特許第6061690号(P6061690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061690
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】流体供給制御装置
(51)【国際特許分類】
   G07F 15/04 20060101AFI20170106BHJP
   G01F 3/22 20060101ALI20170106BHJP
   G08B 21/16 20060101ALI20170106BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   G07F15/04 101
   G01F3/22 B
   G08B21/16
   F23K5/00 304
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-4868(P2013-4868)
(22)【出願日】2013年1月15日
(65)【公開番号】特開2014-137642(P2014-137642A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513010929
【氏名又は名称】丹東東発(集団)股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000222211
【氏名又は名称】東洋ガスメーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木場 康雄
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 孝治
(72)【発明者】
【氏名】足立 明久
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−096793(JP,A)
【文献】 特開2006−252244(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02485198(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 15/00−15/12
F23K 5/00
G01F 3/22
G08B 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路中を流れる流体の使用流量を計量するとともに、該流路を通じて供給される流体の流量を制御する流体供給制御装置であって、
流体が流通する流路の開閉を行なう遮断弁と、
前記遮断弁による流路の開閉を指示し、流体の供給を制御する供給制御部と、
当該流体供給制御装置よりも下流側における流体の異常使用の有無を判定し、異常使用が有ると判定した場合に前記遮断弁により流路を閉じる旨の遮断指示を前記供給制御部に送信する保安機器と、
流体の使用可能な流量である使用可能流量を記録する使用可能流量記憶装置と、
流体の使用流量を計量し、計量した使用流量が所定量となるたびに前記供給制御部に通知する計量部と、を備え、
前記供給制御部は、前記計量部から前記通知を受信するたびに前記使用可能流量記憶装置に記録した使用可能流量から前記所定量を減算し、該使用可能流量の残量を求めており、
前記供給制御部は、前記使用可能流量の残量がゼロになった場合、あるいは、前記流路を閉じていた遮断弁を開き流体の供給を開始する際に、前記保安機器により流体の異常使用が有ると判定され、該保安機器から送信された前記遮断指示を受信した場合、前記遮断弁に対して前記流路を閉じるように指示する流体供給制御装置において、
前記遮断弁が前記保安機器からの前記遮断指示により前記流路を閉じた状態にあり、かつ前記使用可能流量記憶装置に記録された前記使用可能流量の残量がある場合に、遮断弁により閉じられた流路を開放させるよう指示する開放指示信号を受け付けると、前記供給制御部は、前記遮断弁に流路を開くように指示するとともに、この指示した旨を示す信号を前記保安機器に送信しており、
前記保安機器は前記供給制御部から受信した信号に基づき流体の異常使用の有無を判定する流体供給制御装置
【請求項2】
流体の使用可能な流量である使用可能流量を記録した記録媒体を検知し、該記録媒体から該使用可能流量を読み取る読み取り器をさらに備え、
前記使用可能流量記憶装置は、前記読み取り器によって前記記録媒体から読み取られた前記使用可能流量を記録する請求項1に記載の流体供給制御装置。
【請求項3】
前記供給制御部は、前記開放指示信号として、前記読み取り器から前記記録媒体の検知を示す検知信号を受け付けた場合、前記遮断弁に流路を開くように指示するとともに、この指示した旨を示す信号を前記保安機器に送信しており、
前記保安機器は前記供給制御部から受信した信号に基づき流体の異常使用の有無を判定する請求項に記載の流体供給制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路中を流れる流体の使用流量を計量するとともに、許容される使用流量を超えると流体の供給を停止させる流体供給制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス使用者宅には、通常、都市ガスやプロパンガスの使用流量を測るため、ガスが管中を通過する量を測定するガスメータが取り付けられている。このガスメータとしては、例えば、仕切り板を挟む2つの計量室に対して交互にガスの充填及び排気を繰り返させ、そのときに仕切り板が往復移動する回数と計量室の容積とによってガスの流量を計量する膜式ガスメータなどが一般的に知られている。
