特許第6061719号(P6061719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6061719
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】クーラントシステム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20170106BHJP
   B01D 21/00 20060101ALI20170106BHJP
   B01D 21/26 20060101ALI20170106BHJP
   B24B 55/12 20060101ALN20170106BHJP
【FI】
   B23Q11/00 U
   B01D21/00 C
   B01D21/26
   !B24B55/12
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-27567(P2013-27567)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-155974(P2014-155974A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2016年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(73)【特許権者】
【識別番号】591139574
【氏名又は名称】株式会社CNK
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(72)【発明者】
【氏名】堀 伸充
(72)【発明者】
【氏名】和田 鉄昭
(72)【発明者】
【氏名】松元 哲也
(72)【発明者】
【氏名】亀井 裕人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 成幸
【審査官】 永石 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−043820(JP,A)
【文献】 特開2001−121038(JP,A)
【文献】 特開昭62−083060(JP,A)
【文献】 特開2005−177965(JP,A)
【文献】 特開2012−125909(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3125327(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
B01D 21/00
B01D 21/26
B24B 55/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械から排出されるクーラントを貯留するタンクと、
前記タンク内のクーラントを濾過する濾過装置と、
前記濾過装置により濾過されたクーラントを前記工作機械へ送出する第一ポンプと、
前記タンク内のクーラントを前記濾過装置へ送出する第二ポンプと、
を備え、
前記タンクは、
タンク枠体と、
前記タンク枠体内に設けられる筒状の第一仕切部材であって、前記工作機械から排出されるクーラントを旋回させている第一ダーティ槽を前記第一仕切部材の内側に区画し、且つ前記濾過装置により濾過されたクーラントの少なくとも一部が供給されるクリーン槽を前記第一仕切部材の外側に区画する前記第一仕切部材と、
前記第一仕切部材の下方に連続して設けられる筒状の第二仕切部材であって、前記第一ダーティ槽から排出されるクーラントを貯留する第二ダーティ槽を前記第二仕切部材の内側に区画し、且つ前記クリーン槽を前記第二仕切部材の外側に区画すると共に、前記第二仕切部材の下端において前記第二ダーティ槽と前記クリーン槽とを連通する開口部を有し、前記第二ポンプの吸入口を前記第二仕切部材の内側に配置する前記第二仕切部材と、
前記第二仕切部材の内側に設けられ、前記第二ダーティ槽を周方向に複数の領域に区画する整流板と、
を備える、クーラントシステム。
【請求項2】
前記整流板は、前記第二ダーティ槽を周方向に等間隔に複数の領域に区画する、請求項1のクーラントシステム。
【請求項3】
前記整流板は、上下方向に平行に設けられる、請求項1または2のクーラントシステム。
