(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061626
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】ミーティングシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20170106BHJP
A47B 13/10 20060101ALI20170106BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20170106BHJP
A47B 83/04 20060101ALI20170106BHJP
A47B 97/00 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
H04N5/64 501Z
A47B13/10
A47B13/00 B
A47B83/04
A47B97/00 M
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-244844(P2012-244844)
(22)【出願日】2012年11月6日
(65)【公開番号】特開2014-93747(P2014-93747A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】加藤 善雅
(72)【発明者】
【氏名】坂口 順一
(72)【発明者】
【氏名】秋田 直繁
(72)【発明者】
【氏名】松本 麻子
(72)【発明者】
【氏名】坂井 理
【審査官】
大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−522660(JP,A)
【文献】
特開2012−115610(JP,A)
【文献】
特開2012−039195(JP,A)
【文献】
特開平06−141318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00−41/06
A47B77/00−77/18
A47B83/00−97/08
G09F 9/00
H04N 5/64−5/655
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置を支持する表示装置支持体と、この表示装置支持体の隣接位置に配置されるテーブルとを組み合わせてなるミーティングシステムであって、
前記表示装置支持体と前記テーブルの間に両者を突き当てた際に相対的な位置決めをなす位置決め手段を設け、前記テーブルの使用縁に沿った所定範囲であって当該使用縁から周囲に向かい所定距離離れた位置までの間を複数人が着座可能な着座領域とした場合に、この着座領域が前記画像表示装置の特性に応じた適正受像角内に収まり、且つ、この着座領域が前記画像表示装置の特性に応じた適正離間距離内に収まるように、前記位置決め手段による前記表示装置支持体と前記テーブルとの相対位置が設定されていることを特徴とするミーティングシステム。
【請求項2】
前記表示装置支持体または前記画像表示装置が撮像装置支持部を有し、前記着座領域が前記撮像装置支持部に支持された撮像装置の特性に応じた適正撮像角に収まり、且つ、この着座領域が前記撮像装置の特性に応じた適正離間距離内に収まるように、前記位置決め手段による前記テーブルと前記撮像装置支持部との相対位置が設定されている請求項1に記載のミーティングシステム。
【請求項3】
表示装置支持体とテーブルの間を接続する変形可能な配線ダクトを設け、前記着座領域の一部が適正受像角から外れるときにテーブルを表示装置支持体から引き離して、前記着座領域が前記適正受像角内に収まりかつ前記適正離間距離内に収まる位置にまでテーブルが表示装置支持体から離れても配線ダクトが変形して配線状態を維持するように構成されている請求項1又は2に記載のミーティングテーブル。
【請求項4】
表示装置支持体とテーブルの間を接続する配線ダクトを設け、前記着座領域の一部が適正撮像角内に収まり、かつ前記適正離間距離内に収まる位置にまでテーブルが表示装置支持体から離れても配線ダクトが配線状態を維持するように構成されている請求項2に記載のミーティングテーブル。
【請求項5】
