(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061681
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 77/04 20060101AFI20170106BHJP
B65D 1/00 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
B65D77/04 F
B65D1/00 120
【請求項の数】5
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-550965(P2012-550965)
(86)(22)【出願日】2011年12月27日
(86)【国際出願番号】JP2011080172
(87)【国際公開番号】WO2012090990
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2014年9月17日
(31)【優先権主張番号】特願2010-289331(P2010-289331)
(32)【優先日】2010年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-67210(P2011-67210)
(32)【優先日】2011年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100107205
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 秀一
(72)【発明者】
【氏名】菅原 博勝
(72)【発明者】
【氏名】森谷 始旦
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 真一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 実智昭
【審査官】
佐野 健治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−097399(JP,A)
【文献】
特開平11−348998(JP,A)
【文献】
特開2003−292534(JP,A)
【文献】
特開平11−348960(JP,A)
【文献】
特開2004−099082(JP,A)
【文献】
特開2010−235152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/04
B65D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤を含有する内容物を収納する合成樹脂製の延伸ブロー成形容器と、該延伸ブロー成形容器の口首部に装着された栓体と、該延伸ブロー成形容器の全体をその周囲に遊びを持たせた状態で包み込む外装袋とからなり、前記容器を自立させて陳列可能な包装体であって、
前記延伸ブロー成形容器は、容量が1000ml以下であり、自立載置部を備える底部と、内容物を注出させる口首部と、底部と口首部との間の胴部とを含んで形成されており、前記外装袋には加飾が施されており、
前記延伸ブロー成形容器は、詰め替え容器であり、
前記胴部は、前記口首部を下方に配置した容器の倒立状態で、内部に充填収納した内容物を、注出口を介した空気置換によることなく、前記胴部自体を収縮変形させながら注出させることが可能な可撓性を備えており、
前記胴部の肉厚は、50〜150μmとなっている包装体。
【請求項2】
前記内容物の界面活性剤濃度が15〜80重量%である請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記延伸ブロー成形容器が延伸ブロー成形された単層容器である請求項1又は2に記載の包装体。
【請求項4】
前記延伸ブロー成形容器がポリオレフィン樹脂からなる請求項1又は2に記載の包装体。
【請求項5】
被詰め替え容器に装着される注出キャップは、容器本体の口首部の内周面に沿って配置される内筒壁と、該内筒壁の下端部に連設する底面壁と、該底面壁から立設する注出スパウトとを備え、前記延伸ブロー成形容器の口首部に装着された栓体が前記スパウトの先端部によって挿し込まれて開栓する請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収納する合成樹脂製の延伸ブロー成形容器と、該延伸ブロー成形容器を包み込む外装袋とからなる包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の液体や、その他の内容物を収納する合成樹脂製の容器についても、環境負荷の低減が図られるようになっており、使用する樹脂量を減らした薄肉の容器が種々開発されている(例えば、特許文献1参照)。また、各種の洗剤や食品等を収納する容器として、スタンディングパウチ等による詰め替え容器が多く用いられている。詰め替え容器は、収納した内容物を、注出ノズル等による注出部を備える被詰め替え容器に詰め替えたり補充したりすることで、高価な被詰め替え容器をその都度廃棄することなく、長期間使用できるようにする(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
一方、内容物を収納する合成樹脂製の容器の胴部を薄肉にすればする程、保形剛性が損なわれると共に強度が低下し、また容器の外周面にラベル等による広告や説明書きのための加飾を施すことが困難になる。例えば容器の胴部に補強用のリブを設けて保形剛性や強度を向上させたとしても(例えば、特許文献3参照)、薄肉に形成される胴部の薄さには限界があった。
【0004】
また、例えば内容物として界面活性剤を主成分とした溶液を容器に収納した場合、内容物の温度が充填時よりも低下してヘッドスペースや液体の体積が減少したり、内部に残存する空気中の酸素を内容物が吸収したりして、容器の内部が負圧になると、容器が内側に容易に変形し、外観を著しく損なうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−308598号公報
【特許文献2】特開2010−132339号公報
【特許文献3】特開2006−16076号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、界面活性剤を含有する内容物を収納する合成樹脂製の延伸ブロー成形容器と、該延伸ブロー成形容器の口首部に装着された栓体と、該延伸ブロー成形容器の全体をその周囲に遊びを持たせた状態で包み込む外装袋とからなり、容器を自立させて陳列可能な包装体(詰め替え用包装体)である。延伸ブロー成形容器は、自立載置部を備える底部と、内容物を注出させる口首部と、底部と口首部との間の胴部とを含んで形成されており、外装袋には加飾が施されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい一実施形態に係る包装体の構成を説明する斜視図である。
【
図2】
図2は、延伸ブロー成形容器及び栓体の斜視図である。
【
図3】
図3は、延伸ブロー成形容器に収納した液体洗剤を被詰め替え容器に詰め替える状況を説明する略示斜視図である。
【
図4(a)】
図4(a)は、栓体の拡大斜視図である。
【
図4(b)】
図4(b)は、栓体の拡大側面図である。
【
図5】
図5は、延伸ブロー成形容器に収納した液体洗剤を被詰め替え容器に詰め替える状況を説明する略示斜視図である。
【
図6(a)】
図6(a)は、包装体の突き刺し試験の説明図である。
【
図6(b)】
図6(b)は、包装体の突き刺し試験の説明図である。
【
図6(c)】
図6(c)は、減圧変形度の評価結果を示すチャートである。
【
図7】
図7は、注出スパウトを備える注出キャップの構成を説明する斜視図である。
【
図8】
図8は、注出スパウトに対して栓部材が誤った方向に装着されるのを阻止する状況を説明する要部斜視図である。
【
図9】
図9は、注出スパウトに対して栓部材が正しく位置決めれて装着された状況を説明する要部斜視図である。
【
図10(a)】
図10(a)は、他の実施形態に係る栓体の上面図である。
【
図10(b)】
図10(b)は、他の実施形態に係る栓体の側断面図である。
【
図11】
図11は、他の実施形態に係る栓体を注出スパウトに装着する状況を説明する側断面図である。
【0008】
従来から用いられているスタンディングパウチは多層構造の樹脂フィルムを貼り合わせて形成された袋であり、熱融着シール性、密封性、保香性などが優れているものの、その耐油性、耐薬品性などが充分でない。また液体洗剤や柔軟剤等の界面活性剤等を含む液体を収容して、長期間経過した時に、界面活性剤等の成分が、シーラントフィルムを透過して、接着剤を劣化させる。これによって基材フィルムとシーラントフィルムとが剥離して、フィルム間でしわがよることで外観を損なうと共に、さらに剥離が進行することで、落下強度が低下し、収容した内容液が漏れ出す恐れがある。また樹脂フィルムが多層構造を備えていることから、例えば1000ml以下の容量のものであると、容量に対する樹脂量の割合が大きくなって、樹脂量を減らしたことによる効果が低減する。さらに、伸びやすい樹脂フイルムが伸びにくい樹脂フィルムに接着されていることで、針などの先端が尖ったもので刺された際に、全体としてはあまり伸びずに破断しやすくなる。すなわち、突き刺し時の荷重が分散され難くなると考えられる。
【0009】
本発明は、容器が例えば1000ml以下の容量のものであっても、容量に対する樹脂量の割合を小さくしたまま、樹脂量を減らして形成することができると共に、樹脂量を減らしたことで、外観が損われたり、強度が低下したり、収容した内容物の安定性が損われたりするのを効果的に回避することのできる包装体に関する。
