(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、油圧式プレスブレーキについて種々の開発がなされており、従来の一般的な油圧式プレスブレーキの構成について簡単に説明すると、次のようになる。
【0003】
一般的な油圧式プレスブレーキは、本体フレームを具備しており、この本体フレームの下部には、ダイを着脱可能に保持する下部テーブルが設けられている。また、本体フレームの上部には、パンチを着脱可能に保持する上部テーブルが下部テーブルに上下に対向しかつ昇降可能(上下方向へ移動可能)に設けられている。
【0004】
本体フレームにおけるテーブル(下部テーブル及び上部テーブル)の長手方向の両側には、上部テーブルを昇降させる昇降シリンダがそれぞれ設けられている。また、各昇降シリンダは、筒状のシリンダ本体、及びシリンダ本体内に昇降可能に設けられたピストンを備えており、シリンダ本体内は、ピストンによって上部油圧室と下部油圧室に上下に区画されている。
【0005】
本体フレームの適宜位置には、各昇降シリンダの上部油圧室及び下部油圧室に圧油を供給するピストンポンプが設けられている。また、ピストンポンプは、ポンプ回転軸、このポンプ回転軸を回転させる回転モータ、及びポンプ回転軸に対して傾斜した斜板を備えており、ポンプ回転軸に対する斜板の傾斜角は一定(不変)であって、その傾斜角によってポンプ吐出流量が設定されている。
【0006】
ここで、上部テーブルの昇降速度は、昇降シリンダの作動状態が無負荷状態にある場合に高速に設定されてあって、昇降シリンダの作動状態が高負荷状態にある場合に低速に設定されている。
【0007】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1及び特許文献2に示すものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年、地球環境保護の観点から、産業界において省エネルギー化の要請が強まっており、それに伴い、曲げ加工等のプレス加工の分野においても、ピストンポンプの回転モータ等の電気機器の消費電力の低減による省エネルギー化が急務になってきている。
【0010】
そこで、本発明は、ピストンポンプの回転モータの消費電力の低減による省エネルギー化を図ることができる、新規な構成の油圧式プレスブレーキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の特徴は、パンチとダイの協働によって板状のワークに対して曲げ加工を行う油圧式プレスブレーキにおいて、
本体フレームの下部に設けられ、前記ダイ
を保持する下部テーブルと、
前記本体フレームの上部
に設けられ、前記下部テーブルに対して相対的に昇降可能(上下方向へ移動可能)であって、前記パンチ
を保持する上部テーブルと、
筒状のシリンダ本体、及び前記シリンダ本体内に相対的に昇降可能に設けられたピストンを備え、前記シリンダ本体内が前記ピストンによって一対の油圧室に上下に区画され、前記上部テーブルを前記下部テーブルに対して相対的に昇降させる昇降シリンダと、
ポンプ回転軸、前記ポンプ回転軸を回転させる回転モータ
、前記ポンプ回転軸に対して傾動可能でかつ傾動によってポンプ吐出流量を可変とする斜板
、及び前記斜板を傾動させるためのパイロット室を備え、前記昇降シリンダの前記油圧室に圧油を供給するピストンポンプと、
を具備し、
前記ピストンポンプは、前記パンチがワークに接触する接触直前位置に位置したこと又はワークに接触したことが検出されると、前記パイロット室にパイロット圧が作用して、前記斜板が基準のポンプ吐出流量に対応する基準の傾斜位置から、前記基準のポンプ吐出流量よりも小さい小流量用のポンプ吐出流に対応する小流量の傾斜位置まで傾動するように構成され、
前記昇降シリンダの作動状態が高負荷状態にある場合における前記ピストンポンプのポンプ吐出圧と前記小流量用のポンプ吐出流量を乗算した値は、前記昇降シリンダの作動状態が無負荷状態にある場合における前記ピストンポンプのポンプ吐出圧と前記基準のポンプ吐出流量を乗算した値以下に設定されていることを要旨とする。