表示装置支持体が一部に棚を有し、この棚が前記テーブルと略面一に突き合わせられる位置に配置されて前記位置決め手段として機能する請求項1〜4の何れかに記載のミーティングシステム。
【請求項6】
棚の前縁の形状と、テーブルの対応縁部の形状とが、所定範囲に亘って突き当たるように関連づけられている請求項5に記載のミーティングシステム。
【請求項7】
表示装置支持体に対するテーブルの離間位置が適正離間距離内に収まるように配線ダクトによって両者間の最大離間距離を規制している請求項3又は4に記載のミーティングテーブル。
【請求項8】
配線ダクトによる接続状態が維持される範囲での最大離間位置において表示装置支持体とテーブルの間に着座領域が形成される請求項3、4又は7に記載のミーティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等においてディスプレイ等を中心としたミーティングを行う際に有効に活用できるミーティングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィス内にディスプレイやモニター等の画像表示装置を中心として当該表示装置支持台やテーブル、カメラ等の撮像装置をレイアウトし、チームメンバーの間で画像表示装置を使いながら情報共有をしたり、遠隔地にいる他のメンバーとの間で画像表示装置を通じたコミュニケーションを図る機会が益々増えている。
【0003】
このような場合、テーブルに着座した者が画像表示装置を適切に視認でき、また、着座者が撮像装置の撮像範囲に適切に収まらないと、効果的な情報共有やコミュニケーションを図ることができない。
【0004】
そこで、画像表示装置を設置し、これにテーブルを方向や離間距離を手作業で調整しながら隣接させて、テーブル上のパーソナルコンピュータと画像表示装置の間をケーブルで接続することによって、ミーティングの環境を整えるのが通例であり、撮像装置を用いる場合には、これを画像表示装置やその支持台に取り付けるなどして、テーブルに着座した者が適切に撮像されるか否かを併せて考慮しながらテーブルを手探りで調整しているのが通例である。
【0005】
テレビ会議に特化した例としては、特許文献1に示すものが挙げられる。このものは、天板の縁部に沿って一人または複数人が着座して利用可能なテーブルと、撮像装置及び画像表示装置を支持する支持部を有した移動台と、前記移動台を前記天板の周囲において少なくとも第1の移動位置および第2の移動位置に移動させた際にそれぞれ天板に対する相対距離を一義的に保つように移動台と天板を構造的に関連づける関連手段とを具備して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−39195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した手作業の調整による場合だと、画像表示装置とテーブルの相対位置は、椅子に着座した者がテーブルに就いてみないと実際に画面がよく見えるか、撮像範囲にうまく収まっているかはわからず、テーブルの配置を繰り返し再調整しなければならないことが少なくない。
【0008】
一方、特許文献1のものは、移動台とテーブルが常に1対1で連結されているため、移動台を一義的に移動させて人数に応じたテレビ会議の適切な環境を簡単に切り替えることができる点では優れるが、ミーティング時には画面により密接しテレビ会議時には少し離れて着座することが望ましい場合や、ディスプレイに対してテーブルの向きを変更したいといった要望、さらには違う種類のテーブルを組み合わせて使用したいといった要請などには応えることができないものである。さらに、人数の増減によってディスプレイと着座位置との距離を変更する必要が生じる場合もあるが、このような状況にも対応することが難しいものである。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑み、画像表示装置や撮像装置と、テーブルとの適切な関係をより簡単、適切、かつ柔軟に構成、変更できるようにしたミーティングシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0011】
すなわち、本発明のミーティングシステムは、画像表示装置を支持する表示装置支持体と、この表示装置支持体の隣接位置に配置されるテーブルとを組み合わせたものであって、
