(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、特許文献1の発明は、型閉じにより、エア吸気口内又はエア噴出口内へ発泡成形型の突部が入り込んで、そのエア吸気口又はエア噴出口を塞ぎ、その後の発泡成形時に発泡原料がダクト内へ入らぬようにする発明であるため、型閉じ前の対策が不十分であった。
ダクトをインサートして一体発泡成形されるシートパッドを製造する場合、ダクト2を例えば
図2のように下型7aにセットすると、エア吸気口26eが上向き状態になる。その後、
図6の注入工程で発泡原料mを注入する際、発泡原料mがエア吸気口26eからダクト2内へ入り込む虞がある。同図の注入ホースhを矢印のごとくエア吸気口26eをよけて動かしても、時にその口からダクト内へ入り込んでしまう問題があった。さらに、フランジ接合面に発泡原料がかかると、相手部材との接合に支障をきたすため、これを除去しなければならなかった。また、ダクト入りシートパッドの生産後、エア噴出口に比べ、大きな口のエア吸気口は、ここからゴミ,塵等が入り込む問題もあった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するもので、ダクトをインサートしてシートパッドが一体発泡成形される際、発泡成形工程のみならず発泡原料の注入工程でも、発泡原料がエア吸気口からダクト内へ侵入できなくして、一層の品質向上,生産性向上を果たすダクト入りシートパッドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、配風用ダクト(2)を埋設したダクト入りシートパッドの製造方法であって、エア吸気口(26e)とエア噴出口(25a)がある配風用ダクト(2)を、発泡成形型(7)の下型(7a)にセットすると共に、該セットで上向きになるエア吸気口(26e)をシールテープ(4)で塞ぎ、次いで、発泡原料(m)の注入及び型閉じし、続いて、シールテープ(4)付きダクト(2)がインサートされたシートパッド(1)の一体発泡成形を終えて、脱型し、その後、前記シールテープ(4)を剥がし、前記エア吸気口(26e)を
開口させるダクト入りシートパッドの製造方法において、前記エア吸気口(26e)を形成する筒状部(26)に
相手部材と接続するフランジ(27)を設け
、該フランジ(27)に、相手部材との接合面(27a)側からその反対面(27b)側へ向けて凹む凹所(272)を形成し、さらに凹所(272)が前記フランジ(27)の外周縁(271a)で開放され、且つその開放部(272k)をエア吸気口(26e)側における凹所(272)から括れ部状に狭く形成して、前記エア吸気口(26e)を前記シールテープ(4)で塞
ぐと共に、該シールテープが前記凹所(272)は浮いた状態で前記開放部(272k)まで覆うようにして該フランジ(27)の相手部材との接合面(27a)を覆着し、該接合面にそのシールテープ(4)を貼着する
ことを特徴とするダクト入りシートパッドの製造方法にある。
請求項2に記載の発明の要旨は、配風用ダクト(2)を埋設したダクト入りシートパッドの製造方法であって、エア吸気口(26e)とエア噴出口(25a)がある配風用ダクト(2)を、発泡成形型(7)の下型(7a)にセットすると共に、該セットで上向きになるエア吸気口(26e)をシールテープ(4)で塞ぎ、次いで、発泡原料(m)の注入及び型閉じし、続いて、シールテープ(4)付きダクト(2)がインサートされたシートパッド(1)の一体発泡成形を終えて、脱型し、その後、前記シールテープ(4)を剥がし、前記エア吸気口(26e)を
開口させるダクト入りシートパッドの製造方法において、前記エア吸気口(26e)を形成する筒状部(26)に
相手部材と接続するフランジ(27)を設け
、且つ該フランジ(27)にその外周縁(271a)からエア吸気口(26e)側へ入り込む凹み(274)を形成して、前記エア吸気口(26e)を前記シールテープ(4)で塞