【0012】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、別部材を介して間接的に設けられたことを含む意である。また、「回転モータ」とは、前記ポンプ回転軸を正方向及び逆方向へ回転させるサーボモータ、インバータモータ等の制御モータを含む意である。更に、「前記昇降シリンダの作動状態が無負荷状態にあるとき」とは、前記昇降シリンダが軽負荷状態にあるときを含む意であって、「前記昇降シリンダの作動状態が高負荷状態にあるとき」とは、前記昇降シリンダが加圧状態にあることである。
【0013】
本発明の特徴によると、前記ダイ上の所定位置にワークをセットした状態で、前記ピストンポンプの前記回転モータの駆動により前記ポンプ回転軸を回転させて、換言すれば、前記ピストンポンプを稼働させて、前記昇降シリンダの一方の前記油圧室に圧油を供給すると共に、前記昇降シリンダの他方の前記油圧室から圧油を排出する。これにより、前記上部テーブルを前記下部テーブルに対して相対的に下降させて、前記パンチと前記ダイの協働によりワークに対して曲げ加工を行うことができる。
【0014】
ワークに対して曲げ加工を行った後、前記ピストンポンプを稼働させて、前記昇降シリンダの他方の前記油圧室に圧油を供給すると共に、前記昇降シリンダの一方の前記油圧室から圧油を排出する。これにより、前記上部テーブルを前記下部テーブルに対して相対的に上昇させて、前記所定の相対的な高さ位置に位置させることができる(前記油圧式プレスブレーキの通常の作用)。
【0015】
前記油圧式プレスブレーキの通常の作用の他に、前記ピストンポンプの前記斜板の傾動によって前記ピストンポンプのポンプ吐出流量を可変としてあって、前記昇降シリンダの作動状態が高負荷状態にある場合に前記ピストンポンプのポンプ吐出流量が前記基準のポンプ吐出流量よりも小さい前記小流量用のポンプ吐出流量に設定されているため、前記昇降シリンダの作動状態が高負荷状態にある場合における前記ピストンポンプの前記回転モータのトルクを下げることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、前記昇降シリンダの作動状態が高負荷状態にある場合における前記回転モータのトルクを下げることができるため、前記ピストンポンプの前記回転モータの消費電力を低減して、省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1(a)は、本発明の実施形態に係る油圧システムを示す図、
図1(b)は、本発明の実施形態に係る油圧システムの動作を説明する図である。
【
図2】
図2(a)は、本発明の実施形態に係る油圧システムの動作を説明する図、
図2(b)は、本発明の実施形態に係る油圧システムの動作を説明する図である。
【
図3】
図3は、上部テーブルの高さ位置及び電磁切換弁の作動状態についてタイムチャート図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る双方向ピストンポンプのポンプ吐出圧とポンプ吐出流量との関係を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る油圧式プレスブレーキの動作を示すフローチャート図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る油圧式プレスブレーキの模式的な正面図である。
【
図7】
図7は、本発明の別の実施形態に係る油圧システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1実施形態について
図1から
図6を参照して説明する。なお、
図1(b)及び
図2(a)(b)において、白抜き矢印は圧油の流れを示してあって、
図7において、「L」は、左方向、「R」は、右方向、「FF」は、前方向、「FR」は、後方向、「U」は、上方向、「D」は、下方向をそれぞれ指している。
【0019】
図6に示すように、本発明の実施形態に係る油圧式プレスブレーキ1は、パンチ3とダイ5の協働によって板状のワークWに対して曲げ加工を行うものであって、本体フレーム7をベースとして具備している。また、本体フレーム7は、左右方向に離隔対向した一対のサイドプレート9と、一対のサイドプレート9を連結する連結部材(図示省略)等をからなるものである。
【0020】
