(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
携帯電話,タブレット端末等、タッチパネルを用いる携帯用電子機器の需要が増加している。
このような携帯用電子機器には、表示部に保護パネル一体型タッチパネルセンサが多く用いられている。保護パネル一体型タッチパネルセンサは、透明基板の電子機器内部側の面に、透明導電膜を電極として用いた静電容量検出センサ(単にセンサと称する場合は本センサを指す)を構成し、センサ反対側の外側の面を操作面とするものである。センサ反対側の面の中央には、操作面が設けられる。そして、近年、操作面以外の領域には、美観を呈する加飾が要求されるようになってきた。
透明基板の操作面以外の領域に、加飾部を形成する方法として、透明基板の電子機器内部側の面上に加飾層を直接形成する方法や、透明基板の電子機器内部側の面上に成膜された透明導電膜上に加飾層を形成する方法が知られている。加飾層上には、操作面に接続される配線等が形成されるため、いずれの方法を用いた場合にも、加飾層には、平坦性が要求される。
【0003】
従来は、いずれの方法を採用した場合でも、加飾層は、印刷により成膜するのが一般的であった(例えば、特許文献1,2)。
特許文献1では、静電容量式のタッチパネルにおいて、透明パネルの操作面逆側の面の加飾領域に加飾層をスクリーン印刷等により印刷形成し、また、透明入力領域に透明電極をスクリーン印刷等により印刷形成している。
また、特許文献2では、ポータブル電子機器において、基板上に透明導電層が形成され、その上に、装飾層等を備えたタッチコントロールモジュールが、印刷されている。装飾層は、例えば、絶縁性を有する各種色彩のインクからなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷により加飾層を形成するのは、簡便な方法ではあるが、数μm〜20μm程度の膜厚が必要となる加飾層を平坦かつ均一な膜とするためには、薄い膜を少しずつ重ねる必要があり、複数回に分けて行われる印刷工程の間の乾燥時間を含めると、時間がかかる。
一方、平坦な厚手の膜を得る方法として電着法がある。電着法は、成膜を短時間で行うことができ、かつ、平坦な膜を得られる点で優れている。
しかし、透明導電膜上に電着法により塗装する場合、透明導電膜を電着用の一方の電極として用いるため、透明導電膜のシート抵抗値は、低抵抗であることが要求され、この要求を満たすためには、従来、比抵抗10
−3Ωcm台である透明導電膜の厚さを40nm以上の厚みとする必要があった。透明導電膜の厚みが40nm以上になると、界面からの反射光による光の干渉、あるいは透明導電膜自体による吸収により色合いが変化し、視認される色合いが実際の塗膜の色と異なってくるという問題があったことから、電着法による塗装は、加飾の分野では採用されてこなかった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、タッチパネルの操作面裏側のセンサ面以外の加飾部に、所望の色,膜厚の加飾層を有し、製造が簡易な保護パネル一体型タッチパネルセンサ、その製造方法及び携帯用電子機器を提供することにある。
本発明の他の目的は、タッチパネルの操作面裏側のセンサ面以外の加飾部に、平坦性が高く、かつ、美観性の高い澄んだ色彩を備えた加飾層を有する保護パネル一体型タッチパネルセンサ、その製造方法及び携帯用電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、請求項1の保護パネル一体型タッチパネルセンサによれば、透明絶縁基材を基板とする保護パネル一体型タッチパネルセンサであって、視認側から見て、操作面と、該操作面と区画された領域からなる加飾部を有し、前記操作面の裏側には、位置センサ用透明電極が形成され、前記加飾部の裏側には、前記基板上に成膜された、シート抵抗100Ω/sq.以下で、膜厚10〜15nmの透明導電膜と、該透明導電膜上に電着により塗装された塗装層と、が形成されていること、により解決される。
【0008】
このように、塗装層が、膜厚10〜15nmの透明導電膜上に電着により塗装されてなるため、透明導電膜の膜厚が大きいことによって生じる反射光の干渉、膜自体の吸収による色合いの変化を抑制することができ、純粋な塗装本来の色彩を有し、美観性の高い加飾部を備えたタッチパネル用前面保護パネルとすることができる。
