特許第6061610号(P6061610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061610
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/768 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   H01L21/90 A
【請求項の数】8
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-230525(P2012-230525)
(22)【出願日】2012年10月18日
(65)【公開番号】特開2014-82400(P2014-82400A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年8月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 達矢
【審査官】 河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−043419(JP,A)
【文献】 特開2003−197738(JP,A)
【文献】 特開2007−173795(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/046361(WO,A1)
【文献】 特開2001−102446(JP,A)
【文献】 特開2003−037162(JP,A)
【文献】 特開2003−100871(JP,A)
【文献】 特開2006−134941(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/043634(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化シリコンよりも誘電率が低い低誘電率膜上に、少なくとも3層のハードマスク膜を形成する工程と、
フォトレジストをマスクとした前記ハードマスク膜のエッチングと、前記フォトレジストを除去するアッシング処理と、を繰り返すことにより、最上層に位置する前記ハードマスク膜である第1マスク膜にトレンチパターンを形成するとともに、前記第1マスク膜の下に位置する前記ハードマスク膜である第2マスク膜に平面視で前記トレンチパターンの内側に位置するビアパターンを形成する工程と、
前記第2マスク膜をマスクとして、最下層に位置する前記ハードマスク膜である第3マスク膜と前記低誘電率膜をエッチングし、前記第3マスク膜を貫通し前記低誘電率膜に至る凹部を形成する工程と、
前記第3マスク膜のうち前記トレンチパターン下に位置する部分をエッチングするとともに、前記低誘電率膜をエッチングして、前記凹部と重なるビアホールと、前記ビアホール上に位置し、かつ前記トレンチパターンと重なるトレンチと、を前記低誘電率膜に形成する工程と、
前記ビアホール内および前記トレンチ内に導電膜を埋め込む工程と、
を備え、
少なくとも3層の前記ハードマスク膜を形成する前記工程において、前記低誘電率膜上には、前記第3マスク膜、前記第2マスク膜および前記第1マスク膜が順に積層され、
前記第3マスク膜は前記第1マスク膜よりも膜厚が厚く、
前記第1マスク膜と前記第3マスク膜は、絶縁材料により構成され、
前記第2マスク膜は、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成される半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3マスク膜は、前記第1マスク膜にトレンチパターンを形成するためのエッチングにおいて前記第1マスク膜よりもエッチングされにくい材料により構成される半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
少なくとも3層の前記ハードマスク膜を形成する前記工程において、前記低誘電率膜上には、前記第3マスク膜、第4マスク膜、前記第2マスク膜および前記第1マスク膜が順に積層されてなる4層の前記ハードマスク膜が形成され、
前記第3マスク膜は前記第2マスク膜よりも膜厚が厚く、
前記第2マスク膜と前記第3マスク膜は、絶縁材料により構成され、
前記第1マスク膜と前記第4マスク膜は、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成される半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
少なくとも3層の前記ハードマスク膜を形成する前記工程において、前記低誘電率膜上には、前記第3マスク膜、前記第2マスク膜、第5マスク膜、第6マスク膜および前記第1マスク膜が順に積層されてなる5層の前記ハードマスク膜が形成され、
前記第3マスク膜は前記第1マスク膜及び前記第5マスク膜よりも膜厚が厚く
前記第1マスク膜、前記第3マスク膜および前記第5マスク膜は、絶縁材料により構成され、
前記第2マスク膜および前記第6マスク膜は、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成される半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ハードマスク膜を構成する絶縁材料は、SiO、SiN、SiCまたはSiCNである半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3マスク膜は、SiOにより構成される半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ハードマスク膜を構成する金属材料は、TiN、TaN、W、WSi、WNまたはTiWである半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1マスク膜は、W、WSi、WNまたはTiWにより構成される半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、例えばハードマスクを用いたエッチング工程を含む半導体装置の製造方法に適用可能な技術である。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法において、たとえばハードマスクを用いたエッチングにより配線層を形成する場合がある。このように、ハードマスクを用いたエッチングにより配線層を形成する工程を含む技術としては、例えば特許文献1〜3に開示されるものが挙げられる。
【0003】
特許文献1は、第一ハードマスク層と、第二ハードマスク層と、を順に積層してなる二重ハードマスクを用いた配線形成法に関するものである。第二ハードマスクが、アルミ化チタン、窒化アルミニウムチタン、窒化チタン、窒化アルミニウム、アルミ化タンタル及び窒化アルミニウムタンタルからなる群から選択された材料を含むことが記載されている。
特許文献2は、被エッチング絶縁膜上に、第1のマスク用絶縁膜と、金属または金属化合物と、第2のマスク用絶縁膜と、を順に形成する多層配線の製造方法に関するものである。特許文献3は、第1の絶縁ハードマスク層、第2の絶縁ハードマスク層、および第3の絶縁ハードマスク層からなる多層ハードマスク層を用いた半導体装置の製造方法に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−100871号公報
【特許文献2】国際公開第2007/043634号パンフレット
【特許文献3】特開2002−43419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デュアルダマシン構造を有する配線層の形成において、低誘電率膜からなる層間絶縁膜を、ハードマスクを用いてエッチングする場合がある。しかしながら、ハードマスクをパターニングする際のフォトレジストをアッシング処理により除去する際に低誘電率膜が露出していると、低誘電率膜がダメージを受けてしまうおそれがある。この場合、低誘電率膜の誘電率が上昇してしまうという問題が生じる。
【0006】
これを抑制するために、多層のマスク膜からなるハードマスクを使用する方法が検討されている。しかしながら、このようなハードマスクにおいては、隣接するマスク膜間におけるエッチング選択比を十分に確保することは困難であった。この場合、トレンチパターンやビアパターンを形成する際に、パターニング不良が生じるおそれがある。この場合、形成される配線の信頼性は低下してしまう。
このため、アッシング処理によるダメージを抑制しつつ、高い配線信頼性を実現することが可能な半導体装置の製造方法が求められていた。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、低誘電率膜上には、少なくとも3層のハードマスク膜が形成される。少なくとも3層のハードマスク膜は、最下層に位置するハードマスク膜である第3マスク膜、第3マスク膜上に位置するハードマスク膜である第2マスク膜、および最上層に位置するハードマスク膜である第1マスク膜を含む。そして、フォトレジストをマスクとしたエッチングにより第1マスク膜と第2マスク膜にそれぞれトレンチパターンとビアパターンを形成した後、第2マスク膜をマスクとして第3マスク膜をエッチングする。