本体フレーム7の下部には、ダイ5を着脱可能に保持する下部テーブル11が設けられており、この下部テーブル11は、左右方向へ延びてある。また、本体フレーム7の上部には、パンチ3を着脱可能に保持する上部テーブル13が下部テーブル11に上下に対向しかつ昇降可能(上下方向へ移動可能)に設けられており、この上部テーブル13は、左右方向へ延びてある。
【0021】
図1(a)及び
図6に示すように、本体フレーム7の左右両側(上部テーブル13の長手方向の両側)には、上部テーブル13を昇降させる昇降シリンダ15がそれぞれ設けられている。また、各昇降シリンダ15は、筒状のシリンダ本体17、このシリンダ本体17内に昇降可能に設けられたピストン19、及びこのピストン19に一体的に設けられかつ上部テーブル13に連結されたピストンロッド21を備えており、シリンダ本体17内は、ピストン19によって上部油圧室23と下部油圧室25を上下に区画されている。
【0022】
本体フレーム7の適宜位置には、上部テーブル13の高さ位置を検出するリニアスケール等の位置検出センサ27が設けられており、この位置検出センサ27からの検出値を監視することよってパンチ3がワークWに接触する接触直前位置に位置したことが判るようになっている。換言すれば、位置検出センサ27は、パンチ3が前記接触直前位置に位置したことを検出するようになっている。また、昇降シリンダ15の適宜位置には、上部油圧室23の圧力を検出する圧力センサ29が設けられており、この圧力センサ29から検出値を監視することによってパンチ3がワークに接触したことが判るようになっている。換言すれば、圧力センサ29は、パンチ3がワークに接触したことを検出するようになっている。
【0023】
続いて、昇降シリンダ15を作動させるための油圧システムについて説明する。
【0024】
図1(a)に示すように、本体フレーム7(
図6参照)の適宜位置には、昇降シリンダ15の上部油圧室23及び下部油圧室25に選択して圧油を供給する双方向ピストンポンプ31が設けられている。また、双方向ピストンポンプ31は、ポンプ回転軸33、このポンプ回転軸33を正方向及び逆方向へ回転させる制御モータとしてのサーボモータ35、このポンプ回転軸33に対して傾動可能でかつ傾動によってポンプ吐出流量を可変とする斜板37、及び斜板37を傾動させるためのパイロット室39を備えている。
【0025】
ここで、
図1(a)、
図3、及び
図4に示すように、双方向ピストンポンプ31のポンプ吐出流量は、昇降シリンダ15の作動状態が無負荷状態にある場合に基準のポンプ吐出流量Qaに設定されてあって、かつ昇降シリンダ15の作動状態が高負荷状態にある場合に双方向ピストンポンプのサーボモータ35のトルクを下げるように基準のポンプ吐出流量Qaよりも小さい小流量用のポンプ吐出流量Qbに設定されている。また、昇降シリンダ15の作動状態が高負荷状態にある場合における双方向ピストンポンプ31のポンプ吐出流量Qbとポンプ吐出圧Pbを乗算した値(高負荷状態における双方向ピストンポンプ31の乗算値)Qb・Pbは、昇降シリンダ15の作動状態が無負荷状態にある場合における双方向ピストンポンプ31のポンプ吐出流量Qaとポンプ吐出圧Paを乗算した値(無負荷状態における双方向ピストンポンプ31の乗算値)Qa・Pa以下に設定されている。そして、双方向ピストンポンプ31は、パイロット室39にパイロット圧が作用すると、斜板37が基準のポンプ吐出流量Qaに対応する基準の傾斜位置(傾斜角度位置)θaから小流量用のポンプ吐出流量Qbに対応する小流量用の傾斜位置θbまで傾動するように構成されている。更に、双方向ピストンポンプ31は、パイロット室39のパイロット圧が解除されると、斜板37が小流量用の傾斜位置θbから基準の傾斜位置θaまで傾動復帰するように構成されている。
【0026】
なお、「昇降シリンダ15の作動状態が無負荷状態にある」ときとは、昇降シリンダ15が軽負荷状態にあるときを含む意であって、具体的には、上部テーブル13の下降を開始してから、パンチ3が前記接触直前位置に位置するか又はワークWに接触するまでの間のこと、及び、ワークWに対して曲げ加工を行った後であって上部テーブル13の上昇を開始してから、上部テーブル13が所定の高さ位置に位置(元の高さ位置に復帰)するまでの間のことをいう。また、「昇降シリンダ15の作動状態が高負荷状態にあるとき」とは、昇降シリンダ15が加圧状態にあることをいい、具体的には、パンチ3が前記接触直前位置に位置するか又はワークWに接触してから、ワークWに対して曲げ加工を行った後であって上部テーブル13の上昇を開始するまでの間のことをいう。
