特許第6061595号(P6061595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6061595N−1に結合した捻じれたアリール基をもつ1又は2つのイミダゾール環を含むシクロメタル化四座配位Pt(II)錯体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061595
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】N−1に結合した捻じれたアリール基をもつ1又は2つのイミダゾール環を含むシクロメタル化四座配位Pt(II)錯体
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/00 20060101AFI20170106BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170106BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20170106BHJP
   C07D 233/64 20060101ALI20170106BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20170106BHJP
   C07D 487/16 20060101ALI20170106BHJP
   C07D 498/06 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   C07F15/00 FCSP
   H05B33/14 B
   C09K11/06 660
   C07D233/64
   C07D403/12
   C07D487/16
   C07D498/06
【請求項の数】28
【外国語出願】
【全頁数】102
(21)【出願番号】特願2012-216089(P2012-216089)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2013-79235(P2013-79235A)
(43)【公開日】2013年5月2日
【審査請求日】2015年3月30日
(31)【優先権主張番号】61/541,769
(32)【優先日】2011年9月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503055897
【氏名又は名称】ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スコット・ビアーズ
(72)【発明者】
【氏名】チュアンジュン・シャ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ブルックス
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ・コッタス
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−272339(JP,A)
【文献】 特開2009−266943(JP,A)
【文献】 特開2009−267176(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/068876(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/028151(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式II、II′、又はII″を有する化合物。
【化1】
式中、環Dは、5又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;
及びLは独立に、単結合、B−フェニル、N−フェニル、O、Se、C=O、S=O、SO、C、Si(フェニル)、及びGe(フェニル)からなる群から選択され;
は1であり;
は1であり
、R、R、R、およびRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択により環Dと縮合していてもよく;
及びRは任意選択により連結して環を形成していてもよく;
、R、R、R、R、R、およびRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
及びRのうち少なくとも1つは水素でも重水素でもなく;
は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【請求項2】
下記式III、III′、又はIII″を有する化合物。
【化2】
式中、環Dは、5又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;
及びLは独立に、単結合、B−フェニル、N−フェニル、O、Se、C=O、S=O、SO、C、Si(フェニル)、及びGe(フェニル)からなる群から選択され;
は1であり;
は1であり
、R、R、R、およびRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択により環Dと縮合していてもよく;
及びRは任意選択により連結して環を形成していてもよく;
、R、R、R、R、R、およびRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;且つ、
及びRのうち少なくとも1つは水素でも重水素でもない。
【請求項3】
下記式IV、IV′、又はIV″を有する化合物。
【化3】
式中、環Dは、5又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;
及びLは独立に、単結合、B−フェニル、N−フェニル、O、Se、C=O、S=O、SO、C、Si(フェニル)、及びGe(フェニル)からなる群から選択され;
は1であり;
は1であり
、R、R、R、およびRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択により環Dと縮合していてもよく;
、R、R、R、R、R、およびRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;且つ、
及びRのうち少なくとも1つは水素でも重水素でもなく;
は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【請求項4】
下記式V、V′、又はV″を有する化合物。
【化4】
式中、環Dは、5又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;
及びLは独立に、単結合、B−フェニル、N−フェニル、O、Se、C=O、S=O、SO、C、Si(フェニル)、及びGe(フェニル)からなる群から選択され;
は1であり;
は1であり
、R、R、R、およびRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択により環Dと縮合していてもよく;
及びRは任意選択により連結して環を形成していてもよく;
、R、R、R、R、R、およびRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;且つ、
及びRのうち少なくとも1つは水素でも重水素でもない。
【請求項5】
下記式VI、VI′、又はVI″を有する化合物。
【化5】
式中、環Dは、5又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;
及びLは独立に、単結合、B−フェニル、N−フェニル、O、Se、C=O、S=O、SO、C、Si(フェニル)、及びGe(フェニル)からなる群から選択され;
は1であり;
は1であり
、R、R、R、およびRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択により環Dと縮合していてもよく;
及びRは任意選択により連結して環を形成していてもよく;
、R、R、R、R、R、およびRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;且つ、
及びRのうち少なくとも1つは水素でも重水素でもなく;
式中、Rは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【請求項6】
下記式VII、VII′、又はVII″を有する化合物。
【化6】
式中、環Dは、5又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;
及びLは独立に、単結合、B−フェニル、N−フェニル、O、Se、C=O、S=O、SO、C、Si(フェニル)、及びGe(フェニル)からなる群から選択され;
は1であり;
は1であり
、R、R、R、およびRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択により環Dと縮合していてもよく;
及びRは任意選択により連結して環を形成していてもよく;
、R、R、R、R、R、およびRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
及びRのうち少なくとも1つは水素でも重水素でもなく;
は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【請求項7】
下記式VIII、VIII′、又はVIII″を有する化合物。
【化7】
式中、環Dは、5又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;
及びLは独立に、単結合、B−フェニル、N−フェニル、O、Se、C=O、S=O、SO、C、Si(フェニル)、及びGe(フェニル)からなる群から選択され;
は1であり;
は1であり
、R、R、R、およびRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択により環Dと縮合していてもよく;
及びRは任意選択により連結して環を形成していてもよく;