ぐと共に、前記シールテープ(4)が前記凹み(274)まで覆うようにして該フランジ(27)の相手部材との接合面(27a)を覆着し、該接合面(27a)にそのシールテープ(4)を貼着
することを特徴とするダクト入りシートパッドの製造方法にある。
【0007】
請求項1の発明のごとく、セットで上向きになるエア吸気口(26e)をシールテープ(4)で塞いだ後、発泡原料(m)の注入及び型閉じし、シールテープ(4)付きダクト(2)がインサートされたシートパッド(1)の一体発泡成形へと進むと、エア吸気口をシールテープで封止しているので、発泡成形工程のみならず注入工程でも、発泡原料がエア吸気口からダクト内へ侵入するのを阻止できる。また、シールテープ(4)付きダクト(2)がインサートされたシートパッド(1)の一体発泡成形を終えて、脱型後、前記シールテープ(4)を剥がすので、このシールテープを剥がさない限り、外部からエア吸気口を通ってダクト内へのゴミ,塵等の侵入はない。エア吸気口(26e)をシールテープ(4)で塞ぎ、さらにフランジ(27)の
相手部材との接合面にそのシールテープ(4)を貼着すると、発泡原料の注入工程,発泡成形工程で、その貼着したフランジ面への発泡原料の付着を防止できる
。凹所(272)を形成して、シールテープ(4)で、凹所(272)は浮いた状態にして、フランジ(27)の
相手部材との接合面(27a)を覆着すると、発泡原料の注入工程,発泡成形工程で、フランジ全面に対し発泡原料が付着しないので、該フランジを相手部材との接合面としてそのまま利用できる。また、凹所は浮いた状態でシールテープがフランジに覆着されると、シールテープとフランジ面との接合部分が減るので、シールテープは剥がし易くなる
。エア吸気口(26e)を前記シールテープ(4)で塞
ぐと共に、該シールテープが前記凹所(272)は浮いた状態で開放部(272k)まで覆うようにすると、シールテープ付きダクト入りシートパッドの脱型後、シールテープ下の開放部に指等を入れ、シールテープを持上げればこれを簡単に剥すことができ
る。
請求項2の発明のごとく、
凹み(274)を形成し、
エア吸気口(26e)をシールテープ(4)で塞ぐと共に、シールテープ(4)で前記凹み(274)まで覆うようにすると、シールテープ付きダクト入りシートパッドの脱型後、シールテープ下の
凹みに指等を入れ、持上げればシールテープを簡単に剥がすことができる。
請求項3の発明のごとく、シールテープ(4)のエア吸気口(26e)を塞ぐ部位にピンホール(45)又はミシン目(46)を設けて、該エア吸気口(26e)を該シールテープ(4)で塞ぐと、ピンホールやミシン目に指を突っ込んでシールテープを容易に剥がすことができ、作業性向上につながる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のダクト入りシートパッドの製造方法は、発泡成形工程だけでなく発泡原料の注入工程においても、ダクト内への発泡原料の侵入阻止対策が万全で、さらにシールテープを剥がさなければ、これがエア吸気口からダクト内へのゴミ,塵の侵入を防ぐ養生テープの役目を果たし、しかも該シールテープが剥がし易くなっていることから、品質向上,作業性向上等に優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るダクト入りシートパッドの製造方法について詳述する。
図1〜
図15は
ダクト入りシートパッドの製造方法の一形態で、
図1はその発泡成形型を型開状態にした説明断面図、
図2は
図1の発泡成形型に
参考形態のダクトをセットした説明断面図、
図3は
図2のIII-III線矢視図、
図4,
図5は
参考形態のダクトを裏面側から見た斜視図と、表面側から見た正面図、
図6は注入工程の説明断面図、
図7は型閉じの説明断面図、
図8は発泡成形工程の説明断面図、