【0027】
図1(a)に示すように、双方向ピストンポンプ31の一方の吐出ポートには、第1メイン回路41の一端部が接続されており、この第1メイン回路41の他端部(他端部側)は、昇降シリンダ15の上部油圧室23に接続されている。また、双方向ピストンポンプ31の他方の吐出ポートには、第2メイン回路43の一端部が接続されており、この第2メイン回路43の他端部(他端部側)は、昇降シリンダ15の下部油圧室25に接続されている。双方向ピストンポンプ31のパイロット室39には、パイロット回路45の一端部が接続されており、このパイロット回路45の他端部は、第1メイン回路41の途中に接続されている。また、パイロット回路45の途中には、電磁切換弁47が配設されており、この電磁切換弁47は、パンチ3が前記接触直前位置に位置したこと又はワークWに接触したことが位置検出センサ27又は圧力センサ29によって検出されると、遮断状態から連通状態に切り換えるように構成されてあって、換言すれば、双方向ピストンポンプ31のパイロット室39にパイロット圧を作用させるようになっている。更に、電磁切換弁47は、ワークWに対して曲げ加工を行った後であって上部テーブル13の上昇を開始するときに、遮断状態から連通状態に切り換えるように構成されてあって、換言すれば、双方向ピストンポンプ31のパイロット室39のパイロット圧を解除するようになっている。なお、「遮断状態」とは、電磁切換弁47の入口ポートと出口ポートを遮断したOFF状態のことをいい、「連通状態」とは、電磁切換弁47の入口ポートと出口ポートを連通させたON状態のことをいう。
【0028】
第2メイン回路43の途中には、吸入回路49の一端部が接続されおり、この吸入回路49の他端部は、タンクTに接続されてあって、吸入回路49の途中には、タンクT側への圧油の流れを阻止する逆止弁51が配設されている。また、吸入回路49における逆止弁51と第2メイン回路43との間には、排出回路53の一端部が接続されており、この排出回路53の他端部は、タンクTに接続されてあって、排出回路53の途中には、圧力制御弁55が配設されている。
【0029】
第1メイン回路41の途中には、吸入回路57の一端部が接続されおり、この吸入回路57の他端部は、タンクTに接続されてあって、吸入回路57の途中には、タンクT側への圧油の流れを阻止する逆止弁59が配設されている。また、吸入回路57における逆止弁59と第1メイン回路41との間には、排出回路61の一端部が接続されており、この排出回路61の他端部は、タンクTに接続されてあって、排出回路61の途中には、圧力制御弁63が配設されている。
【0030】
図示は省略するが、上部テーブル13の昇降速度は、例えば特開2000−107814号公報、特開2001−121299号公報、特開2004−358518号公報等の示すような公知の構成によって、昇降シリンダ15の作動状態が無負荷状態にある場合に高速に設定されてあって、昇降シリンダ15の作動状態が高負荷状態にある場合に低速に設定されている。
【0031】
続いて、本発明の第1実施形態の作用及び効果について
図5等を参照して説明する。
【0032】
ワークWをダイ5に対して前後方向(テーブル11,13の長手方向に直交する方向)に位置決めして、ダイ5上の所定位置にセットする(
図5におけるステップS1)。次に、
図1(b)及び
図3に示すように、双方向ピストンポンプ31の斜板37を基準の傾斜位置θaに位置させた状態で、双方向ピストンポンプ31のサーボモータ35の駆動によりポンプ回転軸33を正方向へ回転させることにより、各昇降シリンダ15の下部油圧室25から第2メイン回路43に圧油を排出しながら、第1メイン回路41から各昇降シリンダ15の上部油圧室23に圧油を供給する。これにより、上部テーブル13を高速で下降させて、パンチ3をワークWに接近させることができる(
図5におけるステップS2)。
【0033】
そして、
図2(a)及び
図3に示すように、パンチ3が前記接触直前位置に位置したことが位置検出センサ27によって検出されると(