また、少なくとも3層のハードマスク膜は、絶縁材料により構成されるハードマスク膜と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜と、が交互に積層されてなる。
【発明の効果】
【0008】
前記一実施の形態によれば、アッシング処理によるダメージを抑制しつつ、高い配線信頼性を実現することが可能な半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図2】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図3】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図6】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図7】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図8】第1の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図9】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図10】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図11】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図12】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図13】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図14】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図15】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図16】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図17】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図18】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図19】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図20】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1〜7は、第1の実施形態に係る半導体装置SM1の製造方法を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置SM1の製造方法は、以下のように行われる。
まず、酸化シリコンよりも誘電率が低い低誘電率膜上に、少なくとも3層のハードマスク膜HM1を形成する。ここでは、絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、が交互に積層される。
次に、フォトレジストをマスクとしたハードマスク膜HM1のエッチングと、フォトレジストを除去するアッシング処理を繰り返す。これにより、最上層に位置するハードマスク膜HM1である第1マスク膜MF1に、トレンチパターンを形成する。また、第1マスク膜MF1の下に位置するハードマスク膜HM1である第2マスク膜MF2に、平面視でトレンチパターンの内側に位置するビアパターンを形成する。
【0012】
次に、第2マスク膜MF2をマスクとして、最下層に位置するハードマスク膜HM1である第3マスク膜MF3と、低誘電率膜LF1をエッチングし、第3マスク膜MF3を貫通し低誘電率膜LF1に至る凹部RC1を形成する。
次に、第3マスク膜MF3のうちトレンチパターン下に位置する部分をエッチングするとともに、低誘電率膜LF1をエッチングする。これにより、凹部RC1と重なるビアホールVH1と、ビアホールVH1上に位置し、かつトレンチパターンと重なるトレンチWT1と、を低誘電率膜LF1に形成する。
次に、ビアホールVH1およびトレンチWT1内に、導電膜CM1を埋め込む。
このようにして、本実施形態に係る半導体装置SM1が得られる。
なお、本明細書においては、低誘電率膜LF1に配線を埋め込むトレンチに対応してハードマスク膜HM1に形成されるパターンを、トレンチパターンという。また、低誘電率膜LF1にビアプラグを埋め込むビアホールに対応してハードマスク膜HM1に形成されるパターンを、ビアパターンという。
【0013】
本実施形態によれば、低誘電率膜LF1上には、少なくとも3層のハードマスク膜HM1が形成される。少なくとも3層のハードマスク膜HM1は、最下層に位置するハードマスク膜HM1である第3マスク膜MF3、第3マスク膜MF3上に位置するハードマスク膜HM1である第2マスク膜MF2、および最上層に位置するハードマスク膜HM1である第1マスク膜MF1を含む。そして、フォトレジストをマスクとしたエッチングにより第1マスク膜MF1と第2マスク膜MF2にそれぞれトレンチパターンとビアパターンを形成した後、第2マスク膜MF2をマスクとして第3マスク膜MF3をエッチングする。これにより、フォトレジストをアッシング処理により除去する際に、低誘電率膜LF1を第3マスク膜MF3により保護することができる。このため、低誘電率膜LF1におけるアッシング処理によるダメージを抑制することができる。
【0014】
また、少なくとも3層のハードマスク膜HM1は、絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、が交互に積層されてなる。これにより、隣接するハードマスク膜HM1間におけるエッチング選択比を十分に確保することができる。このため、トレンチパターンやビアパターンを形成する際におけるパターニング不良の発生を抑制し、高い配線信頼性を実現することが可能となる。
【0015】
以下、本実施形態に係る半導体装置SM1の構成、およびその製造方法につき、詳細に説明する。
【0016】
まず、本実施形態に係る半導体装置SM1の構成について説明する。
図8は、本実施形態に係る半導体装置SM1を示す断面図である。図8に示すように、半導体装置SM1は、たとえば半導体基板SB1と、半導体基板SB1に設けられたトランジスタTR1と、複数の配線層WL1からなる多層配線構造を有している。
【0017】
半導体基板SB1は、たとえばシリコン基板である。半導体装置SM1には、トランジスタTR1を他の素子から電気的に分離するための素子分離膜EI1が設けられている。
トランジスタTR1は、ゲート絶縁膜GI1と、ゲート電極GE1と、サイドウォールSW1と、ソース・ドレイン領域SD1と、を有する。ゲート絶縁膜GI1は、半導体基板SB1上に設けられている。ゲート電極GE1は、ゲート絶縁膜GI1上に設けられている。サイドウォールSW1は、ゲート絶縁膜GI1およびゲート電極GE1の側面上に形成されている。ソース・ドレイン領域SD1は、半導体基板SB1に形成されている。ソース・ドレイン領域SD1は、たとえばゲート電極GE1、サイドウォールSW1および素子分離膜EI1をマスクとしたイオン注入により形成される。ソース・ドレイン領域SD1上には、たとえばシリサイド層SC1が形成されている。
【0018】
半導体基板SB1上には、トランジスタTR1を覆うようにエッチングストッパ膜ES2が形成されている。エッチングストッパ膜ES2上には、層間絶縁膜IL2が形成されている。層間絶縁膜IL2中には、層間絶縁膜IL2およびエッチングストッパ膜ES2を貫通してソース・ドレイン領域SD1に接続するコンタクトプラグCP1が形成されている。本実施形態においては、たとえばソース・ドレイン領域SD1上に設けられたシリサイド層SC1に接続するよう、コンタクトプラグCP1が形成される。
【0019】
層間絶縁膜IL2上には、複数の配線層WL1が積層されてなる多層配線層が形成されている。多層配線層は、エッチングストッパ膜ES1、エッチングストッパ膜ES1上に設けられる層間絶縁膜IL1、ならびに層間絶縁膜IL1中に形成される配線IC1およびビアプラグVP1により構成されている。層間絶縁膜IL1は、たとえば図1に示す低誘電率膜LF1により構成される。配線IC1およびビアプラグVP1は、たとえばこれらが一体として形成されたデュアルダマシン構造を有する。
【0020】
次に、本実施形態に係る半導体装置SM1の製造方法につき詳細に説明する。
本実施形態に係る半導体装置SM1は、半導体基板SB1上にトランジスタTR1を形成した後、トランジスタTR1上に複数の配線層WL1からなる多層配線構造を形成することにより得られる。
【0021】
各配線層WL1の形成は、以下のように行われる。
まず、図1(a)に示すように、配線IC1が埋め込まれた層間絶縁膜IL1上に、エッチングストッパ膜ES1、および低誘電率膜LF1を順に形成する。この低誘電率膜LF1は、配線層WL1の層間絶縁膜IL1を構成する。
