【氏名又は名称原語表記】Arizona Board of Regents on behalf of Arizona State University
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長期的活動に従事するユーザについて、前記ユーザが睡眠サイクルに入る可能性を削減するべく又はマイクロ睡眠を防止するべく、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサーを起動する手段を更に含む、請求項1−4のいずれか1つの脳調節インターフェース装置。
前記少なくとも1つの超音波トランスデューサーは、前記ターゲット組織サイトにおいて0.1MHzから1.5MHzの範囲内の周波数で前記超音波エネルギーを配送するように構成される、請求項1の脳調節インターフェース装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、人間または動物の脳の活動を調節するための方法と装置からなる。方法と装置は、生体主体中の脳に向けられた超音波の使用からなる。本発明の方法は、脳に影響を与え脳の活動を調節するため、および主体の身体による生理学的または振舞い的応答を変化させるかまたは制御するために、低強度で低周波数の超音波、低強度の超音波、またはその他の強度または周波数の超音波のような、超音波の実効的な量を脳に提供することからなる。
【0011】
本発明の装置は、ここでトランスデューサーと呼ばれる、超音波を生成するための1つ以上のコンポーネンツからなり、超音波エミッター、トランスデューサーまたは圧電トランスデューサー、ピエゾ複合材料トランスデューサー、ピエゾポリマー、CMUTs(容量性のマイクロマシン加工された超音波トランスデューサー)を含むがそれらに限定はされない、主体に動作可能に接続された装置からなり、それは単一または複数のトランスデューサーとしてかまたはアレイ構成で提供されても良い。提供された超音波は、望ましい応用に応じて、いかなる形状または振幅のものであっても良く、フォーカスされていてもフォーカスされていなくても良い。超音波は、調節されるべき細胞または組織のサイトにおいて、およそ0.0001mW/cm
2からおよそ100W/cm
2の範囲内の強度と、およそ0.02MHzからおよそ10.0MHzの範囲内の周波数におけるものであっても良い。
【0012】
1つ以上の冷却コンポーネンツが、装置の本体に組み込まれていても良く、または頭部に超音波を提供する前、最中または後に頭皮上に置かれても良い。冷却コンポーネントは、波形、強度および/または周波数が冷却コンポーネントによって変化されないように、超音波透過性であっても良い。冷却コンポーネントは、氷嚢、冷凍庫のような冷たい場所中に置くことによって冷やされる冷凍可能な容器、吸熱性であり容器を冷却する化学反応が始動されることができるような化学薬品の容器、機械的な手段によって冷却された機械的に冷やされた材料または容器、または主体の頭部に施され得る冷えたかまたは冷たい表面を提供し得る当該技術分野で周知のあらゆるその他の材料または容器であっても良い。
【0013】
ここに開示されるように、発明のいくつかの側面は、脳の特定の領域か、脳求心路または脳遠心路を含む、哺乳類脳組織に超音波を提供すること、または1つ以上の脳領域に超音波を提供すること、それらの組み合わせ、または神経伝達物質の合成、放出または摂取における変化を引き起こすため、の文脈で記載される。例えば、脳は、頭部領域中に位置しその中にニューロンをもった組織、神経幹細胞のような神経前駆体細胞、ニューロン、軸索、神経細胞体、神経節、樹状突起、シナプス領域、ニューロン組織、またはグリア細胞、乏突起膠細胞または星状膠細胞のようなニューロンの中で生体の脳中に配置された その他の細胞からなっていても良い。神経細胞の治療は、PCT/US2009/050560に開示されており、それはその全体がここに組み込まれる。
【0014】
超音波は、誘起された活動電位の振幅および/または導電速度を抑制することによってニューロン活動に影響を与えることが示されている。中位および高い強度で高周波数の超音波とニューロン活動を制御するための長い露出時間の使用は、生体中のニューロン活動を調節するための超音波の実用性を最小化する。本発明は、ニューロン活動に影響を与えるための方法のような、低強度(<500mW/cm
2)で低周波数(<0.9MHz)の超音波と細胞調節への効果のための方法からなる。例えば、低強度は、およそ450mW/cm
2、400mW/cm
2、350mW/cm
2、300mW/cm
2、250mW/cm
2、200mW/cm
2、150mW/cm
2、100mW/cm
2、50mW/cm
2、25mW/cm
2、10mW/cm
2、およびおよそ450mW/cm
2からおよそ1mW/cm
2までを含んだそれらの述べられた量内の超音波強度のレベルからなっていても良い。本発明によって想定されているその他の強度は、およそ1W/cm
2からおよそ100W/cm
2までからなる。例えば、本発明の音響強度は、およそ1W/cm
2、およそ2W/cm
2、およそ3W/cm
2、およそ4W/cm
2、およそ5W/cm
2、およそ10W/cm
2、およそ15W/cm
2、およそ20W/cm
2、およそ25W/cm
2、およそ30W/cm
2、およそ40W/cm
2、およそ50W/cm
2、およそ60W/cm
2、およそ70W/cm
2、およそ75W/cm
2、およそ80W/cm
2、およそ90W/cm
2、およそ100W/cm
2、またはおよそ10mW/cm
2からおよそ500mW/cm
2の範囲内からなっていても良い。低周波数超音波は、およそ0.88MHzからおよそ0.01MHz、およそ0.80MHzからおよそ0.01MHz、0.80MHzからおよそ0.1MHz、およそ0.70MHzからおよそ0.1MHz、およそ0.60MHzからおよそ0.1MHz、およそ0.50MHzからおよそ0.1MHz、およそ0.40MHzからおよそ0.1MHz、およそ0.30MHzからおよそ0.1MHz、およそ0.20MHzからおよそ0.1MHz、およそ0.10MHzからおよそ1.0MHzの範囲、およびそれらの範囲内の超音波周波数からなっていても良い。本発明によって想定されているその他の周波数は、およそ0.1MHzからおよそ1.5MHz、およそ0.1からおよそ1.3MHz、およそ0.1からおよそ1.0MHz、およそ0.1からおよそ0.9MHz、およそ0.1からおよそ0.8MHz、およそ0.1からおよそ0.5MHz、およそ0.1からおよそ0.4MHz、およそ0.5からおよそ1.5MHz、およそ0.7からおよそ1.5MHz、およそ1.0からおよそ1.5MHz、およそ0.02MHzからおよそ10MHzの範囲、およびそれらの範囲内の超音波周波数からなる。
【0015】
ここで使われるように、挙げられた強度と周波数は、ターゲット組織サイトにおける強度と周波数レベルであって、トランスデューサーの実際の出力数ではない。例えば、ターゲット組織のサイトにおいて経験された圧力波形は、およそ0.9MHzより下の周波数とおよそ900mW/cm
2より下の強度を有するであろう。トランスデューサーの出力は、ターゲット組織サイトにおける結果として得られる実効的な量よりもはるかに大きくなくてはならないかもしれない。例えば、トランスデューサーは、頭蓋骨が超音波のかなりの部分を吸収するので、治療されている脳組織における実効的な量がおよそ0.9MHzとおよそ900mW/cm
2より下であるように、健全な頭皮と頭蓋骨を通した送信のためにおよそ90Wにおける0.9MHzの超音波を出力しても良い。よって、ここに述べられ請求された周波数と強度は、ターゲット組織サイトにおいて経験された周波数と強度であって、超音波トランスデューサーの出力ではない。
【0016】
ここで使われるように、脳活動を調節するためにターゲットサイトに超音波を提供することは、主体に超音波刺激波形を提供することからなる。超音波刺激波形はまた、代替的に、ここでは波形と呼ばれても良く、当業者によって理解されることができるように2つの用語は交換可能に使われる。ここで使われるように、脳活動を調節することは、脳の1つ以上のサイトにおいて脳活動を変化させることを意味する。脳活動は、少なくとも超音波の作用によって増加されても減少されても良く、それはニューロン発火、受容性、神経ホルモン、神経伝達物質または神経調節物質の放出または摂取を増加させることまたは減少させること、蛋白質あるいはmRNAの遺伝子の転写、蛋白質の翻訳または蛋白質のリン酸化または細胞輸送を増加させることまたは減少させること、またはその他の脳細胞の活動あるいは構造活動に影響を与えることを含んでいても良い。
【0017】
刺激波形は、単一の治療中に一度または複数回、または一日、数日、数週、数ヶ月、数年あるいは主体の寿命の間継続する連続的治療養生法中に、主体、人間、動物またはその他の主体に提供されても良い。必要とされる治療の長さを決定することは、医療および/または研究の専門家の技能の内である。刺激波形はパルス状か連続的であっても良く、1つまたは複数の周波数とここに記載されるようなその他の特性を有することが本発明によって想定されている。例えば、特定の方法では、パルス状超音波刺激波形が、およそ10マイクロ秒の間、およそ25マイクロ秒の間、およそ50マイクロ秒の間、およそ100マイクロ秒の間、およそ250マイクロ秒の間、およそ500マイクロ秒の間、およそ1000マイクロ秒の間、およそ2000マイクロ秒の間、およそ3000マイクロ秒の間、およそ4000マイクロ秒の間、およそ5000マイクロ秒の間、およそ1秒の間、およそ2秒の間、およそ3秒の間、およそ4秒の間、およそ5秒の間、およそ6秒の間、およそ7秒の間、およそ8秒の間、およそ9秒の間、およそ10秒の間、送信されても良く、それからこの治療が、同じかまたは異なる長さの時間の間、一回以上繰り返されても良い。例えば、刺激波形は、数年の間または主体の寿命の間、およそ250マイクロ秒の持続時間で11秒毎に提供されても良い。
【0018】
図3は、一実施形態に従った、神経活動を調節するための例示的超音波波形200を描いたグラフ中の超音波を描いている。両方とも任意の単位で、横軸202は時間を表し、縦軸204は圧力を表す。調節する波形200は、パルス220a、パルス220b、パルス220cのような、1つ以上のパルスを含む。各パルスは、超音波周波数における1つ以上のサイクルを含む。例えば、パルス220aはヘルツでの周波数(f)の逆数に等しい秒での周期(τ)210(即ち、τ=1/f)をもった超音波周波数の5つのサイクルを含む。パルス中のサイクルの数は、パルス当りのサイクル(c/p)と表記される。パルス長222はPLと表記され、周期τとパルス当りのサイクルの数c/pの積、即ちPL=τ*c/pによって秒で与えられる。
【0019】
パルスは、
図3にパルス繰り返し時間230として示されている、パルス開始の間の時間と関係する休止期間によって分離されている。秒でのパルス繰り返し時間230の逆数は、ヘルツでのパルス繰り返しレートであり、それを超音波周波数fから区別するために、ここではパルス繰り返し周波数PRFと表記される。いくつかの実施形態では、パルス繰り返し周波数PRFは、波形200について定数である。いくつかの実施形態では、パルス繰り返し周波数PRFは、ランプ時間と呼ばれる時間間隔に渡って最小(PRFmin)から最大(PRFmax)まで増加する。例えば、いくつかの実施形態では、PRFは、ランプ時間=5秒に渡ってPRFmin=0からPRFmax=3000Hzまで増加する。その他の実施形態では、PRFは掃引されず、0.001KHzから900KHzまでの範囲にあっても良い。波形は、波形中の最後のパルスで終わる波形持続時間234の間継続する。波形中のパルスの数はNpと表記される。
【0020】
超音波の圧力振幅は、圧電素子、例えば鉛ジルコネートタイタネート(PZT)トランスデューサーまたはその他の圧電素子、を駆動するのに使われた電圧レンジに比例する。例えば、電圧レンジは、100ミリボルト(mV、1mV=10
−3ボルト)と50Vの間で選択されても良く、それは使われたトランスデューサーの感度と出力特性に応じて500mW/cm
2より少ない強度レベルに対応する。パルスは、ここでは単一の超音波周波数を有する正弦波であっても良いが、方形波、またはスパイク、またはランプ、またはビート周波数、高調波または建設的あるいは破壊的干渉技術によって生成された周波数の組み合わせ、あるいは前述したもののいくつかまたは全てからなる複数の超音波周波数を含んだパルスのような、その他の振動する形状が使われても良い。
【0021】
本発明は、脳構造の調節のための装置、そのような装置を使った方法、およびシステムからなり、それはそのような構造の活動の調節に結果としてなる。そのような装置、システム、および方法は、脳構造、細胞またはその他の組織に超音波を提供することからなる。本発明の装置と方法の例示的実施形態がここに提供される。方法は、例えば
1つ以上の低強度で低周波数の超音波および/または低強度の超音波、または1つ以上のその他の超音波強度または周波数のトランスデューサーの使用によって、主体に超音波を提供することからなる。例えば、超音波(US)トランスデューサーは、主体の外部表面に音響的に結合されることができ、または代替的に、USトランスデューサーはターゲット組織の音響的な実効レンジ中にあることができる。超音波トランスデューサーはそれから、例えばおよそ平方センチメートル当り100ワット(mW/cm
2)より下、およそ1W/cm
2より下、またはおよそ500mW/cm
2より下の強度で、組織、細胞または臓器中に刺激波形を形成するように駆動される。超音波波形は、1つまたは複数の周波数からなっていても良い。
【0022】
一実施形態では、超音波トランスデューサーを駆動することは、各パルスがおよそ10000マイクロ秒(μs)より少ない持続時間のものであり、複数のパルスを含んだ圧力変動波形または刺激波形を形成するように超音波トランスデューサーを駆動することからなる。パルス持続時間は、特定の方法または装置に応じて可変であっても良く、およそ100から10000マイクロ秒のような、およそ10秒以下の持続時間を有していても良い。超音波トランスデューサーを駆動することは、およそ10秒(s)より少ない波形持続時間内に複数のパルスをもった圧力変動波形または刺激波形を形成するように超音波トランスデューサーを駆動することからなっていても良い。これは、1つの刺激波形のみからなり、この波形は、ほぼ無限の回数繰り返されても良い。ここで使われるように、圧力変動波形と刺激波形は交換可能に使われる。
【0023】
超音波トランスデューサーを駆動することは、およそ0.20MHzより上の周波数において刺激波形を形成するように超音波トランスデューサーを駆動することからなっていても良い。波形は、正弦、方形、鋸歯、三角形、ランプおよびスパイクを含むがそれらに限定はされない、任意であるかないかの1つ以上の既知の波形であっても良い。超音波は、主体中または上の特定のサイトにおける作用を提供するようにフォーカスされていても良く、または1つより多くのサイトにフォーカスされていても良く、または波はフォーカスされておらず複数のサイトにおいて作用を提供しても良い。波は、望まれる応用に応じて、連続的またはパルス状であっても良い。周波数または強度は、治療期間を通して均一であっても良く、または1つの数から別のものに交番または掃引して元の数に戻っても良い。当業者は、望まれる応用のためにそのようなパラメータを決定することができる。例がここに開示される。
【0024】
UNMOD刺激の音響周波数および強度特性が、脳活動へのその中核的効果の基礎となる。音響周波数、強度および送信モードの幅広いレンジが、ニューロン活動の可変な励起および抑制を作り出すのに使われてきた。ニューロン活動を操作するのに使われた音響周波数は、0.25MHz(Tufail et al., 2010)から7.0MHz(Mihran et al., 1990b)までの範囲にある。USのより低い周波数は、より高い周波数よりもより長い波長とより低い空間的解像度を有する一方、USを使って健全な脳回路を刺激するための音響周波数<1MHzは有用なレンジである。US<0.7MHzは、USの経頭蓋送信と脳吸収の間の最適なゲインが観察されている周波数レンジを表す(Hayner and Hynynen, 2001, White et al., 2006a, b)。マウスでは、健全な脳回路活動を誘起するための最適な波形は、0.25と0.50MHzの間の範囲にある音響周波数からなる(Tufail et al., 2010)。これらのレンジについては、UNMODのために0.2と0.7MHzの間の中心周波数を有する広帯域トランスデューサーを実装することが有用である。トランスデューサーから脳中に音響エネルギーを送信する時の音響インピーダンスミスマッチを最小化するためにUSゲルで皮膚に結合された液浸型(水とマッチした)トランスデューサーの使用もまた、本発明によって想定されている。
【0025】
音響周波数とトランスデューサー特性に加えて、送信のモード(連続波対パルス波)とパルスプロファイル(パルス当りのサイクルcp;パルス繰り返し周波数PRF;およびパルスの数np)のようなその他の波形変数が、あらゆる与えられたUS刺激波形の強度特性に影響を与えても良い。当業者は、刺激波形のための強度プロファイルを決定することができる。生体外研究(Tyler et al., 2008)では、高パルス強度積分(P//;約 4.0 J/cm
2)を有するUSパルスからなる刺激波形が使われ、それは長い持続時間(約 5 sec)の間遅いPRFs(約 50 Hz)で繰り返された。生体内の脳活動の刺激は、その他のUS波形を使用しても良い。例えば、低いP//(< 0.1 mJ/cm
2)を有するUSパルスから構築され、短い持続時間(< 0.4 sec)の間高いPRFs(1.0-0.3 KHz)で繰り返された刺激波形は、生体内で正常な脳回路活動を刺激するために効果的であった(Tufail et al., 2010)。これら2つの異なるUSパルス化戦略(生体外刺激のための低PRFをもった高P//対生体内のための高PRFをもった低P//)は、脳活動をトリガーするための最適なUS波形を示し、30と300mW/cm
2の間の範囲中の低い時間的平均強度値を有する。
【0026】
ここに記載された一般的なパルス化戦略に加えて、連続波(CW)モードで送信されたUSは、脳活動に影響を与えることが可能であり、パルス状USと比較して異なる効果と時間経過を示し得る。パルス状USの短いバーストは、ニューロン活動の束の間(数10ミリ秒)の期間を刺激することができ、5秒間CWモードで配送されたUS刺激は、正常なマウスに>20秒続く発作活動を誘発することができ、癇癪症のマウス中のカイニン酸誘発された電位記録法的発作活動を断絶させることができる。パルス状USの繰り返された短いバーストは、癲癇症のマウス中の発作活動を弱めることができ、UNMODが異常活動を断絶するための一般的な干渉源であり得ることを示す。脳活動パターン上へのUS刺激の影響は、刺激振幅、持続時間および時間的周波数、並びに刺激が続く時の脳の初期状態に依存し得る。あらゆる特定のUNMOD刺激波形または送信アプローチの実装は、捜し求められた結果に依存し得る。
【0027】