図5におけるステップS3)、電磁切換弁47を遮断状態(OFF状態)から連通状態(ON状態)に切り換えて(
図5におけるステップS4)、双方向ピストンポンプ31のパイロット室39にパイロット圧が作用して、双方向ピストンポンプ31の斜板37が基準の傾斜位置θaから小流量用の傾斜位置θbに傾動する(
図5におけるステップS5)。これにより、双方向ピストンポンプ31のポンプ吐出流量を基準のポンプ吐出流量Qaから小流量用のポンプ吐出流量Qbに切り換えて、上部テーブル13を低速で下降させて(
図5におけるステップS6)、パンチ3とダイ5の協働によりワークWに対して曲げ加工を行うことができる。なお、電磁切換弁47を遮断状態から連通状態に切り換えるタイミングは、パンチ3がワークWに接触したことが圧力センサ29によって検出されたときであっても構わない。
【0034】
曲げ加工の終了後に(
図5におけるステップS7)、
図2(b)及び
図3に示すように、電磁切換弁47を連通状態から遮断状態に切り換えて(
図5におけるステップS8)、双方向ピストンポンプ31のパイロット室39のパイロット圧が解除されると、双方向ピストンポンプ31の斜板37を小流量用の傾斜位置θbから基準の傾斜位置θaに傾動復帰させる。そして、双方向ピストンポンプ31のサーボモータ35の駆動によりポンプ回転軸33を逆方向へ回転させることにより、各昇降シリンダ15の上部油圧室23から第1メイン回路41に圧油を排出しながら、第2メイン回路43から各昇降シリンダ15の下部油圧室25に圧油を供給する。これにより、上部テーブル13を高速で上昇させて(
図5におけるステップS9)、元の高さ位置に位置(復帰)させることができる(
図5におけるステップS10)(油圧式プレスブレーキ1の通常の作用)。
【0035】
油圧式プレスブレーキ1の通常の作用の他に、双方向ピストンポンプ31の斜板37の傾動によって双方向ピストンポンプ31のポンプ吐出流量を可変としてあって、昇降シリンダ15の作動状態が高負荷状態にある場合に双方向ピストンポンプ31のポンプ吐出流量が基準のポンプ吐出流量Qaよりも小さい小流量用のポンプ吐出流量Qbに設定され、高負荷状態における双方向ピストンポンプ31の乗算値Qb・Pbが無負荷状態における双方向ピストンポンプ31の乗算値Qa・Pa以下に設定されているため、昇降シリンダ15の作動状態が高負荷状態にある場合における双方向ピストンポンプ31のサーボモータ35のトルクを十分下げることができる(油圧式プレスブレーキ1の特有の作用)。
【0036】
従って、本発明の第1実施形態によれば、前述の油圧式プレスブレーキ1の特有の作用を奏するため、双方向ピストンポンプ31のサーボモータ35の消費電力を低減して、省エネルギー化を図ることができると共に、双方向ピストンポンプ31のサーボモータ35のモータ容量を小さくして、油圧式プレスブレーキ1の製造コストの低減を図ることができる。
【0037】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について
図7を参照して説明する。
【0038】
本発明の別の実施形態においては、
図1(a)に示す油圧システムに代えて、
図6に示す油圧システムを用いており、本発明の別の実施形態に係る油圧システムの構成は、次のようになる。
【0039】
本体フレームの適宜位置には、昇降シリンダ15の上部油圧室23及び下部油圧室25に圧油を供給する一方向ピストンポンプ65が設けられている。また、一方向ピストンポンプ65は、ポンプ回転軸67、このポンプ回転軸67を回転させる回転モータとしてのインダクションモータ69、このポンプ回転軸67に対して傾動可能でかつ傾動によってポンプ吐出流量を可変とする斜板71、及び斜板71を傾動させるためのパイロット室73を備えている。
【0040】
