特許第6061573号(P6061573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6061573板材の載置有無検出装置,板材の搬送装置,及び板材の載置有無検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061573
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】板材の載置有無検出装置,板材の搬送装置,及び板材の載置有無検出方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/00 20060101AFI20170106BHJP
   B21D 43/24 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   B21D43/00 D
   B21D43/24 A
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-196007(P2012-196007)
(22)【出願日】2012年9月6日
(65)【公開番号】特開2014-50856(P2014-50856A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】市川 貴寛
(72)【発明者】
【氏名】大山 勝美
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−042049(JP,U)
【文献】 実開平03−051933(JP,U)
【文献】 実開平05−042254(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/00
B21D 43/24
H01H 36/00
B65H 3/00
B65H 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の被載置部材上の板厚Twpなる非金属製の板材の載置有無を検出する板材の載置有無検出装置であって、
誘導型の近接センサと、
前記近接センサを支持する支持部と、
前記支持部に設けられ前記近接センサの検出面に対して検出方向に突出する脚部と、
を備え、
前記脚部は、その先端部位に前記板材を当接させた際に、前記検出面と前記板材とが概ね平行になると共に、前記近接センサの検出基準軸の方向における前記検出面から前記脚部の先端部位までの距離H1が、前記近接センサの検出可能距離H2の最大値H2maxに対し、H2max<H1+Twpとなるように形成されていることを特徴とする板材の載置有無検出装置。
【請求項2】
前記近接センサから出力されたON/OFF信号に基づいて前記板材の載置有無を判定する制御部を備え、
前記制御部は、前記載置有無の判定において、前記ON/OFF信号に応じた第1の結果と、前記第1の結果とは逆の第2の結果と、を選択的に導出することを特徴とする請求項記載の板材の載置有無検出装置。
【請求項3】
被載置部材上に積載された複数の板材の最上の一枚を吸着搬送可能な板材の搬送装置であって、
前記被載置部材に対向して上方に配設され前記被載置部材に対し離接及び平行に移動可能なフレームと、
前記フレームを離接させる駆動装置と、
前記フレームに取り付けられた、前記板材を吸着可能な複数の吸着部、及び、誘導型の近接センサと、前記近接センサを支持する支持部と、前記支持部に設けられ前記近接センサの検出面に対して検出方向に突出する脚部と、を備えると共に、前記脚部は、その先端部位に前記板材を当接させた際に、前記検出面と前記板材とが概ね平行になると共に、前記近接センサの検出基準軸の方向における前記検出面から前記脚部の先端部位までの距離H1が、前記近接センサの検出可能距離H2の最小値H2minに対し、H1<H2minとなるように形成されている板材の載置有無検出装置と、
前記近接センサから出力されたON/OFF信号に基づいて前記板材の載置有無を判定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記載置有無の判定結果に応じて前記吸着部の吸着動作の実行有無を決定することを特徴とする板材の搬送装置。
【請求項4】
テーブル上の板材の載置有無を検出装置で検出する板材の載置有無検出方法であって、
前記検出装置として、
誘導型の近接センサと、前記近接センサを支持する支持部と、前記支持部に設けられ前記近接センサの検出面に対して検出方向に突出する脚部と、を備え、
