特許第6061627号(P6061627)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6061627ハエ目幼虫駆除剤ならびにこれを用いたハエ目幼虫駆除方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061627
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】ハエ目幼虫駆除剤ならびにこれを用いたハエ目幼虫駆除方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 31/14 20060101AFI20170106BHJP
   A01N 55/00 20060101ALI20170106BHJP
   A01N 47/40 20060101ALI20170106BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20170106BHJP
   A01N 51/00 20060101ALN20170106BHJP
   A01N 25/30 20060101ALN20170106BHJP
【FI】
   A01N31/14
   A01N55/00 D
   A01N47/40 Z
   A01P7/04
   !A01N51/00
   !A01N25/30
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-245038(P2012-245038)
(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公開番号】特開2013-199467(P2013-199467A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2015年10月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-33476(P2012-33476)
(32)【優先日】2012年2月20日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000207584
【氏名又は名称】大日本除蟲菊株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157107
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 健司
(72)【発明者】
【氏名】寺口 さやか
(72)【発明者】
【氏名】引土 知幸
(72)【発明者】
【氏名】神崎 務
(72)【発明者】
【氏名】中山 幸治
【審査官】 吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−520479(JP,A)
【文献】 特開2007−197343(JP,A)
【文献】 特開2011−225539(JP,A)
【文献】 特開2011−098905(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/089881(WO,A1)
【文献】 特開2009−215288(JP,A)
【文献】 特開2003−116441(JP,A)
【文献】 特開2007−176931(JP,A)
【文献】 特表平11−500708(JP,A)
【文献】 米国特許第06277414(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0073973(US,A1)
【文献】 特開平09−030912(JP,A)
【文献】 特開平05−023092(JP,A)
【文献】 特表平08−506578(JP,A)
【文献】 特表2004−537608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤全体量に対し過酸化水素として0.1〜30w/v%(固形剤の場合は0.1〜30w/w%)を含む酸素系漂白成分(但しペルオキシカルボン酸は含まない)、
又はこれに界面活性剤を加えたものをノックダウン活性成分とし
更に殺虫成分として、エトフェンプロックス、シラフルオフェン、ジノテフラン、イミダクロプリド、クロチアニジン及びアセタミプリドから選ばれた1種又は2種以上を配合したことを特徴とするハエ目幼虫駆除剤。
【請求項2】
前記酸素系漂白成分が、過酸化水素付加物、過酸化水素水、もしくは過硫酸水素塩である酸素系漂白剤から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のハエ目幼虫駆除剤。
【請求項3】
前記過酸化水素付加物が、過炭酸塩、過ホウ酸塩、及び過酸化尿素から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載のハエ目幼虫駆除剤。