さらに、透明導電膜が、シート抵抗100Ω/sq.以下であるため、電着に要求される低シート抵抗を実現して透明導電膜を電着用の一方の電極として用いることができ、加飾部を電着法により塗装可能となる。一般的に、電着法は印刷よりも発色よく塗装可能であり、美観性の高い加飾部を得ることができる。
【0009】
また、操作面裏側の位置センサ用透明電極と、加飾部裏側の透明導電膜とを備えているため、タッチパネルの位置センサ用の透明導電膜と同時に形成した透明導電膜を、電着用の一方の電極として用いることができ、電着用の電極を別途成膜する必要がないため、単純な工程で作製可能な保護パネル一体型タッチパネルセンサとすることができる。
更に、加飾部を、電着により塗装できるため、印刷により加飾部が形成される場合のように、印刷と乾燥を交互に繰り返す必要がなく、単純な工程で作製可能な加飾部を備えた保護パネル一体型タッチパネルセンサとすることができる。
【0010】
膜厚10nmは、安定して成膜できる厚さの限界値であり、これ未満の膜厚では均一な膜を得ることは難しい。一方、膜厚15nmを超えると、干渉光の影響を無視できなくなる。
つまり、加飾部は、保護パネル一体型タッチパネルセンサの外観の美観性を高める用途に用いられるものであり、加飾部の色彩は、人の目が、タッチパネルセンサの反射光を受けることにより判断される。透明導電膜の膜厚が、15nmを超えると、透明導電膜が形成された基板の反射光が、青色や黄色等の波長領域で高くなり、人の目に、青色や黄色等の色味掛かった色彩に見える。また、透明導電膜は、膜厚が15nmを超えると、波長領域によっては透過率が92%より低くなることがあり、光の干渉、吸収による色合いの変化が生じる。
それに対し、透明導電膜の膜厚が、15nm以下であると、透明導電膜を有しない基板と同程度のクリアな色彩を実現できる。
【0011】
このとき、前記透明導電膜は、比抵抗1.2〜1.5×10
−4ΩcmのITO膜からなると共に、透過率92%以上であり、前記加飾部が、外周に形成され、前記操作面が、前記加飾部の内側に形成されていると好適である。
このように、ITO膜からなる透明導電膜が、比抵抗1.2〜1.5×10
−4Ωcmの範囲にあると、電着法に要求される低いシート抵抗値を膜厚15nm以下で達成でき、透明導電膜上への電着法による加飾部の形成が可能となる。また、透明導電膜が、透過率92%以上であるため、表示部を視認するための充分な透明性を有している。
【0012】
このとき、前記加飾部の色が白色であると好適である。美観、ファッション性の点から加飾部に白色が要求されることが増えているが、干渉、吸収による色変化が視認され易い、光学濃度が充分高くないと(即ち塗膜が薄いと)透けて見える、等の問題から、印刷法では顧客満足度の高い白色は得られなかった。本発明では、色彩の清澄さや鮮やかさをアピールできるきれいな白色を実現することができる。
【0013】
このとき、請求項1乃至3いずれか記載の保護パネル一体型タッチパネルセンサを有する携帯用電子機器であると好適である。
このように構成することにより、携帯用電子機器の外観の美観性を高めることができる。携帯用電子機器は、消費者が身の回りに置いて日常的に頻繁に使用するものであるため、クリアな色彩を備えた保護パネル一体型タッチパネルセンサを有する携帯用電子機器は、洗練されたライフスタイルを達成するためのガジェットとして、消費者に訴求し、商品価値を高めることが可能となる。
【0014】
このとき、請求項1乃至3いずれか記載の保護パネル一体型タッチパネルセンサの製造方法であって、前記基板上に第一のITO(酸化インジウム錫)膜を成膜する工程と、前記第一のITO膜をパターニングして、前記操作面のXY電極パターンの一部と前記加飾部のITO膜を形成する工程と、前記加飾部の前記第一のITO膜上に電着塗装を行う工程と、第二のITO膜を成膜する工程と、前記第二のITO膜をパターニングして、前記XY電極パターンの残部と配線部を形成する工程と、前記XY電極パターンに接するように、金属配線を形成する工程と、を有すると好適である。
このように構成しているため、XY電極用に成膜した第一のITO膜のうち、加飾部に形成された部分を、電着用の電極に用いることができるため、電着用の電極を別途成膜する必要がなく、製造工程の短縮化ができる。
【0015】
このとき、前記XY電極パターンの一部が、前記XY電極パターンの交差部であると好適である。
交差部パターンは、周囲と絶縁されるため、電着塗装を行う工程の前にフォトレジスト等を行うことなく、そのまま、加飾部のITO膜を電着用の電極として用いて、電着塗装を行うことができる。
【0016】