【請求項4】
前記第二仕切部材の下端に形成される前記開口部は、前記第二仕切部材の全周に亘って開口する、請求項1〜3の何れか一項のクーラントシステム。
【請求項5】
前記第二仕切部材の下端に形成される前記開口部は、前記第二仕切部材の周方向に等間隔に複数形成される、請求項1〜3の何れか一項のクーラントシステム。
【請求項6】
前記工作機械から前記第一ダーティ槽へ供給されるクーラントの単位時間当たりの流量は、前記第二ポンプの吸入口から吸入されるクーラントの単位時間当たりの流量より少なく設定される、請求項1〜5の何れか一項のクーラントシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に用いるクーラントを濾過して循環するクーラントシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、クーラントを貯留するタンク内を、ダーティクーラントを貯留する槽と、クリーンクーラントを貯留する槽とを区画すること構成が記載されている。そして、ダーティクーラントを濾過装置へ送出する。ここで、クリーンクーラントの中にもスラッグなどを含むため、再度濾過するために、ダーティクーラント槽とクリーンクーラント槽とを連通しており、両槽からポンプにより吸入できる構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3897587号公報
【特許文献2】特開2012−125909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなタンクにおいて、ダーティクーラントは確実にポンプにより濾過装置へ送出されることが求められる。つまり、ダーティクーラント槽からクリーンクーラント槽へ流出しないようにすることが求められる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ダーティクーラントを確実に濾過装置へ送出することができるクーラントシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1)本手段に係るクーラントシステムは、工作機械から排出されるクーラントを貯留するタンクと、タンク内のクーラントを濾過する濾過装置と、濾過装置により濾過されたクーラントを工作機械へ送出する第一ポンプと、タンク内のクーラントを濾過装置へ送出する第二ポンプとを備える。
タンクは、タンク枠体と、タンク枠体内に設けられる筒状の第一仕切部材であって、工作機械から排出されるクーラントを旋回させている第一ダーティ槽を第一仕切部材の内側に区画し、且つ濾過装置により濾過されたクーラントの少なくとも一部が供給されるクリーン槽を第一仕切部材の外側に区画する第一仕切部材と、第一仕切部材の下方に連続して設けられる筒状の第二仕切部材であって、第一ダーティ槽から排出されるクーラントを貯留する第二ダーティ槽を第二仕切部材の内側に区画し、且つクリーン槽を第二仕切部材の外側に区画すると共に、第二仕切部材の下端において第二ダーティ槽とクリーン槽とを連通する開口部を有し、第二ポンプの吸入口を第二仕切部材の内側に配置する第二仕切部材と、第二仕切部材の内側に設けられ、第二ダーティ槽を周方向に複数の領域に区画する整流板とを備える。
【0007】
(請求項2)また、整流板は、第二ダーティ槽を周方向に等間隔に複数の領域に区画するとよい。
(請求項3)また、整流板は、上下方向に平行に設けられるとよい。
(請求項4)また、第二仕切部材の下端に形成される開口部は、第二仕切部材の全周に亘って開口するとよい。
(請求項5)また、第二仕切部材の下端に形成される開口部は、第二仕切部材の周方向に等間隔に複数形成されるようにしてもよい。
【0008】
(請求項6)また、工作機械から第一ダーティ槽へ供給されるクーラントの単位時間当たりの流量は、第二ポンプの吸入口から吸入されるクーラントの単位時間当たりの流量より少なく設定されるとよい。
【発明の効果】
【0009】
(請求項1)本手段によれば、第一仕切部材の内側の第一ダーティ槽に供給されたダーティクーラントは、第二仕切部材の内側の第二ダーティ槽へ下降した後に、第二ポンプにより濾過装置へ送出される。一方、第二仕切部材の下端に開口部が設けられているため、第一,第二仕切部材の外側のクリーン槽と第二仕切部材の内側の第二ダーティ槽とは連通している。従って、両者の間で、流通する可能性がある。