、R、R、R、R、R、およびRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;且つ、
及びRのうち少なくとも1つは水素でも重水素でもない。
【請求項8】
下記式IX、IX′、又はIX″を有する化合物。
【化8】
式中、環Dは、5又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;
及びLは独立に、単結合、B−フェニル、N−フェニル、O、Se、C=O、S=O、SO、C、Si(フェニル)、及びGe(フェニル)からなる群から選択され;
は1であり;
は1であり
、R、R、R、およびRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択によりRが結合している環と縮合していてもよく;
は任意選択により環Dと縮合していてもよく;
及びRは任意選択により連結して環を形成していてもよく;
、R、R、R、R、R、およびRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;且つ、
及びRのうち少なくとも1つは水素でも重水素でもない。
【請求項9】
及びRのうち少なくとも1つはアルキルである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
及びRのそれぞれがアルキルである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
及びRのうち少なくとも1つは、少なくとも3つの炭素を含むアルキルである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
及びRのうち少なくとも1つはシクロアルキルである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
及びRのうち少なくとも1つはアリールである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
又はRが置換アリールである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
又はRが2,6−二置換アリールである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
及びRが、
【化9】
(上記R′及びR′は独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
R′及びR′のうち少なくとも1つは水素でも重水素でもなく;
Dは5員又は6員の炭素環又はヘテロ環であり、これは任意選択でR′でさらに置換されていてもよく;且つ、
R′は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。)
である、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
以下のものからなる群から選択される化合物。
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【請求項18】
有機発光デバイスを含み、さらに、
アノード;
カソード;及び
前記アノードとカソードの間に配置された有機層を含み、
前記有機層が請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物を含む、第一のデバイス。
【請求項19】
前記有機層が発光層であり、且つ前記化合物が発光ドーパントである、請求項18に記載の第一のデバイス。
【請求項20】
前記有機層がさらにホストを含む、請求項18に記載の第一のデバイス。
【請求項21】
前記ホストが、トリフェニレンを有するベンゾ縮合チオフェン又はベンゾ縮合フランを含み;
前記ホスト中のいずれかの置換基が、C2n+1、OC2n+1、OAr、N(C2n+1、N(Ar)(Ar)、CH=CH−C2n+1、C≡C−C2n+1、Ar、Ar−Ar、C2n−Arからなる群から選択される非縮合置換基であるか、又は非置換であり、
式中、nは1〜10であり;且つ、
Ar及びArは独立に、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール、及びそれらのヘテロ芳香族類縁体からなる群から選択される、請求項20に記載の第一のデバイス。
【請求項22】
前記ホストが下記式:
【化20】
を有する、請求項21に記載の第一のデバイス。
【請求項23】
前記ホストが以下のものからなる群から選択される、請求項20に記載の第一のデバイス。
【化21】
及びこれらの組み合わせ。
【請求項24】
前記ホストが金属錯体である、請求項20に記載の第一のデバイス。
【請求項25】
前記有機層が発光層であり、且つ前記化合物が非発光ドーパントである、請求項18に記載の第一のデバイス。
【請求項26】
消費者製品である、請求項18に記載の第一のデバイス。
【請求項27】
有機発光デバイスである、請求項18に記載の第一のデバイス。
【請求項28】
発光パネルを含む、請求項18に記載の第一のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特許請求の範囲に記載した発明は、共同の大学・企業研究契約に関わる1つ以上の以下の団体:ミシガン大学評議員会、プリンストン大学、サザン・カリフォルニア大学、及びユニバーサル・ディスプレイ・コーポレーションにより、1つ以上の団体によって、1つ以上の団体のために、及び/又は1つ以上の団体と関係して行われた。上記契約は、特許請求の範囲に記載された発明がなされた日及びそれ以前に発効しており、特許請求の範囲に記載された発明は、前記契約の範囲内で行われた活動の結果としてなされた。
【0002】
本発明は、有機発光デバイス(OLED)に組み込むために適した化合物に関する。より具体的には、それらの化合物は少なくとも1つの5員の炭素環又はヘテロ環をそれぞれが含む2つの配位子を含むシクロメタル化四座配位Pt(II)錯体である。一つの配位子は、N−1に結合した捻じれたアリール基をもつイミダゾール環と、炭素原子を介して白金に配位した芳香族環とを含む。
【背景技術】
【0003】
有機物質を用いるオプトエレクトロニクスデバイスは、多くの理由によりますます望ましいものとなってきている。そのようなデバイスを作るために用いられる多くの物質はかなり安価であり、そのため有機オプトエレクトロニクスデバイスは、無機デバイスに対してコスト上の優位性について潜在力をもっている。加えて、有機物質固有の特性、例えばそれらの柔軟性は、それらを柔軟な基材上への製作などの特定用途に非常に適したものにしうる。有機オプトエレクトロニクスデバイスの例には、有機発光デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池、及び有機光検出器が含まれる。OLEDについては、有機物質は、従来の物質に対して性能上優位性をもちうる。例えば、有機発光層が発光する波長は、一般に、適切なドーパントで容易に調節することができる。
【0004】
OLEDは、そのデバイスを横切って電圧を印加した場合に光を発する薄い有機膜(有機フィルム)を用いる。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明、及びバックライトなどの用途で用いるためのますます興味ある技術となってきている。いくつかのOLEDの物質と構成が、米国特許第5,844,363号明細書、同6,303,238号明細書、及び同5,707,745号明細書に記載されており、これらの明細書はその全体を参照により本明細書に援用する。
【0005】
燐光発光分子の一つの用途はフルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイのための工業規格は、「飽和」色といわれる特定の色を発光するように適合された画素(ピクセル)を要求している。特に、これらの規格は、飽和の赤、緑、及び青の画素を必要としている。色はCIE座標を用いて測定でき、CIE座標は当分野で周知である。
【0006】
緑色発光分子の一例は、Ir(ppy)3と表されるトリス(2-フェニルピリジン)イリジウムであり、これは以下の式Iの構造を有する。
【化1】
【0007】
この式及び本明細書の後の図で、窒素から金属(ここではIr)への供与結合は直線で表す。
【0008】
本明細書で用いるように、「有機」の用語は、有機オプトエレクトロニクスデバイスを製作するために用いることができるポリマー物質並びに小分子有機物質を包含する。「小分子(small molecule)」とは、ポリマーではない任意の有機物質をいい、「小分子」は、実際は非常に大きくてもよい。小分子はいくつかの状況では繰り返し単位を含んでもよい。例えば、置換基として長鎖アルキル基を用いることは、分子を「小分子」の群から排除しない。小分子は、例えばポリマー主鎖上のペンダント基として、あるいは主鎖の一部として、ポリマー中に組み込まれてもよい。小分子は、コア残基上に作り上げられた一連の化学的殻からなるデンドリマーのコア残基として働くこともできる。デンドリマーのコア残基は、蛍光性又は燐光性小分子発光体であることができる。デンドリマーは「小分子」であることができ、OLEDの分野で現在用いられている全てのデンドリマーは小分子であると考えられる。
【0009】
本明細書で用いるように「トップ」は、基材から最も遠くを意味する一方で、「ボトム」は基材に最も近いことを意味する。第一の層が第二の層の「上に配置される」と記載した場合は、第一の層は基材から、より遠くに配置される。第一の層が第二の層と「接触している」と特定されていない限り、第一の層と第二の層との間に別な層があってよい。例えば、カソードとアノードとの間に様々な有機層があったとしても、カソードはアノードの「上に配置される」と記載できる。
【0010】
本明細書で用いるように、「溶液処理(加工)可能」とは、溶液もしくは懸濁液の形態で、液体媒体中に溶解され、分散され、又は液体媒体中で輸送され、及び/又は液体媒体から堆積されうることを意味する。
【0011】