前記表示装置支持体と前記テーブルの間に両者を突き当てた際に相対的な位置決めをなす位置決め手段を設け、前記テーブルの使用縁に沿った所定範囲であって当該使用縁から周囲に向かい所定距離離れた位置までの間を複数人が着座可能な着座領域とした場合に、この着座領域が前記画像表示装置の特性に応じた適正受像角内に収まり、且つ、この着座領域が前記画像表示装置の特性に応じた適正離間距離内に収まるように、前記位置決め手段による前記表示装置支持体と前記テーブルとの相対位置が設定されていることを特徴とする。
【0012】
このように構成すれば、テーブルを表示装置支持体に対して所定位置に移動させるだけで、位置決め手段により着座領域が適正に位置決めされて、画像が見やすい範囲に自ずと着座することができる。このため、テーブルの位置調整を繰り返す必要もなく、テーブルは表示装置支持体に対して非拘束にできるため必要であれば画像表示装置からテーブルを離して利用することも可能になる。そして、このような基準で支持体とテーブルを構成すれば、ミーティング時には画面により密接しテレビ会議時には少し離れて着座することが望ましい場合や、ディスプレイに対してテーブルの向きを変更したいといった要望、さらには違う種類のテーブルを使いたいといった要請にも応えることができ、人数の増減によってディスプレイと着座位置との間の適正
離間距離の変更にも有効に対応することができるようになる。
【0013】
特に、テレビ会議等にも対応可能とするためには、前記表示装置支持体または前記画像表示装置が撮像装置支持部を有し、前記着座領域が前記撮像装置支持部に支持された撮像装置の特性に応じた適正撮像角に収まり、且つ、この着座領域が前記撮像装置の特性に応じた適正離間距離内に収まるように、前記位置決め手段による前記テーブルと前記撮像装置支持部との相対位置が設定されていることが望ましい。
【0014】
表示装置支持体とテーブルの間を接続する
変形可能な配線ダクトを設ける場合には、前記着座領域の一部が適正受像角から外れるときに
テーブルを表示装置支持体から引き離して、前記着座領域が前記適正受像角内に収まりかつ前記適正
離間距離内に収まる位置にまでテーブルが表示装置支持体から離れても配線ダクトが
変形して配線状態を維持するように構成しておくことが有効である。
【0015】
或いは、表示装置支持体とテーブルの間を接続する配線ダクトを設ける場合には、前記着座領域の一部が適正撮像角内に収まり、かつ前記適正
離間距離内に収まる位置にまでテーブルが表示装置支持体から離れても配線ダクトが配線状態を維持するように構成しておくことが有効である。
【0016】
位置決め手段の好ましい実施の一態様としては、表示装置支持体が一部に棚を有し、この棚が前記テーブルと略面一に突き合わせられる位置に配置されて前記位置決め手段として機能するものが挙げられる。
【0017】
この場合、位置決め機能を高めるためには、棚の前縁の形状と、テーブルの対応縁部の形状とが、所定範囲に亘って突き当たるように関連づけられていることが望ましい。
【0018】
無造作にテーブルを引き離しても適正
離間距離が崩れないようにするためには、表示装置支持体に対するテーブルの離間位置が適正離間距離内に収まるように配線ダクトによって両者間の最大離間距離を規制していることが好都合である。
【0019】
着座領域を十分に確保するためには、配線ダクトによる接続状態が維持される範囲での最大離間位置において表示装置支持体とテーブルの間に着座領域が形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上説明した構成であるから、表示装置支持部にテーブルを突き合わせるだけで、画像表示装置を中心としたミーティング、更には撮像装置を併用したテレビ会議的なミーティングの環境を簡単、適切に構成できる、優れたミーティングシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係るミーティングシステムを示す斜視図。
【
図2】同ミーティングシステムを椅子とともに示す斜視図。
【
図3】同ミーティングシステムを配線ダクトを含めて模式的に示す側面図。
【
図4】同ミーティングシステムの着座領域を説明するための図。
【
図5】同ミーティングシステムの受像角、適正
離間距離、撮像角、視野角を模式的に説明するための図。