【0010】
ここで、第一ダーティ槽においては、工作機械から排出されたクーラントは旋回されている。従って、周方向において、液面高さの差を小さくすることができる。仮に、旋回されていなければ、第一ダーティ槽に供給された部位のクーラントの液面高さが高くなり、その他の部位の液面高さが低くなる。しかし、上記のように、第一ダーティ槽のクーラントは旋回されているため、液面高さの差が小さい。従って、第一ダーティ槽から第二ダーティ槽へ下降するクーラントは、周方向において流量の差を小さくすることができる。
【0011】
さらに、第二ダーティ槽においては、整流板が設けられている。整流板によって、第二ダーティ槽は周方向に複数の領域に区画されている。これにより、第二ダーティ槽において、クーラントの周方向の流速の差を小さくすることができる。
【0012】
このように、第一ダーティ槽を旋回流とし、且つ、第二ダーティ槽に整流板を設けることにより、第二ポンプの吸入口付近において、周方向においてクーラントの流速および流量の差が小さくなる。従って、確実に、第二ポンプによって、ダーティクーラントを濾過装置へ送出することができる。
【0013】
(請求項2)第二ダーティ槽を周方向に等間隔に複数の領域に区画するように整流板を設けることで、第二ダーティ槽において周方向の流速の差をより小さくすることができる。これにより、第二ポンプによって、より確実に、ダーティクーラントを濾過装置へ送出できる。
【0014】
(請求項3)整流板を上下方向に平行に設けることで、第一ダーティ槽から第二ダーティ槽へ下降したクーラントの周方向の流速を非常に小さくできる。その結果、第二ダーティ槽において周方向の流速の差をより確実に小さくすることができる。
【0015】
(請求項4)第二仕切部材の下端における開口部は、クリーン槽から第二ダーティ槽へクーラントを流入させる通路となる。反対に、開口部は、第二ダーティ槽からクリーン槽へクーラントを流出させる通路ともなる。開口部を第二仕切部材の全周に亘って開口させることで、第二ダーティ槽の下端の周方向において、クリーン槽から第二ダーティ槽へ流入するクーラントの流速の差を小さくすることができる。その結果、第二ポンプによって、より確実に、ダーティクーラントを濾過装置へ送出できる。
【0016】
(請求項5)開口部を全周に亘って開口させていないとしても、周方向に等間隔に複数形成することによっても、第二ダーティ槽の下端の周方向において、クリーン槽から第二ダーティ槽へ流入するクーラントの流速の差を小さくすることができる。その結果、第二ポンプによって、ダーティクーラントを濾過装置へ送出できる。
【0017】
(請求項6)工作機械から第一ダーティ槽へ供給されるクーラントの単位時間当たりの流量(以下、単位流量)は、第二ポンプにより吸入される単位流量より少ない。従って、第一,第二ダーティ槽内のクーラントの貯留量が少なくなるように動作する。つまり、工作機械から排出された最もダーティクーラントは、確実に、第二ポンプによって吸入される。
【0018】
ここで、開口部を介して、クリーン槽と第二ダーティ槽とは連通している。そして、第二ポンプにより吸入される単位流量をクリーン槽へ供給される単位流量より多くすることで、クリーン槽のクーラントが開口部を通過して第二ダーティ槽へ移動することになる。従って、第二ダーティ槽のクーラント、および、クリーン槽のクーラントが確実に、第二ポンプによって吸入されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態のクーラントシステムのシステム構成図である。
図2図1の一次タンクの径方向断面図である。
図3】一次タンクのうちの区画部材(第一,第二仕切部材および整流板)の軸方向断面図であって、図4および図5のIII−III断面図である。
図4図3の区画部材のIV−IV断面図である。
図5図3の区画部材のV−V断面図である。
図6図4および図5の区画部材のVI−VI断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(クーラントシステムの構成)
