(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061666
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】ハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B60W 10/26 20060101AFI20170106BHJP
B60W 20/13 20160101ALI20170106BHJP
B60K 6/442 20071001ALI20170106BHJP
B60K 6/54 20071001ALI20170106BHJP
B60L 11/14 20060101ALI20170106BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
B60W10/26 900
B60W20/13
B60K6/442ZHV
B60K6/54
B60L11/14
B60L11/18 A
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-278064(P2012-278064)
(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-51270(P2014-51270A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年10月19日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0098869
(32)【優先日】2012年9月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ジンクク
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ヨン、カク
(72)【発明者】
【氏名】パク、イル、クウォン
【審査官】
増子 真
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−223404(JP,A)
【文献】
特開平10−150701(JP,A)
【文献】
特開2009−279989(JP,A)
【文献】
特開2005−091112(JP,A)
【文献】
特開2001−045610(JP,A)
【文献】
特開2001−158254(JP,A)
【文献】
特開2007−269093(JP,A)
【文献】
特開2001−268719(JP,A)
【文献】
特開2010−143310(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0332020(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0208672(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 − 6/547
B60W 10/00 − 20/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド自動車を駆動するための電源を供給するバッテリの充電を走行状態に応じて制御するバッテリ充電制御方法であって、
設定時間の間の平均車速を計算するが、前記設定時間より短いアップデート周期で前記平均車速をアップデートするステップと、
前記平均車速に基づき、前記バッテリの充電基準となるSOC充電バンドを変更するステップと、
前記SOC充電バンドに基づき、走行状態に応じて前記バッテリを充電するステップとを含み、
前記平均車速をアップデートするステップは、前記設定時間のうち初期の前記アップデート周期に相当する車速を平均から差し引き、前記設定時間のうち末期の前記アップデート周期に相当する車速を平均に加えることによって計算する、ハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法。
【請求項2】
前記SOC充電バンドを変更するステップは、
前記バッテリのSOCがそれ以下の場合に限ってバッテリの充電を許容するとする基準値である前記SOC充電バンドのハイ値を変更することを特徴とする請求項1記載のハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法。
【請求項3】
前記平均車速が設定された高速基準車速より大きい場合に対するSOC充電バンドのハイ値は、前記平均車速が前記高速基準車速より小さい場合に対するSOC充電バンドのハイ値より大きく設定されることを特徴とする請求項2記載のハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法。
【請求項4】
前記定められた時間の間の停車回数をカウントするステップをさらに含み、