ここに開示されるのは、脳刺激を達成するために皮膚と頭蓋骨に跨ってUSを配送するためのいくつかの方法である。例えば、本発明の一側面は、幅広い、非特定の脳領域を刺激するためのフォーカスされていないUSの使用からなる。単一素子の平面状USトランスデューサーでの非特定の脳刺激方法は、望まれる結果に応じて有用であることができる。例えば、平面状トランスデューサーから送信されたフォーカスされていないUSは、癲癇症を患っているかあるいは重症または軽症の外傷性脳損傷を含んだ様々なその他の脳疾患を治療するためにマウスの発作活動を素早く終了させ得る。
【0028】
トランスデューサーから脳中へのUSの送信は、音響ゲルがトランスデューサーを頭部に結合しているポイントにおいて起こり得る。トランスデューサー面の加熱と損害を防止するためにトランスデューサーの全面を音響ゲルで覆っても良い。代替的に、小さなゲル接触ポイントを通してトランスデューサーを頭部に結合することは、制限された脳領域中にUSを送信するための物理的な方法であり得る。脳中に送信されたUSの空間的エンベロープは、音響コリメーターを使うことによって横方向に制限されても良い。音響コリメーターの使用は、ターゲットにしたやり方で制限された脳領域を刺激することを許容する。単一素子のフォーカスされたトランスデューサーが、空間的に制限された音圧場を脳に配送するために使われても良い。そのような単一素子のフォーカスされたトランスデューサーは、トランスデューサーのサイズと中心周波数に応じて様々な焦点距離を有して製造されることができる。発明の一側面は、単一素子トランスデューサーからかまたは下記のようなフェーズドアレイから経頭蓋パルス状超音波を脳中に配送するために空気結合されたトランスデューサーを使用することからなる。いくつかの側面では、脳調整インターフェースのデザイン中でトランスデューサーを皮膚および/または頭蓋骨に音響的に結合するために、ゲル充填パッドまたはその他の液体充填嚢が使われても良い。
【0029】
フォーカスする方法は、USを頭蓋骨を通して特定の脳領域にフォーカスするためにフェーズドアレイで動作している複数のトランスデューサーの使用を伴っても良い。USは、フェーズドトランスデューサーアレイを使って人間の頭蓋骨を通してフォーカスされることができる。USをフォーカスするための空間的解像度は、採用された音響効果または波長によって現在は制限されているが、適応的光学機器でUSをフォーカスすることの最近の進歩(Zhang et al., 2009)は、光学的顕微鏡で最近達成されたものと同様に、USが回折限界より下の空間的解像度を獲得することを許容する(Abbott, 2009)。USは、DBS電極によって達成されたものと同様の空間的解像度を与えても良い。ここに記載された方法のいくつかの側面は、ハイパーレンズ、メタ材料、および非線形レンズをもった音響ブレットを使ったサブ回折方法の使用を想定する。
【0030】
1つ以上のUSトランスデューサーが、1つ以上のアレイでのように、個別的にまたは複数で機能しても良い。
図8A−Fは、フェーズドアレイトランスデューサーの例示的配置を描いている。
図8Aは、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)のような圧電材料から作られた、フェーズドアレイトランスデューサーの特定の配置を示す。より暗いエリアは、フェーズドアレイの活性領域を表す。
図8Bは、24個の素子を含んだ異なるフェーズドアレイ配置を示す。異なるフェーズドアレイ配置は、異なる数の素子を含んでいても良く、そのいずれもが本発明の超音波装置で使われることができる。例えば、意図された使用とターゲットにされるべき意図された脳構造に応じて、本発明の超音波装置は、
図8Aまたは8Bのもののような円形アレイを有していても良く、あるいは
図8Cまたは8Eのもののような長方形パターンに配列されたアレイを有していても良く、または
図8Dでのように両方を有していても良い。圧電材料は、平坦であるかあるいは凹状または凸状の向きに湾曲していることができる。
【0031】
本発明の超音波装置は、あらゆる望ましい幾何学的形状かあるいは、1つ以上の脳領域または構造中にフォーカスされたかまたはフォーカスされていない超音波場を生成するのに必要な配置にある、彎曲した、凹状の、凸状の、または平坦なフェーズドアレイのあらゆる組み合わせを使用しても良い。フェーズドアレイは、本発明の超音波装置の本体上または中に静的に載置されても良く、あるいは1つ以上のトランスデューサーまたは1つ以上のアレイの形状および/または位置を変更するためのピエゾアクチュエータまたはその他の運動制御装置を有していても良い。そのような動き制御は、超音波場をフォーカスするための調整または変更を許容する。そのような調整または変更は、主体装着者から受け取ったフィードバック情報に応答してなされても、あるいは遠隔制御サイトのようなその他のコントローラによってなされても良い。
図8Fは、複数のフェーズドアレイからなる本発明の超音波装置を描いており、そこでは2つのアレイが円形の配置にあり、2つのアレイが長方形の配置にある。
【0032】
装置または方法のその他の側面では、回折限界より下の超音波のフォーカシングと空間的解像度を達成するために、音響ハイパーレンズまたはメタ材料が使われても良い。音響ハイパーレンズからなる本発明の超音波装置の描写を示す
図10を参照。本発明のために超音波を提供するためのシステム、方法および装置は、光または音を曲げ、波をフォーカスすることができる材料からなっていても良い。そのような材料は、スーパーレンズまたはメタ材料とも呼ばれる、ハイパーレンズを作るのに使われている。そのような材料、スーパーレンズおよびその他の同様なコンポーネンツは、本発明の方法と装置において超音波をフォーカスするのに使われても良い。例えば、あらゆるタイプのトランスデューサーが、ハイパーレンズまたはメタ材料のようなフォーカシングエレメントとの関係で、脳活動を調節するのに使われる超音波をフォーカスするために使われる。そのような材料は、光を後ろ向きに屈折させる、あるいは負の屈折率を有することができる。音響メタ材料は、コリメーション、フォーカシング、クローキング、ソニックスクリーニングおよび異常送信を含むがそれらに限定はされない、多くのやり方で音波を操作することができる。ハイパーレンズの例は、その全体がここに組み込まれるLi et al., Nature Materials, DOI:10:1038, NMAT2561, p.1-4, 25 October 2009, に教示されるような非共鳴的で放射状に対称な層化構造からなる。
【0033】
ここで使われるように、人間または動物の主体に超音波を配送することが可能な本発明の装置は、超音波装置または脳調整インターフェース(BRI)と呼ばれても良く、そのような用語は交換可能に使われる。一般的に、超音波装置は、主体の頭部上に装着されても良く、装置は、主体の脳の一部に超音波を提供するための少なくとも1つの超音波トランスデューサーからなる。ここでの超音波を提供する方法は、頭蓋骨の除去が提供された超音波量上に有するであろう効果のための許容値をもって、露出された脳組織上で使われても良い。
【0034】
本発明の装置は、身体部分に取り外し可能に取り付けられているかまたは隣接していても良い、頭部のような、主体の身体と音響的に接続された構造からなる。いくつかの実施形態では、トランスデューサーは、脳を含んだ神経系によって処理された様々な体性感覚体験を刺激するための空気または水とマッチしたトランスデューサーを使って、両手または両足のような付属器官の皮膚に結合されることができる。構造は、超音波エミッター、トランスデューサーまたは圧電トランスデューサー、ピエゾ複合材料トランスデューサー、ピエゾポリマー、およびCMUTsを含むがそれらに限定はされない、超音波を提供するためのエレメンツ、1つの超音波トランスデューサー、からなっていても良い。
【0035】
本発明の装置は、少なくとも本体と、1つかまたは複数の超音波を生成するためのコンポーネンツからなる。装置の本体は、その他のヘッドギア中に挿入可能なシャーシであっても良く、あるいは本体は、帽子、ヘッドバンド、ヘルメット、保護的頭部被覆、フード、引き延ばし可能な材料、頭部上に括り付けることができるスカーフと同様の柔軟な材料、または音波を生成するためのコンポーネンツおよび/またはその他のコンポーネンツを保持するように適応されていても良いその他のヘッドギアであっても良い。簡単のために、装置の本体はここではシャーシとしてかまたはヘルメットとして呼ばれるが、その言及は発明の制限となることを意味していない。シャーシは一般的に、その他のヘッドギアと物理的に組み合わせることができる装置の本体を指す。本発明の方法は、脳に超音波波形を提供するために、頭蓋骨と頭皮の皮膚の下にボルト締めされたような、主体の頭部に固定された超音波トランスデューサーまたはその他のコンポーネンツの使用からなっていても良い。装置のコンポーネンツの1つ以上または全ては、装置の本体内に保持されていても、主体の頭蓋骨または頭皮に固定されていても、または別のエレメントとして提供されていても良い。別のエレメントは、主体の身体と頭部の間に提供されていても良く、あるいは装置の本体の外部であっても良い。
【0036】
本発明の装置は、主体によって装着された時に少なくとも主体の頭部および/または頭皮の一部を被覆する本体と、複数のコンポーネンツからなり、そこでは少なくとも1つのコンポーネントが超音波コンポーネントである、主体によって装着可能であり、少なくとも主体の脳に超音波を提供するために使われる装置からなる。ここで使われる頭部は、首領域と、少なくとも背骨の頂部の最後の2つの脊椎骨、頭蓋骨と顎骨、耳、および特に脳上および内に存する組織を含んだ、肩甲骨の頂部からの領域からなる。頭皮はこの領域内に含まれており、顔毛を含まない、毛髪が成長するかまたは禿げていない人に毛髪を見つけることができる頭部のエリアを指す。頭皮が言及された時には、それは、額からの、耳の後ろの、および顔の背部のヘアラインまでの、頭部の領域を指す。
【0037】
図1Aは、一実施形態に従った、脳活動を調節するための例示的システムを描いている図であり、そこでは装置は、主体の頭部上に装着されるヘルメットかまたは頭部被覆からなる。ヘルメット部分は、顎ストラップかあるいはヘルメットまたは帽子を頭部上に保持するのに使われるその他のコンポーネンツのような、取り付けコンポーネンツによって頭部に取り付けられていることが想定されている。装置は外部ソースにワイヤによって接続されていないことが想定されているが、例えば、情報をダウンロードするか、または移動エネルギーソースを充電するか、または装置にエネルギーを提供するために、もし必要があればそのような実施形態が採用されても良い。
【0038】
本発明のシステムと装置の動作を描写するために、本発明の超音波装置を装着している頭部が描かれている。しかしながら、システムまたは装置は、頭部またはその外部表面を含まない。システムまたは装置は、そのいくつかが示されている超音波トランスデューサーのような超音波を生成するためのコンポーネンツと、示されていないコントローラからなる。コントローラは、ヘルメット部分内であっても、主体の身体上の別のサイトにおいて位置していても良く、または外科手術的に移植されたコントローラのように主体の身体上または内の別のサイトにおいて位置していても良く、またはパックまたはポケットで運搬されても良く、または遠隔で主体の身体に取り付けられていなくても良い。コントローラは、トランスデューサーに内蔵されていても良い。コントローラは、1つ以上のトランスデューサーに駆動電圧とパルスパターンを提供しても良く、または遠隔またはローカルコンポーネントから情報を受け取り、その情報を使って1つ以上のトランスデューサーを駆動しても良い。いくつかの側面では、トランスデューサーは、放出するトランスデューサー、受信および送信するトランスデューサー、または受信するトランスデューサーであっても良い。超音波トランスデューサーは、波形とパワーを受け取るためのコントローラに接続されており、トランスデューサーはコントローラによって駆動される。トランスデューサーは、脳中に音響エネルギーを導入するために脳に音響的に結合されている。例えば、音響的結合は、空気、水、ゲルまたはその他の音響伝送基板を使って達成されても良い。そのような基板は、超音波トランスデューサー中に組み込まれていても良く、またはトランスデューサーと主体の頭皮の間に設けられた別の容器中に提供されても良く、または主体の頭皮にゲルを直接施すことによってのように主体の頭皮に直接施されていても良い。トランスデューサーは、脳を含んだ神経系によって処理される、体性感覚体験の刺激を提供するために、頭部以外の身体部分に結合されていても良い。周辺的に印加されるが、痛み、機械的感覚、および熱的感覚のような体性感覚体験を提供するために身体に結合された超音波トランスデューサーは、或る回路における脳の活動を調節する。そのような実施形態および装置は従って、トランスデューサーの結合が周辺組織上で起こり得るが、脳調整インターフェースと集合的に呼ばれる。トランスデューサーは、図面中で主体の脳に入る波線として示されるもののように、超音波周波数の音響ビームまたは波を放出するために、受け取った波形とパワーを使う。コントローラは、トランスデューサーによって脳中に放出されるべき波形を決定する、波形形成のためのプロセスからなっていても良い。例えば、コントローラは、トランスデューサーが超音波波形を脳に配送することができるように圧電トランスデューサーに駆動電圧を提供するための電気的回路からなっていても良い。いくつかの側面では、トランスデューサーはバッテリー駆動されており、コントローラからは波形情報のみを受け取る。
【0039】
描写の目的で特定の数のトランスデューサーとコントローラが
図1に描かれているが、その他の側面では、より多くかまたはより少ないかまたは同数のトランスデューサーが含まれ、コントローラは、各々が、波形形成プロセスを含んだ、コントローラの異なるかまたは冗長な機能を行う1つ以上の装置によって置き換えられても良い。コントローラとトランスデューサーは、お互いと独立して動作しても良く、またはフェーズドアレイデザインでのようにお互いとの関係で動作しても良い。トランスデューサーにパワーと波形を送るためのトランスデューサーとコントローラの間の接続は、有線であっても良く、またはその他の実施形態では、1つ以上の接続は無線であっても良く、または複数のトランスデューサーのためのパワーまたは波形を搬送しても良い。
【0040】
トランスデューサーは各々、脳中に音響ビームを送信しても良く、ビームのいくつかは交差しても良い。いくつかの側面では、ビーム中で送信された波形は、ビームが神経組織と交差するところ全てで脳活動を調節するのに実効的である。いくつかの側面では、ビーム中で送信された波形は、別のビームとの交差領域中でのみ実効的、またはより実効的である。いくつかの側面では、送信された波形は、交差するビーム中の波形の間の建設的および破壊的干渉の干渉パターンに応じて、交差領域の一部のみで実効的である。いくつかの側面では、2つ以上の超音波ビームが、構造化された超音波パターンを作り出すためにお互いとかまたは脳の外側のメタ材料のようなその他の材料と交差しても良く、それはそれから脳の1つ以上の領域を活性化するかまたは抑制するために脳中に送信される。
【0041】
音響ビームの強度は、単位時間当たりにビームと垂直な平面上に突き当たるエネルギーの量割る平面上のビームの面積で与えられ、単位面積当りの単位時間当たりのエネルギー、即ち単位面積当りのパワー密度、例えば平方センチメートル当りのワット(W/cm
2)、で与えられる。これは、空間的ピークの時間的平均強度(Ispta)であり、ここでは強度のために常用される。いくつかの側面では、脳組織のサイトにおけるIsptaは500mW/cm
2よりも少ない。発明のいくつかの側面では、脳組織のサイトにおけるIsptaは100W/cm
2よりも少ない。当該技術で広く使われる強度の別の定義は、空間的ピークのパルス平均強度(Isppa)であり、複数サイクルのパルスについては、Isppaは10W/cm
2よりも少ない。
【0042】
当該技術で既知のあらゆる超音波トランスデューサーが、装置のヘルメットコンポーネント中に組み込まれるかまたは主体の頭蓋骨にボルト締めされて、脳中に音響ビームを送信するのに使われても良い。例えば、Olympus NDT/Panametrics 0.5MHz中心周波数トランスデューサーや、Ulran 0.5および0.35MHz中心周波数トランスデューサーが、本発明の装置中で使われても良い。超音波トランスデューサーは、ピエゾポリマー、ピエゾセラミクス、ピエゾ複合材料、または電圧に応答するあらゆるその他の圧電材料を含む、当業者に既知の圧電材料のあらゆる単体または組み合わせからなっていても良い。いくつかの側面では、容量性のマイクロマシン加工された超音波トランスデューサー(CMUT)技術が使われても良い。例えば、CMUTsは、適応的ビーム形成およびフォーカシングを快適に許容する柔軟なアレイデザイン中に配列されても良い。例えば、CMUTsは、脳に超音波を送信するためのヘルメット領域の内側表面上に載置されても良い。CMUTsは、様々な脳領域に超音波を送信するために、ヘルメット材料内かまたはヘルメットの外部に載置されても良い。一側面では、CMUTsは、脳に超音波波形を送信するために、皮膚表面を通してかまたは皮膚表面の下で主体の頭蓋骨に直接載置されても良い。一側面では、その他の圧電材料がCMUTsの代りに同様のやり方で使われることができる。例えば、PVDFまたはピエゾ複合材料またはその他のピエゾポリマーが、脳に超音波波形を送信するために、皮膚を通してかまたは皮膚表面の下で主体の頭蓋骨に直接載置されることができる。いくつかの側面では、PVDF、ピエゾ複合材料またはピエゾポリマーが、適応的ビーム形成およびフォーカシングを快適に許容する柔軟なアレイデザイン中に配列されても良い。発明の一側面は、主体に物理的に取り付けられた超音波トランスデューサーまたはその他のコンポーネンツとの組み合わせで使われた本発明の装置中の超音波トランスデューサーまたはその他のコンポーネンツの使用からなり、そこでは装置コンポーネンツと物理的に取り付けられたコンポーネンツの両方が、脳活動調節のための方法を提供するのに使われる。
【0043】
当該技術で既知のあらゆる装置が、コントローラまたはマイクロコントローラとして使われても良い。例えば、波形は、Agilent 33220A 機能発生器(Agilent Technologies, Inc., Santa Clara, California, USA) を使って生成されて、ENI 240L RF 増幅器を使って増幅されても良い。いくつかの波形中のパルスは、第二のAgilent 33220A 機能発生器を使ってトリガーされても良い。上記の装置を制御するデータは、ソフトウェア命令と共に汎用コンピューターを使って波形形成プロセスによって生成されても良い。システムまたは装置はいくつかのトランスデューサーおよび対応するビームと共に描かれているが、より多くかまたはより少ないトランスデューサーまたはビームまたはその両方が、望ましい効果を作り出すためにシステムまたは装置中に含まれても良い。
【0044】
図1B−Eは、本発明の例示的実施形態におけるトランスデューサーの配置を描いている。
図1Bは、ヘルメットコンポーネント全体を通して置かれたトランスデューサーをもった本発明の超音波装置の断面を示す。