本実施形態のクーラントシステムのシステム構成について、図1および図2を参照して説明する。図1に示すように、クーラントシステムは、工作機械10に用いたダーティクーラントを浄化させるためのシステムである。当該クーラントシステムは、ダーティクーラントは、二段階の濾過を施すことにより浄化され、浄化されたクーラントは、工作機械10に戻す。
【0021】
クーラントシステムは、回収タンク20、ポンプ30、一次濾過装置40、一次タンク50、ポンプ60(本発明の「二次タンク」に相当)、二次濾過装置70、二次タンク80、循環用ポンプ90(本発明の「一次タンク」に相当)を備える。回収タンク20は、工作機械10から排出されたクーラント、すなわち工作機械10における加工に用いたクーラントを回収する。このクーラントは、切粉や砥粒などを含んでいる。
【0022】
回収タンク20にはポンプ30の吸入口が配置されており、ポンプ30の排出口は一次濾過装置40に配置される。つまり、ポンプ30の駆動によって、回収タンク20に貯留されたダーティクーラントは、一次濾過装置40へ送られる。一次濾過装置40は、マグネットセパレータを適用する。ただし、一次濾過装置40には、マグネットセパレータ以外の濾過装置を適用することはできる。本実施形態の一次濾過装置40は、主として、クーラントに含まれる金属製の切粉を取り除く。
【0023】
一次濾過装置40により金属製の切粉を取り除かれたクーラントは、一次タンク50(本発明の「タンク」に相当)に排出される。つまり、一次タンク50には、金属製の切粉を取り除かれたクーラントを貯留する。一次タンク50は、図1および図2に示すように、タンク枠体51および区画部材52を備える。タンク枠体51は、外枠の容器を形成する。ここでは、タンク枠体51は、有底筒状に形成される。
【0024】
区画部材52については、図1および図2に加えて、図3図6を参照して説明する。区画部材52は、タンク枠体51の中央に設けられ、外周側のクリーン槽110と内周側の第一,第二ダーティ槽120,130とを区画する。つまり、クリーン槽110は、タンク枠体51の内周面と区画部材52の外周面との径方向間に形成され、ドーナツ形状に形成される。
【0025】
ここでは、区画部材52は、第一仕切部材56、第二仕切部材57、および、複数の整流板58により形成される。第一仕切部材56は、上下方向に貫通する筒状に形成され、タンク枠体51の中央であって、上方に設けられる。この第一仕切部材56は、円筒部56aと、円筒部56aの下端から下方に向かって縮径するテーパ部56bとを備える。テーパ部56bの下端には、円形穴が形成されている。
【0026】
この第一仕切部材56の内側に第一ダーティ槽120を区画する。反対に、第二仕切部材57の外側には、クリーン槽110を区画する。クーラントを一次濾過装置40から一次タンク50へ供給する供給口45は、第一ダーティ槽120へ向けて配置される。つまり、工作機械10から一次濾過装置40を介して供給されたクーラントは、クリーン槽110を介さずに、第一ダーティ槽120に供給される。
【0027】
さらに、供給口45は、第一ダーティ槽120内の径方向外側寄りであって、最寄りの円筒部56aの接線方向に平行な方向となるように開口されている。つまり、供給口45から第一ダーティ槽120に供給されるクーラントによって、第一ダーティ槽120内に旋回流(図2の左回り)を発生させる。第一ダーティ槽120内において、クーラントは、旋回しながら、テーパ部56bの円形穴から下降する。
【0028】
第二仕切部材57は、上下方向に貫通する筒状に形成され、第一仕切部材56の下方に連続して且つ同軸上に設けられる。この第二仕切部材57は、円筒部57aと、円筒部57aの下端から下方に向かって縮径するテーパ部57bとを備える。テーパ部57bの下端には、円形穴が形成されている。
【0029】
この第二仕切部材57の内側に第二ダーティ槽130を区画する。反対に、第二仕切部材57の外側には、クリーン槽110を区画する。この第二ダーティ槽130には、第一ダーティ槽120から排出されるクーラントを貯留する。
【0030】
第二仕切部材57のテーパ部57bの下端とタンク枠体51の底部との間に隙間が形成される。つまり、第二仕切部材57は、クリーン槽110と第二ダーティ槽130とを連通する開口部57cを備える。開口部57cは、周方向の全周に亘って開口している。従って、クリーン槽110と第二ダーティ槽130とは、第二仕切部材57の下端の全周に亘って連通可能である。