【0003】
また、ガスメータには、ガスの適切かつ安全な使用を確保するために、種々の保安機能が備えられている。例えば、ガス漏れやガス器具の破損などを検知すると、ガスメータに備えられた遮断弁によりガスの供給を遮断することができるように構成されている。
【0004】
また、ガス料金の未納者に対してガスの供給を強制的に遮断させるために、この遮断弁を利用したガスメータも開発されている。例えば、特許文献1には、ガス料金の未納者に対してガスを使用させないように工夫された供給制御装置が開示されている。すなわち、特許文献1に開示された供給制御装置には、利用可能なガス流量に応じた度数値が記録されたメモリカードが挿入されており、この度数値がゼロになると遮断弁を閉状態としてガスの供給を停止させる。また、このようなガスの供給が停止された状態において、度数値が記録されたメモリカードを再度挿入し、開放スイッチを操作すると遮断弁が開放され、ガスの供給を開始することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−93890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来技術は、ガスの供給が停止された状態において、開放スイッチを操作すると遮断弁を開放する構成であるため、ガス漏れが生じている場合であっても無条件にガスの供給を開始してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、保安を確保した状態で流体の供給を再び開始することができる流体供給制御装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る流体供給制御装置は、上記した課題を解決するために、流路中を流れる流体の使用流量を計量するとともに、該流路を通じて供給される流体の流量を制御する流体供給制御装置であって、流体が流通する流路の開閉を行なう遮断弁と、前記遮断弁による流路の開閉を指示し、流体の供給を制御する供給制御部と、当該流体供給制御装置よりも下流側における流体の異常使用の有無を判定し、異常使用が有ると判定した場合に前記遮断弁により流路を閉じる旨の遮断指示を前記供給制御部に送信する保安機器と、流体の使用可能な流量である使用可能流量を記録する使用可能流量記憶装置と、流体の使用流量を計量し、計量した使用流量が所定量となるたびに前記供給制御部に通知する計量部と、を備え、前記供給制御部は、前記計量部から前記通知を受信するたびに前記使用可能流量記憶装置に記録した使用可能流量から前記所定量を減算し、該使用可能流量の残量を求めており、前記供給制御部は、前記使用可能流量の残量がゼロになった場合、あるいは、前記流路を閉じていた遮断弁を開き流体の供給を開始する際に、前記保安機器により流体の異常使用が有ると判定され、該保安機器から送信された前記遮断指示を受信した場合、前記遮断弁に対して前記流路を閉じるように指示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上に説明したように構成され、保安を確保した状態で流体の供給を再び開始することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係るガス計測装置が備えられたガス供給システムの一例を示すブロック図である。
図2図1に示すガス計測装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係るガス計測装置にて実施されるガス使用開始処理の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態に係るガス計測装置で実施されるガス遮断処理(A)の一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態に係るガス計測装置で実施されるガス遮断処理(B)の一例を説明する図である。
図6】本発明の実施の形態に係るガス計測装置で実施される復帰処理(A)の一例を説明する図である。
図7】本発明の実施の形態に係るガス計測装置で実施される復帰処理(B)の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明では以下に示す態様を提供することができる。
【0012】
本発明の第1の態様に係る流体供給制御装置は、流路中を流れる流体の使用流量を計量するとともに、該流路を通じて供給される流体の流量を制御する流体供給制御装置であって、流体が流通する流路の開閉を行なう遮断弁と、前記遮断弁による流路の開閉を指示し、流体の供給を制御する供給制御部と、当該流体供給制御装置よりも下流側における流体の異常使用の有無を判定し、異常使用が有ると判定した場合に前記遮断弁により流路を閉じる旨の遮断指示を前記供給制御部に送信する保安機器と、流体の使用可能な流量である使用可能流量を記録する使用可能流量記憶装置と、流体の使用流量を計量し、計量した使用流量が所定量となるたびに前記供給制御部に通知する計量部と、を備え、前記供給制御部は、前記計量部から前記通知を受信するたびに前記使用可能流量記憶装置に記録した使用可能流量から前記所定量を減算し、該使用可能流量の残量を求めており、前記供給制御部は、前記使用可能流量の残量がゼロになった場合、あるいは、前記流路を閉じていた遮断弁を開き流体の供給を開始する際に、前記保安機器により流体の異常使用が有ると判定され、該保安機器から送信された前記遮断指示を受信した場合、前記遮断弁に対して前記流路を閉じるように指示する。