ここで、配線IC1が埋め込まれた層間絶縁膜IL1は、当該工程において形成される上記配線層WL1の下層に位置する他の配線層WL1を構成する。なお、多層配線層のうち最下層に位置する配線層WL1を形成する場合には、当該工程において、層間絶縁膜IL2上にエッチングストッパ膜ES1および層間絶縁膜IL1が形成されることとなる。
【0022】
エッチングストッパ膜ES1は、下層に設けられた配線IC1を構成する導電材料が低誘電率膜LF1内へ拡散することを防止するバリア膜としても機能する。エッチングストッパ膜ES1は、たとえばSiCNにより構成される。
低誘電率膜LF1は、酸化シリコンよりも低い誘電率を有する。低誘電率膜LF1の比誘電率は、たとえば3以下であることが好ましく、2.5以下であることがさらに好ましい。これにより、配線間容量の増大を抑え、半導体装置の高速化、低消費電力化を十分に図ることができる。低誘電率膜LF1としては、たとえばポーラスSiCOH膜が用いられる。低誘電率膜LF1の膜厚は、たとえば100nm以上140nm以下である。
【0023】
次いで、低誘電率膜LF1上に、少なくとも3層のハードマスク膜HM1が形成される。
本実施形態では、低誘電率膜LF1上に、3層のハードマスク膜HM1が形成される。3層のハードマスク膜HM1は、最上層に位置するハードマスク膜HM1である第1マスク膜MF1、第1マスク膜MF1の下に位置するハードマスク膜HM1である第2マスク膜MF2、最下層に位置するハードマスク膜HM1である第3マスク膜MF3からなる。すなわち、低誘電率膜LF1上に、第3マスク膜MF3、第2マスク膜MF2、および第1マスク膜MF1が順に積層されることにより、3層のハードマスク膜HM1が形成される。
【0024】
少なくとも3層のハードマスク膜HM1は、絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、が交互に積層されてなる。
絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、の間においては、高いエッチング選択比を実現することができる。すなわち、一方をエッチングする際に、他方がエッチングされにくくなる。このため、互いに積層された複数のハードマスク膜HM1において、隣接するハードマスク膜HM1間におけるエッチング選択比を十分に確保することができる。したがって、本実施形態によれば、トレンチパターンやビアパターンを形成する際におけるパターニング不良の発生を抑制することが可能となる。
【0025】
ハードマスク膜HM1を構成する絶縁材料は、たとえばSiO、SiN、SiCまたはSiCNである。また、ハードマスク膜を構成する金属材料は、たとえばTiN、TaN、W、WSi、WNまたはTiWである。このような材料を選択することにより、絶縁材料からなるハードマスク膜HM1と、金属材料からなるハードマスク膜HM1と、の間において、高いエッチング選択比を実現することが可能となる。
【0026】
本実施形態においては、たとえば第1マスク膜MF1および第3マスク膜MF3が絶縁材料により構成され、第2マスク膜MF2が金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成される。この場合、低誘電率膜LF1上に、絶縁材料からなる第3マスク膜MF3が形成される。このため、ハードマスク膜HM1と低誘電率膜LF1との密着性を向上させることができる。したがって、低誘電率膜LF1からハードマスク膜HM1が剥離してしまう等の問題が生じることが抑制される。
【0027】
本実施形態では、第3マスク膜MF3は、SiOにより構成されることが好ましい。第3マスク膜MF3は、後述するアッシング処理工程において、低誘電率膜LF1を保護する保護膜として機能する。第3マスク膜MF3をSiOにより構成することで、酸素プラズマを用いたアッシング処理を行う場合に、低誘電率膜LF1をより確実に保護することが可能となる。
したがって、アッシング処理に起因したダメージにより、低誘電率膜LF1の誘電率が上昇してしまうことを確実に抑制することができる。
【0028】
また、第3マスク膜MF3は、たとえば第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成するためのエッチングにおいて第1マスク膜MF1よりもエッチングされにくい材料により構成される。このような構成は、たとえば第3マスク膜MF3をSiOにより構成し、第1マスク膜MF1をSiNにより構成することにより実現することができる。
これにより、後述する第1マスク膜MF1をエッチングしてトレンチパターンを形成する工程において、第3マスク膜MF3が除去され、低誘電率膜LF1が露出してしまうことを確実に抑制することが可能となる。
【0029】
なお、第1マスク膜MF1および第3マスク膜MF3が金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成され、第2マスク膜MF2が絶縁材料により構成されていてもよい。
この場合、第1マスク膜MF1は、たとえばW、WSi、WNまたはTiWにより構成されることが好ましい。これらの金属材料のフッ化物は、TiN、TaN等の金属材料のフッ化物と比較して、高い蒸気圧を有する。このため、最上層の第1マスク膜MF1をW、WSi、WNまたはTiWにより構成することにより、フルオロカーボン系のエッチングガスを用いたエッチングを行う際に、蒸気圧の低い金属フッ化物が発生することを抑制できる。したがって、金属フッ化物からなる残留物がトレンチパターン内に残留してしまうことを抑制することができる。
【0030】
第3マスク膜MF3の膜厚は、たとえば10nm以上30nm以下である。第2マスク膜MF2の膜厚は、たとえば5nm以上15nm以下である。第1マスク膜MF1の膜厚は、たとえば5nm以上15nm以下である。
このような膜厚を選択することにより、ハードマスクとしての機能を十分に実現することができる。また、ハードマスク膜HM1の膜厚が過剰に厚くなることにより除去が困難となるといった問題が生じることを抑制することができる。
【0031】
次に、フォトレジストをマスクとしたハードマスク膜HM1のエッチングと、フォトレジストを除去するアッシング処理を繰り返す。これにより、第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成するとともに、第2マスク膜MF2に平面視でトレンチパターンの内側に位置するビアパターンを形成する。以下、トレンチパターンおよびビアパターンを形成する当該工程について詳細に説明する。
まず、図1(b)に示すように、3層のハードマスク膜HM1上に、反射防止膜AR1およびフォトレジストPR1を順に形成する。次いで、露光・現像を行うことにより、フォトレジストPR1をパターニングする。
【0032】
次に、図2(a)に示すように、フォトレジストPR1をマスクとして、反射防止膜AR1および第1マスク膜MF1をエッチングする。これにより、第1マスク膜MF1に、開口OP1が形成される。当該エッチングは、たとえばドライエッチングにより行われる。
本実施形態において、絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、が交互に積層されている。このため、第1マスク膜MF1と、第1マスク膜MF1の直下に位置する第2マスク膜MF2と、の間において十分に高いエッチング選択比を実現することができる。すなわち、第1マスク膜MF1をエッチングする際に、第2マスク膜MF2がエッチングされてしまうことを抑制することができる。
【0033】
第1マスク膜MF1が絶縁材料により構成される場合、第1マスク膜MF1のエッチングは、たとえばフルオロカーボン系のエッチングガスを用いて行われる。この場合、第1マスク膜MF1と、金属材料からなる第2マスク膜MF2と、の間において十分に高いエッチング選択比を実現することができる。
なお、このような効果は、第1マスク膜MF1がSiNにより構成され、かつ第2マスク膜MF2がTiNにより構成される場合に、特に顕著に得られる。
【0034】
次に、図2(b)に示すように、フォトレジストPR1をマスクとして、第2マスク膜MF2をエッチングする。これにより、第2マスク膜MF2に、開口OP1と重なる開口OP2が形成される。当該エッチングは、たとえばドライエッチングにより行われる。本実施形態では、第2マスク膜MF2に設けられた開口OP2が、ビアパターンとなる。
本実施形態において、絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、が交互に積層されている。このため、第2マスク膜MF2と、第2マスク膜MF2の直下に位置する第3マスク膜MF3と、の間において十分に高いエッチング選択比を実現することができる。すなわち、第2マスク膜MF2をエッチングする際に、第3マスク膜MF3がエッチングされてしまうことを抑制することができる。
【0035】
第2マスク膜MF2が金属材料、アモルファスシリコン、または多結晶シリコンにより構成される場合、第2マスク膜MF2のエッチングは、たとえば塩素を含有したエッチングガスを用いて行われる。この場合、第2マスク膜MF2と、絶縁材料からなる第3マスク膜MF3と、の間において、約5という十分に高いエッチング選択比を実現することができる。