【
図6】同ミーティングシステムの利用方法を説明するための図。
【
図7】同ミーティングシステムの他の利用方法を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
図1および
図2に示す本実施形態のミーティングシステムMSは、画像表示装置であるディスプレイ1を支持する表示装置支持体2(以下、単に支持体と称する)にテーブル3を突き当て、テーブル3の周囲の椅子Cにメンバーが着座して、パーソナルコンピュータPCからディスプレイ1に画像を表示して画像を見ながらミーテイングしたり、撮像装置たるカメラ5を併用して遠隔地にいる他のメンバーとディスプレイ1を介して擬似的に同席状態でテレビ会議的にミーティングを行うことができるように構成されたものである。
【0024】
支持体2は、
図1〜
図3に示すように、左右の支柱21,21を利用して上下の内パネル22、23、および上下の外パネル24,25を着脱可能に取り付けた壁体状のもので、所定高さ位置において支柱21の前面側における上段位置と中段位置にそれぞれ適宜の取付構造によってディスプレイ1と棚4が取り付けられている。棚4の前縁4aは平面視において緩やかに湾曲する凹状をなしている。外パネル25を外した際に露出する位置には配線ダクト26が設けられ、前パネル22,23の適宜位置から支持体2の中空部に引き込んだ配線類の集線処理をこの支持体2内において一括して行い得るようにしている。
【0025】
一方、この実施形態のテーブル3は、天板31が長手方向(X方向)と短手方向(Y方向)とで距離が異なる異形状のもので、使用縁である長手方向(X方向)に延びる縁部(以下、長縁部と称する)31a、31aおよび短手方向(Y方向)に延びる縁部(以下、短縁部と称する)31b、31bが緩やかに湾曲して長円ないし楕円状をなす天板31の外形を形成している。前記棚4に対しては、緩やかな凸状を描く長縁部31aが所定範囲に亘って棚4の前縁4aに突き当たるように、当該長縁部31aの形状と棚4の前縁4aの形状とが凹凸で対応しており、この位置で支持体2に対する天板31の相対位置が向き(回転方向)を含めて定まるようにしている。すなわち、棚4はY方向およびX方向に対してテーブル3の位置決め手段としての機能を有している。天板3は、長軸方向(X方向)の2箇所がそれぞれ脚32に支持され、脚32は下端が二股に分かれて計4点でキャスタ32aを介して床に安定接地している。キャスタ32aにはストッパ機能が付いている。
【0026】
天板3の中央には配線挿通用の開口部33が形成され、この開口部33に一対の蓋34が開閉可能に取り付けられている。開口部33の下方には配線ボックス35が取り付けられている。
【0027】
ここで、
図4に斜線で示すように、テーブル3の使用縁31a、31bに沿って所定範囲、かつ当該使用縁31a、31bから周囲に向かい所定距離離れた位置までの間を複数人が椅子Cを使って着座可能な着座領域Aと呼ぶこととする。この着座領域Aは、椅子Cを利用してテーブル3の周囲に着座した者が当該テーブル3の縁部31a、31bとどの程度の距離で着座するかを示す領域のことで、本発明者が検討したところによると、テーブル3の使用縁31a、31bから600mm〜800mm離れた位置に椅子Cの背凭れ後部Cbが位置する状態で着座するのが一般的であることが確認されている。
【0028】
ディスプレイ1は、これに対峙した者が受像する際の画面に対する角度θ(
図5(a)参照)のうち、その特性(主として液晶、プラズマ、有機EL等の種類)に応じた適正受像角θxがあると同時に、近すぎると見づらく遠すぎると見えにくいことから、ディスプレイ1から着座者までの距離dのうちディスプレイ1の特性(主として32インチ、42インチ等のサイズ)に応じた適正離間距離Dx1があることがわかっている。そこで、棚4によって位置決めされたテーブル3は、
図4に示す着座領域Aが前記ディスプレイ1の適正受像角θx内に収まり、且つ、適正離間距離Dx1内に収まるように、前記棚4やテーブル3の大きさ、形状等が設定されている。本発明者が実験したところ、画面サイズ(インチサイズ)と適正離間距離Dx1についてミーティングに最適な関係を見出した。すなわち、画面に一番近い見え易い距離d1は画面サイズ(インチサイズ)×0.03あたりにあり、画面に一番遠い見え易い距離d2は画面サイズ×0.06あたりにあることが確認されている。例えば、37インチの場合、画面に一番近い見え易い距離d1は37×0.03=1.11m、画面に一番遠い見え易い距離d2は37×0.06=2.22mである。