図1Cは、保護的ヘルメットのようなヘッドギア内に取り外し可能に載置されても良いシャーシ型実施形態を示す。ヘルメットコンポーネンツの例は、軍用防弾ヘルメット、消防士ヘルメット、宇宙飛行士へルメット、自転車ヘルメット、スポーツ保護的ヘルメット、および戦闘機パイロットヘルメットを含む。シャーシは、シャーシ本体に固定されたトランスデューサーからなり、載置ストラップのようなシャーシをヘルメットに取り付けるためのコンポーネンツと、サスペンションシステムから更になっていても良い。シャーシはそれから、超音波が主体の脳に印加されることができるように、ヘルメット中に挿入され、主体によって装着されることができる。シャーシはそれから、ヘルメットから取り外され、同じかまたは異なるヘルメット中に置かれることができる。
図1Dと1Eは、それぞれヘルメット中へのシャーシの挿入と、主体上のシャーシをもったヘルメットを示す。
【0045】
本発明のシステムと装置は、超音波を提供するためのもの以外のコンポーネンツからなっていても良く、それはここで集合的にその他のコンポーネンツと呼ばれても良い。例えば、光波または電磁気エネルギーが、本発明の装置を使って脳に提供されても良い。
図2は、脳に電磁気エネルギーを提供するコンポーネンツのような、その他のコンポーネンツからなる本発明の超音波装置の例示的実施形態を示す。そのような装置は、磁気的放射を使って脳の活動を刺激するかまたは抑制するために、あるいは超音波の前に、または超音波の後に、または超音波の配送中に同時に、磁気的エネルギーを配送することによって、脳活動を変化させるのに超音波をより多くまたはより少なく実効的にするために、使われても良い。
【0046】
図4は、装置がそれらからなっていても良い様々なその他のコンポーネンツを描いている。情報が、本発明の超音波装置にまたはから送られても良く、プロセッサまたはマイクロプロセッサとマイクロコントローラ、コンピューターインターフェースコンポーネンツ、コンピューターとソフトウェアが、そのような情報の転送中に実装されても良い。本発明の装置は、心拍数、血圧、ヘモグロビンの酸素内容量のような血液酸素付加レベル、ホルモンレベル、またはEEG、MEG、IRレーザーおよびPAT、またはfNIRSを含むがそれらに限定はされない検出方法による脳活動のような、生理学的状態指標を測定または検出するためのコンポーネンツからなっていても良い。本発明の装置は、GPSのような地理的または大域的位置、または装置とその装着者の位置のその他のナビゲーション的検出のためのコンポーネンツからなっていても良い。情報とコマンドが、集中化されたコンピューティングクラスターのような遠隔コマンドセンターにおよびから送信されても良く、そこでは遠隔コマンドセンターは、装置がそれらからなるその他のコンポーネンツの1つ以上を制御することができる。情報およびコマンドは、主体がアクセスし、よって装置のコンポーネンツを制御することができる、PDAまたは携帯電話のような、スクリーンまたはその他の情報デバイスからなる携帯型遠隔コマンドセンターにおよびから送信されても良い。通信は、RF、WIFI、WiMax、Bluetooth(登録商標)、UHF/VHF、GSM(登録商標)、CDMA、LAN、WANまたはTCP/IPを含むがそれらに限定はされない当該技術で既知の方法を使って、オンボードか遠隔的に位置した装置とコントローラでなされても良い。
図5は、超音波トランスデューサーと、マイクロプロセッサ/マイクロコントローラと、遠隔コマンドセンターにおよびから情報と制御を送信するためのCOMデバイスを含んだコンポーネンツからなる装置を描いており、その全ては装置のヘルメット部分、本体によって内包されている。
【0047】
図6は、位置的またはグローバルポジショニングコンポーネンツからなる例示的超音波装置を描いている。例えば、マイクロプロセッサが、GPSユニットから情報を受け取る。GPSデータは、超音波装置中に一体化されたマイクロプロセッサによって処理されても良い。この情報は、脳構造、例えば前庭系の1つ以上のセクションを刺激するため、および/または前庭性眼反射を調節するために、超音波を生成するための超音波トランスデューサーを起動するのに使われる。これは、例えば主体装着者の身体向きまたは位置の変化を引き起こすことによって、ユーザのナビゲーションにおける補助をする。超音波装置のGPSコンポーネントは、装置を装着している主体と遠隔コマンドセンターの位置をつきとめ、追跡し、それらにナビゲーション的サポートを提供するために使われることができる。GPSコンポーネントは、装置を装着している主体の位置をつきとめるかまたは追跡するのに使われても良い。
【0048】
図7は、移動可能または回転可能な超音波トランスデューサーのような、移動可能または回転可能なコンポーネンツを有する例示的装置を描いている。超音波場は、1−、2−、3−空間軸運動コントローラ上に載置されたトランスデューサーを使うことによって、手動的にまたは自動的に調整され、局所的にまたは遠隔的にのどちらかで制御されても良い。脳中に送信された超音波の方向は、調節されても、フォーカスされても、または脳への超音波の掃引アクションを提供しても良い。信号が、載置されたトランスデューサーの位置を一回以上変更するために運動コントローラに送られても良く、またはトランスデューサーのための一定の動き(掃引)を提供しても良い。
図7はまた、脳活動のためのセンサーのようなその他のコンポーネンツを描いている。
【0049】
本発明は、脳構造中の活動を調節するためのシステムからなる。例えば、脳構造中の活動を調節するためのシステムは、少なくとも1つの超音波トランスデューサーのためのサポートと、少なくとも1つのトランスデューサーと、少なくとも1つの超音波コンポーネントのための命令からなっていても良い。例えば、サポートは、超音波トランスデューサーのようなコンポーネンツを内包する本体またはエレメントであっても良い。命令は、望ましい周波数、強度または波形で超音波を提供するために超音波トランスデューサーを駆動しているマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラからのコマンドからなっていても良い。
【0050】
本発明のために超音波を提供するためのシステムと装置は、光または音を曲げて、波をフォーカスすることができる材料を有するヘルメットからなっていても良い。スーパーレンズ、ハイパーレンズまたはメタ材料、およびその他の同様のコンポーネンツを含むがそれらに限定はされないそのような材料は、本発明の方法と装置において超音波をフォーカスするのに使われても良い。例えば、音響ハイパーレンズ、スーパーレンズまたはメタ材料のようなフォーカシングエレメントとの関係で、あらゆるタイプのトランスデューサーが、回折限界より下の超音波をフォーカスするために使われ、脳活動を調節するために脳中の1つ以上のサイトに提供される。そのような材料は、光または音を後ろ向きに屈折する、または負の屈折率を有することができ、「メタ材料」と呼ばれている。メタ材料のようなフォーカシングエレメントは、超音波を1つ以上の脳領域にフォーカスするかまたは向けるために、1つ以上のトランスデューサーおよび/またはトランスデューサーのフェーズドアレイとの関係で使われても良い。
【0051】
本発明の超音波装置は、意図されたアプリケーションに応じて異なる材料で構築されても良い。例えば、超音波装置が個人保護ヘルメットからなるいくつかの側面では、そのようなヘルメットの構築に使われる材料は、鋳造されたポリカーボネートプラスチック(即ち、GE Lexan)、カーボンファイバー複合材料、および/またはABSプラスチックを含んでいても良い。その他の側面では、超音波装置は、戦闘、戦術、軍事、および/または国家保安要員のための防弾ヘルメットからなっていても良い。そのようなヘルメットの構築に使われる材料は、カーボンファイバーで補強された熱複合材料プラスチック(ハイブリッド熱可塑性材料)、DuPont Kevlar、DuPont Mark III、Honeywell Spectra、DSM Dyneema、アラミド/ポリビニルブチラルフェノール結合体、熱可塑性ポリエレタン、硫化ポリフェニレン、ポリプロピレン、および/またはポリエチレンを含んでいても良い。超音波装置が医療介入または治療のために使われるいくつかの側面では、ヘッドギア部分は、あらゆるプラスチックまたは複合材料で構築されても良く、アルミニウム、チタン、鋼鉄、およびセラミック金属複合材料のような金属で作られるかまたはそれらを含んでいても良い。超音波装置のいくつかの側面、例えば、ビデオゲーム/娯楽、航空機/宇宙飛行ヘルメット、および/または通信アプリケーションからなる方法で使われるものは、あらゆる好適な材料を使って構築されても良い。装置は、限定はされないがナイロン、ビニール、皮革、プラチナ、銅、銀、金、錫、ニッケル、およびDelrinのようなポリマーベースのプラスチックのような、天然および/または合成原材料のようなその他の材料からなっていても良い。本発明の超音波装置はまた、超音波装置の実施形態と意図された用途に応じて、発光ダイオード(LEDs)、有機発光ダイオード(OLEDs)、レーザーダイオード、磁気コイル、および/またはエポキシからなっていても良い。ヘルメットのようなヘッドギアを構築する材料と方法は、当業者には周知である。
【0052】
本発明は、ここでは脳外傷と呼ばれても良い外傷性脳損傷(TBI)を治療または緩和するための装置と方法からなる。TBIは、戦闘損傷、スポーツからの脳への外傷、または自動車衝突または転落のような事故から結果としてなる外傷のような、TBIを引き起こすことができる1つまたはいくつかの活動から結果としてなり得る。いくつかの脳損傷が直ちに明らかな物理的効果を有する一方で、戦闘または爆発損傷またはスポーツ関連損傷に起因する軽い震盪と関連付けられたいくつかのTBIイベントは、最初は軽微であるが時間と共に発展し得る。初期脳損傷に続いて、二次的損傷が脳全体を通して広がり得て、細胞死、興奮毒性、および二次的損傷から起こるその他のイベントから生じてくる、重症の精神的、認知的、知覚的、感情的および生理的損傷に繋がることができる。二次的損傷は、一次的損傷に続いて数時間から数日も数ヶ月も続き得る。
【0053】
本発明の方法と装置は、TBIに続く二次的損傷の有害な帰結を削減し、強化された回復を提供し、遅延された損傷中に引き起こされた損害を最小化する。本発明の方法と装置は、軍事または戦闘要員または関係する一般人死傷者における銃弾または爆発損傷から結果としてなるTBIまたはその他の脳損傷に起因する一次的および二次的損傷を削減、最小化、および/または排除する。超音波を提供する本発明の装置は、自動車、自転車またはスケートボード事故、アメリカンフットボール、ラクロス、サッカー、ラグビーまたはホッケーにおいて一般的に見つけられるもののようなスポーツ関連の震盪性損傷のような、事故による頭部外傷から結果としてなるTBIまたはその他の脳損傷に起因する一次的および二次的損傷を治療、改善、削減、最小化および/または排除するのに使われても良い。装置は、軍事要員またはスポーツ参加者によって一般的に装着されるヘルメットのような個人保護的ヘッドギアからなっていても良く、または医師および/またはEMTのような救急要員によって処方されるべき医療装置として提供されても良い。本発明の方法は、外傷を受けている脳領域、または外傷からの二次的損傷を有するか有し得る周囲または遠隔の脳領域に、超音波の実効的な量を提供することによって、脳への外傷の効果を治療または改善することからなり、前記超音波は、本発明の超音波装置によって提供されても良い。
【0054】
TBIを治療するのに有用な本発明の装置は、脳血管ダイナミクス(血管拡張/血管収縮)を調整すること、ニューロン回路(生体電気)活動の直接調節(抑制)、ニューロン回路活動の直接励起、細胞内カルシウム濃度のバッファリングを調節すること、および/または脳由来の神経栄養因子のような神経栄養因子の合成および/または放出を増加することによって、脳機能を調節し神経保護を提供し得る、25KHzから50MHzの範囲にある周波数と0.025から250W/cm
2の範囲にある強度を有するフォーカスされたおよび/またはフォーカスされていない超音波を提供しても良い。装置は、危険関連活動に従事している間、人間または動物のような主体の頭部に提供されても良く、または必要なだけ長く、例えば初期損傷に続いて500msecから数年まで、主体に提供されても良い。発明の一側面は、自動車事故に応答することのような迅速な応答状況において、または脳への二次的損傷を削減するための頭部への力の入射後の主体の評価中に、本発明の超音波装置を使用することからなる。使用においては、装置は、圧力/力センサーによって検出された震盪性打撃のような外部イベントに応答して自動的に起動されても良く、または主体との直接接触かまたは遠隔起動によってのどちらかで、装置を装着している主体によってかまたはその他の適切な人員によって起動されても良い。装置は、装置装着者の頭部に衝撃を与えている力イベントを検出するための圧力/力トランスデューサーまたはセンサーからなっていても良い。圧力/力トランスデューサーまたはセンサーは、脳への後続する二次的損傷を最小化するために装置装着者に超音波を提供するために少なくとも1つの超音波トランスデューサーを起動するのに必要とされるステップのシーケンスを始動するために、装置内に内包されているか遠隔サイトにあるかのどちらかの、コントローラまたはマイクロプロセッサと通信しても良い。装置は、取り付けられた装置をもった損傷を受けた主体の大域的位置を通信するためのGPSトランシーバーのようなグローバルポジショニング能力からなっていても良く、それは医療要員が損傷を受けた主体の位置をつきとめるのを補助するであろう。
【0055】
本発明は、経頭蓋パルス状超音波を使って深部または表層の脳回路における正常な脳波活動パターンを刺激するための方法からなる。本発明は、例えば、鋭波さざ波振動、あるいはガンマ、ベータ、シータ、またはアルファを含んだあらゆるその他の周波数帯域中の活動を刺激することによって、経頭蓋パルス状超音波を使って学習や記憶のような認知プロセスを調節することからなる。いかなる特定の理論によっても束縛されることを望んでいないが、鋭波さざ波振動が記憶固定の基礎をなすと信じられている。パルス状経頭蓋超音波方法は、BDNF信号伝達および、例えば、シナプス可塑性および学習の基礎をなすその他の細胞カスケード仲介プロセスを調節するのに使われても良い。そのような方法は、1つ以上の脳領域への1回以上の超音波の印加からなっていても良い。方法は、脳エリアに影響を与えて望ましい結果に達するのに必要なだけ、脳への超音波の連続的なまたは一定間隔での処方からなる。そのような方法がここに開示される。
【0056】
本発明は、1つ以上の健全な脳回路を刺激するための経頭蓋パルス状USを使用する方法からなり、そこではそのような方法は外因栄養素または手術を要求しない。US刺激波形(
図5D)に応答する<0.01℃の温度上昇のため、発明の一側面は、支配的に非熱的(機械的)なアクションのメカニズムからなる。いかなる特定の理論によっても束縛されることを望んでいないが、USの非熱的アクションは、USがニューロンの細胞環境上にそれらの静止膜電位を調節するために流体力学的効果を作り出すところのキャビテーション、例えば、放射線力、音響ストリーミング、衝撃波、および緊張神経調節、の見地から理解されると思われている。ニューロン可励起性に影響を与えている電位開口型ナトリウム、カリウム、およびカルシウムチャネルの多くは、機械的に敏感なゲート動力学を保有している(Morris and Juranka, 2007)ので、USによるイオンチャネルの直接活性化もまた、アクションのメカニズムを表し得る。パルス状USはまた、健全な脳回路を刺激するUSの能力の基礎をなしている、同期的活動の側面の基礎をなすために提案された(Anastassiou et al., 2010; Jefferys and Haas, 1982)、エファプス効果を作り出すかまたは空間的に非一様な電場を生成することができる。
【0057】
本発明の方法、システムおよび装置は、脳回路の本質的な特性を探索するためにパルス状USを使用することからなる。例えば、運動皮質のUS刺激は、活動の短いバースト(<100ms)と周辺筋肉の収縮を作り出した一方で、同様の波形での海馬の刺激は、特徴的なリズミックバースト(繰り返し活動)をトリガーし、それは2−3秒続いた。USでの与えられた脳領域の刺激は、機能的接続性に基づいたより幅広い回路活性化を仲介することができる。そのような能力は、TMSのようなその他の経頭蓋脳刺激アプローチについて示され議論されている(Huerta and Volpe, 2009)。例えば、皮質視床、皮質間、視床皮質経路中の活動上へのUSの効果が、本発明によって想定されている。経頭蓋パルス状USでの脳活性化は、麻酔の平面に依存していても良い。例えば、マウスが中位から軽い麻酔平面中にいた時(尻尾つまみに対する穏やかな応答性)、USで誘起された活動は、複数の繰り返し試行に跨って非常に一貫したものであった。
【0058】
音響コリメートチューブ(d=2mm)での経頭蓋US脳刺激の方法を使って、皮質活性化の容積の推定値は、c−fos活動によって指し示されるように約3mm
3であり得る(
図15)。この活性化された脳容積は、実装された背腹US送信経路に沿った解剖学的特徴によって制約されていても良い(例えば、皮質までの活性化の深さを制約している脳梁)。観察された活性化の1.5−2.0mmの横方向エリアは、より信頼性のある測定を表し、経頭蓋磁気的刺激(TMS)によって供された約1cmの横方向空間的解像度よりも約5倍良好である(Barker, 1999)。USによって与えられたミリメートルの空間的解像度のため、疎に分布した脳回路中のパターン化された活性化を駆動するのに構造化されたUS場が使われても良い。同様に、(負の屈折率を有する)音響メタ材料でのフォーカシングは、USのために達成されるべきサブ回折空間的解像度を可能とする(Zhang et al., 2009)。<1.0mmの脳領域が、0.5MHzのUSを使って神経刺激のために正確にターゲットとされ得る。そのような空間的スケールは、脳刺激のための経頭蓋USを、様々な研究および臨床的応用に合うようにする。
【0059】
人間のものを含んだ頭蓋骨を通したUSのフォーカシングは、フェーズドアレイに配列されたトランスデューサーを使って達成することができる。最近の臨床的研究は、フェーズドアレイを使って深い視床核まで健全な人間の頭蓋骨を通してUSをフォーカシングすることによって、慢性的な神経障害性疼痛の治療のために非侵襲的視床切開術(d=4.0mm)を行うために、経頭蓋でMRIにガイドされた高強度のフォーカスされた超音波(0.65MHz、>1000W/cm
2)を使うことを報告した(Martin et al., 2009)。人間の脳回路の非侵襲的刺激中のパルス状USが、本発明によって想定されている。
【0060】
本発明は、2つの様式が同時にかまたは順次に使われる方法からなる。USは磁気共鳴撮像(MRI)と容易に整合するので、パルス状USが、健全な、正常な、または疾病した脳の機能的脳マッピングにおける同時MRI撮像中に脳回路刺激のために使われることができることはありそうなことである。方法のいくつかの側面は、TMSと共に示されたような内在的脳可塑性の形を誘発するのに使われたパルス状USからなる(Pascual-Leone et al., 1994)。そのような実施形態では、パルス状USは、記憶痕跡形成のような或る認知的プロセスの基礎をなすために示された特定の脳活動パターンを駆動する(Girardeau et al., 2009; Nakashiba et al., 2009)。例えば、マウスでは、経頭蓋USは、鋭波さざ波振動(