このとき、前記第一のITO膜を成膜する工程及び前記第二のITO膜を成膜する工程では、前記基板を、ITOのターゲットを有するスパッタ装置内に設置し、キャリアガス中に含まれる酸素の流量が0.1〜1.0%の範囲、前記基板温度が230〜250℃の範囲、前記ターゲットの表面磁場が600〜800Gの範囲とし、DC電源に、対DC電力比が、0.5〜2.0の範囲であるRF電力を重畳して印加し、スパッタリングを行うと好適である。
このように構成しているため、シート抵抗100Ω/sq.以下で、膜厚10〜15nmのITO膜を成膜することが可能となる。また、通常のスパッタリング装置を用いて、再現性よく、低抵抗の透明導電膜を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、塗装層が、シート抵抗100Ω/sq.以下で、膜厚10〜15nmの透明導電膜上に電着により塗装されてなる。膜厚10〜15nmであるため、透明導電膜の膜厚が大きいことよって生じる反射光の干渉、膜自体の吸収による色合いの変化を抑制することができ、純粋な塗装本来の色彩を有し、美観性の高い加飾部を備えた保護パネル一体型タッチパネルセンサとすることができる。
また、透明導電膜が、シート抵抗100Ω/sq.以下であるため、電着に要求される低シート抵抗を実現して透明導電膜を電着用の一方の電極として用いることができ、加飾部を電着法により塗装可能となる。更に、一般的に、印刷よりも発色よく塗装可能な電着法により、加飾部を塗装できるため、美観性の高い加飾部を得ることができる。
【0018】
また、操作面裏側の位置センサ用透明電極と、加飾部裏側の透明導電膜とを備えているため、タッチパネルの位置センサ用の透明導電膜と同時に形成した透明導電膜を、電着用の一方の電極として用いることができ、電着用の電極を別途成膜する必要がないため、加飾部形成までは従来の工程を変えずに作製可能な保護パネル一体型タッチパネルセンサとすることができる。
更に、加飾部を、電着により塗装できるため、印刷により加飾部が形成される場合のように、印刷と乾燥を交互に繰り返す必要がなく、より短時間で作製可能な加飾部を備えた保護パネル一体型タッチパネルセンサとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る保護パネル一体型タッチパネルセンサ及び携帯用電子機器について、
図1〜
図10を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るタッチパネルセンサを有する携帯用電子機器である。
図2は、本発明の一実施形態に係るタッチパネルセンサを操作面裏側から見た平面説明図である。
図3は、
図2のA−A断面図である。
図4は、本発明の一実施形態に係るタッチパネルセンサの静電容量検出センサ部(以下単にセンサ部と称する)の平面説明図である。
図5は、本発明の一実施形態に係るタッチパネルセンサのセンサ部の斜視説明図である。
図6は、本発明の一実施形態に係るタッチパネルセンサの第一電極と第二電極が交差する箇所の拡大説明図である。
図7は、
図6のB−B断面図である。
図8は、ITO膜の膜厚毎の分光特性を示すグラフである。
図9は、ガラス基板と、ITO薄膜を裏面に備えたガラス基板との反射特性を示すグラフである。
図10は、本発明の他の実施形態に係るタッチパネルセンサの縦断面図である。
【0021】
(保護パネル一体型タッチパネルセンサ)
図1は、本発明の実施形態に係る保護パネル一体型タッチパネルセンサP(以下、「タッチパネルセンサP」とする)を有する携帯用電子機器1である。
携帯用電子機器1は、シェル2と、このシェル2に取付けられたタッチパネルセンサPを備え、シェル2とタッチパネルセンサPとに囲まれた空間に、携帯用電子機器1を操作するための装置が格納されている。タッチパネルセンサPは、操作面を外側にして、シェル2に取り付けられている。
【0022】
本実施の形態に係るタッチパネルセンサPは、投影型静電容量式タッチパネル用の保護パネル一体型タッチパネルセンサであって、
図2で示すように、概略長方形の板状体からなり、視認側から見て、タッチパネルセンサPの全周の縁に沿って端部から所定の幅の領域に枠状に形成された加飾部20と、加飾部20の内側に形成された略長方形の操作部30と、が形成されている。
タッチパネルセンサPは、
図3に示すように、基板10と、基板10の操作部30の操作面裏側の面に形成されたセンサ部Sと、基板10の加飾部20の操作面裏側の面に形成された透明導電膜22,塗装層23と、を備えている。
【0023】