【0029】
さらに、前記支持体2の棚4の一部には一定範囲で画像装置支持部4xが設定され、この画像装置支持部4xにカメラ5が設置されている。このカメラ5は、テーブル3に着座した者の画像を取得して通信により相手方のディスプレイに当該画像を映し出すためのもので、
図5(b)に示すようにカメラ5が捕捉できる視野角すなわち撮像角φはカメラ5の特性によって異なるが、現在のテレビ会議用のカメラにおいて適正撮像角φxはほとんど70度あたりにあることを確認している。また、カメラ5にも、撮像対象までの距離dのうち、ピントが合うかどうか、或いは、コミュニケーションを図る上で必要な表情変化等を撮像できるか否か等を考慮した適正離間距離Dx2がある。この実施形態では、棚4の所定位置にカメラ5を置き、テーブル3を棚4から適正離間距離Dx2だけ離した場合に、
図4に示した着座領域Aが前記カメラ支持部2に支持されたカメラ5の適正撮像角φx内に収まるように、棚4の大きさや形状が設定されている。カメラ5にとっての適正離間距離Dx2は、ディスプレイ1にとっての適正離間距離Dx1と重なる範囲があって、その範囲に着座領域Aを確保することができるように形状設計、機種選定等がなされている。勿論、テーブル3を棚4に突き当てた状態でも適正離間距離Dx2が得られるようにテーブル3や棚4の大きさや形状、カメラ5の機能を選定してもよいのは言うまでもない。この場合、使用縁31に沿ってどこからどこまでが着座領域Aであるかを表す目印をテーブル3に付しておくことが有効であり、棚4上でカメラ5の適切な設置場所が限られている場合には当該カメラ5の適切な設置位置を示す目印を棚4に付しておくことも有効である。
【0030】
さらに、この実施形態は、
図3に示すように支持体2とテーブル3の間を配線ダクト6によって接続している。この配線ダクト6は、ダクト構成要素6aを多数連ねたもので、支持体2の棚4の下面に取り付けたケース40内に収められ、基端をケース40に固定し、先端をケース40より外部に引き出してテーブル3の下面に固定している。ダクト構成要素6aは、直線形状と湾曲形状の間で変形可能なもので、先端からの押し引きの力を順次隣接するダクト構成要素6aに伝えて、ケース40内に撓んだ状態で収まっている配線ダクト6を引き出し、或いは引き出した配線ダクト6をケース40内に押し込んで撓んだ状態で収めることができるようにされている。このようにして、この配線ダクト6は、当該支持体2とテーブル3とが上記適正離間距離Dx1、Dx2を満たす範囲でどの相対関係にあっても接続状態を維持するように構成されている。配線ダクト6は最大離間距離で支持体2とテーブル3の間で突っ張ってそれ以上の離間を規制するように構成されていてもよい。
【0031】
図5(a)に例示した適正受像角θは2台のディスプレイ1を全体で1台とみなせる場合にその中心からの角度として捉えたが、1点からの受像角で捉えられない大型の画面である場合等は、
図6(a)に実線示すように2台のディスプレイ1、1の各々の適正受像角θxが重なった部分が着座領域Aとなるようにテーブル3の位置決めを行うことが望ましい。適正受像角θxから外れる着座者H1がいる場合は、同図に破線で示すようにテーブル3をディスプレイ1から引き離してディスプレイ1に対するテーブル3の離間距離dを大きくすることで適正受像角θxに収める調整が可能である。このような調整は、2台のディスプレイ1、1が全体として1台とみなせる
図6(b)の場合も同様である。これらの場合、配線ダクト6は、当該支持体2とテーブル3とが上記適正受像角θxを満たす範囲で離間しても接続状態を維持するように構成されている。
【0032】
勿論、いくら適正受像角θx内、適正離間Dx1、Dx2内、適正撮像角φx内にあるとしても、
図6(c)に示すようにディスプレイ1を背にした着座者H2までがディスプレイ1を視認できるものではない。すなわち、
図5(c)に示すように、人間には眼の視野に入る角度すなわち視野角ψがあり、適正視野角ψxは、本発明者が実験したところ、安定注視時の適正視野角ψx1は60度〜90度あたりに、集中時の適正視野角ψx2は45度あたりにあることが確認されている。着座領域Aを設定する際には、
