特許第6061709号(P6061709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シブヤマシナリー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6061709-容器洗浄装置 図000002
  • 特許6061709-容器洗浄装置 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061709
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】容器洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/30 20060101AFI20170106BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20170106BHJP
   B08B 9/42 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   B08B9/30
   B08B3/02 C
   B08B9/42
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-17643(P2013-17643)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-147880(P2014-147880A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】393028357
【氏名又は名称】シブヤマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100086852
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 守
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】本田 浩之
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−224075(JP,A)
【文献】 特開昭54−30665(JP,A)
【文献】 特開昭50−25388(JP,A)
【文献】 実公昭50−3639(JP,Y1)
【文献】 特開昭48−81682(JP,A)
【文献】 実開昭52−125539(JP,U)
【文献】 特開昭59−37184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/30−9/34
B08B 9/42−9/44
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の回転体に掛け回され、間欠的に駆動される無端状の搬送部材と、
前記搬送部材に所定間隔毎に配置され、容器を倒立した状態で保持するホルダと、
前記搬送部材の下方において、搬送経路に沿って配置された複数の貯水タンクと、
前記ホルダに保持されて搬送される容器に、前記貯水タンクに貯溜された洗浄液を噴射する洗浄ノズルとを備え、
前記搬送部材は、停止時において前記搬送経路の往路と復路に位置するホルダが垂直軸上で重ならないように間欠駆動される
ことを特徴とする容器洗浄装置。
【請求項2】
前記搬送経路の往路と復路における前記搬送部材の間隔を前記回転体の直径よりも小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の容器洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄ノズルを昇降させる昇降手段をさらに備え、
前記洗浄ノズルは前記昇降手段により上昇されて容器内に挿入した状態で洗浄液を噴射することを特徴とする請求項1または2に記載の容器洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を間欠的に搬送しつつ、停止時に、容器に洗浄液を噴射して洗浄する容器洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器を間欠的に搬送しつつ洗浄する容器洗浄装置として、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に開示された装置では、複数のスプロケットに、容器を所定間隔毎に保持する無端状のチェーンが掛け回されており、容器は上側を通る往路のチェーンに保持され、洗浄液を噴射されて洗浄される。洗浄された容器は一方のスプロケットの近傍においてチェーンから取り外され、容器が取り外された復路のチェーンは洗浄液を貯溜するタンクの下側を通過して他方のスプロケット側へ帰還される。
【0003】
