(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粗砕部は上下で相対向する上臼と下臼とを備えて、前記上臼と前記下臼との間に導入した被処理物を粉砕処理するように構成されているとともに、前記動力伝達軸が前記下臼を駆動するように構成してあり、下方側に位置する前記下臼が前記上臼側に押圧付勢して設けられ、
前記下臼と前記上臼との間に供給される被処理物の粉砕に伴う反力で前記下臼が前記上臼から離れる側へ後退移動することを許容する融通伝動部が、前記動力伝達軸から前記下臼への動力伝達系に設けられている請求項1記載の製粉機。
前記精砕部は、上下で相対向する上精砕臼と下精砕臼を備え、上精砕臼と下精砕臼との間の対向間隔を調節可能に、かつ調節された間隔を維持して粉砕処理可能に構成されている請求項1又は2記載の製粉機。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかる製粉機の実施形態を図面の記載に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図2に示すように、製粉機は、建物の仕切壁Wに埋め込み状態で配設されている。仕切壁Wの一方側は利用客が出入り可能な通路側空間S1となり、その仕切壁Wの通路空間S1側に製粉機の取付パネル1の表側が露出するように配設されている。そして、取付パネル1の表側を除く製粉機の全体が仕切壁Wの機械室S2側に位置する状態で配設されている。
製粉対象となる被処理物は、各種の穀物を選択することができるが、ここでは米を製粉対象の被処理物として説明する。
【0016】
製粉機は、
図1及び
図2に示すように、取付パネル1の上部に、コイン投入口3Aを備えた操作制御盤2、製粉処理対象の被処理物である米などの穀物を投入可能な穀物投入口11Aを備えた穀物導入部10を備えている。
穀物導入部10の下方には、
図4に示すように、投入された穀物を粗く粉砕する粗砕部20を備え、その粗砕部20で粉砕された被処理物をさらに細かく粉砕する精砕部30を粗砕部20の下方に配設してある。そして、
図4及び
図8に示すように、精砕部30で粉砕された被処理物を取り出すための粉体取り出し部40を精砕部30よりも下方側に設けてある。
【0017】
粗砕部20及び精砕部40は、後述する第1電動モータ51及び第2電動モータ52を備える駆動部50から動力を伝達される共通の動力伝達軸53の動力を受けて駆動されるように構成されている。
また精砕部30には、その精砕部30での穀物の細かい粉砕に際して発生する熱の放散を図る冷却装置35が設けられている。
さらに、
図3に示すように、粗砕部20及び精砕部30で粉砕処理が終了した後に、粗砕部20及び精砕部30で僅かに残留している被処理物の残留物を吸引回収するための清掃用クリーナ60も製粉機に備えられている。
【0018】
〔操作制御盤〕
前記操作制御盤2には、コイン投入口3A及び釣り銭返却口3Bを備えたコイン検出器3や、各種表示装置4、及び粒度選択スイッチ5が備えられるとともに、前記コイン検出器3での検出信号や粒度選択スイッチ5などの操作信号が入力される制御装置100が装備されている(
図10参照)。
制御装置100では、コイン検出器3での検出信号に基づいて、製粉機の使用に対する対価として予め設定された所定金額に達したか否かを判別する。コイン検出器3でのコインの検出信号がない、もしくは検出信号が所定金額に達していないと判別されたときには、
図3、
図5、及び
図6に示すロック機構6により、穀物投入口11Aの開放側への作動が阻止され、所定金額に達したことの判別結果に伴ってロック機構6によるロックを解除するようにロック操作用ソレノイド7の作動を前記制御装置100が制御する。
【0019】
制御装置100はマイクロコンピュータを利用して構成され、EEPROM等の不揮発性メモリーに記憶されたプログラムによって構成される各種の制御手段を備えているが、この制御装置100については後述する。
【0020】
操作制御盤2の通路側空間S1に面した側である取付パネル1の表側には、
図1に示すように、表示装置4として、穀物投入口11Aからの穀物投入が不可能な状態であることを表示する状態表示灯4aと、可能な状態であることを示す開始表示灯4bとが、コイン投入口3Aの上側に設けてある。
前記コイン投入口3Aに所定金額のコインが投入される前には、穀物投入口11Aからの穀物投入が不可能な状態であることを示す状態表示灯4aが点灯され、前記ロック機構6が穀物投入口11Aの開放を規制するようにロックしている。
コイン投入口3Aに所定金額のコインが投入されると、穀物投入口11Aからの穀物投入が可能な状態であることを示す開始表示灯4bが点灯され、前記ロック機構6によるロックが解除されるように構成されている。
【0021】
また、釣り銭返却口3Bの下側に、被処理物を製粉する際の粉の粒度が、粗挽き、中挽き、細挽きの何れであるかを選択する押しボタン式の粒度選択スイッチ5として、粗挽き選択スイッチ5a、中挽き選択スイッチ5b、細挽き選択スイッチ5cが設けられている。また、その粗挽き選択スイッチ5a、中挽き選択スイッチ5b、細挽き選択スイッチ5cのうちの何れが選択されたことを表示する粒度表示灯4cが設けてあり、選ばれた粒度での挽き状態を示す、何れか一つの粒度表示灯4cが点灯するように構成されている。
【0022】