図6(c)に示すように、その着座領域Aが着座者の適正視野角ψxを満たす位置であることを条件として加える必要がある。したがって、着座者H2がいる所は着座領域Aに含まれない。勿論、着座者H2がパーソナルコンピュータPCを使用して他の者にプレゼンテーションを行う発表者である場合や、一時的にディスプレイ1等を使用せずにミーティングを行う場合には、このような配置も当然可能である。
【0033】
因みに、
図6(b)からもう少しテーブル1を棚4から離せば、ディスプレイ1を使用しないミーティングの際にテーブル1と棚4の間に着座者が椅子Cを用いて着座できる隙間を確保することができる。この場合にも配線ダクト6は接続状態を維持し、配線ダクト6と干渉しない範囲でメンバーはテーブル3の長縁部31aのどの位置にも着座することができる。
【0034】
このようにミーティングシステムを構成し、
図2に示すようにテーブル3を棚4に突き当てた状態でメンバーがディスプレイ1に向かって椅子Cに着座すれば、ディスプレイ1とテーブル3の間に一体感が得られ、着座領域Aにおいて
図5(a)、
図6(a)に示す条件である適正受像角θx、適正離間距離Dx1が得られて、メンバー間でパーソナルコンピュータPCよりディスプレイ1に映し出される画像を中心にしてミーティングを進めることができる。
【0035】
また、テレビ会議の際には
図3および
図6(b)に示すように支持体2とテーブル3を離して使うことで、着座領域Aにおいて
図5(a)、(b),
図6(a)、(b)に示す条件である適正受像角θx、適正撮像角φx,適正離間距離Dx1、Dx2を得ることができる。
【0036】
さらに、この実施形態では適正視野角ψも考慮して、楕円のテーブル3の略半周分の領域を着座領域Aとして設定し、この着座領域Aにおいて適正受像角θx、適正撮像角ψ、適正離間距離Dxが得られるようにしているため、隣接する他の着座者によって画面が遮られるといったことがなく、ディスプレイ1を通じて遠隔地同士でテレビ会議を行う場合にも、画面の向こうにいるいずれの着座者に対しても顔が重ならない状態で対面することができて、平等な条件で会議を行うことができ、相手方との一体感をより高めることが可能となっている。
【0037】
さらにまた、この実施形態のミーティングシステムは、
図7に示すようにテーブル3を90°回転させて棚4に突き当てても、着座領域Aにおいて
図5(a)、(b),
図6(a)、(b)に示す適正受像角θxや適正撮像角φx,適正離間距離Dxが得られるように構成されている。
【0038】
なお、テーブル3から出た配線は全て配線ダクト6を通って支持体2の内部に引き込まれ、そこで配線処理されるため、配線が床を這う事態や、ディスプレイ1の周囲に乱雑に配線が引き回される事態が解消され得るものとなっている。このミーティングシステムを展開するには、予め上記の条件を満たす大小、或いは形の違うテーブル1を複数種類用意しておき、その都度目的や用途、人数に応じた適切なテーブル1を選択すれば適切なミーティング環境が整えられるように利用することが一つの効果的な利用の形態につながるものである。
【0039】
以上のように、本実施形態のミーティングシステムは、画像表示装置であるディスプレイ1を支持する支持体2と、この支持体2の隣接位置に配置されるテーブル3とを組み合わせて構成されるものであって、支持体2とテーブル3の間に両者を突き当てた際に相対的な位置決めをなす位置決め手段たる棚4を設け、テーブル3の使用縁31に沿った所定範囲であってその使用縁31から周囲に向かい所定距離離れた位置までの間を複数人が着座可能な着座領域Aとした場合に、この着座領域Aがディスプレイ1の特性(主として種類)に応じた適正受像角θx内に収まり、且つ、この着座領域Aがディスプレイ1の特性(主としてサイズ)に応じた適正離間距離Dx1内に収まるように、位置決め手段たる棚4による支持体2とテーブル3との相対位置が設定されるようにしたものである。
【0040】
このため、テーブル3を支持体2に対して所定位置に移動させるだけで、位置決め手段たる棚4により着座領域Aが適正に位置決めされて、画像が見やすい範囲に自ずと着座することができるようになる。このため、テーブル3の位置調整を繰り返す必要もなく、テーブル3は支持体2に対して非拘束であるため必要であればディスプレイ1からテーブル3を離して利用することも可能になる。そして、このような基準で支持体2とテーブル3