配位子が発光物質の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合は、その配位子は「光活性」ということができる。配位子が発光物質の光活性特性に寄与していないと考えられる場合は、配位子は「補助」ということができるが、補助配位子は光活性配位子の特性を変えうる。
【0012】
本明細書で用いるように、かつ当業者によって一般に理解されているように、第一の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)のエネルギー準位は、その第一のエネルギー準位が真空のエネルギー準位により近い場合には、第二のHOMO又はLUMOよりも「大きい」あるいは「高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は真空準位に対して負のエネルギーとして測定されるので、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さな絶対値をもつIPに対応する(より小さな負のIP)。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さな絶対値をもつ電子親和力(EA)に対応する(より小さな負のEA)。上(トップ)に真空準位をもつ従来のエネルギー準位図の上では、物質のLUMOエネルギー準位はその同じ物質のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりも、そのような図のトップのより近くに現れる。
【0013】
本明細書で用いるように、また当業者によって一般に理解されるように、第一の仕事関数は、その第一の仕事関数がより高い絶対値を有する場合には、第二の仕事関数よりも「大きい」あるいは「高い」。仕事関数は通常、真空準位に対して負の値として測定されるので、このことは「より高い」仕事関数は、より負であることを意味する。上(トップ)に真空準位をもつ従来のエネルギー準位図の上では、「より高い」仕事関数は真空準位から下向きの方向へさらに離れて図示される。したがって、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に従う。
【0014】
OLEDについてのさらなる詳細及び上述した定義は、米国特許第7,279,704号明細書に見ることができ、その全体を参照により本明細書に援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5,844,363号明細書
【特許文献2】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献3】米国特許第5,707,745号明細書
【特許文献4】米国特許第7,279,704号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Baldoら,“Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices”, Nature, vol. 395, 151-154, 1998
【非特許文献2】Baldoら,“Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence”, Appl. Phys. Lett., vol. 75, No. 3, 4-6 (1999)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
捻じれたアリール基をもつイミダゾール環を含むシクロメタル化四座配位Pt(II)化合物を提供する。それらの化合物は下記式を有する。
【化2】
【0018】
環A、環B、環C、及び環Dはそれぞれ独立に、5又は6員の炭素環又はヘテロ環である。L1及びL2は独立に、単結合、BR、NR、O、Se、C=O、S=O、SO2、CRR′、SiRR′、及びGeRR′からなる群から選択される。n1は0又は1である。n2は0又は1である。n1+n2は少なくとも1に等しい。Z1及びZ2は独立に、窒素原子又は炭素原子である。R1、R2、R3、R4、およびR7は、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができる。R1は任意選択により環Aと縮合していてもよい。R3は任意選択により環Bと縮合していてもよい。R4は任意選択により環Cと縮合していてもよい。R7は任意選択により環Dと縮合していてもよい。R3及びR4は任意選択により連結して環を形成していてもよい。環B及び環Cのうち少なくとも1つは、5員の炭素環又はヘテロ環である。R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R5及びR6のうち少なくとも1つは水素でも重水素でもない。
【0019】
一つの側面では、R5及びR6のうち少なくとも1つはアルキルである。別の側面では、R5及びR6のうち少なくとも1つは、少なくとも3つの炭素を含むアルキルである。なお別の側面では、R5及びR6のうち少なくとも1つはシクロアルキルである。
【0020】
一つの側面では、R5及びR6のそれぞれがアリールである。
【0021】
一つの側面では、R3又はR4は置換アリールである。別の側面では、R3又はR4は2,6−二置換アリールである。
【0022】
好ましくは、R3及びR4は、
【化3】
である。
【0023】
R′1及びR′2は独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R′1及びR′2のうち少なくとも1つは水素でも、重水素でもない。Dは5員又は6員の炭素環又はヘテロ環であり、これは任意選択でR′3でさらに置換されていてもよい。R′3は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0024】
一つの側面では、上記化合物は下記式:
【化4】
を有する。
【0025】
R8は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0026】
別の側面では、上記化合物は下記式:
【化5】
を有する。
【0027】
なお別の側面では、上記化合物は下記式:
【化6】
を有する。
【0028】
R8は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0029】
さらなる側面では、上記化合物は下記式:
【化7】
を有する。
【0030】
別の側面では、上記化合物は下記式:
【化8】
を有する。
【0031】
R8は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0032】
なお別の側面では、上記化合物は下記式:
【化9】
を有する。
【0033】
R8は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0034】
別の側面では、上記化合物は下記式:
【化10】
を有する。
【0035】
なお別の側面では、上記化合物は下記式:
【化11】
を有する。
【0036】
捻じれたアリール基をもつイミダゾール環を含むシクロメタル化四座配位Pt(II)化合物の具体例を提供する。一つの側面では、その化合物は以下のものからなる群から選択される。
【0037】
【化12】
【0038】
【化13】
【0039】
【化14】
【0040】
【化15】
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】
【化18】
【0044】
【化19】
【0045】
加えて、有機発光デバイスを含む第一のデバイスを提供する。この有機発光デバイスは、さらに、アノード、カソード、及び有機層を含む。その有機層はアノードとカソードの間に配置されており、且つそれは下記式:
【化20】
を有する化合物を含む。
【0046】
環A、環B、環C、及び環Dはそれぞれ独立に、5又は6員の炭素環又はヘテロ環である。L1及びL2は独立に、単結合、BR、NR、O、Se、C=O、S=O、SO2、CRR′、SiRR′、及びGeRR′からなる群から選択される。n1は0又は1である。n2は0又は1である。n1+n2は少なくとも1に等しい。Z1及びZ2は独立に、窒素原子又は炭素原子である。R1、R2、R3、R4、およびR7は、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができる。R1は任意選択により環Aと縮合していてもよい。R3は任意選択により環Bと縮合していてもよい。R4は任意選択により環Cと縮合していてもよい。R7は任意選択により環Dと縮合していてもよい。R3及びR4は任意選択により連結して環を形成していてもよい。環B及び環Cのうち少なくとも1つは、5員の炭素環又はヘテロ環である。R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R5及びR6のうち少なくとも1つは水素でも、重水素でもない。
【0047】
式Iを有する化合物について上で論じた様々な具体的側面は、上記の第一のデバイスに用いる式Iを有する化合物にも適用できる。特に、環A、環B、環C、環D、L1、L2、n1、n2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R′1、R′2、R′3、式II〜IX、及び式Iを有する化合物の化合物1〜65についての具体的側面は、デバイスに用いられる式Iを有する化合物にも適用できる。
【0048】
一つの側面では、上記有機層は発光層であり、且つ上記化合物は発光ドーパントである。
【0049】
一つの側面では、上記有機層はホストをさらに含む。別の側面では、ホストは、トリフェニレンを有するベンゾ縮合チオフェン又はベンゾ縮合フランを含み、ホスト中のいずれかの置換基が、CnH2n+1、OCnH2n+1、OAr1、N(CnH2n+1)2、N(Ar1)(Ar2)、CH=CH−CnH2n+1、C≡CHCnH2n+1、Ar1、Ar1−Ar2、CnH2n−Ar1からなる群から選択される非縮合置換基であるか、又は非置換である。nは1〜10である。Ar1及びAr2は独立に、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール、及びそれらのヘテロ芳香族類縁体(ヘテロ芳香族アナログ)からなる群から選択される。