なお、このような効果は、第2マスク膜MF2がTiNにより構成され、かつ第3マスク膜MF3がSiOにより構成される場合に、特に顕著に得られる。
【0036】
次に、図3(a)に示すように、フォトレジストPR1および反射防止膜AR1を除去する。フォトレジストPR1および反射防止膜AR1は、たとえば酸素含有ガスを用いたプラズマアッシング処理により除去される。
本実施形態によれば、フォトレジストPR1を除去する当該工程において、低誘電率膜LF1は第3マスク膜MF3により覆われており、開口OP2から露出していない。このため、アッシング処理に起因して低誘電率膜LF1にダメージが生じることを抑制できる。
【0037】
次に、図3(b)に示すように、3層のハードマスク膜HM1上に、反射防止膜AR2およびフォトレジストPR2を順に形成する。反射防止膜AR2は、たとえば開口OP1および開口OP2を埋め込むように設けられる。次いで、露光・現像を行うことにより、フォトレジストPR2をパターニングする。
【0038】
次に、図4(a)に示すように、フォトレジストPR2をマスクとして、反射防止膜AR2および第1マスク膜MF1をエッチングする。これにより、第1マスク膜MF1に、開口OP1からなるトレンチパターンが形成される。トレンチパターンは、たとえば第2マスク膜MF2に形成されたビアパターンが平面視でトレンチパターンの内側に位置するように形成される。この場合、第1マスク膜MF1に形成されていた開口OP1が拡張するように、第1マスク膜MF1がエッチングされることとなる。当該エッチングは、たとえばドライエッチングにより行われる。
なお、トレンチパターンは、配線IC1を埋め込むトレンチを形成するためのパターンである。このため、トレンチパターンは、たとえば一の方向に延在するように形成される。
【0039】
本実施形態において、絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、が交互に積層されている。このため、第1マスク膜MF1と、第1マスク膜MF1の直下に位置する第2マスク膜MF2と、の間において十分に高いエッチング選択比を実現することができる。すなわち、第1マスク膜MF1をエッチングする際に、第2マスク膜MF2がエッチングされてしまうことを抑制することができる。したがって、トレンチパターンを形成するためのエッチングによりビアパターンが変形してパターニング不良を引き起こす等の問題が生じることを抑制することが可能となる。
【0040】
第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成する工程の後において、開口OP2下には低誘電率膜LF1を覆う第3マスク膜MF3が残存する。このため、フォトレジストPR2を除去するためのアッシング処理により、低誘電率膜LF1がダメージを受けてしまうことを十分に抑制することができる。
本実施形態においては、第3マスク膜MF3は、たとえば第1マスク膜MF1よりも膜厚が厚い。また、第3マスク膜MF3は、たとえば第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成するためのエッチングにおいて第1マスク膜MF1よりもエッチングされにくい材料により構成される。このような構成により、第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成する工程の後において、開口OP2下に、低誘電率膜LF1を覆う第3マスク膜MF3を十分に残存させることが可能となる。
【0041】
第1マスク膜MF1が絶縁材料により構成される場合、第1マスク膜MF1のエッチングは、たとえばフルオロカーボン系のエッチングガスを用いて行われる。この場合、第1マスク膜MF1と、金属材料からなる第2マスク膜MF2と、の間において、20以上という十分に高いエッチング選択比を実現することができる。なお、このような効果は、第1マスク膜MF1がSiNにより構成され、かつ第2マスク膜MF2がTiNにより構成される場合に、特に顕著に得られる。
また、第1マスク膜MF1をSiNにより構成し、かつ第3マスク膜MF3をSiOにより構成した場合、第1マスク膜MF1と第3マスク膜MF3との間において、約3という高いエッチング選択比を実現することができる。
【0042】
なお、本実施形態においては、第2マスク膜MF2にビアパターンを形成した後に、第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成した。しかしながら、第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成した後、第2マスク膜MF2にビアパターンを形成してもよい。この場合においても、各パターンの形成は、フォトレジストを用いたエッチングにより行うことができる。
【0043】
次に、図4(b)に示すように、フォトレジストPR2および反射防止膜AR2を除去する。フォトレジストPR2および反射防止膜AR2は、たとえば酸素含有ガスを用いたプラズマアッシング処理により除去される。
本実施形態によれば、フォトレジストPR2を除去する当該工程において、低誘電率膜LF1は第3マスク膜MF3により覆われており、開口OP2から露出していない。このため、アッシング処理に起因して低誘電率膜LF1にダメージが生じることを抑制できる。
【0044】
次に、図5(a)に示すように、第2マスク膜MF2をマスクとして、最下層に位置するハードマスク膜HM1である第3マスク膜MF3と、低誘電率膜LF1と、をエッチングする。これにより、第3マスク膜MF3を貫通し低誘電率膜LF1に至る凹部RC1が形成される。凹部RC1は、たとえば低誘電率膜LF1を貫通しないように形成される。当該エッチング工程は、たとえばドライエッチングにより行われる。
【0045】
次に、図5(b)に示すように、第1マスク膜MF1をマスクとして第2マスク膜MF2をエッチングする。これにより、第1マスク膜MF1に形成されているトレンチパターンを第2マスク膜MF2へ転写する。この場合、第2マスク膜MF2に形成されていた開口OP2が拡張するように、第2マスク膜MF2がエッチングされることとなる。
【0046】
第2マスク膜MF2が金属材料、アモルファスシリコン、または多結晶シリコンにより構成される場合、第2マスク膜MF2のエッチングは、たとえば塩素を含有したエッチングガスを用いて行われる。この場合、第2マスク膜MF2と、絶縁材料からなる第3マスク膜MF3と、の間において、約5という十分に高いエッチング選択比を実現することができる。また、第2マスク膜MF2と、低誘電率膜LF1と、の間においても、約5という十分に高いエッチング選択比を実現することができる。
【0047】
次に、図6(a)に示すように、第3マスク膜MF3のうちトレンチパターン下に位置する部分をエッチングするとともに、低誘電率膜LF1をエッチングする。これにより、凹部RC1と重なるビアホールVH1と、ビアホールVH1上に位置し、かつトレンチパターンと重なるトレンチWT1と、を低誘電率膜LF1に形成する。
第3マスク膜MF3および低誘電率膜LF1をエッチングする工程は、たとえば第1マスク膜MF1および第2マスク膜MF2をマスクとして行われる。このため、低誘電率膜LF1のうち、第2マスク膜MF2に転写されたトレンチパターンと重なる領域がエッチングされる。これにより、凹部RC1と重なる部分には、エッチングストッパ膜ES1まで到達するビアホールVH1が形成される。また、ビアホールVH1上には、平面視で内側にビアホールVH1を含み、かつ低誘電率膜LF1を貫通しないトレンチWT1が形成される。
【0048】
次に、図6(b)に示すように、エッチングストッパ膜ES1のうちビアホールVH1下に位置する部分を、エッチングにより除去する。これにより、ビアホールVH1は、下層に設けられた配線IC1に接続されることとなる。
なお、このエッチングにより、たとえば低誘電率膜LF1の一部がさらに除去される。これにより、トレンチWT1の深さは、より深くなる。また、このエッチングにより、第1マスク膜MF1は、たとえば完全に除去される。
エッチングストッパ膜ES1をエッチングする当該工程は、たとえばフルオロカーボン系のエッチングガスを用いて行われる。
【0049】
次に、図7(a)に示すように、ビアホールVH1内およびトレンチWT1内に、導電膜CM1を埋め込む。導電膜CM1は、たとえばビアホールVH1およびトレンチWT1の内壁を覆うバリアメタル膜BM1上に形成される。
本実施形態においては、バリアメタル膜BM1は、ビアホールVH1およびトレンチWT1の内壁、ならびにハードマスク膜HM1上に形成される。また、バリアメタル膜BM1は、たとえばTaN膜とTa膜を順に積層してなる積層膜により構成される。
導電膜CM1は、たとえばCuにより構成される。導電膜CM1は、PVD(Physical Vapor Deposition)法やめっき法を用いて形成される。また、導電膜CM1は、PVD法により形成されたバリアCu膜と、当該バリアCu膜上にめっき法により形成されたCu膜と、からなる積層膜により構成されていてもよい。
【0050】