【0013】
ここで、流体の異常使用が有るとは、流体を使用するにあたり安全上で問題となるような異常が生じている状態であるということである。例えば、流体を供給する流路から流体を使用する機器の間で流体が漏れ出ている状態、機器の故障等により流体が適正に使用されていない状態、または当該流体供給制御装置において大きな振動が生じているような状態などが挙げられる。
【0014】
上記した構成によると、遮断弁および供給制御部を備えるため、所望のタイミングで遮断弁により流路の開閉を行ない、流体の供給を制御することができる。また、保安機器を備えるため、供給された流体の使用において異常が生じている場合、供給制御部に遮断指示を送信することで、遮断弁により流路を閉じることができる。さらに、使用可能流量記憶装置と計量部とを備えているため、計量部によって流体が使用されたか流量を計量することができる。また所定量だけ使用されるたびに使用可能流量記憶装置に記録した使用可能流量の残量を減算させることができるため、使用可能な流体の流量を規定することができる。そして、使用可能流量の残量がゼロになった場合、前記供給制御部は、前記遮断弁に対して前記流路を閉じるように指示することができる。
【0015】
さらには、流路を閉じていた遮断弁を開き流体の供給を開始する際に、前記保安機器により流体の異常使用が有ると判定された場合、前記供給制御部は、前記遮断弁に対して前記流路を閉じるように指示することができる。
【0016】
すなわち、使用可能流量の残量がゼロの場合のみならず、保安機器により流体の異常使用が有ると判定された場合でも、供給制御部は遮断弁により流路を閉じることができる。
このため、本発明の第1の態様に係る流体供給制御装置は、保安を確保した状態で流体の供給を再び開始することができるという効果を奏する。
【0017】
本発明の第2の態様に係る流体供給制御装置は、本発明の第1の態様に係る流体制御装置の構成において、流体の使用可能な流量である使用可能流量を記録した記録媒体を検知し、該記録媒体から該使用可能流量を読み取る読み取り器をさらに備え、前記使用可能流量記憶装置は、前記読み取り器によって前記記録媒体から読み取られた前記使用可能流量を記録するように構成されていてもよい。
【0018】
上記した構成によると読み取り器を備え、該読み取り器によって読み取られた使用可能流量を使用可能流量記憶装置が記録する構成である。このため、流体供給制御装置は、記録媒体に記録されている使用可能流量を把握し、使用可能流量記憶装置において管理することができる。それゆえ、本発明に係る流体制御装置は、記録媒体に記録した使用可能流量の範囲でのみ流体を供給するように、流体の供給を制限できる。
【0019】
本発明の第3の態様に係る流体供給制御装置は、本発明の第1の態様に係る流体制御装置の構成において、他の装置との通信を確立するための通信部をさらに備え、前記使用可能流量記憶装置は、前記通信部によって確立された通信により取得した前記使用可能流量を記録するように構成されていてもよい。
【0020】
本発明の第4の態様に係る流体供給制御装置は、本発明の第1から第3の態様のいずれか1つの態様に係る流体制御装置の構成において、前記遮断弁が前記保安機器からの前記遮断指示により前記流路を閉じた状態にあり、かつ前記使用可能流量記憶装置に記録された前記使用可能流量の残量がある場合に、遮断弁により閉じられた流路を開放させるよう指示する開放指示信号を受け付けると、前記供給制御部は、前記遮断弁に流路を開くように指示するとともに、この指示した旨を示す信号を前記保安機器に送信しており、前記保安機器は前記供給制御部から受信した信号に基づき流体の異常使用の有無を判定する。
【0021】
上記した構成によると、使用可能流量の残量があるにも関わらず遮断弁によって流路が閉じられた状態にあるとき、開放指示信号を受け付けると供給制御部は、遮断弁に流路を開くように指示することができる。
【0022】
また、供給制御部が遮断弁に流路を開くように指示した旨を保安機器に送信しており、この信号に応じて保安機器にて異常使用の有無を判定することができる。このため、流路を開き、再度、流体の供給を開始する場合、この流体の異常使用を確認することができる。それゆえ、保安を確保した状態で流体の供給を再び開始することができる。
【0023】
本発明の第5の態様に係る流体供給制御装置は、本発明の第4の態様に係る流体供給制御装置の構成において、前記供給制御部は、前記開放指示信号として、前記読み取り器から前記記録媒体の検知を示す検知信号を受け付けた場合、前記遮断弁に流路を開くように指示するとともに、この指示した旨を示す信号を前記保安機器に送信しており、前記保安機器は前記供給制御部から受信した信号に基づき流体の異常使用の有無を判定する。
【0024】
上記した構成によると、使用可能流量の残量があるにも関わらず遮断弁によって流路が閉じられた状態にあるとき、開放指示信号として記録媒体の検知を示す検知信号を受け付けると供給制御部は、遮断弁に流路を開くように指示することができる。
【0025】
また、供給制御部が遮断弁に流路を開くように指示した旨を保安機器に送信しており、この信号に応じて保安機器にて異常使用の有無を判定することができる。このため、流路を開き、再度、流体の供給を開始する場合、この流体の異常使用を確認することができる。それゆえ、保安を確保した状態で流体の供給を再び開始することができる。