前記脚部は、その先端部位に前記板材を当接させた際に、前記検出面と前記板材とが概ね平行になると共に、前記近接センサの検出基準軸の方向における前記検出面から前記脚部の先端部位までの距離H1が、前記近接センサの検出可能距離H2の最小値H2minに対し、H1<H2minとなるように形成されている板材の載置有無検出装置を用いると共に、
前記近接センサから出力されたON/OFF信号に基づいて前記板材の載置有無を判定する制御部を用い、
前記板材を非金属製の板材とした場合、
前記制御部に、前記近接センサからの出力信号がON信号の場合に載置無と判定させ、
前記板材を金属製の板材とした場合、
前記テーブルに非金属製の敷物を介して前記板材を積載し、前記制御部に、前記近接センサからの出力信号がOFF信号の場合に載置無と判定させることを特徴とする板材の載置有無検出方法。
【請求項5】
前記非金属製の板材の板厚をTwpとした場合、
H1<H2min,H2max<H1+Twp
とすることを特徴とする請求項記載の板材の載置有無検出方法。
【請求項6】
前記敷物を、木製のスキッド又は木製のパレットにすることを特徴とする請求項
又は請求項記載の板材の載置有無検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材の載置有無検出装置,板材の搬送装置,及び板材の載置有無検出方法に係る。
【背景技術】
【0002】
テーブル上に積載された複数の板材から最上の一枚を吸着して搬送する搬送装置の一例が、板材の搬入出装置として特許文献1に記載されている。
また、板状の金属材料を吸着搬送する際に、その材料が吸着されているか否かを近接センサを用いて検出する例が、特許文献2に記載されている。
そして、これらの技術を組み合わせた技術として、金属のテーブル上に載置された木製のスキッドに金属板材を積載し、その載積された金属板材から最上の一枚を吸着して搬送する際に、スキッド上に金属板材が残っているか否かを誘導型近接センサを用いて判定する搬送装置が知られている。
図10(a),(b)は、この搬送装置に備えられた検出装置103によって、スキッド102上の金属板材Wmの載置有無を検出する概略方法を説明する図である。
【0003】
図10(a),(b)において、金属のテーブル101上には傷つき防止のため木製のスキッド102が載置され、誘導型近接センサ103は、スキッド102の上方に上下移動可能に配置されている。スキッド102上には金属板材Wmが積載されている。
近接センサ103は、金属板材Wmの載置有無判定時に、下方のスキッド102に向かって下降するようになっている。
【0004】
図10(a)に示されるように、スキッド102上に金属板材Wmが一枚以上残存している場合は、誘導型近接センサ103は金属板材Wmに当接して停止し、検出範囲内に金属板材Wmが存在することから金属有りを示すON信号を出力する。
制御部(図示せず)は、ON信号が出力されている場合、吸着機構(図示せず)によって最上の一枚を吸着する吸着動作を継続するようになっている。
一方、図10(b)に示されるように、スキッド102上に金属板材Wmが残存していない場合は、誘導型近接センサ103はスキッド102に当接して停止し、検出範囲内に金属板材Wmがないことから金属無しを示すOFF信号を出力する。
制御部は、OFF信号が出力された場合、搬送する材料が存在しないことから、吸着動作を停止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−222317号公報
【特許文献2】特開2000−280039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、板金加工現場では、金属板材Wmの倉庫での長期保管や仮置き場での一時保管のみならず、金属板材Wmの加工機器間の搬送においても、敷物として所謂プラダン等と称されるプラスチックダンボール(以下、Pダンボールとも表記する)を多用する。
そのため、金属板材と同様に、この樹脂板材であるPダンボールも、搬送装置によって、積載した最上の一枚毎に吸着搬送する場合がある。
金属板材と、樹脂板材であるPダンボールと、を同じ搬送装置で取り扱う場合、Pダンボールは、傷付きの虞が少なく金属テーブル上に直接積載できる。
しかしながら、Pダンボールは樹脂製であるため、誘導型近接センサでは直接検出できず、金属テーブル上にPダンボールが残存しているか否かを判定することができない。
そのため、Pダンボールの残存有無は、作業者の目視で判断せざるを得ず、搬送装置による樹脂板材の搬送では、自動運転が難しいという問題があった。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、板材が樹脂製であってもその載置有無を誘導型近接センサを用いて検出可能な板材の載置有無検出装置,板材の搬送装置,及び板材の載置有無検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成及び手順を有する。