図16C)を促進し、内在的BDNFの活動(
図16D)、脳可塑性の重要な調整物質、および海馬依存した記憶固定を刺激することができる(Tyler et al., 2002)。
【0061】
本発明の方法は、短期および/または長期記憶の形成を防止するために記憶形成および記憶固定をブロックすることからなる。そのような方法は、戦闘ストレスから結果としてなるもののような、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を治療し、改善しまたは削減するための方法を含む。その他の方法は、主体の記憶が変更されるかまたは形成されることを防止されることに恩恵があるかまたは必要であるところの応用における本発明の装置の使用を含む。装置は、装置を装着している主体によってかまたはその他の人員によって超音波治療が処方される、防弾ヘルメットおよび/またはその他の頭部装着可能な装置からなっていても良い。装置は、特定のイベントに関係する記憶の形成がブロックされるように、ニューロン可塑性を変更するようなやり方で脳機能を調節するための治療方法において、25KHzから50MHzまでの範囲にあり0.025から250W/cm
2までの範囲にある強度のフォーカスされたおよび/またはフォーカスされていない超音波を提供しても良い。そのような方法は、記憶制御を強化するための化学的、電気的、磁気的または遺伝子的方法を伴った事前、同時または事後の治療からなっていても良い。
【0062】
本発明の方法は、脳の記憶中枢に超音波を提供することによってシナプス可塑性を変更することからなる。超音波方法は、シナプス可塑性を削減するために、またはもし記憶が忘れられるべきであれば長期の抑鬱のようなシナプス可塑性の或るタイプを促進するために、およびもし記憶が留められるべきであれば長期の増強のようなシナプス可塑性を強化するために、使われる。記憶中枢における可塑性の促進は、痴呆、アルツハイマー病、または卒中のようなその他のイベントによる記憶喪失のための治療において有用である。脳の記憶中枢は、Broadmanのエリア34および28を含んだ、大脳辺縁系、前頭前野皮質、海馬、扁桃体、小脳および嗅内皮質からなる。
【0063】
本発明の方法は、脳領域に超音波の実効的な量を提供することによって主体中の記憶形成を阻害するかまたは抑制することからなり、そこでは脳領域は、海馬体、固有海馬、大脳辺縁系、扁桃体、視床、小脳、線条体、嗅内皮質、鼻周囲皮質、および(前頭前野皮質、聴覚皮質、視覚皮質、体性感覚皮質および/または運動皮質を含んだ)大脳皮質、前記領域の求心路または遠心路、またはそれらの組み合わせからなる。本発明の方法は、イベントの前に、例えば、およそ1分、10分、20分、30分、40分、1時間、1.5時間、1.75時間、2時間、2.5時間、2,75時間、3時間、3.5時間、4時間またはおよそ4.5時間、それについて主体の記憶が阻害されるべきイベントの前に、オプションでここに記載された超音波装置を使って、主体に超音波を提供することと、オプションで、イベント中と、オプションでイベントが起こった後で、例えば、少なくとも1分、10分、20分、30分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、10.5時間、11時間、11.5時間、12時間、12.5時間、13時間、13.5時間、14時間またはもし必要ならより長い期間、イベントの後で、主体に超音波を提供することからなり、それにより記憶形成または格納を抑制する。方法はまた、化学的、薬学的、電気的、磁気的または光治療を、超音波が提供される前、最中または後に提供することからなっていても良い。本発明の方法は、ここに記載された装置を使って超音波を提供することからなる。
【0064】
記憶の形成を防止するために超音波が提供されるところの人間の脳のターゲットは、海馬体、固有海馬、扁桃体、視床、小脳、線条体、嗅内皮質、鼻周囲皮質、および(前頭前野皮質、聴覚皮質、視覚皮質、体性感覚皮質および/または運動皮質を含んだ)大脳皮質、を含むがそれらに限定はされない。本発明の実施形態は、短期的および/または長期的記憶の形成に繋がる、脳活動の時空間的パターンを調節することによって、例えば長期的増強(LIP)、長期的抑鬱(LTD)、スパイクタイミング依存可塑性(STDP),および/またはホメオスタシス可塑性を含んだ正常なニューロン可塑性を断絶するのに効果的なやり方で、上述した解剖学的エリアの少なくとも1つかまたは組み合わせ中の脳活動を調節するために超音波を提供するための本発明の装置の使用からなる。超音波によって誘発された脳活動中の変化は、遺伝子転写または蛋白質翻訳を調節することによって、蛋白質の活動を調節するためにキナーゼおよびフォスファターゼ活動のどちらかかまたは両方の増加および/または減少を含む、カルシウム依存の生化学プロセス上に働いても良い。逆に、異なる超音波波形が、痴呆、アルツハイマー病またはその他の加齢関連の、損傷関連の、および/または発達性の記憶障害のための治療学的治療方法としてイベントの学習および/または記憶を強化するために、ニューロン可塑性(LTP/STDP)を促進するようなやり方で、前述した脳領域に投影されても良い。
【0065】
本発明の方法は、認知プロセスを調節するために、経頭蓋ルートによってのように、人間を含んだ動物の脳への超音波の処方からなる。発明の一側面は、人間または動物中の認知プロセスを調節するために経頭蓋パルス状超音波を提供することからなる。例えば、空間的学習および記憶は、本発明の方法を使って調節することができる(
図17と
図18)。本発明の方法は、正常な認知を調節することまたは認知プロセスを強化することを含むがそれらに限定はされない、認知プロセスを調節するために健全な海馬および/または関連付けられた脳領域へのパルス状経頭蓋超音波の配送からなる。シナプスの強度を増加するための方法は、経頭蓋超音波を1つ以上の脳領域に提供することからなる。
【0066】
Morris Water Mazeは、げっ歯類における認知を試すのに使われる古典的なテストである。健全なマウスの海馬が、ここに開示された超音波方法を使って刺激された。もしUS刺激が、MWMタスクでマウスを訓練するのの5分直前に起これば、マウスはそれ程良く学習しないのに加えて、マウスは見せかけコントロールと比較して脱出位置のより悪い記憶を持つ。学習および記憶固定の断絶は、環境的キューのなかの連想の形成を断絶するとともに正常な学習および記憶が起こるために必要なニューロン発火コードを変更する、文脈の無いパターンで海馬活動を刺激することによると現在信じられている。よって、パルス状超音波で断絶的海馬刺激を提供することによって、学習は弱められることができ、記憶はブロックされることができる。本発明の方法は、(刺激された動物にとって)文脈無しで1つ以上の脳領域を刺激することによって、学習を断絶するおよび/または記憶固定と干渉するために超音波を提供することからなる。
【0067】
例えば、もしマウスがMWMタスクでそれらを訓練する前の7日間に一日当り5分間刺激されれば(いかなる訓練日の当日またはその日に訓練する直前に刺激することなく)、この慢性的パラダイムで健全な海馬刺激を受けているマウスは、見せかけコントロールよりも良く遂行する。それらはより良く憶えより速く学習する。制御された環境で繰り返す日々に渡って刺激することによって海馬シナプスのシナプス強度が増加するという発見を、可塑性の伝統的なモデルが説明すると信じられている。超音波は、脳由来の神経栄養因子(BDNF)の放出を刺激し、BDNFは、可塑性を誘発して学習を仲介し、よってBDNF信号伝達の繰り返され長引かされた増加は、認知機能を強化する。本発明の方法は、学習および記憶を向上するための経頭蓋超音波による海馬の繰り返し刺激からなる。本発明の方法は、学習および記憶を向上するための経頭蓋超音波による1つ以上の脳領域の繰り返し刺激からなる。本発明の方法は、動物において断絶された認知が存在するところの疾病または生理学的状態を治療するために経頭蓋超音波による海馬の繰り返し刺激からなる。例えば、そのような疾病または生理学的状態は、精神遅滞、ダウン症候群、fragile X、アルツハイマー病、加齢関連の認知低下、および認知が遅延される、欠点がある、または損なわれるところのその他の状態を含むがそれらに限定はされない。神経栄養因子の上向き調整のために動物の脳に超音波を提供することからなる方法は、異なる脳回路がターゲットにされる疾病を治療するのに使われても良い。例えば、癲癇、不安、抑鬱、アルツハイマー病、パーキンソン病および追随する卒中と脳損傷を含むがそれらに限定はされない疾病または生理学的状態において、調整不全のBDNF信号伝達が起こる。本発明の方法は、神経栄養因子の調整不全または損なわれた神経栄養性信号伝達が起こる疾病または生理学的状態を治療するための経頭蓋超音波による、BDNF、神経成長因子、ニューロトロフィン3、繊維芽細胞成長因子、インスリンのような成長因子、を含むがそれらに限定はされない神経栄養因子の上向き調整からなる。例えば、超音波での慢性的繰り返し脳刺激を行うことによってBDNF信号伝達を増加することは、疾病した、欠点がある、または損なわれた脳回路上に深刻な影響を有することができる可塑性を奨励し得る。同様に、超音波での慢性的繰り返し脳刺激は、正常な脳回路における学習および記憶を強化するために可塑性を奨励し得る。本発明の超音波方法は、脳領域に超音波の実効的な量を提供することからなる、主体中の学習または記憶形成を強化することからなり、そこでは脳領域は、海馬体、固有海馬、扁桃体、視床、小脳、線条体、嗅内皮質、鼻周囲皮質、および大脳皮質、前頭前野皮質、聴覚皮質、視覚皮質、体性感覚皮質または運動皮質、領域の求心路または遠心路、またはそれらの組み合わせからなる。
【0068】
本発明のいくつかの側面は、人間または動物中の機能不全の、損なわれた、または疾病した脳回路を調節するために経頭蓋超音波を提供する方法と装置からなる。様々なタイプの脳損傷をもった患者は、電極、レーザー、磁気コイル、およびその他のエネルギー放出装置を使って変換されたもののような、電磁気エネルギーを使った脳刺激から恩恵を受けることが示されている。脳刺激のための超音波は、電磁気ベースの脳刺激戦略に対して多くの利点を与えることができる。例えば、ここに開示された超音波方法のいくつかの側面は、手術を要求せず、経頭蓋磁気刺激のようなその他の非侵襲的技術で達成されたものよりも少なくとも3−5倍良好な空間的解像度を与えることができる。更に、超音波は、脳刺激のために素早く展開することができ、それは治療抵抗性の発作活動のような外傷性脳損傷または神経的救命救急診療状態を治療するための第一線介入を提供することを容易にすることができる。
【0069】
ここに開示された方法は、パルス状超音波を使って発作活動を弱める。ここに開示された脳調整装置は、パルス状超音波を使って非侵襲的な脳刺激介入を素早く提供するために神経的救命救急診療状況において使われることができる。例えば、従来の抗癲癇薬に対して治療抵抗性の癲癇重積持続状態(SE)は典型的には、弱々しい予後をもつけれども、もし発作を終了させることができれば患者はよく回復し得る。健全な脳活動を刺激するために経頭蓋パルス状超音波(TPU)を使うための方法が、ここに開示され、発作活動の治療のために使われることができる。TPUは、損害を作り出すことなしに高周波数およびガンマ帯域にある健全な海馬振動を同期化することができる。ここに開示されたデータは、TPUが、全脳刺激干渉源を提供することによってカイニン酸誘発されたSEを断絶することができることを示す。研究は、健康でカイニン酸(KA)誘発されたSEマウス上への経頭蓋超音波の急性および慢性的効果を示した。
【0070】
本発明の方法は、超音波を脳の皮質および皮質下部領域に提供することによって皮質および皮質下部脳回路活動を調節することによる脳機能不全の治療からなる。本発明は、高い罹患率をもつSEのような神経的救命救急事態を治療するために有用である。げっ歯類中に誘発されたSEは、人間における最も頻繁な癲癇である、海馬硬化をもった側頭葉癲癇のモデルとしての役目を果たす。本発明のいくつかの側面は、超音波を1つ以上の脳領域に提供することによって、オプションで海馬硬化をもった、側頭葉癲癇を治療することからなる。そのような超音波はパルス状経頭蓋超音波であっても良い。
【0071】
本発明の方法のいくつかの側面は、パルス状経頭蓋超音波、連続波超音波またはその両方の使用からなる。ここに開示された超音波装置の使用は、脳疾患または損傷の急性治療のための方法において使われても良い。ここに開示された通りの超音波を提供するための装置は、慢性的刺激を提供することによって脳疾患または脳損傷を治療するために使われても良い。例えば、超音波を提供している脳調整装置での慢性的刺激は、アルツハイマー病のような変性疾患を治療するために動物中の可塑性を増加し認知プロセスを強化するのに使われても良い。そのような装置と方法は、精神遅滞、fragile X、ダウン症候群等のような子供またはその他の齢をとった人間または動物中の神経発生的疾患を治療するのに使われても良い。疾病したかまたは損傷した脳組織と正常な脳組織の両方が、ここに開示された超音波装置を使って調節されても良い。
【0072】
図19に示されるように、パルス状超音波と対照的に、連続波超音波は、正常な脳回路中に発作活動を誘発するのに使われても良い。発作活動が存在する時のような疾病したかまたは損傷した脳回路では、連続波超音波またはパルス状超音波が、発作のような異常活動を断絶するのに使われても良い。結果は、脳の初期状態に強く依存する。もし異常活動が存在すれば、超音波を提供する方法は、異常活動と干渉することができる。正常な脳組織においてのように、もし異常活動が存在しなければ、発作の誘発が癲癇性回路を機能的に同定するのに使われても良い。ここに記載された超音波装置と方法の使用は、例えば、機能性および/または機能不全の脳回路をマップするために、脳組織の外科手術的操作の前、最中または後に有用である。例えば、方法は、外科手術的除去を要求し得る癲癇性脳回路のような疾病した脳回路を同定するための超音波の使用からなる。
【0073】
本発明のいくつかの側面は、環境的キューまたはその他の条件、例えば、戦闘状況、あるいはスペースシャトルまたはその他の大気内/外用飛行機のような複雑かまたは繊細な機械の操作、により誘発された不安およびストレス応答を削減するために或る脳回路の活動を調整または調節するための超音波を提供する方法と装置からなる。いかなる特定の理論によっても束縛されることを望んでいないが、ストレス応答は、ノルアドレナリン、エピネフリン、ノルエピネフリン(NE)、アセチルコリン(ACh)、コルティソル、コルティコトロピン放出ホルモン(CRH)、アドレノコルティコトロピックホルモン(ACTH)、およびグルココルティコイドを含むがそれらに限定はされない、いくつかの神経調節物質、神経ホルモンおよび神経伝達物質によって脳および/または神経系中で仲介されると信じられている。ストレス因子に応答を仲介するのに関与する脳回路は、青斑、視床下部の室傍核(PVN),自律神経系、交感神経系、(「攻撃・逃避」応答)、視床下部−下垂体−副腎軸(HPA)、副腎髄質、および脳橋、を含むがそれらに限定はされない。本発明の方法は、脳領域に超音波の実効的な量を提供することによって主体によるストレス応答を変化させることからなり、そこでは脳領域は、青斑、視床下部の室傍核(PVN),自律神経系、交感神経系、(「攻撃・逃避」応答)、視床下部−下垂体−副腎軸(HPA)、副腎髄質、または脳橋からなる。
【0074】
いくつかの異なるタイプのストレス応答がある。「攻撃・逃避」ストレス応答は、脳中の一般的警報システムが青斑中のニューロンの活動の増加によって起動された時に有効にされる、急性のストレス応答である。この活動の増加は、自覚と注意を増加させるノルアドレナリン作動性活動の増加に繋がる。その他の急性のストレス応答は、骨髄と副腎からのエピネフリンおよびNEの放出をトリガーするためのAChのアクションと、適切な振舞いを仲介するためのHPAの起動を含む。急性ストレスは、主体が挑戦される状況においては主体にとってポジティブであることができる。急性ストレスへの長引かされた露出は、減少された認知および生理学的機能性に繋がる。これは、コルティソル、CRH、ACTHのような循環しているストレスホルモンの異常に高いレベルと青斑、PVN、海馬、前頭前野皮質、および扁桃体のような局所的脳回路中の不適応な可塑性によるものである。
【0075】
軍事または戦略要員に見られるもののような、長引かされた慢性的なストレスと関連付けられた問題は、重要な問題を提示し、戦闘ストレス反応と呼ばれているが、それは砲弾ショックまたは戦闘疲労と以前は呼ばれていた。戦闘ストレス反応は、疲労、遅い応答時間、判断をする能力の欠如、ミッションを遂行する能力の欠如、連絡切断、およびその他の貧しい認知能力に繋がって、それ自体を顕現することができる。戦闘ストレス反応は、心的外傷後ストレス障害、全般性不安障害、抑鬱、および急性ストレス障害のような、その他のストレス障害に繋がることができる。軍事または戦闘要員以外の主体が、戦闘ストレス反応またはその他のストレス障害を呈し、ここに記載された方法を使って治療されることができる。
【0076】
本発明の一側面は、前述した脳ストレス系を励起および/または抑制するために、超音波を提供することによって主体の生理学的および認知的性能上への長引かされたストレスの有害な効果を減少するための、本発明の超音波を提供するための装置の使用からなる。発明の一側面では、敵との交戦中の戦闘/戦略要員の効率性を最大化するために急性のストレス応答は手をつけずに残されるが、脳ストレス中枢の活動は、ストレス因子への環境的露出に続いて超音波を提供することによって削減される。例えば、戦闘や危険な地域でのパトロールのようなストレスのかかるイベントの後で、戦略、軍事または戦闘要員は、一旦彼らが比較的安全な環境に帰還したら超音波装置を起動する。一実施形態では、超音波装置がアクティブになり、長引かされたおよび/または慢性的なストレスを削減するために超音波の実効的な量を提供するように、循環しているストレスホルモンレベルを検出するセンサーが、主体のストレスホルモンの生理学的状態に関する情報を通信し、装着された超音波装置と通信している。ストレス応答の削減は、戦闘ストレス反応に繋がり多くの個人において後続するPTSD、抑鬱、全般性不安障害、および急性ストレス障害の元となるストレスの慢性的状態を中断する。
【0077】
本発明の方法は、脳領域を活性化するために超音波を提供するための超音波装置の使用からなり、それは覚醒、注意および自覚を増加する。脳領域の活性化のための方法は、覚醒、注意または自覚が捜し求められている、あらゆる主体によって採用されても良い。例えば、超音波装置は、性能を向上するために、およびユーザと他人への損傷および/または事故の危険を最小化するために、増加された注意、覚醒、増加された油断のなさ、および長期的覚醒が望ましいところの、重機または設備のオペレータ、宇宙飛行士、パイロット、および戦闘または戦略要員によって装着されても良い。シフトワーカーまたは長距離トラックドライバーもまた、そのような方法から恩恵を受けても良い。
【0078】
