画像151の断面であり、第2表示画面132は第1表示画面131に表示される断層像153が三次元画像151のどの断面かを示すための画面となっている。
【0023】
また、第1表示画面131の右下には、断層像153が示す座標軸、及び断層像153から三次元画像151の+Z軸側及び−Z軸側の端までの距離等の情報が示されている。
図2では、三次元画像151の体軸方向が200mmであり、且つ断層平面152が三次元画像151の体軸方向の中央にあるため、“−Z:100mm”及び“+Z:100mm”と表示されている。被検者20の体軸方向(Z軸方向)の始端部又は終端部と断層像153の位置との距離を示しておくことにより、医用画像表示装置100を体軸方向に移動させた場合に、操作者10が意図しない状態で画面上から突然断層像153が消えることを防いでいる。これらの情報は第2表示画面132に示されていても良い。
【0024】
特に、図示しないが、第2表示画面132の位置を変更したり、その第2表示画面132の拡大、縮小、消去を可能にしたりしてもよい。さらに、新たな第3表示画面等をできるようにしてもよい。
【0025】
また、画像表示部130の下方には、初期座標設定部133が配置されている。初期座標設定部133は、三次元画像151の座標系と断層平面152の座標系とを整合させる場合に使用される押しボタンである。初期座標設定部133は、画像表示部130に表示されるボタンであってもよい。初期座標設定部133の詳細は
図5において説明される。
【0026】
図3(a)は、三次元画像151及び断層平面152の斜視図である。
図3(a)に示される三次元画像151は、例えば超音波診断装置により取得された三次元画像であり、四方を扇形で囲まれる錐台形状である。また
図3(a)では、三次元画像151を切断する長方形の断層平面152が示されている。以降の説明では、断層平面152の座標系を、断層平面152の長辺に平行な方向をX’軸方向、短辺に平行な方向をY’軸方向、X’軸方向及びY’軸方向に垂直である方向をZ’軸方向として説明する。
【0027】
図3(a)では、三次元画像151の座標系であるX軸、Y軸、Z軸と、断層平面152の座標系であるX’軸、Y’軸、Z’軸とがそれぞれ平行である。また、断層平面152は三次元画像151の中心位置154を含んでいる。中心位置154は三次元画像151の中心となる点であり、例えば、三次元画像151のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の各幅の中間値となる座標位置として定義することができる。また
図3(a)では、三次元画像151の中にZ軸方向に伸びた形状(楕円体)の被検体155が示されており、断層平面152が被検体155を切断するように配置されている。被検体155は、例えば被検者20の臓器である。
【0028】
図3(b)は、
図3(a)の断層像153の平面図である。
図3(b)は、例えば第1表示画面131に示される図である。
図3(a)の断層像153が第1表示画面131に表示される場合には、操作者10が第1表示画面131に示されている断層像153が被検者20のどの方向の断層像かを容易に把握することができるように、画像再構成部120は、
図3(b)のように断層平面152の座標系から三次元画像151の座標系に変換する。
図3(b)では、三次元画像151のXY平面の断面が示されるため、被検体155が円形に表示されている。
【0029】
図3(c)は、三次元画像151及び断層平面152の斜視図である。
図3(c)では、断層平面152が三次元画像151及び被検体155をXZ平面で切断するように配置されている。
図3(c)では、+X’軸方向が+X軸方向、+Y’軸方向が+Z軸方向、+Z’軸方向が−Y軸方向に一致している。
【0030】
図3(d)は、
図3(c)の断層像153の平面図である。画像再構成部120は、
図3(d)のように断層平面152の座標系から三次元画像151の座標系に変換する。
図3(d)では、三次元画像151のXZ平面における断面が示されるため、断層像153が長方形であり、被検体155がZ軸方向に伸びた楕円形に示される。
【0031】
<医用画像表示装置100による断層像の表示>