【0050】
一つの側面では、ホストは下記式:
【化21】
を有する。
【0051】
別の側面では、ホストは以下のものからなる群から選択される。
【化22】
及びそれらの組み合わせ。
【0052】
なお別の側面では、ホストは金属錯体である。
【0053】
一つの側面では、上記有機層は発光層であり、且つ上記化合物は非発光ドーパントである。
【0054】
一つの側面では、上記第一のデバイスは消費者製品であり。別の側面では、第一のデバイスは有機発光デバイスである。なお別の側面では、第一のデバイスは発光パネルを含む。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1図1は有機発光デバイスを示す。
図2図2は、別個の電子輸送層をもたない倒置型有機発光デバイスを示す。
図3図3は、シクロメタル化四座配位Pt(II)化合物を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
[詳細な説明]
一般に、OLEDは、アノードとカソードとの間に配置され且つそれらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が流された場合、有機層(1又は複数)にアノードは正孔を注入し、カソードは電子を注入する。注入された正孔と電子はそれぞれ反対に帯電した電極に向かって移動する。電子と正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在化された電子−正孔対である「励起子」が形成される。励起子が発光機構によって緩和するときに光が発せられる。いくつかの場合には、励起子はエキシマー又はエキシプレックス上に局在化されうる。非放射機構、例えば、熱緩和も起こりうるが、通常は好ましくないと考えられる。
【0057】
初期のOLEDは、一重項状態から光を発する(「蛍光」)発光性分子を用いており、例えば、米国特許第4,769,292号明細書(この全体を参照により援用する)に記載されているとおりである。蛍光発光は、一般に、10ナノ秒よりも短いタイムフレームで起こる。
【0058】
より最近、三重項状態から光を発する(「燐光」)発光物質を有するOLEDが実証されている。Baldoら,“Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices”, Nature, vol. 395, 151-154, 1998 (“Baldo-I”);
及び、Baldoら,“Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence”, Appl. Phys. Lett., vol. 75, No. 3, 4-6 (1999) (“Baldo-II”)、これらを参照により全体を援用する。燐光は、米国特許第7,279,704号明細書の第5〜6欄に、より詳細に記載されており、これを参照により援用する。
【0059】
図1は有機発光デバイス100を示している。この図は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子阻止層130、発光層135、正孔阻止層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、およびカソード160を含み得る。カソード160は、第一導電層162および第二導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記載した層を順次、堆積させることによって作製できる。これらの様々な層の特性及び機能、並びに例示物質は、米国特許第7,279,704号明細書の第6〜10欄により詳細に記載されており、これを参照により援用する。
【0060】
これらの層のそれぞれについてのより多くの例が得られる。例えば、可撓性且つ透明な基材−アノードの組み合わせが米国特許第5,844,363号明細書に開示されており、参照により全体を援用する。p型ドープ正孔輸送層の例は、50:1のモル比で、F4−TCNQでドープしたm−MTDATAであり、これは米国特許出願公開第2003/0230980号公報に開示されているとおりであり、その全体を参照により援用する。発光物質及びホスト物質の例は、Thompsonらの米国特許第6,303,238号明細書に開示されており、その全体を参照により援用する。n型ドープ電子輸送層の例は、1:1のモル比でLiでドープされたBPhenであり、これは米国特許出願公開第2003/0230980号公報に開示されているとおりであり、その全体を参照により援用する。米国特許第5,703,436号明細書及び同5,707,745号明細書(これらはその全体を参照により援用する)は、上に重ねられた透明な電気導電性のスパッタリングによって堆積されたITO層を有するMg:Agなどの金属の薄層を有する複合カソードを含めたカソードの例を開示している。阻止層の理論と使用は、米国特許第6,097,147号明細書及び米国特許出願公開第2003/0230980号公報に、より詳細に記載されており、その全体を参照により援用する。注入層の例は、米国特許出願公開第2004/0174116号公報に提供されており、その全体を参照により援用する。保護層の記載は米国特許出願公開第2004/0174116号公報にみられ、その全体を参照により援用する。
【0061】
図2は倒置型(inverted)OLED200を示している。このデバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、およびアノード230を含む。デバイス200は記載した層を順に堆積させることによって製造できる。最も一般的なOLEDの構成はアノードの上方に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下方に配置されたカソード215を有するので、デバイス200を「倒置型」OLEDとよぶことができる。デバイス100に関して記載したものと同様の物質を、デバイス200の対応する層に使用できる。図2は、デバイス100の構造からどのようにいくつかの層を省けるかの1つの例を提供している。
【0062】
図1および2に例示されている簡単な層状構造は非限定的な例として与えられており、本発明の実施形態は多様なその他の構造と関連して使用できることが理解される。記載されている具体的な物質および構造は事実上例示であり、その他の物質および構造も使用できる。設計、性能、およびコスト要因に基づいて、実用的なOLEDは様々なやり方で上記の記載された様々な層を組み合わせることによって実現でき、あるいは、いくつかの層は完全に省くことができる。具体的に記載されていない他の層を含むこともできる。具体的に記載したもの以外の物質を用いてもよい。本明細書に記載されている例の多くは単一の物質を含むものとして様々な層を記載しているが、物質の組合せ(例えばホストおよびドーパントの混合物、または、より一般的には混合物)を用いてもよいことが理解される。また、層は様々な副層(sublayer)を有してもよい。本明細書において様々な層に与えられている名称は、厳格に限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し且つ発光層220に正孔を注入するので、正孔輸送層として、あるいは正孔注入層として説明されうる。一実施形態において、OLEDは、カソードとアノードとの間に配置された「有機層」を有するものとして説明できる。この有機層は単一の層を含むか、または、例えば図1および2に関連して記載したように様々な有機物質の複数の層をさらに含むことができる。
【0063】
具体的には説明していない構造および物質、例えばFriendらの米国特許第5,247,190号(これはその全体を参照により援用する)に開示されているようなポリマー物質で構成されるOLED(PLED)、も使用することができる。さらなる例として、単一の有機層を有するOLEDを使用できる。OLEDは、例えば、Forrestらの米国特許第5,707,745号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているように積み重ねられてもよい。OLEDの構造は、図1および2に示されている簡単な層状構造から逸脱していてもよい。例えば、基板は、光取出し(out-coupling)を向上させるために、Forrestらの米国特許第6,091,195号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているメサ構造、および/またはBulovicらの米国特許第5,834,893号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているピット構造などの、角度の付いた反射表面を含みうる。
【0064】
特に断らないかぎり、様々な実施形態の層のいずれも、何らかの適切な方法によって堆積されうる。有機層については、好ましい方法には、熱蒸着(thermal evaporation)、インクジェット(例えば、米国特許第6,013,982号および米国特許第6,087,196号(これらはその全体を参照により援用する)に記載されている)、有機気相成長(organic vapor phase deposition、OVPD)(例えば、Forrestらの米国特許第6,337,102号(その全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびに有機気相ジェットプリンティング(organic vapor jet printing、OVJP)による堆積(例えば、米国特許出願第10/233,470号(これはその全体を参照により援用する)に記載されている)が含まれる。他の適切な堆積方法には、スピンコーティングおよびその他の溶液に基づく方法が含まれる。溶液に基づく方法は、好ましくは、窒素または不活性雰囲気中で実施される。その他の層については、好ましい方法には熱蒸着が含まれる。好ましいパターニング方法には、マスクを通しての蒸着、圧接(cold welding)(例えば、米国特許第6,294,398号および米国特許第6,468,819号(これらはその全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびにインクジェットおよびOVJDなどの堆積方法のいくつかに関連するパターニングが含まれる。その他の方法も用いることができる。堆積される物質は、それらを特定の堆積方法に適合させるために改変されてもよい。例えば、分枝した又は分枝していない、好ましくは少なくとも3個の炭素を含むアルキルおよびアリール基などの置換基が、溶液加工性を高めるために、小分子に用いることができる。20個又はそれより多い炭素を有する置換基を用いてもよく、3〜20炭素が好ましい範囲である。非対称構造を有する物質は対称構造を有するものよりも良好な溶液加工性を有しうるが、これは、非対称物質はより小さな再結晶化傾向を有しうるからである。デンドリマー置換基は、小分子が溶液加工を受ける能力を高めるために用いることができる。
