(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061630
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】板材加工機におけるワーク加工方法及び板材加工機
(51)【国際特許分類】
B21D 43/00 20060101AFI20170106BHJP
B21D 43/10 20060101ALI20170106BHJP
B21D 43/05 20060101ALI20170106BHJP
B21D 28/36 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
B21D43/00 H
B21D43/10 E
B21D43/00 K
B21D43/05 U
B21D28/36 Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-246178(P2012-246178)
(22)【出願日】2012年11月8日
(65)【公開番号】特開2014-94388(P2014-94388A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】久保田 考一
【審査官】
矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−050346(JP,A)
【文献】
特開平04−094830(JP,A)
【文献】
特開2009−262174(JP,A)
【文献】
実開平05−049132(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/36
B21D 43/00
B21D 43/05
B21D 43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工位置にて板状のワークに対し本加工を行う加工機本体と、本加工後のワークに対し最終加工を行う最終加工装置と、最終加工後のワークを外部へ搬出する搬出装置と、ワークを載せるワークテーブルと、該ワークテーブル上に加工すべきワークを搬入する搬入装置と、前記ワークテーブル上に搬入されたワークを前記加工機本体の加工位置に対して水平面内の互いに直交するX軸方向及びY軸方向に移動・位置決めするワーク移動・位置決め装置とを有し、
該ワーク移動・位置決め装置は、X軸方向及びY軸方向に移動可能なキャリッジと、該キャリッジに搭載されて前記ワークのX軸方向に沿った一側縁をクランプするワーククランプ装置と、を備えており、
前記加工位置を通るX軸方向に平行な直線及び前記Y軸方向に平行な直線をそれぞれX軸及びY軸とし、前記加工位置を原点とする直交座標系の前記X軸と前記Y軸によって区画された4つの領域を上から見て左回りに第1象限、第2象限、第3象限、第4象限とし、且つ、前記第1象限と第2象限をY軸方向の一方側に位置してX軸方向に沿って互いに隣接するものとすると共に、前記第3象限と第4象限をY軸方向の他方側に位置してX軸方向に沿って互いに隣接するものとするとき、
前記ワーククランプ装置が、前記ワークのY軸方向の一方側に位置する側縁をクランプするように配置され、
前記最終加工装置と搬出装置とが、前記Y軸方向の他方側に位置する前記第3象限に配置され、
前記ワークテーブル上に搬入されたワークを前記ワーククランプ装置でクランプし、その状態で、前記ワーク移動・位置決め装置によりワークを前記加工位置に対してX軸方向及びY軸方向に移動・位置決めして、前記加工位置にて前記加工機本体によりワークに対し本加工を施し、本加工後のワークを前記ワーク移動・位置決め装置により前記第3象限に移動して、前記最終加工装置によりワークに対し最終加工を施し、最終加工後のワークを前記ワーク移動・位置決め装置のワーククランプ装置から前記搬出装置に受け渡す板材加工機におけるワーク加工方法において、
前記第3象限に隣接する第4象限を次加工ワークのワーク搬入象限とし、
前記第3象限にて前加工ワークに最終加工を行っているとき、または、最終加工後にワーククランプ装置でクランプした前加工ワークを前記搬出装置に受け渡しているとき、前記第3象限と対角位置にある第1象限までの移動より該ワーククランプ装置の移動経路が短くなる前記ワーク搬入象限である第4象限の前記ワークテーブル上にあらかじめ次加工ワークを搬入し、