しかし特許文献1の容器洗浄装置によると、復路のチェーンにおいて、容器が取り外されたホルダに付着している洗浄液が底部に落下して溜まる。底部に溜まった洗浄液を放置しておくと、菌が発生する可能性があるので、この洗浄液を外部に排出するためのドレン等の排水設備を設けることが必要である。一方、このような排水設備を設ける必要のない容器洗浄装置として、特許文献2に開示されたものが知られている。この装置では、洗浄された容器が取り外された復路のチェーンは洗浄液を貯溜するタンクの上側を通過して他方のスプロケット側へ帰還され、容器洗浄装置の底部に洗浄液が溜まることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平4−40786号公報
【特許文献2】特許第4363809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の装置では、上述のように特許文献1の問題は解決するが、往路のチェーンの容器の真下に復路のチェーンのホルダが位置しているので、容器を洗浄して落下した洗浄液がホルダに付着することがある。ホルダに付着した洗浄液は、チェーンとともに移動するので、隣の貯水タンクに落下し、このタンク内の洗浄液を汚染するおそれがある。
【0006】
本発明は、容器を洗浄した後の洗浄液が隣の貯水タンク内に落下する可能性を極力低くして、タンク内の洗浄液が汚染されることを防止できる容器洗浄装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る容器洗浄装置は、少なくとも一対の回転体に掛け回され、間欠的に駆動される無端状の搬送部材と、搬送部材に所定間隔毎に配置され、容器を倒立した状態で保持するホルダと、搬送部材の下方において、搬送経路に沿って配置された複数の貯水タンクと、ホルダに保持されて搬送される容器に、貯水タンクに貯溜された洗浄液を噴射する洗浄ノズルとを備え、搬送部材は、停止時において搬送経路の往路と復路に位置するホルダが垂直軸上で重ならないように間欠駆動されることを特徴としている。
【0008】
搬送経路の往路と復路における搬送部材の間隔は、好ましくは回転体の直径よりも小さい。また容器洗浄装置は洗浄ノズルを昇降させる昇降手段をさらに備えていてもよく、この場合、洗浄ノズルは昇降手段により上昇されて容器内に挿入した状態で洗浄液を噴射する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、復路にあるホルダに洗浄液が付着しにくくなり、容器を洗浄した後の洗浄液が隣の貯水タンク内に落下する量を少なくすることができ、貯水タンク内の洗浄液が汚染されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である容器洗浄装置を備えた洗浄システムの概略的な構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態である容器洗浄装置の詳細な構成を示し、一部を破断して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態である容器洗浄装置を、図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態である容器洗浄装置を備えた洗浄システムの概略的な構成を示している。
供給コンベヤ11によって搬送されてきた容器Cはプッシャ12によって供給コンベヤ11から渡し板13側に押し出される。渡し板13を挟んで供給コンベヤ11の反対側には、従来公知の供給機構14が配設されており、容器Cは供給機構14によって、搬送チェーン15のホルダ16に受け渡される。
【0012】
搬送チェーン(搬送部材)15は無端状であって、一対のスプロケット(回転体)17、18等に掛け回され、駆動源(図示せず)によって図1の反時計まわりに間欠的に回動される。なお、図1のスプロケット17、18の軸心よりも上側にあり、図1において右から左方向に移動する搬送経路を往路と呼び、スプロケット17、18の軸心よりも下側にあり、図1において左から右方向に移動する搬送経路を復路と呼ぶ。
【0013】
搬送チェーン15の下方には、後述するように、搬送チェーン15の搬送方向に沿って複数の貯水タンク21等が配置されている。ホルダ16は等間隔毎に搬送チェーン15に配置され、容器Cの口部を保持する。容器Cは水平状態で供給機構14からホルダ16に受け渡され、搬送チェーン15がスプロケット17によって水平方向に方向転換されることにより、口部を下方に向けた反転状態すなわち倒立状態に定められる。容器Cは反転状態で水平方向(図1の左方)に間欠的に搬送され、この間に洗浄処理を施される。
【0014】
容器Cは予備洗浄区間P1において水道水等の常温水により予備洗浄される。予備洗浄区間P1には常温水を貯溜するタンク21が設けられる。タンク21の上方で、かつ復路にある搬送チェーン15の間には洗浄ノズル22が設けられ、往路にある搬送チェーン15の上方には外面噴射用ノズル23が設けられる。洗浄ノズル22は、容器Cが搬送されて所定位置に停止すると、上昇して容器C内に挿入され、タンク21に貯溜された常温水を容器Cの内壁面に噴射する。外面噴射用ノズル23は洗浄ノズル22と略同時に容器Cの外壁面に、タンク21に貯溜された常温水を噴射する。このようにして予備洗浄が終了すると、洗浄ノズル22は下降して容器Cから抜脱され、容器Cは搬送チェーン15によって洗剤洗浄区間P2に搬送される。