【0010】
本願発明者は、製品化される内容物の詰め替え用の製品の形態を、成形容器と、成形容器を包み込む外装袋との二重構造とし、成形容器と外装袋の各々に機能を適宜分担させることで、製品としての外観が損われたり、強度が低下したり、容器に収容した内容物の安定性が損われたりするのを回避しつつ、例えば1000ml以下の容量のものであっても、容量に対する樹脂量の割合を効果的に低減できるとの着想に至った。
【0011】
本発明は、界面活性剤を含有する内容物を収納する合成樹脂製の延伸ブロー成形容器と、該延伸ブロー成形容器の口首部に装着された栓体と、該延伸ブロー成形容器の全体をその周囲に遊びを持たせた状態で包み込む外装袋とからなり、容器を自立させて陳列可能な包装体(詰め替え用包装体)である。延伸ブロー成形容器は、自立載置部を備える底部と、内容物を注出させる口首部と、底部と口首部との間の胴部とを含んで形成されており、外装袋には加飾が施されている。
【0012】
図1に示す本発明の好ましい実施形態に係る包装体10は、内容物として、界面活性剤を含有する溶液である、例えば界面活性剤濃度が15重量%以上80重量%以下の詰め替え用の液体洗剤を充填収納した延伸ブロー成形容器である詰め替え容器11を、外装袋12によって包み込んだ状態で製品化され、詰め替え容器11を自立させて、外装袋12と共に店頭に陳列される。本実施形態の包装体10を構成する詰め替え容器11は、延伸ブロー成形容器であるため、スタンディングパウチと比べ、内容物として収容される液体洗剤の界面活性剤濃度が15重量%以上の場合でも、層間剥離がなく、落下強度に優れる。その落下強度を損なわないようにする効果は、界面活性剤濃度が特に50重量%以上で顕著となる。また、85重量%以下まで内容物の濃縮化が期待され、80重量%以下で実用的な範囲となる。
【0013】
本実施形態の包装体10を購入した使用者は、外装袋12の内部から詰め替え容器11を取り出して、注出ノズル等による注出部31を備える被詰め替え容器30に液体洗剤を詰め替えることができると共に(
図3、
図5参照)、被詰め替え容器30に液体洗剤を詰め替えた後に、空になった詰め替え容器11を外装袋12の中に入れて廃棄することができる。本実施形態の包装体10を用いることで、廃棄される詰め替え容器11や外装袋12をできるだけ薄肉に形成して、環境負荷の低減を効果的に図ることができる共に、広告や説明書き等の加飾面積を十分に確保し、且つ外観を損うことなく詰め替え容器11を陳列できる。
【0014】
すなわち、本実施形態の包装体10は、詰め替え用包装体であり、界面活性剤を含有する内容物(液体洗剤)を収納する合成樹脂製の延伸ブロー成形容器である詰め替え容器11と、この詰め替え容器11の口首部15に装着された栓体18と、この詰め替え容器11の全体をその周囲に遊びを持たせた状態で包み込む外装袋12とからなり、詰め替え容器11を自立させて陳列可能な製品である。ここで、詰め替え容器11の全体をその周囲に遊びを持たせた状態で外装袋12が包み込むとは、外装袋12の中に詰め替え容器11が、外装袋12によって締め付けられることなく、緩みを持った状態で収められていることをいう。延伸ブロー成形容器である詰め替え容器11は、
図2にも示すように、自立載置部13を備える底部14と、内容物を注出させる口首部15と、底部14と口首部15との間の胴部16とを含んで形成されている。外装袋12には加飾が施されている。また延伸ブロー成形容器である詰め替え容器11の胴部16の肉厚は、50〜150μmとなっている。容器の収縮変形性と強度のバランスを考えると、詰め替え容器11の胴部16の肉厚は、70〜130μmが好ましく、80〜120μmがさらに好ましい。さらに、外装袋12の厚さを加えた詰め替え容器11の胴部16の肉厚は、100〜180μmとなっていることが好ましく、容器の収縮変形性と強度のバランスを考えると、110〜170μmとなっていることがさらに好ましく、120〜160μmとなっていることが特に好ましい。
【0015】
また、本実施形態では、詰め替え容器11の胴部16の肉厚が薄く形成されていることにより、詰め替え容器11は、例えば口首部15を下方に配置した倒立状態で、内部に充填収納した液体洗剤を、注出口を介した空気置換によることなく胴部16自体を収縮変形させながらある程度まで注出させることが可能な可撓性を胴部16が備えるように、形成されている(
図5参照)。
【0016】
本実施形態では、外装袋12と共に包装体10を構成する詰め替え容器11は、延伸ブロー成形容器であり、
図1及び
図2に示すように、底部14と、胴部16と、肩部17と、口首部15とが一体として成形される。また、ブロー成形容器11及び外装袋12に関して、樹脂量W(g)(ブロー成形容器11の樹脂量と外装袋12の樹脂量とを足した樹脂量。栓体18の樹脂量は除く。)を容器容量V(ml)(容器11の満注容量。)の2/3乗で除した値A(A=W/V
2/3)が、0.13〜0.25であり、容器11の容量が1000ml以下となっている。樹脂量W(g)を容器容量V(ml)の2/3乗で除した値Aが、0.13〜0.25となっていることにより、容器11の容量が1000ml以下の場合でも、容器11と外装袋12とによる二重構造の包装体10の全体の樹脂量を減らしたまま、容量に対する樹脂量の割合を小さく留めて、樹脂量を効果的に低減して包装体10を形成することが可能になる。
【0017】
詰め替え容器11の良好な成形性や詰替え時における胴部16の良好な収縮変形性を確保するために、樹脂量W(g)を容器容量V(ml)の2/3乗で除した値A(A=W/V
2/3)は、0.13〜0.25とすることが好ましい。さらに、成形の安定性や収縮する際の胴部16の潰れの度合いを良好にするために、A値は、0.13〜0.18であることが好ましい。
【0018】
包装体10の栓体18を除いた全体の樹脂量Wは、3〜25gであることが好ましく、4.5〜18gであることがさらに好ましい。容器11の満注容量Vは、1000ml以下であることが好ましい。ハンドリング性や倒立安定性を考えると、容器11の満注容量Vは、100〜800mlであることが好ましく、200〜600mlであることがさらに好ましい。
【0019】
ここで、本実施形態では、詰め替え容器11を形成するための合成樹脂は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂又はポリ乳酸等のバイオ素材であることが好ましい。また、詰め替え容器11は、単一素材からなる単層の合成樹脂によって延伸ブロー成形された、単層容器であることが好ましい。詰め替え容器11が単一素材からなる単層の合成樹脂によって形成されていることにより、製造時の環境負荷の低減、バイオ素材への代替が可能になる他、後述するような作用効果を奏する。なお、詰め替え容器11は、延伸ブロー成形された多層容器とすることもできる。
【0020】
ここで、延伸ブロー成形された容器11が単層であるとは、容器11を構成するポリマー層が単層であることをいう。例えば、単層のポリマー層の表面に蒸着層が蒸着された容器は、ここでいう延伸ブロー成形された単層容器である。
【0021】
詰め替え容器11の底部14は、胴部16の肉厚よりもやや厚い、例えば80〜500μm程度の肉厚を有する部分である。本実施形態では、底部14の底面14aは、例えば平坦な面に形成された部分を含むことによって、自立載置部13を構成している。詰め替え容器11の底部14が、胴部16よりも肉厚が厚い自立載置部13を備えていることにより、詰め替え容器11の内部に充填された液体洗剤の自重によって、外装袋12を挟み込みつつ底面14aが被載置面に押し付けられた際に、その保形剛性によって、安定した被載置面への載置状態を保持することが可能になる。
【0022】
また、本実施形態では、底部14における底面14aよりも上方の、斜めに拡径しながら延在する底部周壁部14bは、その肉厚を徐々に減少させて、肉厚が50〜150μmの胴部16に連続する。また、口首部15と栓体18との嵌合部は、打込嵌合方式とすることが、ネジ式と比べ、樹脂量を少なくすることが可能になるので好ましい。
【0023】
詰め替え容器11の胴部16は、本実施形態では、底部14と肩部17との間に挟まれる円筒状部分であって、直径40〜150mm程度、高さが60〜250mm程度の大きさを備えている。また、胴部14は、50〜150μmの肉厚を有しており、60〜130μmの肉厚を有していることが好ましく、70〜120μmの肉厚を有していることがさらに好ましい。胴部14の肉厚が薄すぎると、起立性の低下、耐落下強度の低下、詰め替え時の安定性の低下など、品質面で不具合が生じることになる。厚すぎると、詰め替え時に注出口を介した空気置換が必要となり、空気置換がスムーズでない場合に脈動が発生し、詰め替え時間が増えることや、コストアップや廃棄時にゴミが増えることなどの不具合が生じることになる。胴部14の肉厚が50〜150μmとなっていることにより、詰め替え時の安定性を保ちつつ、空気置換せずに容器の変形が進むことで、短時間での詰め替えが可能になる。また、胴部14の肉厚が50〜150μmとなっていることにより、例えば口首部15を下方に配置した倒立状態で、詰め替え容器11の内部に充填収納した液体洗剤を、注出口を介した空気置換によることなく胴部16自体を収縮変形させながらある程度まで注出させることが可能な可撓性を、胴部16が備えることになる(
図5参照)。
【0024】
ここで、本実施形態では、詰め替え容器11は、合成樹脂製の延伸ブロー成形容器となっているので、多層構造の樹脂フィルムを貼り合わせて形成されたスタンディングパウチと比較して、内部に収容された界面活性剤を含有する液体洗剤の作用により層間剥離を生じることが殆どなく、これによって落下強度等を向上させることが可能になる。