図9は脱型で取り出された
参考形態のシールテープ付きダクト入りシートパッドの表面側斜視図、
図10は
図9のX-X線矢視図、
図11は
図9の裏面側斜視図及びシールテープ周りの説明図、
図12は
図11の各図からシールテープを剥がした説明図、
図13はエア吸気口周りの説明図、
図14,
図15は
本発明のフランジの
部分斜視図である。尚、
図10は裏当て材3の図示を省き、
図11〜
図13は裏当て材3の断面を示すハッチングの図示を省く。
【0011】
ダクト入りシートパッドの製造方法は、まず発泡成形型7の下型7aに配風用ダクト2をセットすると共に、セットで上向きになるエア吸気口26eをシールテープ4で塞ぐ。次いで、発泡原料mの注入及び型閉じし、シールテープ4付きダクト2を埋設したシートパッド1の一体発泡成形を終えて、脱型する。その後、シールテープ4を剥がし、エア吸気口26eを開口させる製法である。
ダクト入りシートパッドは、車両用座席シートの座部やバックレストのシートクッションに使用される。ここでは、車両座席シート用座部向けのダクト入りシートパッドに適用する。表皮を被せれば、公知のバックパッドに表皮を被せたバックレストと、公知のヘッドレストとで車両用座席シートを形成する。
【0012】
本製法に先立ち、発泡成形型7とダクト2
(ここでは参考形態のダクト2)が用意される。
発泡成形型7は、
図1のような上型7bと下型7aとを備える。ヒンジ7cを支点にして上型を開けて型開状態にするが、型閉じすると、全体的にへこみ度合いが大きな下型7aの型面71と、一部に凹みを有するものの略平坦な上型7bの型面76とで、シールテープ付きダクト入りシートパッドのキャビティ70をつくる(
図7)。本製法では、下型7aの型面71でシートパッド表面1a側が成形され、上型7bの型面76でシートパッド裏面1b側が成形される。
下型7aには、
図9に示すシートパッドメイン部12の上半部用型面を中央にして、その両脇にサイド部13の上半部用型面が形成される。そして、下型7aにはメイン部12用型面の各所を柱状に盛り上げて、シートパッド表面1a側の各空気吹出口10を形成するための隆起部72が複数設けられる(
図1,
図10)。各隆起部72は、その上端面72aを平坦にする。
【0013】
ダクト2は、ポリプロピレン樹脂等からなる樹脂製管状部材で、エア吸気口26eが設けられると共にダクト経路にエア噴出口25aが設けられる。
図4,
図5は参考形態のダクト2であり、平面視略H字状した配風流路29を有するブロー成形ダクト2で、車幅方向に配される横筒部23の両端から一対の縦筒部24が車両前後方向へ延びる。ダクト2は、その表面側に横筒部23,縦筒部24に対し短管からなるノズル部25を複数箇所に立設し、各ノズル部25の先端開口をエア噴出口25aとする。一方、ダクト2の裏面側には、一つのエア吸気口26eが設けられる。詳しくは、本ダクト2に係る横筒部23の略中央から、導入部22が略水平又はやや上昇気味に張出す。導入部22はその先端で裏面側へ屈曲し、そのまま延設されてエア吸気口26eを形成する筒状部26となる。発泡成形型7へのセット時のダクト2は、ダクト主部21たる横筒部23,縦筒部24,導入部22が略同一水平面上にあり、該導入部22に対して、筒状部26が裏面側へ向けて起立する。そして、エア吸気口26e周りの筒状部26にフランジ27が設けられる。
該フランジ27は相手部材と接続する接続部で、裏面視が
図4,
図5のようなほぼ半円形である。フランジ27は全体的に見れば平坦なフランジ主要部271と、その外周縁で反り返ってフランジ
に係る接合面の反対面27b側へ延びる返し部273とを備える。フランジ主要部271は全体的に平坦といっても、フランジ
の相手部材との接合面27a側から
その反対面27b側へ向けて凹む凹所272を部分形成する。横断面半円状に窪む三日月形の凹所272が、エア吸気口26eを取り囲むように複数(ここでは二つ)設けられる。平坦な部位のフランジ
