特許第6061572号(P6061572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061572
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】貸金庫の鍵装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 17/18 20060101AFI20170106BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20170106BHJP
   E05G 1/026 20060101ALI20170106BHJP
   E05G 1/08 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   E05B17/18 E
   E05B65/00 E
   E05G1/026 Z
   E05G1/08
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-194572(P2012-194572)
(22)【出願日】2012年9月4日
(65)【公開番号】特開2014-51775(P2014-51775A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154288
【氏名又は名称】株式会社富士精工本社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社岡村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】西野 文博
(72)【発明者】
【氏名】花岡 栄三郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 将
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−081760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 65/00
E05B 17/00−17/18
E05G 1/08
E05G 1/06
G09F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠孔を有して所定の回転軸周りに回転可能に取り付けられた貸金庫扉の表面に取り付けられ、特定の認証キーによって前記錠孔の利用を可能とする鍵装置であって、
前記貸金庫扉の表面に、前記錠孔を遮蔽する遮蔽位置と、前記錠孔を露呈する開放位置との間で移動可能に取り付けられる筐体部と、
特定の前記認証キーに対応して、前記筐体部を前記遮蔽位置から移動可能とさせる開錠機構部と、を備え、
前記筐体部は、
前記貸金庫扉の表面と対向する前面部の外側の面であり、かつ、前記回転軸と直交する方向の両端から中央に向かうにしたがって、前記貸金庫扉の前方に向かって凸形状をなす曲面である外装面と、
該外装面の少なくとも一部により構成され、水平方向両端から中央に向かうにしたがって、前記貸金庫扉の前方に向かって凸形状をなす曲面であり、識別文字が表示される表示部と、
前記貸金庫扉の表面と平行をなすように前記外装面より凹んで形成される平面部および該平面部と前記貸金庫扉の表面に沿う方向における水平方向の中心側でつながる挿入穴とからなるキー挿入部と、を有することを特徴とする鍵装置。
【請求項2】
前記表示部が、前記貸金庫扉の前方に向かって凸形状をなす緩衝部材をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の鍵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貸金庫の鍵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貸金庫は、銀行、信用金庫、証券会社等に設置して利用に供されるものであり、一般に重要書類、印鑑、貴金属等の保管に利用される。銀行等に設置される貸金庫は、一般的に、出入り口が限定された貸金庫室内に多数縦横に配列されて配置されている。このような貸金庫を提供する管理者である銀行等はセキュリティ性、信頼性には万全を期す必要があり、一方、利用者である顧客の立場からはより簡便な手続き、より簡略化された操作で貸金庫を利用できることが好ましい。
【0003】