基板10は、プラスチック,ガラス等の透明基板からなり、プラスチック基板としては、PET樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂等の汎用樹脂を用いることができる。また、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、超高分子ポリエチレン系樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂や、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、液晶ポリエステル系樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂や、ガラス素材と樹脂素材を複合した素材を用いてもよい。また、PET樹脂等からなる可撓性の膜状基板から構成してもよい。
【0024】
センサ部Sは、基板10の操作面裏側の面のうち、操作部30の領域に設けられている。
操作部30に形成されるセンサ部Sの構造を、
図2〜
図7に示す。
図4〜
図7に示すように、センサ部Sは、同層の透明導電膜よりなる第1電極(X電極)12と第2電極(Y電極)14及び第1導通部(X導通部)13とを有し、第1導通部13を横切るように第2導通部15を有し、第1導通部13と第2導通部15の間には、有機物層からなる中間絶縁層16を有している。
パネル水平方向(X方向)に隣接する第1電極12同士は、第1導通部13で接続されている。
第1電極12及び第1導通部13は、ITO(インジウム錫酸化物)膜等の透明導電膜である。
これにより、第1電極12と第1導通部13とで行を形成し、必要に応じて、複数の行を形成し、第1電極パターンになる。
【0025】
パネル垂直方向(Y方向)に隣接する第2電極14同士は、第2導通部15で接続されている。
第2電極14及び第2導通部15はITO膜等の透明導電膜である。
これにより、第2電極14と第2導通部15とで列を形成し、必要に応じて、複数の列を形成し、第2電極パターンになる。
第1電極12と第2電極14は、パネルの相互に直交する方向に交互配置したマトリクス状になっている。
【0026】
また、第1電極12と第2電極14は、第1電極12と第2電極14との間に、所定の容量の電荷が蓄えられるように、所定の隙間部dを設けて配置されている。
第1導通部13と第2導通部15は、中間絶縁層16を間に挟んで交差している。
中間絶縁層16はおおむね第1電極12及び第2電極14に重ならない大きさである。
【0027】
加飾部20は、
図2,
図3に示すように、基板10の操作面裏側の面に、ITO膜からなる透明導電膜22と、塗装層23と、が形成されてなり、塗装層23上には、第1電極12及び第2電極14に接続される配線パターン50,60が形成されている。
透明導電膜22は、シート抵抗100Ω/sq.以下、比抵抗1.2〜1.5×10
−4Ωcmの低抵抗で、膜厚10〜15nm、透過率92%以上のITO膜からなる。
塗装層23は、高分子電着法により形成された電着塗料膜からなる。電着塗料は、アニオン型電着樹脂に、使用する色彩の顔料を分散させたものからなり、樹脂の酸基をアミンで中和したアニオンタイプの電着塗料が好適に用いられる。但し、エポキシ樹脂のアミノ基を酸で中和したカチオンタイプの電着塗料を用いてもよい。
顔料としては、どのような色彩のものを用いてもよいが、白色の顔料を用いると特に好適である。
【0028】
電着用樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等に酸性基や塩基性基を導入して合成されたものを用いることができる。酸性基としてはスルホン酸基、カルボキシル基、燐酸基等がある。塩基性基としてはアンモニアやアルキルアミン等のアミノ基、イミノ基、窒素を更に多く有するアルギニンやグアニジンあるいはビグアニド誘導体等のグアニジノ基やビグアニド基等がある。
使用する色彩の顔料を分散させた電着樹脂液は、前記アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂にカルボキシル基、アミノ基等を導入してアニオン型樹脂、カチオン型樹脂とし、使用する色彩の顔料をロールミルで破砕しよく分散させた後、ボールミル、アトライター等で更に微細分散させたものが用いられる。