穀物投入口11Aの下側における取付パネル1の表側には、穀物投入口11Aから投入口ホッパ11(投入部に相当する)に投入された被処理物が目的の被処理物に相当するものであるか否かを表示する異素材表示灯4dと、後述する穀物導入部10に残留被処理物が存在していることを表示する残留表示灯4eとが設けられている。
【0023】
異素材表示灯4dは、投入口ホッパ11の内部を撮影することが可能な画像検出器などで構成される投入物検出器17(
図5,6参照)からの検出信号に基づいて、制御装置100が目的の被処理物ではないと判断したときに点灯表示するように構成されている。
残留表示灯4eは、投入口ホッパ11に投入された被処理物が目的の被処理物であるときに、その被処理物を受け入れて、粗砕部20へ供給するための受入口ホッパ12に設けた感圧センサなどで構成される残留物検出器18(
図5,6参照)が、被処理物の存在を検出したときに点灯表示するように構成されている。
【0024】
取り出し開口部42の上側における取付パネル1の表側には、精砕部30での粉砕作業が終了した時点で製粉終了を表示する終了表示灯4fが設けられている。
上記の状態表示灯4a、開始表示灯4b、粒度表示灯4c、異素材表示灯4d、残留表示灯4e、終了表示灯4fは、それぞれLED等の発光手段からなり、これらによって前記表示装置4が構成されている。
【0025】
〔穀物導入部〕
穀物導入部10は、
図5及び
図6に示すように、穀物投入口11Aが設けられた投入口ホッパ11と、その投入口ホッパ11からの貯留物が供給される受入口ホッパ12と、異素材ホッパ13とを備えて構成されている。
投入口ホッパ11は、一度に製粉処理する予定量の被処理物を投入可能な容量を有した大きさに設定されており、受入口ホッパ12と異素材ホッパ13は、それぞれ投入口ホッパ11に投入された被処理物の全量を受入可能な容量を有した大きさに設定されている。
【0026】
穀物投入口11Aには、取っ手付きの開閉蓋11Bが装備され、この開閉蓋11Bを手動操作で開放させて投入口ホッパ11内に被処理物を投入可能な姿勢と、穀物投入口11Aを閉塞した姿勢とに変更できるように構成されている。この開閉蓋11Bは、前述したようにロック機構6によって、開放可能な状態と開放不能な状態とに切換可能に構成されている。
この開閉蓋11Bの開放可能な状態と開放不能な状態との切換は、前述したようにロック操作用ソレノイド7の作動に基づいてロック状態とロック解除状態とに切り換えられるロック機構6の操作によって行われる。
また、開閉蓋11Bによる穀物投入口11Aの開閉状態は、その開閉蓋11Bが閉塞されたか否かを検出する投入口スイッチsw(
図10参照)によって検出される。
【0027】
ロック操作用ソレノイド7の作動は、コイン検出器3の検出信号と、受入口ホッパ12に設けた残留物検出器18の検出信号とに基づいて行われる。つまり、コイン検出器3が所定金額に達したことを検出し、残留物検出器18が被処理物の残留を検出していないときには、ロック操作用ソレノイド7がロック機構6をロック解除状態に操作する。
コイン検出器3が所定金額に達したことを検出しても、残留物検出器18が被処理物の残留を検出しているときには、ロック操作用ソレノイド7はロック機構6をロック状態に維持し、穀物投入口11Aを開放しない状態とする。このとき、制御装置100は、受入口ホッパ12内に残留している被処理物が除去されるように、粗砕部20及び精砕部30を駆動して残留している被処理物を粉体取り出し部40から外部へ取り出し可能にする。そして、後述する清掃用クリーナ60による清掃工程が終了した後にロック機構6のロック状態を解除するように構成されている。
コイン検出器3でのコインの検出信号がない、もしくは検出信号が所定金額に達していないと判別されたときには、ロック操作用ソレノイド7はロック機構6をロック状態に維持し、開閉蓋11Bは開放不能な状態がそのまま維持される。
【0028】
図5及び
図6に示すように、投入口ホッパ11は、穀物投入口11Aから遠ざかる側ほど下方に位置するように傾斜した下向きの傾斜面からなる下面11Cを備えて下窄まり状に形成され、この下面11Cに投入物検出器17が設けられている。
投入物検出器17は、投入口ホッパ11の内部を撮影することが可能な画像検出器などで構成され、傾斜した下面11Cを流下する被処理物の撮影が可能であるように構成されている。この投入物検出器17で撮影された画像データが制御装置100に入力され、投入口ホッパ11内の被処理物が異素材であるのか否かが判別される。
【0029】
投入口ホッパ11の下端側出口11Dよりも下方位置に、前記下端側出口11Dに上端側開口12Aを対向させた受入口ホッパ12が設けられている。受入口ホッパ12も上端側開口12Aから遠ざかる側ほど下方に位置するように傾斜した下向きの傾斜面からなる下面12Bを備えて下窄まり状に形成されている。そして、この傾斜した下面12Bに残留物検出器18が設けられ、受入口ホッパ12内に存在する被処理物の圧力を検出できるように構成されている。この残留物検出器18による検出信号が制御装置100に入力されて、受入口ホッパ12内に被処理物が存在しているのか否かが判断されるように構成されている。
【0030】
受入口ホッパ12は、上端側開口12Aも取付パネル1に近い側ほど下方側に位置するように傾斜した形状に形成され、その上端側開口12Aの傾斜下端側寄り箇所に、異素材ホッパ13に対して被処理物を流下させるための流下案内板14が設けられている。