一世代前の銀行等に設置された貸金庫は、管理者側の係員が利用者を貸金庫室に案内し立ち合いのもとに貸金庫を開錠するという2組の錠前を有する手動式であった。これは、例えば、銀行では、顧客が所定事項を記入し捺印した開庫依頼書を銀行に提出すると、銀行側では印鑑照合による本人確認の後、係員が顧客を貸金庫室に案内するという方式である。貸金庫には、利用者側により鍵を管理されて開錠施錠される利用者錠と、管理者側により鍵を管理されて開錠施錠される管理者錠の2組の錠前が設けられており、管理者及び利用者の両者立ち会いのもとに同時に操作して金庫扉を開け、利用が終わると再度両者立ち会いのもと両者の鍵で貸金庫を施錠するというものである。
【0004】
しかし、近年保安システムの進歩に合わせて個人のプライバシーを守る考えが強くなってきた点、及び、管理者側にとっての省力化という観点から、貸金庫室内では利用者だけで貸金庫の開錠・施錠を行う半自動式の貸金庫が用いられている。
半自動式の貸金庫は、管理者錠と利用者錠のうち、管理者錠を常時開放とするとともに、管理者錠及び利用者錠の錠穴を鍵装置で遮蔽し、鍵装置を施錠することにより塞いでしまうものである。開錠の際には、書き込み・消去可能な鍵装置用の認証キーが用意され、管理者側からこの認証キーを受けとって登録番号を書き込み、鍵装置に認証キーを差し込むことにより鍵装置を開錠し移動可能として、利用者錠の錠穴を露呈させて、利用者の所有する鍵によって貸金庫を開錠する。用事が済むと貸金庫を施錠すると共に、鍵装置を元の位置にもどして錠孔を遮蔽することにより錠孔を塞ぐことで2重に施錠する。認証キーは管理者側に返却し、管理者側ではこの認証キーに書き込まれた内容を消去して次の使用に備えるようにしているものである。
【0005】
この半自動式の貸金庫は、利用者の立ち合いや、管理者の手を煩わせることなく、管理者錠及び利用者錠を用いる既存の手動式の貸金庫を改造することにより実現できるメリットがある。このような半自動式の貸金庫に用いられる鍵装置に関する技術としては、様々なものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
例えば、鍵装置を貸金庫扉に取り付ける場合、利用者錠と管理者錠とを遮蔽する寸法と、鍵装置自体の開錠施錠を行うアンロック機構部等の寸法が必要なため、装置本体が横長になってしまうという問題があった。さらに、認証キーの小型化にも認証カードの性能と取り扱いやすさという観点から限界あった。そこで、特許文献1では、アンロック機構部を貸金庫扉の前面に配置させたうえで開錠時に取り外せる構造とすることで、従来のカード型の認証キーをそのまま使用しながら、幅寸法の小さい貸金庫扉にも取り付け可能となる鍵装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−81760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、貸金庫に使用される鍵装置は、貸金庫扉の錠孔を隠す目的で設置されるために、上述のように貸金庫扉の表面から突出して設けられている。さらに、貸金庫は複数の利用者ごとに対応してそれぞれ必要となるため、貸金庫室などの壁一面に設けられている。つまり、貸金庫室には、同形状の貸金庫が隣接して大量に複数個が設置されていることが少なくない。そのため、識別文字を鍵装置の表面に付すことで、利用者ごとの貸金庫を明確に識別できるようにしている。
【0009】
しかしながら、鍵装置に付された識別文字は前面に向かって表示されているため、貸金庫室に入室しただけでは、大量の貸金庫が規則的に隣接している壁面を側方から見ることも多く、目的の貸金庫を発見することが困難であり、貸金庫と向き合って前面から鍵装置の識別文字を確認し直す手間がかかるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、鍵装置に表示された識別文字の視認性を向上させることができる鍵装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の一態様に係る鍵装置は、錠孔を有して所定の回転軸周りに回転可能に取り付けられた貸金庫扉の表面に取り付けられ、特定の認証キーによって前記錠孔の利用を可能とする鍵装置であって、前記貸金庫扉の表面に、前記錠孔を遮蔽する遮蔽位置と、前記錠孔を露呈する開放位置との間で移動可能に取り付けられる筐体部と、特定の前記認証キーに対応して、前記筐体部を前記遮蔽位置から移動可能とさせる開錠機構部と、を備え、前記筐体部は、前記貸金庫扉の表面と対向する前面部の外側の面であり、かつ、前記回転軸と直交する方向の両端から中央に向かうにしたがって、前記貸金庫扉の前方に向かって凸形状をなす曲面である外装面と、該外装面の少なくとも一部により構成され、水平方向両端から中央に向かうにしたがって、前記貸金庫扉の前方に向かって凸形状をなす曲面であり、識別文字が表示される表示部と、前記貸金庫扉の表面と平行をなすように前記外装面より凹んで形成される平面部および該平面部と前記貸金庫扉の表面に沿う方向における水平方向の中心側でつながる挿入穴とからなるキー挿入部と、を有することを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、識別文字の表示されている表示部が鍵装置の前方に凸形状をなす曲面であることから、鍵装置に対して前面以外の左右方向から鍵装置を見た際の識別文字の視認可能な領域が拡大し、視認性を向上させることができる。