前記前加工ワークを搬出装置に受け渡した後に解放される前記ワーククランプ装置を、あらかじめ前記第4象限に搬入した次加工ワークに対するクランプが可能な位置に前記第3象限と対角位置にある第1象限までの移動より該ワーククランプ装置の移動が短くなる経路で移動し、該次加工ワークを原点位置決めした上で、前記ワーククランプ装置にて次加工ワークをクランプして、本加工に移ることを特徴とする板材加工機のワーク加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の板材加工機におけるワーク加工方法であって、
前記第4象限のワークテーブル上に搬入された次加工ワークの原点位置決めを、該ワークの上面に吸着するパッドを用いて、ワークのY軸方向に沿った側縁をロケートピンに押し当てると共にX軸方向に沿った側縁を前記ワーククランプ装置の位置決め壁に押し当てることで行うことを特徴とする板材加工機におけるワーク加工方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の板材加工機におけるワーク加工方法であって、
前記第4象限のワークテーブル上に搬入された次加工ワークを前記ワーククランプ装置でクランプするとき、該ワーククランプ装置の下側のワークテーブルを、該ワーククランプ装置で次加工ワークをクランプできる高さまで下降させることを特徴とする板材加工機におけるワーク加工方法。
【請求項4】
加工位置にて板状のワークに対し本加工を行う加工機本体と、本加工後のワークに対し最終加工を行う最終加工装置と、最終加工後のワークを外部へ搬出する搬出装置と、ワークを載せるワークテーブルと、該ワークテーブル上に加工すべきワークを搬入する搬入装置と、前記ワークテーブル上に搬入されたワークを前記加工機本体の加工位置に対して水平面内の互いに直交するX軸方向及びY軸方向に移動・位置決めするワーク移動・位置決め装置とを有し、
該ワーク移動・位置決め装置は、X軸方向及びY軸方向に移動可能なキャリッジと、該キャリッジに搭載されて前記ワークのX軸方向に沿った一側縁をクランプするワーククランプ装置と、を備えており、
前記加工位置を通るX軸方向に平行な直線及び前記Y軸方向に平行な直線をそれぞれX軸及びY軸とし、前記加工位置を原点とする直交座標系の前記X軸と前記Y軸によって区画された4つの領域を上から見て左回りに第1象限、第2象限、第3象限、第4象限とし、且つ、前記第1象限と第2象限をY軸方向の一方側に位置してX軸方向に沿って互いに隣接するものとすると共に、前記第3象限と第4象限をY軸方向の他方側に位置してX軸方向に沿って互いに隣接するものとするとき、
前記ワーククランプ装置が、前記ワークのY軸方向の一方側に位置する側縁をクランプするように配置され、
前記最終加工装置と搬出装置とが、前記Y軸方向の他方側に位置する前記第3象限に配置され、
前記ワークテーブル上に搬入されたワークを前記ワーククランプ装置でクランプし、その状態で、前記ワーク移動・位置決め装置によりワークを前記加工位置に対してX軸方向及びY軸方向に移動・位置決めして、前記加工位置にて前記加工機本体によりワークに対し本加工を施し、本加工後のワークを前記ワーク移動・位置決め装置により前記第3象限に移動して、前記最終加工装置によりワークに対し最終加工を施し、最終加工後のワークを前記ワーク移動・位置決め装置のワーククランプ装置から前記搬出装置に受け渡す板材加工機において、
前記第3象限に隣接する第4象限を次加工ワークのワーク搬入象限とし、該第4象限の前記ワークテーブル上にワークを搬入できるように前記搬入装置を配置し、
前記ワーククランプ装置を、あらかじめ前記第4象限に搬入した次加工ワークに対するクランプが可能な位置に前記第3象限と対角位置にある第1象限までの移動より該ワーククランプ装置の移動が短くなる経路で移動自在にしたことを特徴とする板材加工機。
【請求項5】
請求項4に記載の板材加工機であって、