この流下案内板14は、その傾斜上端側の端縁が投入口ホッパ11の下面11Cの傾斜の延長線とほぼ一致する位置、もしくはそれよりも少し下方に離れた位置にあり、
図5に示すように、投入口ホッパ11に投入された被処理物が、投入口ホッパ11の下面11Cと、後述する閉塞位置にある異素材取り出しシャッタ15の先端傾斜面15aとを経て滑落する被処理物が受入口ホッパ12に流下することを妨げないように構成されている。
【0031】
また、流下案内板14は、投入口ホッパ11の下端側出口11Dから排出される異素材と判定された被処理物を、格納位置にある異素材ホッパ13に案内して投入可能であるように、その傾斜下端側の端縁の位置を、投入口ホッパ11の下端側出口11Dの位置よりも、水平方向で異素材ホッパ13に近い側に位置するように設定してある。
したがって、
図6に示すように異素材取り出しシャッタ15が開放位置に操作されると、投入口ホッパ11の下端側出口11Dから落下する異素材と判定された被処理物が、流下案内板14の傾斜した案内面14aの傾斜方向での中間位置に落下供給される。
このとき、異素材ホッパ13が
図6に実線で示すように格納位置に収められていると、投入口ホッパ11の下端側出口11Dから落下する異素材と判定された被処理物が異素材ホッパ13に回収される。回収された異素材は、同図に仮想線に示すように、異素材ホッパ13とともに人為的に取り出すことができる。
図5及び
図6における符号13aは、異素材ホッパ13の前面側に設けられた指掛け部である。
【0032】
異素材取り出しシャッタ15は、取付パネル1の表側に突出する取っ手15bを備えるとともに、取付パネル1から遠ざかる内奥側の端部に、投入口ホッパ11の下面11Cの傾斜とほぼ平行な傾斜面で構成される先端傾斜面15aを備えている。
この異素材取り出しシャッタ15を、
図5に示す閉塞位置と、
図6に示す開放位置とに、人為的に切換操作可能に構成してある。
【0033】
投入口ホッパ11の、取付パネル1から遠ざかる内奥側の縦壁11E部分には、投入口ホッパ11の下端側出口11Dを、前記閉塞姿勢にある異素材取り出しシャッタ15との協働で閉じるための出口シャッタ16が設けられている。
この出口シャッタ16は、前記縦壁11E部分に設けられた駆動手段としての開閉用ソレノイド8により上下に位置移動可能に構成されている。つまり、
図5に仮想線で示され、かつ
図6に実線で示される閉塞位置と、
図5に実線で示す開放位置とに位置変更可能に構成されている。
【0034】
出口シャッタ16が
図5に仮想線で示されるように、かつ異素材取り出しシャッタ15が同図に実線で示されるように、共に閉塞姿勢であると、投入口ホッパ11に投入された被処理物は、受入口ホッパ12及び異素材ホッパ13の何れにも供給されず、投入口ホッパ11内に保持される。
この状態で投入口ホッパ11内の被処理物が投入物検出器17で検出され、被処理物が異素材に相当するものであるのか否かが、その投入物検出器17からの検出信号に基づいて制御装置100で判断される。
【0035】
投入口ホッパ11に投入された被処理物が異素材に相当するものではないと判断され、かつ受入口ホッパ12に設けてある残留物検出器18が残留物を検出していない場合、穀物投入口11Aが閉じられて、ロック機構6により穀物投入口11Aがロック状態に切り換えられるに伴って、前記開閉用ソレノイド8が出口シャッタ16を開放側へ操作して、投入口ホッパ11から受入口ホッパ12への被処理物の流下供給が行われる。
【0036】
投入口ホッパ11に投入された被処理物が異素材に相当するものであると判断された場合には、前記開閉用ソレノイド8は出口シャッタ16の閉塞姿勢を維持し、取付パネル1の異素材表示灯4dが点灯する。同時に釣り銭返却口3Bに、既に投入されていたコインが返却される。
この異素材表示灯4dの表示にしたがって異素材取り出しシャッタ15を人為的に引き出して開放位置に切り換えると、
図6に示すように投入口ホッパ11から異素材ホッパ13への被処理物の流下供給が行われる。
【0037】
〔粗砕部〕
図4及び
図7に示すように、受入口ホッパ12に供給された被処理物は、被処理物を粗く粉砕するための粗砕部20に供給される。
粗砕部20は、上下軸心周りで回転駆動される下臼22と、その下臼22に上方側から外嵌する上臼21とを備えて構成される。
下臼22は、円錐面状の外周面に臼歯20Aを備えた截頭円錐台状に形成され、上臼21は円錐面状の内周面に臼歯20Aを備えた円筒状に形成されている。下臼22の外周面と上臼21の内周面との間隔は、上方側ほど広く、下方に至るほど狭くなっていて、粗く粉砕する過程でも、上方側でより粗く、下方側では少し細かくなるように粉砕される。
【0038】
円筒状の上臼21は下端側にフランジ部21aを備えている。このフランジ部21aを、取付パネル1の背面側に設けてある上部取付枠1Aの上側に固定設置されている支持台23の上面に搭載してボルト連結することにより、上臼21が支持台23に固定支持されている。
上臼21の天井部21bは、受入口ホッパ12の下端部を支持して、受入口ホッパ12の下端側開口12Cから被処理物を導入するように構成されている。また、この天井部21bには、下臼22及び後述する精砕部30の下精砕臼32に対して駆動力を伝達する動力伝達軸53の上端部を下臼22とともに支持するための軸支部24が設けられている。