の相手部材との接合面27aは、筒状部26の筒中心軸に対し、略直交する面とする。符号275は相手部材とのボルト取付け孔を示す。
【0014】
ダクト入りシートパッドの製造方法は、最初に、発泡成形型7を型開状態とする(
図1)。各図の発泡成形型7は、
図9のX-X線矢視図のシートパッド1に係るキャビティ70を表した型断面図で、下型7aにセットされるダクト2は、その中心軸を通って、
図2のように車両前後方向に切断した型断面図になっている。
【0015】
次に、エア吸気口26eとエア噴出口25aがある配風用ダクト2を、発泡成形型7の下型7aにセットすると共に、該セットで上向きになるエア吸気口26eをシールテープ4で塞ぐ(
図2,
図3)。本発明でいう「ダクト2を下型7aにセットすると共にエア吸気口26eをシールテープ4で塞ぐ」は、ダクトの下型へのセットとエア吸気口をシールテープで塞ぐ時系列順序を問わない。
ダクト経路にエア吸気口26eとエア噴出口25aがある配風用ダクト2を、下型7aにセットするのであるが、ここでは、予めエア吸気口26eをシールテープ4で塞いでフランジ27に貼着したシールテープ4付きダクト2を準備する。ダクト2は、送風ユニット(図示せず)から一のエア吸気口26eへ導入された空調エアが分配されて、複数の各エア噴出口25aから吹き出すようにしている。よって、エア噴出口25aの口径よりも一回り大きい口径のエア吸気口26eを一つ塞ぐだけになる。
そうして、発泡型7を
図1の型開状態下、下型7aにシールテープ4付きダクト2をセットする。各ノズル部25を下方側に向け、ノズル部25の先端面を隆起部72の上端面72aに当接させ、該エア噴出口25aの口を塞いでシールテープ4付きダクト2を下型7aにセットする(
図2)。ダクト2を下型7aにセットした後、そのエア吸気口26eをシールテープ4で塞いでもよいが、セットがずれる虞があり、予めシールテープ4付きダクト2とするのがより好ましい。発泡型7への斯かるダクト2のセットで、ダクト主部21を水平に配して、ダクト主部21からは筒状部26が上方へ向け突出する。
下型7aへの該シールテープ4付きダクト2のセットと相前後して、上型7bの型面76に図示しない止具で裏当て材3を取付けセットする。
【0016】
ここで、前記シールテープ4はエア吸気口26eを塞いでフランジ27に貼着される封止テープである。樹脂テープの一方の面に粘着剤が付与された粘着テープで、エア吸気口26eを塞ぐことのできる大きさがある汎用テープを用いる。ただ、樹脂テープの樹脂は、シールテープ40がインサートされてシートパッド1が発泡成形されるため、シートパッド1のウレタン材料と非接着性の材料樹脂がより優れる。
【0017】
ダクト2には、前記フランジ27
が設け
られており、シールテープ4でエア吸気口26eを塞いでフランジ27を覆着する(
図3)。フランジ27の
相手部材との接合面27aにシールテープ4を貼着して、シールテープ付きダクト入りシートパッドとする。シールテープ4は、フランジ27の裏面視よりも一回り大きくした
図4のような略半円形とし、シールテープ4でフランジ27の相手部材との接合面27aの全域を覆着する。シートパッド1の発泡成形工程で、フランジ
の相手部材との接合面27aに発泡原料mが付着するのを阻止するためである。フランジ27に凹所272が設けられており、シールテープ4は、凹所272で浮いた状態にして、フランジ27の
相手部材との接合面27aの全域を覆着する。尚、
図3,
図11(ハ),
図13(ハ)は、シールテープ4を判り易くするため、これを筒状部先端261及びフランジ主要部271から少し離すが、実際のシールテープ4は少なくとも筒状部先端261と返し部273近くのフランジ主要部271に付着する。
【0018】
次いで、型開状態のまま、下型7aのキャビティ70を形成する型面71に、注入ホースh等を使用してシートパッド成形用ウレタン発泡原液等の発泡原料mを所定量注入する(