) 金属製の被載置部材上の板厚Twpなる非金属製の板材の載置有無を検出する板材の載置有無検出装置であって、
誘導型の近接センサと、
前記近接センサを支持する支持部と、
前記支持部に設けられ前記近接センサの検出面に対して検出方向に突出する脚部と、
を備え、
前記脚部は、その先端部位に前記板材を当接させた際に、前記検出面と前記板材とが概ね平行になると共に、前記近接センサの検出基準軸の方向における前記検出面から前記脚部の先端部位までの距離H1が、前記近接センサの検出可能距離H2の最大値H2maxに対し、H2max<H1+Twpとなるように形成されていることを特徴とする板材の載置有無検出装置である。
) 前記近接センサから出力されたON/OFF信号に基づいて前記板材の載置有無を判定する制御部を備え、
前記制御部は、前記載置有無の判定において、前記ON/OFF信号に応じた第1の結果と、前記第1の結果とは逆の第2の結果と、を選択的に導出することを特徴とする1)に記載の板材の載置有無検出装置である。
) 被載置部材上に積載された複数の板材の最上の一枚を吸着搬送可能な板材の搬送装置であって、
前記被載置部材に対向して上方に配設され前記被載置部材に対し離接及び平行に移動可能なフレームと、
前記フレームを離接させる駆動装置と、
前記フレームに取り付けられた、前記板材を吸着可能な複数の吸着部、及び、誘導型の近接センサと、前記近接センサを支持する支持部と、前記支持部に設けられ前記近接センサの検出面に対して検出方向に突出する脚部と、を備えると共に、前記脚部は、その先端部位に前記板材を当接させた際に、前記検出面と前記板材とが概ね平行になると共に、前記近接センサの検出基準軸の方向における前記検出面から前記脚部の先端部位までの距離H1が、前記近接センサの検出可能距離H2の最小値H2minに対し、H1<H2minとなるように形成されている板材の載置有無検出装置と、
前記近接センサから出力されたON/OFF信号に基づいて前記板材の載置有無を判定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記載置有無の判定結果に応じて前記吸着部の吸着動作の実行有無を決定することを特徴とする板材の搬送装置である。
) テーブル上の板材の載置有無を検出装置で検出する板材の載置有無検出方法であって、
前記検出装置として、
誘導型の近接センサと、前記近接センサを支持する支持部と、前記支持部に設けられ前記近接センサの検出面に対して検出方向に突出する脚部と、を備え、
前記脚部は、その先端部位に前記板材を当接させた際に、前記検出面と前記板材とが概ね平行になると共に、前記近接センサの検出基準軸の方向における前記検出面から前記脚部の先端部位までの距離H1が、前記近接センサの検出可能距離H2の最小値H2minに対し、H1<H2minとなるように形成されている板材の載置有無検出装置を用いると共に、
前記近接センサから出力されたON/OFF信号に基づいて前記板材の載置有無を判定する制御部を用い、
前記板材を非金属製の板材とした場合、
前記制御部に、前記近接センサからの出力信号がON信号の場合に載置無と判定させ、
前記板材を金属製の板材とした場合、
前記テーブルに非金属製の敷物を介して前記板材を積載し、前記制御部に、前記近接センサからの出力信号がOFF信号の場合に載置無と判定させることを特徴とする板材の載置有無検出方法である。
) 前記非金属製の板材の板厚をTwpとした場合、
H1<H2min,H2max<H1+Twp
とすることを特徴とする4)に記載の板材の載置有無検出方法である。
) 前記敷物を、木製のスキッド又は木製のパレットにすることを特徴とする)又は記載の板材の載置有無検出方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、板材が樹脂製であってもその載置有無を誘導型近接センサを用いて検出可能になる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の板材の搬送装置の実施例を説明するための二面図である。
図2】本発明の板材の載置有無検出装置の実施例を説明するための斜視図である。
図3】本発明の板材の載置有無検出装置の実施例を説明するための左側面図である。
図4】本発明の板材の載置有無検出装置の実施例を説明するための正面図である。
図5】本発明の板材の載置有無検出方法の実施例における樹脂板材に対する検出を説明するための左側面図である。
図6】本発明の板材の載置有無検出方法の実施例における樹脂板材に対する検出を説明するためのフロー図である。