【0039】
軸支部24は、下臼22の枢支孔22aに下端側を挿嵌して、下臼22を相対回動自在に枢支する支軸25と、その支軸25の上端部25aを上方側へ吊り上げ付勢する付勢バネ26とによって構成されている。つまり、下臼22の枢支孔22aは上方側が小径となる段付き孔に形成され、支軸25は下方側が大径となる段付き軸に形成されている。枢支孔22aの段部22bに支軸25の段部25bが上下方向で当接して係合し、支軸25をコイル状の圧縮スプリングからなる付勢バネ26で上方へ付勢することにより、下臼22の外周面を上臼21の内周面側へ常時押圧付勢している。
したがって、
図7(a)に示すように、受入口ホッパ12の下端側開口12Cから導入された被処理物が下臼22と上臼21の間に導入されて粉砕されるとき、
図7(b)に示すように、被処理物の破砕に伴う反力によって下臼22が付勢バネ26の付勢力に抗しながら多少下方側へ押し下げられることを許容することができる。
【0040】
下臼22と、下臼22に駆動力を伝達する動力伝達軸53との間では、次のような伝動構造を有して下臼22の上下移動を可能にしている。
つまり、下臼22の下端部に六角孔で形成される嵌合孔部22cが設けてあり、この嵌合孔部22cに動力伝達軸53の上部伝動軸55の六角軸部55aが嵌入して、下臼22に回転動力を伝達するように構成してある。そして下臼22の嵌合孔部22cの上方側には、支軸25の大径部分が挿入される丸孔22dが形成してあり、この丸孔22dに動力伝達軸53の前記六角軸部55aよりも上方に形成された丸軸部55bが挿入支持されている。
これらの嵌合孔部22c、六角軸部55a、丸孔22d、及び丸軸部55bによって動力伝達軸53から下臼22への動力伝達構造が構成されている。
【0041】
さらに、
図7(a),(b)に示すように、下臼22の前記支軸25の下端よりも下方側における丸孔22dの長さと動力伝達軸53の丸軸部55bの長さは、ほぼ同程度の上下方向長さを有している。そして、下臼22の外周面が上臼21の内周面に接した状態(
図7(a)に示す状態)で、丸孔22dの下端部と丸軸部55bの下端部との間に、所定上下方向長さの融通間隙sが生じるように下臼22と上臼21の相対位置が定められている。
この融通間隙sが存在する状態で下臼22と上臼21の相対位置を定めて構成したことにより、
図7(b)に示すように、被処理物の破砕に伴う反力によって下臼22が所定範囲内で下方側へ押し下げられることを許容し得る。
このような下臼22の多少の上下移動を許容しながら下臼22に駆動力を伝達するための融通伝動部56を、前記付勢バネ26を備えた軸支部24と、前記融通間隙sを備えた前記下臼22への動力伝達構造とによって構成している。
【0042】
粗砕部20で粉砕された被処理物は、下臼22の外周面と上臼21の内周面との間から、移動経路rを経て下方の精砕部30に供給されて、さらに細かく粉砕されるものであるが、その移動経路rは、前記支持台23の内部に形成されている。
つまり、支持台23は、
図4及び
図9に示すように、上端側が上臼21の下端側のフランジ部21aに対向し、かつ、下臼22の外周面と上臼21の内周面との対向箇所よりも外側で上臼21を支持するように大径に形成されていて、下臼22の外周面と上臼21の内周面との対向箇所から落下する被処理物が支持台23の内部に供給されるように構成してある。
【0043】
支持台23の内面側は下窄まりの逆円錐状に形成されていて、下臼22の外周面と上臼21の内周面との対向箇所から落下する被処理物が、支持台23の中央部に位置する動力伝達軸53と、その動力伝達軸53の外周側に位置する精砕部30の被処理物導入口30Bに集められるように構成されている。
そして、この支持台23の内部は、粗砕部20で粉砕処理された被処理物が落下供給される状態を妨げることなく、精砕部30に取り込まれる前の被処理物を一時的に貯留するに十分な容積の貯留用空間23Aを構成している。
【0044】
このように支持台23は、粗砕部20を支持するための支持手段としての機能の他に、粗砕部20から落下供給される被処理物を精砕部30へ案内しながら送り込むための移動経路rを形成する手段としての機能、及び精砕部30に取り込まれる前の被処理物を一時的に貯留して粗砕部20による処理時間と精砕部30による処理時間とのタイムラグを解消するバッファとしての機能をも備えている。
つまり、粗砕部20と精砕部30とでは、一般に被処理物の粉砕処理時間が異なり、粗砕部20よりも精砕部30で長い処理時間を要する傾向がある。このため、粗砕部20から直ちに精砕部30へ被処理物が送り込まれて処理される構造のものでは、先に粉砕処理を終えた粗砕部20側の被処理物が精砕部30へ円滑に送り込まれ難く、粗砕部20側で停滞してしまう虞がある。しかし、本発明によれば、粗砕部20から前記精砕部30への被処理物の移動経路途中に設けられた貯留用空間23Aに、精砕部30へ送り込まれる前の被処理物を一時的に貯留させられるので、粗砕部20で被処理物が停滞してしまうことを回避できる。
これによって、被処理物が粗砕部20内で停滞することによる発熱の影響が被処理物に及ぶことを回避し、かつ貯留空間23A内で貯留されている間に被処理物自体の放熱をも期待することができるので、被処理物に対する熱的影響を回避するための放熱手段としての機能をも兼ねている。