ここで、一方向ピストンポンプ65のポンプ吐出流量は、双方向ピストンポンプ31のポンプ吐出流量と同様に、昇降シリンダ15の作動状態が無負荷状態にある場合に基準のポンプ吐出流量Qaに設定されてあって、かつ昇降シリンダ15の作動状態が高負荷状態にある場合に一方向ピストンポンプ65のインダクションモータ69のトルクを下げるように基準のポンプ吐出流量Qaよりも小さい小流量用のポンプ吐出流量Qbに設定されている。また、昇降シリンダ15の作動状態が高負荷状態にある場合における一方向ピストンポンプ65のポンプ吐出流量Qbとポンプ吐出圧Pbを乗算した値(高負荷状態における一方向ピストンポンプ65の乗算値)Qb・Pbは、昇降シリンダ15の作動状態が無負荷状態にある場合における一方向ピストンポンプ65のポンプ吐出流量Qaとポンプ吐出圧Paを乗算した値(無負荷状態における一方向ピストンポンプ65の乗算値)Qa・Pa以下に設定されている。そして、一方向ピストンポンプ65は、パイロット室73にパイロット圧が作用すると、斜板71が基準の傾斜位置θaから小流量用の傾斜位置θbまで傾動するように構成されている。更に、一方向ピストンポンプ65は、パイロット室73のパイロット圧が解除されると、斜板71が小流量用の傾斜位置θbから基準の傾斜位置θaまで傾動復帰するように構成されている。
【0041】
一方向ピストンポンプ65の吸入ポートには、吸入回路75の一端部が接続されており、この吸入回路75の他端部は、タンクTに接続されている。また、一方向ピストンポンプ65の吐出ポートには、吐出回路77の一端部が接続されており、この吐出回路77の他端部は、電磁方向制御弁79の一方の入口ポートに接続されており、電磁方向制御弁79は、中立位置、一方の入口ポートと一方の出口ポートを連通させかつ他方の入口ポートと他方の出口ポートを連通させた下降用切換位置、及び一方の入口ポートと他方の出口ポートを連通させかつ他方の入口ポートと一方の出口ポートを連通させた上昇用切換位置に切換可能である。ここで、一方向ピストンポンプ65を稼働させた状態で、電磁方向制御弁79を中立位置から下降用切換位置に切り換えることにより上部テーブル13を下降させると共に、電磁方向制御弁79を中立位置から上昇用切換位置に切り換えることにより上部テーブル13を上昇させるようになっている。
【0042】
電磁方向制御弁79の他方の入口ポートには、排出回路81の一端部が接続されており、この排出回路81の他端部は、タンクTに接続されている。また、電磁方向制御弁79の一方の出口ポートには、第1メイン回路83の一端部が接続されており、この第1メイン回路83の他端部(他端部側)は、昇降シリンダ15の上部油圧室23に接続されている。更に、電磁方向制御弁79の他方の出口ポートには、第2メイン回路85の一端部が接続されており、この第2メイン回路85の他端部(他端部側)は、昇降シリンダ15の下部油圧室25に接続されている。
【0043】
一方向ピストンポンプ65のパイロット室73には、パイロット回路87の一端部が接続されており、このパイロット回路87の他端部は、吐出回路77の途中に接続されている。また、パイロット回路87の途中には、電磁切換弁89が配設されており、この電磁切換弁89は、電磁切換弁47と同様の構成を有している。
【0044】
吐出回路77の途中における一方向ピストンポンプ65とパイロット回路87の他端部との間には、一方向ピストンポンプ65側への圧油の流れを阻止する逆止弁91が配設されている。また、吐出回路77の途中における逆止弁91とパイロット回路87の他端部との間には、排出回路93の一端部が接続されており、この排出回路93の他端部は、タンクTに接続されてあって、排出回路93の途中には、圧力制御弁95が配設されている。
【0045】
そして、本発明の別の実施形態に係る油圧システムを用いた場合でも、前述と同様の作用及び効果を奏するものである。
【0046】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限るものでなく、次のように種々の態様で実施可能である。即ち、昇降シリンダ15によって上部テーブル13を昇降させる代わりに、別の昇降シリンダ(図示省略)によって下部テーブル11を昇降さても構わない。また、双方向ピストンポンプ31(一方向ピストンポンプ65)のポンプ吐出流量を基準のポンプ吐出流量Qaと小流量のポンプ吐出流量Qbの2段階で可変させる代わりに、3段階以上又は無段階で可変させるようにしても構わない。更に、昇降シリンダ15の作動状態が無負荷状態にある場合における双方向ピストンポンプ31(一方向ピストンポンプ65)のポンプ吐出流量を基準のポンプ吐出流量Qaと小流量のポンプ吐出流量Qbうちのいずれかから選択できるようにしても構わない。そして、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。