【実施例】
【0027】
次に、実施例及び比較例について説明する。
先ず、実施例で用いる材料は以下のとおりである。
1.エポキシ樹脂
(1−1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂
エピクロン850〔エポキシ当量;190g/eq、粘度;15000(mPa.s/25℃)〕(DIC社製)
(1−2)変性BPA型エポキシ樹脂
エピクロンEXA-4850-150〔エポキシ当量;450g/eq 、粘度;15000(mPa.s/25℃)〕(DIC社製)
(1−3)ゴム変性エポキシ樹脂
エピクロンTSR-601〔エポキシ当量;475g/eq 、粘度;100000(mPa.s/25℃)以上〕(DIC社製)
【0028】
2.硬化剤
(2−1)ポリオキシプロピレンジアミン(1)
ジェファーミンD-230〔分子量;230 、粘度;10(mPa.s/25℃)〕(PTIジャパン社製)
(2−2)ポリオキシプロピレンジアミン(2)
ジェファーミンD-400〔分子量;400 、粘度;100(mPa.s/25℃)〕(PTIジャパン社製)
【0029】
3.硬化促進剤
三級アミン類(AC399:PTIジャパン社製)
4.難燃剤
(4−1)
リン酸トリブチル(大八化学製)
(4−2)
レゾルシノールビスジフェニルホスフェート(CR-733S:大八化学製)
【0030】
5.フィラー
(5−1)
カオリン(ユニオンクレーRC-1:竹原化学製)
(5−2)
水酸化アルミニウム(ハイジライトH-42M:昭和電工製)
(5−3)
タルク(ハイラック:竹原化学製)
(5−4)
アルミナシリケート(フィライト52/7(FG):日本フィライト製)
【0031】
また、比較例で用いる材料は以下のとおりである。
1.エポキシ樹脂
(1−1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂
エピクロン850〔エポキシ当量;189g/eq、粘度;15000(mPa.s/25℃)〕(DIC社製)
(1−2)ゴム変性エポキシ樹脂
エピクロンTSR-601〔エポキシ当量;475g/eq 、粘度;100000(mPa.s/25℃)以上〕(DIC社製)
【0032】
2.硬化剤
ヘキサヒドロフタル酸無水物(HHPA)〔分子量;152.2〕(和光純薬工業製)
3.硬化促進剤
ベンジルジメチルアミン(BDMA)(カオライザーNO.20:花王製)
4.難燃剤
(4−1)
リン酸トリブチル(大八化学製)
(4−2)
レゾルシノールビスジフェニルホスフェート(CR-733S:大八化学製)
5.フィラー
アルミナシリケート(フィライト52/7(FG):日本フィライト製)
【0033】
そして、実施例1〜9、11〜12及び比較例1〜4に係る衝撃吸収体を、
図2及び
図3に示す配合組成で作製した。具体的には、各図に示す配合組成の部数で配合した樹脂を、金型に流し込み、加熱成形で衝撃吸収体を作製した。金型;7mm×260mm×260mm、板厚;2mm(ステンレス製)、成形温度;150℃、成形時間;1時間
【0034】
また、実施例10は、
図2に示す配合組成(実施例9と同じ)を用い積層体を作製した。液晶ポリマークロス(KBセーレン社製ゼクシオンZX1201 0.12mm)を250mm角サイズにカットし、金型に40枚セットした後、樹脂を流しこみハケとローラーを用い含浸し、150℃で1時間加熱後、さらに200℃で2時間加熱し積層体を作製した。
【0035】
そして、これらの実施例及び比較例について、物性測定を行い、評価した。物性測定は以下のようにして行った。
1.硬度測定:アスカーゴム硬度計C型にて硬度を測定した。(N=3)
2.引張強度;オートグラフAGS-1000B(島津製作所社製)を使用し、厚さ;5mm、幅;12.5mm、長さ;200mmの試験片を使用し、引張り速度;500mm/minにより引張強度を測定した(N=5(JIS K6911準拠))。