注意、覚醒および油断のなさを調整することに責任がある多数の中枢が脳中にある。それらの脳領域中で活動を増加することは、反応時間を増加し、認知性能を強化し、適切な振舞いまたは生理学的応答を促進することができる。覚醒と油断のなさの調整に関与するいくつかの神経伝達物質および神経調節物質システムは、アセチルコリン、ドーパミン、ヒスタミン、ヒポクレチン、セロトニン、およびノルエピネフリンである。覚醒と注意を仲介する脳回路は、前頭前野皮質、前脳基底部、視床下部、隆起乳頭体核、扁桃体基底外側部、腹側被蓋野、内側前脳束、青斑、視床、および外側縫線核、を含むがそれらに限定はされない。覚醒または油断のなさの間に特定の視床皮質振動(約40Hz)が起こることが知られており、EEGおよび/またはMEGを使って検出されることができる。強化された覚醒、油断のなさおよび注意を指し示す脳活動のその他のパターンがあり、それらもMEGおよび/またはEEGを使って検出されることができる。
【0079】
本発明の方法は、脳領域に超音波の実効的な量を提供することによって主体中の油断のなさ、自覚、注意または長期的覚醒を増加するために覚醒脳領域を活性化させることからなり、そこでは脳領域は、前頭前野皮質、前脳基底部、視床下部、隆起乳頭体核、扁桃体基底外側部、腹側被蓋野、内側前脳束、青斑、視床、および外側縫線核からなる。超音波は、本発明の装置によって提供されても良い。装置は、油断のなさ、覚醒および/または注意を変化させるようなやり方で脳機能を調節するための治療方法において、25KHzから50MHzまでの範囲にあり0.025から250W/cm
2までの範囲にある強度のフォーカスされたおよび/またはフォーカスされていない超音波を提供しても良い。本発明の方法は、アセチルコリン、ドーパミン、ヒスタミン、ヒポクレチン、セロトニン、およびノルエピネフリンの放出を実効的にするために超音波を提供することからなる。例えば、本発明の超音波装置は、戦闘環境中、重機を操作している間、宇宙飛行士またはパイロットのためのような、繊細な操作中の強化された注意と油断のなさのために、油断のなさ、自覚、注意および長期的覚醒を増加するように、主体中の覚醒脳領域を活性化させるために主体に超音波を提供しても良い。
【0080】
覚醒脳領域を活性化させるために超音波を提供する方法は、覚醒脳領域、システム、回路の1つ以上を刺激するためおよび/または神経伝達物質の放出のために、超音波を使うことによって長期的覚醒を促進するのに使われても良い。長期的活動に従事する主体は、睡眠サイクルに入る可能性を削減するためまたはマイクロ睡眠を防止するために、本発明の超音波装置を起動する。方法は、脳波活動を監視するためのEEGおよび/またはMEGセンサーとの組み合わせでの本発明の超音波装置の使用からなる。ユーザが削減された自覚/油断のなさまたは睡眠サイクルに入っていることを脳波が示す時に、主体が目覚めた状態に戻るように覚醒を増加する1つ以上の覚醒に関連した脳領域に超音波を送信し始めるために、マイクロコントローラによってのように超音波装置が起動されるように、センサーは、脳波パターンに関する情報を、オンボードのマイクロプロセッサまたは遠隔プロセッサに中継することができる。覚醒のために主体中の覚醒脳領域または神経伝達物質を活性化させるために超音波を提供する方法は、昏睡状態または視床皮質活動および振動が損なわれているか断絶されているところの最小限の意識がある状態にあるもののように、削減された意識状態にある主体を治療することを含む。
【0081】
本発明の装置は、脳構造を活性化させるための複数のコンポーネンツからなっていても良い。例えば、装置は、超音波トランスデューサーとオプションの磁気トランスデューサーに加えて、レーザーダイオードとMEG/EEGセンサーからなっていても良い。レーザーダイオードからの散乱された光子は、装置の本体の内側表面において提供され、光子が装置の内側表面と頭部の外側表面の間にあるようになる。散乱された光子は、装置の本体の内側表面上に存在する超音波トランスデューサーによって検出される。光子との相互作用は、光音響断層撮影法を介して血流と血液酸素付加に関する脳活動についての情報を提供する。代替的側面では、散乱された光子についての情報を提供するセンサーは、機能性近赤外線分光法(fNIRS)で使われることができる。MEG(脳磁気検査法)またはEEGセンサーは、電気的脳活動を検出するため、または脳電気的活動の変化を検出するために、本発明の装置で使われても良い。それらのセンサーから取得された脳活動に関するデータは、遠隔またはローカルマイクロプロセッサに中継されることができる。ローカルマイクロプロセッサは、装置の本体中または上に直接一体化されたものであっても良い。中継されたデータは、主体に配送されている超音波を微調整するために超音波波形を調節し、周波数、強度または波形特性を調整するように、超音波トランスデューサーのような装置中のコンポーネンツに命令を返すためにマイクロプロセッサによって使われても良い。
【0082】
本発明の方法は、脳領域に超音波の実効的な量を提供することによる主体中の褒賞経路の活性化からなり、そこでは脳領域は、内側前脳束(MFB)間の連結およびその側坐核(NA)への連結を含んだ中脳辺縁系および中脳皮質経路からなり、そこではドーパミン(DA)が神経調節物質、前頭前野皮質、前帯状皮質(ACC)、扁桃体基底外側部(BLA)、または腹側被蓋野(VTA)と、ドーパミン作動性、グルタミン酸作動性、セロトニン作動性およびコリン作動性システムとして働く。超音波は本発明の超音波装置によって提供されても良い。褒賞経路の活性化は、或る望ましい属性を条件付けするおよび/または補強するために、および/または特定の振舞い的行動を動機付けするために、使われても良い。神経系中で「褒賞」に責任がある主要な解剖学的経路は、中脳辺縁系および中脳皮質経路であり、それは内側前脳束(MFB)間の連結およびその側坐核(NA)への連結を含み、そこではドーパミンDAが神経調節物質として働く。褒賞経路にとって極めて重要なその他のエリアは、前頭前野皮質、前帯状皮質(ACC)、扁桃体基底外側部(BLA)、および腹側被蓋野(VTA)を含む。脳のこれらの褒賞(快感)中枢は、或る振舞いを補強するのに強力な機能を有する。これらの経路は、乱用薬物への中毒および/またはその他の欲求的振舞いを仲介する。例えば、VTA,MFBおよび/またはNAの頭蓋内自己刺激(ICSS)を受けるのにバーを押すように条件付けされたラットでは、補強された振舞いに繋がり、ラットは全てのその他の環境的キューを無視し、それらの脳核の補強/快感を誘発するICSSを獲得するために繰り返しバーを押す振舞いに従事するようになる。
【0083】
本発明の方法は、望ましい振舞い的行動を補強するために褒賞脳領域のいずれか1つまたは組み合わせに超音波波形を配送する超音波装置からなる。装置は、振舞いに褒賞を与えるおよび/または或る振舞いに従事することへの動機付けを増加するようなやり方で脳機能を調節するための治療方法において、25KHzから50MHzまでの範囲にあり0.025から250W/cm
2までの範囲にある強度のフォーカスされたおよび/またはフォーカスされていない超音波を提供しても良い。補強(脳刺激)の振舞い的行動との時間的近接性が振舞いを促進するための褒賞経路の活性化のために必要であるので、褒賞脳領域への超音波波形の配送のタイミングが、振舞い的応答に影響を与え得る。より良い振舞い的応答は、補強する超音波刺激波形の配送が補強されるべき振舞いとの非常に近い時間的近接性で起こる時に見つけられる。超音波刺激波形は、補強されるべき振舞いの発生のおよそ1時間前から、補強されるべき振舞い的行動に続くおよそ1時間まで、提供されても良い。超音波の提供のためのより長いかまたはより短い時間レンジが、何らかの振舞いのために、または治療のより後のステージのために適切であっても良く、そのようなレンジは当業者によって決定されても良い。超音波を提供するためのより特定で制約されたタイミングウィンドウは、よりロバストな振舞い的条件付けに繋がり得る。本発明の超音波装置の起動は、主体によって制御されても良く、または様々な通信ポートを介して遠隔的に制御されても良い。
【0084】
褒賞経路の活性化のための方法は、望ましい振舞いまたは応答を訓練するために使われることができる。例えば、本発明の超音波装置は、特定の振舞い的慣例および/または繊細な手順で応答するように主体を訓練するために、軍事/戦闘/戦略要員、機械オペレータ、システムエンジニアまたはその他の技術的要員にとって恩恵のある振舞いを補強するために褒賞経路に超音波を提供するのに使われても良い。これは、仕事特定学習曲線を低減し、仕事の実績を増加する。そのような訓練はまた、アスリートや条件付けされた応答が恩恵を与えるであろうあらゆるその他の主体を訓練するのに使われることができる。そのような訓練はまた、有害な振舞いを差し替える褒賞刺激を提供することによって有害な振舞いを変更させるのに使われても良い。例えば、中毒的振舞いのような有害な振舞いに従事するように誘惑された時、褒賞経路が活性化され、主体は有害な振舞いから「気を散らされる」。
【0085】
本発明の方法は、前頭前野皮質に超音波を提供することからなり、本発明の装置が、超音波を提供するのに使われても良い。超音波を前頭前野皮質に提供することは、単独でかまたは経頭蓋磁気的刺激のようなその他の治療との組み合わせで、脳領域を活性化するのに使われても良く、薬物抵抗抑鬱または臨床的抑鬱の治療のために有用であり得る。そのような超音波は、フォーカスされていてもフォーカスされていなくても良い。
【0086】
本発明の方法は、脳領域に超音波を提供することによって脳血管ダイナミクスを調節することからなる。超音波は、一酸化窒素/一酸化窒素合成酵素を活性化することによって周辺組織中に血管拡張または血管収縮を誘発する。発明者のデータは、空気結合された超音波トランスデューサーがげっ歯類の脳中に血管拡張を誘発したことを示した。パルス状超音波は、健全な脳中に脳血管拡張を誘発することによって脳血行力学を遠隔的に調節した。本発明の超音波装置は、脳血管血流を変化させてニューロン活動を間接的に増加または減少させるか、エネルギー利用と新陳代謝を変化させるか、または脳領域への酸素を増加させることによって脳活動を変化させても良い。治療装置を通した超音波の印加は、例えば、活性剤が局所脳領域中で実効的である一方その他の周囲の脳領域には影響を与えないように、薬物または薬剤のような1つ以上の活性剤の特定の脳領域へのより良い吸収を許容するために、血液―脳バリアが調節されるように、脳の脳血管ダイナミクスを調整するのに使われても良い。超音波の脳領域への印加は、線形血球密度と脳血管束を増加および/または減少させることができる。血流の調節は、脳活動と結合されることができるが、それはまた脳活動上への効果から脱結合されることもできる。本発明の方法は、脳領域にパルス状または連続形で超音波の実効的な量を提供することからなる、人間または動物の脳中の血管直径を調節することからなり、そこでは超音波の実効的な量が、超音波が突き当たるところの脳のエリア中の血管の血管拡張または血管収縮を引き起こす。
【0087】
本発明の方法は、脳領域に超音波の実効的な量を提供することにより、主体中の感覚または運動脳領域を活性化することからなり、そこでは脳領域は、前庭系、聴覚領域、視覚領域、嗅覚領域、固有知覚領域、1つ以上の領域の求心路または遠心路、またはそれらの組み合わせ、の全てまたは一部からなる。超音波は、本発明の超音波装置によって提供されても良い。本発明の一側面は、動きを生成するためかまたは合成脳画像を作り出すために主体の感覚または運動脳領域を活性化するために、本発明の超音波装置に動作可能に取り付けられた主体との通信のための人間−マシンインターフェースを許容する方法と装置からなる。例えば、そのような方法と装置は、脳の聴覚領域への仮想サウンドの投影、視覚脳領域上に仮想マップ/画像を生成する能力、個人の身体の動きのパターンを制御する能力、のために使われる。そのような脳刺激は、直接的または間接的のどちらかで効力を発揮させられても良い。例えば、オペレータまたは主体は、GPSまたはナビゲーション技術からのその他のフィードバックを介してその主体をガイドするために、主体が向きを変える運動をすることを引き起こすように、前庭系を刺激しても良く、または主体が運動アクションをすることを引き起こすように主体の脳の運動エリアを刺激しても良い。そのような方法と装置は、レクリエーション、娯楽および/またはビデオゲーム応用を含むがそれらに限定はされない、あらゆる応用のために使われても良い。
【0088】
本発明の方法は、例えば、本発明の装置にパワーを与えるために、エネルギーを採取することからなる。例えば、歩行、ジョギング、ランニング、売り歩き等のような物理的活動によって生成された機械的エネルギーが、ピエゾポリマーまたは圧電ファイバー複合材料を使って電気的エネルギーに変換される。生成された電気的エネルギーは、装置の超音波トランスデューサーマイクロコントローラまたはその他のコンポーネンツにパワーを与えていても良い、容量性またはバッテリーエレメンツを充電または再充電する。例えば、主体の履物、即ち、ブーツ、靴等は、PVDFピエゾポリマーまたは圧電ファイバー複合材料(例えば、Airmar Technology Corp.からのPiezoflex)からなる。主体の履物は、物理的活動中に生成されたエネルギーを採取するための1つ以上のマイクロコントローラからなっていても良い。電気的エネルギーはそれから、少なくとも1つのマイクロコントローラと少なくとも1つのバッテリーを介して装置にパワーを供給する。電圧トレースが、ピエゾポリマーを使った機械的エネルギーの電気的エネルギーへのエネルギー採取または変換を確認する。
図9Aと9Bは、ピエゾポリマーを使った機械的エネルギーの電気的エネルギーへの変換において生成されたエネルギーを示しているグラフである。
【0089】
本発明の方法は、本発明の超音波装置を装着している主体と遠隔制御ユニットまたはプロセッサの間の一方向および双方向通信を容易にする方法からなる。遠隔制御ユニット/プロセッサは、中央コマンドロケーションまたはユニットあるいはその等価物、生命維持に必要な機能のための監視ステーションあるいはその等価物、または何らかのタイプのコンソール(例えば、ゲーミングコンソール)、を含むがそれらに限定はされない。本発明の装置は、無線周波数(RF)、wi−fi、wi−max、Bluetooth(登録商標)、超音波、および赤外放射線、を含むがそれらに限定はされない通信ネットワークを使って、更なる分析と評価のために遠隔制御ユニット/プロセッサに情報またはデータを送っても良い。そのようなデータは、主体の脳活動、EEGおよびMEGのような生命維持に必要な機能、および主体のグローバルポジショニング、に関係する情報を含むがそれらに限定はされない。その他のデータは、光音響断層撮影法、イベントのタイミングに関する情報、および力/爆発情報を含む。ソフトウェアとアルゴリズムが、主体から送信されたデータを分析するのに使われても良い。データの計算的分析に基づいて、装置は、主体に提供されている超音波のような1つ以上の刺激を変化させても良く、例えば、調節された超音波波形パターンを提供しても良い。調節は、音響周波数および強度の変化と、超音波フォーカシングの変化を含んでいても良い。超音波波形パターンの変化は、望ましい結果を達成するために脳機能を調節する。
【0090】
開示された方法と装置は、水とマッチした超音波トランスデューサーと主体の頭部の表面の間の音響インピーダンスマッチングを達成する。例えば、1つ以上の水とマッチした超音波トランスデューサーが、超音波結合パッドに結合され、超音波装置中に設置される。水とマッチした超音波トランスデューサーは、超音波装置の少なくとも1つのマイクロコントローラから電圧パルスを受け取る。例えば、超音波トランスデューサーは、トランスデューサーの1つの位置におけるマイクロコントローラと電気的通信をしており、トランスデューサーの異なる位置における超音波結合パッドと接触する。超音波結合パッドは、1つの位置にあるトランスデューサーと接触しており、パッドの別の位置では、装置の装着者の頭部の表面と接触している。例えば、トランスデューサーは、装置の本体の外側から装置の内側表面までを横切る。装置の本体の外側表面では、トランスデューサーは、遠隔的にかワイヤのような電気的手段によってのどちらかで、マイクロコントローラに動作可能に接続されている。装置の本体の内側表面では、トランスデューサーは超音波結合パッドと接触している。超音波結合パッドの使用は、超音波送信中の最適なパワー転送を提供するのを助ける。超音波結合パッドは、ポリマー嚢中のガス抜きされた水を含むがそれに限定はされない。超音波装置内に載置された1つ以上の超音波結合パッドは、水とマッチした超音波トランスデューサーを直接主体の頭部表面に結合する役目を果たす。
【0091】
脳活動を調節するために神経組織または脳に超音波を提供する方法は、超音波との関係で、薬学的または化学的化合物、および/または電気的または光の波を提供することのような、その他のエレメンツまたは治療を提供することから更になっていても良い。そのようなその他のエレメンツまたは治療は、超音波が主体に提供される前、それと同時に、またはその後に、主体に提供されても良い。例えば、超音波と薬学的治療のような、1つ以上のタイプの治療またはエレメンツの組み合わせからなる方法が、本発明によって想定されている。
【0092】
定義
明細書と添付の請求項で使われるように、単数形“a”、“an”、および“the”は、文脈が明らかにそうでないことを指図しないかぎり、複数の参照対象を含む。よって、例えば、「薬学的キャリア」への言及は、2つ以上のそのようなキャリアの混合を含む、等である。
【0093】
範囲はここで、「およそ」1つの特定の値から、および/または「およそ」別の特定の値まで、として表現されることができる。そのような範囲が表現された時には、別の実施形態は、1つの特定の値からおよび/またはもう1つの特定の値までを含む。同様に、「およそ」という先行詞の使用によって値が近似として表現された時には、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。範囲の各々の端点は、もう1つの端点との関係でと、もう1つの端点とは独立に、の両方で有意であることが更に理解されるであろう。また、ここに開示された多数の値があることと、各値はその値自体に加えて「およそ」その特定の値としてもここに開示されることも理解されている。例えば、もし値「10」が開示されれば、「およそ10」もまた開示されている。また、値が開示された時には、当業者によって適切に理解されるように、値「以下」、「値以上」のもの、および値の間の可能な範囲も開示されている。例えば、もし値「10」が開示されれば、「10以下」と「10以上」もまた開示されている。また、出願全体を通して、データは多数の異なる形式で提供されていることと、このデータは端点と開始点およびデータポイントのあらゆる組み合わせのための範囲を表すことも理解されている。例えば、もし特定のデータポイント「10」と特定のデータポイント「15」が開示されれば、10と15より大きい、以上、より小さい、以下、および等しいが、10と15の間とともに、開示されていると考えられることが理解されている。また、2つの特定のユニットの間の各ユニットもまた開示されていることが理解されている。例えば、もし10と15が開示されれば、11、12、13および14もまた開示されている。
【0094】
この明細書では、およびそれに続く請求項では、以下の意味を有することが定義されるべき多数の用語への参照がなされる。
【0095】