前記第4象限のワークテーブル上に搬入された次加工ワークを前記ワーククランプ装置でクランプするときに、該ワーククランプ装置の下側に位置する前記ワークテーブルの領域を、ワークのパスラインより下方に下降可能な下降テーブルとして構成したことを特徴とする板材加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばタレットパンチプレスやレーザ加工及びパンチング加工を行う複合加工機などの板材加工機におけるワーク加工方法、及び、そのワーク加工方法の実施に使用する板材加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板材加工機の一例として、タレットパンチプレスに対して板状のワークを搬入し、ワークを原点位置に位置決めした後、板材加工機における加工位置に対してワークをX軸方向及びY軸方向に移動・位置決めしてワークの加工を行い、その後にワークの搬出を行う構成のものが知られている。
【0003】
図5は、特許文献1に記載されたその種の板材加工機の平面図である。
【0004】
この板材加工機は、水平面内における互いに直交する2方向をX軸方向とY軸方向とするとき、X軸方向の中央に上下のタレット111を備えた加工機本体110を配置し、加工機本体110のX軸方向における両側に固定ワークテーブル122と移動ワークテーブル123を配置し、固定ワークテーブル122のX軸方向における更に外側に、矩形板状のワークWの搬入装置160と加工済みワークの搬出装置170とを配置した構成をなしている。
【0005】
回転自在に設けられた上下のタレット111には複数のパンチやダイが備えられており、タレット111は、板状のワークWの加工を行うためのパンチやダイを加工位置112に対して割出し位置決めできるようになっている。
【0006】
移動ワークテーブル123はY軸キャリッジ(キャリッジベース)125に連結され、Y軸キャリッジ125及び移動ワークテーブル123がY軸方向に自在に移動・位置決めできるようになっている。Y軸キャリッジ125上には、ワークWをクランプするワーククランプ装置140を備えたX軸キャリッジ130がX軸方向に移動・位置決めできるように備わっている。従って、ワーククランプ装置140を搭載したX軸キャリッジ130は、X軸方向及びY軸方向の任意の位置に移動・位置決めできる。
【0007】
加工位置112を通るX軸方向に平行な直線及びY軸方向に平行な直線をそれぞれX軸X1及びY軸Y1とし、加工位置112を原点とする直交座標系のX軸X1と前記Y軸Y1によって区画された4つの領域を上から見て左回りに第1象限E1、第2象限E2、第3象限E3、第4象限E4とし、且つ、第1象限E1と第2象限E2をY軸方向の一方側(
図5中下側)に位置してX軸方向に沿って互いに隣接するものとすると共に、第3象限E3と第4象限E4をY軸方向の他方側(
図5中上側)に位置してX軸方向に沿って互いに隣接するものとするとき、ワーククランプ装置140は、矩形板状のワークWのY軸方向の一方側(
図5下側)に位置する側縁をクランプするように配置されている。また、加工後のワークを外部に搬出する搬出装置170は、Y軸方向の他方側(
図5中上側)に位置する第3象限E3に配置されている。
【0008】
従来では、第1象限E1に位置するワークテーブル122、123上に搬入装置160からワークWを搬入し、その位置でワークWを原点位置決めした上でワークWの一方側(
図5中下側)の側縁をワーククランプ装置140でクランプし、その状態で、Y軸キャリッジ125及びX軸キャリッジ130を移動して、ワークWを加工位置112に対してX軸方向及びY軸方向に移動・位置決めし、加工位置112にてワークWの加工を行う。そして、加工後のワークWは第3象限E3に移動して、搬出装置170に受け渡すようにしている。また、ワークWの搬出後にワーククランプ装置140を原点位置である第1象限E1に移動して戻し、その上で次加工ワークの搬入を行っている。
【0009】
ワーククランプ装置140を原点位置である第1象限E1に戻してから第1象限E1にワークWを搬入するのは、ワーククランプ装置140が第3象限E3付近に移動しているときには、Y軸キャリッジ125などが障害となって第1象限E1にワークWを搬入できないからである。
【0010】