【0015】
洗剤洗浄区間P2では、容器Cは中性洗剤等の洗剤を混ぜた温水によって洗浄される。洗剤洗浄区間P2は2つに分割され、洗剤を混ぜた温水を貯溜する2つのタンク31、32が設けられる。各タンク31、32の上方には洗浄ノズル33、34と外面噴射用ノズル35、36が設けられる。洗浄ノズル33、34は、容器Cが搬送されて所定位置に停止すると、上昇して容器C内に挿入され、タンク31、32に貯溜された温水を容器Cの内壁面に噴射する。外面噴射用ノズル35、36は洗浄ノズル33、34と略同時に容器Cの外壁面に温水を噴射する。すなわち温水による洗剤洗浄は2回に分けて実行される。
【0016】
洗剤洗浄の後、容器Cは搬送チェーン15によって殺菌区間P3に搬送される。殺菌区間P3では、容器Cは殺菌剤を混ぜた常温水によって洗浄される。殺菌区間P3には殺菌剤を含む常温水を貯溜するタンク41が設けられ、タンク41の上方には洗浄ノズル42と外面噴射用ノズル43が設けられる。洗浄ノズル42は、容器Cが搬送されて所定位置に停止すると、上昇して容器C内に挿入され、殺菌剤を含む常温水を容器Cの内壁面に噴射する。外面噴射用ノズル43は洗浄ノズル42と略同時に容器Cの外壁面に殺菌剤を含む常温水を噴射する。
【0017】
殺菌剤による洗浄の後、容器Cは搬送チェーン15によってすすぎ区間P4に搬送される。すすぎ区間P4では、容器Cは常温の純水によって洗浄される。すすぎ区間P4には常温の純水を貯溜するタンク51が設けられ、タンク51の上方には洗浄ノズル52と外面噴射用ノズル53が設けられる。洗浄ノズル52は、容器Cが搬送されて所定位置に停止すると、上昇して容器C内に挿入され、常温の純水を容器Cの内壁面に噴射して容器内をすすぎ、また外面噴射用ノズル53は常温の純水を容器Cの外面に噴射する。なおすすぎ区間を2つに分け、上流側では常温水を噴射し、下流側において純水を噴射してもよい。
【0018】
すすぎ区間P4の後、容器Cは搬送チェーン15がスプロケット18によって水平方向に方向転換されることにより、水平状態に定められる。容器Cは水平状態で排出機構61に受け渡され、口部を上方に向けた正立状態に定められる。そして容器Cは排出コンベヤ62に移され、充填工程へ搬送される。
【0019】
搬送チェーン15は後述するようにレール65(図2参照)によって案内されており、容器Cを倒立させてから洗浄区間を搬送する間は容器Cを直線的に搬送する。一方、容器Cを排出した後、搬送チェーン15はスプロケット18の下端部から斜め上方へ移動し、すすぎ区間P4のタンク51の上方において水平方向に移動するように変化する。そして、予備洗浄区間P1のタンク21の上方において、搬送チェーン15は水平方向から斜め下方へ方向転換した後、斜め上方へ方向転換してスプロケット17の外周縁に向かって移動する。
【0020】
このように、タンク21とタンク51の間において、搬送経路の往路と復路における搬送チェーン15の上下方向の間隔は、スプロケット17、18の直径よりも小さく、また復路における搬送チェーン15は各タンク21、31、32、41、51よりも上方に位置する。すなわち復路の搬送チェーン15は従来よりも上方に位置しており、これに対応して、タンク21、31、32、41、51の仕切り壁の上端部の位置は、搬送チェーン15に干渉しない程度に上方まで延長されている。一方、天井90から垂直下方に延びる隔壁は容器Cに干渉しない程度に垂下している。したがって例えば、洗剤洗浄区間P2と殺菌区間P3の間において、タンク32、41の間の仕切り壁101の上端部と、天井102に固定された隔壁103の下端部との間の通路104は、容器Cと復路の搬送チェーン15が通過できるだけの大きさに定められている。
【0021】
各区間P1〜P4において、上述したように容器Cの洗浄は間欠的に駆動される搬送チェーン15が停止している間に実行される。この停止時、往路の搬送チェーン15のホルダ16に保持された、いくつかの容器Cには洗浄ノズル22、33、34、42、52が挿入されている。一方、復路の搬送チェーン15の各ホルダ16は、往路の搬送チェーン15に設けられた隣り合う2つのホルダ16の間に位置する。換言すれば、搬送チェーン15は、停止時に、搬送チェーン15の往路と復路に位置するホルダ16が垂直軸上で重ならないように間欠駆動される。
【0022】
図2は各区間P1〜P4に設けられる各洗浄ノズルを含む容器洗浄装置の詳細な構成を示している。図2は、搬送チェーン15の搬送方向から見た図であり、図示例では2つの洗浄ノズル70、80が搬送方向に直交する方向(図1の紙面に垂直な方向)に並んでいる。左側に位置する洗浄ノズル70は容器Cの中に挿入された状態を示し、右側に位置する洗浄ノズル80は容器Cの中には挿入されない状態を示しているが、通常、2つの洗浄ノズル70、80は同じ状態にある。
【0023】
