【実施例】
【0034】
1.全体構成
図1は本発明の壁紙糊付機の一実施例の構成を示す斜視図である。
図2は
図1の壁紙糊付機の側面図である。
図3は
図1の壁紙糊付機の側方断面図である。
図1及び2に示す通り、本実施例の壁紙糊付機は、糊付機本体1と、この糊付機本体1を載置する台座部15と、糊付機本体1を所定高さで支持するために台座部15の左右両端下部にそれぞれ前後に二本一対で配される前脚21と後脚22とで構成される脚部2とを備える。また、本体1と台座部15とは、糊付機本体1の両側壁下方の2箇所のフックに各々掛止されるパチン錠16で固定される。
【0035】
台座部15と一対の脚部2とには、左右の脚部2同士が対向するように折りたたみ可能な折りたたみ機構が備わっており、台座部15と脚部2との折りたたみ部位にはカバー23が形成されている。尚、このカバー23の最下部は折りたたみ時に接地する接地部24が形成されている。
【0036】
図3に示す通り、糊付機本体1は、糊桶5を主とする下部構体3とその上に開閉可能に載置される上部構体4とによって構成される。下部構体3の一方の側板11にはコントローラ6が装着され、下部構体3の後面側には着脱可能なスリッター7が配され、上部構体4はこの下部構体3の上部を覆うように配されている。上部構体4と下部構体3とは糊付機本体1の一対の側板11の後方に配された構体パチン錠12の開錠で開放され、側板11の前方に配されたヒンジ(図示せず)で後方側が開閉可能となっている。
【0037】
コントローラ6内の駆動源(図示せず)の駆動軸による糊付けローラ31の回転に伴って、ギアを介して回転運動が伝達された他のローラも回転し、上下部構体3,4間に挟み込まれている原反ロールRから一端が解けたクロスCを後方から前方へ搬送し、その途中で糊付けローラ31上を搬送される際に糊桶5から引き上げられた糊がクロス裏面に転写塗布される。
【0038】
この糊付けローラ31は、下部構体3の左右両側壁面の軸支板に軸支され、できるだけ糊桶5内に沈む下方位置の配置となるように構成されている。また、糊桶5内の糊は糊付けローラ31に当接する糊上げローラ51によって糊液の転写が行われ、糊上げローラ51は糊桶5の両側側面に中心より後面側寄りの位置で軸支され、糊桶5内の糊を回転によって掻き上げて糊付けローラ31に転写する。
【0039】
糊付けローラ31は、糊付機本体1に着脱自在に取付けられる駆動源である電動モータを備えたコントローラ6の駆動軸にギアで連結されている。糊付けローラ31の回転軸は、下部構体3に配置される下ピンチローラ32、ドクターローラ33、均しローラ34及び上部構体4に配置されるドライブローラ43のうちの所定ローラの回転軸とギアを介して連動される。
【0040】
均しローラ34には、
図3に示す通り、均しローラ34を介して送られて来る糊付済みのクロスCを糊付機本体1の前面に案内するための複数個のツメ53が長手方向にほぼ均等間隔に装着されたツメステー54が、両端に配された装着具(図示せず)を介して取付けられている。
【0041】
尚、壁紙糊付機の両側部には、ドクターローラ33の回動軸に偏心して固定された偏心ギアを駆動するレバー39を備え、このレバー39により偏心ギアによって保持されたドクターローラ33の軸端が糊付けローラ31と相対移動され、ドクターローラ33と糊付けローラ31との相対間隔が変化して、糊付けローラ31に付着する糊量を調整できるようになっている。
【0042】
左右一対の脚部2には、クロス受けブラケット26が回動自在に配されており、クロス受けブラケット26の先端部には、原反ロールRの中心に通されたクロス芯棒27が軸支されている。
【0043】
図2に示す通り、原反ロールRから繰り出される壁装材(クロス)Cは、一対の後脚22のカバー23の接地部24裏面位置に横架された脚部テンションバー25に当接して引き込み荷重が与えられる。更に、スリッター7の下方に設置された第1テンションバー61と第2テンションバー62とを備えたテンションバー群63で曲折されながら更に引き込み荷重が与えられ、スリッター7に搬送され、クロスの両側部が切断される。
【0044】
2.下部構体ギア
図4は
図1の壁紙糊付機の下部構体のギアの状態を示す側方図である。
図5は
図4の下部構体のギアの状態を示す斜視図である。
図1のコントローラ6内の駆動源(図示せず)の駆動軸のギアと糊付けローラ31のギアの噛み合い駆動によって糊付けローラ31が駆動され、