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は対応する構成部材には同一の参照符号を付して、その説明については省略する。
【0027】
(ガス計測装置)
まず、図1、2を参照して本実施の形態に係るガス計測装置(流体供給制御装置)100の構成について説明する。
【0028】
図1は、本実施の形態に係るガス計測装置100が備えられたガス供給システムの一例を示すブロック図である。図1では、便宜上、宅内に3台のガス器具102a〜102cが配置されているが、配置されるガス器具102a〜102cの数はこれに限定されるものではない。図2は、図1に示すガス計測装置100の要部構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
図1に示すように、本実施の形態に係るガス計測装置100は、ガス配管(流路)101の途中に設置されて、ガス器具102a〜102cによるガスの使用流量を算出する。図1の例では、ガス計測装置100はガス使用者の宅外に配置されているが、ガス器具102a〜102cよりも上流側に位置すれば宅内に配置されてもよい。
【0030】
また、ガス計測装置100は、ガスの異常使用を検出した場合、ならびに許容されるガスの使用流量を超えた場合、ガス配管101を遮断し、ガスの供給を停止させることができるように構成されている。
【0031】
ここで、ガスの異常使用とは、ガス計測装置100の下流側において、例えば、長期にわたりガスの使用が継続している状態、すなわち長期にわたり通常のガス器具で使用されうる流量よりも小さい流量のガスが流れている状態が挙げられる。このような状態の場合、ガスの異常使用として、ガス配管101におけるガス漏れの可能性がある。さらには、通常のガス器具で使用されうる流量と同量またはそれ以上の流量のガスが一定期間以上流れている状態の場合もガスの異常使用と判断される。このような状態の場合、ガス使用者の宅内に備えられたガス器具102a〜102cに破損が生じている可能性がある。
【0032】
また、許容されるガス使用流量とは、本実施の形態では、ガス計測装置100において利用するメモリカード8に記録されているガス流量となる。すなわち、本実施の形態に係るガス計測装置100では、ガスの利用者は、使用可能なガス流量を示すガス使用可能流量値(使用可能流量)を記録したメモリカード8を予め購入する。そして、このメモリカード8をガス計測装置100に挿入することで、このメモリカード8に記録されている流量分だけガスを使用できるようになっている。
【0033】
ガス計測装置100は図2に示すように、計量部1、遮断弁2、供給制御部3、カード読み取り器(読み取り器)4、保安機器5、および振動感知器6を備えてなる構成である。
【0034】
計量部1は、ガスが計量室(不図示)を通過する回数で流量を計量する、所謂、膜式でガスの使用流量を計量する公知の膜式ガスメータである。計量部1の計量室には仕切板(不図示)が設けられており、この仕切り板の往復運動の回数により流量を計量することができる。なお、計量部1は上述した膜式に限定されるものではなく、超音波センサを備え、この超音波センサによってガスの流速を計量し、計量した流速から流量を計算する方式であってもよい。
【0035】
遮断弁2は、供給制御部3からのガス配管101の遮断指示を示す閉弁信号に応じて、ガスを宅内に供給するガス配管101を閉じ、ガスの流れ(供給)を遮断するものである。また、遮断弁2は、供給制御部3からのガス配管101の開放指示を示す閉弁信号に応じて、閉じているガス配管101を開くものである。遮断弁2は、ガス配管101を閉じたり開いたりするための弁体(不図示)と、この弁体の動力源であるステッピングモータ(不図示)とを備える。すなわち、ガスの流れを遮断する場合、供給制御部3からの閉弁信号に応じて、ステッピングモータが回転する。そして、この回転により弁体が弁座側に前進して、ガス配管101を遮断する。一方、ガス配管101がこの遮断弁2の弁体により閉じられている状態を開いた状態とする場合、供給制御部3からの開弁信号に応じて、ステッピングモータが閉弁信号を受信したときとは反対に回転する。そして、この回転により弁体が弁座側から後退して、ガス配管101を開放する。
【0036】
供給制御部3は、遮断弁2の開閉を制御することによりガスの供給を停止したり、停止しているガス供給を復帰させたりするものである。また、供給制御部3は、ガスが所定量(例えば、5リットル)ずつ流れるたびに計量部1から出力される流量パルスを受信し、この流量パルスに基づき使用されたガス流量を監視するものでもある。
【0037】
供給制御部3は、図2に示すように、供給制御用電源31、主制御部32、LCD表示部33、供給制御用メモリ(使用可能流量記憶装置)34、および通信部35を備えてなる構成である。
【0038】
供給制御用電源31としては、例えば、ガス使用者自身で交換が可能な乾電池が利用される。主制御部32は、供給制御部3の各種制御を行うものである。主制御部32による各種制御の詳細については後述する。
【0039】
LCD表示部33は、主制御部32からの制御指示に応じて、例えば、利用可能なガス流量(ガス使用可能流量値)の残量表示、供給制御用電源31の残量表示、遮断弁2の開閉の有無等の各種情報を表示する液晶表示装置である。
【0040】
供給制御用メモリ34は、読み書き可能な記録媒体であり、後述するカード読み取り器4によって読み取られた情報(ガス使用可能流量)等を記録するものである。供給制御用メモリ34は例えばRAMやEEPROMなどにより実現できる。