【0031】
複数の整流板58は、第二仕切部材57の内側に設けられ、第二ダーティ槽130を周方向に等間隔に複数の領域に区画する。整流板58は、平板により形成され、上下方向に平行に設けられている。さらに、整流板58は、第二仕切部材57の上下方向全長に亘って設けられている。なお、整流板58は、螺旋状な板により形成され、上下方向に対して捻れるように設けてもよい。
【0032】
整流板58の径方向内側には、円柱状の領域が形成されている。つまり、整流板58同士は接触していない。従って、第二ダーティ槽130が周方向に完全に区画されるのではなく、径方向内側において連通している。ここで、整流板58の径方向内側の内接円直径は、第一仕切部材56のテーパ部56bの円形穴の直径より小さい。
【0033】
第二ダーティ槽130の中心にはポンプ60(本発明の「第二ポンプ」に相当)の吸入口61が配置されており、ポンプ60の排出口は二次濾過装置70に配置される。つまり、ポンプ60の駆動によって、第二ダーティ槽130に貯留されているクーラントが、二次濾過装置70へ送られる。特に、ポンプ60の吸入口61は、第二ダーティ槽130の中心のうち底部に近い位置に配置される。つまり、整流板58の下端付近で、第二ダーティ槽130の中心に、ポンプ60の吸入口61が配置される。
【0034】
ここで、第一ダーティ槽120への供給口45から供給されるクーラントの単位流量(単位時間当たりの流量)は、ポンプ60の吸入口61から吸入されるクーラントの単位流量より少なく設定される。つまり、本実施形態においては、ポンプ30の吸入単位流量は、ポンプ60の吸入単位流量より少なく設定される。
【0035】
二次濾過装置70は、サイクロン式濾過装置を適用し、一次濾過装置40では取り除かれなかった切粉やスラッジを除去する。二次濾過装置70により濾過されたクーラントは、十分に浄化されたクーラントとなる。二次濾過装置70により濾過されたクーラントは、二次タンク80に排出される。つまり、二次タンク80は、十分に浄化されたクーラントを貯留する。二次タンク80には、温度調節装置81が設けられ、温度調節装置81によって二次タンク80内のクーラントが一定の温度となるように冷却される。
【0036】
二次タンク80には循環用ポンプ90(本発明の「一次ポンプ」に相当)の吸入口が配置されており、循環用ポンプ90の排出口は工作機械10側にクーラント供給装置(図示せず)に接続される。つまり、循環用ポンプ90の駆動によって、二次タンク80に貯留されたクーラントは、工作機械10へ送られる。
【0037】
ここで、循環用ポンプ90により吸入されるクーラントの単位流量は、ポンプ60により吸入されるクーラントの単位流量より少なく設定される。従って、二次タンク80の貯留量が規定量を超える状態となる。二次タンク80の規定量を超えたクーラントは、二次タンク80から一次タンク50に返還される。二次タンク80から一次タンク50への返還供給口82は、一次タンク50のクリーン槽110に向けて配置される。つまり、二次タンク80をオーバーフローしたクーラントは、第一,第二ダーティ槽120,130を介さずに、クリーン槽110に供給される。
【0038】
さらに、返還供給口82は、クリーン槽110の径方向外側寄りであって、最寄りのタンク枠体51の外周部分の接線方向に平行な方向となるように開口されている。つまり、返還供給口82からクリーン槽110に供給されたクーラントによって、クリーン槽110内に旋回流(図2の左回り)を発生させる。クリーン槽110の旋回流と第一ダーティ槽120の旋回流とは、同一方向の流れとされている。
【0039】
(クーラントシステムの動作)
上述したクーラントシステムの動作について図1および図2を参照して説明する。工作機械10が動作している場合と、工作機械10が動作していない場合とに分けて説明する。
【0040】
(工作機械10が動作している場合の動作)
まず、工作機械10が動作している場合には、循環用ポンプ90、ポンプ30,60が駆動する。工作機械10によって使用されたクーラントは、回収タンク20に排出されて、ポンプ30の駆動によって一次濾過装置40に送られる。一次濾過装置40により濾過されたクーラントは、一次タンク50の第一ダーティ槽120へ排出される。