図7】本発明の板材の載置有無検出方法の実施例における金属板材に対する検出を説明するための左側面図である。
図8】本発明の板材の載置有無検出方法の実施例における金属板材に対する検出を説明するためのフロー図である。
図9】本発明の板材の搬出装置を説明するためのブロック図である。
図10】従来の板材の載置有無検出方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1図9を用いて説明する。
まず、図1を参照して、本発明の板材の搬送装置の実施例について説明する。
図1は、板材の搬送装置の実施例を説明するための概略二面図であり、図1(a)が平面図、図1(b)が正面図である。
【0012】
図1(a),(b)に示されるように、搬送装置HSは、金属製(例えば鉄製)のテーブル1と、テーブル1の上方に配置された連子状(横格子状)のフレーム2と、を備えている。テーブル1は、平板状または格子状に形成されている。
図1において、テーブル1上には、複数枚の板材Wが重ねられて積載体WTが載置されている。すなわち、テーブル1は板材Wの被載置部材となっている。
【0013】
フレーム2は、駆動装置KD(図9参照)により、上下方向(矢印DR1方向)に移動してテーブル1に対して離接すると共に、上昇した位置で水平2軸方向(矢印DR2,DR3方向)の少なくとも一方方向に移動するようになっている。
フレーム2には、複数の吸着装置3が、吸着パッド3aを下方側にした姿勢で互いに離隔した位置に吊り下げ固定されている。
吸着装置3は、負圧装置FH(図9参照)に接続されている。そして、負圧装置FHで発生させた負圧による空気吸引(図3の矢印AR参照)で、吸着パッド3aがテーブル1上に載置された板材Wを吸着するようになっている。図1(b)には、複数の吸着装置3によって一枚の板材Wを吸着保持した状態が示されている。
【0014】
この構成により、搬送装置HSは、フレーム2がテーブル1に載置された板材Wに向け下降し、複数の吸着パッド3aが、板材Wに接触した状態で空気吸引して板材Wを吸着し、その状態でフレーム2を持ち上げると共に水平方向に移動させることができる。
すなわち、搬送装置HSは、積載体WTとして載置された板材Wの最上の一枚を他の場所へ搬送することができる。
【0015】
フレーム2には、板材Wの載置有無を検出するための検出装置KSが一箇所以上に取り付けられている。
フレーム2において検出装置KSが取り付けられる位置は、その少なくとも一つにおいて、テーブル1上に載置される板材Wの基準位置となる載置基準位置P1の近傍である。載置基準位置P1は、板材Wの一つの角部が、板材Wのサイズによらず必ず位置するよう決められた位置である。
図1(a),(b)の例では、検出装置KSは、載置基準位置P1に近接するフレーム枠2aに取り付けられている。
【0016】
次に、検出装置KSについて、図2図4を参照して詳述する。
図2は、検出装置KSを説明するための斜視図であり、検出装置KSを、図1(a)における矢視Y1方向のやや上方から見下ろした図である。
図3は、図1(b)におけるS1−S1位置での断面をとって表した検出装置KSの左側面図である。図3には、吸着装置3の内の、フレーム枠2aに取り付けられた吸着装置3Bが二点鎖線で示されている。板材Wは不図示としてある。
図4は、図1(a)における矢視Y2方向から見た正面図である。
以下の説明において、上下左右前後として説明する各方向は、便宜的に図2に矢印で示された方向で規定する。
【0017】
検出装置KSは、フレーム枠2aに対しスペーサ2bを介して一体的に固定されるベースブラケット5と、ベースブラケット5に対しフレーム枠2aの延在方向に対して直交する方向にリニアガイド6を介して所定の移動範囲内で移動可能とされた移動ブラケット7と、移動ブラケット7に取り付けられた検出センサ8と、ベースブラケット5に取り付けられた位置センサ9と、を有して構成されている。
検出センサ及び位置センサ9は、誘導型近接センサであり、導電性金属材を検出することができるセンサである。
【0018】
図2及び図4は、移動ブラケット7が移動範囲の最下位置にある状態を示しており、図3は、移動ブラケット7が移動範囲の最上位置にある状態を示している。
【0019】
ベースブラケット5は、金属製の板材に曲げ加工等を施し、平板状の基部5kと、基部5kの左方の上下方向に延びる縁部から直角に折り曲げられて前後上下方向に延在する折り曲げ部5aと、を有するように形成されている。
折り曲げ部5aにおける右方側の表面5a1には、リニアガイド6を構成するブロック6aが四本のボルトBTにより固定されている。
【0020】