つまり、従来では、前加工ワークを搬出した後、原点位置までワーククランプ装置140が移動し、その状態で、新たな第1象限E1への次加工ワークWの搬入、次加工ワークWの原点位置決め、ワーククランプ装置140による次加工ワークWのクランプが一つの流れとして行われるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−187776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、従来の場合、ワーククランプ装置140が、第3象限E3での作業(搬出装置への前加工ワークの受け渡し)を完全に終えた後に、第3象限E3での作業位置から対角位置にある第1象限E1まで移動するのを待ってから、次加工ワークWの搬入を行うので、ロス時間が大きくなる上、ワーククランプ装置140の移動経路が長い分だけ移動時間がかかるという問題があった。
【0013】
本発明は、上記事情を考慮し、1個のワークの製造にかかるタクトタイムを短縮することができて、生産性の向上が図れるようにした板材加工機における加工方法、及び、その方法を実施するための板材加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、請求項1の発明の板材加工機におけるワーク加工方法は、加工位置にて板状のワークに対し本加工を行う加工機本体と、本加工後のワークに対し最終加工を行う最終加工装置と、最終加工後のワークを外部へ搬出する搬出装置と、ワークを載せるワークテーブルと、該ワークテーブル上に加工すべきワークを搬入する搬入装置と、前記ワークテーブル上に搬入されたワークを前記加工機本体の加工位置に対して水平面内の互いに直交するX軸方向及びY軸方向に移動・位置決めするワーク移動・位置決め装置とを有し、該ワーク移動・位置決め装置は、X軸方向及びY軸方向に移動可能なキャリッジと、該キャリッジに搭載されて前記ワークのX軸方向に沿った一側縁をクランプするワーククランプ装置と、を備えており、前記加工位置を通るX軸方向に平行な直線及び前記Y軸方向に平行な直線をそれぞれX軸及びY軸とし、前記加工位置を原点とする直交座標系の前記X軸と前記Y軸によって区画された4つの領域を上から見て左回りに第1象限、第2象限、第3象限、第4象限とし、且つ、前記第1象限と第2象限をY軸方向の一方側に位置してX軸方向に沿って互いに隣接するものとすると共に、前記第3象限と第4象限をY軸方向の他方側に位置してX軸方向に沿って互いに隣接するものとするとき、前記ワーククランプ装置が、前記ワークのY軸方向の一方側に位置する側縁をクランプするように配置され、前記最終加工装置と搬出装置とが、前記Y軸方向の他方側に位置する前記第3象限に配置され、前記ワークテーブル上に搬入されたワークを前記ワーククランプ装置でクランプし、その状態で、前記ワーク移動・位置決め装置によりワークを前記加工位置に対してX軸方向及びY軸方向に移動・位置決めして、前記加工位置にて前記加工機本体によりワークに対し本加工を施し、本加工後のワークを前記ワーク移動・位置決め装置により前記第3象限に移動して、前記最終加工装置によりワークに対し最終加工を施し、最終加工後のワークを前記ワーク移動・位置決め装置のワーククランプ装置から前記搬出装置に受け渡す板材加工機におけるワーク加工方法において、前記第3象限に隣接する第4象限を次加工ワークのワーク搬入象限とし、前記第3象限にて前加工ワークに最終加工を行っているとき、または、最終加工後にワーククランプ装置でクランプした前加工ワークを前記搬出装置に受け渡しているとき、
前記第3象限と対角位置にある第1象限までの移動より該ワーククランプ装置の移動経路が短くなる前記ワーク搬入象限である第4象限の前記ワークテーブル上に
あらかじめ次加工ワークを搬入し、前記前加工ワークを搬出装置に受け渡した後に解放される前記ワーククランプ装置を、
あらかじめ前記第4象限に搬入したワークに対するクランプが可能な位置に
前記第3象限と対角位置にある第1象限までの移動より該ワーククランプ装置の移動が短くなる経路で移動し、該次加工ワークを原点位置決めした上で、前記ワーククランプ装置にて次加工ワークをクランプして、本加工に移ることを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載の板材加工機におけるワーク加工方法であって、前記第4象限のワークテーブル上に搬入された次加工ワークの原点位置決めを、該ワークの上面に吸着するパッドを用いて、ワークのY軸方向に沿った側縁をロケートピンに押し当てると共にX軸方向に沿った側縁を前記ワーククランプ装置の位置決め壁に押し当てることで行うことを