【0025】
また、詰め替え容器11は、延伸ブロー成形容器となっているので、多層構造の樹脂フィルムからなるスタンディングパウチと比較して、包装体10の突き刺し耐性の向上を図ることが可能になる。多層構造の樹脂フィルムの場合、多層構造中の伸びにくい印刷基材層は剛性が高くなっている一方で、印刷基材層に比べて伸びやすいシーラント層は剛性が低くなっている。突き刺し時には、シーラント層が印刷基材層に追随することで、荷重が逃げにくくなると共に、多層構造の樹脂フィルムが全体として伸びにくくなって、破断が生じやすくなる。これに対して、本願の様な延伸ブロー成形容器である詰め替え容器11を含む包装体10の場合は、突き刺し時に、容器11が伸びることにより、荷重が逃げやすくなることで、スタンディングパウチに比べて破断が生じにくい。特に、詰め替え容器11を単層のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等で形成した場合に有効である。さらに、外装を袋で構成しているため、この外装袋12によって、一段階、荷重が分散することによる効果も加算されるために、突き刺し耐性の向上を効果的に図ることが可能になる。
【0026】
特に、詰め替え容器11を、延伸ブロー成形された単層容器とすることで、内部に収容された界面活性剤を含有する液体洗剤の作用によって、多層構造の樹脂フィルムの接着層が剥離する層間剥離を生じることがない。なお、突き刺し強度が必要な場面としては、展示中や輸送中に、鋭利な障害物によって包装体10の詰め替え容器11が突き刺される恐れがある場合等が想定される。また、消費者が包装体10を購入した際や包装体10を持ち帰る際に、先端の尖ったものと一緒に包装体10を持ち運ぶと、先端の尖ったものによる突き刺しによって詰め替え容器11が破断する恐れがある場合等が想定される。突き刺し強度は、包装体10が突き刺されて詰め替え容器11が実際に破断する際に、包装体10を構成するフィルムが伸びることによって力が逃げるため、包装体10の伸び率によって評価することが可能である。
【0027】
本発明で延伸ブロー成形容器(詰め替え容器)11に収容される内容物に含有される界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤から選ばれる1種以上を使用できる。
【0028】
界面活性剤の濃度が、15〜80重量%の場合において、本発明の効果が大いに期待でき、特に界面活性剤の濃度が50重量%を超える場合において更に効果が顕著となる。
【0029】
また、界面活性剤の種類に関しては、分子内にエチレンオキサイド基、あるいはエチレンオキサイド基/プロピレンオキサイド基を有する界面活性剤を含有する内容物を収納した場合に、本発明の効果がより認められる。その中でも、ポリオキシエチレン(平均付加モル数1〜10モル)アルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(平均付加モル数1〜10)アルキルエーテル酢酸塩といった陰イオン界面活性剤、あるいは下記一般式(A1)、(A2)で表される非イオン界面活性剤を含有する内容物を収納した場合に、本発明の効果がより認められる。
【0030】
さらに、リモネンに代表される炭化水素類の香料を0.01〜2重量%、あるいは下記一般式(B)で表される水溶性溶剤を1〜10重量%含有する内容物を収納した場合にも、本発明の効果がより認められる。
【0031】
代表的な陰イオン界面活性剤としては、炭素数8〜18のアルキル基、またはアルケニル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、αオレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(平均付加モル数1〜10)アルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(平均付加モル数1〜10)アルキルエーテル酢酸塩等を挙げることができる。
【0032】
代表的な非イオン界面活性剤としては、下記一般式(A)、炭素数8〜18のアルキル基、またはアルケニル基を有するアルキルポリグリコシド(平均付加モル数1〜10)、アルキルポリグリセリルエーテル(平均付加モル数1〜10)等を挙げることができる。
【0034】
具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0036】
代表的な陽イオン界面活性剤としては、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するモノアルキルトリメチルアンモニウム塩、モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0037】
代表的な両性界面活性剤としては、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルアミドジメチルアミンオキサイド、アルキルアミドプロピルカルボキシベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキススルホベタイン等が挙げられる。
【0038】
非親水性(親油性)が高いものほど、多層構造の樹脂フィルムからなるスタンディングパウチにおいては層間剥離が起こりやすい。したがって、本発明による界面活性剤の浸透による接着層の剥離がないことの効果が高いと考える。
【0039】
また、界面活性剤を含有する内容物には、香料や溶剤を使用することもできる。香料の具体例としては、炭化水素類、アルコール類、フェノール類、エステル類、カーボネート類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、エーテル類、ニトリル類、カルボン酸類、ラクトン類、及び他の天然精油や天然抽出物から選ばれる1種以上が挙げられる。具体的には、リモネン、リナロール、グアヤコール、リナリルアセテート、n−ヘキシルサリシレート、メチルジャスモネート、メチルアントラニレート、n−オクタナール、ローズケトン、アセトアルデヒドエチルフェニルプロピルアセタール、ローズオキサイド、ゲラニルニトリル、安息香酸、γ−デカラクトン、オレンジ等が挙げられる。
【0040】
溶剤の具体例としては、炭素数2〜5の1価アルコール、炭素数4〜12の多価アルコール、下記一般式(B)、(C)で表わされる化合物が挙げられる。
【0042】
香料や溶剤も、非親水性(親油性)であるほど、多層構造の樹脂フィルムからなるスタンディングパウチにおいては層間剥離が起こりやすい。したがって、本発明による香料や溶剤の浸透による接着層の剥離がないことの効果が高いと考える。また、外装袋に加飾を施すことで、延伸ブロー成形容器の表面に直射光が当たらず、表面温度の上昇を抑制できることから、内容物の保護効果が高く、香料成分の漏出を防ぐ効果が高いと考える。
【0043】
詰め替え容器11の肩部17は、本実施形態では、胴部16の上方に連続して詰め替え容器11の上端部分を構成する、ドーム形状を有する部分である。肩部17には、当該肩部17の上端中央部分から上方に突出して、円筒形状の口首部15が一体として設けられている。肩部17は、胴部16と隣接する部分が、胴部16の肉厚と同等以上の50〜300μm程度の肉厚を有していて、胴部16と同様に変形が容易な薄肉に形成されていると共に、上端中央部分に向けて肉厚が徐々に大きくなっている。肩部17は、肉厚が大きくなった口首部15と近接する部分の保形剛性によって、口首部15を安定した状態で支持する。
【0044】
なお、本発明では、胴部16と口首部15との間に肉厚の大きな肩部17を介在させる必要は必ずしも無く、薄肉の胴部を口首部の基端部分に直接接合させることもできる。
【0045】
詰め替え容器11の口首部15は、厚肉に形成されることで、手の力では変形させることが困難な保形剛性を備えており、上端が注出口15aとして開口している。口首部15には、注出口15aを覆うようにして、封止用の栓体18が嵌合装着される。なお、口首部15には、栓体18のキャッピング時の操作性等を考慮して、ノズル掛かり部15bが設けられている。
【0046】
栓体18は、詰め替え容器11とは別に、好ましくはインジェクション成形によって成形された合成樹脂製の栓部材である。本実施形態では、詰め替え容器11によって液体洗剤が詰め替えられたり補充されたりする被詰め替え容器60は、
図3に示すように、注出部23としてスパウトが設けられた公知の注出キャップ19を口首部に備える容器となっている。そして、栓体18は、
図4(a)、
図4(b)に示すように、詰め替え容器11の注出口15aを閉塞する天面板25に、被詰め替え容器60に設けられたスパウト23によって破断可能な薄肉部28を備える。
【0047】
すなわち、栓体18は、天面板25と、天面板25の周縁部から下方に延設する円環状スカート部26とからなる。円環状スカート部26の内周面には例えば係止リブが設けられている。この係止リブを詰め替え容器11の口首部15の外周面に設けられた係止段差部に係着することで、容易には取り外すことができない状態で、詰め替え容器11の口首部15に栓体18が嵌合装着される。
【0048】
また、栓体18の天面板25には、これの上面から立設して、詰め替え容器11の口首部15及び栓体18を、液体洗剤を詰め替える際に被詰め替え容器60の注出キャップ19に位置決めするための、位置決めガイド壁27が設けられている。位置決めガイド壁27は、注出キャップ19のスパウト23の外周形状に沿った内周形状を有する周壁部27aと、スパウト23の開放部23a(
図3参照)に挿入係止される挿入部27bとを含んで形成されている。