次に、図7(b)に示すように、バリアメタル膜BM1および導電膜CM1のうちビアホールVH1およびトレンチWT1の外部に位置する部分と、残存しているハードマスク膜HM1と、を除去する。これにより、下層の配線IC1に接続するビアプラグVP1と、ビアプラグVP1上に位置し、かつビアプラグVP1と接続する配線IC1と、が形成されることとなる。なお、ビアホールVH1内にはビアプラグVP1が、トレンチWT1には配線IC1が、それぞれ形成されることとなる。
バリアメタル膜BM1、導電膜CM1、およびハードマスク膜HM1は、たとえばCMP(Chemical Vapor Deposition)法により除去される。ここでは、たとえばバリアメタル膜BM1、導電膜CM1、第2マスク膜MF2および第3マスク膜MF3が除去される。
【0051】
本実施形態では、第2マスク膜MF2を、第2マスク膜MF2上に位置するバリアメタル膜BM1および導電膜CM1をCMP法により除去する際のストッパとして機能させることができる。また、第3マスク膜MF3を、第2マスク膜MF2をCMP法により除去する際のストッパとして機能させることができる。さらに、低誘電率膜LF1を、第3マスク膜MF3をCMP法により除去する際のストッパとして機能させることができる。このため、本実施形態によれば、高精度な配線構造の形成が可能となる。
本実施形態によれば、このようにして、各配線層WL1が得られることとなる。
【0052】
次に、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態によれば、低誘電率膜LF1上には、3層のハードマスク膜HM1が形成される。3層のハードマスク膜HM1は、最下層に位置するハードマスク膜HM1である第3マスク膜MF3、第3マスク膜MF3上に位置するハードマスク膜HM1である第2マスク膜MF2、および最上層に位置するハードマスク膜HM1である第1マスク膜MF1からなる。そして、フォトレジストをマスクとしたエッチングにより第1マスク膜MF1と第2マスク膜MF2にそれぞれトレンチパターンとビアパターンを形成した後、第2マスク膜MF2をマスクとして第3マスク膜MF3をエッチングする。このため、フォトレジストをアッシング処理により除去する際に、低誘電率膜LF1を第3マスク膜MF3により保護することができる。したがって、低誘電率膜LF1におけるアッシング処理によるダメージを抑制することができる。
【0053】
また、3層のハードマスク膜HM1は、絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、が交互に積層されてなる。これにより、隣接するハードマスク膜HM1間におけるエッチング選択比を十分に確保することができる。このため、トレンチパターンやビアパターンを形成する際におけるパターニング不良の発生を抑制し、高い配線信頼性を実現することが可能となる。
このように、本実施形態によれば、アッシング処理によるダメージを抑制しつつ、高い配線信頼性を実現することが可能な半導体装置の製造方法を提供することができる。
【0054】
(第2の実施形態)
図9〜15は、第2の実施形態に係る半導体装置SM1の製造方法を示す断面図であり、第1の実施形態における図1〜7に対応している。
本実施形態に係る半導体装置SM1の製造方法では、4層のハードマスク膜HM1を用いて各配線層WL1の形成工程を行う。この点を除いて、本実施形態に係る半導体装置SM1の製造方法は、第1の実施形態と同様である。
【0055】
以下、本実施形態に係る各配線層WL1の形成方法を説明する。
まず、図9(a)に示すように、配線IC1が埋め込まれた層間絶縁膜IL1上に、エッチングストッパ膜ES1、および低誘電率膜LF1を順に形成する。低誘電率膜LF1およびエッチングストッパ膜ES1の構成は、たとえば第1の実施形態と同様である。
【0056】
次いで、低誘電率膜LF1上に、少なくとも3層のハードマスク膜HM1が形成される。
本実施形態では、低誘電率膜LF1上に、4層のハードマスク膜HM1が形成される。4層のハードマスク膜HM1は、最下層に位置する第3マスク膜MF3、第3マスク膜MF3上に位置する第4マスク膜MF4、第4マスク膜MF4上に位置する第2マスク膜MF2、最上層に位置する第1マスク膜MF1からなる。すなわち、低誘電率膜LF1上に、第3マスク膜MF3、第4マスク膜MF4、第2マスク膜MF2、第1マスク膜MF1が順に積層されることにより、4層のハードマスク膜HM1が構成される。
【0057】
4層のハードマスク膜HM1は、絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、が交互に積層されてなる。なお、ハードマスク膜HM1を構成する絶縁材料および金属材料は、それぞれ第1の実施形態に示すものを用いることができる。
絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、の間においては、高いエッチング選択比を実現することができる。このため、互いに積層された複数のハードマスク膜HM1において、隣接するハードマスク膜HM1間におけるエッチング選択比を十分に確保することができる。
したがって、本実施形態においても、トレンチパターンやビアパターンを形成する際におけるパターニング不良の発生を抑制することが可能となる。
【0058】
本実施形態においては、たとえば第2マスク膜MF2および第3マスク膜MF3が絶縁材料により構成され、第1マスク膜MF1および第4マスク膜MF4が金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成される。この場合、低誘電率膜LF1上に、絶縁材料からなる第3マスク膜MF3が形成される。このため、ハードマスク膜HM1と低誘電率膜LF1との密着性を向上させることができる。したがって、低誘電率膜LF1からハードマスク膜HM1が剥離してしまう等の問題が生じることが抑制される。
【0059】
本実施形態においても、第3マスク膜MF3がSiOにより構成されることが好ましい。第3マスク膜MF3は、後述するアッシング処理工程において、低誘電率膜LF1を保護する保護膜として機能する。第3マスク膜MF3をSiOにより構成することで、酸素プラズマを用いたアッシング処理を行う場合に、低誘電率膜LF1をより確実に保護することが可能となる。
なお、第2マスク膜MF2および第3マスク膜MF3が金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成され、第1マスク膜MF1および第4マスク膜MF4が絶縁材料により構成されていてもよい。
【0060】
第3マスク膜MF3の膜厚は、たとえば5nm以上15nm以下である。第4マスク膜MF4の膜厚は、たとえば5nm以上15nm以下である。第2マスク膜MF2の膜厚は、たとえば5nm以上15nm以下である。第1マスク膜MF1の膜厚は、たとえば5nm以上15nm以下である。このような膜厚を選択することにより、ハードマスクとしての機能を十分に実現することができる。また、ハードマスク膜HM1の膜厚が過剰に厚くなることにより除去が困難となるといった問題が生じることを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、フォトレジストを用いたエッチングによってトレンチパターンが形成される第1マスク膜MF1が金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成され、第3マスク膜MF3が絶縁材料により構成される。このため、後述する第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成する工程において、第1マスク膜MF1と第3マスク膜MF3との間において高いエッチング選択比を実現することができる。すなわち、第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成する際に、第3マスク膜MF3のうちビアパターンから露出する部分が削れてしまうことを抑制できる。
したがって、本実施形態によれば、第1の実施形態と比較して第3マスク膜MF3の膜厚を薄くした場合においても、第3マスク膜MF3が有するアッシング処理時における保護膜としての機能を十分に確保することが可能となる。
【0062】
次に、フォトレジストをマスクとしたハードマスク膜HM1のエッチングと、フォトレジストを除去するアッシング処理を繰り返す。これにより、第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成するとともに、第2マスク膜MF2に平面視でトレンチパターンの内側に位置するビアパターンを形成する。以下、トレンチパターンおよびビアパターンを形成する当該工程について詳細に説明する。
まず、図9(b)に示すように、4層のハードマスク膜HM1上に、反射防止膜AR3およびフォトレジストPR3を順に形成する。次いで、露光・現像を行うことにより、フォトレジストPR3をパターニングする。
【0063】
次に、図10(a)に示すように、フォトレジストPR3をマスクとして、反射防止膜AR3、第1マスク膜MF1、第2マスク膜MF2および第4マスク膜MF4をエッチングする。これにより、第1マスク膜MF1に開口OP1が、第2マスク膜MF2に開口OP2が、第4マスク膜MF4に開口OP4が、それぞれ形成される。当該エッチングは、たとえばドライエッチングにより行われる。本実施形態では、第2マスク膜MF2に設けられた開口OP2、および第4マスク膜MF4に設けられた開口OP4が、ビアパターンとなる。