【0065】
本発明の実施形態により製造されたデバイスは多様な消費者製品に組み込むことができ、これらの製品には、フラットパネルディスプレイ、コンピュータのモニタ、テレビ、広告板、室内もしくは屋外の照明灯および/または信号灯、ヘッドアップディスプレイ、完全に透明な(fully transparent)ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンタ、電話機、携帯電話、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダ、ビューファインダー、マイクロディスプレイ、乗り物、大面積壁面(large area wall)、映画館またはスタジアムのスクリーン、あるいは標識が含まれる。パッシブマトリクスおよびアクティブマトリクスを含めて、様々な制御機構を用いて、本発明にしたがって製造されたデバイスを制御できる。デバイスの多くは、18℃から30℃、より好ましくは室温(20〜25℃)などの、人にとって快適な温度範囲において使用することが意図されている。
【0066】
本明細書に記載した物質及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有しうる。例えば、その他のオプトエレクトロニクスデバイス、例えば、有機太陽電池及び有機光検出器は、これらの物質及び構造を用いることができる。より一般には、有機デバイス、例えば、有機トランジスタは、これらの物質及び構造を用いることができる。
【0067】
ハロ、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロ環基、アリール、芳香族基、及びヘテロアリールの用語は、当分野で公知であり、米国特許第7,279,704号明細書の第31〜32欄で定義されており、これを参照により援用する。
【0068】
[発明の説明]
新規な群の四座配位白金(II)化合物を提供する(図3に示すとおりである)。これらの化合物は、(i)それぞれが少なくとも1つの5員の炭素環又はヘテロ環を含む2つの配位子を含み、(ii)それらの配位子のうちの1つが、N−1に結合したねじれた(twisted)アリール基をもつイミダゾール環を含み、且つ(iii)そのイミダゾールと同じ配位子中に、炭素原子を介して白金に結合した6員の炭素環又はヘテロ環を含む。これらの特徴は、これらを一緒にして、それらの化合物をOLEDに用いるために特に適したものにしうる。
【0069】
最初に実証されたPHOLEDは、白金錯体、すなわち、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン白金(II)(PtOEP)を含んでいたが、白金錯体は、最先端のPHOLEDにおいては実際に使用されてはいない。(Nature, 1988, 395, 151)。イリジウム錯体と比較して、白金(II)錯体は、一般に、比較的長い励起状態寿命と、より低い量子収率を有する。加えて、白金(II)錯体は平面四角形の幾何形状をもち、これはしばしばエキシマーの形成を引き起こす。したがって、これらの錯体は、OLED中での高いドーピング濃度において広がった発光スペクトルを有しうる。
【0070】
二座及び三座配位Pt(II)錯体が報告されているが、一般に、これらの化合物はOLEDにおいて限られた用途しかもっていない。これらの化合物は、しばしば、劣った熱安定性とデバイス安定性を有しており、それらがOLEDにおけるそれらの用途を限定している。
【0071】
四座配位Pt(II)錯体も文献に記載されているが、上記の二座及び三座配位Pt(II)錯体と同様に、これらの四座配位Pt(II)錯体はOLEDにおいて限られた使用しかされていないだろう。
【0072】
上で論じたように、本明細書で提供する四座配位Pt(II)錯体は、いくつかの有利な特性をもっている。第一に、それらの化合物は、それぞれが5員の炭素環又はヘテロ環を含む2つの配位子を含んでいる。その第一の配位子はイミダゾール環と環Aとを含む。第二の配位子は環B及び環Cを含み、環B及び環Cのうちの1つは5員の炭素環又はヘテロ環でなくてはならない。環B及び環Cの他方は、5又は6員の炭素環かヘテロ環のいずれかであってもよい。好ましくは、環Aと、環B及び環Cのうちの1つが、6員の炭素環又はヘテロ環であり、すなわち、それぞれの配位子は1つの5員環及び1つの6員環を含んでいる。理論に縛られないが、その基本的な配位子構造を用いてそのエネルギーレベルを調節して、三重項エネルギーを良くすることができると考えられ、なぜなら、5員環は一般に6員環よりも高い三重項エネルギーを有するからである。
【0073】
第二に、配位子は、そのイミダゾールのN−1に結合したねじれた(twisted)アリールをもつイミダゾール環を含んでいる(図3に示されている)。四座配位構造中にねじれたアリール部分を組み込むことによって、そのPt(II)錯体はより高い安定性を示すことができ、したがって、より長いデバイス寿命をもたらしうる。理論に縛られないが、イミダゾール環の平面から外へアリール基をねじること、したがって、その共役を切断し且つその化合物の平面性を低くすることは、より青い発光、向上した昇華性、及び向上した効率をもたらしうると考えられる。特に、それらの化合物は、三重項−三重項消滅及び自己消光を受ける傾向がより小さくなることができ、なぜなら、それらはより多くの三次元的特徴をもっているからである。
【0074】
第三に、上記第一の配位子の環Aは、炭素原子を介して白金に結合している。理論に縛られないが、そのような配位子システムは高い三重項をもたらすことができると考えられる。
【0075】
総合すると、これらの化合物の特徴は、これらの化合物をOLEDにおいて用いるために特に適したものする有利な特性を備えていることができる。例えば、これらの化合物は、改良された青色発光、向上した安定性、及び向上した効率をもたらしうる。
【0076】
ねじれたアリール基(twisted aryl group)をもつイミダゾール環を含むシクロメタル化四座配位Pt(II)化合物を提供する。これらの化合物は下記式:
【化23】
を有する。
【0077】
環A、環B、環C、及び環Dはそれぞれ独立に、5又は6員の炭素環又はヘテロ環である。L1及びL2は独立に、単結合、BR、NR、O、Se、C=O、S=O、SO2、CRR′、SiRR′、及びGeRR′からなる群から選択される。n1は0又は1である。n2は0又は1である。n1+n2は少なくとも1に等しい。Z1及びZ2は独立に、窒素原子又は炭素原子である。R1、R2、R3、R4、およびR7は、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができる。R1は任意選択により環Aと縮合していてもよい。R3は任意選択により環Bと縮合していてもよい。R4は任意選択により環Cと縮合していてもよい。R7は任意選択により環Dと縮合していてもよい。R3及びR4は任意選択により連結して環を形成していてもよい。環B及び環Cのうち少なくとも1つは、5員の炭素環又はヘテロ環である。R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R5及びR6のうち少なくとも1つは水素でも重水素でもない。
【0078】
n1又はn2が0に等しい場合は、そこには連結、すなわち、L1又はL2における単結合又はその他の置換は存在しない。化合物1〜3は、n1が0の場合の化合物の非限定的な例である。それに代えて、化合物26〜28は、n2が0である場合の化合物の非限定的な例である。
【0079】
一つの側面では、R5及びR6のうち少なくとも1つはアルキルである。別の側面では、R5及びR6のうち少なくとも1つは、少なくとも3つの炭素を含むアルキルである。なお別の側面では、R5及びR6のうち少なくとも1つはシクロアルキルである。
【0080】
一つの側面では、R5及びR6のそれぞれがアリールである。
【0081】
一つの側面では、R3又はR4は置換アリールである。別の側面では、R3又はR4は2,6−二置換アリールである。
【0082】
好ましくは、R3及びR4は、
【化24】
である。
【0083】
R′1及びR′2は独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R′1及びR′2のうち少なくとも1つは水素でも重水素でもない。Dは5員又は6員の炭素環又はヘテロ環であり、これは任意選択でR′3でさらに置換されていてもよい。R′3は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0084】
一つの側面では、上記化合物は下記式:
【化25】
を有する。
【0085】
R8は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0086】
別の側面では、上記化合物は下記式:
【化26】
を有する。
【0087】
なお別の側面では、上記化合物は下記式:
【化27】
を有する。
【0088】
R8は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0089】
さらなる側面では、上記化合物は下記式:
【化28】
を有する。
【0090】
別の側面では、上記化合物は下記式:
【化29】
を有する。
【0091】