「オプションの」または「オプションで」は、それ以降に記載されたイベントまたは状況が起こっても起こらなくても良いことと、記載は前記イベントまたは状況が起こる場合とそれが起こらない場合を含むことを意味する。
【0096】
「治療する」という用語は、疾病の有害な効果を抑制する、防止する、治癒する、逆転する、弱める、軽減する、最小化する、抑圧するまたは停止すること、および/または疾病の削減、緩和または後退を引き起こすことを指す。様々な方法論および分析が、疾病の発展を評価するのに使われることができ、同様に、様々な方法論および分析が、疾病の削減、緩和または後退を評価するのに使われても良いことを、当業者は理解するであろう。
【0097】
「増加」は、全体を通して、基礎のレベルまたはコントロールと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、150、200、250、300、400、または500倍の増加として定義される。
【0098】
例
例1 TBIの治療
ある人が損傷を受け、爆発からの爆風への露出から結果としてなる外傷性脳損傷をおった。この人は軍隊のサービスメンバーであるので、この人は超音波トランスデューサーからなる防弾ヘルメットを装着している。超音波トランスデューサーは、フェーズドアレイにまたは単独トランスデューサーエレメンツとして位置している。ヘルメット中のセンサーが、爆風の圧力を記録し、爆発が起こった爆発ゾーンから離れて位置する遠隔制御位置に無線で通信する。GPS信号が送られ、それが装置の位置についてのデータを提供する。ヘルメットの取り付けストラップ中に位置するセンサーは、装置がいまだに主体に取り付けられていることのデータを中継する。その他のセンサーは、心拍数、脳活動、血圧等のような主体の物理的状態についてのデータを中継する。EEGデータは、外傷性脳損傷を示す脳への損傷の位置を示す。いくつかの実施形態では、防弾ヘルメット中に構成されているのではないが、戦闘救護兵のような救急対応要員によって処方されることができる携帯型治療ユニットを通して、トランスデューサーによって治療が提供されても良い。そのような携帯型治療ユニットは、1つ以上の超音波トランスデューサーからなっていても良く、手持ちできるかまたはできない。携帯型治療ユニットはまた、脳活動を監視するためにEEG電極からなっていても良い。
【0099】
データを受信すると、遠隔サイトは、ヘルメットのフェーズドアレイ中のトランスデューサーにデータと超音波プロセスデータを送信することによって応答する。マイクロコントローラは、フェーズドアレイ中およびそれに隣接したトランスデューサーのいくつかの向きを変更する。超音波トランスデューサーは、0.5MHzと100mW/cm
2の超音波を提供することからなる、フォーカスされた超音波治療を外傷性脳損傷のサイトに提供する。超音波トランスデューサーはまた、外傷性脳損傷からの二次的効果を改善するために、損傷サイトの周りのエリアに、25KHzから50MHzまでの範囲にあるフォーカスされたおよびフォーカスされていない超音波を提供する。医療要員がGPS位置的データを使って爆発サイトと主体まで送り込まれる。超音波治療を受けながら、主体は病院に搬送される。
【0100】
例2 記憶の変更
戦闘ストレスから結果としてなるような、心的外傷後ストレス障害(PTSD)をもった人は、平穏を乱す記憶からの救済を要求して精神科医を訪ねる。本発明の超音波装置が、人間主体の頭部上に置かれ、25KHzから50MHzの範囲にあるフォーカスされていない超音波が、特定のイベントに関係する記憶の形成がブロックされるようにニューロン可塑性を変化させるようなやり方で脳機能を調節するために、複数の治療で印加される。超音波療法と同時に、主体は、抗不安薬物治療、セロトニン放出抑制因子、SRIを処方される。超音波は、海馬体、固有海馬、大脳辺縁系、扁桃体、視床、小脳、線条体、嗅内皮質、鼻周囲皮質、および(前頭前野皮質、聴覚皮質、視覚皮質、体性感覚皮質および/または運動皮質を含んだ)大脳皮質、前記領域の求心路または遠心路、またはそれらの組み合わせからなる1つ以上の脳領域をターゲットにする。1つの治療は、30MHzと300mW/cm
2の超音波を扁桃体に250ミリ秒の倍数で500ミリ秒の休止期間をもって10分間提供すること、イベントを思い出すことによって記憶を誘起すること、および記憶が誘起された時に治療を繰り返すこと、からなる。その他の治療では、25KHzから50MHzまでの範囲にある単一または複数の周波数の範囲にある超音波が、パルス状または連続波モードで、1W/cm
2より少ない強度で、必要に応じて単一または複数の繰り返しセッションで、脳を治療するのに使われることができる。数日から数週の治療の後で、主体はより少ない抑鬱、より少ないパニック発作を報告し、友人との社交的な付き合いのような多くの日常的な活動に戻ることができるようになる。
【0101】
例3 不安の削減
ある人は宇宙船を操作するように訓練されていて、緊急応答訓練を行うにあたってストレス応答の削減が捜し求められた。特定の緊急応答活動を行うことを訓練している間、その人は宇宙飛行士ヘルメットと超音波トランスデューサーからなる超音波装置を装着する。超音波は、ノルアドレナリン、エピネフリン、ノルエピネフリン(NE)、アセチルコリン(ACh)、コルティソル、コルティコトロピン放出ホルモン(CRH)、アドレノコルティコトロピックホルモン(ACTH)、またはグルココルティコイドの1つ以上と、青斑、視床下部の室傍核(PVN),自律神経系、交感神経系、(「攻撃・逃避」応答)、視床下部−下垂体−副腎軸(HPA)、副腎髄質、および脳橋、を含んだ脳領域を調節するように、その人の脳に提供される。例えば、1つの治療は、視床下部−下垂体−副腎軸(HPA)を掃引することによって50MHzと40mW/cm
2の超音波を提供することと、フォーカスされた超音波を音響ハイパーレンズを通して脳橋に200KHzと40W/cm
2で提供することからなる。その間に超音波治療が提供されたいくつかの訓練セッションの後では、呼吸レート、心拍数、および血圧のような生理学的データによってとアドレナリンのレベルによって測定されたストレス応答は、その人の中で低下した。
【0102】
例4 覚醒と注意のための脳領域の活性化
ニューヨークから東京までの飛行ルートを飛行しているパイロットが、本発明の超音波装置を装着する。装置の本体は、超音波を前頭前野皮質、前脳基底部、視床下部、隆起乳頭体核、扁桃体基底外側部、腹側被蓋野、内側前脳束、青斑、視床、および外側縫線核に提供するために、超音波トランスデューサーのフェーズドアレイが配置されるように形成される。装置中のセンサー、例えば、MEGまたはEEGセンサーは、覚醒または油断のなさの間に起こることが知られている特定の視床皮質振動(約40Hz)を検出することができる。MEGまたはEEGセンサーがより少ない視床皮質振動または
減らされた覚醒を示すその他の周波数帯域の振動を検出した時、センサーデータは、およそ100KHzからおよそ2.5MHzのフォーカスされていない超音波を掃引する周波数配置と250mW/cm
2の強度において、視床下部、扁桃体基底外側部、内側前脳束、青斑、視床、および外側縫線核に提供するように超音波アレイを起動するために、装置本体中に埋め込まれたコントローラを起動する。パイロットは、覚醒状態に回復し、油断のない状態で飛行機を飛ばし続ける。
【0103】
例5 振舞いに褒賞を与える
ある人はロードレージ攻撃を受け、仕事まで運転する間に毎日ロードレージ攻撃を経験する。この状態の治療では、その人は本発明の超音波装置を装着することを始める。その人が怒り応答を成功裡に制御した時、その人はそれから、それらの脳核の補強する/快感を誘発するICSSを獲得するために、ドーパミンDAが神経調節物質、前頭前野皮質、前帯状皮質(ACC)、扁桃体基底外側部(BLA)、または腹側被蓋野(VTA)と、ドーパミン作動性、グルタミン酸作動性、セロトニン作動性およびコリン作動性システムとして働く、内側前脳束(MFB)間の連結およびその側坐核(NA)への連結を含んだ中脳辺縁系および中脳皮質経路のような、褒賞経路のための脳領域に超音波を提供するために超音波装置を起動する。200KHzと300mW/cm
2の超音波が、100個のミリ秒パルスで3分間提供される。装置中に冷却ユニットが提供され、それはまた超音波の送信を補助する超音波結合パッドとしても機能する。時々、有害なロードレージ振舞いに従事することに誘惑された時、褒賞経路が活性化され、主体はロードレージから気を散らされる。
【0104】
例6 仮想的アプリケーションと末梢および脳神経
本発明の装置が、前庭系、聴覚領域、および視覚領域中の脳活動を調節する超音波を提供することによって人に仮想的な体験を提供するのに使われる。主体は、仮想的体験が望まれている間、およそ100KHzから10MHzでフォーカスされたやり方で超音波を提供する本発明の超音波装置を装着する。主体は、体験、例えば、トレーニングエクササイズまたはビデオゲーム、の視覚的キューを提供するソフトウェアを実行しているコンピューターの表示ユニットを視覚的に追随しても良い。主体は、超音波が脳領域または周辺上に突き当たっている時には、動きまたは動きの感覚で応答し、音を聞きおよび/またはトレーニングプログラムの様子を見る。一実施形態では、超音波は、バランスの感覚を変化させるために前庭神経または前庭系に配送されても良い。バランス感の調節は、主体が運動または動きの感覚を経験するように、仮想的な体験中は視覚的ディスプレイに結合されることができる。
【0105】
一実施形態では、本発明の装置は、パルス状または連続波の超音波を周辺に配送することによって、主体の両手または両足に体性感覚フィードバックを提供するのに使われる。そのような実施形態では、超音波は、グローブまたは、ビデオゲームコントローラ、携帯電話またはPDAのようなその他の手持ちのデバイスによって少なくとも1つの手に、あるいは靴または、ビデオゲームコントローラ、携帯電話またはPDAによって1つの足に、配送されることができる。パルス状または連続波超音波は、相互作用的体験が調節できるように、25KHzから50MHzの範囲にある音響周波数で、30mW/cm
2から1W/cm
2の範囲にある強度で、単独エレメンツまたはフェーズドアレイとして配列された空気または水とマッチしたトランスデューサーから、脳とは別に、周辺身体構造中に、痛い、機械的なまたは熱的な感覚を生成するために、配送されることができる。そのような実施形態では、パルス状または連続波の超音波での末梢神経構造の刺激は、両手、両足、またはその他の身体部分中の直接的末梢神経刺激を通して脳活動を調節することによって体性感覚体験を調節する。そこに手の中の末梢神経を刺激するための超音波装置の一実施形態が示されている
図20を参照。末梢神経の刺激は、体性感覚皮質のような、痛み、機械的または熱的刺激を処理することに責任がある脳のエリア中の脳活動を変化させることによって主体に体性感覚フェードバックを提供する。トランスデューサーのための材料は、ピエゾセラミクス、ピエゾポリマー、ガスマトリクス圧電トランスデューサー、またはCMUTsであることができる。それらの装置はまた、損害または機能を評価するために、および/または身体受容性場をマップするために末梢神経を刺激することによって末梢神経機能を特徴付けするのに使われることができ、またはそれらは、臨床的状況におけるかまたは補綴装置のための神経補充問題を克服するために電気的および/または磁気的刺激との関係で使われることができる。
図20Aは、グローブ状の装置を示すが、これは携帯電話、PDA、iPad、またはビデオゲームコントローラであることができる。末梢神経刺激は、超音波の脳への直接的印加以外のやり方で脳活動を調節する。
図20Bは、熱、冷たさ、痛み、固有知覚等の検出のための毛髪および神経末端の解剖学的描写をもった人間の皮膚の絵を示す。
【0106】
同様のやり方で、本発明の方法は、主に脳構造自体の外側にある神経であり、例えば、前庭神経、前庭蝸牛神経、および三叉神経だがそれらに限定はされない、脳神経を刺激することからなる。パルス状または連続波の超音波は、25KHzから50MHzの範囲にある音響周波数で、30mW/cm
2から1W/cm
2の範囲にある強度で、単独エレメンツまたはフェーズドアレイとして配列された空気または水とマッチしたトランスデューサーから、配送されることができる。
【0107】
例えば、超音波を使った人間または動物のユーザの末梢または脳神経活動を調節するための装置は、ユーザの身体の少なくとも一部上に置かれるように構成された物品と、物品と結合され、音響エネルギーとも呼ばれる超音波を放出するように構成された少なくとも1つの超音波トランスデューサーからなっていても良く、そこでは超音波によって接触されたユーザの身体の一部は脳ではない。物品は、グローブ、靴、衣服、スカーフ、ゲームコントローラ、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント、iPad、コンピューター、柔軟な材料、または非柔軟な材料からなっていても良い。物品は、そこに超音波が印加されるところの身体の一部に対して適応可能となるように成形されていても良い。物品に結合された1つ以上の超音波トランスデューサーがあっても良く、少なくとも1つの超音波トランスデューサーは、超音波エミッター、圧電トランスデューサー、ピエゾ複合材料トランスデューサー、ピエゾポリマー、または容量性のマイクロマシン加工された超音波トランスデューサーの少なくとも1つである。装置は、少なくとも1つの電磁波生成コンポーネントからなっていても良い。装置は、グローバルポジショニングコンポーネントからなっていても良い。装置は、少なくとも1つの超音波トランスデューサーに結合されたコントローラからなっていても良く、そこではコントローラは少なくとも1つの超音波トランスデューサーによって放出された波形とパワーを制御する。コントローラは、物品に取り付けられていても良い。コントローラは、物品とは遠隔に位置していても良い。装置は、トランスデューサーのアレイに配置された複数の超音波トランスデューサーからなっていても良い。アレイはいかなる構成であっても良く、例えば、トランスデューサーのアレイは、トランスデューサーの円形アレイであっても良い。装置は、音響エネルギーをユーザの脳中の1つ以上のサイトにフォーカスするためのコンポーネンツからなっていても良い。そのようなフォーカシングコンポーネンツは周知であり、音響ハイパーレンズまたは音響メタ材料を含むがそれらに限定はされない。音響エネルギーの強度は、およそ500mW/cm
2より少ない。音響エネルギーの強度は、およそ100W/cm
2より少ない。音響エネルギーの周波数は、0.02MHzと10.0MHzの間である。音響エネルギーの周波数は、25KHzと50MHzの間である。
【0108】
装置は、物品と結合されたおよび/または少なくとも1つの超音波トランスデューサーと結合されていても良い少なくとも1つの運動制御コンポーネントからなっていても良く、運動制御コンポーネントは、少なくとも1つのトランスデューサーのそのベースに対する向きを変えるように構成されていても良い。装置は、末梢神経の刺激のために構成されていても良い。装置は、脳神経の刺激のために構成されていても良い。例えば、装置は、脳とは区別されており、前庭神経、前庭蝸牛神経または三叉神経を含むがそれらに限定はされない、脳神経を刺激しても良い。装置は、パルス状超音波波形、連続超音波波形またはその両方を提供しても良い。
【0109】
例7 エネルギー生成
本発明の装置は、歩行のような物理的活動によって生成された機械的なエネルギーが、超音波装置を装着している人の靴中に位置するピエゾポリマーまたは圧電ファイバー複合材料を使って電気的エネルギーに変換された時に、パワーを与えられる。生成された電気的エネルギーは、装置の超音波トランスデューサーマイクロコントローラまたはその他のコンポーネンツにパワーを与えている容量性またはバッテリーエレメンツを充電または再充電する。主体の靴は、PVDFピエゾポリマーと、歩行中に生成されたエネルギーを捕捉するための3つのマイクロコントローラからなる。電気的エネルギーはそれから装置にパワーを供給し、そこではそれはキャパシターまたはバッテリーに格納される。2時間後、トレーニングを行っている間、人は超音波フェーズドアレイまたは単独エレメントトランスデューサーを働かすのに格納されたパワーを使う。
【0110】
例8
パルス状US波形の生成と特徴付け
0.5MHz(V301-SU, Olympus NDT, Waltham, MA)または0.3MHz(GS-300-D19, Ultran, State College, PA)の中心周波数を有する液浸型USトランスデューサーが、US波形を生成するのに使われた。USパルスは、Agilent 33220A 機能発生器(Agilent Technologies, Inc., Santa Clara, CA, USA)を使って方形波(0.2μs;0.5mVピーク−ピーク)の短いバーストによって生成された。方形波は、40 W ENI 240L RF 増幅器を使って、更に増幅された(50dBゲイン)。方形波は、望まれる音響周波数に応じて、0.25と0.50MHzの間で配送された。USパルスは、前記の機能発生器を第二のAgilent 33220A 機能発生器を使って生成された方形波でトリガーすることによってパルス繰り返し周波数で繰り返された。
【0111】
パルス状US刺激波形の強度特性は、校正されたニードル水中聴音器(HNR 500, Onda Corporation, Sunnyvale, CA, USA)とPCに接続されたAgilent DSO6012A 100MHzデジタルオシロスコープを使って、US圧力波によって生成された電圧トレースを記録することによって特徴付けられた。強度測定は、ターゲットにされた脳領域に対応する新鮮な生体外マウス頭部の内部のターゲットにされたポイントからなされた。経頭蓋US波形が、3.0または4.7mm(1mlシリンジ)直径のポリエチレンチューブまたは2.0mm直径の出力開口まで先細りされた5.0mm直径のチューブからなる特注デザインの音響コリメーターを使って、USトランスデューサーから健全な脳回路に送信された。コリメーティングガイドが構築されたので、脳の刺激された領域はUS送信経路の遠方場中にあって、超音波結合ゲルで充満されていた。
【0112】
校正された水中聴音器から記録された測定値を使って、パルス状US刺激波形のいくつかの音響強度特性が、出版され業界で受け入れられた標準(NEMA, 2004)に基づいて計算された。パルス強度積分(P//)は、
【数1】
【0113】
として定義され、ここでpは瞬間的ピーク圧力、Z
0はρcとして定義されたPa s/mでの特性音響インピーダンスであって、ここでρは媒体の密度であり、cは媒体中の音速である。我々は、以前の報告(Ludwig, 1950)に基づいて、脳組織についてρを1028kg/m
3、cを1515m/sと推定した。空間的ピークのパルス平均強度(/
SPPA)は、
【数2】
【0114】
として定義され、ここでPDは、AIUMとNEMA(NEMA, 2004)によって確立された技術的標準によって概要が示されている通り(t)(0.9P//-0.1P//)1.25として定義されたパルス持続時間である。
【0115】
空間的ピークの時間的平均強度(/
SPTA)は、/
SPTA = P//(PRF)として定義され、ここでPRFはヘルツでのパルス繰り返し周波数に等しい。メカニカルインデックス(MI)は、