【0041】
また、通信部35は、ガス計測装置100の外部に配置された他の装置との通信を確立するものである。他の装置としては、例えば、ガス使用者によるガスの使用量を管理する管理センターが想定されうる。そして、管理センターにガス使用者がガス使用料金として所定の金額を納めた場合、該管理センターから該所定金額に応じたガス使用可能流量に関する情報がガス計測装置100に送信される。このとき、ガス計測装置100では供給制御部3の通信部35が管理センターとの通信を確立し、該管理センターからガス使用可能流量に関する情報を受信する。そして、主制御部32は、受信した使用可能流量を供給制御用メモリ34に記録するように制御する。このようにして、本実施の形態に係るガス計測装置100は、管理センターなどからガス使用可能流量に関する情報を受信し、供給用制御メモリ34に記録しているガス使用可能流量を増加させることができる。なお、通信部35によって確立される、他の装置との通信は、無線通信であってもよいし、電話回線等の有線による通信であってもよい。
【0042】
カード読み取り器4は、メモリカード8の挿入を検知するとともに、挿入されたメモリカード8に記録されている情報(例えば、ガス使用可能流量)を読み出すものである。カード読み取り器4は、情報を読み出すと、その情報を主制御部32に送信するとともに、メモリカード8に記録されているガス使用可能流量値をゼロに書き換える。
【0043】
保安機器5は、ガスが所定量(例えば、1.2リットル)ずつ流れるたびに計量部1から出力される流量パルスを受信し、この流量パルスに基づき、ガス漏れなどのガスの異常使用の有無を判定するものである。保安機器5は、図2に示すように、保安用電源51、保安用制御部52、および保安用メモリ53を備えてなる構成である。保安用電源51としては、例えば、長期間取替え不要なリチウム電池などが利用できる。
【0044】
保安用メモリ53は、読み書き可能な記録媒体であり、計量部1から受信した流量パルスの履歴を記録するものである。保安用メモリ53は、例えば、RAMやEEPROMなどにより実現できる。
【0045】
保安用制御部52は、保安用メモリ53に記録された流量パルスの履歴に基づき、ガスの使用に異常が生じているか否か判定するものである。そして、保安用制御部52は、ガスの使用に異常が生じていると判定した場合、遮断弁2によりガス配管101を遮断させるように指示する遮断指示信号を供給制御部3に出力する。
【0046】
また、保安機器5は、振動感知器6および警報機7と接続されており、振動感知器6からの振動を感知した旨の信号、ならびに警報機7からの異常を検知した旨の信号を受信した場合も、保安用制御部52は、遮断指示信号を供給制御部3に出力する。
【0047】
なお、閉じられた遮断弁2が開いたとき、遮断弁2に対して開弁指示を送信した旨を示す信号が供給制御部3から保安機器5に送信されるように構成されている。
【0048】
(ガスの使用開始処理)
次に、上記した構成を有するガス計測装置100において、まず、上述したメモリカード8を利用したガスの使用開始処理について図3を参照して説明する。図3は、本実施の形態に係るガス計測装置100にて実施されるガス使用開始処理の一例を示すフローチャートである。なお、前提として、ガスが使用できないように、ガス配管101が遮断弁2によって閉じられている状態にあるとする。
【0049】
まず、ガスの使用者は、ガスの販売店やガスの販売管理センター等から予め使用可能なガス流量を示す流量値(ガス使用可能流量値)が記録されたメモリカード8を購入する。そして、この購入したメモリカード8をカード読み取り器4に設けられたカード挿入口(不図示)に挿入する。
【0050】
メモリカード8が挿入されると、カード読み取り器4は、このメモリカード8の挿入を検知する。そして、カード読み取り器4は、メモリカード8に記録された流量値(ガス使用可能流量値)を読み取る(ステップS11)。そして、カード読み取り器4は、読み取った流量値を主制御部32に送信する。
【0051】
主制御部32は、受信したガス使用可能流量値を供給制御用メモリ34に記録するとともに、このガス使用可能流量値をLCD表示部33にて表示させる。さらに、このようにしてメモリカード8に記録されたガス使用可能流量値を取得すると、主制御部32は、このガス使用可能流量値がゼロではないか確認する(ステップS12)。すなわち、主制御部32は、ガス使用可能流量値として許可されているガス流量の残量があるか否か確認する。
【0052】
主制御部32は、流量値がゼロでないと判定した場合(ステップS12において「YES」の場合)、遮断弁2にガス配管101の開放を指示する開弁信号を出力する(ステップS13)。この主制御部32からの開弁信号に応じて、遮断弁2は遮断しているガス配管101を開放する(ステップS14)。
【0053】
一方、ステップS12において「NO」の場合、主制御部32はガスの使用は不可であると判定し(ステップS15)、ガス使用開始処理を終了する。
【0054】
以上のようにガス配管101が開放された状態となることで、ガスの使用を開始することができる。
【0055】
なお、主制御部32は、メモリカード8に記録された流量値を取得すると、カード読み取り器4にメモリカード8内に記録されているガス使用可能流量値をゼロに書き換えるように指示する。この指示に応じて、カード読み取り器4は、挿入されているメモリカード8に記録されているガス使用可能流量値をゼロに書き換える。そして、この流量値が読み取られたメモリカード8は、ガスの使用者によってカード挿入口から取り出される。