【0049】
そして、周壁部27aの内側基端部に沿った部分の天面板25には、詰め替え容器11を倒立させてこれの口首部15の内側にスパウト23を挿入する際に(
図3参照)、スパウト23によって天面板25を破断させることが可能な、例えば半切れ線、半切れ溝、先端誘導型斜め溝(局所的に応力が集中するようにスパウト23の先端を誘導するようにテーパーを設置したもの)等からなる薄肉部28が設けられている。液体洗剤の詰め替え作業を行う際に、スパウト25によって薄肉部28に沿って天面板25を破断させることにより、詰め替え容器11の内部を被詰め替え容器50の内部と容易に連通させることが可能になる。
【0050】
スパウト23を備える注出キャップ19は、後述するように、被詰替え容器60の容器本体61の口首部の外周部分を覆って取り付けられる装着スカート部20と、容器本体61の口首部の内周面に沿って配置される内筒壁21と、内筒壁21の下端部に連設する底面壁22とを含んで構成される公知のものである(
図7参照)。スパウト23は、内容液を注出させる際の傾倒方向とは反対側を開放部23aとしたU字又は略U字の断面形状を有すると共に、内筒壁21と離間して底面壁22から立設して設けられている。底面壁22におけるスパウト23の内側領域に、注出口24が開口形成されている。
【0051】
スパウト11の先端は、中央に向かって凸状または凹状とする、1点または2点の凸状部が形成された形状であることが好ましい。これによって、栓体18の薄肉部28との接触面積を減らすことが出来ることから、薄肉部28の一部に応力集中を生じさせることにより、容易に薄肉部28を破断することが可能となる。また、先端形状が平坦であっても、先端の肉厚を薄くすることで、同様の効果が得られる。さらに、スパウト23の先端形状は破断力に影響を与えるが、破断が不可能になるわけではないため、その他の形状でも良い。
【0052】
栓体18の形態としては、スクリューキャップやプルリング仕様のものでも良い。また栓体18を取り外して、口首部15の注出口15aから液体洗剤を注ぎいれる使用法によって、液体洗剤を詰め替えることもできる。本実施形態の詰め替え容器11は、口元部における操作性に優れると共に、形態安定性が高いため、安定的に液体洗剤を詰め替えることができる。
【0053】
詰め替え容器11の全体を包み込む外装袋12は、詰め替え容器11の胴部16の肉厚よりも薄い、例えば20〜140μmの厚さの合成樹脂製のシート材料からなる。ここで、本実施形態では、詰め替え容器11の全体を包み込む外装袋12を形成するための合成樹脂は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂の中から選ばれた樹脂から形成される積層フィルムであることが好ましい。本実施形態では、詰め替え容器11の樹脂量と外装袋12の樹脂量とを足した合計の樹脂量Wは、詰め替え容器11の容器容量V(満注容量)と同様の容量(満注容量)を備えるスタンディングパウチの樹脂量よりも、少なくなっている。
【0054】
また、詰め替え容器11の全体を包み込む外装袋12は、ヒートシールニス加工を施したポリプロピレン等の単層フィルムによって形成されても良い。この場合は更なる環境負荷の低減が可能になる。酸素バリア性を高めるため、蒸着を施した樹脂でも良い。
【0055】
さらに、外装袋12は、
図1に示すように、所定の大きさ、形状に裁断した合成樹脂製のシート材料の所定の箇所を、ヒートシールや接着剤により接合することで、詰め替え容器11よりも一回り大きな大きさの、当該容器11の全体をその周囲に遊びを持たせた状態で収容可能な袋として形成される。外装袋12は、本実施形態では、外観に優れる安定した状態で詰め替え容器11を包み込むことが可能な形態に形成されることが好ましい。このような外観に優れる形態として、例えば詰め替え容器11の底面14aの下方に配置した略正方形の底面部12aの周縁から、表裏一対の正面部12b及び左右一対の側面部12cを上方に連接させると共に、左右一対の側面部12cを上部で谷折して、表裏一対の正面部12bの上縁部を帯状封入シール部12dとして互いに接合した形態とすることができる。これによって、表裏一対の正面部12bの上部が湾曲面となった形状で、詰め替え容器11の全体を外装袋12によって包み込むことが可能になる。
【0056】
詰め替え容器11の全体を覆って外装袋12が設けられていることで、外装袋12の正面部12bや側面部12cを用いて、広告や説明書きを施すための大きな面積の加飾面を備えることが可能になる。また、詰め替え容器11の全体がその周囲に遊びを持たせた状態で外装袋12によって包み込まれているので、容器11に収納された液体洗剤の温度が充填時よりも低下して容積が減少したり、内部に残存する空気中の酸素を液体洗剤が吸収して、容器11の内部が負圧になって変形しても、容器11の変形が外装袋12には及ばないので、外装袋12による優れた外観を容易に保持することが可能になる。さらに、詰め替え容器11が外装袋12に封入されているので、使用されるまでの間に詰め替え容器11が改竄されるのを効果的に防止できると共に、外装袋12によって詰め替え容器11への遮光性を付与することも可能になる。さらに、詰め替え容器11が詰め替え時に汚れても、外装袋12の中に入れて廃棄することができるので、外装袋12を廃棄用の袋として有効に再利用することが可能になる。
【0057】
また、詰め替え容器11の全体を覆って外装袋12が設けられていることで、薄肉に形成された詰め替え容器11の機能を補完して、製品としての包装体10の強度が低下したり、容器11に収容された内容物の安定性が損われたりするのを効果的に回避することが可能になる。すなわち、包装体10は、詰め替え容器11の全体を一回り大きな外装袋12で覆った2重構造を備えているので、例えば詰め替え容器11と外装袋12との間の隙間の空気層がクッションとして機能することで、落下時の衝撃を緩和することが可能になる。また、例えば包装体10の外側から針が突き刺された場合に、突き刺し時の荷重を外装袋で一旦受けることで、分散させた状態で容器11にさらに荷重を受けさせることが可能になるので、容器11の優れた延性による突き刺し時の伸びによる荷重の分散と相俟って、突き刺し耐性を一層効果的に向上させることが可能である。
【0058】
さらに、詰め替え容器11を覆う外装袋12は、界面活性剤を含有する内容物と接触することがなく、層間剥離を生じることもないので、当該外装袋12に、アルミ蒸着層、アルミナ蒸着層等の、内容物の安定性に寄与する層を適宜含ませることで、詰め替え容器11の機能を補うことができる。これにより、例えば変色、粘度変化、退色等が生じるのを回避して、内容物安定性を効果的に向上させることが可能になる。
【0059】
多層構造の樹脂フィルムからなるスタンディングパウチの場合、蒸着層を積層させることで、内容物安定性を向上させることができる一方で、浸透してきた内容物中の界面活性剤、溶剤、香料等が蒸着面でブロックされることによって、ラミネート強度が低下するために層間剥離が生じやすくなる。これに対して、本願の包装体10では、詰め替え容器11と外装袋12との間の隙間に空気層が存在することで、界面活性剤、溶剤、香料等の蒸着面への浸透を防げるため、この蒸着層を使用することにより、層間剥離による落下強度の低下等をもたらすことなく、内容物安定性を向上させることが可能になる。
【0060】
したがって、本実施形態の包装体10によれば、外装袋12によって包み込まれる詰め替え容器11が例えば1000ml以下の容量のものであっても、容量に対する樹脂量の割合を小さくしたまま、樹脂量を効果的に減らして形成することができると共に、樹脂量を減らしたことで、製品としての外観が損われたり、強度が低下したり、収容した内容物の安定性が損われたりするのを容易に回避すること可能になり、これによって環境負荷の低減を効果的に図ることが可能になる。
【0061】
上述の構成を備える本実施形態の包装体10は、例えば店頭の陳列棚に、詰め替え容器11の底面14a及び外装袋12の底面部12aを載置して、安定した自立状態で陳列することができる。また、例えば外装袋12の帯状封入シール部12dに吊下げ孔を形成して、吊り下げた状態で陳列することもできる。
【0062】
本実施形態の包装体10を購入した使用者は、外装袋12から詰め替え容器11を取り出して、充填収納された液体洗剤を、被詰め替え容器60としての洗剤容器に詰め替える。詰め替え作業は、上述のように、詰め替え容器11を倒立させ(
図3参照)、これの口首部15の内側に、栓体18の天面板25を破断させつつスパウト23を挿入することにより、詰め替え容器11を被詰め替え容器60と連通させて容易に行うことができる。
【0063】
ここで、本実施形態では、詰め替え容器11は、その胴部16の肉厚が50〜150μmとなっているので、
図5に示すように、口首部12を下方に配置した倒立状態で、内部に充填収納した液体洗剤を、注出口15aを介した空気置換によることなく、胴部16自体を収縮変形させながらある程度まで注出させることが可能になる。これによって、例えば手を離した状態でも、ある程度の量の液体洗剤を詰め替えることが容易になって、詰め替え容器11としての使い易さを向上させることが可能になる。胴部16自体が収縮変形した後に、容器11の内部に残った液体洗剤は、例えば注出口15aを介した空気置換によって、或いは胴部16を手で押圧変形させることによって、被詰め替え容器60に詰め替えることができる。
【0064】
したがって、本実施形態の包装体10によれば、合成樹脂製の詰め替え容器11を、例えば口首部15を下方に配置した倒立状態で、内部に充填収納した液体を、注出口15aを介した空気置換によることなく胴部16自体を収縮変形させながらある程度まで注出させることが可能な可撓性を胴部16が備えるように形成できると共に、外観を損なうことなく効果的な加飾を施した状態で陳列することが可能になる。