【請求項4】
前記界面活性剤が、アニオン系界面活性剤及び/又は両性界面活性剤であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のハエ目幼虫駆除剤。
【請求項5】
前記請求項1ないしのいずれか1項に記載のハエ目幼虫駆除剤を水系処理するハエ目幼虫駆除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハエ目幼虫駆除剤、特に排水口や植木鉢の水うけ等、一般家庭の小水系に処理するためのハエ目幼虫駆除剤、ならびにこれを用いたハエ目幼虫駆除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
害虫駆除方法には、害虫の卵や幼虫を対象とする発生源対策と成虫駆除がある。前者は、市町村や業者が中心となって害虫をトータル的に駆除しようとするもので、策定どおりいけば効率的な方法と言えるが、現実にはこの方法で卵や幼虫を完全に撲滅するのは不可能であり、発生してくる害虫の駆除を後者に委ねているのが現状である。
また、発生源対策として、例えば、浄化槽等の幼虫駆除用に幼若ホルモンが使用されているが、一般的に効果の発現が極めて遅く、一般家庭での個人防除に使い勝手のよいものではない。このように、これまで害虫の卵や幼虫を対象とした害虫駆除剤は一般家庭では馴染みの薄いものであった。
【0003】
ところで、排水口やユニットバスの下などに発生するチョウバエ等や植木鉢の水うけ等を発生源とする蚊等、一般家庭の小水系に発生する害虫に対して、その対策が求められている。従来は、発生してきた成虫を蒸散剤や噴霧剤等を用いて駆除するのが一般的であったが、必ずしも効果的とは言えず、一方、前述のとおり、家庭用に則した発生予防薬もなかった。
しかるに、本発明者らは、上記一般家庭の小水系に発生する害虫、特にハエ目幼虫を駆除する場合、発生予防薬が有効であるとの前提にたって各種試験を実施し、その検討過程で、浄化槽を処理する場合よりも短時間でノックダウン効果を得る必要があること、また、成虫が散発的に家屋に侵入し繁殖するために発生源自体を清潔にしておくことも重要である旨知見した。また、しかる後、漂白成分の使用が極めて有用であることを認め本発明を完成するに至ったが、漂白成分を微生物ではなく即効的な害虫駆除に適用するという技術思想は全く新しいものである。
【0004】
例えば、特開平9−30912号公報(特許文献1)には、オゾン溶解水及び/又は過酸化水素水を土壌に灌水することによって、土壌線虫などを駆除できることが記載されている。また、特許第2811512号公報は、立ち木の幹等に材線虫が繁殖したものに対して、立ち木の所定の高さの位置に孔を開け、過酸化水素の溶液のような酸素に富んだ溶液を幹に注入することにより有害微生物等を駆除する樹木の病害虫駆除方法を開示するが、これらはいずれも長期間かけて環境改善を図ろうとするもので、本発明が目的とする即効的なハエ目幼虫駆除とは技術思想が異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−30912号公報
【特許文献2】特許第2811512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、一般家庭の排水口等や植木鉢の水うけ等の小水系を処理するにあたり、短時間の処理で発現する優れたノックダウン効果に基づき、ハエ目幼虫の発生源を駆除することができ、しかも発生源自体を清潔にしてハエ目幼虫の発生を予防可能なハエ目幼虫駆除剤ならびにこれを用いたハエ目幼虫駆除方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の構成が上記目的を達成するために優れた効果を奏することを見出したものである。
(1)製剤全体量に対し過酸化水素として0.1〜30w/v%(固形剤の場合は0.1〜30w/w%)を含む酸素系漂白成分(但しペルオキシカルボン酸は含まない)、又はこれに界面活性剤を加えたものをノックダウン活性成分とし、更に殺虫成分として、エトフェンプロックス、シラフルオフェン、ジノテフラン、イミダクロプリド、クロチアニジン及びアセタミプリドから選ばれた1種又は2種以上を配合したことを特徴とするハエ目幼虫駆除剤。
(2)前記酸素系漂白成分が、過酸化水素付加物、過酸化水素水、もしくは過硫酸水素塩である酸素系漂白剤から選ばれる1種以上である(1)に記載のハエ目幼虫駆除剤。
(3)前記過酸化水素付加物が、過炭酸塩、過ホウ酸塩、及び過酸化尿素から選ばれる少なくとも1種である(2)に記載のハエ目幼虫駆除剤。
(4)前記界面活性剤が、アニオン系界面活性剤及び/又は両性界面活性剤である(1)ないし(3)のいずれか1に記載のハエ目幼虫駆除剤。