【数3】
【0117】
生体内US刺激
アリゾナ州立大学におけるthe Institutional Animal Care and Use Committeeによって承認された動物使用プロトコルに従って、野生タイプのマウスが使われた。健全な運動皮質の経頭蓋US刺激を行うために、マウスは、腹腔内に処方されたケタミン−キシラジンカクテル(70mg/kgケタミン、7mg/kgキシラジン)を使って麻酔をかけられた。ターゲットにされた脳領域に対応する領域の上の頭部の背面上の毛は刈り取られた。マウスはそれから特注デザインかまたはCunninghamのマウス定位脳手術装置中に置かれた。固定されたコリメーターをもったUSトランスデューサーが、標準的な定位的座標を使って脳領域に対応する皮膚の上のポイントまで降ろされた。コリメーターまたはトランスデューサーはそれから、ターゲットにされた脳領域の上の皮膚の表面上に置かれ、超音波ゲルを使って皮膚と結合された。経頭蓋パルス状US刺激波形が、標準的TTLトリガリングプロトコルを使ってターゲットにされた運動皮質または海馬に配送された。デジタル信号マーカーが、US刺激波形の始まりと長さを指し示した。いくつかの実験中に、同時の電気生理学的データが取得された(下記参照)。脳活動または脳温度の生体内細胞外記録がなされた実験においてのみ、開頭術が行われた。頭蓋骨ウィンドウと電極挿入は、特定の脳領域をターゲットにした角度を付けられたUS投影ラインと隣接したサイトにおいてなされたので、それらの場合には上に横たわる皮膚によって覆われていなかったがUSはまだ頭蓋骨を通して送信されていた。マウスの頭蓋骨上のランドマークを同定するために皮膚の引っ込めを要求したいくつかのマッピング実験を例外として、全てのその他の実験は、完全に健全なマウスにおいて行われた。刺激に続いて、動物は麻酔から回復することを許容されたか、以下に記載されるように処理されたかのどちらかであった。
【0118】
細胞外記録
細胞外活動が、標準的アプローチを使ってタングステンマイクロ電極(500kΩから1MΩ、FHC, Inc., Bowdoin, ME, USA)で記録された。タングステンマイクロ電極は、定位的座標に基づいて頭蓋骨ウィンドウ(d=1.5mm)を通して記録サイトまで駆動され、電気生理学的シグネチャによって確認された。タングステンマイクロ電極は、細胞外活動を取得するために、Medusa PreAmp (RA16PA; Tucker-Davis Technologies, Aluchua, FL, USA)とマルチチャネル神経生理学ワークステーション(Tucker-Davis Technologies)かまたは16チャネルDataWave Experimenter and SciWorks (DataWave Technologies, Berthoud, CO)に接続された。パルス状USに応答した生の細胞外活動は、10秒のトライアルエポック中に24.424KHzのサンプリング周波数で取得された。MUA信号は、1.017KHzで再度サンプリングされ、0.3から6KHzの間でバンドパスフィルタがかけられ、LFP信号は、1と120Hzの間でフィルタがかけられ、広帯域活動は0.001と10KHzの間でフィルタがかけられ、ガンマ帯域活動は、40と100Hzの間でフィルタがかけられ、SWPさざ波帯域は、160と200Hzの間でフィルタがかけられた。データ分析は、その後オフラインで行われた。
【0119】
EMG記録
微細ワイヤEMG記録が、標準的アプローチと、10−1000Hzバンドパスフィルタと100xゲインが適用された4チャネル差動AC増幅器(model 1700, A-M Systems, Inc., Sequim, WA, USA)を使ってなされた。電気的干渉は、60Hzノッチフィルタを使って拒絶された。EMG信号は、Digidata 1440AとpClampかまたは16チャネルData-Wave Experimenter and SciWaorksを使って2KHzで取得された。簡潔に、テフロン(登録商標)塗膜された鋼鉄ワイヤ(California Fine Wire, Co., Grover Beach, CA, USA)の2mmの非塗膜端中に小さい棘が作られた。単独記録ワイヤがそれから、増幅器に接続される前に30ゲージの皮下注射シリンジを使って適切な筋肉中に挿入された。接地ワイヤは、同様に構築され、首の背面中に皮下的に挿入された。
【0120】
脳温度記録と推定された変化
いくつかの実験におけるUS刺激の前に、マウスの側頭骨上で小さな開頭術(d約2mm)が行われた。硬膜の除去に続いて、0.87mm直径の熱電対(TA-29, Warner Instruments, LLC, Hamden, CT, USA)が頭蓋骨ウィンドウを通して運動皮質中に挿入された。熱電対は、pClampを使って温度(校正された電圧信号=100mV/℃)を記録するために、監視装置(TC-324B, Warner Instruments)とDigidata 1440Aに接続された。
【0121】
脳温度変化上へのUS刺激波形の影響は、短い露出時間について有効な以前に記載された方程式の組(O’Brien, 2007)を使って推定された。簡潔に、最大温度変化(ΔTmax)は、
【数4】
【0122】
と推定され、ここでΔtはパルス露出時間であり、C
vは脳組織についての比熱容量約3.6 J/g/K (Cooper and Trezek, 1972)であり、QはNyborg(1981)によって定義された熱が生成されるレート:
【数5】
【0123】
であり、上記の通りpは媒体の密度であってcは媒体中の音速であり、aは脳の吸収係数(0.5MHzのUSについては約0.03 Np/cm;Goss et al., 1978)であり、p
0はUS刺激波形の圧力振幅である。
【0124】
データ分析
全ての電気生理学的データ(MUA、LFPおよびMEG)は、Matlab (The Mathworks, Natick, MA, USA)またはClampfit (Molecular Devices)で特注で書かれたルーティンを使って処理され分析された。単独スパイクは、標準的閾値ウィンドウを使って分離された。超音波波形特性は、水中聴音器電圧トレースとMatlabおよびOrigin (OriginLab Corp., Northampton, MA, USA)で特注で書かれたルーティンを使って分析された。全ての組織学的な共焦点の送信された光画像が、ImageJ (
http://rsb.info.nih.gov/ij/) を使って処理され分析された。電子顕微鏡データもまたImageJを使って定量化された。全ての統計的分析は、SPSS (SPSS, Inc., Chicago, IL, USA)を使って行われた。示されたデータは、そうではないと示されていない限り平均±SEMである。
【0125】
例9 パルス状超音波刺激波形の構築と健全な脳回路中への送信
US刺激波形が、構築されて、麻酔をかけられたマウスの健全な脳中に送信された(n=192;
図11A)。経頭蓋送信と脳吸収の間の最適ゲインは、音響周波数(f)<0.65MHzにおけるUSについて起こる(Hayner and Hynynen, 2001; White et al., 2006)。ここで経頭蓋刺激波形は、f=0.25−0.50MHzを有するUSで構築された。US刺激波形の強度特性は、業界標準とthe American Institute of Ultrasound Medicine, the National Electronics Manufaturers Association, およびthe United States Food and Drug Administration (NEMA, 2004;上記を参照)によって開発された、出版された方程式に基づいて計算された。
【0126】
単独USパルスは、0.16−0.57ms続くパルス持続時間(PD)についてパルス当り80と225音響サイクル(c/p)の間を含んでいた。単独USパルスは、26と333msの間の範囲にある総刺激持続時間について、21−163mW/cm
2の空間的ピークの時間的平均強度(/
SPTA)を生成するために、1.2から3.0KHzの範囲にあるパルス繰り返し周波数(PRF)で繰り返された。パルス状US波形は、0.070−0.097MPaのピーク疎密圧力(pr)と、0.017−0.095mJ/cm
2のパルス強度積分(P//)と、0.075−0.229W/cm
2の空間的ピークのパルス平均強度(/
SPPA)を有した。
図11Aと11Bは、経頭蓋パルス状USで健全な脳回路を刺激するために開発された戦略を描いている。マウスの毛、皮膚、頭蓋骨および硬膜を通した伝播のよるUSの減衰は、<10%であり(
図11C)、報告された全ての強度値は、ターゲットにされている脳回路に対応する位置において新鮮な生体外マウス頭部の内部にマイクロマニピュレーターと共に配置された校正された水中聴音器を使って取得されたUS圧力測定値から計算された。
【0127】
例10 パルス状超音波を使った健全な脳回路の機能的刺激
健全な運動皮質上へのパルス状USの影響は、それが脳活性化の電気生理学的および振舞い的な測定を可能とするので研究された。麻酔をかけられたマウス中の記録位置まで、/
SPTA=36.20mW/cm
2を有するパルス状US(0.35MHz、80c/p、1.5KHz PRF,100パルス)が音響コリメーター(d=4.7mm)を通して送信される間に、局所場電位(LFP)とマルチユニット活動(MUA)が一次運動皮質(M1)中で記録された(n=8;
図12Aと12B)。パルス状USは、−350.59±43.34μV(
図2B、各々25回試行)の平均振幅でM1においてLFPをトリガーした。LFPは、皮質スパイクの周波数の増加と関連付けられた(
図12Cと12D)。このパルス状USによって誘起されたスパイキングの増加は。刺激始まりの50ms以内では一時的に正確で明白であった(
図12D)。見つけられたパルス状US波形の幅広い範囲は、以下で説明するように健全な脳回路を刺激することも等しく可能であった。M1(n=4マウス)へのTTX(100μM)の印加は、皮質活動中のUSで誘起された増加を減衰させ、経頭蓋USが活動電位によって仲介された神経活動を刺激したことを指し示した(
図12B)。これらのデータは、パルス状USが健全な脳回路中のニューロン活動と活動電位を直接刺激するのに使われることができることの証拠を提供した。
【0128】
微細ワイヤ筋電図(EMG)と、そのままの皮膚と頭蓋骨中の運動皮質のUS刺激に応答した筋肉収縮のビデオが、麻酔をかけられたマウス中で取得された。運動皮質を刺激するために経頭蓋USを使って、筋肉収縮と動きはテストされたマウスの92%において誘起された。運動皮質のUS刺激によってトリガーされた筋肉活動は、自然発生した筋肉痙攣中に取得されたものと同様のEMG応答を生成した(
図13A)。
【0129】
マウスの皮膚に直接結合されたトランスデューサーを使う時、経頭蓋USでの両側性刺激は、尻尾、前肢、および髭の動きによって示された、いくつかの筋肉群のほぼ同時の活性化を生成した。d=2.0、3.0、または4.7mmの出力開口を有する音響コリメーターを使用することによって、および主体内の運動皮質上でトランスデューサーまたはコリメーターの位置付けに小さな(約2mm)調整をすることによって、分離された筋肉群の活動が差動的に誘起された。これらの興味深い観察にも拘らず、脳刺激のためのUSを使ってマウスの運動皮質の詳細なマップを信頼性をもって生成することは困難であった。この困難の尤もらしい説明は、マウスの皮質上に表わされた異なる運動エリアの局所解剖学的/空間的分離が、USの解像度限界より下であったことである。
【0130】
例11 運動回路応答特性上へのUS脳刺激パラメータの影響
運動皮質を両側性でターゲットにした時には、/
SPTA=64.53mW/cm
2を有するパルス状US(0.50MHz、パルス当り100サイクル、1.5KHz PRF、80パルス)は、尻尾痙攣と、22.65±1.70ms(n=26マウス)の平均応答待ち時間で腰仙尾側、背側、外側筋肉中のEMG活動をトリガーした。コリメーター(d=3mm)を使って運動皮質のターゲットにされた領域に片側性で送信された時には、/
SPTA=42.90mW/cm
2を有するパルス状US(0.35MHz、80c/p、2.5KHz PRF、150パルス)は、20.88±1.46ms(n=17マウス)の平均応答待ち時間で対側性上腕三頭筋中のEMG応答をトリガーした。ほぼ同一の応答待ち時間(21.29±1.58ms)をもって、同側性上腕三頭筋の活性化もまたこれらの片側性刺激の場合の約70%において観察された。試行から試行で一貫しているが(
図13B)、US脳刺激によって生成されたEMG応答待ち時間は、運動皮質を刺激するために光学遺伝子的方法と頭蓋内電極を使って得られたものよりも約10ms遅かった(Ayling et al., 2009)。いくつかの報告は、TMSもまた頭蓋内電極で得られたものよりも遅い応答待ち時間を生成することを示す(Barker, 1999)。脳刺激の電気的方法とUS方法の間で観察された応答待ち時間のなかの食い違いは、おそらくそれらの方法が脳回路上にインパクトを与えるところの時間変動するエネルギープロファイル中の違いによるものである。各脳刺激方法を仲介することに責任があるアクションの基礎となるコアメカニズムは異なる応答時間に影響を与える可能性の高い追加のファクターである。
【0131】
USで誘起された運動応答を得る際のベースライン失敗レートは、複数の刺激試行が50分までの期間について4−10秒毎に一回で繰り返された時には<5%であった。(
図13B)。急性の実験において応答待ち時間について観察された通り、経頭蓋パルス状USによって誘起されたEMG応答のピーク振幅は、試行回数に渡って安定であった(
図13B)。より慢性的な状況では、繰り返されたUS刺激実験は、毎日12−15分間0.1Hzの試行繰り返し周波数を使って0日目、7日目および13日目に個別の主体(n=5マウス)内で行われた。これらの実験では、日に跨ってUSで誘起されたEMG応答のピーク振幅に差はなかった(0日目の平均ピークEMG振幅=40.26±0.99μV、7日目=43.06±1.52μV、14日目=42.50±1.42μV;ANOVA F2 1303=1.47, p=0.23;
図14A)。これらのデータは、数分(
図13B)から数週に渡る複数期間に跨って脳回路活動を成功裡に刺激することの経頭蓋USの能力を実証する。
【0132】
8匹のマウス中のEMG失敗レートを検査することによって、運動活性化を達成することの成功は、刺激試行がより素早く立て続けに繰り返された時に影響を受けたことが研究された。平均EMG失敗確率は、US刺激配送のレートが0.25から5Hzに増加するにつれて顕著に増加した(p<0.001)(
図13C)。これらのデータは、USでの脳刺激は、5Hzより上の刺激周波数においては有用ではないかもしれないことを示唆する。
【0133】
TTXの運動皮質への印加は、EMG活動をブロックしたので、それは、パルス状USは皮質活動電位が周辺筋肉収縮を駆動することをトリガーすることを指し示している(n=4マウス;
図13D)。研究されたUS刺激の強度は、<500mW/cm
2であり、機械的生体効果は熱的効果が存在しないところで良く文献化されている(Dalecki, 2004; Dinno et al., 1989; O’Brien, 2007; ter Haar, 2007)。これらの観察を脳組織中で確認するために、異なるパルス持続時間(PD)を有するUS波形に応答した運動皮質の温度が監視された。生物学的組織中におけるUSの熱的吸収を推定するための方程式は、PD時間が、熱生成のために極めて重要なファクターであることを指し示し(O’Brien, 2007)、0.57msのPDについて0.097MPaのρrをかける0.5MHzのUSパルスは、脳中に2.8×10
−6℃の温度上昇を生成すべきであると予測する。この研究で使われた全てのUS刺激波形は、ρr値<0.097MPaとPD時間<0.57msを有していた。皮質を刺激するために使われたUS波形はいずれも、我々の0.01℃の解像度限界内で皮質温度の顕著な変化を引き出さなかった(
図13E)。0.1MPaのρr値とPD時間>50msをもったUSパルスが、0.02℃の名目上の温度変化(ΔT)を生成するのに要求された(
図13E)。
【0134】
研究された範囲に跨る音響周波数と強度は、マウス(n=20)の上腕三頭筋からのUSで誘起されたEMG応答に影響を与えた。運動皮質は、異なるUS周波数(0.25、0.35、0.425、および0.5MHz)から構成され、様々な強度を有する20個の区別されたパルス状US波形を使って刺激された。どの異なる波形のシーケンスが使われたかは、順序効果を避けるために個別の刺激試行においてランダム化された。動物に跨るEMG振幅の相対的比較は、電極配置、そこから記録されたファイバーの数、ノイズレベルの変動、および主体間変動性を削減するために正規化技術を使って扱われることができる差動的ファイバー補充を含んだ、多くのファクターによって影響されることができる。動物に跨って同じダイナミックレンジを有するUSで誘起されたEMG応答を検査するため、個別のEMG応答のピーク振幅が1つの動物について得られた最大ピーク振幅EMGに対して正規化され、その最小ピーク振幅EMG応答が0を通るようにした。2ウェイANOVAは、EMG振幅上へのUS周波数の顕著な主要効果を明らかにし、より低い周波数はよりロバストなEMG応答を生成した(F3 1085=3.95, p<0.01;
図14A)。2ウェイANOVAはまた、EMG振幅上への強度(/
SPTA)の顕著な主要効果も明らかにし(F19, 1085=9.78, p<0.001;
図14B)、より低い強度がよりロバストなEMG応答をトリガーしたことを指し示している。2ウェイANOVAはまた、顕著な周波数×強度相互作用も明らかにし(F3, 1085=7.25, p<0.01;
図14C)、ニューロン活動上のUS波形の差分効果を周波数と強度の関数として指し示している。EMG応答待ち時間は、周波数または強度のどちらによっても影響を受けなかった(データは示されていない)。
【0135】
例12 経頭蓋パルス状超音波での脳回路活性化の空間的分布
USで誘起された活動の空間的分布を特徴付けるために、c−fos(n=4マウス)に対する抗体を使って機能的活動マップが構築された。データ解釈を容易にするために、比較的平面状の表面と顕著な皮質下構造を有する健全な脳組織が刺激された。音響コリメーター(d=2mm)が、定位的座標を使ってブレグマの−1.2mmから−3.2mmまでの右半球と中線の0.5mmから2.5mm横を覆う頭蓋骨の上を中心にして置かれた(
図15A;Franklin and Paxinos, 2007)。より大きなコリメーターは脳活性化のより大きなエリアを生成することが期待されるので、脳刺激方法の最小解像度を特徴付けるために最も小さい直径のコリメーターが使われた。/
SPTA=36.20mW/cm
2を有するパルス状US(0.35MHz、50c/p、1.5KHz PRF、500パルス)が、30分間2秒毎に一回、下に横たわる脳領域を通して正中面に平行な垂直軸に沿って送信された。45分間の回復期間に続いて、マウスは犠牲にされてそれらの脳は組織学のために採取された。