図6)。従来、口が上向きに開いたエア吸気口26eをよけて発泡原料mの注入を行っていたが、それでも注入時に発泡原料mが飛び散ったり、注入した発泡原料mが跳ね返ったりして、フランジ27にかかったり、エア吸気口26e内に入ったりする場合があった。ここでは、シールテープ4がエア吸気口26eを塞いでフランジ27に貼着されているので、エア吸気口26e内に発泡原料mが入り込まない。またシールテープ4がフランジ27の
相手部材との接合面27aの全域を覆着しているので、
該接合面27aを発泡原料mで汚すこともない。
【0019】
続いて、上型7bを作動させ型閉じする(
図7)。上型7bと下型7aとの型閉じで、型合せ面78,79が当接して、シールテープ4付きダクト2がインサートセットされたシートパッド1用キャビティ70ができる。上型型面76が、エア吸気口26eをつくる筒状部先端261にシールテープ4を介して当接して、隆起部72上にノズル部25を載せたシールテープ4付きダクト2のセットを安定させる。
【0020】
型閉じ後、シートパッド1の発泡成形に移る。
図7の型閉じ状態を所定時間維持し、シールテープ4付きダクト2を埋設一体化したシートパッド1を発泡成形する(
図8)。
ダクト主部21と一緒にフランジ27
に係る接合面の反対面27b側に在る筒状部26をシートパッド1で埋めて、シールテープ付きダクト2を埋設一体化したシートパッド1を発泡成形する。シールテープ4でエア吸気口26eを塞ぎ、フランジ27の
相手部材との接合面27aを覆った状態で発泡成形する。エア噴出口25aの口は隆起部72の上端面72aで閉ざされ、エア吸気口26eはシールテープ4で塞がれ封がされているので、発泡成形過程で、ダクト2内へ発泡原料mが侵入することはない。
【0021】
シートパッド1の発泡成形後、脱型し、シートパッド裏面1b側にシールテープが露出するシールテープ付き
参考形態のダクト入りシートパッドを得る(
図9〜
図11)。
シートパッド内部にダクト主部21を配設すると共に、空気吹出口10にエア噴出口25aを連通させ、且つシートパッド裏面1bに配されるエア吸気口26eをシールテープが塞いでフランジ27に貼着されたシールテープ付きダクト入りシートパッドが出来上がる。シートパッド1には主要部11を構成するメイン部12の両側にサイド部13が設けられ、シートパッド表面1a側の両境界に吊溝14が設けられる。符号14aは縦溝、符号14bは横溝を示す。シートパッド裏面1b側には、シールテープ4で覆われたダクト2のエア吸気口26e,フランジ27が、該シールテープ4を介し、
図11のように顔を覗かせる。
大きな口のエア吸気口26eからダクト2内にゴミ,塵が入るのをシールテープ4が防ぐシールテープ付き
参考形態のダクト入りシートパッドになっている。
【0022】
その後、エア吸気口26eを塞いでいたシールテープ4を剥がす。フランジ27に貼着され、シートパッド裏面1b側に露出するシールテープ4を剥がし、エア吸気口26eを開口させる(
図12)。
ここで、フランジ27からシールテープ4を剥がすにあたり、シールテープ4をフランジ27よりも一回り大きくすることから、シートパッド1の発泡成形で、シールテープ4の周縁43がシートパッド1に入り込んでいるケースがある(
図11のロ,ハ)。シールテープ4に
図13に示すつまみ上げ用の耳部42を設けても、該耳部42がシートパッド1に潜り込み、シールテープ4を剥がすのに難儀する。シートパッド裏面1bには、通常、不織布等からなる裏当て材3が設けられており(
図11)、フランジ27の部分30だけくり抜いた裏当て材3がインサートされてシートパッド1に一体化される。この裏当て材3の下に耳部42が潜り込むと、シールテープ4を剥がすのに苦労する。斯かる場合、凹所272の部位に在るシールテープ4を手で凹所272の底へ向けて押し付けて、シールテープ4を剥がすことができる。