(5)前記(1)ないし()のいずれか1に記載のハエ目幼虫駆除剤を水系処理するハエ目幼虫駆除方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のハエ目幼虫駆除剤は、一般家庭の排水口や植木鉢の水うけ等の小水系を処理するにあたり、短時間の処理で発現する優れたノックダウン効果に基づき、ハエ目幼虫の発生源を駆除することができ、しかも発生源自体を清潔にしてハエ目幼虫の発生を予防可能なので極めて実用性が高い。そして、これを用いたハエ目幼虫駆除方法もハエ目の害虫に対して効率的な駆除効果を奏するものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のハエ目幼虫駆除剤は、有効成分として漂白成分を使用することを特徴とする。漂白成分としては、過炭酸塩(過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム等)、過ホウ酸塩や過酸化尿素等の過酸化水素付加物や過酸化水素水、もしくは過硫酸水素塩(過硫酸水素カリウム塩等)等の活性酸素を利用した酸素系漂白剤、及び次亜塩素酸塩やクロロイソシアヌル酸塩等の塩素系漂白剤などがあげられる。このうち、前者の過炭酸ナトリウムで代表される過炭酸塩、ならびに過酸化水素水は、ハエ目幼虫に対するノックダウン効果に優れ、行動を停止させて良好な駆除効果を奏し得るので好ましい漂白成分である。なお、過硫酸水素塩については、ノックダウン効果とともに優れた致死効果も併せ持つのでより高い駆除効果を達成し得る。
一方、後者の次亜塩素酸塩等は、致死効果は高いもののノックダウン効果が乏しいので、本発明のような高いノックダウン効果を必要とする適用場面には前者の酸素系漂白剤が適していると言える。なお、塩素系漂白剤については、強いアルカリ性を呈し後記する殺虫成分の安定性に及ぼす影響を考慮しなければならないが、致死効果が重視される場面では十分適用可能である。
漂白成分の配合量は、活性酸素を利用したものについては、ハエ目幼虫駆除剤全体量に対し過酸化水素として0.1〜30w/v%(固形剤の場合は0.1〜30w/w%)程度が適当である。0.1w/v%未満では所望の駆除効果が得られず、一方、30w/v%以上配合することは、過酸化水素付加物の過酸化水素含有量から考えて現実的ではない。
【0010】
本発明では、有効成分として上記漂白成分に加え界面活性剤を含有するのが好ましい。界面活性剤は漂白成分の虫体への浸透性を向上させる作用を有するものと考えられ、例えば、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等の非イオン系界面活性剤や、直鎖ベンゼンスルフォン酸塩、アルファオレフィンスルフォン酸塩、ラウリル硫酸塩、ラウリル硫酸エステルトリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルアミンオキサイド、ステアリルアミンオキサイド、ラウリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド、ミリスチルジメチルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等の両性界面活性剤等を例示することができる。特に、アニオン系界面活性剤及び/又は両性界面活性剤が好ましく、なかんずく、両性界面活性剤は、駆除効果の増強作用に加え、起泡性を付与できる点で好適である。なお、後記する殺虫成分の可溶化を主たる目的として、前記アニオン系界面活性剤及び/又は両性界面活性剤と共に適宜非イオン系界面活性剤を併用しても構わない。
界面活性剤の配合量は、漂白成分に対して0.05〜10倍程度が適当である。
【0011】
本発明のハエ目幼虫駆除剤は、更に殺虫成分を配合し、漂白成分によるノックダウン効果と共に殺虫効果を付与させて駆除効果を確実にすることができる。本ハエ目幼虫駆除剤は主に水系で使用されるため殺虫成分としては低魚毒性であることが要求され、合致するものとして、エトフェンプロックスやシラフルオフェン等のピレスロイド様化合物、あるいは、ジノテフラン、イミダクロプリド、クロチアニジン、アセタミプリド、チアメトキサム、ニテンピラムやチアクロプリド等のネオニコチノイド系化合物があげられる。
これらの化合物は、一種類を使用してもよいし、又は二種類以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。本発明では、速効的な殺虫効果に優れたエトフェンプロックスが使いやすい。
殺虫成分の含有量は、ハエ目幼虫駆除剤あたり0.01〜5.0w/v%(固形剤の場合は0.01〜5.0w/w%)程度が適当である。0.01w/v%未満であると所望の効果が得られないし、一方、5.0w/v%を超えると漂白成分の有効性に影響を及ぼすので好ましくない。
【0012】
ハエ目幼虫駆除剤の剤型としては、スプレーの形態で用いられる液剤、乳剤、水溶剤、マイクロエマルジョンやエアゾール等の外、粉剤、粒剤、ベイト剤等の固形剤があげられる。