【0136】
ブレグマの+0.25mmから−4.20mmに渡る脳領域からの冠状セクションが用意された(
図15A)。125μm毎に間隔を空けられた個々のセクションはそれから、c−fosに対する抗体を使って免疫標識され、送信された光の顕微鏡写真を使って撮像された。250×250μmの二乗中のc−fos+細胞密度が冠状セクション全体について定量化され、組織収縮について補正され、マウス脳アトラス板を使って250×250μmピクセル中のc−fos+細胞密度をそれらの対応する解剖学的位置上にプロットすることによって脳活動マップに展開された(Franklin and Paxinos, 2007)。代表的な生データと、視覚化の目的で擬似色ルックアップテーブルを使ってc−fos+細胞密度を符号化している機能的活動マップが、
図15B−15Dに示されている。吻側−尾側脳軸に沿ったパルス状USの横方向解像度は、各冠状セクションについて背側皮質(0.25−1.0mm深さ;中線の0.75−1.50mm横)の領域を分析することによって推定された(
図15A−15D)。動物に跨って崩壊した各250×250μmの二乗の領域について平均c−fos+細胞密度を比較しているANOVAは、パルス状USがc−fos+細胞の密度の顕著な増加を生成したことを明らかにした(ANOVA, F646=73.39, p<0.001;US刺激=19.82±0.36セル/6.25×10
−2mm
2と比較して対側性コントロール半球平均c−fos+細胞密度=16.29±0.20セル/6.25×10
−2mm
2)。刺激されたものに対する対側性コントロール皮質の後続のペア毎の比較は、US刺激が、2.0mm直径の刺激ゾーンの下で吻側−尾側軸(ブレグマの−1.38mmから−2.88mm)に沿った1.5mm領域についてc−fos+細胞密度の顕著な増加を生成したことを明らかにした(
図15E)。背側皮質の中心−側軸に沿った同様の分析は、刺激ゾーンの下で脳組織の2.0mm幅の領域についてc−fos+細胞密度の顕著な増加(p<0.05)を明らかにした。持ち上げられたc−fos+細胞密度の不鮮明化が、刺激ゾーンの横で観察され、それは音響コリメーター中の非線形性、活動の皮質間の横方向の広がり、および/または我々のコリメーターの位置付けにおける僅かな横方向の変動に帰する
ことができる。
【0137】
刺激ゾーン(0.5−2.5mm中心から横;ブレグマの−1.2から−3.2mm)内の背側−腹側軸に沿ったパルス状USの効果を検査することにより、c−fos+細胞の密度は、組織の表面の1.0mm中の対側性コントロールと比較して顕著により高い(p<0.05)ことが見つけられた。刺激された半球のいくつかのより深い核中により高いc−fos+細胞密度の傾向があった一方で、1つの顕著な違いだけが深部脳領域中に観察された。
【0138】
より高いc−fos+細胞密度は頭蓋底近くで全体的に観察されたので、ここの持ち上げられたc−fosは、定在波または反射によって生成されていたかも知れない。脳組織中のUSの透過/吸収特性のために、刺激された領域の背側−腹側軸に沿って一様に持ち上げられたc−fos+レベルが観察されることが期待されていた。これらのマッピング研究においてUSでターゲットにされた2.0mm直径の皮質エリアの>1.5mmについては、約1mmよりも深い領域は、脳中の密集した白い物質の束(脳梁)に対して腹側であった。興味深いことに、有髄でないC−ファイバーは、有髄であるA∂ファイバーよりもUSに敏感であることが示されている(Young and Henneman, 1961)。皮質下領域中のUSで誘起された活動を効果的にブロックすることで、実装されたUS送信経路の関数としてのこれらのマッピング研究では、低強度のUS場は密集した白い物質の束によって吸収/散乱されているかも知れないと考えられた。異なるターゲット設定アプローチを採用することによって経頭蓋USで皮質下脳領域を刺激することが可能であった。
【0139】
例13 経頭蓋パルス状USを使った健全なマウスの海馬の遠隔刺激
パルス状US波形は海馬スライス中に活動電位とシナプス伝達を引き出すことが示されていた(Tyler et al., 2008)ので、深部脳回路の皮質下刺激の問題に対処するために、健全なマウスの海馬が使われた。背側海馬(n=7マウス)のCA1錐体細胞層(s.p.)細胞体層中のUSで誘起された活動の細胞外記録が行われた。密集した白い物質の束によるUS場の電位分断に関する観察に駆り立てられて、パルス状USを海馬に送信する時に、脳梁の密集した白い物質をバイパスするターゲット設定アプローチが使われた。
【0140】
正中面に沿って垂直軸から50°に音響コリメーターを配置することによって、脳を通したUS送信の角度を付けられたラインが使われた。コリメーター(d=2mm)の出力開口は、ブレグマの−4.5mmと中線の1.5mm横の上を中心にして片側性に置かれた(
図16A)。30°のアプローチ角が、ブレグマの約−1.0mmを中心にした頭蓋骨ウィンドウ(d=1.5mm)を通して海馬のCA1 s.p.領域にタングステンマイクロ電極を駆動するのに使われた(
図16A)。/
SPTA=84.32mW/cm
2を有するパルス状US(0.25MHz、パルス当り40サイクル、2.0KHz PRF、650パルス)が、−168.94±0.04μV(各々50回試行)の平均振幅と刺激の始まりから123.24±4.44msの平均応答待ち時間で初期LFPを信頼性をもってトリガーした(
図16B)。この初期LFPは、<3秒続く後放電活動の期間によって続かれた(
図16B)。これらの短命の後放電は、癲癇発作中に観察されたような異常な回路活動を反映するようには見えなかった(Bragin et al., 1997; McNamara, 1994; Racine, 1972)。事実、10秒より長く続く海馬後放電は、発作活動を指し示すものである(Racine, 1972)。
【0141】
パルス状USは、1.73±0.12秒続くスパイク周波数の顕著な(p<0.01)増加を生成した(
図16B)。海馬のCA1領域中の自然な活動パターンは、ガンマ(40−100Hz)、鋭波(SPW)「さざ波」(160−200Hz)および動物の特定の振舞い状態を反映したその他の周波数帯域の振動を顕示する(Bragin et al., 1995; Buzsaki, 1989, 1996; Buzsaki et al., 1992)。CA1中の鋭波さざ波(約200Hzにおける約20ms振動)は、CA1錐体ニューロンの小さな個体数の同期されたバーストから結果としてなり(Buzsaki et al., 1992; Ylinen et al., 1995)、振舞っているげっ歯類中の記憶格納の基礎をなすことが最近示されている(Girardeau et al., 2009; Nakashiba et al., 2009)。他方、海馬のCA1領域中のガンマ振動の帰結はそれほど良く理解されていないが、抑制性介在ニューロンの固有の振動する性質に由来するものと信じられている(Bragin et al., 1995; Buzsaki, 1996)。パルス状USによって誘起された広帯域(1−10,000Hz)活動パターンの周波数成分を分解することによって、全ての後放電は、ガンマ振動と<3秒続くSWPさざ波振動の両方を含んでいたことが見つけられた(
図16C)。これらのデータは、パルス状USが、本質的な海馬回路の明確に区別できる特徴である同期的活動パターンとネットワーク振動を誘起しながら、健全なマウスの海馬を刺激したことを実証した。
【0142】
脳由来の神経栄養因子(BDNF)は、海馬可塑性の最もよく効く神経調節物質の1つであり、その発現/分泌は、ニューロン活動によって調整されていることが知られている(Lessmann et al., 2003; Poo, 2001)。海馬中のBDNF蛋白質の発現レベルが、パルス状USでの経頭蓋刺激に続いて検査された。マウス(n=7)の片側海馬がターゲットにされて、/
SPTA=36.20mW/cm
2を有するパルス状US(0.35MHz、パルス当り50サイクル、1.5KHz PRF、500パルス)で30分間2秒毎に刺激された。45分の回復期間に続いて、マウスは犠牲にされて、それらの脳が取り外され、セクションに分けられ、BDNFに対する抗体で免疫標識された。パルス状USは、CA1 s.p.中のBDNF+斑点の密度に顕著な増加を誘発した(0.61mm
2CA1領域/マウスから対側性コントロール=149.64±11.49BDNF+斑点/7.5×10
−2mm
2に対して、0.61mm
2CA1領域/マウスからUS刺激=221.50±8.75BDNF+斑点/7.5×10
−2mm
2;tテスト、p<0.001;
図16D)。同様の顕著な増加が、CA3 s.p.領域中で観察された(0.61mm
2CA3領域/マウスから対側性コントロール=206.20±19.68BDNF+斑点/7.5×10
−2mm
2に対して、0.61mm
2CA3領域/マウスからUS刺激=324.82±27.94BDNF+斑点/7.5×10
−2mm
2;tテスト、p<0.005;
図16D)。これらのデータは、パルス状USが、健全なマウスの海馬中のニューロン活動を遠隔的に刺激するのに使われることができることを実証した。パルス状USによって生成された増加した同期的活動と持ち上げられたBDNF発現パターンは、経頭蓋USが、内在的脳可塑性を促進するのに使われることができることを示す。
【0143】
例14 認知行為の調節
図17を参照すると、認知行為を調節するための刺激方法が行われた。マウス(n=4)が、
図17Aに示されたパルスパラメータを使って経頭蓋超音波で5分間刺激され、またマウス(n=3)が見せかけで治療された。マウスは、1分間休息することが許容され、それからそれらは隠されたプラットフォームをもったMorris Water Maze(MWM)中に置かれて、a)それらが脱出プラットフォームを見つけるかまたはb)3分間が経過する、までMWM中で泳ぐことが許容され、その時点でそれらはプラットフォームに移動させられた。マウスはそれから、合計で連続した3日間に1日当り4回の試行のために刺激または見せかけ手順を再度受ける前に30分間休息した。4日目には、マウスは刺激されたり見せかけで治療されたりせず、プラットフォームが取り除かれているMWM中に置かれた。正しい象限中で泳ぐことにマウスが費やした時間が記録された。正しい象限中でのより長い時間は、どこに脱出プラットフォームが位置していたかのより良い記憶を示していた。
図17Bの一番右のプロットに示されるように、刺激されたマウスは正しい象限中でより少ない時間を費やし、どこにプラットフォームがあったかを見せかけのマウスほど良くは学習しなかったか覚えていなかったことを示している。左から最初の2つのプロット(
図17B)は、刺激されたマウスが数日に跨って脱出プラットフォームを見つけるのにより長くかかることを示す(一番左のプロットは損なわれた学習を示す)。刺激された動物についての一番左のより遅いタスク取得曲線は、より速い取得曲線を有した見せかけコントロールと比較して、マウスがタスクを学習するのにより長くかかったことを示す。数日内の試行毎のデータをより詳しく検査すると(中央プロット)、刺激されたマウスは、試行から試行へまたは日から日へ、どこにプラットフォームがあったかをコントロールマウスほど良くは覚えていなかった。一番左の2つの図は、超音波での脳刺激によって誘起された学習および記憶の妨害のために、刺激されたマウスが脱出プラットフォームの場所をつきとめるのにより長くかかったことを示す。より特定には、
図17B中のデータは、文脈に依存した空間的学習タスクの直前に、タスクの文脈が無いなかで海馬刺激を受けているマウスが、見せかけコントロールほど良くは遂行できなかったことを示す。データは、最適に行うために特定の脳波活動パターンを要求するタスクにぎりぎり間に合うように配送された海馬のパルス状超音波刺激が、脳波活動のマスクパターンを提供することにより認知を断絶するのに使われたことを示した。そのような戦略は、パルス状超音波の使用が、学習および記憶のような認知プロセスを断絶することを可能とすることができる。ここに記載された様々な実施形態の脳調整装置は、正常な認知を断絶することを含むがそれに限定はされない認知プロセスを調節するために、健全な海馬および関連付けられた脳領域にパルス状超音波を配送するのに使われることができる。これらのデータは、パルス状超音波が、認知プロセスを強化するまたは学習および記憶を向上するために、ここに開示された脳調整装置を通して配送されることができることを示す。発明の一側面は、学習および記憶が向上されるように、シナプスの強度を増加するための慢性的に繰り返された超音波刺激の使用からなる。本発明の方法は、海馬をターゲットにした超音波を配送し、脳機能と行為を調節することの望まれた必要に応じて、学習および記憶を妨害するおよび/または強化することによって認知行為を調節するための脳調整装置の使用からなる。
【0144】
例15 認知プロセスを強化するための超音波の使用
図18を参照すると、ここに開示された方法が、認知プロセスを強化するために使われた。経頭蓋超音波が、学習および記憶のような認知プロセスを非侵襲的に強化するために使われた。パルス状超音波は、海馬の可塑性と学習および記憶の基礎をなすことが知られているガンマおよび鋭波さざ波帯域で同期振動を駆動することによって、健全な海馬を刺激することができる。
【0145】
経頭蓋超音波は、海馬中のBDNF信号伝達を上向きに調整することができる。BDNFは、脳可塑性の最もよく効く調節物質の1つである。学習して覚えるためには、脳活動の非常に特定の時間的パターンが要求される。パルス状超音波でのそのようなパターンの断絶が、訓練タスクに非常に近い時間において超音波を使った脳調整装置で脳が刺激された時に起こった。認知を強化するために、マウス(n=3)の健全な海馬が、マウスがMorris Water Mazeタスクで訓練を受ける前の7日間1日当り5分間の間、USで刺激された。超音波パラメータについては
図18Aを参照。マウスは訓練の直前にはUSで刺激されず、代わりマウスは訓練の前の1−7日目だけ刺激された。8日目には、マウスはMWMタスクで訓練された。
図18Bの左のラインプロットに示されるように、刺激を受けているマウスは、見せかけコントロール(n=3)よりも速くMWMタスクを学習した。更には、4日目に脱出プラットフォームが取り除かれた時に正しい象限中で費やされた時間(ヒストグラム右)によって示されるように、刺激されたマウスは、どこにプラットフォームがあったかを見せかけコントロールよりも良く覚えていた。
【0146】
例16 癲癇重積持続状態(SE)のための非侵襲撃的超音波神経調節
従来の抗癲癇薬に対して治療抵抗性の癲癇重積持続状態(SE)は典型的には、弱々しい予後をもつけれども、もし発作を終了させることができれば患者はよく回復し得る。SEをもった患者の40%近くは、治療法の最初のラインには治療抵抗性である。
【0147】
最近の先駆的研究は、健全な脳回路活動を遠隔的に調節することにおけるパルス状超音波の能力を描写しており(Tufail et al., 2010)、それはその全体がここに組み込まれる。経頭蓋パルス状超音波(TPU)はまた、損害や脳温度の上昇を生成することなく、高周波数およびガンマ帯域の健全な海馬振動を同期することができる(Tufail et al., 2010)。いかなる特定の理論によっても束縛されることを望んでいないが、癲癇性発作は或る脳回路の暴走する興奮に起因すると考えられており、電気的および磁気的脳刺激が電位記録法的発作活動を終了することが可能であることが示されている(Andrews, 2003; Hamani et al., 2009)ので、パルス状または連続波のUS刺激は、SEと関連付けられた異常な活動と干渉するかまたはそれを停止するのに使われることができる。
【0148】
図19は、経頭蓋パルス状超音波が、神経学的疾病を研究および/または治療するために脳活動を調節するのに使われることができることを描いている。(A)は、5秒間連続波モードで正常なマウスの脳に配送された経頭蓋超音波刺激に応答したEMG記録を示す。連続波経頭蓋超音波によって刺激された脳活動パターンは、癲癇性発作活動中に観察されたものを指し示すものである。そのような発作活動パターンは、連続波超音波での脳組織の経頭蓋刺激に応答したEMGトレースによって示されるように、脳刺激の始まりに続いて10秒またはそれより長い間起こることが知られている。そのような発作活動パターンを誘起することは、疾病したかまたはしやすい回路をマッピングすることによって、および機能不全の脳活動を治療するために有用な薬理学的化合物または遺伝子についてスクリーニングするために異常な脳活動パターンを調節するのに超音波を使うことによって、癲癇を研究するのに役に立つことができる。連続波超音波でトリガーされたパネル(A)中のデータは、経頭蓋超音波が、使われた超音波刺激波形に応じておよび望ましい結果に応じて、脳活動に影響を与えることができることを示した。(B)マウスが、癲癇の標準モデルを作成するためにカイニン酸を注入された直後に左に示されている。癲癇性発作活動の始まりの前(右上)と後(右下)のEMG活動が描かれている。右下のEMGトレースは、右上の発作前のトレースと比較して増加した執拗なEMG活動によって示されるように、発作活動の存在を示す。(C)経頭蓋超音波で達成された脳刺激が癲癇のマウスモデル中の発作活動を終了するのに使われたことを示しているEMGトレースである。4つの異なる例(
図19C)は、経頭蓋超音波刺激波形の配送のすぐ後の減少するEMG振幅によって示されるように、経頭蓋超音波の配送が顕著な発作活動を素早く弱めることが可能であったことを描いている。フォーカスされたおよび/またはフォーカスされていない超音波の、疾病した脳活動上へのそのような効果は、視覚的にかまたはEEGまたはEMG活動によって検出された発作に応答して手動で処方されることができる。
【0149】
本発明の一実施形態では、超音波の脳への配送のためのここに開示された方法と装置は、EEG、EMG、MEG、MRIまたはその他の脳活動の読み出しによって検出された発作活動に応答して脳にUSを提供するために、自動的に制御されることができる。SEのような異常な脳活動を調節するために超音波を使うことの利点は、それが素早く非侵襲的であることである。ここで癲癇性発作活動を治療するために教示されたように、素早い応答時間とフォーカスされたかまたはフォーカスされていない超音波のどちらかで疾病した脳回路を治療するための速い能力は、損傷した脳から起きてくる興奮毒性またはその他の新陳代謝機能不全を防止するためのその素早い介入により、生命を救う治療を提供するかまたは、向上された回復結果に繋がり得る。癲癇、または軽症あるいは重症の外傷性脳損傷によって患われているもののようなその他の疾病あるいは損傷状態の治療のために提供された時、超音波は、異常な脳活動を減少させるかまたは神経保護的因子活動を増加させるための治療の最初のラインを提供することができる。疾病したかまたは損傷した脳の治療のための超音波は、救急応答要員によって、または救急室、手術室、医師のオフィス、戦場医療クリニック、医療施設への搬送中、または事故の現場における神経的救命救急診療状況において、配送されることができる。ここで、癲癇のデータは、恩恵を提供するように素早い応答のやり方で脳活動を調節するために、超音波が頭部に素早く印加されることができるところの疾病の、単なる一例として使われている。