【0014】
このような構成によれば、鍵装置の前面部の外側の面である外装面が、回転軸と直交する方向の両端から中央に向かうにしたがって前方に向かって凸形状をなす曲面であるため、貸金庫扉を開いた際に、隣接する貸金庫扉に設置された鍵装置と接触する部位が曲面となる。したがって、隣接する鍵装置に対して角部が接触することがなく、傷付きを効果的に防止することができる。
また、このような曲面なす外装面上の少なくとも一部が、前記表示部を構成することで、曲線で構成された外観を有するため、鍵装置のデザイン性を向上させることが可能となる。
【0015】
さらに、本発明の他の態様に係る鍵装置は、前記表示部が、前記貸金庫扉の前方に向かって凸形状をなす緩衝部材をさらに有することを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、前方に凸形状をなす緩衝部材を有することで、隣接する鍵装置と緩衝部材が初めに接触することとなる。これによって、傷付きをより効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の鍵装置によれば、表示部を前方に凸形状をなす曲面とすることで、鍵装置に表示された識別文字の視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る鍵装置が取り付けられた貸金庫を設置した貸金庫室の壁面の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る鍵装置の装置本体の外観図である。
図3】本発明の実施形態に係る鍵装置の認証キーの外観図である。
図4】本発明の実施形態に係る鍵装置の貸金庫へ取り付け位置を説明する模式図で、同図(a)は施錠位置における外観図、同図(b)は施錠位置における横断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る鍵装置の貸金庫へ取り付け位置を説明する模式図で、同図(a)は開錠位置における外観図、同図(b)は開錠位置における横断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る鍵装置が取り付けられた貸金庫を側方から見た様子を説明する模式図で、同図(a)は側方0°から見た模式図、同図(b)は側方10°から見た模式図、同図(c)は側方30°から見た模式図である。
図7】本発明の実施形態に係る鍵装置が取り付けられた貸金庫を開錠する様子を説明する模式図で、同図(a)は施錠状態における斜視図、同図(b)は施錠状態の横断面図、同図(c)は開錠状態の横断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る装置本体への認証キーの取り付け方法を説明する横断面図で同図(a)は認証キーの取り付け方向を説明する横断面図、同図(b)は認証キーの挿入方向を説明する横断面図、同図(c)は認証キーが挿入されて開錠された横断面図である。
図9】本発明の変形例に係る鍵装置の装置本体の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態について図1から図3を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の鍵装置2が取り付けられる貸金庫1は、貸金庫室において、複数個が水平方向及び垂直方向に隣接するように規則的に並列して壁面に埋め込まれて設置されている。
【0020】
貸金庫1は、直方体状をなし、水平方向右側(図1紙面右側)の端部に蝶番103を配置した貸金庫扉10を壁面側の一面に有している。貸金庫扉10の表面に管理者錠の錠孔である管理錠孔101と、利用者錠の錠孔である利用錠孔102とを遮蔽するように鍵装置2が配置されている。
貸金庫扉10は、平板形状をなす扉本体104と、水平方向右側の端部に所定の回転軸である蝶番103を有している。鉛直方向に沿って配置された回転軸を有する扉本体104は、回転軸周りに回転することにより開閉される。そして、貸金庫1の表面の中心部よりも水平方向左側(図1紙面左側)寄りに管理錠孔101が配置され、管理錠孔101に対してさらに水平方向左側に並列して利用錠孔102が配置されている。
【0021】
鍵装置2は、貸金庫扉10の表面に設置される装置本体20と、装置本体20を移動可能にする認証キー23とを有する。
図2に示すように装置本体20は、装置本体20の外装部分となる筐体部21と、筐体部21の内部に配置される開錠機構部22とを有する。