スプレー形態のハエ目幼虫駆除剤を調製するために用いる溶剤としては、水の外に、n−パラフィン、イソパラフィンなどの炭化水素系溶剤、エタノール、イソプロパノール(IPA)やn−プロパノール(nPA)等の炭素数が1〜3の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの炭素数3〜6のグリコール類やグリコールエーテル類、ケトン系溶剤、エステル系溶剤などを適宜使用しても差し支えない。 なお、エアゾール形態の場合、エアゾール容器にエアゾール原液を入れ、噴射剤としてのジメチルエーテル、液化石油ガス(LPG)、圧縮ガス(窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素、圧縮空気等)等を加圧充填して製すればよい。
【0013】
また、粉剤、粒剤、錠剤等の固形剤の調製には、増量や賦形を目的として、ケイ酸、カオリン、タルク等の各種鉱物質粉末、木粉、小麦粉等の各種植物質粉末、分散剤、ポリビニルアルコール、アルギン酸、カラギーナン等のゲル化剤などが適宜用いられる。基材が漂白成分に影響を及ぼさないことや、調製された固形剤は水系で処理された際、適度な水解性を有することが要求される。
【0014】
本発明では、前記成分のほか、本発明の効果に支障を来たさない限りにおいて必要に応じ、ピレスロイド共力剤、発泡剤、分散剤、粘結剤、安定化剤、pH調整剤、消臭剤、着色剤等を適宜配合してもよい。
【0015】
ピレスロイド共力剤としては、ピペロニルブトキサイドやN−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等があげられる。また、発泡剤としては、クエン酸や炭酸水素ナトリウム等を例示できる。
【0016】
スプレー形態のハエ目幼虫駆除剤が充填される容器は、その用途、使用目的、使用場面等に応じて、適宜バルブ、噴口、ノズル、散布口等の形状を選択すればよい。例えば、広角ノズル付きのトリガースプレータイプを用いれば、一度の操作で広い範囲を処理することが可能となり便利である。施用量についても適宜決定すればよいが、例えば、排水口や浄化槽等の水系で使用する場合、10〜100mL/m2程度が適当である。
一方、粒剤や錠剤等の固形剤にあっては、5〜50g/m2程度を目安に上記水系で散布、もしくは載置して用いられ、水解してハエ目幼虫駆除効果を発揮する。
【0017】
こうして得られた本発明のハエ目幼虫駆除剤は、排水口、ユニットバスの下、浄化槽や植木鉢の水うけ等の小水系などにスプレー、もしくは散布、載置することにより、チョウバエ(オオチョウバエ、ホシチョウバエ等)、ショウジョウバエ、イエバエ等のハエ類、アカイエカ、チカイエカ等の蚊類に有効で、特に高いノックダウン効果が必要とされるチョウバエ類の幼虫に対して実用的なノックダウン効果を示し、行動が停止した幼虫は生息水系から流し出されてしまうので高い駆除処理が実現される。しかも、漂白成分の作用で発生源自体が清潔となり、長期間にわたって成虫の発生を予防することから極めて実用的である。また、殺虫成分を更に含有する本発明のハエ目幼虫駆除剤にあっては、ノックダウン効果と共に殺虫効果が付与され駆除効果が一層確実に達成されるものである。
【0018】
次に具体的な実施例に基づき、本発明のハエ目幼虫駆除剤について更に詳細に説明する。一般に市販されている界面活性剤の代表例を下記に記し、その中で実施例に用いた界面活性剤については、以降併記した略記号にて表記する。
(非イオン系)
・ノニオンE−202S:POE(2)オレイルエーテル
・ノニオンS−207:POE(7)ステアリルエーテル
・ノニオンS−220:POE(20)ステアリルエーテル[N−1]
・ユニルーブ50MT−2200B:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシル
テトラデシルエーテル(m24n13)[N−2]
・ノニオンO−4:モノオレイン酸ポリエチレングリコール[N−3]
・ノニオンLP−20R:ソルビタンモノラウレート[N−4]
・スタホームF:ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)[N−5]
・ソルポールSM−100PD:ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルホルムアルデヒド重縮合物とポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルを含む混合物[N−6]
(アニオン系)
・パーソフトSF−T:ラウリル硫酸エステルトリエタノールアミン[A−1]
・パーソフトEP:ポリオキシエチレンラウリル硫酸エステルナトリウム塩[A−2]
・モノゲンY−500:ラウリル硫酸ナトリウム塩[A−3]
・サンベース:α―スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム塩[A−4]