【0023】
図13(イ),(ロ)のごとくエア吸気口26eを塞ぐ部位に、予めピンホール45を設けるか又は(及び)ミシン目46を弧状に設けたシールテープ4を採用すると、より好ましくなる。
図13(イ)で、エア吸気口26eを塞ぐシールテープ4の中央部をエア吸気口26e内へ向けて指Fを押し付ける。この押し付けで、ミシン目46がつながって切れる。その後、エア吸気口26e内へ入る指Fを使ってテープ部分47を掴み上げ、フランジ27に貼付いたシールテープ4を容易に剥がすことができる。
図13(ハ)は、矢印のごとく指Fを突っ込んだ後、指先を折り曲げてシールテープ4を持上げる様子を示す。またミシン目46に代えて、
図13(ロ)のピンホール45でも、ピンホール45へ指を突っ込むようにして、シールテープ4を容易に剥がすことができる。ピンホール45は判り易くするため大きめに図示するが、発泡成形時にピンホール45やミシン目46から発泡原料がエア吸気口26e内には侵入しない。
【0024】
図14(イ)はシールテープ4を円滑に剥がすことのできる
本発明のダクト対策品である。
図1〜
図12のダクト2とは異なり、フランジ27の形を変えている。凹所272がフランジ27の外周縁271aで開放され、且つその開放部272kをエア吸気口26e側における凹所272から括れ部状に狭くして、該凹所272が入り江状に形成される。ここでの凹所272は、フランジ
の相手部材との接合面27aの一領域が凹状に凹むに終わらず、その一部からフランジ外周縁271aに達する溝状開放部272kが設けられる。そして、
図14(ロ)のごとく、シールテープ4をフランジ27に貼着するが、開放部272kまで覆うようにしている。同図の矢印のように指を開放部272kへ差し入れた後、シールテープ4下から指で持上げれば、該シールテープを難なく剥がせるようになる。
【0025】
また、
図15(イ)は、シールテープ4を円滑に剥がすことのできるよう、フランジ27の形を変えた他態様のダクト2とする。フランジ27の外周縁271aからエア吸気口26e側へ、入り江状に入り込む
凹み274が形成され、且つ該
凹み274がシールテープ4で覆われている。
図15(ロ)に示す略半円形のシールテープ4がフランジ27の
相手部材との接合面27aの全域を覆着して、シートパッド1が発泡成形されても、同図の矢印のように
凹み274上に配されるシールテープ4の下へ指Fを差し入れた後、指先を曲げてシールテープ4を持上げれば、剥がし易くなっている。
【0026】
前記シールテープ4を剥がすタイミングは、シールテープ4付きダクト2入りシートパッド1を一体発泡成形した直後に行なわず、発泡成形工場の出荷時或いは車両への組み込む前に行うと、ダクト2内へのゴミ,塵等の侵入を、発泡成形後、長時間に亘って防げることから、より好ましくなる。
シールテープ4を剥がし、エア吸気口26eをシートパッド裏面1b側に開口させたダクト2入りシートパッド1に、図示しない表皮を被せると、所望の車両座席シート向け座部用シートクッションが完成する。
【0027】
このように構成したダクト入りシートパッドの製造方法によれば、シールテープ4がエア吸気口26eを塞いだシールテープ4付きダクト2をインサートして、シートパッド1が発泡成形されるので、発泡成形工程だけでなく、発泡原料mの注入工程でも、発泡原料mがエア吸気口26eからダクト2内へ侵入できなくなる。シールテープ4でエア吸気口26eが塞がれているので、
図6で、エア吸気口26eの頭上に注入ホースhが誤ってずれ、ホースhから発泡原料mが注がれても、エア吸気口26e内へ入り込まない。特許文献1の発明が発泡原料mの注入工程において無防備だったのに対し、本発明は、発泡原料mの注入工程及び発泡成形工程で、ダクト2内への発泡原料mの侵入阻止が盤石になっている。