【0056】
ところで、上述したように、本実施の形態に係るガス計測装置100は、許容されるガスの使用流量を超えた場合、ガス配管101を遮断するように構成されている。そこで、許容されるガスの使用流量を超えた場合におけるガス配管101の遮断処理(ガス遮断処理(A))について図4を参照して説明する。図4は、本実施の形態に係るガス計測装置100で実施されるガス遮断処理(A)の一例を示すフローチャートである。
【0057】
(ガス遮断処理(A))
ガス配管101が開放された状態となりガスが使用されると、計量部1により所定量(例えば、5リットル)ごとに流量パルスが供給制御部3に向かって出力される。図4に示すように、供給制御部3では、主制御部32が計量部1より流量パルスを受信すると(ステップS21)、供給制御用メモリ34に記録しているガス使用可能流量値を減算し、現時点でのガス使用可能流量値の残量を求める(ステップS22)。そして、主制御部32は求めた残量をLCD表示部33に表示させる。
【0058】
本実施形態では、例えば5リットルごとに計量部1から流量パルスを受信するため、ガス使用可能流量値の残量は、5リットル使用されるごとに更新されることとなる。このように、主制御部32は供給制御用メモリ34に記録したガス使用可能流量値を減算していき、ガス使用可能流量値の残量がゼロになったか否か判定する(ステップS23)。ガス使用可能流量値の残量がゼロになったと判定するまでステップS21およびステップS22を繰り返す。一方、主制御部32はこのガス使用可能流量値の残量がゼロになったと判定すると(ステップS23において「YES」)、遮断弁2に対して閉弁信号を出力する(ステップS24)。この閉弁信号に応じて遮断弁2はガス配管101を閉じる(S25)。これにより、ガスの供給が停止される。
【0059】
なお、本実施の形態に係るガス計測装置100では、ガス使用可能流量値の残量が所定量以下となったら警告を出力するように構成されていてもよい。また、ガス使用可能流量値の残量がゼロになったらさらに、ゼロであることを示す通知を行なう構成であってもよい。これら警告およびゼロであることを示す通知は、LCD表示部33にて表示することで行なってもよいし、不図示の音声出力部を設け、音によって知らせる構成であってもよい。さらには、不図示の光出力部を設け、発光状態によって知らせる構成であってもよい。
【0060】
このように、ガス使用可能流量値の残量がゼロになることで、ガスの供給が停止されてしまった場合、本実施の形態に係るガス計測装置100では、再度、ガス使用可能流量値が記録されたメモリカード8をカード挿入口(不図示)に挿入することで、再び、ガスの供給を復帰させることができる。なお、ガス遮断処理(A)によりガス配管101が遮断された状態から、再び、ガスの供給を復帰させる復帰処理(復帰処理(A))についての詳細は後述する。
【0061】
ところで、ガス使用可能流量値の残量がある状態ではあるが、保安機器5から遮断指示信号を受信した場合、供給制御部3の主制御部32は、この信号に応じて遮断弁2に閉弁信号を送信するようにも構成されている。そして、この閉弁信号に応じて遮断弁2がガス配管101を閉じる。
【0062】
すなわち、本実施の形態に係るガス計測装置100では、供給制御部3と保安機器5とが別々に設けられているが、遮断弁2は供給制御部3からの制御指示でのみ開閉を行なうように構成されている。このため、保安機器5がガスの異常使用を検知した場合、保安機器5から直接、遮断弁2にガス配管101を閉じるように指示するのではなく、供給制御部3を通じて指示することとなる。
【0063】
そこで、以下において、保安機器5のガスの異常使用の検知に基づくガス配管101の遮断処理(ガス遮断処理(B))について図5を参照して説明する。図5は本実施の形態に係るガス計測装置100で実施されるガス遮断処理(B)の一例を説明する図である。
【0064】
(ガス遮断処理(B))
ガス配管101が開放された状態となりガスが使用されると、計量部1により所定量(例えば、1.2リットル)ごとに流量パルスが保安機器5に向かって出力される。保安機器5では、保安用制御部52が計量部1より流量パルスを受信すると(ステップS31)、流量パルスの履歴を保安用メモリ53に記録する。そして、この記録した流量パルスの履歴に基づき、保安用制御部52は、ガス漏れなどのガスの異常使用の有無を判定する(ステップS32)。ステップS32において「NO」と判定している間は、ステップS31における流量パルスの受信を継続して行なっており、ステップS32において「YES」と判定すると(すなわち、ガスの異常使用が生じていると判定すると)、保安用制御部52は遮断指示信号を供給制御部3に出力する(ステップS33)。供給制御部3では、主制御部32が保安機器5から遮断指示信号を受信すると、遮断弁2に対して閉弁信号を出力する(ステップS34)。この閉弁信号を受信すると遮断弁2は、ガス配管101を閉じる。
【0065】
以上のように、ガス使用可能流量値の残量がある状態であっても、保安機器5の保安用制御部52がガスの使用に異常が生じていると判定した場合、供給制御部3は遮断弁2を制御してガス配管101を遮断することができる。
【0066】