図4は、医用画像表示装置100と三次元画像151と断層平面152との関係を示すための図である。
図4は、操作者10が医用画像表示装置100を操作して三次元画像151の断層像153を観察しようとしている状態が示されている。また、
図4に示される三次元画像151及び断層平面152は、説明のために仮想的に表した図である。
図4に示される三次元画像151及び断層平面152は、
図3(a)と同じ状態が示されている。すなわち、断層平面152は中心位置154を含み、X、Y、Z軸方向がX’、Y’、Z’軸方向にそれぞれ一致している。
【0032】
医用画像表示装置100の第1表示画面131に、三次元画像151の任意の断面が表示される。この場合、第1表示画面131に表示される画像の座標は、常に第1表示画面131の上方が+Y’軸方向、左側が+X’軸方向、第1表示画面131の垂直方向が+Z’軸方向に設定される。ここで、第1表示画面131に断層像153を表示させる場合には、画像再構成部120は、
図3(b)及び
図3(d)に示されるように座標系(X,Y,Z)に変換する。また、医用画像表示装置100の移動に連動して、固定された三次元画像151に対して断層平面152が移動する。そのため、第1表示画面131に表示される断層像153は医用画像表示装置100の移動に連動して変化する。
【0033】
医用画像表示装置100の移動は、六自由度方向(X,Y、Z、θX、θY及びθZ)である。例えば、医用画像表示装置100を第1表示画面131のX’軸方向、Y’軸方向、Z’軸方向にそれぞれ移動させた場合、断層平面152も医用画像表示装置100の動きに連動してX軸方向、Y軸方向、Z軸方向にそれぞれ移動する。例えば、医用画像表示装置100を操作者10の左方向(第1表示画面131のX’軸方向)に平行移動させた場合(矢印164a)、断層平面152もこれに連動して三次元画像151に対して+X軸方向に平行移動する(矢印164b)。このとき三次元画像151は移動しないため、結果的に断層像153が断層平面152に対して右方向に移動することになり、第1表示画面131に於いても断層像153が−X’軸方向に移動することになる。
【0034】
また、医用画像表示装置100を左右に回転させた場合(矢印162a)、断層平面152は中心位置154を通るY軸の周りに回転する(θY:矢印162b)。これにより、第1表示画面131に表示される断層像153も医用画像表示装置100の動きに連動して中心位置154を通るY軸の周りに回転した断層像153が表示される。また医用画像表示装置100を、第1表示画面131のX’軸を中心として前後に回転させた場合(θX:矢印161a)及びZ’軸を中心としてハンドルのように時計回り反時計回りに回転させた場合(矢印163a)は、断層平面152もそれぞれ中心位置154を通るX軸の周りに回転(矢印161b)及び中心位置154を通るZ軸の周りに回転する(矢印163b)。そのため、第1表示画面131に表示される断層像153も医用画像表示装置100の動きに連動して中心位置154を通るX軸及びZ軸の周りに回転した断層像153が表示される。
【0035】
<画像再構成部120による座標設定>
医用画像表示装置100を使用する前に、三次元画像151の座標系(X,Y,Z)と、断層平面152の座標系(X’,Y’,Z’)と、を関連付けるように座標設定を行う。この座標は、例えば操作者10が医用画像表示装置100を保持した状態で初期座標設定部133(
図2参照)を押すことにより設定できる。以下に、座標設定及び座標設定後の医用画像表示装置100と断層平面152との関係について説明する。
【0036】
図5(a)は、座標設定を行う操作者10、医用画像表示装置100、三次元画像151、及び断層平面152が示された図である。
図5(a)の左側には医用画像表示装置100を保持した操作者10が示され、操作者10の座標系(X,Y,Z)と第1表示画面131の座標系(X’,Y’,Z’)とが示されている。また、
図5(a)の右側には三次元画像151及び断層平面152が示されており、三次元画像151の座標系(X,Y,Z)と断層平面152の座標系(X’,Y’,Z’)とが示されている。
【0037】
図5(a)では、操作者10は