【0065】
また、本実施形態の包装体10によれば、詰め替え容器11及び外装袋12を、いずれも薄肉に形成することで、従来の公知の薄肉ボトル容器やスタンディングパウチと比較して、さらに使用する樹脂量を低減することが可能になり、これによって環境負荷の低減をさらに効果的に図ることが可能になる。
【0066】
そして、本実施形態の包装体10によれば、上述の作用効果の他、以下のような特有の作用効果が奏される。
a)内容物が界面活性剤を含有する液体洗剤であり、詰め替え容器11の内部に残存する空気中の酸素を吸収することにより容器11の内部を負圧にして変形させやすいものであっても、容器11が外装袋12によって覆われることで容器11の変形が見えないので、商品性を落とすことがない。
b)詰め替え容器11が単一素材からなる単層の合成樹脂によって形成されていることで、接着層を持っていないため、容器11に層間剥離が生じることがなく、層間剥離による強度の低下も生じない。すなわち、界面活性剤の浸透による接着層の剥離がなく、詰め替え容器11の強度の低下を防ぐことができる。
c)詰め替え容器11の全体が外装袋12によって包み込まれているので、外装袋12に遮光性を付与することにより、直接光が照射されることによって生じる詰め替え容器11の表面近傍での温度上昇を防ぐことが可能になると共に、内容物である液体洗剤の安定性を担保することが可能になる。また外装袋12で遮光性を担保しているため、スタンディングパウチのように全面印刷する必要がなく、内側の延伸ブロー成形容器である詰め替え容器11を、透明や半透明となるように形成するこができる。詰め替え容器11が透明や半透明であると、内容物の可視化が可能になるため、詰め替え時の詰め替えやすさを向上させることができる。
d)詰め替え容器11と外装袋12とを組み合わせることで、ガスバリア性等の容器11のバリア性についての適切なバリア設計を、少ない樹脂量で行うことができる。
e)詰め替え容器11の全体が外装袋12によって包み込まれているので、詰め替え容器11に手等を直接触れることができず、店頭での改ざん防止にも有効である。
f)詰め替え容器11の全体がその周囲に遊びを持った状態で外装袋12によって包み込まれることで、詰め替え容器11と外装袋11との間に空気層が存在することになるので、外乱による衝撃を効果的に緩衝することが可能になる。
g)詰め替え容器11は、栓体18を装着するための口首部15が厚肉に形成されることで相当の保形剛性を備えており、また胴部16は、例えば水道の蛇口からの水圧で容易に膨張できる程度の変形容易性を備えているので、例えば液体洗剤の詰め替え後に、口首部15を把持して注出口15aから水道水を注水することで、容器11の内部の洗浄を容易に行うことができる。
h)詰め替え容器11の容量を1000ml以下とすることで、詰め替え時のハンドリング性を高めた容器の設計を行うことが可能となる。
【0067】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、延伸ブロー成形容器である詰め替え容器に収納される内容物は、液体洗剤である必要は必ずしも無く、界面活性剤を含有するその他の種々の内容物であっても良い。また、詰め替え容器は、注出口を介した空気置換によることなく胴部自体を収縮変形させながら液体を注出させて使用されるものに限定されない。その他の使用方法で使用しても良い。さらに、外装袋は、上述の形態に限定されることなく、容器の全体を遊びを持った状態で包み込むその他の種々の形態で容器を覆うことができる。また、外装袋は、合成樹脂製以外の、例えば紙製のものであっても良い。
【0068】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の包装体を開示する。
<1>界面活性剤を含有する内容物を収納する合成樹脂製の延伸ブロー成形容器と、該延伸ブロー成形容器の口首部に装着された栓体と、該延伸ブロー成形容器の全体をその周囲に遊びを持たせた状態で包み込む外装袋とからなり、前記容器を自立させて陳列可能な包装体であって、
前記延伸ブロー成形容器は、自立載置部を備える底部と、内容物を注出させる口首部と、底部と口首部との間の胴部とを含んで形成されており、前記外装袋には加飾が施されており、
前記延伸ブロー成形容器に収納される内容物に含有される界面活性剤は、EO基又はEOPO基を含有する界面活性剤である包装体。
<2>界面活性剤を含有する内容物を収納する合成樹脂製の延伸ブロー成形容器と、該延伸ブロー成形容器の口首部に装着された栓体と、該延伸ブロー成形容器の全体をその周囲に遊びを持たせた状態で包み込む外装袋とからなり、前記容器を自立させて陳列可能な包装体であって、
前記延伸ブロー成形容器は、自立載置部を備える底部と、内容物を注出させる口首部と、底部と口首部との間の胴部とを含んで形成されており、前記外装袋には加飾が施されており、
前記延伸ブロー成形容器は、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートからなる、肉厚が80〜120μmのボトル容器である包装体。
<3>前記栓体は、ポリプロピレンからなる打込み嵌合式の中栓である<2>記載の包装体。
<4>前記外装袋は、酸素透過率が1100ml/m
2・day・atm未満で、層厚が70μm以下の、印刷による加飾が施されたヒートシールが可能な積層フィルムによる外装袋である<2>又は<3>記載の包装体。
【実施例】
【0069】
以下、実施例及び比較例により、本発明の包装体をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
樹脂量W(g)を容器容量V(ml)の2/3乗で除した値A(A=W/V
2/3)を適宜変化させた、上記実施形態の包装体と同様の構成を備える、表1に示すような構成の二重構造の詰め替え用包装体1〜12を実施例の詰め替え用包装体とした。詰め替え用包装体1〜12について、以下の評価方法によって、「内容物安定性」、「突き刺し強度(詰め替え用包装体の伸び率)」、及び「収縮変形性」を評価した。詰め替え用包装体1〜12の容器と同様の容量を備える、表1に示すような構成のスタンディングパウチ1〜3を比較例のスタンディングパウチとした。スタンディングパウチ1〜3について、以下の評価方法によって、「内容物安定性」、及び「突き刺し強度(包装体の伸び率)」を評価した。評価結果を表1に示す。
【0071】
なお、容器の強度を表す指標の一つである、容器への突き刺しに対して抵抗する強度である突き刺し強度は、容器が突き刺されて実際に破断する際には、フィルムが伸びることによって力が逃げるため、容器の伸び率が重要になる。実施例及び比較例では、詰め替え用包装体又はスタンディングパウチの伸び率によって、これらの突き刺し強度を評価した。
【0072】
【表1】
【0073】
〔内容物安定性の評価〕
内容物安定性は、内容物の色相変化(液変色)、重量減少率(粘度変化)、液色退色(液退色)の各評価結果から総合的に判断して評価した。評価試料(内容物)として、内容物中に合計割合が60%以上の界面活性剤を含有する合成液体洗剤を使用した。
【0074】
色相変化は、50℃(湿度管理なし)下/20日間保管の促進試験によって、内容物の温度や酸素等による劣化を測定することで評価した。色相は室温下で色差計にて測定し、保存前の初期b*値と保管後のb*値の差Δb*値で評価し、Δb*値が「Δb*<1.4」を「○」、「1.4≦Δb*≦1.9」を「△」、「Δb*>1.9」を「×」として判断した。測定方法は、保存後の内容物をガラス瓶に移し変え、その状態の内容物を色差計(測定時間1秒、観察条件:CIE2°視野等色関数近似、観察光源:C光源/6774k(青空を含む昼光に相当))にて測定した。色相変化(液変色)の評価結果をΔb*値と共に表1に示す。
【0075】
内容物の粘度に影響する重量減少率は、40℃、相対湿度20%下/1ヶ月間の促進試験によって評価した。内容物の保存前の重量と保存後の重量から得られる減少量と、保存前の重量との重量比の百分率を重量減少率r[wt%]とし、「r<0.5」を「○」、「0.5≦r≦1」を「△」、「r>1」を「×」として判断した。重量減少率(粘度変化)の評価結果を重量減少率r[wt%]と共に表1に示す。
【0076】
液色退色は、日光暴露試験による積算照度10MJ/m
2(夏場で2週間程度)及びキセノンフェードメーターを用いたフェード試験(放射照度60W/m
2(300?400nm)、ブラックパネル温度65℃、槽内温度40℃、相対湿度75%、積算放射照度10MJ/m
2、24時間)による、試験後の内容物の吸光度変化から求まる色素残存率の平均によって評価した。色素残存率は保存前の初期の吸光度と保存後の吸光度の比の百分率を色素残存率C[%]とし、「C>80」を「○」、「50≦C≦80」を「△」、「C<50」を「×」として判断した。液色退色(液退色)の評価結果を色素残存率C[%]と共に表1に示す。
【0077】
内容物安定性の総合評価は、上述の色相変化(液変色)、重量減少率(粘度変化)、液色退色(液退色)の各評価結果について、「○」が1つ以上ある場合は「○」、「×」が1つ以上ある場合は「×」(但し、「○」と「×」が混在する場合は「×」)、「△」が3つの場合は「△」として判断した。
【0078】
〔突刺し強度の評価〕
突き刺し試験による伸び率は、
図6(a)、
図6(b)に示す試験方法によって以下のように評価した。詰め替え用包装体1〜12の場合、詰め替え容器に水を充填し、栓を取り付け、外装袋に入れてシールすることで試料とした。スタンディングパウチ1〜3の場合、水を充填してシールすることで試料とした。詰め替え容器とスタンディングパウチの空間率が同一になるように水を充填した。水を充填したこれらの試料を、20℃で1日以上保管した後に測定に使用する。