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の板材加工機におけるワーク加工方法であって、前記第4象限のワークテーブル上に搬入された次加工ワークを前記ワーククランプ装置でクランプするとき、該ワーククランプ装置の下側のワークテーブルを、該ワーククランプ装置で次加工ワークをクランプできる高さまで下降させることを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明の板材加工機は、加工位置にて板状のワークに対し本加工を行う加工機本体と、本加工後のワークに対し最終加工を行う最終加工装置と、最終加工後のワークを外部へ搬出する搬出装置と、ワークを載せるワークテーブルと、該ワークテーブル上に加工すべきワークを搬入する搬入装置と、前記ワークテーブル上に搬入されたワークを前記加工機本体の加工位置に対して水平面内の互いに直交するX軸方向及びY軸方向に移動・位置決めするワーク移動・位置決め装置とを有し、該ワーク移動・位置決め装置は、X軸方向及びY軸方向に移動可能なキャリッジと、該キャリッジに搭載されて前記ワークのX軸方向に沿った一側縁をクランプするワーククランプ装置と、を備えており、前記加工位置を通るX軸方向に平行な直線及び前記Y軸方向に平行な直線をそれぞれX軸及びY軸とし、前記加工位置を原点とする直交座標系の前記X軸と前記Y軸によって区画された4つの領域を上から見て左回りに第1象限、第2象限、第3象限、第4象限とし、且つ、前記第1象限と第2象限をY軸方向の一方側に位置してX軸方向に沿って互いに隣接するものとすると共に、前記第3象限と第4象限をY軸方向の他方側に位置してX軸方向に沿って互いに隣接するものとするとき、前記ワーククランプ装置が、前記ワークのY軸方向の一方側に位置する側縁をクランプするように配置され、前記最終加工装置と搬出装置とが、前記Y軸方向の他方側に位置する前記第3象限に配置され、前記ワークテーブル上に搬入されたワークを前記ワーククランプ装置でクランプし、その状態で、前記ワーク移動・位置決め装置によりワークを前記加工位置に対してX軸方向及びY軸方向に移動・位置決めして、前記加工位置にて前記加工機本体によりワークに対し本加工を施し、本加工後のワークを前記ワーク移動・位置決め装置により前記第3象限に移動して、前記最終加工装置によりワークに対し最終加工を施し、最終加工後のワークを前記ワーク移動・位置決め装置のワーククランプ装置から前記搬出装置に受け渡す板材加工機において、前記第3象限に隣接する第4象限を次加工ワークのワーク搬入象限とし、該第4象限の前記ワークテーブル上にワークを搬入できるように前記搬入装置を配置し
、前記ワーククランプ装置を、あらかじめ前記第4象限に搬入した次加工ワークに対するクランプが可能な位置に前記第3象限と対角位置にある第1象限までの移動より該ワーククランプ装置の移動が短くなる経路で移動自在にしたことを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項4に記載の板材加工機であって、前記第4象限のワークテーブル上に搬入された次加工ワークを前記ワーククランプ装置でクランプするときに、該ワーククランプ装置の下側に位置する前記ワークテーブルの領域を、ワークのパスラインより下方に下降可能な下降テーブルとして構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、第3象限での作業に従事しているワーククランプ装置が解放される前の時間内に次加工ワークの搬入を行うので、ロス時間を減らすことができる。また、最終加工と搬出を行う第3象限の隣の第4象限に次加工ワークの搬入を行うので、ワーククランプ装置を原点位置に戻し移動する時間を短縮することができる。