本実施形態において、絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、が交互に積層されている。このため、第1マスク膜MF1、第2マスク膜MF2および第4マスク膜MF4をエッチングする際に、それぞれ下層に位置するハードマスク膜HM1がエッチングされてしまうことを抑制することができる。
【0064】
第1マスク膜MF1が金属材料、アモルファスシリコン、または多結晶シリコンにより構成される場合、第1マスク膜MF1のエッチングは、たとえば塩素を含有したエッチングガスを用いて行われる。この場合、第1マスク膜MF1と、絶縁材料からなる第2マスク膜MF2と、の間において十分に高いエッチング選択比を実現することができる。
第2マスク膜MF2が絶縁材料により構成される場合、第2マスク膜MF2のエッチングは、たとえばフルオロカーボン系のエッチングガスを用いて行われる。この場合、第2マスク膜MF2と、金属材料からなる第4マスク膜MF4と、の間において十分に高いエッチング選択比を実現することができる。
第4マスク膜MF4が金属材料、アモルファスシリコン、または多結晶シリコンにより構成される場合、第4マスク膜MF4のエッチングは、たとえば塩素を含有したエッチングガスを用いて行われる。この場合、第4マスク膜MF4と、絶縁材料からなる第3マスク膜MF3と、の間において十分に高いエッチング選択比を実現することができる。
【0065】
次に、図10(b)に示すように、フォトレジストPR3および反射防止膜AR3を除去する。フォトレジストPR3および反射防止膜AR3は、たとえば酸素含有ガスを用いたプラズマアッシング処理により除去される。
本実施形態によれば、フォトレジストPR3を除去する当該工程において、低誘電率膜LF1は第3マスク膜MF3により覆われており、開口OP2および開口OP4からなるビアパターンから露出していない。このため、アッシング処理に起因して低誘電率膜LF1にダメージが生じることを抑制できる。
【0066】
次に、図11(a)に示すように、4層のハードマスク膜HM1上に、反射防止膜AR4およびフォトレジストPR4を順に形成する。反射防止膜AR4は、たとえば開口OP1、開口OP2および開口OP4を埋め込むように設けられる。次いで、露光・現像を行うことにより、フォトレジストPR4をパターニングする。
【0067】
次に、図11(b)に示すように、フォトレジストPR4をマスクとして、反射防止膜AR4および第1マスク膜MF1をエッチングする。これにより、第1マスク膜MF1に、開口OP1からなるトレンチパターンが形成される。トレンチパターンは、たとえば第2マスク膜MF2に形成されたビアパターンが平面視でトレンチパターンの内側に位置するように形成される。この場合、第1マスク膜MF1に形成されていた開口OP1が拡張するように、第1マスク膜MF1がエッチングされることとなる。当該エッチングは、たとえばドライエッチングにより行われる。
なお、トレンチパターンは、配線IC1を埋め込むトレンチを形成するためのパターンである。このため、トレンチパターンは、たとえば一の方向に延在するように形成される。
【0068】
本実施形態において、絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、が交互に積層されている。このため、第1マスク膜MF1と、第1マスク膜MF1の直下に位置する第2マスク膜MF2と、の間において十分に高いエッチング選択比を実現することができる。すなわち、第1マスク膜MF1をエッチングする際に、第2マスク膜MF2がエッチングされてしまうことを抑制することができる。したがって、トレンチパターンを形成するためのエッチングによりビアパターンが変形してパターニング不良を引き起こす等の問題が生じることを抑制することが可能となる。
【0069】
第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成する工程の後において、開口OP2および開口OP4からなるビアパターン下には低誘電率膜LF1を覆う第3マスク膜MF3が残存する。このため、フォトレジストPR4を除去するためのアッシング処理により、低誘電率膜LF1がダメージを受けてしまうことを十分に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、トレンチパターンが形成される第1マスク膜MF1が金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成され、第3マスク膜MF3が絶縁材料により構成される。このため、第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成する工程において、第1マスク膜MF1と第3マスク膜MF3との間において高いエッチング選択比を実現することができる。すなわち、第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成する際に、第3マスク膜MF3のうちビアパターンから露出する部分が削れてしまうことを抑制できる。したがって、第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成する工程の後においても、ビアパターン下に、低誘電率膜LF1を覆う第3マスク膜MF3を残存させることが容易となる。
【0070】
第1マスク膜MF1が金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成される場合、第1マスク膜MF1のエッチングは、たとえば塩素を含有したエッチングガスを用いて行われる。この場合、第1マスク膜MF1と、絶縁材料からなる第2マスク膜MF2および第3マスク膜MF3と、の間において、20以上という十分に高いエッチング選択比を実現することができる。
【0071】
なお、本実施形態においては、第2マスク膜MF2および第4マスク膜MF4にビアパターンを形成した後に、第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成した。しかしながら、第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成した後、第2マスク膜MF2および第4マスク膜MF4にビアパターンを形成してもよい。この場合においても、各パターンの形成は、フォトレジストを用いたエッチングにより行うことができる。
【0072】
次に、図12(a)に示すように、フォトレジストPR4および反射防止膜AR4を除去する。フォトレジストPR4および反射防止膜AR4は、たとえば酸素含有ガスを用いたプラズマアッシング処理により除去される。
本実施形態によれば、フォトレジストPR4を除去する当該工程において、低誘電率膜LF1は第3マスク膜MF3により覆われており、開口OP2および開口OP4からなるビアパターンから露出していない。このため、アッシング処理に起因して低誘電率膜LF1にダメージが生じることを抑制できる。
【0073】
次に、図12(b)に示すように、第2マスク膜MF2をマスクとして、最下層に位置するハードマスク膜HM1である第3マスク膜MF3と、低誘電率膜LF1と、をエッチングする。これにより、第3マスク膜MF3を貫通し低誘電率膜LF1に至る凹部RC1が形成される。凹部RC1は、たとえば低誘電率膜LF1を貫通しないように形成される。当該エッチング工程は、たとえばドライエッチングにより行われる。
【0074】
次に、図13(a)に示すように、第1マスク膜MF1をマスクとして、第2マスク膜MF2をエッチングする。これにより、第1マスク膜MF1に形成されているトレンチパターンを第2マスク膜MF2へ転写する。この場合、第2マスク膜MF2に形成されていた開口OP2が拡張するように、第2マスク膜MF2がエッチングされることとなる。
なお、このエッチング工程において、凹部RC1下に位置する低誘電率膜LF1の一部が除去されてもよい。この場合、このエッチング工程においてエッチングストッパ膜ES1が露出しないよう、凹部RC1の深さを制御することができる。
また、第2マスク膜MF2が絶縁材料により構成される場合、第2マスク膜MF2のエッチングは、たとえばフルオロカーボン系のエッチングガスを用いて行われる。
【0075】
次に、図13(b)に示すように、第2マスク膜MF2をマスクとして、第4マスク膜MF4をエッチングする。これにより、第2マスク膜MF2に形成されているトレンチパターンを第4マスク膜MF4へ転写する。この場合、第4マスク膜MF4に形成されていた開口OP4が拡張するように、第4マスク膜MF4がエッチングされることとなる。なお、このエッチング工程により、第1マスク膜MF1が除去されてもよい。
また、第4マスク膜MF4が金属材料、アモルファスシリコン、または多結晶シリコンにより構成される場合、第4マスク膜MF4のエッチングは、たとえば塩素を含有したエッチングガスを用いて行われる。
【0076】