移動ブラケット7は、金属製の板材に曲げ加工を施し、縦長で前後上下方向に延在する基部7kと、基部7kの上端部分において左方に向け直角に折り曲げられた規制部7aと、基部7kの下端部分において右方に向け直角に折り曲げられたセンサ取り付け部7bと、センサ取り付け部7bの前後方向端からそれぞれ下方にL字状及び逆L字状を呈して折り曲げられた一対の脚部7c,7cと、を有するように形成されている。
【0021】
一対の脚部7cは、上下左右方向に延在する嵩上げ部7c1と、嵩上げ部7c1の下端から互いに離れる方向に直角に折れ曲がって前後左右方向に延在する当接部7c2と、を有して形成されている。
当接部7c2の下側の面である当接面7c2aは、板材Wの上面に当接する面となる。
基部7kの左方側を向く表面7k1には、リニアガイド6を構成するレール6bが上下方向に延在する姿勢で固定されている。
レール6bには、ブロック6aが係合して上下方向に相対移動可能となっている。これにより、ベースブラケット5に対し移動ブラケット7がリニアガイド6を介して上下方向に移動可能となっている。
【0022】
検出センサ8は、センサ取り付け部7bを貫通するようにナットN等を用いて締結固定されている。すなわち、検出センサ8は移動ブラケット7に支持されている。
検出センサ8の先端の面である検出面8aは、検出の基準軸8Zに対し直交する面として形成されている。検出面8aは、センサ取り付け部7bよりも下方側に突出した位置にあり、当接部7c2の下面である当接面7c2aから検出面8aとの間が距離H1となるように嵩上げ部7c1の寸法等が設定されている。当接面7c2aは、脚部7cの先端部位である。
【0023】
位置センサ9は、ベースブラケット5に対し、リニアガイド6を介して移動ブラケット7が上昇した際に、所定の位置より上方でレール6bが検出可能エリアに進入するように配設されている。
これにより、図3に示すように、レール6bの先端部6b1が位置センサ9の中央部分に達した際に、検出有り(ON)を示す検出信号が出力される。この位置を移動ブラケット7の最上位置と称する。
【0024】
ベースブラケット5に対し、リニアガイド6を介して移動ブラケット7が下降した場合は、所定の位置で移動ブラケット7の規制部7aがベースブラケット5の折り曲げ部5aに当接して(図2及び図4参照)、下降移動が機械的に規制される。図3には、この最下位置における検出センサ8の先端部分及び当接部7c2を、B部として付記してある。
【0025】
移動ブラケット7が最上位置にあるときの、当接面7c2aの高さ位置と、吸着装置3の吸着パッド3aの下面との位置は、ほぼ等しくなるように設定されている(図3参照)。
【0026】
上述の構成により、検出装置KSは、フレーム2の上下動に伴い、以下のような動きをする。
まず、制御部SGの指示による駆動装置KDの動作でフレーム2が上昇すると、フレーム枠2aに対し一体的に連結されたベースブラケット5も上昇する。
ここで、リニアガイド6を介してベースブラケット5に連結された移動ブラケット7は、自由状態にあるので、上昇するベースブラケット5には追従せず、ベースブラケット5に対し相対的に下降する。
フレーム2が所定距離上昇すると、相対下降している移動ブラケット7の規制部7aがベースブラケット5の折り曲げ部5aの上方端に当接し、相対下降が規制されるので、その当接状態で移動ブラケット7はベースブラケット5と共に上昇する。
【0027】
次いで、この状態からフレーム2を下降させると、テーブル1又はテーブル1上に載置された板材Wに移動ブラケット7の脚部7cの当接部7c2が当接し、移動ブラケット7の下降移動が規制される。このとき、脚部7cの形状により板材Wの上面と検出面8aとが概ね平行となる。
ここで、リニアガイド6を介して移動ブラケット7に連結されたベースブラケット5は、移動ブラケット7に対し下降自由なので、下降停止した移動ブラケット7には同調せず下降を継続する。
ベースブラケット5が所定距離下降すると、移動ブラケット7に固定されたレール6bの先端部6b1が位置センサ9の検出領域内に進入し、位置センサ9から検出した旨を示す信号(ON信号)が出力される。
駆動装置KDを制御する制御部SGは、この位置センサ9から出力されたON信号に基づき、駆動装置KDの動作を停止させて、フレーム2の上昇を停止する。
【0028】
次に、上述した検出装置KSにより、板材Wの載置有無を検出する動作について詳述する。
【0029】
A:板材が樹脂板材Wp(Pダンボール等)の場合 <図5(a),(b)参照>
この場合に用いる検出装置KSを便宜的に検出装置KSAとも称する。
樹脂板材Wpは、テーブル1上に直接載置される。
図5(a)は、金属のテーブル1の上に、Pダンボール等の樹脂板材Wpが一枚載置されている場合を示し、図5(b)は、一枚も載置されていない場合を示す。