を構成すれば、ミーティング時には画面により密接しテレビ会議時には少し離れて着座することが必要となる場合や、ディスプレイ1に対してテーブル3の向きを変更したいといった要望、さらには違う種類のテーブルを使いたいといった要請にも応えることができ、人数の増減によってディスプレイ1と着座位置との間の適正
離間距離の変更にも的確に対応することができるようになる。
【0041】
また、支持体2の棚4の一部に撮像装置支持部4xが設定されており、着座領域Aが棚4に支持された撮像装置たるカメラ5の特性に応じた適正撮像角φxに収まり、且つ、この着座領域Aがカメラ5の特性に応じた適正離間距離Dx2内に収まるように、位置決め手段たる棚4によるテーブル3と撮像装置支持部4xとの相対位置が設定されているので、棚4により位置決めされた着座領域Aは通常のミーティングを行う場合のみならず、テレビ会議的なミーティングを行う場合にも適正化されたものにすることができる。特にこの場合、ディスプレイ1を通じた遠隔地同士のTV会議であってもディスプレイ越しの目線が自然な位置となり、相手方との一体感をより高めることができる。
【0042】
さらに、支持体2とテーブル3の間を接続する配線ダクト6を設け、着座領域Aの一部が適正受像角θxから外れるときに、着座領域Aが適正受像角θx内に収まり、かつ適正
離間距離Dx1内に収まる位置にまでテーブル3が支持体2から離れても配線ダクト6が配線状態を維持するように構成されているので、人数が多くて適正視野角から外れる場合にも、人数の増減に応じて適切な離間距離をとることができる。
【0043】
別の観点からすれば、支持体2とテーブル3の間を接続する配線ダクト6を設け、着座領域Aの一部が適正撮像角φx内に収まり、かつ適正
離間距離Dx2内に収まる位置にまでテーブル3が支持体2から離れても配線ダクト6が配線状態を維持するように構成されているので、通常のミーティングに比べてテレビ会議的にミーティングをする場合の適正離間距離が大きい場合にも、通常のミーティング時とテレビ会議的なミーティング時の各々において適正な離間距離Dx2をとることができる。
【0044】
さらに、支持体2が一部に棚4を有し、この棚4がテーブル3と略面一に突き合わせられる位置に配置されて位置決め手段として機能するようにしているので、棚の大きさや形状次第で種々の設定ができる上に、突き合わせた際に棚とテーブルの一体感を得ることができ、棚としても勿論利用することができるようになる。
【0045】
この場合、棚4の前縁4aの形状と、テーブル3の対応縁部31aの形状とが、所定範囲に亘って突き当たるように関連づけられているので、テーブル3の離間距離dのみならずテーブル3の向きが一義的になる上に、棚4とテーブル3が所定範囲に亘り連続することで更に一体感を高めることができる。
【0046】
上記において、支持体2に対するテーブル3の離間位置が適正離間距離内に収まるように配線ダクト6によって両者間の最大離間距離を規制しておけば、無造作にテーブル3を引き離しても、テーブル3が適正離間距離Dx1、Dx2を越える位置まで離れることを有効に防止することができる。
【0047】
さらにまた、配線ダクト6による接続状態が維持される範囲での最大離間位置において支持体2とテーブル3の間に着座領域が形成されるようにしておけば、できるだけ着席数を確保し、テーブル3の人数対応能力を有効に高めることができるようになる。
【0048】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では棚の前縁は平面視において緩やかに湾曲する凹状としたが、矩形のものや、その他異形形状であってもよい。また、テーブルの天板の形状も棚の平面視形状に一部対応させた形状(正方形、長方形、台形、異形等)にしてもよい。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…画像表示装置(ディスプレイ)
2…表示装置支持体(支持体)
3…テーブル
4…位置決め手段(棚)
4x…撮像装置支持部
5…撮像装置(カメラ)
31…使用縁
A…着座領域
Dx1、Dx2…適正離間距離
θx…適正受像角
φx…適正撮像角
ψ…視野角