界面活性剤や分散剤、分散助剤等を数種類添加し顔料の分散性を安定化したものを用いてもよい。溶媒は一般に水であるが、樹脂の溶解性を安定化するためにジエチレングリコールジメチルエーテルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類等の溶剤を添加したものを用いてもよい。
【0029】
加飾部20の塗装層23上には、
図2,
図3に示すように、第1電極12及び第2電極14に接続される配線パターン50,60が形成され、この配線パターン50,60が、不図示の接続端子を介して不図示のフレキシブルフラットケーブルに接続可能となっている。
【0030】
本実施形態では、加飾部20の透明導電膜22をシート抵抗100Ω/sq.以下、比抵抗1.2〜1.5×10
−4Ωcmの低抵抗で、膜厚10〜15nm、透過率92%以上のITO膜から構成しているため、透明導電膜22を有しない場合と比べて劣らない程度の加飾部20の色味を維持しつつ、塗装層23を電着法により形成可能となっている。
【0031】
ここで、
図8に、ITO膜の膜厚毎の分光特性を示す。
図8では、ITO膜の膜厚が12nm,15nm,20nm,25nm,30nmである場合における波長400nmから700nmにおける透過率の測定結果を示している。
図8より、いずれも、波長400nm付近において、最も透過率が低くなっているが、ITO膜の膜厚が、12nm,15nmの場合には、いずれの波長においても、透過率が92%を超えていた。なお、ITO膜の膜厚が12nmの場合は、波長404nmにおいて最も低い透過率94.89%、ITO膜の膜厚が15nmの場合は、波長400nmにおいて最も低い透過率92.96%であった。
【0032】
また、
図9に、ガラス基板と、ITO薄膜を裏面に備えたガラス基板との反射特性を示す。
図9では、ガラス基板と、15nm,50nm,100nm,150nmの膜厚のITO薄膜を備えたガラス基板とについて、波長400nmから700nmにおける反射率の測定結果を示している。
図9より、ITO薄膜の膜厚が15nmの場合には、400〜470nm付近で、ガラス基板単体の場合よりも反射率が若干高くなっているものの、400〜700nmの全波長域において、ガラス基板単体の場合と大きな差はなかった。従って、人間の目には、ガラス基板単体よりも、400〜470nm付近の紫色,青色の色味がごく軽微に感じられるが、ガラス基板単体と比較して、それ以外の色味は感じられないということができる。
【0033】
また、ITO薄膜の膜厚が50nmの場合には、ガラス基板単体の場合と比較すると、400〜550nm付近の波長域において、反射率が高くなっており、人間の目には、400〜550nm付近の紫色,青色,緑色の色味が強くなることが分かった。
ITO薄膜の膜厚が100nmの場合には、ガラス基板単体の場合と比較すると、550〜600nm付近の波長域において、反射率が高くなっており、人間の目には、550〜600nm付近の黄色,橙色の色味が強くなることが分かった。
ITO薄膜の膜厚が150nmの場合には、ガラス基板単体の場合と比較すると、400〜470nm付近の波長域において、反射率が高くなっており、人間の目には、400〜470nm付近の紫色,青色の色味が強くなることが分かった。
【0034】
以上のように、
図9より、ITO膜からなる透明導電膜22を15nm以下とすることにより、ガラス基板単体の場合と比較して、人間の目に感じられる色味の変化が少なくなり、加飾部20を、塗装層23の純粋な色味と変わりのない美観性の高い外観とできることが分かった。
【0035】
(タッチパネルセンサPの製造方法)
次に、本実施形態のタッチパネルセンサPの製造方法について説明する。
まず、基板10の操作面裏側の全面に、スパッタリング法により、ITOからなる透明導電膜21を成膜する。この透明導電膜21が、特許請求の範囲の第一のITO膜に該当する。
透明導電膜21は、基板10を、ITOのターゲットを有する公知のプレナーマグネトロン型のスパッタ装置内に設置し、キャリアガス中に含まれる酸素の流量を0.1〜1.0%の範囲とし、基板10の温度を200〜300℃,より好ましくは230〜250℃とし、ターゲットの表面磁場を600〜800G,より好適には700〜800Gとし、DC電源に、対DC電力比が、0.5〜2.0の範囲であるRF電力を重畳して印加して、スパッタリングを行うことにより、成膜する。
このとき、ターゲットの表面磁場は、スパッタ装置の内部に配設されたマグネットの磁力強度を高めるか、又はターゲット表面との距離を調整することにより、上記の値に制御する。
また、成膜前にスパッタ装置内を排気し、スパッタ時の装置内の圧力を、1×10