従って、1個のワークの搬入から搬出までのタクトタイムを短縮することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、次加工ワークの原点位置決めを簡単な構成で確実に行うことができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、第4象限のワークテーブル上に搬送された次加工ワークをワーククランプ装置でクランプするとき、ワーククランプ装置の下側の領域にワークテーブルがある(本発明のように第4象限に搬入されたワークをクランプする場合は、ワーククランプ装置の下側の領域に第1象限のワークテーブルが存在する)と、クランプできる高さまでワーククランプ装置を下降させる際に、その下側の領域のワークテーブルが邪魔になるが、そのときには、その領域のワークテーブルを下降させるので、ワーククランプ装置の下降の支障になることはなく、確実に次加工ワークをワーククランプ装置によってクランプすることができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、請求項1の発明の加工方法の実現に寄与することができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、第4象限のワークテーブル上に搬送された次加工ワークをワーククランプ装置でクランプするとき、ワーククランプ装置の下側の領域のワークテーブルを下降させることができるので、下方の領域のワークテーブルに邪魔されずにスムーズにワーククランプ装置をクランプできる高さまで下降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態のワーク加工方法を実現するための板材加工機の平面図である。
【
図2】同板材加工機のワークテーブルの一部領域に設けた下降テーブルの下降時の状態を示す側面図である。
【
図3】本発明の実施形態のワーク加工方法の説明のための平面図である。
【
図4】本発明のワーク加工方法の利点を簡略に説明するための図で、(a)は本発明の実施形態のワーク加工方法の内容を説明するための平面図、(b)はその比較例として従来例と同様の流れでワークを加工する場合の内容を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1は実施形態のワーク加工方法を実現するための板材加工機の平面図、
図2は同板材加工機のワークテーブルの一部領域に設けた下降テーブルの下降時の状態を示す側面図、
図3は実施形態のワーク加工方法の説明のための平面図、
図4は本発明のワーク加工方法の利点を簡略に説明するための図で、
図4(a)は実施形態のワーク加工方法の内容を説明するための平面図、
図4(b)はその比較例として従来例と同様の流れでワークを加工する場合の内容を説明するための平面図である。
【0027】
この板材加工機は、タレットパンチプレスとして例示してあるが、タレットパンチプレスに限られるものではなく、レーザ加工機や、レーザ加工機とパンチプレスとを複合化した複合加工機などにも適用できる。
【0028】
この板材加工機は、
図1に示すように、加工位置12にて板状のワーク(図示略)に対し本加工(製品の形取りや孔開け等の加工)を行う加工機本体10と、本加工後のワークに対し最終加工(製品の外周切断、端材切断、製品の切り離し切断等の加工)を行う最終加工装置50と、最終加工後のワークを外部へ搬出する搬出装置70と、ワークを載せるワークテーブル21〜23と、ワークテーブル22上に加工すべきワークを搬入する搬入装置60と、ワークテーブル22上に搬入されたワークを加工機本体10の加工位置12に対して水平面内の互いに直交するX軸方向及びY軸方向に移動・位置決めするワーク移動・位置決め装置とを有している。
【0029】
ワーク移動・位置決め装置は、Y軸方向に移動・位置決め可能なY軸キャリッジ25と、Y軸キャリッジ25に搭載れてX軸方向に移動・位置決め可能なX軸キャリッジ30と、X軸キャリッジ30に搭載されてワークのX軸方向に沿った一側縁をクランプするワーククランプ装置40と、を備えるものである。この構成により、X軸キャリッジ30に搭載されたワーククランプ装置40にクランプされたワークは、X軸方向及びY軸方向の任意の位置に自在に移動・位置決めできるようになっている。
【0030】
加工機本体10のフレーム15に回転自在に設けられた上下のタレット11には、複数のパンチやダイが備えられており、タレット11は、板状のワークの加工を行うためのパンチやダイを加工位置12に対して割出し位置決めできるようになっている。
【0031】
加工位置12を通るX軸方向に平行な直線及びY軸方向に平行な直線をそれぞれX軸X1及びY軸Y1とし、加工位置12を原点とする直交座標系のX軸X1とY軸Y1によって区画された4つの領域を上から見て左回りに第1象限E1、第2象限E2、第3象限E3、第4象限E4とし、且つ、第1象限E1と第2象限E2をY軸方向の一方側(