・ニューレックスR:直鎖ベンゼンスルフォン酸ナトリウム塩[A−5]
・リポランPB−800:アルファオレフィンスルフォン酸ナトリウム塩[A−6]
・リポランLJ−441:アルファオレフィンスルフォン酸塩
・シノリンSPE−1250:POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム
・シントレッキスEH−R:2−エチルへキシル硫酸エステルナトリウム塩
(両性)
・ニッサンアノンBL−SF:ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン[B−1]
・アロモックスDM12D−W(c):ラウリルジメチルアミンオキサイド[B−2]
・アロモックスDMC−W:ヤシアルキルジメチルアミンオキサイド[B−3]
・アロモックスDM 10D−W:デシルジメチルアミンオキサイド
・MITAINE L:ラウリルジメチルベタイン
・リカビオン A−200:ミリスチルジメチルベタイン
・エナジコール L−30B:ラウリン酸アミドプロピルベタイン
・エナジコール C−30B:ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン
・MIRATAIN CBS:ヤシ油脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルタイン
【実施例1】
【0019】
過炭酸ナトリウムを20w/w%(過酸化水素として5.6w/w%)、両性界面活性剤[B−1]を1.0w/w%、ジノテフランを0.1w/w%、及び乳糖・ヒドロキシプロピルセルロースを含む賦形剤(残部)を混合し、1個あたり10gの錠剤に成形して本発明のハエ目幼虫駆除剤を調製した。
得られた錠剤3個を家庭の排水口に投入し4時間後、およそ10Lの水を流した。その結果、チョウバエ等の幼虫が駆除された形跡が見られ、また、漂白成分の作用で排水口のいやな臭いも消失した。本処理によって、1か月にわたりチョウバエ等の発生を予防することができ極めて実用的であった。
【実施例2】
【0020】
30%の過酸化水素水を17w/v%(過酸化水素として5.1w/v%)、両性界面活性剤[B-2]を5.0w/v%、エトフェンプロックスを0.04w/v%、非イオン系界面活性剤[N−6]を0.08w/v%及び水(残部)を混合し、液剤タイプの本発明のハエ目幼虫駆除剤を調製した。
得られた液剤50mLを家庭の排水口で実施例1と同様に処理した。本剤は泡立ちがよく、チョウバエ等の幼虫駆除と発生予防をより効果的に実現できると共に、排水口の清潔化に役立った。
【実施例3】
【0021】
実施例2に準じて、表1に示す各種のハエ目幼虫駆除剤を調製し、下記の殺虫効力試験を実施した。
[殺虫効力試験1]
直径10cmで高さが4.4cmのプラスチック容器に所定濃度の供試薬剤水溶液20mLを入れ、これにオオチョウバエ4令幼虫を浸漬させた。浸漬2時間後にノックダウン虫を計数してノックダウン率を算出すると共に、無処理容器(水20mL)に移し替えて24時間後の致死率を観察した。
【0022】
【表1】
【0023】
試験の結果、漂白成分を含有する本発明のハエ目幼虫駆除剤は、好ましくは界面活性剤を、一層好ましくは更に殺虫成分をも配合することによって、チョウバエの幼虫駆除と発生予防に極めて有効であった。なお、実施例8ないし実施例10の試験結果の対比から、非イオン系界面活性剤の配合は、殺虫成分の可溶化に寄与し、特に致死効果を確実に達成するうえで有用であることが認められた。
これに対し、比較例で示すように、殺虫成分や界面活性剤のみでは満足のいく駆除効果が得られなかった。
【実施例4】
【0024】
実施例2に準じて、表2に示す各種のハエ目幼虫駆除剤を調製し、下記の殺虫効力試験を実施した。
[殺虫効力試験2]
直径12cmで高さが10.5cmのプラスチック容器に所定濃度の供試薬剤水溶液200mLを入れ、これにアカイエカ8日令幼虫を浸漬させた。浸漬2時間後にノックダウン虫を計数しノックダウン率を算出した。また、浸漬2時間後に水の入った清潔なカップに移し、24時間後にノックダウン虫及び致死虫を計数し、致死率を算出した。
【0025】
【表2】

以上
【0026】
試験の結果、漂白成分を含有する本発明の害虫駆除剤は、好ましくは界面活性剤を配合することによって、アカイエカ幼虫に対しても優れたノックダウン効果を示した。また、殺虫成分を配合した実施例17は致死率が100%となり、アカイエカ幼虫駆除により一層有効であることが認められた。
これに対し、比較例で示すように、殺虫成分や界面活性剤のみでは満足のいく駆除効果が得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のハエ目幼虫駆除剤は、チョウバエ等を対象とした排水口や蚊等を対象とした植木鉢の水うけ等、一般家庭の小水系用だけでなく広範な害虫駆除を目的として利用することが可能である。