図5(a)は、当接面7c2aが樹脂板材Wpに接触し、図5(b)は、当接面7c2aがテーブル1に接触し、いずれもレール6bの先端部6b1を位置センサ9が検出してON信号が出力されたことを受け、制御部SGがフレーム2(図5には図示せず)の下降を停止させた状態が示されている。
【0030】
ここで、検出装置KSAは、樹脂板材Wpの板厚をTwpとし、近接センサ8の、検出可能距離(検出対象物を検出可能な検出対象物と検出面8aとの距離)をH2とし、当接面7c2aから検出面8aとの間の距離をH1としたときに、
H2の最小値H2min,H2の最大値H2maxについて,
H1<H2min, H2max<H1+Twp ・・・(式1)
となっている。
【0031】
この(式1)により、図5(a)に示されるように、テーブル1上に樹脂板材Wpが少なくとも一枚残存しているときには、近接センサ8から非検出を示す信号(OFF信号)が出力され、図5(b)に示されるように、テーブル1上に樹脂板材Wpが残存していないときには、近接センサ8からは、金属のテーブル1を検出して検出を示すON信号が出力される。すなわち、残存の有無で異なる信号が出力される。
【0032】
この出力信号に対し、制御部SGは、被検出板材が樹脂板材Wpの場合、近接センサ8から非検出のOFF信号が出力されたら「樹脂板材Wpは残存する」と判断し、検出のON信号が出力されたら「樹脂板材Wpは残存なし」と判断する。
従って、検出装置KSAは、検出センサ8による被検出物が非金属の樹脂板材Wpであっても、積載された樹脂板材Wpを一枚ずつ搬出する場合の残存有無を検出することができる。
【0033】
被検出物が樹脂板材Wpの場合の、制御部SGによる搬送装置HSの動作は、図6のフロー図のようになる。
まず、制御部SGは、駆動装置KDを動作させてフレーム2をテーブル1に向け降下させる(Step1)。
脚部7cがテーブル1又は樹脂板材Wpに当接し吸着パッド3aも到達したか否かを、位置センサ9の出力信号がON信号になったか否かで判定する(Step2)。
否(No)の場合、Step1へ戻り、フレーム2の下降を継続する。
ON信号になった(Yes)場合、駆動装置によるフレーム2の下降を停止する(Step3)。
次いで、検出センサ8の出力信号が検出した旨を示すON信号になっているか否かを判定する(Step4)。
否(No)の場合(OFF信号の場合)、樹脂板材Wpが残存していると判断し(Step5)、負圧発生装置FHに負圧を発生させて吸着装置3による吸着動作を実行する(Step6)。
ON信号になっている(Yes)場合、樹脂板材Wpが残存していないと判断し(Step7)、吸着動作は実行せずに出力部DPから、「樹脂板材Wpがなくなった」旨のアラート情報を出力させる(Step8)。出力部DPは、音声又は画像により作業者にアラート情報を提供する。
【0034】
B:板材が金属板材の場合 <図7(a),(b)参照>
この場合に用いる検出装置KSを便宜的に検出装置KSBとする。
図7(a)は、金属のテーブル1の上に、木製のスキッド10を載せ、その上に金属板材Wmが一枚載置されている場合を示し、図7(b)は、一枚も載置されていない場合を示す。スキッド10は、金属板材Wmの被載置部材となる。
図7(a)は、当接面7c2aが金属板材Wmに接触し、図7(b)は、当接面7c2aがスキッド10に接触し、いずれもレール6bの先端部6b1を位置センサ9が検出してON信号が出力されたことを受け、制御部SGがフレーム2(図7には図示せず)の下降が停止させた状態が示されている。
【0035】
ここで、検出装置KSBは、、近接センサ8の検出可能距離をH22とし、当接面7c2aから検出面8aとの間の距離をH11とし、スキッド10の高さをTsとしたときに、
H22の最小値H22min,H22の最大値H22maxについて,
H11<H22min, H22max<H11+Ts ・・・(式2)
となっている。
これにより、図7(a)に示されるように、スキッド10上に金属板材Wmが少なくとも一枚残存しているときには、近接センサ8からは検出を示す信号(ON信号)が出力され、図7(b)に示されるように、スキッド10上に金属板材Wmが残存していないときには、近接センサ8からは、非検出を示す信号(OFF信号)が出力される。すなわち、残存の有無で異なる信号が出力される。
この出力信号に対し、制御部SGは、被検出板材が金属板材Wmの場合、近接センサ8から非検出の信号が出力されたら「金属板材Wmは残存しない」と判断し、検出の信号が出力されたら「金属板材Wmは残存する」と判断する。
従って、検出装置KSBは、被検出物が金属板材Wmのときも、積載された金属板材Wmを一枚ずつ搬出する場合の残存有無を検出することができる。