【0045】
〔精砕部〕
粗砕部20よりも細かく粉砕するための精砕部30は、
図4及び
図9に示すように、上下軸心周りで回転駆動される下精砕臼32と、その下精砕臼32の上面に対向する上精砕臼31とを備えて構成される。
上精砕臼31と下精砕臼32とは、共に対向面に臼歯30A、30Aを備えた円板状に形成されており、下精砕臼32が動力伝達軸53からの駆動力を受けて回転駆動され、上精砕臼31は取付パネル1の背面側に設けてある上部取付枠1Aの上側に固定設置されている。
【0046】
下精砕臼32は、動力伝達軸53の下部伝動軸54に対して、固定ピン53a、連結ボルト53b、及び止め輪部材53cを介して一体回動自在に連結してある。下精砕部32の臼歯30Aは、粗砕部20の臼歯20Aよりも細かい凹凸を有して、被処理物を細かく粉砕できるように構成してある。
下部伝動軸54の上部軸端に形成したネジ軸部54aに、前記粗砕部20に駆動力を伝える上部伝動軸55の下端側の雌ネジ部55cを螺合させて、下部伝動軸54と上部伝動軸55とを一体に構成してある。この下部伝動軸54と上部伝動軸55とによって動力伝達軸53が構成されている。
【0047】
下精砕臼32は、
図9に示すように、臼歯30Aを止め輪部材53cの外周よりも半径方向での外方側に形成してある。上精砕臼31は、
図4及び
図9に示すように、中心部に止め輪部材53cの外径よりも僅かに径の大きい中央開口31aが形成されており、この中央開口31aの内周面と前記止め輪部材53cの外周面との間に形成される僅かな間隙が被処理物導入口30Bを構成している。
【0048】
上精砕臼31は、取付パネル1の背面側に設けてある上部取付枠1Aの上側に固定設置された円形外周壁を有した精砕室ケース部材33の天井壁を兼ねている。したがって、上精砕枠31が精砕室ケース部材33の上側に重ねられた状態で固定されることにより、精砕室ケース部材33と上精砕臼31とによって、円筒状で、かつ天井面及び底面が覆われた精砕室34が形成される。
この精砕室34の内部で下精砕臼32が回転駆動され、粉砕された被処理物は、精砕室34の底面の一部に形成された粉体出口30Cから、その下方に位置する粉粒体回収部41に落下供給される。
【0049】
この精砕部30には、上精砕臼31の上側に多数のヒートシンク36付きの環状板37を装着し、かつ、そのヒートシンク36に向けて冷却風を送る送風機38を備えて構成された冷却装置35が設けられている。
送風機38の送風方向は、
図1乃至
図3に示すように、斜め下向きで、上精砕臼31の上面、及び支持台23の下半側に向けられ、ヒートシンク36の熱交換効率を高めるとともに、支持台23の周面に冷却風を当てて、支持台23の内部に貯留されている被処理物の放熱も促進されるように構成してある。
【0050】
〔粉体取り出し部〕
精砕部30から取り出された被処理物は粉体取り出し部40に導かれる。
この粉体取り出し部40は、粉体出口30Cから落下供給される被処理物を受け止める前記粉粒体回収部41と、その粉粒体回収部41の下方に位置する取り出し凹部43とで構成されている。
【0051】
粗砕部20と精砕部30とで粉砕される被処理物は、投入口ホッパ11に投入してから、制御装置100で設定された所定時間だけ粉砕処理を行って、粉粒体回収部41に供給されると、取付パネル1の表側に開口部分を有した取り出し凹部43の上部付近に設けてある終了表示灯4fが点灯する。
この終了表示灯4fの点灯を見ることによって粉砕処理の完了を知ることができるので、取り出し用操作板42を引き出すことにより、粉粒体回収部41に貯留されていた被処理物を下方の取り出し凹部43へ落下供給することができる。
したがって、この取り出し凹部43に仮想線で示すように受入容器44を置くことで、製粉処理された被処理物を外部へ取り出すことができる。
【0052】
〔駆動部〕
粗砕部20及び精砕部30に駆動力を伝達する駆動部50は次のように構成されている。
図2乃至
図4に示すように、駆動部50は、動力源としての第1電動モータ51と第2電動モータ52とを備えている。第1電動モータ51に連結された動力伝達軸53を介して、前記第1電動モータ51の駆動力が、粗砕部20及び精砕部30に粉砕用の回転動力として伝達されるように構成されている。
第2電動モータ52の動力は、動力伝達軸53に対する回転用の駆動力としてではなく、上下位置変更機構としてのネジ送り機構57を介して、動力伝達軸53を上下方向で昇降移動させるための動力として用いられる。つまり、動力伝達軸53を上下方向で昇降移動させることにより、動力伝達軸53に一体に連結されている精砕部30の下精砕臼32を上下方向で位置移動させて、上精砕臼31との対向間隔を変更できるように構成してある。
【0053】
前記第1電動モータ51及び第2電動モータ52は、取付パネル1の背面側に設けてある下部取付枠1Bに対して連結固定され、その上下方向位置、及び水平方向位置が決められている。
前記動力伝達軸53は、第1電動モータ51の出力軸51aと同心状に位置して、下部伝動軸54の下端側のボス部54bと出力軸51aとがキー連結され、一体回動するように構成されている。また、下部伝動軸54は、出力軸51aに対して軸線方向で僅かな範囲ではあるが上下相対移動可能に構成されている。
【0054】