3.耐燃性;厚さ;3mm、幅;13mm、長さ;125mmの試験片を使用し、耐燃性試験を行った。N=5(UL-94)
【0036】
4.衝撃吸収率測定;IZOD試験機(SANYO KOGYO製)とデジタル加速度計Model-1340A(昭和測器株式会社製)を用い測定を行った。
衝撃吸収率測定においては、セラミック板(5mm)に積層板(5mm)を複合したものを表面部材として衝突時の衝撃波を加速度で測定した。ハンマー重量3Kg、振り上げ角度45度にて、ハンマー面がセラミック板に当たるようにセットし加速度センサーを積層板側にセットし、衝撃加速度を測定したものに対し、積層板と加速度センサ−の間に実施例若しくは比較例に係る衝撃吸収体(10mm)を加えたものの衝撃加速度〔m/S
2〕を測定し、衝撃吸収体を加える事で低減した加速度について衝撃吸収率を算出した。なお、セラミック板としてアルミナ、積層板はL-6706B 5t(ニッカン工業製)を使用した。
【0037】
衝撃加速度A;セラミック板(5mm)+積層板(5mm)+衝撃吸収体(10mm)
衝撃加速度B;セラミック板(5mm)+積層板(5mm)
衝撃吸収率(%);(B−A)/B×100
衝撃サンプルサイズ;A;10mm(縦)×6mm(横)×20mm(厚さ)
B; 10mm(縦)×6mm(横)×10mm(厚さ)
【0038】
結果を
図2及び
図3に示す。この結果から、以下のことが考察される。
(実施例1〜8)
エポキシ樹脂と硬化剤としてポリオキシプロピレンジアミン、硬化促進剤に3級アミン、難燃剤としてリン酸トリブチル、レゾルノールビスジフェニルホスフェートを含む樹脂組成物を成形した衝撃吸収体は柔軟性と衝撃吸収率の良好な衝撃吸収体が得られる。
【0039】
(実施例9)
フィラーとして中空構造を有するアルミナシリケートを使用する事で衝撃吸収特性と難燃性がV−0まで向上した。また衝撃吸収率は80%を得る事が出来た。
(実施例10)
実施例9と同配合樹脂を液晶ポリマークロスに含侵成型した積層体では難燃性はV−0を保持し衝撃吸収率は65%を得る事が出来た。
(実施例11)
ゴム変性エポキシ樹脂、硬化剤にポリオキシプロピレンジアミン、硬化促進剤として3級アミン、難燃剤としてリン酸トリブチル及びレゾルノールビスジフェニルホスフェートを含む樹脂組成物を成形した衝撃吸収体は、柔軟性と70%の衝撃吸収率を得る事が出来るが、難燃性はUL-94試験で不合格であった。
(実施例12)
ゴム変性エポキシ樹脂及び変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化剤としてポリオキシプロピレンジアミン、硬化促進剤として3級アミン、難燃剤としてリン酸トリブチル及びレゾルノールビスジフェニルホスフェートを含む樹脂組成物を成形した衝撃吸収体は、難燃性はHBまで向上し、衝撃吸収率は65%を得る事が出来た。
【0040】
(比較例1〜3)
ゴム変性エポキシ樹脂(または、ゴム変性エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂)、硬化剤にヘキサヒドロフタル酸無水物、硬化促進剤にベンジルジメチルアミン、難燃剤としてリン酸トリブチル及びレゾルノールビスジフェニルホスフェートを含む樹脂組成物を成形した衝撃吸収体は十分な衝撃吸収率が得られず、難燃剤を加えても難燃性が不合格であった。
中空構造を有するアルミナシリケートを使用する(比較例3)事で衝撃吸収率は若干向上するが満足する特性が得られない。
(比較例4)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化剤にヘキサヒドロフタル酸無水物、硬化促進剤にベンジルジメチルアミン、難燃剤としてリン酸トリブチル、レゾルノールビスジフェニルホスフェートを含む樹脂組成物を成形した衝撃吸収体は難燃性がV−1を得たが、十分な衝撃吸収率が得られなかった。