また図2において、上側に位置する搬送チェーン15は搬送経路の往路にあり、ホルダ16には洗浄ノズル70が挿入され、洗浄ノズル80が挿入可能な状態にある。これに対して下側に位置する搬送チェーン15は搬送経路の復路にあり、復路のホルダ16は往路のホルダ16に対し、搬送経路に沿ってずれた位置にある。すなわち復路のホルダ16に対して洗浄ノズル70を挿入することなく、往路のホルダ16に対して洗浄ノズル70を挿入することができる。
【0024】
搬送チェーン15は一対設けられ、これらは搬送経路の両側に設けられたレール65の上に載置されて移動自在に支持される。ホルダ16は一対の搬送チェーン15の間に架け渡された連結部材66に固定される。洗浄ノズル70は図において左側に位置するホルダ16の通過経路の下側に配置され、洗浄ノズル80は図において右側に位置するホルダ16の通過経路の下側に配置される。
【0025】
洗浄ノズル70、80は固定管71、81と、固定管71、81に摺動自在に嵌合された移動管72、82とを有する。移動管72、82は固定管71、81に対して軸方向に移動自在であるだけでなく、軸心周りに回転自在である。また移動管72、82は、固定管71、81に供給される洗浄液の圧力によって上昇し、この圧力が低下すると、自重により下降する。
【0026】
固定管71、81は供給管90に連通し、供給管90から垂直上方に延びる。供給管90は、洗浄液供給源である高圧源(ポンプ)91に接続される。高圧源91は各区間P1、P2、P3、P4毎に設けられ、タンク21、31、32、41、51に貯溜された洗浄液を供給管90に対して圧送する。移動管72、82は固定管71、81内の洗浄液の圧力を受けて上昇し、容器C内に挿入される。移動管72、82の先端部には複数の噴射孔(図示せず)が形成されており、洗浄液の圧力によって移動管72、82が固定管71、81に対して軸心周りに回転するとともに噴射孔から洗浄液が噴射され、容器Cの内部が洗浄される。
【0027】
移動管72、82の下端部の外面には閉鎖部材73、83が設けられる。閉鎖部材73、83は移動管72、82と同心的な円板状部材73a、83aと、これらの円板状部材73a、83aの外縁から上下方向に延びる円筒状部材73b、83bとを有する。移動管72、82が上昇してその先端部が容器C内に臨む状態にあるときの閉鎖部材73、83の位置には、第1のストッパ74、84が設けられる。同様に、移動管72、82が下降してその先端部が容器Cから解放された状態にあるときの閉鎖部材73、83の位置には、第2のストッパ75、85が設けられる。
【0028】
すなわち移動管72、82は、閉鎖部材73、83が第1のストッパ74、84に当接する上昇位置において停止し、また閉鎖部材73、83が第2のストッパ75、85に当接する下降位置において停止する。換言すれば、これらのストッパ74、75、84、85は移動管72、82の移動経路に沿った位置に設けられ、閉鎖部材73、83がストッパ74、75、84、85に当接することにより移動管72、82の移動が規制される。
【0029】
第1のストッパ74、84において、閉鎖部材73、83の円筒状部材73b、83bが当接する円形部分の内側には、第1の検出孔76、86が形成される。第1の検出孔76、86には上側エア配管92が接続される。上側エア配管92は先端が分岐して、各検出孔76、86に接続される。すなわち、1つの洗浄区間に例えば6つの洗浄ノズルが設けられている場合、上側エア配管92は6本に分岐して各洗浄ノズルに対応した検出孔に接続される。
同様に第2のストッパ75、85において、円筒状部材73b、83bが当接する円形部分の内側には、第2の検出孔77、87が形成される。第2の検出孔77、87には下側エア配管93が分岐して接続される。
【0030】
上側エア配管92と下側エア配管93の各基部は切替弁94に接続され、切替弁94は共通エア配管95を介して圧力源96に接続される。共通エア配管95の途中には、上側エア配管92と下側エア配管93内の圧力を検出するための圧力センサ97が設けられる。
【0031】
圧力源96は高圧の空気を吐出し、この高圧空気は切替弁94を介して上側エア配管92または下側エア配管93に選択的に供給される。すなわち切替弁94は、共通エア配管95を上側エア配管92または下側エア配管93に連通させる。切替弁94が上側エア配管92に連通しているとき、圧力センサ97は上側エア配管92と第1の検出孔76、86の圧力を検出し、切替弁94が下側エア配管93に連通しているとき、圧力センサ97は下側エア配管93と第2の検出孔77、87の圧力を検出する。
【0032】
このように第1の検出孔76、86と第2の検出孔77、87は、移動管72、82の移動経路に沿って設定された検出位置に配置され、圧力源96によって生じる高圧は共通エア配管95、切替弁94、上側エア配管92または下側エア配管93を介して第1の検出孔76、86または第2の検出孔77、87に伝達される。すなわち、第1および第2の検出孔76、86、77、87、共通エア配管95、切替弁94、上側エア配管92および下側エア配管93は圧力源96に接続される検出回路である。
【0033】
次に本実施形態の作用を説明する。