図4のコントローラ側でない側の糊付けローラ31の回動軸の端部に固定されたギア31g1が回動する。
図5に示す通り、糊付けローラギア31g1は大小の2段のギアであり、各々ドクターローラ33の駆動軸に固定された2つのギア33g1、33g2に各々連結される。
【0045】
ドクターローラ33の2つのギア33g1、33g2のうち、糊付けローラギア31g1の大きいギアに歯合されているギア33g1は、ドクターローラ33の駆動軸にギア33g2の固定用ボスを介して固定されたフリー回転ギアであり、糊付けローラの駆動を下ピンチローラ32に伝達するための下ピンチローラギア32gと、スリッター7の回転刃を回転駆動するためのスリッター回転軸に回転を伝達するための連結ギア群7g1、7g2とに各々歯合されている。
【0046】
ドクターローラ33の2つのギア33g1、33g2のうち、糊付けローラギア31g1の小さいギアに歯合されているギア33g2は、ドクターローラ33の駆動軸を回動させる。このドクターローラ33のギア33g2は糊付けローラ31の回転の周速よりも6割程度遅くするように糊付けローラギア31g1の小さいギアと、ギア33g2とが歯合されている。
【0047】
以上のように、ドクターローラのギアを2つの系統に分け、1つの系統のギアはフリー回転ギアとし、従来の糊付機と同様に糊付けローラの回転を下ピンチローラのギアに伝達する系統とし、もう1つの系統のギアにより、糊付けローラの回転の周速をほぼ6割としたギア比としてドクターローラを回動させるギアとすることにより、ドクターローラを糊付けローラよりも遅く回動させることにより、畝状の糊厚の不均一な状態となってもドクターローラによって均一に掻き取ることができるため、不均一な状態が解消される効果を奏する。具体的には、糊液の粘度を90000CPSに上げる迄は、糊の付きの良くない部分が発生しなかった。
【0048】
3.糊上げローラ
図6は
図1の壁紙糊付機の糊上げローラの構成を示す斜視図である。
図5及び
図6に示す通り、糊桶5の内部に配置された糊上げローラ51の周面には、外方へ突設された6数のフィン52が均等な角度間隔に、各々ローラ幅全長に亘って形成されている。従来の壁紙糊付機では糊上げローラは円筒形であり、糊付けローラとの隙間は一定の隙間で回動し、糊桶5内部の糊液を糊付けローラに転写させていた。
【0049】
しかしながら、本実施例の糊上げローラ51のローラ面は、糊付けローラ31のローラ面とは、1.5mmの隙間距離としている。この隙間距離では濃度が濃く、粘性の高い糊液は糊付けローラ31に供給できるが、濃度の薄い糊液では糊上げローラ51に付着した糊液の膜厚自体が薄くなり、糊付けローラ31に糊液の膜が接触しない。
【0050】
そのため、フィン52によって糊上げローラ51に付着した糊液が、回動されて糊付けローラ位置まで上昇した際に、糊上げローラの下方に移動することを阻止するようにした。このフィン52によって糊上げローラ51に付着した糊液の膜厚が薄くなることを阻害し、糊付けローラ31に濃度の薄い糊液でも糊液を供給することができる。
【0051】
このフィン52の枚数は本実施例では6枚としたが、より濃度の薄い糊液を使用することが想定されている場合には、この枚数を増やせばよく、濃度の薄い糊液を想定しなければ、その枚数を減らしても良い。また、フィン52の高さについては、糊上げローラ51と糊付けローラ31との隙間距離に応じて決定されればよい。
【0052】
本実施例では糊上げローラ51と糊付けローラ31との隙間距離が1.5mmとしたために、フィンの先端が糊付けローラの周面に接触しない隙間距離となるように、フィンの高さを1mmとして、最短でも0.5mmの隙間距離を確保している。
【0053】
尚、糊付けローラ31の回動に伴って糊上げローラ51を回動させるため、ギアで連結している。
図5に示す通り、糊付けローラ51の端縁部に糊付けローラギア31g2が配設されている。このギア31g2に連結するように糊上げローラ51の端縁部に糊上げローラギア51gが配設されている。
【0054】
このように、高い濃度の糊液を糊上げローラ51と糊付けローラ31との隙間距離が1.5mmとした場合には、多くの糊液を糊付けローラに付着させることができ、これをドクターローラで絞り込むことができるため、転写された塗布糊層の厚みが不均一となる現象が解消される。また、糊上げローラにフィンを備えるため、濃度の薄い糊液でも良好に糊付けローラに糊液を供給することができる。