【0022】
筐体部21は、装置本体20の外装部分を形成するよう貸金庫扉10の表面と対向する前面部211と、前面部211の周囲を囲む側面部とを有する箱形状をなしている。そして、筐体部21は、前面部211の外側の面である外装面211aと、外装面211a上に配置され識別文字が表示される表示部212と、認証キー23が挿入されるキー挿入部213とを有する。さらに、貸金庫扉に設置された状態で上部側である側面部には、水平方向の左右両方を指し示すように矢印型の凹形状が形成されている。
外装面211aは、貸金庫扉10の表面と対向する前面部211の外側の面であり、回転軸と直交して、貸金庫扉10の表面に沿う方向である水平方向両端から中央に向かうにしたがって、貸金庫扉10の前方に向かって凸形状をなす曲面で形成されている。
【0023】
表示部212は、外装面211a上に配置され、外装面211aに沿って水平方向両端から中央に向かうにしたがって、前方に向かって凸形状をなす曲面で形成されている。そして、表示部212には、鍵装置2の取り付けられた貸金庫1を識別するための識別文字が表示されている。また、表示部212は、緩衝部材212aである高分子樹脂で構成されている。
【0024】
キー挿入部213は、外装面211aに対して水平方向右側の側面から貸金庫1の表面と平行な面をなすよう外装面211aより貸金庫扉10側に凹んで形成される平面部213aを有している。さらに、キー挿入部213は、貸金庫扉10の表面に沿う方向における水平方向の中心側で平面部213aとつながっており、中心に向かうように筐体部21内へ水平方向に断面矩形状の穴で形成される挿入穴213bとを有している。そして、キー挿入部213は、挿入穴213bの内部で開錠機構部22と接続されている。
【0025】
開錠機構部22は、筐体部21の内部に配置され、認証キー23と対応して動作する基板部221と、基板部221からの信号によってロックを解除するロック部222と、ロック部222によって固定されているスライド部223とを有している。
基板部221は、筐体部21内の中心付近で挿入穴213bの内部と接続されており、接続部分に端子を有している。
【0026】
ロック部222は、基板部221と接続されるロック部回転軸222aと、一端をロック部回転軸222aと接続されるロック部本体222bとを有する。
ロック部回転軸222aは、基板部221と接続され、水平方向と直角をなす垂直方向に延びる回転軸をなしている。そして、ロック部回転軸222aは、基板部221からの信号によって回転可能にされる。
ロック部本体222bは、一端をロック部回転軸222aと接続され、回転軸と直角方向の断面がL字形状をなしている。そして、ロック部回転軸222aが回転可能となることでロック部本体222bは共に回転する。
【0027】
スライド部223は、筐体部21に固定されたスライド部レール223aと、貸金庫扉10に固定されたスライド部本体223bと有する。
スライド部レール223aは、筐体部21内部において水平方向に延在して固定されている。
スライド部本体223bは、貸金庫扉10に固定されつつ、スライド部レール223aと移動可能に接続されている。そして、スライド部本体223bは、ロック部本体222bが挿入されているスライド部孔223cを有している。
スライド部孔223cは、施錠時にロック部本体222bが挿入されている矩形状孔で、開錠時にはロック部本体222bが回転し抜去される。
【0028】
図3に示すように認証キー23は、内部に収容されるキー基板23aと、キー基板23aを収容する溝を内部に形成する上カバー23bと、ボタン電池23dと上カバー23bと対応してキー基板23aとを収容する下カバー23cとから形成されている。それらによって、キー挿入部213へ挿入されるキー本体部231と、キー本体部231から凸形状なす蓄電部232と、キー本体部231と蓄電部232との形成される縁部233とを構成している。
キー本体部231は、上カバー23bと下カバー23cとが組み合わされて形成される平板形状部分で構成されている。そして、キー本体部231は、内部にキー基板23aを収容しており、長手方向の一端面に開錠機構部22と接続されるキー基板23aの端子を配置している。
【0029】
蓄電部232は、キー本体部231の端子が配置されていない側において、下カバー23cの凸形状なす部分で構成されている。そして、蓄電部232は、キー基板23aへ電源を供給するボタン電池23dを内部に収容している。
縁部233は、上カバー23bにおける端子が配置された側面と対向する蓄電部232の側面部分で構成されている。そして、縁部233は、蓄電部232の凸形状よりもさらに凸形状に突出している。
【0030】
次に、上記構成の鍵装置2を備えた貸金庫1の作用について図4、5を参照して説明する。