第2伝動モータ52の上端側の出力軸52aには出力回転体52bが装着され、この出力回転体52bとネジ送り機構57の受動回転体58との間にタイミングベルト52cが掛張され、第2電動モータ52の出力軸52aの回転に伴ってネジ送り機構57の受動回転体58が同期して回転駆動されるように構成されている。
【0055】
上下位置変更機構としてのネジ送り機構57は、動力伝達軸53の下部伝動軸54の外周部に相対回動自在に外嵌する前記受動回転体58と、その受動回転体58の上部に形成されているネジ部58aに対して螺合する中間部材59とによって構成されている。中間部材59は下部側に前記受動回転体58のネジ部に螺合するネジ孔59aを備え、上部に下部伝動軸54の大径部分54cの下側に形成される段部54dに対して下方側から接当するスラストベアリング59bを備えている。そして、図示しないが取付パネル1の適所に回動不能であるように回り止め状態で、かつ上下方向にのみ移動可能であるように支持されている。
【0056】
つまり、受動回転体58が一方向に回転駆動されることで、これに螺合する中間部材59が上方、又は下方に位置変更される。受動回転体58が逆方向に回転駆動されることで、中間部材59も逆の下方又は上方に位置変更されるように構成されている。
したがって、中間部材59が上方に移動すると、スラストベアリング59bを介して下部伝動軸54の段部54dを上方側へ押し上げ、下部伝動軸54の上方移動に伴って下精砕臼32が上精砕臼31に近接する側に移動する。
逆に、中間部材59が下方に移動すると、スラストベアリング59bを介して段部54dを支持した状態にある下部伝動軸54の下方側への自重移動により、下部伝動軸54を下方移動させるに伴って下精砕臼32が上精砕臼31から離れる側に移動し、上精砕臼31との対向間隔を拡げることになる。
【0057】
〔清掃用クリーナ〕
図3及び
図8に示すように、精砕部30の粉体出口30Cに連なる粉粒体回収部41には、吸引ダクト61を備えた清掃用クリーナ60が接続されている。
清掃用クリーナ60は、取り出し用操作板42を閉塞位置に操作した状態で、外部との連通状態が遮断された粉粒体回収部41に吸い込み側の端部が接続された吸引ダクト61を備えている。吸引ダクト61の吐出側の端部は、粉塵分離用の集塵部62、及び吸引ファン63に接続され、吸引ファン63の駆動にともなって粉粒体回収部41内の気体、及びその気体に含まれる粉塵等を吸引排出するように構成されている。
【0058】
吸引ファン63の駆動によって粉粒体回収部41の内部が負圧になると、その粉粒体回収部41に連通する精砕部30の精砕室34、移動経路r、及び粗砕部20に対しても吸引作用が及ぶことになる。これによって、この吸引作用が及ぶ範囲に存在する気体、ならびに残留する被処理物の粉体等が吸引排出される。
清掃用クリーナ60の集塵部62、及び吸引ファン63は、機械室S2内の床面等、適所に設置されているが、機械室S2の外部に設置しても差し支えない。
【0059】
図8に示すように、粉粒体回収部41に対して精砕部30からの粉体出口30Cは、粉粒体回収部41の水平方向での中心位置よりも一端側寄りの箇所に変位した位置に設けてある。前記吸引ダクト61の吸い込み側の端部である吸引口61aは、前記粉体出口30Cが変位した側とは反対側の他端側寄りの箇所で、粉体出口30Cから離れた位置に配設されている。
【0060】
〔制御装置〕
図10に示すように、制御装置100は、各種表示装置4に対して制御信号を出力する表示制御手段101と、投入状況判別制御手段102と、粉砕制御手段103と、清掃制御手段104とを備えている。
【0061】
表示制御手段101は、投入状況判別制御手段102、粉砕制御手段103、又は清掃制御手段104が稼働中であるのか否かの判別結果に基づき、稼働中であれば穀物投入が不可能な状態であることを表示する状態表示灯4aを点灯する。
稼働中でなければ、コイン検出器3からの所定金額のコインが投入されたことの検出信号に基づいて、穀物投入口11Aからの穀物投入が可能であることを示す開始表示灯4bの表示を行う。
これとともに残留物検出器18からの検出信号に基づいて、受入口ホッパ12に残留物が存在していれば、そのことを残留物表示灯4eに表示する。
【0062】
投入口ホッパ11に投入された被処理物を検出する投入物検出器17の検出結果に基づいて、投入物が処理対象の被処理物でない、つまり製粉した米ではないと判定された場合には、異素材表示灯4dを点灯させる。
また、粒度選択スイッチ5である粗挽き選択スイッチ5a、中挽き選択スイッチ5b、及び細挽き選択スイッチ5cの何れが選択されたかを粒度表示灯4cによって表示する。
【0063】
投入状況判別制御手段102は、残留物検出器18からの検出信号に基づいて、残留物が存在することの検出信号を前記表示制御手段101に出力するとともに、開閉用ソレノイド8に出口シャッタ16を開くように制御指令を出力する。同時に、粉砕制御手段103及び清掃制御手段104に残留物の処理を行うための制御信号を出力し、粗砕部20及び精砕部30、ならびに清掃用クリーナ60を駆動させて、残留物の粉砕、及び粉砕後の清掃を行うようにする。
【0064】
また、投入状況判別制御手段102では、投入物検出器17で異素材であることが検出された場合には、その異素材であることの検出信号を表示制御手段101に出力する。