R8は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0092】
なお別の側面では、上記化合物は下記式:
【化30】
を有する。
【0093】
R8は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0094】
別の側面では、上記化合物は下記式:
【化31】
を有する。
【0095】
なお別の側面では、上記化合物は下記式:
【化32】
を有する。
【0096】
ねじれたアリール基(twisted aryl group)をもつイミダゾール環を含むシクロメタル化四座配位Pt(II)化合物の具体例を提供する。一つの側面では、その化合物は以下のものからなる群から選択される。
【0097】
【化33】
【0098】
【化34】
【0099】
【化35】
【0100】
【化36】
【0101】
【化37】
【0102】
【化38】
【0103】
【化39】
【0104】
【化40】
【0105】
加えて、有機発光デバイスを含む第一のデバイスを提供する。この有機発光デバイスは、さらに、アノード、カソード、及び有機層を含む。その有機層はアノードとカソードの間に配置されており、且つそれは下記式:
【化41】
を有する化合物を含む。
【0106】
環A、環B、環C、及び環Dはそれぞれ独立に、5又は6員の炭素環又はヘテロ環である。L1及びL2は独立に、単結合、BR、NR、O、Se、C=O、S=O、SO2、CRR′、SiRR′、及びGeRR′からなる群から選択される。n1は0又は1である。n2は0又は1である。n1+n2は少なくとも1に等しい。Z1及びZ2は独立に、窒素原子又は炭素原子である。R1、R2、R3、R4、およびR7は、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができる。R1は任意選択により環Aと縮合していてもよい。R3は任意選択により環Bと縮合していてもよい。R4は任意選択により環Cと縮合していてもよい。R7は任意選択により環Dと縮合していてもよい。R3及びR4は任意選択により連結して環を形成していてもよい。環B及び環Cのうち少なくとも1つは、5員の炭素環又はヘテロ環である。R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R5及びR6のうち少なくとも1つは水素でも重水素でもない。
【0107】
式Iを有する化合物について上で論じた様々な具体的側面は、上記の第一のデバイスに用いる式Iを有する化合物にも適用できる。特に、環A、環B、環C、環D、L1、L2、n1、n2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R′1、R′2、R′3、式II〜IX、及び式Iを有する化合物である化合物1〜65についての具体的側面は、デバイスに用いられる式Iを有する化合物にも適用できる。
【0108】
一つの側面では、上記有機層は発光層であり、且つ上記化合物は発光ドーパントである。
【0109】
一つの側面では、上記有機層はホストをさらに含む。別の側面では、ホストは、トリフェニレンを有するベンゾ縮合チオフェン又はベンゾ縮合フランを含み、ホスト中のいずれかの置換基が、CnH2n+1、OCnH2n+1、OAr1、N(CnH2n+1)2、N(Ar1)(Ar2)、CH=CH−CnH2n+1、C≡CHCnH2n+1、Ar1、Ar1−Ar2、CnH2n−Ar1からなる群から選択される非縮合置換基であるか、又は非置換である。nは1〜10である。Ar1及びAr2は独立に、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール、及びそれらのヘテロ芳香族類縁体(ヘテロ芳香族アナログ)からなる群から選択される。
【0110】
一つの側面では、ホストは下記式:
【化42】
を有する。
【0111】
別の側面では、ホストは以下のものからなる群から選択される。
【化43】
及びそれらの組み合わせ。
【0112】
なお別の側面では、ホストは金属錯体である。
【0113】
一つの側面では、上記有機層は発光層であり、且つ上記化合物は非発光ドーパントである。
【0114】
一つの側面では、上記第一のデバイスは消費者製品(コンシューマープロダクト)であり。別の側面では、第一のデバイスは有機発光デバイスである。なお別の側面では、第一のデバイスは発光パネルを含む。
【0115】
[その他の物質との組み合わせ]
有機発光デバイス中の具体的な層に有用として本明細書に記載した物質は、そのデバイス中に存在するその他の広範囲にわたる物質と組み合わせて用いることができる。例えば、本明細書に開示した発光ドーパントは、存在してもよい広い範囲のホスト、輸送層、阻止層、注入層、電極、及びその他の層と組み合わせて用いることができる。以下に記載乃至言及した物質は、本明細書に記載した化合物と組み合わせて有用でありうる物質の非限定例であり、当業者は組み合わせて有用でありうるその他の物質を特定するために文献を容易に参考にすることができる。
【0116】
〔HIL/HTL〕
【0117】
本発明に用いられる正孔注入/輸送物質は特に限定されず、その化合物が通常、正孔注入/輸送物質として用いられる限り任意の化合物を用いることができる。この物質の例には以下のものが含まれるがそれらに限定されない:
フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フルオロ炭化水素を含むポリマー;導電性ドーパントを伴うポリマー;導電性ポリマー、例えば、PEDOT/PSS;ホスホン酸及びシラン誘導体などの化合物から誘導される自己組織化モノマー;金属酸化物誘導体、例えば、MoOx;p型半導体有機化合物、例えば、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル;金属錯体、及び架橋性化合物。
【0118】
HIL又はHTLに用いられる芳香族アミン誘導体の例には以下の構造のものが含まれるがそれらに限定されない。
【化44】
【0119】
Ar1〜Ar9のそれぞれは、芳香族炭化水素環式化合物からなる群、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン;芳香族ヘテロ環化合物からなる群、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジン;及び、前記の芳香族炭化水素環式基及び前記の芳香族ヘテロ環式基から選択された同じ種類又は異なる種類の基である2〜10の環状構造単位からなり、互いに直接又は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位、及び脂肪族環式基のうちの少なくとも1つを介して結合された基、から選択される。式中、各Arは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基でさらに置換されている。
【0120】
一つの側面では、Ar1〜Ar9は以下のものからなる群から独立に選択される。
【化45】
【0121】
kは1〜20の整数であり;X1〜X8はC(CHも含めて)又はNであり;Ar1は上で定義したものと同じ基を有する。
【0122】
HIL又はHTLに用いる金属錯体の例には以下の一般式のものが含まれるがそれらに限定されない。
【化46】
【0123】
Mは40より大きな原子量を有する金属であり;(Y1−Y2)は二座配位子であり、Y1及びY2は独立に、C、N、O、P、及びSから選択され;Lは補助配位子であり;mは1からその金属に結合しうる配位子の最大数までの整数値であり;m+nはその金属に結合しうる配位子の最大数である。
【0124】
一つの側面では、(Y1−Y2)は2−フェニルピリジン誘導体である。
【0125】
別の側面では、(Y1−Y2)はカルベン配位子である。
【0126】
別の側面では、Mは、Ir、Pt、Os、及びZnから選択される。
【0127】
さらなる側面では、この金属錯体は、溶液中でFc+/Fcカップルに対して約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
【0128】
〔ホスト〕
【0129】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光物質として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、その金属錯体をドーパント物質として用いるホスト物質を含んでいてもよい。ホスト物質の例は特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントの三重項エネルギーよりも大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を用いることができる。
【0130】
ホストとして用いられる金属錯体の例は、以下の一般式を有することが好ましい。
【化47】
【0131】
Mは金属であり;(Y3−Y4)は二座配位子であって、Y3及びY4は独立にC、N、O、P、及びSから選択され;Lは補助配位子であり;mは1からその金属に結合しうる配位子の最大数までの整数値であり;且つ、m+nはその金属に結合しうる配位子の最大数である。
【0132】
一つの側面では、金属錯体は、
【化48】
である。
【0133】
(O−N)は二座配位子であり、金属をO及びN原子に配位させている。
【0134】
別の側面では、MはIr及びPtから選択される。
【0135】
さらなる側面では、(Y3−Y4)はカルベン配位子である。
【0136】
ホストとして用いられる有機化合物の例は、以下のものからなる群から選択される:芳香族炭化水素環状化合物、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン;芳香族ヘテロ環状化合物からなる群、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジン;並びに、前記の芳香族炭化水素環状基及び前記の芳香族ヘテロ環状基から選択される同じか又は異なる種類の基であり、且つ酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位、及び脂肪族環状基のうちの少なくとも1つを介して又は直接、互いに結合されている2〜10の環状構造単位からなる群。ここで各基は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基でさらに置換されている。