前記SOC充電バンドのハイ値を変更するステップは、前記平均車速に加えて、前記停車回数に基づいて前記SOC充電バンドのハイ値を変更することを特徴とする請求項2記載のハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法。
【請求項5】
前記停車回数を設定回数と比較するステップをさらに含み、
前記停車回数が前記設定回数より小さい場合に対するSOC充電バンドのハイ値は、前記停車回数が前記設定回数より大きい場合に対するSOC充電バンドのハイ値より大きく設定されることを特徴とする請求項4記載のハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法。
【請求項6】
前記停車回数を前記設定回数と比較するステップは、前記平均車速が前記高速基準車速より大きくない場合に行われることを特徴とする請求項4記載のハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法。
【請求項7】
前記平均車速を前記高速基準車速より低い渋滞基準車速と比較するステップをさらに含み、
前記平均車速が前記渋滞基準車速より大きい場合に対するSOC充電バンドのハイ値は、前記平均車速が前記渋滞基準車速より小さい場合に対するSOC充電バンドのハイ値より大きく設定されることを特徴とする請求項3記載のハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法。
【請求項8】
前記平均車速を前記高速基準車速より低い渋滞基準車速と比較するステップをさらに含み、
前記平均車速が前記渋滞基準車速より大きい場合に対するSOC充電バンドのハイ値は、前記平均車速が前記渋滞基準車速より小さい場合に対するSOC充電バンドのハイ値より大きく設定されることを特徴とする請求項6記載のハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法。
【請求項9】
前記平均車速を前記渋滞基準車速と比較するステップは、前記停車回数が前記設定回数より大きい場合に行われることを特徴とする請求項7記載のハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法。
【請求項10】
ハイブリッド自動車の駆動電源を供給するバッテリの充電を制御するバッテリ充電制御システムであって、
前記ハイブリッド自動車の速度を検出する車速検出器と、
前記ハイブリッド自動車の走行状態に応じて発電する発電機と、
前記車速検出器の信号に基づき、前記発電機の発電電圧を用いて前記バッテリの充電の可否を制御する制御ユニットとを含み、
前記制御ユニットは、設定されたプログラムによって動作する1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記設定されたプログラムは、
設定時間の間の平均車速を計算するが、前記設定時間より短いアップデート周期で前記平均車速をアップデートするステップと、前記平均車速に基づき、前記バッテリの充電基準となるSOC充電バンドを変更するステップと、前記SOC充電バンドに基づき、走行状態に応じて前記バッテリを充電するステップとを含む、ハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法を実行するための一連の命令からなり、
前記平均車速をアップデートするステップは、前記設定時間のうち初期の前記アップデート周期に相当する車速を平均から差し引き、前記設定時間のうち末期の前記アップデート周期に相当する車速を平均に加えることによって計算する、ハイブリッド自動車のバッテリ充電制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車を駆動するための電源を供給するバッテリの充電を走行状態および走行状況に応じて制御するバッテリ充電制御方法およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、世界的な原油高および排気ガス規制により環境に優しい政策と燃費の向上が自動車開発の核心的な項目となっている。これにより、自動車メーカーは、環境に優しい政策に応え、燃費向上のために、燃料節減および排気ガス低減のための技術開発に多大な努力を傾けている。
【0003】
このような背景下、バッテリの電源で駆動されるモータを動力源として使用するハイブリッド自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)が開発されている。
【0004】
ハイブリッド自動車の概念的な構成を、
図1に示した。
【0005】