パイプ内に入り込んだ発泡原料mは後加工で取り除くにしても、製品化されたシートパッド1の成形後であり、製品品質を確保しながらの後加工作業に苦労する。取り除くことができなければ、発泡原料mの硬化部分がダクト2内に残って通気抵抗が増し、快適性を追求するダクト2入りシートパッド1に適合せず、不良品となることから、本発明は生産性向上,品質向上に威力を発揮する。
【0028】
また、該エア吸気口26eをシールテープ4で塞いで、該シールテープがフランジ27の
相手部材との接合面27aを覆着しているので、相手部材との接合部となる
接合面を発泡原料mで汚さない。フランジ接合面に発泡原料mがかかると、相手部材との接合が難しくなるため、発泡原料mの硬化部分を取り除かねばならず、労を要したが、そうした負担から開放される。
【0029】
さらに、シールテープ4が貼着されたダクト2をインサートして、シートパッド1が一体発泡成形されるシールテープ付きダクト入りシートパッドができると、保管などで、大きな口のエア吸気口26eからゴミ等の不純物がダクト2内へ入り込まなくなる。品質維持に貢献する。
【0030】
また、車両への組付け時は、シールテープ4を剥がしたダクト2入りシートパッド1が供されることになるが、フランジに凹所272が形成されると、シールテープ4が凹所272で浮いた状態でフランジ27に貼着されるので、シールテープ4とフランジ27との接合部分が減る。したがって、シールテープ4を簡単に剥がすことができる。
【0031】
とはいっても、シールテープ4の周縁が、発泡成形中にシートパッド1に潜り込んだり、シートパッド裏面1bに貼着される裏当て材3の下へ潜り込んだりすると、該シールテープ4を剥がすのが難しくなる。このような場合でも、エア吸気口26eを塞いでいるシールテープ4の部位に、ピンホール45又はミシン目46が設けられると、既述のごとくこれらを利用して、エア吸気口26eを塞ぐシールテープ4を容易に剥がし取ることができる。
また、フランジ27に開放部272k付き凹所272を設け
ると、製品完成後、
図14(ロ)の矢印のごとく、開放部272k内へ指を突っ込めばシールテープ4をいとも簡単に剥がし取ることができる。
また、フランジ27に
凹み274を形成し、フランジ27の
相手部材との接合面27aの全域をシールテープ4で覆着すると、シールテープ4付きダクト2入りシートパッド1が発泡成形されても、
図15(ロ)に示す矢印のように
凹み274を覆うシールテープ4の下へ指Fを差し入れた後、指先を曲げてシールテープ4を持上げれば、楽にシールテープ4を剥がすことができる。
【0032】
ここで、フランジ27に貼着したシールテープ4を剥がす場合、例えば栓抜きのような引っ掛け工具を使って剥がし取ることもできる。しかし、引っ掛け工具を手に持ち替えて、作業等をすればその時間が増え、作業工数が増える。
前記ピンホール45又はミシン目46、さらに開放部272k付き凹所272や
凹み274を形成すれば、シールテープ4付きダクト2からシールテープ4をごく簡単に剥がすことができる。車両の組立て現場で即座にシールテープ4を剥がすことができるので、ゴミや埃がダクト2内へ入り込まないよう、シールテープ4で養生されたシールテープ付きダクト入りシートパッドまま、車両組立て現場への供給も可能になる。より一層の品質向上に貢献できる。勿論、シールテープ付きダクト入りシートパッドの生産現場で、これを在庫保管する場合でも、シールテープ4がエア吸気口26eを塞いで養生するので、ゴミ,埃がダクト2内へ入り込まず、品質維持に貢献する。
【0033】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。シートパッド1,ダクト2,シールテープ4,発泡成形型7等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。例えば、実施形態はシートパッド1に適用したが、バックパッドにも適用できる。