上記構成の鍵装置2を備えた貸金庫1によれば、図4(a)に示すように、鍵装置2は、貸金庫扉10に対してスライド部本体223bを固定することで、利用錠孔102と管理錠孔101とを共に遮蔽するように貸金庫扉10の表面から突出して取り付けられている。
図4(b)に示すように、使用する利用者と対応する特定の認証キー23をキー挿入部213へ挿入し、基板部221の端子とキー基板23aの端子とが接続されるまでは、ロック部回転軸222aは固定された状態である。即ち、ロック部本体222bはスライド部孔223cに挿入された状態で固定されているため、スライド部本体223bは移動ができない。これによって、装置本体20は移動できず、利用錠孔102と管理錠孔101とを遮蔽させている状態である遮蔽位置から移動してしまうことがなく、貸金庫扉10を開閉することができないようにしている。
【0031】
一方、図5(a)、(b)に示すように、使用する利用者と対応する特定の認証キー23をキー挿入部213に挿入し、基板部221の端子とキー基板23aの端子とが接続されると、ロック部回転軸222aのロックが外される。これにより、ロック部本体222bがロック部回転軸222a周りに回転可能となりスライド部孔223cから外れ、スライド部本体223bがスライド部レール223a上を移動可能となる。スライド部本体223bは貸金庫扉10に固定されているため、貸金庫扉10に対してスライド部レール223aに固定されている筐体部21が水平方向に移動し、利用錠孔102を露呈させている状態である開放位置へ移動する。この際、スライド部レール223aの幅を調整することで、開放位置においても管理錠孔101は露呈しないようにしている。これによって、管理錠孔101は常に開錠状態としておいても利用者が触れることができず、利用者は利用錠孔102のみを使用して貸金庫1を開錠することとなる。
【0032】
また、上記のような、鍵装置2によれば、図6(a)に示すように、水平方向左側から鍵装置2を見た場合には、表示部212に表示された識別文字を側方から見ることとなる。表示部212が前面に向かって凸形状をなす曲面であることから、表示部212の側方からの視認可能な領域が広がる。これによって、識別文字の一部を側方からでも視認でき、鍵装置2に対して向き合った状態である正面視以外での視認性を向上させることができる。
【0033】
さらに、図6(b)、(c)に示すように、表示部212が外装面211aに沿って水平方向の両端から中央に向かうにしたがって前面に向かって凸形状をなす曲面であることで、視認方向が、例えば、側方よりも10°〜30°程度わずかに前方である斜め前からでも、表示部212を見た際の識別文字の視認可能な領域をさらに広げることができ、視認性をさらに向上させることが可能となる。これにより、多くの貸金庫扉10があっても、目的とする貸金庫扉10の位置を容易に見つけることができる。
【0034】
また、図7(a)〜(c)に示すように、鍵装置2の前面部211の外側の面である外装面211aは、貸金庫1を開錠して貸金庫扉10を開放した場合に、蝶番103を軸に回転して隣接する貸金庫扉10に設置された別の装置本体20と衝突する。しかし、蝶番103の回転軸と直交する方向である水平方向の両端から中央に向かうにしたがって前方に向かって凸形状をなす曲面で形成されているため、開放された貸金庫扉10に設置された鍵装置2と隣接する別の装置本体20とが曲面同士で接触する。これによって、角と面で接触して、外装面211a及び外装面211a上の表示部212の傷付きを効果的に防止することができる。
【0035】
さらに、傷付きを防止するため、識別文字が損傷して視認性が損なわれることもない。 また、貸金庫扉10を開放した際に、隣接する貸金庫1の鍵装置2以外である利用者自身や利用者の所持品等と接触した場合であっても、曲面で接触することが多くなり接触相手を激しく傷つけることを防止できる。
【0036】
さらに、前方に凸形状をなす表示部212を緩衝部材212aで形成することで、鍵装置2における前方へ最も突出した部分が緩衝部材212aとなり、隣接する鍵装置2や利用者等と緩衝部材212aが初めに接触することとなる。これによって、隣接する鍵装置2や利用者等といった接触相手の傷付きをより効果的に防止することができる。
【0037】
また、貸金庫扉10の表面に沿う方向である水平方向両端から中央に向かうにしたがって、貸金庫扉10の前方に向かって凸形状をなす曲面で形成された外装面211a上に表示部が配置されていることで、曲線で構成された流線型の外観を有することとなりデザイン性を向上させることが可能となる。
【0038】