【0041】
第一ダーティ槽120においては、工作機械10から一次濾過装置40を介して排出されたクーラント(ダーティクーラント)は、第一ダーティ槽120内を旋回しながら、テーパ部56bの下端の円形穴から第二ダーティ槽130へ下降する。従って、第一ダーティ槽120の周方向において、クーラントの液面高さの差を小さくすることができる。
【0042】
仮に、旋回されていなければ、第一ダーティ槽120に供給された部位のクーラントの液面高さが高くなり、その他の部位の液面高さが低くなる。しかし、上記のように、第一ダーティ槽120のクーラントは旋回されているため、液面高さの差が小さい。従って、第一ダーティ槽120から第二ダーティ槽130へ下降するクーラントは、周方向において流量の差を小さくすることができる。
【0043】
第一ダーティ槽120から第二ダーティ槽130へ下降したクーラントは、整流板58によって周方向に区画された状態で下降する。ここで、整流板58によって、第二ダーティ槽130は周方向に複数の領域に区画されている。これにより、第二ダーティ槽130において、クーラントの周方向の流速の差を小さくすることができる。特に、本実施形態においては、整流板58は、第二ダーティ槽130を周方向に等間隔に複数の領域に区画している。従って、より確実に、クーラントの周方向の流速の差を小さくできる。また、クーラントに含まれる切粉やスラッジなどを周方向に均等に分けることもできる。
【0044】
ここで、ポンプ60の吸入口61が第二ダーティ槽130の下方で中心に配置されている。そのため、第二ダーティ槽130において、整流板58を通過したクーラントが、ポンプ60に吸入される。そして、ポンプ60によって、第二ダーティ槽130内のダーティクーラントを確実に二次濾過装置70へ送出できる。
【0045】
また、第二仕切部材57の下端には開口部57cが設けられており、第二ダーティ槽130とクリーン槽110とが連通している。さらには、一次濾過装置40から第一ダーティ槽120へ供給されるクーラントの単位流量は、ポンプ60により第二ダーティ槽130から吸入する単位流量より少ない。従って、第二ダーティ槽130内のクーラントの貯留量が少なくなるように動作する。つまり、クリーン槽110内のクーラントが開口部57cを介して第二ダーティ槽130へ流入して、ポンプ60により吸入されることになる。
【0046】
ここで、クリーン槽110内においては、クーラントを旋回させている。従って、クリーン槽110内のクーラントに含まれる浮遊物が、中心側へ、すなわち開口部57c側へ寄ってくる。従って、ポンプ60によって、第二ダーティ槽130内のダーティクーラントに加えて、クリーン槽110内の浮遊物を含むクーラントが二次濾過装置70へ送出される。そして、二次濾過装置70により濾過されたクーラントは、二次タンク80へ排出される。
【0047】
そして、二次濾過装置70により濾過されて二次タンク80に貯留されたクーラントは、循環用ポンプ90によって工作機械10へ送られる。ここで、循環用ポンプ90により吸入されるクーラントの単位流量は、ポンプ60により吸入されるクーラントの単位流量より少ない。従って、二次タンク80に貯留されるクーラントは、二次タンク80の規定量を超える状態となる。そうすると、二次タンク80からオーバーフローし、オーバーフローしたクーラントは一次タンク50のクリーン槽110に供給される。
【0048】
従って、第一ダーティ槽120への供給量、ポンプ60による吸入量および二次タンク80からのオーバーフロー量の関係から、一次タンク50内のクーラントの流量がほぼ一定に保持される。
【0049】
ここで、上述したように、開口部57cは、クリーン槽110から第二ダーティ槽130へクーラントを流入される流路として機能する。しかに、この他に、開口部57cは、第二ダーティ槽130からクリーン槽110へクーラントを流出させる流路としても機能し得る。しかし、以下によって、第二ダーティ槽130からクリーン槽110へのクーラントの流出を防止している。
【0050】