また、上記したガス遮断処理(B)では、計量部1から受信した流量パルスの履歴に基づき、保安用制御部52がガスの異常使用の有無を判定する構成について説明したが、ガスの異常使用の有無の判定はこれに限定されるものではない。保安機器5は、振動感知器6および警報機7に接続されており、振動感知器6からの振動を感知した旨の信号、ならびに警報機7からの異常を検知した旨の信号を受信した場合も、ガスの使用に異常が生じているとして、遮断指示信号を供給制御部3に出力するように構成されている。
【0067】
次に、上述したガス遮断処理(A)、(B)によってガス配管101が遮断弁2により閉じられた状態から、ガス配管101を開放してガスが供給される状態に復帰させる復帰処理(復帰処理(A)、(B))について以下に説明する。
【0068】
まず「ガス遮断処理(A)」によりガス配管101が遮断された場合における復帰処理を復帰処理(A)として図6を参照して説明する。図6は、本実施の形態に係るガス計測装置100で実施される復帰処理(A)の一例を説明する図である。
【0069】
(復帰処理(A))
ガス遮断処理(A)によりガス配管101が遮断された状態において、新たに、ガス使用可能流量が記録されたメモリカード8を購入し、カード読み取り器4に挿入して、上述した「ガス使用開始処理」を実施する(ステップS41)。この「ガス使用開始処理」の実施により、遮断弁2が開状態となりガスの供給が開始される。遮断弁2を開状態とするように供給制御部3の主制御部32から遮断弁2に開弁信号を出力したとき、この主制御部32は、開弁信号を出力した旨を示す信号を保安機器5に送信する。これにより、保安機器5ではガス配管101が開放されたことを把握することができる。保安機器5では、供給制御部3の主制御部32から開弁信号を出力した旨を示す信号を受信すると、保安用制御部52が保安用メモリ53に記録した流量パルスの履歴からガスの使用に異常が生じているか否か判定する。さらに、保安用制御部52は、振動感知器6または警報機7からの信号の有無によりガスの使用に異常が生じているが否か判定する(S42)。
【0070】
ここで、保安機器5の保安用制御部52がガスの異常使用があると判定した場合(ステップS42において「YES」)、遮断指示信号を供給制御部3に出力する。この遮断指示信号を供給制御部3の主制御部32が受信すると、主制御部32は、遮断弁2に対して閉弁信号を出力する(ステップS43)。この閉弁信号に応じて遮断弁2が閉状態となり、ガス配管101を閉じる。一方、ステップS42において「NO」の場合は、保安機器5の保安用制御部52から供給制御部3に対して遮断指示信号が出力されないため、そのまま遮断弁2は開状態となりガス配管101は開放されたままとなる。
【0071】
このように、「ガス遮断処理(A)」によりガス配管101が遮断された状態から、遮断弁2を開状態とし、ガス配管101を開放させた際に、保安機器5によりガスの異常使用の有無を確認するように構成されている。そして、保安機器5が、ガスの使用に異常が生じていると判定した場合、供給制御部3を介して再度、遮断弁2を閉状態としガス配管101を流れるガスを遮断することができる。
【0072】
次に、図7を参照して「ガス遮断処理(B)」によりガス配管101が遮断された場合における復帰処理を復帰処理(B)として説明する。図7は本実施の形態に係るガス計測装置100で実施される復帰処理(B)の一例を説明する図である。
【0073】
(復帰処理(B))
ガス遮断処理(B)によりガス配管101が遮断された状態、すなわち、ガス使用可能流量値の残量があるにも関わらずガス配管101が遮断弁2により閉じられた状態において、再度、メモリカード8をカード読み取り器4に挿入する。カード読み取り器4は、メモリカード8の挿入を検知すると(ステップS51において「YES」)、その検知結果を示す検知信号を本発明の開放指示信号として供給制御部3に送信する。
【0074】
供給制御部3では、主制御部32がメモリカード8の挿入を示す検知信号を受信すると、遮断弁2に対して開弁信号を出力する(ステップS52)。この開弁信号に応じて、遮断弁2は、開状態となりガス配管101を開く。また、主制御部32は、遮断弁2を開状態とするように主制御部32から遮断弁2に開弁信号を出力したとき、開弁信号を出力した旨を示す信号を保安機器5に送信する。これにより、保安機器5ではガス配管101が開放されたことを把握することができる。保安機器5では、供給制御部3の主制御部32から開弁信号を出力した旨を示す信号を受信すると、保安用制御部52が保安用メモリ53に記録した流量パルスの履歴からガスの使用に異常が生じているか否か判定する。さらに、保安用制御部52は、振動感知器6または警報機7からの信号の有無によりガスの使用に異常が生じているか否か判定する(ステップS53)。これ以降のステップS54については、図6に示すステップS43と同様であるため説明は省略する。
【0075】
このように、「ガス遮断処理(B)」によりガス配管101が遮断された状態から、遮断弁2を開状態とし、ガス配管101を開放させた際に、保安機器5によりガスの異常使用の有無を確認するように構成されている。そして、保安機器5が、ガスの使用に異常が生じていると判定した場合、供給制御部3を介して再度、遮断弁2を閉状態としガス配管101を流れるガスを遮断することができる。
【0076】
なお、「復帰処理(B)」のステップS51において、カード読み取り器4に挿入されるメモリカード8は、ガス使用可能流量値が記録されたメモリカード8であってもよいし、ガス使用可能流量値が読み出された後のメモリカード8であってもよい。
【0077】