図1中下側)に位置してX軸方向に沿って互いに隣接するものとすると共に、第3象限E3と第4象限E4をY軸方向の他方側(
図1中上側)に位置してX軸方向に沿って互いに隣接するものとするとき、ワーククランプ装置40は、矩形板状のワークW(
図3参照)のY軸方向の一方側(
図1中下側)に位置する側縁をクランプするように配置されている。
【0032】
また、最終加工装置50と搬出装置70は、Y軸方向の他方側(
図1中上側)に位置する第3象限E3に配置されている。また、第3象限E3に隣接する第4象限E4が次加工ワークのワーク搬入象限とされており、第4象限E4のワークテーブル22上にワークを搬入できるように搬入装置60が配置されている。
【0033】
また、ワークテーブル21〜23は、全体的には、上面を一定高さのパスラインとするブラシテーブルによって構成されているのであるが、第4象限E4のワークテーブル22上に搬入された次加工ワークをワーククランプ装置40でクランプするときに、ワーククランプ装置40の下側に位置する領域(
図1のハッチング部分)についてだけは、ワークのパスラインよりも下方に下降可能な下降テーブル24として構成されている。
【0034】
図2は、下降テーブル24が下降しているときの高さと、他のワークテーブル22の高さ(パスラインPL)の違いを示している。
【0035】
ワーククランプ装置40は、第1象限E1に搬入されたワークをクランプする場合は、下方にワークテーブル22の存在しない状態でワークをクランプできるので、ワークをクランプする上で全く問題を生じないが、本実施形態のように、第4象限E4に搬入されたワークをクランプする場合は、下方に第1象限E1のワークテーブル22が存在する条件でワークをクランプしなくてならない。
【0036】
図2に示すように、ワーククランプ装置40は、下爪41と上爪42の間にワークをクランプするようになっているが、ワークテーブル22上にワーククランプ装置40が移動したときには、ワーククランプ装置40がワークテーブル22のブラシ上に乗り上げてパスラインPLの高さに下爪41が上昇することになり、その高さでワークをクランプしようとすると、ワークと下爪41が当たり、クランプできない。そこで、下爪41を備えたクランプベースを下げた状態にして、クランプを実施する必要がある。
【0037】
そこで、本実施形態の板材加工機では、ワーククランプ装置40の下方領域に該当するワークテーブル22の一部を、必要時にワーククランプ装置40のクランプベースが下がり下爪41とワークが当たらない高さまで退避できる下降テーブル24として構成しているのである。よって、上記の第1象限E1に搬入されたワークをクランプする際のワーククランプ装置40の下方にワークテーブル22の存在しない場合と同様の状態なので、ワークをクランプする上で全く問題を生じない。
【0038】
例えば、ワークテーブル22上のワークをクランプするためにワーククランプ装置40のクランプベースの高さを寸法H1だけ下げなければいけない場合、下降テーブル24は、寸法H1よりも多少大きい寸法H2だけ下降させるようにする。こうすることで、下方領域のブラシの抵抗を受けずに、スムーズにワーククランプ装置40の下爪41の高さを、確実にワークをクランプできる高さに調節することができるようになる。なお、クランプ時以外の通常時は、下降テーブル24の高さを、パスラインPLの高さまで上昇させる。また、下降テーブル24の昇降はシリンダ機構24aなどによって行う。
【0039】
また、
図3に示すように、第4象限E4に搬入される矩形板状のワークWをワーククランプ装置40でクランプする段階で原点位置決めするために、ロケートピン45や引き寄せパッド47が設けられている。ロケートピン45は、ワークテーブル22の下側に配備されたアクチュエータによってワークWのパスラインに対して出没させられるもので、パスラインから突出した状態にあるときに、ワークWの位置決めを行うことができる。また、引き寄せパッド47は、ワークWの上面に吸引力や磁気力で吸着することで、ワークWをロケートピン45やワーククランプ装置40の位置決め壁に押し当てることができるものである。
【0040】
次にワークWの流れを
図3及び
図4(a)を用いて説明する。
【0041】