次に、図14(a)に示すように、第3マスク膜MF3のうちトレンチパターン下に位置する部分をエッチングするとともに、低誘電率膜LF1をエッチングする。これにより、凹部RC1と重なるビアホールVH1と、ビアホールVH1上に位置し、かつトレンチパターンと重なるトレンチWT1と、を低誘電率膜LF1に形成する。
第3マスク膜MF3および低誘電率膜LF1をエッチングする工程は、たとえば第2マスク膜MF2および第4マスク膜MF4をマスクとして行われる。このため、低誘電率膜LF1のうち、第2マスク膜MF2および第4マスク膜MF4に転写されたトレンチパターンと重なる領域がエッチングされる。これにより、凹部RC1と重なる部分には、エッチングストッパ膜ES1まで到達するビアホールVH1が形成される。また、ビアホールVH1上には、平面視で内側にビアホールVH1を含み、かつ低誘電率膜LF1を貫通しないトレンチWT1が形成される。
【0077】
次に、図14(b)に示すように、エッチングストッパ膜ES1のうちビアホールVH1下に位置する部分を、エッチングにより除去する。これにより、ビアホールVH1は、下層に設けられた配線IC1に接続されることとなる。このエッチング工程は、たとえばフルオロカーボン系のエッチングガスを用いて行われる。
また、エッチングストッパ膜ES1および第2マスク膜MF2がいずれもSiNにより構成される場合、たとえば、このエッチング工程により第2マスク膜MF2は除去される。
【0078】
次に、図15(a)に示すように、ビアホールVH1内およびトレンチWT1内に、導電膜CM1を埋め込む。導電膜CM1は、たとえばビアホールVH1およびトレンチWT1の内壁を覆うバリアメタル膜BM1上に形成される。導電膜CM1およびバリアメタル膜BM1は、たとえば第1の実施形態と同様の構成を有する。
【0079】
次に、図15(b)に示すように、バリアメタル膜BM1および導電膜CM1のうちビアホールVH1およびトレンチWT1の外部に位置する部分と、残存しているハードマスク膜HM1と、を除去する。これにより、下層の配線IC1に接続するビアプラグVP1と、ビアプラグVP1上に位置し、かつビアプラグVP1と接続する配線IC1と、が形成されることとなる。なお、ビアホールVH1内にはビアプラグVP1が、トレンチWT1には配線IC1が、それぞれ形成されることとなる。ここでは、たとえばバリアメタル膜BM1、導電膜CM1、第2マスク膜MF2および第3マスク膜MF3が除去される。
本実施形態によれば、このようにして、各配線層WL1が得られることとなる。
【0080】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0081】
(第3の実施形態)
図16〜20は、第3の実施形態に係る半導体装置SM1の製造方法を示す断面図であり、第1の実施形態における図1〜7に対応している。
本実施形態に係る半導体装置SM1の製造方法では、5層のハードマスク膜HM1を用いて各配線層WL1の形成工程を行う。また、ハードマスク膜HM1に対しトレンチパターンを形成した後、ビアパターンを形成する。なお、本実施形態に係る半導体装置SM1の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0082】
以下、本実施形態に係る各配線層WL1の形成方法を説明する。
まず、図16(a)に示すように、配線IC1が埋め込まれた層間絶縁膜IL1上に、エッチングストッパ膜ES1、および低誘電率膜LF1を順に形成する。低誘電率膜LF1およびエッチングストッパ膜ES1の構成は、たとえば第1の実施形態と同様である。
【0083】
次に、低誘電率膜LF1上に、少なくとも3層のハードマスク膜HM1が形成される。
本実施形態では、低誘電率膜LF1上に、5層のハードマスク膜HM1が形成される。5層のハードマスク膜HM1は、最下層に位置する第3マスク膜MF3、第3マスク膜MF3上に位置する第2マスク膜MF2、第2マスク膜MF2上に位置する第5マスク膜MF5、第5マスク膜MF5上に位置する第6マスク膜MF6、最上層に位置する第1マスク膜MF1からなる。すなわち、低誘電率膜LF1上に、第3マスク膜MF3、第2マスク膜MF2、第5マスク膜MF5、第6マスク膜MF6、第1マスク膜MF1が順に積層されることにより、5層のハードマスク膜HM1が構成される。
【0084】
5層のハードマスク膜HM1は、絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、が交互に積層されてなる。なお、ハードマスク膜HM1を構成する絶縁材料および金属材料は、それぞれ第1の実施形態に示すものを用いることができる。
絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、の間においては、高いエッチング選択比を実現することができる。このため、互いに積層された複数のハードマスク膜HM1において、隣接するハードマスク膜HM1間におけるエッチング選択比を十分に確保することができる。
したがって、本実施形態においても、トレンチパターンやビアパターンを形成する際におけるパターニング不良の発生を抑制することが可能となる。
【0085】
本実施形態においては、たとえば第1マスク膜MF1、第3マスク膜MF3および第5マスク膜MF5が絶縁材料により構成され、第2マスク膜MF2および第6マスク膜MF6が金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成される。この場合、低誘電率膜LF1上に、絶縁材料からなる第3マスク膜MF3が形成される。このため、ハードマスク膜HM1と低誘電率膜LF1との密着性を向上させることができる。したがって、低誘電率膜LF1からハードマスク膜HM1が剥離してしまう等の問題が生じることが抑制される。
【0086】
本実施形態においても、第3マスク膜MF3がSiOにより構成されることが好ましい。第3マスク膜MF3は、後述するアッシング処理工程において、低誘電率膜LF1を保護する保護膜として機能する。第3マスク膜MF3をSiOにより構成することで、酸素プラズマを用いたアッシング処理を行う場合に、低誘電率膜LF1をより確実に保護することが可能となる。
本実施形態においては、たとえば第3マスク膜MF3がSiOにより構成され、第5マスク膜MF5がSiNにより構成され、第1マスク膜MF1がSiOにより構成される。なお、第1マスク膜MF1、第3マスク膜MF3および第5マスク膜MF5を構成する材料は、この組み合わせに限定されない。たとえばこれらの膜は互いに、同一の材料により構成されていてもよい。
なお、第1マスク膜MF1、第3マスク膜MF3および第5マスク膜MF5が金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成され、第2マスク膜MF2および第6マスク膜MF6が絶縁材料により構成されていてもよい。
【0087】
次に、フォトレジストをマスクとしたハードマスク膜HM1のエッチングと、フォトレジストを除去するアッシング処理を繰り返す。これにより、第1マスク膜MF1にトレンチパターンを形成するとともに、第2マスク膜MF2に平面視でトレンチパターンの内側に位置するビアパターンを形成する。以下、トレンチパターンおよびビアパターンを形成する当該工程について詳細に説明する。
まず、図16(b)に示すように、5層のハードマスク膜HM1上に、反射防止膜AR5およびフォトレジストPR5を順に形成する。次いで、露光・現像を行うことにより、フォトレジストPR5をパターニングする。
【0088】
次に、図17(a)に示すように、フォトレジストPR5をマスクとして、反射防止膜AR5、第1マスク膜MF1、および第6マスク膜MF6をエッチングする。これにより、第1マスク膜MF1に開口OP1が、第6マスク膜MF6に開口OP6が、それぞれ形成される。当該エッチングは、たとえばドライエッチングにより行われる。本実施形態では、第1マスク膜MF1に設けられた開口OP1、および第6マスク膜MF6に設けられた開口OP6が、トレンチパターンとなる。
なお、トレンチパターンは、配線IC1を埋め込むトレンチを形成するためのパターンである。このため、トレンチパターンは、たとえば一の方向に延在するように形成される。
【0089】
本実施形態においては、絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、が交互に積層されている。このため、第1マスク膜MF1および第6マスク膜MF6をエッチングする際に、それぞれ下層に位置するハードマスク膜HM1がエッチングされてしまうことを抑制することができる。
【0090】
第1マスク膜MF1が絶縁材料により構成される場合、第1マスク膜MF1のエッチングは、たとえばフルオロカーボン系のエッチングガスを用いて行われる。この場合、第1マスク膜MF1と、金属材料からなる第6マスク膜MF6と、の間において十分に高いエッチング選択比を実現することができる。
第6マスク膜MF6が金属材料、アモルファスシリコン、または多結晶シリコンにより構成される場合、第6マスク膜MF6のエッチングは、たとえば塩素を含有したエッチングガスを用いて行われる。この場合、第6マスク膜MF6と、絶縁材料からなる第5マスク膜MF5と、の間において十分に高いエッチング選択比を実現することができる。