図1と同様に−X軸方向を向いており、医用画像表示装置100を+Y軸方向から−X軸方向へθ°傾けた状態で保持している。そのため、第1表示画面131の座標系となる座標系(X’,Y’,Z’)と操作者10の座標系となる座標系(X,Y,Z)との関係は、+Z軸方向と+X’軸方向とが一致し、+Y’軸方向が+Y軸方向からZ軸を中心として−X軸方向にθ°回転した方向になっている。また、断層平面152は、
図3(a)及び
図4と同様に、中心位置154を断層平面152の中心とし、XY平面に平行に配置されている。画像再構成部120は、例えば、座標設定が行われる前の状態で第1表示画面131に
図5(a)に示される断層平面152における断面が示されるように設定する。操作者10がこの状態で初期座標設定部133を押すことにより第1表示画面131の座標系(X’,Y’,Z’)と操作者10の座標系(X,Y,Z)とが
図5(a)の左側に示された状態で定義され、このときの断層平面152における断面が第1表示画面131に表示される断層平面152の初期位置として設定される。
【0038】
図5(b)は、初期位置の設定後に、操作者10が医用画像表示装置100を手前又は後方に移動する際に、第1表示画面131の断層平面152がどのように移動するかを示した図である。操作者10は、医用画像表示装置100を第1表示画面131の−Z’軸方向に移動させるように手前に引き寄せた場合(矢印171a)、画像再構成部120は、断層平面152を−Z’軸方向に移動させる(矢印171b)。このとき第1表示画面131には、中心位置154から−Z軸方向に平行移動した断層像153(又は断層平面152)が表示される。また、操作者10が医用画像表示装置100を第1表示画面131の+Z’軸方向に移動させる場合(矢印172a)、画像再構成部120は断層平面152を+Z’軸方向に移動する(矢印172b)。このとき第1表示画面131には、中心位置154から+Z軸方向に平行移動した断層平面152の断層像153(又は断層平面152)が表示される。
【0039】
図5(c)は、初期位置の設定後に、操作者10が医用画像表示装置100をX’軸を中心に回転させた際に、第1表示画面131の断層平面152がどのように移動するかを示した図である。操作者10は医用画像表示装置100を第1表示画面131のX’軸に対してθ°回転させた場合(矢印173a)画像再構成部120は断層平面152をX’軸方向にθ°回転する(矢印173b)。このとき第1表示画面131には、中心位置154を含みX’軸に対してθ°回転した断層像153(又は断層平面152)が表示される。
【0040】
図5(a)では、初期位置の設定前に、三次元画像151の中心位置154を通りXY平面に平行である断層平面152を第1表示画面131に表示させ、この断層平面152を初期位置として設定した。しかし、断層平面152がこれとは異なる初期位置に設定されても良い。例えば、初期位置に設定される断層平面152は、三次元画像151のXZ平面、YZ平面等の平面に平行になるように設定されていても良い。また、断層平面152に平行になる平面が、平面上の複数の座標を入力することにより任意に定められても良い。さらに初期位置に設定される断層平面152は、中心位置154の代わりに任意の座標位置を通るように設定されても良い。あらかじめ、三次元画像151の中の観察したい部分が特定されている場合には、このように初期位置に設定される断層平面152を任意に設定することにより、素早く容易に観察したい部分を観察することができる。
【0041】
また、初期位置に設定される断層平面152と三次元画像151との関係が、操作者10と医用画像表示装置100との関係に一致するように設定されても良い。以下に、この関係について説明する。
【0042】
図6は、初期位置を設定する操作者10、医用画像表示装置100、三次元画像151、及び断層平面152が示された図である。
図6の左側には医用画像表示装置100を保持した操作者10が示され、操作者10の座標系(X,Y,Z)と第1表示画面131の座標系(X’,Y’,Z’)とが示されている。また、
図6の右側には三次元画像151及び断層平面152が示されており、三次元画像151の座標系(X,Y,Z)と断層平面152の座標系(X’,Y’,Z’)とが示されている。
【0043】
図6では、操作者10は