さらに、図8(a)に示すように、認証キー23がキー挿入部213へ挿入される際に、蓄電部232は、キー本体部231からの凸形状を貸金庫扉10側に向かって突出させるように装置本体20と接続される。これにより、キー本体部231よりも蓄電部232が前面に突出することがない。そのため、筐体部21に認証キー23が挿入された状態で、蓄電部232が筐体部21よりも前面に突出することがなく、認証キー23を挿入したことによって鍵装置2が厚くなることを防止することが可能となる。
【0039】
また、図8(b)、(c)に示すように、蓄電部232が、キー本体部231からの凸形状を貸金庫扉10側に向かって突出させるように装置本体20と接続されることで、認証キー23がキー本体部231からキー挿入部213へ挿入される際に、蓄電部232が貸金庫扉10とキー挿入部213との段差を小さくする。これによって、認証キー23が挿入される際に大きく傾くことがなく、挿入穴213bに対して平行に挿入することができる。そのため、容易に認証キー23をキー挿入部213へと挿入することが可能となる。
【0040】
さらに、認証キー23がキー挿入部213へ挿入される際に、縁部233を貸金庫扉10の表面と接するように形成することで、貸金庫扉10の表面で押さえられながら挿入される。これによって、貸金庫扉10とキー挿入部213との段差を縁部233で吸収することができ、認証キー23が挿入される際に傾くことがなく、挿入穴213bに対して平行に挿入することができる。そのため、より容易に認証キー23をキー挿入部213へと挿入することが可能となる。
また、縁部233が、認証キー23を挿入する際に貸金庫扉10と接触するように形成される。これにより、キー本体部231や蓄電部232の形状や大きさに係らず縁部233を形成することができる。
【0041】
さらに、上部側の側面部に水平方向両端を指し示す矢印形状を形成し、矢印形状の指し示す方向と、鍵装置2の施錠位置から開放位置への移動方向とを一致させる。これによって、開錠・施錠方向を矢印形状によって確認しながら装置本体20を移動させることができる。即ち、鍵装置2の開錠・施錠方法を視覚的に認識することができ、初めて使用する場合であっても開錠・施錠方法に迷うことなく容易に使用することが可能となる。
また、矢印が凹形状で形成されていることで、装置本体20を施錠位置から開放位置へ移動させる際に、滑りづらくすることができるため、より容易に使用することが可能となる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
【0043】
なお、壁面に設置される貸金庫1の数量は利用者数などの必要に応じて異なり、貸金庫1室の大きさ等も考慮して決定されれば良い。
また、貸金庫扉10の開放方向は本実施形態に限定されるものではなく、例えば、上端に蝶番103を有し回転して解放される構造となっていても良い。その際、外装面211aの凸形状をなす曲面も水平方向の両端からではなく、垂直方向の両端から中央に向かうにしたがって形成することが好ましい。
さらに、鍵装置2の移動方向は本実施形態の水平方向に限定されるものではなく、例えば垂直方向であっても良い。
【0044】
また、表示部212の形状は、本実施形態のように外装面211aに沿っていることに限定されるわけではなく、表示部212のみが独立して水平方向両端から中央に向かうにしたがって、前方に向かって凸形状をなす曲面を形成していれば良く、例えば、図9に示すように識別文字のみが水平方向両端から中央に向かうにしたがって、前方に向かって凸形状をなす曲面であっても良い。
さらに、表示部212は、緩衝部材212aで形成されている必要はなく、別の緩衝部材212aで形成された部品を表示部212上に、鍵装置2内で最も凸形状となるよう配置しても良い。
また、緩衝部材212aは高分子樹脂に限られるものではなく、例えばゴム材のような弾性部材であっても良く、傷付き難い材料や傷が目立ちづらい材料であれば良い。
【0045】
さらに、認証キー23には、縁部233が必ずしも形成されている必要なく、蓄電部232によって、貸金庫扉10とキー挿入部213との段差を吸収するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…貸金庫 10…貸金庫扉 101…管理錠孔 102…利用錠孔 103…蝶番 2…鍵装置 20…装置本体 21…筐体部 22…開錠機構部 211…前面部 212…表示部 213…キー挿入部 211a…外装面 212a…緩衝部材 213a…平面部 213b…挿入穴 221…基板部 222…ロック部 223…スライド部 222a…ロック部回転軸 222b…ロック部本体 223a…スライド部レール 223b…スライド部本体 223c…スライド部孔 23…認証キー 231…キー本体部 232…蓄電部 233…縁部 23a…キー基板 23b…上カバー 23c…下カバー 23d…ボタン電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9