【0091】
次に、図17(b)に示すように、フォトレジストPR5および反射防止膜AR5を除去する。フォトレジストPR5および反射防止膜AR5は、たとえば酸素含有ガスを用いたプラズマアッシング処理により除去される。
次いで、第1マスク膜MF1をマスクとして、第5マスク膜MF5をエッチングする。これにより、第5マスク膜MF5に開口OP5が形成されることとなる。本実施形態においては、たとえば第1マスク膜MF1がSiOにより構成され、第5マスク膜MF5がSiNにより構成される。このため、第1マスク膜MF1と第5マスク膜MF5との間において、高いエッチング選択比を実現することができる。なお、第1マスク膜MF1と第5マスク膜MF5が互いに同一の材料により構成される場合には、フォトレジストPR5をマスクとして第5マスク膜MF5をエッチングしてもよい。
【0092】
次に、図18(a)に示すように、5層のハードマスク膜HM1上に、反射防止膜AR6およびフォトレジストPR6を順に形成する。反射防止膜AR6は、たとえば開口OP1、開口OP5および開口OP6を埋め込むように設けられる。次いで、露光・現像を行うことにより、フォトレジストPR6をパターニングする。
なお、ビアパターンに対応してフォトレジストPR6に形成された開口の幅は、たとえば第1マスク膜MF1に設けられたトレンチパターンの幅よりも大きくすることができる。これにより、ビアパターンを形成する際に、マスクの位置ずれによるパターニング不良が生じることを抑制することができる。また、このような場合においても、後述するように第2マスク膜MF2をエッチングする条件において第1マスク膜MF1と第2マスク膜MF2との間に高いエッチング選択比を実現することができる。すなわち、ビアパターンを形成する際に、トレンチパターン下に位置する第2マスク膜MF2のみをエッチングすることが可能となる。
【0093】
次に、図18(b)に示すように、フォトレジストPR6をマスクとして、反射防止膜AR6および第2マスク膜MF2をエッチングする。これにより、第2マスク膜MF2に、開口OP2からなるビアパターンが形成される。ビアパターンは、たとえば第1マスク膜MF1に形成されたトレンチパターンの内側に位置するように形成される。当該エッチングは、たとえばドライエッチングにより行われる。
なお、第1マスク膜MF1は絶縁材料により構成される。このため、金属材料により構成される第2マスク膜MF2をエッチングする際に、第1マスク膜MF1と第2マスク膜MF2との間において高いエッチング選択比を実現できる。このため、ビアパターンを形成する際に第1マスク膜MF1が除去されてしまうことを抑制できる。したがって、ビアパターンを形成するためのエッチングによりトレンチパターンが変形してパターニング不良を引き起こす等の問題が生じることを抑制することが可能となる。
第2マスク膜MF2が金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成される場合、第2マスク膜MF2のエッチングは、たとえば塩素を含有したエッチングガスを用いて行われる。
【0094】
本実施形態において、絶縁材料により構成されるハードマスク膜HM1と、金属材料、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンにより構成されるハードマスク膜HM1と、が交互に積層されている。このため、第2マスク膜MF2と、第2マスク膜MF2の直下に位置する第3マスク膜MF3と、の間において十分に高いエッチング選択比を実現することができる。すなわち、第2マスク膜MF2をエッチングする際に、第3マスク膜MF3がエッチングされてしまうことを抑制することができる。このため、フォトレジストPR6を除去するためのアッシング処理時において、低誘電率膜LF1を第3マスク膜MF3により保護することができる。
【0095】
次に、図19(a)に示すように、フォトレジストPR6および反射防止膜AR6を除去する。フォトレジストPR6および反射防止膜AR6は、たとえば酸素含有ガスを用いたプラズマアッシング処理により除去される。
本実施形態によれば、フォトレジストPR6を除去する当該工程において、低誘電率膜LF1は第3マスク膜MF3により覆われており、開口OP2からなるビアパターンから露出していない。このため、アッシング処理に起因して低誘電率膜LF1にダメージが生じることを抑制できる。
【0096】
次に、図19(b)に示すように、第6マスク膜MF6、または図には示されていないが図18(b)においてフォトレジストPR6で保護されてエッチングされていない第2マスク膜MF2をマスクとして、最下層に位置するハードマスク膜HM1である第3マスク膜MF3と、低誘電率膜LF1と、をエッチングする。これにより、第3マスク膜MF3を貫通し低誘電率膜LF1に至る凹部RC1が形成される。凹部RC1は、たとえば低誘電率膜LF1を貫通しないように形成される。当該エッチング工程は、たとえばドライエッチングにより行われる。
最上層に位置する第1マスク膜MF1は、たとえば第3マスク膜MF3と低誘電率膜LF1をエッチングするこの工程において除去される。
【0097】
次に、図20(a)に示すように、第6マスク膜MF6および第5マスク膜MF5をマスクとして、第2マスク膜MF2をエッチングする。これにより、第6マスク膜MF6および第5マスク膜MF5に形成されているトレンチパターンを、第2マスク膜MF2へ転写する。この場合、第2マスク膜MF2に形成されていた開口OP2が拡張するように、第2マスク膜MF2がエッチングされることとなる。
次いで、第3マスク膜MF3のうちトレンチパターン下に位置する部分をエッチングするとともに、低誘電率膜LF1をエッチングする。これにより、凹部RC1と重なるビアホールVH1と、ビアホールVH1上に位置し、かつトレンチパターンと重なるトレンチWT1と、を低誘電率膜LF1に形成する。
第3マスク膜MF3および低誘電率膜LF1をエッチングする工程は、たとえば第6マスク膜MF6、第5マスク膜MF5および第2マスク膜MF2をマスクとして行われる。このため、低誘電率膜LF1のうち、第6マスク膜MF6、第5マスク膜MF5および第2マスク膜MF2に転写されたトレンチパターンと重なる領域がエッチングされる。これにより、凹部RC1と重なる部分には、エッチングストッパ膜ES1まで到達するビアホールVH1が形成される。また、ビアホールVH1上には、平面視で内側にビアホールVH1を含み、かつ低誘電率膜LF1を貫通しないトレンチWT1が形成される。
次いで、エッチングストッパ膜ES1のうちビアホールVH1下に位置する部分を、エッチングにより除去する。これにより、ビアホールVH1は、下層に設けられた配線IC1に接続されることとなる。このエッチング工程は、たとえばフルオロカーボン系のエッチングガスを用いて行われる。
【0098】
次に、ビアホールVH1内およびトレンチWT1内に、導電膜CM1を埋め込む。導電膜CM1は、たとえばビアホールVH1およびトレンチWT1の内壁を覆うバリアメタル膜BM1上に形成される。導電膜CM1およびバリアメタル膜BM1は、たとえば第1の実施形態と同様の構成を有する。
次いで、バリアメタル膜BM1および導電膜CM1のうちビアホールVH1およびトレンチWT1の外部に位置する部分と、残存しているハードマスク膜HM1と、を除去する。これにより、図20(b)に示すように、下層の配線IC1に接続するビアプラグVP1と、ビアプラグVP1上に位置し、かつビアプラグVP1と接続する配線IC1と、が形成されることとなる。なお、ビアホールVH1内にはビアプラグVP1が、トレンチWT1には配線IC1が、それぞれ形成されることとなる。ここでは、たとえばバリアメタル膜BM1、導電膜CM1、第2マスク膜MF2および第3マスク膜MF3が除去される。
本実施形態によれば、このようにして、各配線層WL1が得られることとなる。
【0099】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0100】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0101】
SM1 半導体装置
TR1 トランジスタ
SB1 半導体基板
HM1 ハードマスク膜
MF1 第1マスク膜
MF2 第2マスク膜
MF3 第3マスク膜
MF4 第4マスク膜
MF5 第5マスク膜
MF6 第6マスク膜
IL1、IL2 層間絶縁膜
LF1 低誘電率膜
ES1、ES2 エッチングストッパ膜
IC1 配線
VP1 ビアプラグ
BM1 バリアメタル膜
CM1 導電膜
PR1、PR2、PR3、PR4、PR5、PR6 フォトレジスト
AR1、AR2、AR3、AR4、AR5、AR6 反射防止膜
OP1、OP2、OP4、OP5、OP6 開口
RC1 凹部
WT1 トレンチ
VH1 ビアホール
WL1 配線層
CP1 コンタクトプラグ
SW1 サイドウォール
GE1 ゲート電極
GI1 ゲート絶縁膜
SD1 ソース・ドレイン領域
SC1 シリサイド層
EI1 素子分離膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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