粉砕制御手段103や清掃制御手段104が稼働中ではなく、投入物が異素材でなく、コイン検出器3からの所定金額のコインが投入されたことの検出信号があり、粒度選択スイッチ5で被処理物の粒度が選択された後、投入口スイッチswで投入口11Aの開閉蓋11Bが閉塞されたことが検出されると、それらの検出信号を投入状況判別制御手段102が粉砕制御手段103に出力する。
【0065】
粉砕制御手段103(粉砕工程終了時点で精砕部30に微量の粒状の被処理物が残存する程度に精砕部30における粉砕時間を設定する制御手段に相当する)では、投入状況判別制御手段102での検出結果に基づいて第1電動モータ51を駆動し、粒度選択スイッチ5での選択結果に基づいて第2電動モータ52を駆動し、精砕部30での下精砕臼32の位置を適正に調節して、精砕部30での粉砕粒度を決定する。
また、第1電動モータ51の駆動とともに、冷却装置35の送風機38も駆動する。
第1電動モータ51による粗砕部20及び精砕部30での粉砕工程の作動時間、及び送風機38の作動時間は、粉砕制御手段103に予めプログラムとして記憶されている設定時間によって決定される。この粉砕制御手段103で設定される第1電動モータ51の作動時間は、粉砕工程の終了時点で、精砕部30内に最終目標の粒度よりも少し大きい粒度の被処理物が僅かな量だけ残る程度に設定するのが望ましい。これは、後の清掃工程で精砕部30を駆動しながら清掃を行う場合に、精砕室34内をよりきれいに清掃し易いためである。この現象は、僅かに残った粒度の大きい被処理物が精砕室34内を移動する際に、精砕室34の室壁に付着している微細な粉体に接触して剥離し易くするためと考えられる。
【0066】
清掃制御手段104(粉砕工程終了後における粗砕部20及び精砕部30の駆動状態で清掃用クリーナ60による吸引作動を行う制御手段に相当する)では、残留物検出器18からの検出信号に基づく清掃工程と、取付パネル1の表側に設けた押しボタン式の清掃スタートスイッチ9からの指令に基づいて吸引ファン63に対して駆動指令を出力する。
このとき、清掃制御手段104は、第1電動モータ51を駆動して、粗砕部20と精砕部30とが駆動されている状態で前記吸引ファン63による吸引が行われるように制御する。このときの粗砕部20と精砕部30との駆動速度は通常の粉砕工程のときの駆動速度と同一であるが、より緩やかな駆動速度で駆動するように制御してもよい。
【0067】
また、清掃制御手段104は、第2電動モータ52にも駆動指令を出力する。この清掃工程での第2電動モータ52の駆動は、清掃工程の初期では上精砕臼31と下精砕臼32との間を狭くし、清掃工程の終期では上精砕臼31と下精砕臼32との間を広くするように制御する。あるいは、逆に、清掃工程の初期では上精砕臼31と下精砕臼32との間を広くし、清掃工程の終期では上精砕臼31と下精砕臼32との間を狭くするように制御したり、清掃工程の全体で上精砕臼31と下精砕臼32との間隔を拡げたり狭めたりするように制御しながら吸引排出するように構成してもよい。
【0068】
〔制御作動〕
上記制御装置100による作動を、
図11に示すフローチャートに基づいて説明する。
[1] 電源入りとともに制御装置100が作動し、粉砕制御手段103による粉砕工程、あるいは、清掃制御手段104による清掃工程が行われているか否かが判断され、粉砕工程、あるいは、清掃工程での稼働中であれば、状態表示灯4aを点灯する(ステップ1、ステップ3)。
[2] 粉砕工程、あるいは、清掃工程での稼働中でなければ、コイン検出器3からの検出信号に基づいて所定金額のコインが投入されたか否かを判断し、所定金額のコインが投入されていなければ状態表示灯4aが点灯したままの状態を維持する(ステップ2、ステップ3)。
[3] 所定金額のコインが投入されると、残留物検出器18での検出信号に基づいて受入口ホッパ12内に被処理物が残留しているか否かを判断し、残留していれば、残留物表示灯4eを点灯し、第1電動モータ51を駆動して残留物の粉砕処理を行い、引き続いて吸引ファン63を駆動して清掃処理を行う(ステップ4〜ステップ7)。
[4] 受入口ホッパ12内に被処理物が残留していなければ、穀物投入口11Aからの穀物投入が可能であることを示す開始表示灯4bを点灯し、かつロック機構6による開閉蓋11Bのロックを解除する(ステップ4、ステップ8、ステップ9)。
[5] 投入口ホッパ11に設けた投入物検出器17からの検出信号に基づいて、被処理物が投入されたか否か、及び投入された被処理物が、製粉対象としている被処理物であるか否かを判断する。投入されていなければ投入を待ち、投入された被処理物が製粉対象としている被処理物ではないと判断された場合には、異素材表示灯4dを点灯し、投入されたコインを釣り銭返却口3Bに返却し、ステップ1に戻る(ステップ10〜ステップ13)。
この状態で異素材取り出しシャッタ15を人為操作で引き出すことにより、投入口ホッパ11の被処理物を異素材ホッパ13内に排出することができる。さらに異素材ホッパ13の指掛け部13aに指を掛けて引き出すことにより、異素材ホッパ13ごと被処理物を取り出すことができる。
【0069】
[6] 投入口ホッパ11に設けた投入物検出器17からの検出信号に基づいて、投入された被処理物が、製粉対象としている被処理物であると判断された場合には、粒度選択スイッチ5で選択された被処理物の粒度を検出し、選択された粒度での粉砕が行われるように第2電動モータ52を駆動し、下精砕臼32を所定の高さ位置に移動させる(ステップ14)。