【0079】
測定装置70の上部の設置盤71に突き刺し針72の付いた治具73を設置する。試料74の両端をテープ75等を用いて、試料74の胴部が張り出した状態になるように上昇台76に固定する。試料74の胴部中心部(中央部)が突き刺し針72の先端に当たる様に位置を調整し、試料74を設置/固定する。突き刺し針72は、先端がΦ1mmの半円形断面となった金属針とした。上昇台76の上昇速度は、50mm/minとした。各試料74の突き刺し伸び率を、突き刺し針72の先端が各試料74に接触してから、各試料74が破断するまでに、上昇台76が上昇したストロークを測定することによって算出した。突き刺し伸び率はストローク量[mm]を試料74の厚み[mm]で割った値とした。測定結果の相対評価によって優劣を判断した。伸び率sが「s>90」を「○」、「75≦s≦90」を「△」、「s<75」を「×」として判断した。突刺し強度の評価結果を伸び率sと共に表1に示す。
【0080】
〔収縮変形性の評価〕
詰め替え時の容器の変形収縮性に関しては、容器の内外圧力差ΔPが60mmHg以下であると、自然とつぶれやすいため、「ΔP<60mmHg」を「○」、「ΔP>60mmHg」を「×」として評価した。内外圧力差ΔPは、容器に、水を満注容量の90%となるまで充填し、圧力センサーに接続されている注射器付のキャップをキャッピングして、注射器を引っ張ることで測定する。注射器を引っ張っていった際に、圧力差が上昇してゆく。容器が変形する直前で、圧力差がピーク値をむかえ、減少する。このときの圧力差のピーク値をΔPとして、容器の変形収縮性を評価した。収縮変形性の評価結果を内外圧力差ΔPと共に表1に示す。
【0081】
表1の評価結果によれば、特に包装体3〜10は、A値の範囲が0.13〜0.25となっていることで、内容物安定性、突刺し強度、及び収縮変形性のいずれについても優れていることが判明する。
【0082】
〔界面活性剤の濃度を変化させた時の保存評価〕
樹脂量W(g)を容器容量V(ml)の2/3乗で除した値A(A=W/V
2/3)が、A=0.13、A=0.15、A=0.22、A=0.32、A=0.57、A=0.78となっている、上記実施形態の包装体と同様の構成を備える6体の詰め替え用包装体を試験体として、以下の方法によって保存評価試験を行った。
【0083】
保存評価試験では、各試験体の延伸ブロー成形容器である詰め替え容器に、界面活性剤濃度Cが10重量%、29重量%、37重量%、45重量%、50重量%、63重量%、74重量%となっている内容液を、試料として各々充填する。各々の試料を充填した各詰め替え容器を外装袋に各々入れた状態で、20℃で1ヶ月間保管した後に、室温に戻して、その時の胴部の変形量を測定する。保存前の詰め替え容器の胴部幅と、保存後の詰め替え容器の胴部幅との差を、保存前の詰め替え容器の胴部幅で除した値の百分率を減圧変形度として、界面活性剤の濃度を変化させた時の保存評価を行った。例えば、保存前の詰め替え容器の胴部幅が60mmで減圧変形度が5%の場合は、3mm変形していることになる。評価結果を
図6(c)に示す。なお、
図6(c)において、5%以上の変形量の領域が、外観上、詰め替え容器が変形したことが目立つ領域である。
【0084】
図6(c)に示す評価結果によれば、詰め替え容器に収容される内容液の界面活性剤濃度Cが50重量%以上である場合に、次に界面活性剤濃度Cが15〜50重量%である場合に、詰め替え容器の外観が損われやすくなっていることから、詰め替え容器を外装袋によって覆うことによって、本発明による作用効果がより効果的に発揮されることが判明する。
【0085】
一方、スタンディングパウチ等による詰替え容器は、柔軟性や可撓性に富んだ軟包材によって形成されており、詰め替え作業の際に容器が変形し易く、またきわめて不安定な状態となり易い。このようなことから、例えば注出スパウトを備える注出キャップが口首部に装着された被詰替え容器に内容物を詰め替えるための詰替え容器として、好ましくは手を放した状態でも詰め替え作業を行えるようにする詰替え容器が開発されている(例えば、特許第4352671号公報参照)。
【0086】
特許第4352671号公報に記載の手放し詰替え容器では、これの口首部に、被詰替え容器の注出キャップの外周部分に設けられた雄ネジ部に螺合される雌ネジ部を備えるトランジッションキャップが取り付けられており、またこのトランジッションキャップは、易破断線であるスコア(スコア)が形成された内蓋によって詰替え容器を封止するようになっている。そして、内容物を詰め替える際には、トランジッションキャップの雌ネジ部を注出キャップの雄ネジ部に螺合すると共に、注出キャップの注出スパウトによってトランジッションキャップの内蓋を破断することで開封して、詰替え容器を被詰替え容器と連通させる。これによって、詰替え容器内の内容物は、トランジッションキャップの雌ネジ部と注出キャップの雄ネジ部との螺合によって容器の口首部同士が密閉接合された状態となっているため、外部に洩れ出ることなく被詰替え容器に流下してゆく。
【0087】
特許第4352671号公報の手放し詰替え容器では、トランジッションキャップの雌ネジ部の内径を注出キャップの雄ネジ部の外径よりも大きくする必要があるため、詰替え容器の本体部に比べてキャップの大きさが過大になると共に、トランジッションキャップの雌ネジ部と注出キャップの雄ネジ部との螺合によって接合部分が密閉されることにより、容器の内部との空気置換が行われ難くなってスムーズな詰め替えを行うことが困難になる。また、容器の内部との空気置換が行われ易いようにするためには、被詰替え容器や注出キャップに空気置換のための複雑な機構を設ける必要がある。
【0088】
これに対して、シール板を囲んで設けられた円筒形状のスパウト部に被詰替え容器の注出スパウトを挿入することで、当該注出スパウトによってシール板を破断させると共に、スパウト部と被詰替え容器の注出スパウトとの間に隙間を保持して、容易に空気置換が行われるようにした詰替え容器用口栓も開発されている(例えば、特開2010−235151号公報、特開2010−235152号公報参照)。
【0089】
しかしながら、特開2010−235151号公報、特開2010−235152号公報の詰替え容器用口栓では、円筒形状のスパウト部と一部にU字又は略U字の断面形状を有する被詰替え容器の注出スパウトとの間には、注出スパウトの略全周に亘って相当の幅の隙間が保持されることから、詰め替え作業を行う際に詰替え容器が不安定な状態になり易い。また詰替え容器のスパウト部の内側の破断した後のシール板が、被詰替え容器の注出スパウトの奥まで入り込み過ぎると、空気置換が困難になってエアの逆流による液溢れが発生し易くなる。
【0090】
本願の他の発明は、容器本体の口首部に注出スパウトを備える注出キャップが装着された被詰替え容器に、詰替え容器を安定した状態で位置決めすることができると共に、詰替え容器の内容物を、空気置換のための複雑な機構を要することなく、簡易な構成によってスムーズに流下させて詰め替えて行くことのできる詰替え容器用栓部材(栓体)に関する。
【0091】
本願の他の発明は、容器本体の口首部に注出スパウトを備えたキャップが装着された被詰替え容器に内容物を詰め替えるための、詰替え容器の詰替え流出口を覆って取り付けられる栓部材(栓体)である。栓部材は、天面板と、該天面板の周縁部から下方に延設する環状スカート部とからなり、該環状スカート部を介して前記詰替え容器の前記詰替え流出口を覆って前記栓部材が取り付けられるようになっている。天面板には、これの上面から立設して挿入ガイド壁が設けられており、該挿入ガイド壁は、前記注出スパウトの断面形状の外周形状に沿った内周形状を一部に有する周壁部を含んで形成されている。周壁部の内側基端部に沿った部分の前記天面板には、前記注出スパウトによる前記天面板の破断を誘導する薄肉部が形成されており、前記挿入ガイド壁又は該挿入ガイド壁の内側の天面板には、注出スパウトの開放部に挿入配置される流路調整壁部が設けられている。前記注出スパウトを前記挿入ガイド壁の内側部分に挿入して前記天面板を破断させることで前記詰替え流出口を開放した際に、前記注出スパウトの断面形状の外周面に前記周壁部の内周面を密着させると共に、流路調整壁部の直下をエア抜き開口部として保持されるように前記詰替え容器を位置決めさせる。
【0092】
本願の他の発明に係る詰替え容器用栓部材(栓体)18は、上述の
図2、
図3、
図4(a)、
図4(b)に示すように、詰替え容器11として例えば薄肉のボトル形状の容器の口首部15に、これの先端の詰替え流出口15a(
図2参照)を覆って取り付けられる。ここで、詰替え容器11は、自立載置部13を備える底部14と、内容物を注出させる口首部15と、底部14と口首部15との間の肉厚が50〜150μm程度の胴部16とを含んで形成されている。例えば口首部15を下方に配置した倒立状態で、内部に充填収容した内容物である液体を、詰替え流出口15aを介した空気置換によることなく、胴部16自体を収縮変形させながらある程度まで注出させることが可能な可撓性を胴部16が備えるように構成されている。これによって、詰替え容器11は、例えば手を離した状態でも、ある程度の量の内容物を詰め替えることが可能なボトル容器となっている(
図5参照)。
【0093】
また、本実施形態では、詰替え容器11は、