図1を参照すれば、ハイブリッド自動車は、駆動軸12とホイール軸14との速度比を変更および決定する変速機22と、電気エネルギーを利用して駆動軸12に動力を伝達することができ、自動車の慣性を利用してエネルギーの回生が可能なモータ24と、燃料を利用して動力を発生するエンジン26と、エンジン26の動力を駆動軸12に伝達および断絶可能にするエンジン側クラッチ28と、エンジン26の始動および停止のためのエンジン始動/停止モータ32とを含むことができる。
【0006】
このようなハイブリッド自動車は、エンジン26および/またはモータ24の動力を適切に組み合わせて使用しながら走行することができる。この時、エンジン26の起動時間とエンジン26の運転点、ハイブリッド自動車に装着されている高電圧バッテリのSOC(State Of Charge)制御および管理戦略などに応じてハイブリッド自動車の燃費が異なり得る。
【0007】
一方、ハイブリッド自動車は、走行状況を予測する時、平均車速を用いることができる。ハイブリッド自動車が平均車速を用いる時、平均車速のモニタリング時間も重要であるが、平均車速をアップデートする時間も重要であり得る。
【0008】
これは、平均車速のアップデート時間が、道路状況を予測し、この予測に従ってハイブリッド自動車を制御する時、重要な要素として作用するからである。
【0009】
既存のハイブリッド自動車は、平均車速を定められた基準時間の間隔ごとに演算し、アップデートする方式を取っている。
【0010】
例えば、定められた基準時間を5分とした時、前(過去)の5分間の平均車速を用いて、以降の5分間、ハイブリッド自動車がどのような道路状況にあるかを判断する。
【0011】
こうなると、
図2に示すように、車両(以下、ハイブリッド自動車と車両を同じ意味で使う)が前の5分間は市内を走行し、現在高速道路を走行すると仮定すれば、車両は実際に高速道路で高速走行中であるが、平均車速を用いる車両の各種制御システムは市内走行中の平均車速値を用いて当該制御を行うことになる。
【0012】
これにより、ハイブリッド自動車において、SOC制御戦略やエンジンの運転制御が誤って設定され、燃費を悪化させる要因になることがあった。
【0013】
また、既存のハイブリッド自動車は、例えば、
図2に示すように、車速モードを市内走行モード(city mode)と高速道路走行モード(highway mode)の2つの走行モードにのみ区分して走行制御をしているため、複雑に変化する道路の交通状況に応じたSOC制御管理や燃費の制御が効率的にできない問題があり得た。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、現在走行中の道路および走行中の道路の交通状況まで判断してハイブリッド自動車のバッテリ充電または放電制御をすることにより、ハイブリッド自動車のSOC制御戦略の効率性の引き上げおよび燃費の向上を達成できるようにしたハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の実施形態にかかるハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法は、ハイブリッド自動車を駆動するための電源を供給するバッテリの充電を走行状態に応じて制御するバッテリ充電制御方法であって、設定時間の間の平均車速を計算するが、前記設定時間より短いアップデート周期で前記平均車速をアップデートするステップと、前記平均車速に基づき、前記バッテリの充電基準となるSOC(State Of Charge)充電バンドを変更するステップと、前記SOC充電バンドに基づき、走行状態に応じて前記バッテリを充電するステップとを含むことができる。
【0016】
本発明の実施形態において、前記SOC充電バンドを変更するステップは、前記バッテリのSOCがそれ以下の場合に限ってバッテリの充電を許容するとする基準値であるSOC充電バンドのハイ値を変更することができる。
【0017】
本発明の実施形態において、前記平均車速が設定された高速基準車速(predetermined high speed criteria value)より大きい場合に対するSOCバンドのハイ値は、前記平均車速が前記高速基準車速より小さい場合に対するSOCバンドのハイ値より大きく設定できる。
【0018】
本発明の実施形態において、前記定められた時間の間の停車回数をカウントするステップをさらに含み、前記SOCバンドのハイ値を変更するステップは、前記平均車速に加えて、前記停車回数に基づいて前記SOCバンドのハイ値を変更することができる。
【0019】
本発明の実施形態において、前記停車回数を設定回数と比較するステップをさらに含み、前記停車回数が前記設定回数より小さい場合に対するSOCバンドのハイ値は、前記停車回数が前記設定回数より大きい場合に対するSOCバンドのハイ値より大きく設定できる。
【0020】
本発明の実施形態において、前記停車回数を前記設定回数と比較するステップは、前記平均車速が前記高速基準車速より大きくない場合に実施できる。
【0021】