上述したように、第一ダーティ槽120を旋回流とし、且つ、第二ダーティ槽130に整流板58を設けることにより、ポンプ60の吸入口61付近において、周方向においてクーラントの流速および流量の差が小さくなる。さらに、一次濾過装置40から第一ダーティ槽120へ供給されるクーラントの単位流量は、ポンプ60により第二ダーティ槽130から吸入する単位流量より少ない。
【0051】
これらの作用によって、ポンプ60によって、第二ダーティ槽130のクーラントを二次濾過装置70へ確実に送出できる。そして、クリーン槽110のクーラントが、開口部57cの全周から第二ダーティ槽130へ流入する。
【0052】
仮に、ポンプ60の吸入口61付近において、周方向においてクーラントの流速および流量に差が生じると、開口部57cの部分的にはクリーン槽110から第二ダーティ槽130へ流入するが、開口部57cの他の部分では第二ダーティ槽130からクリーン槽110へ流出するおそれがある。
【0053】
ただし、現実的には、本実施形態において、ポンプ60の吸入口61付近において、周方向においてクーラントの流速および流量に差を小さくできるが、完全にゼロにすることができる訳ではない。そこで、流速および流量に僅かな差が生じたとしても、クリーン槽110への流出を抑制するために、第一ダーティ槽120へ供給されるクーラントの単位流量、ポンプ60により吸入する単位流量、開口部57cの隙間を調整する。
【0054】
第一として、第一ダーティ槽120へ供給されるクーラントの単位流量を、ポンプ60により吸入する単位流量より、十分に大きくする。ただし、単位流量差を大きくしすぎないように設定される。
【0055】
第二として、開口部57cの隙間を以下の式に従って調整する。式中、Qは単位流量、C,gは定数、Aは開口部57cの断面積、Hはクリーン槽110と第二ダーティ槽130の圧力差である。開口部57cの断面積とは、第二仕切部材57の下縁とタンク枠体51の底部との間に形成される円筒状の表面面積に相当する。
Q=C・A・√(2g・H)
【0056】
つまり、上記式において、単位流量Qが、第一ダーティ槽120へ供給されるクーラントの単位流量とポンプ60により吸入する単位流量との差に対応するように、開口部57cの断面積Aを調整する。
【0057】
(工作機械10が動作していない場合の動作)
次に、工作機械10が動作していない場合には、ポンプ60のみが駆動し、循環用ポンプ90およびポンプ30は停止している。この場合、クーラントが、一次濾過装置40から第一ダーティ槽120へ供給されることはなく、二次タンク80から工作機械10へ送られることもない。
【0058】
この場合に、ポンプ60の駆動によって、第二ダーティ槽130から二次濾過装置70へ送出され、二次濾過装置70から二次タンク80へ排出される。二次タンク80において、工作機械10へ送られることはないため、二次タンク80の規定量を超えてオーバーフローする。そうすると、二次タンク80のクーラントは、クリーン槽110へ供給される。そして、クリーン槽110から開口部57cを介して第二ダーティ槽130へ移動する。
【0059】
つまり、クリーン槽110→第二ダーティ槽130→二次濾過装置70→二次タンク80→クリーン槽110の順に循環する。この間、二次濾過装置70を通過することにより、浄化され続ける。
【0060】
<その他>
上記実施形態においては、開口部57cは、第二仕切部材57の全周に亘って開口している。この他に、開口部57cを全周に亘って開口させないようにしてもよい。この場合、開口部57cを周方向に等間隔に複数形成することによっても、第二ダーティ槽130の下端の周方向において、クリーン槽110から第二ダーティ槽130へ流入するクーラントの流速の差を小さくすることができる。その結果、ポンプ60によって、第二ダーティ槽130のクーラントを濾過装置へ送出できる。
【符号の説明】
【0061】
10:工作機械、40:一次濾過装置、 45:供給口、 50:一次タンク、 51:タンク枠体、 56:第一仕切部材、 57:第二仕切部材、 57c:開口部、 58:整流板、 60:ポンプ(第二ポンプ)、 61:吸入口、 70:二次濾過装置、 80:二次タンク、 82:返還供給口、 90:循環用ポンプ(第一ポンプ)、 110:クリーン槽、 120:第一ダーティ槽、 130:第二ダーティ槽
図1
図2
図3
図4
図5
図6