ワークWは、搬入装置60から第4象限E4にてワークテーブル22上に矢印S1のように搬入される。搬入されたワークWは、原点位置決めされた上で、ワーククランプ装置40によってクランプされ、そのクランプされた状態で、X軸キャリッジ30及びY軸キャリッジ25の作動により、加工位置12に対してX軸方向及びY軸方向に移動・位置決めされながら、加工位置12にて加工機本体10により本加工される。
【0042】
なお、ワーククランプ装置40でワークWをクランプする際、下降テーブル24は、ワーククランプ装置40の下爪41(
図2)とワークが干渉せずワークのクランプに支障にならない高さに下降でき、クランプ後は通常のパスラインの高さに復帰する。
【0043】
本加工後のワークWは、ワーククランプ装置40によってクランプされた状態で第3象限E3に移動されて、最終加工装置50によって最終加工される。そして最終加工後のワークWは、ワーククランプ装置40から矢印S2のように搬出装置70に受け渡されて外部に搬出される。
【0044】
ここでは、第3象限E3に隣接する第4象限E4が次加工ワークのワーク搬入象限とされ、第3象限E3にて前加工ワークに最終加工を行っているとき、または、最終加工後にワーククランプ装置40でクランプした前加工ワークを搬出装置70に受け渡しているとき、ワーク搬入象限である第4象限E4のワークテーブル22上に次加工ワークWが搬入される。
【0045】
そして、前加工ワークを搬出装置70に受け渡した後に解放されるワーククランプ装置40が、第3象限E3での作業位置A2から、第4象限E4に搬入したワークWに対するクランプが可能な原点位置A1に移動され、その状態で次加工ワークWの原点位置決めが行われた上で、ワーククランプ装置40にて次加工ワークWがクランプされて、本加工に移る。
【0046】
なお、第4象限E4のワークテーブル22上に搬入された次加工ワークWの原点位置決めは、ワークWの上面に吸着する引き寄せパッド47を用いてワークWのY軸方向に沿った側縁をロケートピン45に押し当てると共に、X軸方向に沿った側縁をワーククランプ装置40の位置決め壁に押し当てることで行われる。
【0047】
この実施形態の加工方法によれば、第3象限E3での作業に従事しているワーククランプ装置40が解放される前の時間内に次加工ワークWの搬入を行うので、ロス時間を減らすことができる。また、最終加工と搬出を行う第3象限E3の隣の第4象限E4に次加工ワークの搬入を行うので、ワーククランプ装置40を第3象限E3付近の最終作業位置A2から原点位置A1に戻し移動する時間を短縮することができる。
【0048】
例えば、
図4(b)に示すように、従来のワークの流れでは、第1象限E1の原点位置A3にワーククランプ装置40を移動するのを待って、第1象限E1にワークWを矢印S3のように搬入しているので、ロス時間が大きくなっていた。また、第3象限E3の最終作業位置A2での作業を終えたワーククランプ装置40を第3象限E3から対角位置にある第1象限E1の原点位置A3に戻すので、移動距離が長くなる分だけ移動時間が長くなっていた。
【0049】
上述した本発明の実施形態の加工方法によれば、それらの問題を解消して、1個のワークWの搬入から搬出までのタクトタイムを短縮することができて、生産性の向上が図れる。
【0050】
また、本発明の実施形態の加工方法によれば、次加工ワークWの原点位置決めを簡単な構成で確実に行うことができる。
【0051】
また、第4象限E4のワークテーブル22上に搬送された次加工ワークWをワーククランプ装置40でクランプするとき、ワーククランプ装置40の下側の領域のワークテーブル(下降テーブル24)を下降させることができるので、下方の領域のワークテーブルに邪魔されずにスムーズにワーククランプ装置40をクランプできる高さまで下降させることができ、確実に次加工ワークをワーククランプ装置40によってクランプすることができる。
【符号の説明】
【0052】
10 加工機本体
12 加工位置
21〜23 ワークテーブル
24 下降テーブル
30 X軸キャリッジ(キャリッジ)
40 ワーククランプ装置
45 ロケートピン
47 引き寄せパッド
50 最終加工装置
60 搬入装置
70 搬出装置
W ワーク
X1 X軸
Y1 Y軸
E1 第1象限
E2 第2象限
E3 第3象限
E4 第4象限