本発明の実施形態において、前記平均車速を前記高速基準車速より低い渋滞基準車速と比較するステップをさらに含み、前記平均車速が前記渋滞基準車速より大きい場合に対するSOCバンドのハイ値は、前記平均車速が前記渋滞基準車速より小さい場合に対するSOCバンドのハイ値より大きく設定できる。
【0022】
本発明の実施形態において、前記平均車速を前記高速基準車速より低い渋滞基準車速と比較するステップをさらに含み、前記平均車速が前記渋滞基準車速より大きい場合に対するSOCバンドのハイ値は、前記平均車速が前記渋滞基準車速より小さい場合に対するSOCバンドのハイ値より大きく設定できる。
【0023】
本発明の実施形態において、前記平均車速を前記渋滞基準車速と比較するステップは、前記停車回数が前記設定回数より大きい場合に実施できる。
【0024】
本発明の実施形態において、前記平均車速をアップデートするステップは、前記設定時間のうち初期の前記アップデート周期に相当する車速を平均から差し引き、前記設定時間のうち末期の前記アップデート周期に相当する車速を平均に加えることによって計算することができる。
【0025】
そして、本発明の他の実施形態にかかるハイブリッド自動車のバッテリ充電制御システムは、ハイブリッド自動車の駆動電源を供給するバッテリの充電を制御するバッテリ充電制御システムであって、前記ハイブリッド自動車の速度を検出する車速検出器と、前記ハイブリッド自動車の走行状態に応じて発電する発電機と、前記車速検出器の信号に基づき、前記発電機の発電電圧を用いて前記バッテリの充電の可否を制御する制御ユニットとを含み、前記制御ユニットは、設定されたプログラムによって動作する1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記設定されたプログラムは、前記本発明の実施形態のバッテリ充電方法を実行するための一連の命令であり得る。
【発明の効果】
【0026】
上述のように、本発明の実施形態によれば、現在走行中の道路および走行状況まで判断してハイブリッド自動車のバッテリ充電制御をすることにより、ハイブリッド自動車のSOC制御戦略の効率性の引き上げおよび燃費の向上を達成することができる。
【0027】
本発明の実施形態によれば、平均車速のアップデート時間を現在の走行状況を反映できるように設定することにより、ハイブリッド自動車のバッテリの充電を走行状況に適合させることができ、これにより、バッテリの制御管理も効率的にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】一般的なハイブリッド自動車の概念図である。
【
図2】従来技術の問題を説明するための説明図である。
【
図3】本発明の実施形態にかかるハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態にかかるハイブリッド自動車のバッテリ充電制御システムのブロック構成図である。
【
図5】本発明の実施形態にかかるハイブリッド自動車の構成図である。
【
図6】本発明の実施形態にかかる作用を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を、添付した図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態にかかるバッテリ充電制御システムが適用されるハイブリッド自動車を概略的に示す図である。
【0031】
図1に示されるように、本発明の実施形態にかかるバッテリ充電制御システムが適用されるハイブリッド自動車は、駆動軸12とホイール軸14との速度比を変更および決定する変速機22と、電気エネルギーを利用して駆動軸12に動力を伝達することができ、自動車の慣性を利用してエネルギーの回生が可能なモータ24と、燃料を利用して動力を発生するエンジン26と、エンジン26の動力を駆動軸12に伝達および断絶可能にするエンジン側クラッチ28と、エンジン26の始動および停止のためのエンジン始動/停止モータ32とを含むことができる。
【0032】
ハイブリッド自動車において、モータ24およびエンジン始動/停止モータ32は必要に応じて発電機として動作してバッテリを充電することは公知の事実であるので、本明細書においてこれに関する詳細な説明の開示は省略する。
【0033】
図4は、本発明の実施形態にかかるハイブリッド自動車のバッテリ充電制御システムを概略的に示すブロック図である。
【0034】
図5は、本発明の実施形態にかかる駆動制御システムが設けられたハイブリッド自動車(HEV)であって、エンジン26と、モータ24と、バッテリ400と、充電制御システム500とを含むことができる。
【0035】
本発明の実施形態にかかるバッテリ充電制御システムは、ハイブリッド自動車の駆動電源を供給するバッテリの充電を制御するバッテリ充電制御システムである。
【0036】