−4Pa程度とすることが好ましい。また、装置内の排気後に導入されるキャリアガス中の酸素量は、同時に用いられる不活性ガスに対して流量比が0.1%以上1%以下であると好ましい。特に、不活性ガスと酸素との流量比が、300:1程度(酸素量:0.33%)であると好ましい。この時、不活性ガスとしてはアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)等を用いることができるが、これらの中でもArが好ましい。
【0036】
その後、フォトリソグラフィーで、第一導通部13のパターンと、基板10の外周に沿った枠状からなる加飾部20の形状の透明導電膜22のパターンを形成する。第一導通部13のパターンが、特許請求の範囲のXY電極パターンの一部に該当する。
次いで、第1導通部13が第2導通部15と交差する所定範囲を覆う中間絶縁層16を、フォトレジスト等で形成する。
【0037】
次いで、透明導電膜22に配線し、基板10を電着塗料中に浸漬し通電して、電着法により、透明導電膜22上に、塗装層23を形成する。
本実施形態では、アニオン型樹脂を用いるため、通電時には、基板10上の透明導電膜22を陽極にし、対極電極板を陰極とする。但し、カチオン型樹脂を電着する場合は、基板10上の透明導電膜22を陰極、対極電極板を陽極とする。
その後、基板10を水洗,乾燥し、焼付硬化を行う。
なお、本実施形態では、中間絶縁層16を形成した後で、塗装層23を形成しているが、塗装層23を先に形成し、その後中間絶縁層16を形成してもよい。この場合、第一導通部13をフォトレジストでカバーして塗装層23を形成する。塗装層の膜厚は一般的に数μm〜20μm程度の範囲が必要とされる。
【0038】
その後、基板10の操作面裏側の全面に、スパッタリング法で、透明導電膜21と同様の装置,方法,条件により、ITOからなる透明導電膜を成膜する。フォトリソグラフィーで、第1電極12と第2電極14及び第2導通部15のパターンを形成する。この第1電極12と第2電極14のパターンが、特許請求の範囲のXY電極パターンの残部に、第2導通部15のパターンが、特許請求の範囲の配線部に、該当する。
その後、公知の方法により、フォトリソグラフィーで、第1電極12と第2電極14のパターンに接するように、Ag,Ag合金,Al,Al合金,Cu,Cu合金,CuNi合金,Ni,Mo等の金属材料からなる金属配線としての配線パターン50,60を形成し、タッチパネルセンサPを完成する。
【0039】
なお、本実施形態では、透明導電膜22を、第一導通部13と同時に成膜しているが、これに限定するものではなく、第一導通部13のパターニング時には、透明導電膜22を形成せずに、中間絶縁層16を形成した後、第1電極12と第2電極14及び第2導通部15のパターニングと同時に透明導電膜22を形成し、その後、塗装層23を形成してもよい。この場合、操作部30の操作面裏側前面を、フォトレジストでカバーしてから、塗装層23を形成する。
また、本実施形態では、ITOの成膜は、スパッタリング法により行っているが、これに限らず、真空蒸着法,CVD法で行ってもよい。
【0040】
(タッチパネルセンサP´)
上記実施形態では、本発明の保護パネル一体型タッチパネルセンサを、投影型静電容量式タッチパネル用のタッチパネルセンサとして構成したが、
図10のように、表面型静電容量式タッチパネル用タッチパネルセンサP´として構成してもよい。
図10のタッチパネルセンサP´は、基板10と、基板10の操作面裏側の全面に、スパッタリングにより形成されたITOの透明導電膜層からなる透明電極17と、基板10の加飾部20の透明電極17上に電着法により形成された塗装層24と、透明電極17に接続される配線パターン51を備えている。
【0041】
タッチパネルセンサP´の製造方法について説明する。
基板10の操作面裏側の全面に、スパッタリング法により、ITOからなる透明電極17を成膜する。その後、透明電極17のうち、加飾部20以外の部分である操作部30を、フォトレジストによりカバーする。次いで、透明電極17のうち、加飾部20の部分に配線し、基板10を電着塗料中に浸漬し通電して、電着法により、透明電極17のうち、加飾部20の部分の上に、加飾部20全体を被覆する塗装層24を形成する。基板10を水洗,乾燥し、焼付硬化を行う。
その後、公知の方法により、フォトリソグラフィーで、金属からなる配線パターン51を形成し、タッチパネルセンサP´を完成する。
なお、ITOの成膜は、真空蒸着法,CVD法で行ってもよい。