図1と同様に−X軸方向を向いており、医用画像表示装置100を+Y軸方向から−X軸方向へθ°傾けた状態で保持している。そのため、第1表示画面131の座標系となる座標系(X’,Y’,Z’)と操作者10の座標系となる座標系(X,Y,Z)との関係は、+Z軸方向と+X’軸方向とが一致し、+Y’軸方向が+Y軸方向からZ軸を中心として−X軸方向にθ°回転した方向になっている。また、断層平面152の座標系(X’,Y’,Z’)及び三次元画像151の座標系(X,Y,Z)の関係も操作者10の座標系(X,Y,Z)及び第1表示画面131の座標系(X’,Y’,Z’)と同様の関係を有している。
【0044】
操作者10が
図6の左側の状態で医用画像表示装置100を起動し、ソフトウエアを立ち上げて第1表示画面131を表示させた場合、自動的に医用画像表示装置100の三次元座標位置及び傾きが計算され、
図6の右側に示された断層平面152が表示される。操作者10はこの状態で医用画像表示装置100を動かすことにより第1表示画面131に任意の画像を表示させて三次元画像151の最も観察したいと思われる断面を表示させる。このとき、断層平面152の中心が中心位置154に固定されるように設定することにより、操作者10は断層平面152が三次元画像151から外れないようにすることができる。操作者10が最も観察したいと思われる断面を表示させた状態で初期座標設定部133を押すことにより、操作者10は最も観察したいと思われる断面を初期位置に設定される断層平面152として設定することができる。
【0045】
上記に示された初期位置を設定する方法は、状況に応じて複数の方法を組み合わせて用いられても良い。
【0046】
上記の第1実施形態に示されるように、医用画像表示装置100は医用画像表示装置100の移動に連動させて画像表示部130に表示される画像を自動的に切り替えることができる。これにより、操作者10は被検体の様々な部分の断面を観察する場合でも、画像表示部130に表示される画像が被検体のどの部分かを感覚的に知ることができる。そのため、操作者10は画像表示部130に表示された断層像が被検体のどの部分かを容易に素早く把握することができる。
【0047】
また、操作者10が医用画像表示装置100を移動させる距離に対する断層平面152が移動する距離を任意、例えば1/2倍に設定することもできる。
図5(b)において、操作者10が医用画像表示装置100を矢印171aの方向に20cm移動させたときに、画像再構成部120は、断層平面152が矢印171bの方向に10cm移動させることができる。このように医用画像表示装置100を移動させる距離に対する断層平面152が移動する距離を1/2倍に設定することで、操作者10は細かな部分を詳細に観察することができ、また、医用画像表示装置100を移動させる距離に対する断層平面152が移動する距離を2倍に設定することで、小さな手の動きで大きな変化を観察することができる。
【0048】
また、画像再構成部120は、第1表示画面131に表示される断層像151の拡大・縮小も可能である。さらに画像再構成部120は断層像151を2倍に拡大した場合、医用画像表示装置100を移動させる距離に対する断層平面152が移動する距離を1/2倍に設定することもできる。このような設定にすれば、操作者10が医用画像表示装置100を1cm移動させれば、断層像151が2cm動くことになり、拡大された断層像151を実際の移動量に応じて移動させることができる。
【0049】
(第2実施形態)
医用画像表示装置100へ送られる画像データは、X線CT(Computed Tomography)装置、核医学診断装置、超音波診断装置、MRI(magnetic resonance imaging)装置等の医用画像診断装置によって取得される。そのため、医用画像表示装置100は医用画像診断装置と組み合わされて医用画像診断システムを構成する。以下に、医用画像診断装置に超音波診断装置200が用いられた場合の医用画像診断システムについて
図7及び
図8を参照して説明する。
【0050】
図7は、超音波診断装置200及び医用画像表示装置100の関係を表した図である。