[7] 次に、人為操作によって開閉蓋11Bが閉塞されたか否かを投入口スイッチswで検出し、閉塞されていなければ粒度選択スイッチ5での粒度の変更が可能な状態で待機する。開閉蓋11Bが閉塞されたことを投入口スイッチswで検出すると、ロック操作用ソレノイド7を作動させてロック機構6をロック状態とし、開閉用ソレノイド8で投入口ホッパ11の出口シャッタ16を開き、被処理物を受入口ホッパ12側へ流入させる(ステップ15〜ステップ17)。
【0070】
[8] 受入口ホッパ12に被処理物が供給されると、第1電動モータ51及び冷却装置35の送風機38が駆動され、粗砕部20及び精砕部30での粉砕処理が行われる。粉砕処理が予め設定された所定時間行われると、第1電動モータ51の駆動を停止し、粉砕処理の終了を報知する終了表示灯4fを点灯させる(ステップ18〜ステップ20)。
この状態で、人為操作により取り出し用操作板42を開放位置に引き出すと、粉粒体回収部41に貯留されていた被処理物を下方の取り出し凹部43へ落下供給することができる。
【0071】
[9] 次に、取り出し用操作板42を閉塞位置に戻して、清掃スタートスイッチ9が入り操作されたか否かを検出し、入り操作が検出されると、第1電動モータ51及び第2電動モータ52、ならびに吸引ファン63を駆動して清掃用クリーナ60での清掃工程が開始される(ステップ21、ステップ22)。
[10] 清掃工程での第1電動モータ51及び吸引ファン63の駆動時間は、清掃制御手段104で予め設定された所定時間であり、その所定時間の経過後に清掃工程を終了し、電源OFFなどの終了条件が入力されなければステップ1に戻って制御を続行する(ステップ23、ステップ24)。
【0072】
〔別実施形態の1〕
実施の形態では、粗砕部20と精砕部30との間における移動経路rを、粗砕部20の支持台23の内部空間に設けた構造を例示したが、このような構造に限られるものではない。
例えば、図示しないが、支持台23とは別に設けた管路内に移動経路rを形成するなどしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0073】
〔別実施形態の2〕
実施の形態では、融通伝動部56を、軸支部24に設けた付勢バネ26や融通間隙sによって形成したが、このような構造に限られるものではない。
例えば、動力伝達軸53の軸線方向での中間位置に、動力伝達軸53が軸線方向で多少伸縮移動することが可能な構造を採用するなど、適宜の構造、及び配設位置を採択することができる。
また、この融通伝動部56そのものを省いて、動力伝達軸53に下臼22を直結して駆動力を伝達するようにしてもよい。この場合、上臼21と下臼22との夫々の臼歯20A,20A同士の間には、粗粉砕に適した対向間隔を設定しておく必要がある。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0074】
〔別実施形態の3〕
実施の形態では、精砕部30での粉砕粒度の調節のために、下精砕臼32を第2電動モータ52の駆動によって行うように構成した構造のものを示したが、これに限らず、例えば、手動操作で螺軸部を回転させられるようにして、手動調節により粉砕粒度を変更できるように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0075】
〔別実施形態の4〕
実施の形態では、清掃工程での清掃の精度を向上させるために、粉砕制御手段103で精砕部30内に最終目標の粒度よりも少し大きい粒度の被処理物が僅かな量だけ残る程度に粉砕時間を設定するようにしたものを例示したが、これに限られるものではない。
清掃工程での清掃の精度を向上させるには、例えば、被処理物の全部が最終目標の粒度に達するように粉砕工程での処理時間を設定し、かつ粉砕処理されたすべての被処理物を取り出した後に、清掃用の適正な粒度の別の被処理物を新たに少量投入して清掃を行うように構成してもよい。この場合、精砕部30では、上精砕部31と下精砕部32との間隔を、投入されている粒度の被処理物の粉砕が行われない程度に広く設定しておくのが望ましい。
あるいは、被処理物の全部が最終目標の粒度に達するように粉砕工程での処理時間を設定し、かつ粉砕処理されたすべての被処理物を取り出した後に、被処理物に相当するものではない清掃専用の粒状物を投入して清掃するようにしてもよい。この場合、精砕部30では、上精砕部31と下精砕部32との間隔を、投入されている粒度の粒状物の粉砕が行われない程度に広く設定しておくのが望ましい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0076】
〔別実施形態の5〕
実施の形態では、製粉機が仕切壁Wに埋め込まれた構造のものを例示したが、穀物投入口11Aと粗砕部20と精砕部30とを一つの箱状のケーシング内に収めて、床面に据え付けた構造に構成したものであってもよい。また、コインの投入によって稼働する商用のものではない場合には、コイン検出に関する構造を省いて簡素化したり小型化することも可能である。
【0077】
〔別実施形態の6〕
実施の形態では、製粉機を単独で設置した構造のものを示したが、この製粉機を周知の精穀機と併設して、精穀後に直ちに製粉できるようにしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。