【0137】
一つの側面では、ホスト化合物はその分子内に以下の基のうちの少なくとも1つを含む:
【化49】
【0138】
R1〜R7は独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合には、それは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0139】
kは0〜20の整数である。
【0140】
X1〜X8はC(CHも含めて)又はNから選択される。
【0141】
〔HBL〕
【0142】
正孔阻止層(HBL)は、発光層を離れる正孔及び/又は励起子の数を減らすために用いることができる。デバイスにおけるそのような阻止層の存在は、阻止層をもたない類似のデバイスと比較して実質的に高い効率をもたらしうる。また、阻止層は、OLEDの所望の領域に発光を閉じ込めるために用いることもできる。
【0143】
一つの側面では、HBLに用いられる化合物は、上述したホストして用いられるものと同じ分子を含む。
【0144】
別の側面では、HBLに用いられる化合物は、その分子中に以下の基のうち少なくとも1つを含む:
【化50】
【0145】
kは0〜20の整数であり;Lは補助配位子であり、mは1〜3の整数である。
【0146】
〔ETL〕
【0147】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送できる物質を含むことができる。電子輸送層はその本来的性質(非ドープ)であるか、あるいはドープされていてもよい。ドーピングは導電性を高めるために用いることができる。ETL物質の例は特に限定されず、それらが電子を輸送するために通常用いられる限り、任意の金属錯体又は有機化合物を用いることができる。
【0148】
一つの側面では、ETLに用いる化合物は、その分子内に以下の基のうち少なくとも1つを含む。
【化51】
【0149】
R1は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合には、それは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0150】
Ar1〜Ar3は上述したAr類と同様の定義を有する。
【0151】
kは0〜20の整数である。
【0152】
X1〜X8はC(CHも含めて)又はNから選択される。
【0153】
別の側面では、ETLに用いられる金属錯体には以下の一般式のものが含まれるがこれらには限定されない。
【化52】
【0154】
(O−N)又は(N−N)は二座配位子であり、金属をO,N、又はN,N原子に配位させ;Lは補助配位子であり;mは、1からその金属に結合できる配位子の最大数までの整数値である。
【0155】
OLEDデバイスの各層に用いられる任意の上述した化合物においては、その水素原子は部分的に又は完全に重水素化されていることができる。
【0156】
本明細書に開示した物質に加えて、及び/又はそれと組み合わせて、多くの正孔注入物質、正孔輸送物質、ホスト物質、ドーパント物質、励起子/正孔阻止層物質、電子輸送及び電子注入物質をOLEDに用いてもよい。本明細書に開示した物質と組み合わせてOLEDに用いてもよい物質の非限定的な例を以下の表1に列挙している。表1には、非限定的な物質群、各群についての錯体の非限定的な例、及びその物質を開示している参考文献を挙げている。
【0157】
【表1】
【0158】
【表2】
【0159】
【表3】
【0160】
【表4】
【0161】
【表5】
【0162】
【表6】
【0163】
【表7】
【0164】
【表8】
【0165】
【表9】
【0166】
【表10】
【0167】
【表11】
【0168】
【表12】
【0169】
【表13】
【0170】
【表14】
【0171】
【表15】
【0172】
【表16】
【0173】
【表17】
【0174】
【表18】
【0175】
【表19】
【0176】
【表20】
【0177】
【表21】
【0178】
【表22】
【0179】
【表23】
【実施例】
【0180】
[合成例]
【0181】
例1.化合物1の合成
【化53】
【0182】
4−(3−クロロフェニル)−1H−イミダゾールの合成
80mLのホルムアミド中の2−ブロモ−1−(3−クロロフェニル)エタノン(20.15 g, 86 mmol)を250mLの丸底フラスコに入れ、その反応混合物を165℃に2.5時間加熱した。その反応物を次に冷やして、固体を濾過し、水で洗った。濾液をpH12に塩基性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を粗生成物固体と一緒にし、DCM中3〜5%MeOHを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけて、10.9g(71%)の4−(3−クロロフェニル)−1H−イミダゾールを固体として得た。
【0183】
【化54】
【0184】
4−(3−クロロフェニル)−1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾールの合成
耐圧フラスコに4−(3−クロロフェニル)−1H−イミダゾール(10.82 g, 60.6 mmol)及び2−ヨード−1,3−ジメチルベンゼン(16.87 g, 72.7 mmol)を仕込んだ。その反応混合物をDMF(60 mL)で希釈し、ヨウ化銅(I)(1.1 g, 6.1 mmol)、N,N−ジメチルエタン−1,2−ジアミン(2.6 mL, 24.2 mmol)、及び炭酸セシウム(23.68 g, 72.7 mmol)を添加した。窒素で脱ガスした後、反応混合物を油浴中で160℃に48時間撹拌し、その後、酢酸エチルで希釈し、セライトを通して濾過した。濾液をLiCl水溶液、食塩水、及び水で洗った。生成物を、DCM中0〜5%のEtOAcを用いてシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製して、3.8g(22%)の4−(3−クロロフェニル)−1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾールを得た。
【0185】
【化55】
【0186】
3−(1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾール−4−イル)−N−(3−(1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾール−4−イル)フェニル)−N−フェニルアニリンの合成
トルエン(200 mL)中の4−(3−クロロフェニル)−1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾール(5.4 g, 19.1 mmol)とアニリン(0.87 ml, 9.5 mmol)を、500mL丸底フラスコ中に入れた。ナトリウムtert−ブトキシド(4.0 g, 41.9 mmol)とジシクロへキシル(2′,6′−ジメトキシ−[1,1′−ビフェニル]−2−イル)ホスフィン(0.783 g, 1.906 mmol)を添加し、その反応混合物を脱ガスした後、Pd2(dba)3(0.44 g, 0.48 mmol)を添加した。これを脱気し、窒素を入れて満たした。反応物を24時間還流しながら撹拌した。その混合物を次にセライトを通して濾過した。次に、濾液を濃縮し、ヘキサン中10〜25%酢酸エチル、次にDCM中10%酢酸エチルを用いてシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、2.8g(51%)の3−(1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾール−4−イル)−N−(3−(1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾール−4−イル)フェニル)−N−フェニルアニリンを白色固体として得た。
【0187】
【化56】
【0188】
化合物1の合成
酢酸(100 mL)中の3−(1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾール−4−イル)−N−(3−(1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾール−4−イル)フェニル)−N−フェニルアニリン(1.7 g, 2.9 mmol)及び四塩化白金酸カリウム(1.2 g, 2.9 mmol)を250mLのフラスコに入れ、赤色の懸濁液を得た。その懸濁液を窒素でパージした。その反応混合物を48時間還流しながら撹拌し、その時点で室温に冷やし、100mLの水を添加した。生成物を濾過し、2:1のジクロロメタン:ヘキサンを用いてシリカ上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、0.72g(33%)の化合物1を黄色固体として得た。
【0189】
例2.化合物2の合成
【化57】
【0190】
3−(1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾール−4−イル)−N−フェニルアニリンの合成
500mLの丸底フラスコに、トルエン(200 mL)中の4−(3−クロロフェニル)−1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾール(5.39 g, 19.06 mmol)とアニリン(0.870 mL, 9.53 mmol)を仕込んだ。ナトリウムtert−ブトキシド(4.03 g, 41.9 mmol)及びジシクロへキシル(2′,6′−ジメトキシ−[1,1′−ビフェニル]−2−イル)ホスフィン(0.783 g, 1.90 mmol)を添加し、その反応混合物を窒素で脱ガスした後、Pd2(dba)3(0.436 g, 0.477 mmol)を添加した。その反応フラスコを脱気し、窒素を入れて満たし、次に24時間還流しながら撹拌した。セライトを通して未反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、ジクロロメタン中10%酢酸エチルを用いるカラムクロマトグラフィーを用いて精製して、1.4g(42%)の3−(1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾール−4−イル)−N−フェニルアニリンを固体として得た。