図7の右側には、超音波診断装置200により被検者20を診断している様子が図示されており、左側には超音波診断装置200及び医用画像表示装置100のブロック図が示されている。超音波診断装置200は、主に本体210と送受信プローブ220とにより構成されている。本体220は所定位置に固定される固定画面表示部211、三次元画像形成部212、及びデータ保存部213を有している。送受信プローブ220は、位置座標センサ221及びトランスデューサ222を有している。
【0051】
図8は、超音波診断装置200を用いて被検者20よりデータを取得し、医用画像診断装置100に表示するまでの一連の流れが示されたフローチャートを示した図である。以下に
図7を参照しながら
図8のフローチャートに沿って、画像データ取得から医用画像診断装置100に表示するまでを説明する。
【0052】
図8のステップS101では、送受信プローブ220により被検者20の画像データが取得され、本体220のデータ保存部213に保存される。検査者50は、送受信プローブ220を被検者20に当て、被検者20の臓器等の部位に対し超音波の送信を行う。送受信プローブ220は被検者20からのエコー信号を受信し、トランスデューサ―222により電気信号に変換して本体210に画像データを送る。また送受信プローブ220は、座標位置センサ221が室内に設置された磁場ソース40からの磁界を受けることにより送受信プローブ220の三次元座標位置が特定される。これらの送受信プローブ220の位置データも本体210に送られ、画像データに関連付けられてデータ保存部213に保存される。また、超音波診断装置200では、固定画面表示部211に送受信プローブ220から送られてくる画像データをリアルタイムで表示させることにより、被検者20の画像診断を行うことができる。
【0053】
ステップS102では、データ保存部213に保存された画像データ及び位置データ等のデータを基に三次元画像形成部212において、三次元画像151(
図3(a)参照)が形成される。形成された三次元画像151の画像データはデータ保存部213に保存される。
【0054】
ステップS103では、三次元画像151の画像データが医用画像診断装置100に移される。データを移す方法は、有線、無線を問わない。移された画像データは、医用画像診断装置100の画像データ保存部110に保存される。
【0055】
ステップS104では、医用画像診断装置100を用いて三次元画像151の断層像153を観察する。医用画像診断装置100を用いた断層像153の観察の方法は、第1実施形態で示した通りである。
【0056】
(第3実施形態)
医用画像診断システムでは、治療及び診断中にリアルタイムで画像データを取得し医用画像表示装置100に表示させることで、医用画像表示装置100を治療及び診断の補助として使用されることができる。以下に、医用画像診断システムが超音波診断装置300及び医用画像表示装置100を含んで構成され、医用画像診断システムが穿刺治療に用いられた場合の例を説明する。
【0057】
図9は、超音波診断装置300及び医用画像表示装置100の関係を表した図である。
図9の左側には、超音波診断装置300と医用画像装置100との関係を示すブロック図が示されている。超音波診断装置300は、本体310及び三次元送受信プローブ320を含んで構成されている。また、
図9の右側には、穿刺治療中の穿刺者60と、穿刺治療の補助をしている操作者10とが示されている。穿刺者60は、超音波診断装置300の固定画面表示部211を確認しながら穿刺を行っている。穿刺者60は、穿刺ニードル330を被検者20の体内に刺す。三次元画像形成部312で形成された穿刺ニードル330を含む断層像は固定画面表示部211に表示され、穿刺者60は穿刺ニードル330の位置を確認しながら穿刺する。三次元送受信プローブ320は穿刺ニードル330を導くガイド(不図示)を含んでいる。操作者10は、超音波診断装置300から送られてくる三次元画像151を基に形成される断層像を、医用画像表示装置100を用いてリアルタイムで観察しながら穿刺を補助している。
【0058】
超音波診断装置300の三次元送受信プローブ320は、三次元送受信プローブ320の座標位置を検出する座標位置センサ221とトランスデューサ322とを有している。三次元送受信プローブ320は、座標位置センサ221が室内に設置される磁場ソース40からの磁界を受けて、三次元位置座標、傾き、及び方向等の位置データを測定する。また、三次元送受信プローブ320は、リアルタイムで三次元画像の画像データを取得することができる。以下に、三次元送受信プローブ320の例として、三次元送受信プローブ320a及び三次元送受信プローブ320bについて説明する。