【0036】
被検出物が金属板材Wmの場合の、制御部SGによる搬送装置HSの動作は、図8のフロー図のようになる。
まず、制御部SGは、駆動装置を動作させてフレーム2をテーブル1に向け降下させる(Step11)。
脚部7cがスキッド10又は金属板材Wmに当接した後に吸着パッド3aも到達したか否かを、位置センサ9の出力信号がONを示す信号になったか否かで判定する(Step12)。
否(No)の場合、Step11へ戻り、フレーム2の下降を継続する。
ONを示す信号になった(Yes)場合、駆動装置によるフレーム2の下降を停止する(Step13)。
ここで、検出センサ8の出力信号が検出した旨を示す信号になっているか否かを判定する(Step14)。
否(No)の場合、金属板材Wmが残存していないと判断し(Step15)、吸着動作は実行せずに出力部DPからアラート情報を出力させる(Step16)。具体的には、出力部DPから音声又は画像により作業者にアラート情報を提供させる。
検出した旨を示す信号になっている(Yes)場合、金属板材Wmが残存していると判断し(Step17)、負圧発生装置FHに負圧を発生させて吸着装置3による吸着動作を実行する(Step18)。
【0037】
上述のように、近接センサ8からの出力信号に基づいて動作を制御する制御部SGは、被検出板材が樹脂板材Wpのときと金属板材Wmのときとで、その出力信号のON/OFFに基づく判定結果を逆転させている。
すなわち、樹脂板材の場合は、ON信号で載置無、OFF信号で載置有、と判定するが、金属板材の場合は、その逆に、ON信号で載置有、OFF信号で載置無、と判定する。
従って、被検出物が金属材であるか非金属材であるかを予め設定しておく。この設定は、作業者の入力部NRからの入力操作で人為的に、あるいは搬送プログラム等の搬送情報HJに基づいて自動的に行われる(図9参照)。
【0038】
検出装置KSに関し、(式1)、(式2)を満たす具体的な寸法の例を以下に示す。
被検出物が樹脂板材Wpの場合、樹脂板材WpがPダンボールでは板厚Twpが通常3mmであるから、距離H1を5mmとすれば、近接センサ8として検出可能距離H2が、5mm<H2<8mm (すなわち、5mm<H2min,H2max<8mm)となるものを採用すれば、(式1)を満たし、樹脂板材Wpの検出が可能となる。
被検出物が金属板材Wmの場合、スキッド10の高さTsは通常30mm〜100mm程度であるから、例えば、スキッド10として高さTsが50mmのものを採用し、距離H11を5mmとすれば、近接センサ8として検出可能距離H22が5mm<H22<55mm(すなわち、5mm<H22min,H22max<55mm)となるものを採用すれば、(式2)を満たし、金属板材Wmの検出が可能となる。
【0039】
同じ検出装置KSで、樹脂板材Wpと金属板材Wmとの両方の有無を検出できるようにするには、例えば、5mm<H2=H22<8mmとなる近接センサを採用すればよい。
【0040】
本発明の実施例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において更に別の変形例としてもよい。
【0041】
脚部7cは、当接部7c2の下面である当接面7c2aから検出面8aとの間の距離H1が調整可能なように構成されていてもよい。あるいは、検出センサ8の上下方向の取り付け位置を、調節可能なように構成されていてもよい。
スキッド10は木製であるものに限らず、樹脂製等の非金属製のものであればよい。
スキッド10は、上面のみに限らず下面側にも平板材を有するパレット状であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 テーブル
2 フレーム、 2a フレーム枠、 2b スペーサ
3 吸着装置、 3a 吸着パッド
5 ベースブラケット
5a 折り曲げ部、 5a1 面、 5k 基部
6 リニアガイド
6a ブロック、 6b レール、 6b1 先端部
7 移動ブラケット、 7k 基部、 7k1 表面
7a 規制部、 7b センサ取り付け部、 7c 脚部
7c1 嵩上げ部、 7c2 当接部、 7c2a 当接面
8 検出センサ、 8a 検出面
9 位置センサ
10 スキッド
BT ボルト、 DP 出力部、 HJ 搬送情報
FH 負圧発生装置
HS 搬送装置
H2 検出可能距離
KD 駆動装置
KS,KSA,KSB 検出装置
N ナット、 NR 入力部
P1 載置基準位置
SG 制御部
Twp 板厚、 Ts 高さ
W 板材、 Wp 樹脂板材、 WT 積載体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10