このような本発明の実施形態にかかるバッテリ充電制御システムは、
図1および
図4に示すように、前記ハイブリッド自動車の速度を検出する車速検出器として車速センサ100と、前記ハイブリッド自動車の走行状態に応じて発電機として動作できるモータ24およびエンジン始動/停止モータ32と、車速センサ100の信号に基づき、発電機24、32の発電電圧を用いて前記バッテリ400の充電の可否を制御する制御ユニット200、300とを含む。
【0037】
前記車速検出器は、本発明の実施形態では、一例として、ホイールに取り付けられて回転速度を検出する車速センサで形成でき、他の例としては、変速機の最終減速ギヤに取り付けられる車速センサで形成できるが、本発明の保護範囲が必ずしもこれに限定されたものと理解されてはならない。これとは異なる構成であっても、実質的な車速に相応する値の計算を可能にする構成であれば、本発明の技術的思想が適用可能である。
【0038】
前記制御ユニットは、設定されたプログラムによって動作する1つ以上のマイクロプロセッサであって、前記設定されたプログラムは、後述する本発明の実施形態にかかるバッテリ充電制御方法を実行するための一連の命令から形成される。
【0039】
本発明の実施形態では、前記制御ユニットは、前記ハイブリッド自動車の駆動電源を供給するバッテリを管理するバッテリ管理システム(BMS;Battery Management System)300と、ハイブリッド自動車の動作全体を制御するハイブリッド制御ユニット(HCU;Hybrid Control Unit)200とを含むことができる。後述する本発明の実施形態にかかるバッテリ充電制御方法において、その一部のプロセスは前記BMS300によって、他の一部のプロセスは前記HCU200によって行われるものとすることができる。しかし、本発明の保護範囲が後述する実施形態で説明されるとおりに限定されるものと理解されてはならない。本発明の実施形態における説明とは異なる組み合わせで制御ユニットを実現することができる。あるいは、前記BMS300と前記HCU200が実施形態で説明されたものとは異なる組み合わせのプロセスを行うものとすることができる。
【0040】
本発明の実施形態において、前記BMS300は、ハイブリッド自動車の駆動電源を供給するバッテリ400を管理するシステムである。このBMS300の機構的な構成に関しては当業者に自明であるので、より詳細な記載を省略する。
【0041】
そして、本発明の実施形態において、前記HCU200は、ハイブリッド自動車の動作全体を制御する制御ユニットであって、その機構的な構成に関しては当業者に自明であるので、より詳細な記載を省略する。
【0042】
以下、本発明の実施形態にかかるハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0043】
図3は、本発明の実施形態にかかるハイブリッド自動車のバッテリ充電制御方法を示すフローチャートである。
【0044】
図3に示されるように、HCU200は、車速センサ100の信号出力を受け、ハイブリッド自動車の現在の車速(current vehicle speed)を計算する(S100)。
【0045】
HCU200は、このように計算される現在の車速に基づいて設定時間の間の平均車速を計算するが、前記設定時間より短いアップデート周期で前記平均車速をアップデートする(S200)。
【0046】
本発明の実施形態において、平均車速を計算するための前記設定時間と平均車速をアップデートするためのアップデート周期とは互いに異なって設定され、より具体的には、前記アップデート周期は、前記設定時間より短く形成される。つまり、前記設定時間は、速度の平均が過度に揺れることなく走行状況を示すための平均としての意味が保たれるために、ある程度長い時間(例:5分または7分)に定められるが、前記アップデート周期は、バッテリの充電の可否をリアルタイムで判断するための十分に短い時間(例:10秒または20秒)に定められる。
【0047】
一方、前記平均車速をアップデートする時、前記設定時間のうち初期の前記アップデート周期に相当する車速を平均から差し引き、前記設定時間のうち末期の前記アップデート周期に相当する車速を平均に加えることによって計算することもできる。この場合、例えば、10秒単位で車速を測定し、これを5分に対して平均する場合、平均に用いられる車速データは300×10=3,000個となるが、これを10秒ごとにアップデートする場合、3千個の車速データを毎度新たに加え、個数で割る計算をする必要がないため、計算が簡単になり得る。
【0048】
このように平均車速を求めた後は、HCU200は、前記定められた時間の間の停車回数をカウントする(S300)。
【0049】
この停車回数カウントステップS300では、前記平均速度計算ステップにおけるような設定時間の間の停車回数をカウントし、同じアップデート周期でアップデートする。