【0191】
【化58】
【0192】
1−(3−ブロモフェニル)−1H−ピラゾールの合成
ジオキサン(400 mL)中の1−ブロモ−3−ヨードベンゼン(18.20 g, 64.3 mmol)、1H−ピラゾール(4.38 g, 64.3 mmol)及び(1S,2S)−シクロヘキサン−1,2−ジアミン(1.5 g, 12.9 mmol)を、1Lの丸底フラスコに入れた。ヨウ化銅(I)(0.613 g, 3.22 mmol)及び炭酸カリウム(17.78 g, 129 mmol)を添加し、反応混合物を19時間還流させながら撹拌した。未精製混合物を次ぎにセライトの詰め物を通して濾過した。濾液を400mLのジクロロメタンで希釈し、水で洗った。有機層を濃縮し、ヘキサン中5%酢酸エチルを用いてシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、7.3g(51%)の1−(3−ブロモフェニル)−1H−ピラゾールを白色固体として得た。
【0193】
【化59】
【0194】
N−(3−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−3−(1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾール−4−イル)−N−フェニルアニリンの合成
250mLの丸底フラスコに、トルエン(80 mL)中の3−(1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾール−4−イル)−N−フェニルアニリン(1.35 g, 3.98 mmol)、1−(3−ブロモフェニル)−1H−ピラゾール(0.89 g, 3.98 mmol)、及びナトリウムtert−ブトキシド(0.459 g, 4.77 mmol)を仕込んだ。Pd2(dba)3(0.091 g, 0.099 mmol)及びジシクロへキシル(2′,6′−ジメトキシ−[1,1′−ビフェニル]−2−イル)ホスフィン(0.163 g, 0.398 mmol)を添加した。反応フラスコを脱気し、窒素を入れて満たした(2回)。その反応物を18時間還流しながら撹拌し、その時間の後、未精製混合物を濃縮し、ジクロロメタン−ヘキサン1:1、次にジクロロメタン、最後にジクロロメタン中1〜5%酢酸エチルで勾配をつけたもので溶離させることを含むカラムクロマトグラフィーを使用して精製した。これによって、1.18g(62%)のN−(3−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−3−(1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾール−4−イル)−N−フェニルアニリンを淡黄色泡状物として得た。
【0195】
【化60】
【0196】
化合物2の合成
N−(3−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−3−(1−(2,6−ジメチルフェニル)−1H−イミダゾール−4−イル)−N−フェニルアニリン(1.2 g, 2.5 mmol)及び四塩化白金酸カリウム(1.0 g, 2.5 mmol)を酢酸(100 mL)に添加し、その混合物を、窒素を用いて完全に脱ガスさせ、次に130℃(浴温度)に14時間加熱した。その反応物を室温に冷やし、100mLの水を添加した。20分間撹拌した後、反応混合物を小さなセライト床を通して濾過し、多量の水と次にメタノールで洗った。乾燥させた後、DCMを用いて、セライトから固体を洗い流した。得られた濾液をロータリーエバポレーターで蒸発させて1.4gの黄色固体を得た。その未精製物質を、9:1のDCM:ヘキサンを用いてシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、0.94gの化合物2を黄色固体として得た(HPLC純度:97.7%)。生成物はNMR及びLC/MSで確認した。
【0197】
[デバイス例]
全てのデバイス例は、高真空(<10−7Torr)熱蒸着によって作製した。アノード電極は、800Åのインジウム錫オキシド(ITO)である。カソードは、10ÅのLiFとそれに続く1000ÅのAlからなる。全てのデバイスは、作製後直ちに窒素グローブボックス(<1ppmのH2O及びO2)中でエポキシ樹脂を用いてシールしたガラス蓋で密封し、吸湿剤をそのパッケージ内に組み込んだ。
【0198】
デバイスの有機積層部はITO表面から順に、正孔注入層(HIL)として100ÅのLG101(LGケム社から購入した)、正孔輸送層(HTL)として300ÅのNPD又はTAPC、発光層(EML)として、15%又は20%の発光物質でドープしたUGH3、阻止層(BL)として50Åの化合物B、そして電子輸送層(ETL)として300ÅのAlq又は3TPYMB、からなっていた。
【0199】
本明細書で用いるとおり、下記の化合物は下記の構造を有する。
【化61】
【0200】
デバイス例を表2に詳細に示しており、対応するデータを表3にまとめている。
【0201】
【表24】
【0202】
【表25】
【0203】
DFT計算を用いて、本発明の化合物及び比較化合物の特性を予測した。各構造に対するHOMO、LUMO、HOMO−LUMOエネルギーギャップ、及び三重項エネルギーをガウシアンソフトウェアパッケージでのDFT計算を用いて、B3LYP/cep−31g機能及び基本セットにて計算した。DFT計算を表4にまとめてある。
【0204】
【表26】
【0205】
【表27】
【0206】
【表28】
【0207】
【表29】
【0208】
表4は、5員の炭素環又はヘテロ環をもつ配位子をただ一つ含む化合物、すなわち、比較化合物1及び2と比較した、それぞれが5員の炭素環又はヘテロ環を含む2つの配位子を含む一連のイミダゾールPt(II)化合物、すなわち、化合物1〜6について、HOMO、LUMOエネルギーレベル、そのHOMO−LUMOエネルギーギャップ、及び三重項エネルギーを示している。発光性有機金属化合物において中性で配位する最も一般的な芳香族6員環はピリジンである。この表において、6員環を5員環ヘテロ環で置き換えることは、エネルギーレベル及び三重項エネルギーを調節することに関する利点をもたらすことがわかる。例えば、ピリジンをもつ比較化合物1は、−1.65eVのLUMOエネルギー及び567nmの三重項を有することが予測される。全ての場合において、ピリジンが5員環ヘテロ環、例えば、イミダゾール、ピラゾール、及びイミダゾールカルベンによって置換された場合、所望の青色発光をもつ化合物を可能にする、より高いエネルギーのLUMOと三重項をもたらす。
【0209】
比較例3及び4は、上記のねじれたアリールの本発明の化合物2及び7に類似している。上記データから、ねじれたアリールをもたない化合物は有意に、より低い三重項エネルギーを有することがわかり、このことはN−アリール置換の上での増大した非局在化によると考えられる。例えば、比較化合物3の527nmと比べて、化合物2は486nmの三重項波長を有すると計算されている。このN−アリール置換基上でのさらなる非局在化の影響は、ねじれたアリールを採用することによって最小化することができる。例えば、589nmの三重項波長を有する比較例4のねじれていない化合物と比べて、化合物7は537nmの三重項波長を有する。
【0210】
比較化合物5は本発明の化合物と類似した配位子を有するけれども、環Aが窒素原子を介して白金に結合されている四座配位化合物を示している。特に、比較化合物5は、ねじれたアリールイミダゾールと中性ピリジン、すなわち環Aとを有する第一の配位子と、アニオン性イミダゾール及びベンゼンを有する第二の配位子を含んでいる。逆に言えば、本発明の化合物の5員環は両方とも、電気的中性で結合した窒素キレート、例えば、イミダゾールであり、且つその6員環は芳香族炭素キレート、例えば、フェニルである。上記データからは、本発明の化合物が高い三重項発光をもたらしうることがわかる。例えば、比較化合物5は、計算によって、755nmの大いに低い三重項エネルギーを有することが予期される。
【0211】
DFT計算に基づけば、比較化合物5の三重項遷移は、酸素によって架橋された配位子の一方から他方への配位子内電荷移動遷移(ILCT)に基づくことができる。比較化合物5のHOMOは、その5員環アニオン窒素キレート及びフェニル環の上に主に局在化されており、そのLUMOは中性の配位されたピリジン及びイミダゾール上に局在化されている。したがって、窒素原子を介して白金に結合された環Aを有する化合物の光物性は、本発明の化合物について予測される典型的な金属−配位子電荷移動(MLCT)特性とは非常に異なりうる。例えば、比較化合物5の計算されたLUMOは−2.24eVであるが、化合物1の計算されたLUMOは−0.97eVである。したがって、窒素原子を介しての白金への環Aの配位は、三重項エネルギーの大きな且つ望ましくない低下をもたらしうる。それに代わり、環Aが炭素原子を介して白金に配位している本発明の化合物は、高い三重項エネルギーを有することができる。
【0212】
本明細書に記載した様々な態様は例示のみを目的とし、本発明の範囲を限定することを意図していないことが理解される。例えば、本明細書に記載した多くの物質及び構造は、本発明の精神から離れることなく、その他の物質及び構造で置き換えることができる。特許請求の範囲に記載した本発明は、したがって、本明細書に記載した具体的な例及び好ましい態様からの変形を含むことができ、それは当業者には明らかである。本発明が何故機能するのかについての様々な理論は限定することを意図していないことが理解される。
図1
図2
図3