遮断弁2により遮断されているガス配管101を開放させるために、ガス使用可能流量値が記録されているメモリカード8をカード読み取り器4に挿入した場合、このガス使用可能流量値は読み出され、供給制御部3に送信される。そして、供給制御用メモリ34に記録されているガス使用可能流量値の残量に、新たに読み出されたガス使用可能流量値が加算されるように構成されていてもよい。
【0078】
さらには、遮断弁2により遮断されているガス配管101を開放させるために、カード読み取り器4において読み取りを行なわせるメモリカード8は、ガス配管101の開放を指示するために専用に設けられたメモリカードであってもよい。
【0079】
また、メモリカード8は使用者ごとに発行されており、該使用者のIDが記憶されていてもよい。遮断弁2により遮断されているガス配管101を開放させるために、使用者のIDが記録されているメモリカード8をカード読み取り器4に挿入した場合、このIDが読み出され、供給制御部3に送信される。そして、供給制御部3は、読み出されたIDが正規の使用者のものか否か判定し、正規の使用者のIDであると判定した場合に遮断弁2に開弁信号を出力しガス配管101を開放させるように構成されていてもよい。
【0080】
また、上記した復帰処理(B)では、ガス使用可能流量値の残量があるにも関わらずガス配管101が遮断弁2により閉じられた状態において、カード読み取り器4がメモリカード8の挿入を検知すると、供給制御部3の主制御部32が遮断弁2に対して開弁信号を出力しガスの供給を復帰させていた。しかしながら、ガスの供給の復帰はこれに限定されるものではない。例えば、復帰を指示するためのスイッチを備え、ガス使用可能流量値の残量があり、かつスイッチが押下された場合、ガスの供給を復帰させるように構成されていてもよい。
【0081】
このように、スイッチによりガスの供給を復帰させる構成の場合、スイッチが押下されると、押下された旨を示す信号が供給制御部3の主制御部32に出力される。なお、この押下された旨を示す信号により本発明の開放指示信号を実現する。
【0082】
主制御部32はこの信号に応じて、供給制御用メモリ34に記録されたガス使用可能流量値の残量の有無を確認し、残量があると判定したとき、遮断弁2に開弁信号を出力するとともに、開弁信号を出力した旨を示す信号を保安機器5に送信する。保安機器5はこの信号に応じて、ガスの使用の異常の有無を判定し、異常が生じていると判定した場合遮断指示信号を供給制御部3に送信する。この遮断指示信号を供給制御部3の主制御部32が受信すると、主制御部32は、遮断弁2に対して閉弁信号を出力する。この閉弁信号に応じて遮断弁2が閉状態となり、ガス配管101を閉じる。
【0083】
このように、スイッチによりガス供給の復帰を行なう構成の場合であっても、保安機器5が、ガスの使用に異常が生じていると判定した場合、供給制御部3を介して再度、遮断弁2を閉状態としガス配管101を流れるガスを遮断することができる。
【0084】
なお、上記した実施形態ではガス使用流量を計量するガス計測装置100を例に挙げて説明したが、計量対象はガスに限定されるものではなく、流体であればよい。
【0085】
また、供給制御部3は、その内部に供給制御用メモリ34を備える構成であるが必ずしも内部に備える必要はなく、供給制御用メモリ34を外部に別途備えた構成であってもよい。このように構成される場合、供給制御部3では、カード読み取り器4によりガス使用可能流量値が読み取られると、主制御部32がこの読み取られた値を外部に備えられた供給制御用メモリ34にアクセスし記録する。
【0086】
また、保安機器5は、その内部に保安用メモリ53を備える構成であるが必ずしも内部に備える必要はなく、保安用メモリ53を外部に別途備えた構成であってもよい。このように構成される場合、保安機器5では、計量部1から流量パルスを受信するたびに保安用制御部52が外部に備えられた供給制御用メモリ34にアクセスし流量パルスの履歴を記録する。
【0087】
また、上記した実施形態では、カード読み取り器4が、メモリカード8を検知すると、メモリカード8に記録されているガス使用流量を供給制御用メモリ34に記録させるとともに、メモリカード8に記録されていたガス使用流量をゼロにする構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、カード読み取り器4は、メモリガード8に記録されているガス使用流量のうち所定量だけ読み出し、供給制御用メモリ34に記録させるとともに、メモリカード8に記録されていたガス使用流量を、所定量のガス使用流量が差し引かれた流量に書き換える構成であってもよい。
【0088】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の流体供給制御装置は、遮断弁により閉じられた流路が開き、流体の供給が開始されるとき、保安機器により流体の使用における異常の有無を確認することができる。このため、供給する流体としてガスなど流路から漏れると危険な流体の供給を行なう装置に有用である。
【符号の説明】
【0090】
1 計量部
2 遮断弁
3 供給制御部
4 カード読み取り器
5 保安機器
6 振動感知器
7 警報機
8 メモリカード
31 供給制御用電源
32 主制御部
33 LCD表示部
34 供給制御用メモリ
35 通信部
51 保安用電源
52 保安用制御部
53 保安用メモリ
100 ガス計測装置
101 ガス配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7