【0050】
前記停車回数をカウントするための停車条件は多様に定めることができるが、本発明の実施形態では、車速が1km/h以下の場合にこれを停車したと判断する。しかし、本発明の保護範囲はこれに限定するものではない。
【0051】
こうして平均車速と停車回数が求められた場合、HCU200は、平均車速を設定された高速車速の高速道路モードの車速(例;90km/h)と比較する(S410)。
【0052】
前記平均車速を高速道路モードの車速と比較した結果、前記平均車速が高速道路モードの車速を超えていれば、HCU200は、BMS300を制御し、バッテリ400を高速道路モードSOC制御するようにする(S440)(S445)。
【0053】
高速道路モードにおいて、エンジンは、
図6に示すように、エンジンの動力によってSOC制御上限線越しの充電バッファバンドまでバッテリ400を充電できる充電余力がある状況であり得る。
【0054】
したがって、高速道路モードSOC制御において、HCU200は、BMS300を制御し、SOC制御上限線が許容可能な最大範囲(上限の第1範囲)まで上向き可能に制御しながら、バッテリ400を充電することができる。
【0055】
ステップS410において、前記平均車速を高速道路モードの車速と比較した結果、前記平均車速が高速道路モードの車速以下であれば、HCU200は、前記停車回数が設定回数(例;2回)を超えたかを判断する(S420)。
【0056】
ステップS420において、前記停車回数が前記設定回数を超えていなければ、HCU200は、BMS300を通してバッテリ400を市内モードSOC制御するようにする(S450)(S455)。
【0057】
市内モードにおいて、エンジンは、
図6に示すように、SOC制御上限線からSOC制御下限線の間でバッテリ400を適切に充電できる充電余力がある状況であり得る。
【0058】
したがって、市内モードSOC制御において、HCU200は、BMS300を制御し、SOC制御上限線が前記第1範囲より低い範囲(上限の第2範囲)まで上向き可能に制御しながら、バッテリ400を充電することができる。
【0059】
ステップS420において、前記停車回数が前記設定回数を超えていれば、HCU200は、前記平均車速を渋滞モードの車速(例;25km/h)と比較する(S430)。
【0060】
ステップS430において、前記平均車速と前記渋滞モードの車速との比較の結果、前記平均車速が前記渋滞モードの車速を超えていれば、HCU200は、BMS300を通してバッテリ400を渋滞モードSOC制御するようにする(S460)(S465)。
【0061】
渋滞モードにおいて、ハイブリッド自動車は、一般的に、モータの動力だけでの走行が頻繁になり得るため、バッテリ400の放電が多くなることがある。
【0062】
したがって、渋滞モードSOC制御において、HCU200は、BMS300を制御し、SOC制御下限線を最大許容可能な最大範囲(下限の第1範囲)から放電バッファバンドまで下向きにしてSOC制御することができる。
【0063】
あるいは、渋滞モードSOC制御において、HCU200は、BMS300を制御し、SOC制御上限線が前記第2範囲より低い範囲(上限の第3範囲)まで上向き可能に制御しながら、バッテリ400を充電することができる。
【0064】
ステップS430において、前記平均車速と前記渋滞モードの車速との比較の結果、前記平均車速が前記渋滞モードの車速を超えていなければ、HCU200は、BMS300を通してバッテリ400を極渋滞モードSOC制御するようにする(S470)(S475)。
【0065】
極渋滞走行モードにおいて、ハイブリッド自動車は、渋滞走行モードと同様に、モータの動力のみによる走行が頻繁になり得るため、バッテリ400の放電が多くなることがある。
【0066】
したがって、極渋滞モードSOC制御において、HCU200は、BMS300を制御し、SOC制御下限線を許容可能な範囲(下限の第2範囲)から放電バッファバンドまで下向きにしてSOC制御することができる。前記下限の第2範囲は、前記下限の第1範囲よりも低い値である。
【0067】
あるいは、極渋滞モードSOC制御において、HCU200は、BMS300を制御し、SOC制御上限線が前記第3範囲より低い範囲(上限の第4範囲)まで上向き可能に制御しながら、バッテリ400を充電することができる。
【0068】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の実施形態から当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって容易に変更され、均等と認められる範囲のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0069】
100:車速センサ
200:HCU
300:BMS
400:バッテリ