図3に示すように、容器本体61の口首部に注出用のスパウト23を備える注出キャップ19が装着された、例えば液体洗剤用の被詰替え容器60に液体洗剤を詰め替えたり補充したりするための、液体洗剤を内容物とする詰替え容器となっている。上述の栓部材でもある詰替え容器用栓部材18は、スパウト23を備える被詰替え容器60の注出キャップ19を介して、詰替え容器11に収容された液体洗剤を、簡易な構成によって、注出キャップ19から溢れ出させることなく、スパウト23の内側の注出路を介して被詰替え容器60の内部に、空気置換を行わせながら効率良く流入させてゆくことができるようにする機能を備えている。
【0094】
すなわち、スパウト23を備える注出キャップ19は、
図3及び
図7に示すように、被詰替え容器60の容器本体61の口首部の外周部分を覆って取り付けられる装着スカート部20と、容器本体61の口首部の内周面に沿って配置される内筒壁21と、内筒壁21の下端部に連設する底面壁22とを含んで構成される公知のものである。スパウト23は、液体洗剤を注出させる際の傾倒方向X(
図3参照)とは反対側を開放部23aとしたU字又は略U字の断面形状を有すると共に、内筒壁21と離間して底面壁22から立設して設けられている。したがって、注出キャップ19を介して液体洗剤を被詰替え容器60に流入させる際には、液体洗剤は、スパウト23の内側の注出口24に至る前に、スパウト23の外側周囲の底面壁22の上方に液溜めされ易くなる。また特に液体洗剤が高粘度のものである場合には、開放部23aを塞いで空気置換を行わせ難くすることで、液体洗剤を注出キャップ19の内筒壁21を越えて外側に溢れ出させるおそれがある。
【0095】
このようなことから、本実施形態の詰替え容器用栓部材18は、内容物である液体洗剤を詰め替えたり補充したりする際に、詰替え容器11から被詰替え容器60に至る詰替え流出路を、スパウト23の内側の部分に限定できるようにして、注出キャップ19から液体洗剤が溢れ出るのを効果的に防止できるようにすると共に、被詰替え容器60の内部との空気置換を容易にして、液体洗剤を被詰替え容器60にスムーズに流入させるようにするために採用されたものである。
【0096】
そして、本実施形態の詰替え容器用栓部材18は、容器本体60の口首部に注出キャップ19が装着された被詰替え容器60に内容物として例えば液体洗剤を詰め替えるための、詰替え容器11の詰替え流出口15aを覆って取り付けられる栓部材であって、注出キャップ19は、上述のように、容器本体60の口首部の内周面に沿って配置される内筒壁21と、内筒壁21の下端部に連設する底面壁22と、底面壁22から立設するスパウト23とを備える公知のものであり、スパウト23は、液体洗剤を注出させる際の傾倒方向Xとは反対側を開放部23aとしたU字又は略U字の断面形状を有すると共に、内筒壁21と離間して底面壁22から立設して設けられており、底面壁22におけるスパウト23の内側領域に注出口24が開口形成されている(
図7参照)。
【0097】
図2及び
図4(a)、
図4(b)に示すように、詰替え容器用栓部材18は、天面板25と、天面板25の周縁部から下方に延設する環状スカート部26とからなり、環状スカート部26を介して詰替え容器11の詰替え流出口15aを覆って当該栓部材18が取り付けられるようになっている。天面板25には、これの上面から立設して挿入ガイド壁27が設けられている。挿入ガイド壁27は、スパウト23のU字又は略U字の断面形状の外周形状に沿ったU字又は略U字の内周形状を有する周壁部27aと、スパウト23の開放部23aに挿入配置される流路調整壁部27bとを含んで形成されている。周壁部27aの内側基端部に沿った部分の天面板25には、スパウト23による天面板25の破断を誘導する薄肉部28が設けられている。
【0098】
挿入ガイド壁27には、スパウト23の外周部分に係止されることで、挿入ガイド壁27をスパウト23の中間部分に配置して、注出キャップ19の底面壁22と挿入ガイド壁27との間にスパウト23の開放部23aによるエア抜き開口29(
図9参照)を保持させるストッパー部30が設けられている。スパウト23を挿入ガイド壁27の内側部分に挿入して天面板25を破断させることで詰替え流出口15aを開放した際に(
図9参照)、注出スパウト23のU字又は略U字の断面形状の外周面に周壁部27aの内周面を密着させると共に、エア抜き開口29が保持されるように詰替え容器11を位置決めさせるようになっている(
図9参照)。
【0099】
また、本実施形態では、挿入ガイド壁27のストッパー部30は、周壁部27aと流路調整壁部27bとの間に介在して、周壁部27aのU字又は略U字の内周形状の開放部分を流路調整壁部27bと共に閉塞するように設けられた、当接壁部27cからなる。この当接壁部27cを、スパウト23の下部において、開放部23aの側縁部から内側に折れ曲って延設するリブ台31(
図7参照)の外周面から突出する、当接補強リブ32に上方から当接係止させることにより、挿入ガイド壁27をスパウト23の中間部分に配置させるようになっている(
図9参照)。
【0100】
本実施形態では、詰替え容器11は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂を用いた延伸ブロー成形によって形成されたものであり、
図2に示すように、自立載置部13を備える底部14と、液体洗剤を注出させる詰替え流出口15aを備える口首部15と、底部14と口首部15との間の肉厚が50〜150μm程度の胴部16とを含んで構成されている。また、詰替え容器11は、胴部16の上方に連続して詰替え容器11の上端部分を構成する、ドーム形状を有する肩部33を備えており、肩部33の上端中央部分から上方に突出して、円筒形状の口首部15が一体として設けられている。
【0101】
詰替え容器11の口首部15は、厚肉に形成されることで、手の力では変形させることが困難な程度の保形剛性を備えており、上端が詰替え流出口15aとして開口している。口首部15には、詰替え流出口15aを覆うようにして、本実施形態の詰替え容器用栓部材18が嵌合装着される。また、口首部15には、栓部材18のキャッピング時の操作性等を考慮して、ノズル掛かり部15bが設けられている。
【0102】
なお、本実施形態では、詰替え容器11は、当該詰替え容器11の全体を遊びを持たせた状態で包み込む合成樹脂製の外装袋によって覆われた状態で、製品化されるようになっており、またこの外装袋に広告や説明書き等の加飾を施して、店頭などに陳列されるようになっている。
【0103】
そして、本実施形態では、詰替え容器用栓部材18は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂を用いた金型成形品であって、
図2及び
図4(a)、
図4(b)に示すように、円盤形状の天面板25と、天面板25の周縁部から一体として下方に延設する扁平な円筒形状の環状スカート部26とからなる。環状スカート部26の内周面には例えば係止リブが設けられており、これを詰替え容器11の口首部15の外周面に設けられた例えば係止段差部に係着することにより、容易には取り外すことができない状態で、詰替え容器11の口首部15に詰替え容器用栓部材18が嵌合装着される。
【0104】
詰替え容器用栓部材18の天面板25には、これの上面から例えば5〜20mm程度の高さで垂直上方に立設して、詰替え容器11の口首部15及び当該栓部材18を、液体洗剤を詰め替える際に被詰え容器60の注出キャップ19に位置決めするための、挿入ガイド壁27が設けられている。本実施形態では、挿入ガイド壁27は、注出キャップ19のスパウト23のU字又は略U字の外周形状に沿ったU字又は略U字の内周形状を有する周壁部27aと、スパウト23の開放部23aに挿入配置される、好ましくはT字又は略T字の断面形状を有する流路調整壁部27bと、周壁部27aと流路調整壁部27bとの間に介在して設けられた当接壁部27cとからなる。挿入ガイド壁27は、これらが連続して、スパウト18のリブ台31を備える下部の断面形状に沿った形状の、環状壁として設けられている。
【0105】
また、本実施形態では、周壁部27aの内側基端部に沿った部分の天面板25には、薄肉部28が形成されている。スパウト23が正しい方向で挿入ガイド壁27の内側に挿入された際に、周壁部27aの内側基端部に形成された薄肉部28に沿って天面板25が破断するように誘導させて、スパウト23の外周面を周壁部27aの内周面に密着させることができるようになっている。本実施形態では、薄肉部28は、当接壁部27cの内側基端部を除いて、少なくとも周壁部27aの内側基端部に沿った部分として、周壁部27aの内側基端部及び流路調整壁部27bの内側基端部に沿った部分に設けられている。これによって、スパウト23を挿入することで、挿入ガイド壁27によって囲まれる部分の天面板25である内側天面板25aを破断させた際に、当該内側天面板25aが、流路調整壁部27bの両側の当接壁部27cとの接合部分をヒンジ部として機能させて、当該接合部分を回動中心として回動するように、その破断する方向が規制される。これによって、当該内側天面板25aは、注出スパウト18の上部側面の開放部23に重なるように配置される(
図9参照)。またこれによって、詰替え容器11からスパウト23の内側の詰替え流出路を介して被詰え容器60に流入する液体洗剤の流量を、容易に調整することが可能になる。薄肉部28における詰替え時にスパウト23の先端が接触する位置に、凹または凸形状の切断開始部28aを一つ以上設けることで、開栓性をさらに高めることが可能になる。
【0106】
さらに、本実施形態では、挿入ガイド壁27の流路調整壁部27bを挟んだ両側の当接壁部27cの外周面には、スパウト23のリブ台31の外周面に突出して設けられた当接補強リブ32と対応する位置に縦方向に延設して、挿入方向案内リブ34が設けられている。挿入ガイド壁27の当接壁部27cに挿入方向案内リブ34が設けられていることにより、挿入方向案内リブ34を当接補強リブ32と位置合わせさせるように誘導することで、スパウト23への差し込み方向を分かり易くすることが可能になる。挿入方向案内リブ34は、栓部材18の環状スカート部26や、注出キャップ19の装着スカート部20に設けることもできる。