供給機構14によってホルダ16に受け渡された容器Cは、往路において倒立状態に保持され、まず予備洗浄区間P1において水道水等の常温水により予備洗浄される。次いで容器Cは洗剤洗浄区間P2に搬送され、中性洗剤等を含む温水により洗浄され、殺菌区間P3において殺菌剤を混ぜた常温水により洗浄される。この後、容器Cはすすぎ区間P4において常温の純水によって洗浄され、排出機構61により正立状態に戻されて排出コンベヤ62に受け渡される。
【0034】
各洗浄区間P1〜P4において、容器Cが洗浄ノズルの上方に供給される前は、高圧源91は作動していない。したがって、供給管90内の圧力は相対的に低く、図2の右側に示された洗浄ノズル80のように、移動管82は自重によって下降位置にある。容器Cが洗浄ノズルの上方に配置されると高圧源91が作動され、供給管90に高圧の洗浄液が供給されて供給管90内の圧力が高められる。これにより、図2の左側に示された洗浄ノズル70のように、移動管72が、閉鎖部材73の円筒状部材73bが第1のストッパ74の下面に当接する位置まで上昇し、軸心周りに回転しつつ洗浄液を容器C内に噴射する。すなわち閉鎖部材73はストッパ74に当接するストッパ受けとして機能する。
【0035】
高圧源91が始動すると、略同時に切替弁94は、共通エア配管95が上側エア配管92に連通するように切替えられる。これにより、圧力源96によって生じる高圧は第1の検出孔76、86を介して、閉鎖部材73と第1のストッパ74によって囲まれる空間と、閉鎖部材83と第1のストッパ84によって囲まれる空間とに伝達される。上側エア配管92が接続される全ての第1の検出孔76、86が閉鎖部材73、83によって閉塞されている場合、圧力センサ97によって検出される圧力値は相対的に高く、固定管71、81に対する移動管72、82の位置は正常であることが検出される。
【0036】
上側エア配管92が接続される第1の検出孔76、86のうちの1つでも閉鎖部材73、83によって閉塞されていない場合、すなわち図2に示されるように移動管82が上昇位置に達していない場合、圧力センサ97によって検出される圧力値は相対的に低く、いずれかの移動管の位置が異常であることが検出される。
【0037】
容器Cの洗浄が終了すると、洗浄ノズルを昇降させる昇降手段である源91の駆動が停止され、供給管90内の圧力が低下して移動管72、82は自重により下降する。すなわち図2の右側に示された洗浄ノズル80のように、移動管82が、閉鎖部材83の円筒状部材83bが第2のストッパ85の上面に当接する位置まで下降する。このとき切替弁94は共通エア配管95が下側エア配管93側に切替えられ、圧力源96の高圧は第2の検出孔77、87に伝達される。下側エア配管93が接続される全ての第2の検出孔77、87が閉鎖部材73、83によって閉塞されている場合、圧力センサ97によって検出される圧力値は相対的に高く、移動管72、82は正常に下降していることが検出される。これに対して、例えば図2に示されるように移動管72が下降していない場合、圧力センサ97によって検出される圧力値は相対的に低く、いずれかの移動管の位置が異常であることが検出される。
【0038】
以上のように本実施形態では、搬送チェーン15は往路、復路共に、全ての貯水タンク21、31、32、41、51の上方にある。また搬送チェーン15の停止時において、復路のホルダ16は往路のホルダ16に対して垂直軸上で重ならず、また往路と復路における搬送チェーン15の間隔はスプロケット17、18の直径よりも小さく、復路のホルダ16は往路のホルダ16に対して垂直方向に比較的接近している。
【0039】
したがって、搬送経路の往路にあるホルダ16と容器Cから落下する洗浄液は貯水タンクのいずれかに導かれる。そして復路のホルダ16に付着する可能性は極めて低く、復路のホルダ16に洗浄液が付着したとしても、この洗浄液も貯水タンクのいずれかに導かれる。また復路のホルダ16に付着した洗浄液がすすぎ区間P4あるいは殺菌区間P3の貯水タンクに落下しないで、洗剤洗浄区間P2あるいは予備洗浄区間P1へ搬送されることがあるが、復路のホルダ16は、清浄度が相対的に低い洗浄液が貯溜された区間へ向かって搬送されるので、貯水タンク内の洗浄液がホルダ16から落下した洗浄液によって汚染される問題は極めて小さい。
【0040】
また、往路と復路における搬送チェーン15の間隔が極力小さく定められていることにより、隣接する洗浄区間が連通する上下の空間(例えば仕切り壁101の上端部と隔壁103の下端部との間の通路104)を極力狭くすることができ、隣の洗浄区間に雰囲気が漏れ出すことを従来と比較して抑えることができる。
【0041】
なお、搬送チェーン15に替えてベルト等の無端状の搬送部材を用いることも可能であり、この場合、回転体としてはスプロケットに替えてプーリを用いればよい。
【0042】
また、容器Cの内面を洗浄する洗浄ノズル70、80は上記実施形態のように昇降式のものに限定されず、固定式の洗浄ノズルであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
15 搬送チェーン(搬送部材)
16 ホルダ
17、18 スプロケット(回転体)
21、31、32、41、51 貯水タンク
70、80 洗浄ノズル
C 容器
図1
図2