【0059】
図10(a)は、三次元送受信プローブ320aの概略斜視図である。三次元送受信プローブ320aはXZ平面上に敷き詰められた複数のトランスデューサ322aを含んで形成されている。三次元送受信プローブ320aは、被検体20に超音波を照射し、各トランスデューサ322aにおいて被検体20からのエコー信号340を収集する。
【0060】
図10(b)は、三次元送受信プローブ320bの概略斜視図である。三次元送受信プローブ320bでは、トランスデューサ322bがZ軸方向に長い弧状に形成されており、トランスデューサ322bが駆動部350の回転により+X軸方向及び−X軸方向に駆動する。駆動部350にはステッピングモーター351からベルト352を介して動力が伝えられる。また、駆動部350にはトランスデューサ322bを駆動させた駆動量を検出する駆動量センサ(不図示)が備えられている。三次元送受信プローブ320bでは、このようにトランスデューサ322bをトランスデューサ322bと直交する方向に駆動させることにより複数のエコー信号340を収集する。
【0061】
図9に戻って、超音波診断装置300の本体310には、固定画面表示部211、三次元画像形成部312、及びデータ保存部313が含まれている。三次元画像形成部312は、収集された複数の断層像から三次元画像151を形成する。固定画面表示部211は、三次元画像形成部312で形成された三次元画像のうち、穿刺ニードル330を含む断層像を表示する。また、三次元画像形成部312で形成された三次元画像は、データ保存部313に送られ保存される。
【0062】
医用画像表示装置100では、医用画像表示装置100では、三次元送受信プローブ320により取得される三次元画像の画像データを断続的に受け取り、画像再構成部120で医用画像表示装置100の位置データを基に断層像を作成して画像表示部130に表示させる。
【0063】
第3実施形態における医用画像表示装置100の初期位置の設定では、例えば固定画面表示部211に表示される断層像が含まれる断層平面を初期位置としても良い。固定画面表示部211には穿刺プローブ330を含む断層像が表示されているため、医用画像表示装置100においても穿刺プローブ330を容易に見つけることができる。
【0064】
第3実施形態では、操作者10は穿刺の状況をリアルタイムで観察しながら補助を行うことができる。操作者10は、医用画像表示装置100により穿刺者60とは異なる断層像を観察することができ、また、操作者10は医用画像表示装置100を動かすことにより適切な断層像を観察することができ、断層像の状態を感覚的に把握し易い。そのため医用画像表示装置100では補助に適した断層像を素早く見つけることができ、素早く適切な補助を行うことができる。また第3実施形態は、教育的観点で用いることができる。例えば、操作者10を見習いの医師、穿刺者60をベテランの医師とすることにより、見習いの医師である操作者10はベテランの医師である穿刺者60がどのような位置にどの方向から穿刺しているかをあらゆる角度の断層像で確認することができる。
【0065】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。例えば、第3実施形態では、第1実施形態と同様に、画像再構成部120が医用画像表示装置100に配置されている。医用画像診断システムとして使用する場合には、画像再構成部120が本体310に配置されていてもよい。この場合には、位置検出部140により医用画像表示装置100の三次元座標位置及び傾きを検出し、その位置データを超音波診断装置300に送る。本体310内の画像再構成部120は、送られた医用画像表示装置100の位置データを基に断層像153を作成し、医用画像表示装置100にその断層像153を送る。送られた断層像は画像表示部130に表示される。このような動作を断続的に行うことにより、画像表示部130には被検体のリアルタイムの断層像を表示させることができる。