【0107】
さらにまた、本実施形態では、挿入ガイド壁27は、
図4(b)に示すように、その上端面が、側面視して凹状に僅かに窪んだ湾曲面となるように形成されている。挿入ガイド壁27の上端面が、側面視して凹状の湾曲面となっていることにより、注出キャップ19のスパウト23に詰替え容器用栓部材18を差し込んで使用する際に、スパウト23の先端を容易に挿入ガイド壁27の内側に誘導することが可能となる。
【0108】
そして、上述の構成を備える本実施形態の詰替え容器用栓部材(栓体)18によれば、容器本体61の口首部にスパウト23を備える注出キャップ19が装着された被詰替え容器60に、詰替え容器11を安定した状態で位置決めすることができると共に、詰替え容器11の内容物を、空気置換のための複雑な機構を要することなく、簡易な構成によってスムーズに流下させて詰め替えて行くことが可能になる。
【0109】
すなわち、本実施形態によれば、詰替え容器用栓部材18には、天面板25の上面から立設して挿入ガイド壁27が設けられており、挿入ガイド壁27は、スパウト23のU字又は略U字の断面形状の外周形状に沿ったU字又は略U字の内周形状を有する周壁部27aと、注出スパウト18の開放部23に挿入配置される流路調整壁部27bとを含んで形成されている。また周壁部27aの内側基端部に沿った部分の天面板25には、スパウト23による天面板25の破断を誘導する薄肉部28が設けられている。これらによって、スパウト23が誤った方向で挿入ガイド壁27の内側に挿入されようとしても、
図8に示すように、流路調整壁部27bがスパウト23に当たることで、挿入ガイド壁27の内周面にスパウト23の外周面が沿わない状態で天面板25が破断されるのを効果的に阻止することが可能になる。一方、スパウト23を正しい方向で挿入ガイド壁27に挿入すれば、スパウト23の外周面が周壁部27aの内周面に密着し、且つスパウト23の開放部23aに流路調整壁部27bが係合することで、被詰替え容器60に詰替え容器11を安定した状態で位置決めして装着することが可能になる。
【0110】
また、挿入ガイド壁27の周壁部27aは、スパウト23のU字又は略U字の外周形状に沿ったU字又は略U字の内周形状を有しているので、天面板25を薄肉部28を介して破断しつつ、スパウト23が挿入されてゆく際に、周壁部27aの内周面がスパウト23の外周面と密着するように自然に誘導されて、周壁部27aの内周面がスパウト23の外周面と密着することになる。これによって、内側天面板25aが破断することで挿入ガイド壁27の内側に開口された詰替え流出口15aの開口形状と、スパウト23の内側の詰替え流出路、及び詰替え流出口15aと対向配置されるスパウト23の内側領域の注出口24とが、略同じ開口形状で直線状に並ぶことになる。これらによって、詰替え容器11から被詰替え容器16に至る詰替え流出路を、スパウト23の内側の部分に限定することが可能になると共に、流量を抑制することが可能になって、内容物である液体洗剤が注出キャップ19から溢れ出るのを効果的に回避することが可能になる。また、挿入ガイド壁27の周壁部27aはU字または略U字である必要はなく、スパウト23と挿入ガイド壁27との間でガタツキや大きなクリアランスがなければ、例えば半円以下の弧でも流路調整壁部27bによって流量を調節可能なため、溢れを防止することが可能になる。
【0111】
さらに、
図9に示すように、スパウト23の上部側面の開放部23aがヒンジ部を中心として回動した内側天面板25aにより塞がれることで、詰め替えられる液体洗剤の液量を調節することが可能になると共に、スパウト23との接触箇所を増やして、詰替え時の姿勢をより安定的にすることが可能となる。
【0112】
さらにまた、本実施形態によれば、挿入ガイド壁27には、スパウト23の外周部分に係止されることで、挿入ガイド壁27をスパウト23の中間部分に配置して、エア抜き開口29を保持させる当接壁部27cによるストッパー部30が設けられている。これによって、ストッパー部30によって保持されたエア抜き開口29を介して被詰替え容器16の内部との空気置換を行なわせつつ、液体洗剤の詰め替えや補充を容易且つスムーズに行うことが可能になる。
【0113】
したがって、本実施形態の詰替え容器用栓部材18によれば、既存の注出キャップ19のスパウト23の構造を利用した簡易な構成によって、詰替え容器11の大きさと比較して当該栓部材18を過度に大きくすることなく、且つ被詰替え容器60や注出キャップ19に空気置換のための複雑な機構を設けることなく、例えば
図5に示すような手を離した状態でも、詰替え容器11の胴部16自体を収縮変形させながら、安定した状態で、内容物である液体洗剤の詰替え作業(補充作業を含む)を効率良く行ってゆくことが可能になる。
【0114】
図10(a)、
図10(b)、及び
図11は、他の実施形態に係る詰替え容器用栓部材40を説明するものである。本他の実施形態の詰替え容器用栓部材40は、上記実施形態の詰替え容器用栓部材18と略同様に、天面板45と、天面板45の周縁部から下方に延設する環状スカート部46とからなり、環状スカート部46を介して詰替え容器11の詰替え流出口15aを覆って当該栓部材40が取り付けられるようになっている。天面板45には、これの上面から立設して挿入ガイド壁47が設けられている。挿入ガイド壁47は、スパウト23のU字又は略U字の断面形状の外周形状に一部沿ったU字又は略U字の内周形状を有する周壁部47aを含んで形成されている。周壁部47aの内側基端部に沿った部分の天面板45には、注出スパウト18による天面板45の破断を誘導する薄肉部48が設けられている。
【0115】
また、本他の実施形態の栓部材40では、挿入ガイド壁47の内側の天面板45aに、スパウト23の開放部23aに挿入配置される流路調整壁部43が設けられている。挿入ガイド壁47には、スパウト23の外周部分に係止されることで、挿入ガイド壁47をスパウト23の中間部分に配置して、スパウト23の開放部23aによるエア抜き開口を保持させるストッパー部50が、周壁部47aのU字又は略U字の内周形状の開放部分を閉塞するように設けられた当接壁部47cによって形成されている。
【0116】
さらに、薄肉部48は、当接壁部47cの内側基端部を除いて、周壁部47aの内側基端部に沿った部分に設けられていることにより、当接壁部47cの内側基端部を、ヒンジ部49として機能させることができるようになっている。薄肉部48の詰替え時にスパウト23の先端と接触する位置に、凹または凸形状の切断開始部48aを一つ以上設けることで、開栓性をさらに高めることが可能になる。
【0117】
本他の実施形態の栓部材40では、
図11に示すように、スパウト23を挿入ガイド壁47の内側部分に挿入して天面板45aを薄肉部48に沿って破断させることで、詰替え流出口15aを開放した際に、スパウト23のU字又は略U字の断面形状の外周面に周壁部47aの内周面を密着させる。また破断した天面板45aがヒンジ部49を中心に回動することで、天面板45aに設けられた流路調整壁部43が、スパウト23の開放部23に係合して行くことになる(
図11の破線部参照)。これらによって、被詰替え容器60に詰替え容器11を安定した状態で位置決めして装着することが可能になる。また、ヒンジで繋がっていることで、パーツが流路を塞いだり、異物が被詰替え容器60に入ることもない。
【0118】
本他の実施形態の詰替え容器用栓部材40によっても、上記実施形態の詰替え容器用栓部材18と同様の作用効果が奏される。
【0119】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、詰替え容器用栓部材が取り付けられる詰替え容器は、薄肉のボトル形状の容器である必要は必ずしも無く、スタンディングパウチ等のその他の容器であっても良い。口首部以外のその他の詰替え流出口を覆って取り付けることもできる。また、天面板や環状スカート部は、円盤形状や扁平な円筒形状のものである必要は必ずしも無く、楕円形や四角形、多角形等の、その他の平面形状を備えるものであっても良い。さらに、注出キャップの底面壁と挿入ガイド壁との間にエア抜き開口を保持させるストッパー部は、挿入ガイド壁を注出スパウトの中間部分に配置させることが可能なその他の構造のものを用いることもできる。さらにまた、流路調整壁部は、T字又は略T字の断面形状を有している必要は必ずしもなく、注出スパウトの開放部に挿入配置することが可能な形状として、矩形形状、円弧形状等、その他の種々の断面形状を備えるものであっても良い。また、スパウト23にリブ台31や当接補強リブ32がある必要はなく、挿入ガイド壁がスパウト23の外周に接することで、スパウト23の中間に詰替え容器用栓部材を配置することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明の包装体によれば、容器が例えば1000ml以下の容量のものであっても、容量に対する樹脂量の割合を小さくしたまま、樹脂量を効果的に減らして形成することができると共に、樹脂量を減らしたことで、製品としての外観が損われたり、強度が低下したり、収容した内容物の安定性が損われたりするのを容易に回避することができ、これによって環境負荷の低減を図ることができる。
【0121】
また、本発明の包装体によれば、延伸ブロー成形容器を単層容器とすることができ、これによって接着層の剥離による容器の強度の低下を招くことがなく、さらなる容器の薄肉化と、環境負荷の低減を図ることができる。また、層間剥離がないため、外観を良好に維持することが可能となる。